抗加齢医学会の専門医試験を2026年6月に受験し、合格しました。
この試験は出題傾向が素直で、臨床で忙しい場合でも1ヶ月ほどの対策で十分戦えます。自分(皮膚科専門医)も常勤勤務や非常勤バイトと並行しながらの準備でしたが、本格的に勉強を始めたのは1ヶ月前に受験票が届いてからでした。
一方で、受験資格の単位計算や費用の全体像は公式サイトだけでは分かりにくく、準備段階で戸惑う部分も多かったのが正直なところです。
そのためこの記事では、実際に受験した経験をもとに次のような内容をまとめています。
- 受験資格と単位の揃え方(コスパの良い取得ルート)
- かかった費用の総額(14〜19万円の内訳)
- 出題傾向と、1ヶ月で対策した勉強法
- 当日の流れ・体感難易度・合格ライン
見出し
抗加齢医学会の専門医とは
抗加齢医学会専門医(抗加齢専門医)は、日本抗加齢医学会が認定する資格です。
日本専門医機構が認定する皮膚科専門医や内科専門医のような基本領域の専門医とは異なり、学会認定資格という位置づけになります。
重要なのは、医師の場合、基本領域の専門医・認定医、または産業医資格を持っていることが受験の前提条件になる点です。この資格がないと「専門医」ではなく「指導士」の受験区分になります。
対象領域は特定の診療科に閉じておらず、予防医学・栄養・運動から美容的な老化まで幅広くカバーします。
筆者は皮膚科専門医で、美容・アンチエイジング診療との親和性や開業時の差別化を見込んで取得を決めました。実際に受験してみて感じた「取る価値」については、記事の最後でまとめています。
抗加齢医学会専門医の受験資格や必要単位、費用について
抗加齢医学会の公式サイトで情報が載っているのですが、分かりづらい部分もあるため受験に必要な条件を整理していきます。
抗加齢医学会専門医試験の受験資格
受験には、申請時点からさかのぼって3年以内に30単位の取得が必要です。
加えて医師の場合は各診療科の専門医・認定医、もしくは産業医の資格を保有していることが条件になります。医師であってもこれらの資格がないと、「専門医」ではなく「指導士」の受験対象となるので注意が必要です(詳しくは記事末尾のFAQへ)
単位は複数のルートで取得できますが、1単位あたりのコストは取得方法でだいぶ変わります。
| 取得方法 | 単位数 | 費用 | 1単位あたり | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 学会総会 | 参加10単位/年※ (発表で+10単位まで可能) | 16,000円 (事前登録時) | 1,600円 | 受験年でなければ事後オンデマンド視聴でも取得可 |
| 研修用講習会 | 5単位/回 | 22,000円 | 4,400円 | ・事後オンデマンド配信あり ・年明けからの「基本・試験対策講座」は試験対策に直結 |
| 分科会 | 5単位/回など | 15,000円前後 | 約3,000円 | 会により取得可能単位数が異なる |
| WEB研修セミナー | 1単位/コマ | 22,000円 | 22,000円 | 視聴期限なしだが割高 |
※総会は1日参加で5単位、2日参加で10単位。3日間開催されるが参加単位は10単位/年が上限。会場参加1日+事後オンデマンド1日などの併用も可能
こうして1単位あたりで並べると一目瞭然で、総会参加が圧倒的にコスパが良いです。総会参加は1,600円/1単位、また事後のオンデマンド配信でも単位が取得できるため、当日会場に行けなくても取りこぼしがありません。
一方で研修用講習会はコスト以外の価値があります。年明けから開催される「基本・試験対策講座(全6回)」は試験問題作成に関わる先生が、講義中重要な部分を強調して話していただけます。
もちろん全部が全部そのまま試験に出題されるわけではありませんが、単位取得+試験対策を同時に進められる選択肢として価値があります。なお研修用講習会も現地参加と事後オンデマンド配信があります。
分科会は下記8つがあり、取得可能な単位数や費用が異なります。
- 抗加齢歯科医学研究会
- 眼抗加齢医学研究会
- 泌尿器抗加齢研究会
- 脳心血管抗加齢研究会
- 見た目のアンチエイジング研究会
- 抗加齢内分泌研究会
- 抗加齢ウィメンズヘルス研究会
- 運動器抗加齢医学研究会
皮膚科なら「見た目のアンチエイジング研究会」、眼科なら「眼抗加齢医学研究会」など、自分が興味を持ちやすい自身の専門分野に近い分科会に参加して単位を獲得するというのも一つの手です。そういう意味ではWEB研修セミナーも良いのですが、いかんせん値段が高いですね…
なお試験自体は毎年6月に3日間行われる、抗加齢医学会総会の最終日に実施されます。
注意
つまり試験日”前日までに”30単位を集めておく必要があります
単位取得のモデルケースを3パターンで解説
30単位を揃えるため、2027年に受験する場合で3通りのパターンを想定してみました。
- 2026年の総会参加で10単位+2027年の総会1日目・2日目に参加して10単位+研修用講習会2つ視聴で10単位
- 2026年の総会参加で10単位+研修用講習会4つ視聴で20単位
- 2025年〜2026年の総会参加で20単位+2027年の総会1日目・2日目に参加して10単位
パターン1は試験対策と費用のバランスが良いパターンです。欠点としては受験する年の総会1日目・2日目に参加する必要があり、1日目は平日(金曜日)なのでやや制約が多くなる点です。
パターン2は自分のパターンです。モデルケースの1年前倒しで2025年4月に入会して、2026年6月に受験しています。研修用講習会が多くなる分、試験対策は進めやすいです。また試験日の前に行われる総会1日目・2日目に参加する必要がないので、試験直前期に時間を確保できるというメリットがあります。
パターン3は最も費用を抑えやすいパターンです。一方で試験受験までに3年間必要な点や、研修用講習会を受講できないので試験対策をよりしっかり行う必要がある点が欠点です。
抗加齢医学会専門医試験 申請書類と締切
2026年度抗加齢医学会専門医試験における、受験申請までの流れと日程は下記の通りでした
- 受験申請書の申し込み:2/28締め切り
- 郵送されてきた申込書を提出:3/31締め切り
- (受験要件を満たしていれば)受験票の送付:5/19頃到着
- 試験日:6/28(総会3日目)
申込書を提出する時点での申請書類では顔写真に加え、医師免許証や各診療科の専門医認定証・産業医認定証のコピーなどが必要になります。
書類申請の締め切りが3月末なので、基本的にはここまでに30単位の確保が必要になります。
先述の通り、受験年の総会で(試験日前日までに)1日参加なら5単位を、2日参加なら10単位を追加できるため、申請時点では20〜25単位でも可能
まとめると、実質的な最初の締め切りは2月末の受験申請書申し込みということになります。
ただし2月末からだと単位獲得のため講習会を申し込もうにも数が少なくなっているため、申請書を申し込む時点で、ある程度30単位取得の目処が立っていることが望ましいです。
抗加齢医学会専門医 取得費用のまとめ
単位取得のための総会参加・講習会費用に加えて、入会金や年会費、受験料・合格後の認定料などが必要になってきます
自分の受験パターン(パターン2)で整理しました
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入会金 | 5,000円 |
| 年会費 × 2年度分(2025・2026) | 20,000円 |
| 総会参加費(2025年) ※現地1日+事後オンデマンド | 16,000円 |
| 研修用講習会 × 4回 | 88,000円 |
| 受験料(専門医) | 33,550円 |
| 受験までの小計 | 162,550円 |
| 合格後の認定料 | 22,550円 |
| 合格・認定までの総額 | 約18.5万円 |
実際にはこれに認定テキスト・問題集の書籍代約1万円と、総会会場までの交通費・宿泊費が追加されるので、20万円+αという形になります
発表はハードルが高いと思うので、聴講のみで最安値で受験しようとすると下記のようになります(パターン3)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入会金 | 5,000円 |
| 年会費 × 3年度分 | 30,000円 |
| 総会参加費(事前登録) 16,000円 × 3回 | 48,000円 |
| 受験料(専門医) | 33,550円 |
| 受験までの小計 | 116,550円 |
| 合格後の認定料 | 22,550円 |
| 合格・認定までの総額 | 約14万円 |
ただしこのパターンだと3年目は総会への現地参加が必須なので、ここに2日分の宿泊費が追加されます。書籍代も変わらずかかるとすると、15万円+2泊で1泊1万円として17万円くらいでしょうか。
抗加齢医学会専門医試験の概要 (2026年受験時点)
ここでは実際に受験した試験そのものについて、日程や形式・出題傾向などを紹介します。
抗加齢医学会専門医試験の日程と会場
専門医試験は3日間開催される抗加齢医学会総会の最終日午後に会場の一部で実施されます。午後開催なので、試験を受験するだけであれば場所によっては日帰りでも可能になります。
2026年は6/28(日)に横浜で開催されました。
なお2027年に開催される第27回抗加齢医学会総会は大阪国際会議場(グランキューブ大阪)での開催が決まっており、例年通りなら2027年6月13日(日)の午後に試験が実施されるものと思われます。

出題形式・問題数・試験時間
試験は全てマークシートによる選択式です。「正しいものを◯個選べ」あるいは問題によっては「誤っているものを◯個選べ」という方式で、選ぶ個数が指定されています
単一選択式ではないので、選択肢一つ一つを判断する力が求められます(完全にランダムに選ぶ場合、5択で1つなら20%正解だが、2つなら10%しか正解できない)。
問題数は専門医の場合100問で、試験時間は90分です。なお指導士は全80問ですが、試験時間自体は一緒です。単純計算で1問あたり50秒程度なので、じっくり考えて解くという試験ではありません。
出題範囲と傾向
問題文の持ち帰りが許可されていないので、筆者が受験した際の体感にはなりますが、出題元をざっくり分けると下記のような形でした。
- セルフアセスメント問題・問題集(プール問題):6-7割
- 基本・試験対策講座で講師の先生が重要と述べた箇所:2割
- 出典不明の新規問題:1割
最大のポイントは、過去の問題集・セルフアセスメント問題からの出題(プール問題)が6〜7割を占めることです。裏を返せば、この既存教材を固めるだけで合格ラインにかなり近づけるということでもあります。対策の優先順位が明確なので、限られた時間でも戦略を立てやすい試験だと言えます。
残りのうち2割程度は、年明けから開催される「基本・試験対策講座」で講師が強調していた内容から出た印象です(ただし筆者はすべての回を聴講したわけではないため、この割合はあくまで参考値です)。出典のわからない完全な新規問題は1割程度で、ここは深追いしすぎない割り切りも必要でしょう。
出題分野そのものは、抗加齢医学の守備範囲の広さを反映して多岐にわたります。
遺伝子や老化細胞、ミトコンドリアといった基礎医学から、各臓器領域の臨床、栄養・運動・サプリメントまで幅広く問われるため、自分の専門外の分野を含めて広めに学習することが重要です。
抗加齢医学会専門医試験の勉強方法と必要な勉強時間【勉強期間1ヶ月】
常勤勤務+バイト、副業などを行いつつ、約1ヶ月程度の勉強時間で試験対策を行いました。
ここでは実際に使用した教材や勉強スケジュールについてまとめていきます。
抗加齢医学会専門医試験対策で使用した教材
試験対策で必須の教材が下記の3つです。
- 日本抗加齢医学会専門医・指導士認定試験対策問題集(以下問題集)
- アンチエイジング医学の基礎と臨床(以下テキスト)
- セルフアセスメント問題
このうちテキストと問題集はAmazonや楽天などでも購入できます(下記)
ただ学会会員だと割引価格(それぞれ2026年時点で8,800円→7,040円、4,950円→3,300円)で購入できるので、急ぎでなければサイトから購入するほうが良いでしょう
参考:認定テキスト購入フォーム
3つめの「セルフアセスメント問題」はテキストに載っているシリアルコードを入力して、WEB上からPDFの形でダウンロードする形となっています。
ここまでは試験合格を目指す場合は全員目を通しておく必要がある教材です。先に述べた通り、出題の6〜7割を占めるプール問題はこの問題集とセルフアセスメント問題から出題されるためです。
追加で研修用講習会を受講した場合は、講習会の内容からも新規問題が出題されるのでこちらも目を通しておきたいです。講習会テキストは事後オンデマンド視聴だとPDFリンクが送付され、現地受講するとテキストが配布される形です。
ただ全6回の基本・試験対策講座を全て受講している受験生は少ないと思うので、可能な範囲で大丈夫です
勉強の流れと具体的なスケジュール
試験勉強の進行順番は下記のような形でした。
- 問題集を解いて全体像を把握しつつ、関連するテキストを読む
- セルフアセスメント問題を解いて問題集で載っていない知識を拾う
- 並行して講習会プリントを読む
- 問題集・セルフアセスメント問題で間違えた部分を中心に2〜3周目
テキストは購入してありましたが、試験4〜5ヶ月前に行われた研修用講習会を視聴する際に少し見た程度で、ほとんど手をつけていませんでした。
実質的な勉強期間は1ヶ月+α程度。3〜5時間/日として、合計すると100〜150時間程度の勉強時間ということになります
具体的な日程付きで、自分自身の勉強スケジュールを記載すると下記のとおりです
| 日程 | 勉強内容 |
| 5/19 | 受験票が届く |
| 5/22- | 勉強開始。問題集を解きつつテキストを読む |
| 6/10 | 問題集1周目終了 |
| 6/15-6/21 | セルフアセスメント問題1周目+講義プリント見直し。セルフアセスメント問題を解く過程で関連するテキストはほぼ読んだ |
| 6/22- | 問題集の再走(2周目)、最終的にはセルフアセスメント問題も含めて3周ずつ |
| 6/28 | 試験日 |
やってよかったこと・意識したこと
ここでは試験対策として、やってよかったことをまとめます
- プール問題を徹底的に固める
- 講習会で講師が重要視している部分は必ずメモを取る
- マニアックすぎる問題は割り切る
- 学習過程での生成AIの活用
繰り返しになりますが、問題集とセルフアセスメント問題から6-7割が出題されるため、ここを得点源にすることが最優先です。
正解選択肢が選べるようになることはもちろん、「どこが間違っているか」「正しい解答はなにか」まで把握できるようにしておく必要があります。
また新規問題については講義内容からの出題も多いので、講義を受講する際に講師の先生が重要と仰っている部分はしっかりメモを残しておきましょう。
最後に割り切りも肝心です。とくにセルフアセスメント問題では一部やたらマニアックなサプリメントの成分と効能を問うような出題がありますが、全て覚えきるのは現実的ではないため捨て問として割り切る姿勢も重要でしょう。
生成AIの活用
勉強していく過程で問題になるのが、セルフアセスメント問題・問題集ともに解説がかなり簡素な部分が多いという点です。
とくにセルフアセスメント問題は(テキストのどこから出題されているかが明瞭な分)解答のみで解説の記載がない問題が大部分を占めます。問題集の方はセルフアセスメント問題よりは解説がついていますが、それにしても問題によってかなり濃淡差があります。
そこで生成AI(ChatGPTやClaudeなど)に写真撮影した問題を送り、解答解説を作成してもらうと勉強が捗ります。たとえば下記のような形です
あなたは日本抗加齢医学会専門医試験の対策を支援する講師です。
添付画像には、公式問題集(またはセルフアセスメント問題)の
「問題文・選択肢・正解・公式解説」が写っています。
公式解説は簡素なため、これを補足する解説を作成してください。【出力形式】
- 正解:(正解の選択肢番号のみ)
- 選択肢ごとの解説:
各選択肢について「正/誤」を示し、
誤りの選択肢は「どこが誤りか・正しくは何か」を1〜2文で説明- この問題の要点:(この問題で押さえるべき知識を2〜3行で)
【条件】
- 試験対策として必要な範囲に絞ること。
周辺の細かい知識や最新研究の深掘りは不要- 全体で400字程度
- 画像から読み取れない部分は推測せず「画像から判読不可」と記載
- 不確かな内容は断定せず、その旨を明示すること
ただし生成AIに作成してもらうとマニアックすぎることまで教えてくれる場合があるので、指示文(プロンプト)は適宜調整しましょう。
またAI解説に誤り(ハルシネーション)がある場合もあるので、過剰な信頼は禁物です。
当日の流れと体感難易度、合格率
ここでは試験当日の流れと実際に受験して感じた手応え、そして気になる合格率や合格ラインについてまとめます。
受付〜試験終了までのタイムライン
試験自体は90分間で、試験開始の30分前から受付開始となっていました。
- 13時半:受付開始
- 14時:試験開始
- 14時半〜15時10分:途中退出可能
- 15時半:試験終了
午後開始なので、多少遠方からの受験でも当日入りが可能です。ただし前述の通り、受験年の総会単位を使用する場合は1日目・2日目の現地参加が必要なので、前日までに会場入りしている受験者も多そうです。
試験時間についてですが、自分は見直し等を含めて1時間ほどで退出しました。周りでも途中退出する受験者はちらほら見られました。
受験者数は公表されていませんが、200〜250人程度であったと思われます。自分の受験番号は100番台で、全体のちょうど真ん中くらいでした。
場所は大きめの会議室のようなところで、3人座れる机の両端に2名ずつ座って受験する形でした。会場前方には大きめの時計が用意されており、腕時計を持参しましたがとくになくても問題ありませんでした。
手応えと体感難易度
受験したときの感覚としては7〜8割くらいの問題は自信を持って正しい選択肢がわかったので、よほど大きなミスがなければ合格できたかなという印象でした。
これはやはり出題の6〜7割を問題集・セルフアセスメント問題からのプール問題が占めるため、ここをしっかり固めていたことが影響していると思います。
また当たり前のことではありますが、自分の診療分野の問題は新規問題であっても問題なく対応しやすかったです。出題分野が幅広い試験である分、誰にとっても専門領域=得点源、専門外=対策が必要な範囲という構図になりやすい試験です。
専門外の分野をどれだけ広く浅く押さえておけるかが重要と言えるでしょう。
抗加齢医学会専門医試験の合格率や合格ライン、合格発表の時期は?
試験で気になる合格率や合格ラインですが、残念ながら学会からは公表されていません。
そのため確かなことは言えませんが、6割程度得点できれば合格圏に入るのではないかと推測しています。つまりプール問題を確実に得点することができれば、合格ラインを超えることは難しくないように考えています。
試験結果については、6/28に行われた試験の結果が7/29に通知されました。だいたい1ヶ月程度で判明するという形ですね。
抗加齢医学会専門医は取る価値があるか
最後に、受験を終えた感想として資格を取る価値があるのかどうかをまとめます。
結論としては目的が合っていれば価値があるが、資格そのもので自身の市場価値が大きく上がるというものではないというところに落ち着くかと思います。
抗加齢医学会専門医取得に必要なコスト・時間の整理
まず抗加齢医学会専門医取得のために必要なコストを整理します。
筆者のケース(講習会を活用してなるべく早めに取得)では、入会から受験・合格後の認定料までの費用を含めると約18.5万円でした。書籍代(テキスト+問題集)の約1万円もほぼ必須なので、19.5万円です。最安ルート(総会x3年)でも書籍代を含めて約15万円かかります。ここに総会参加のための交通費・宿泊費が追加されます。
時間という意味でのコストは試験対策そのもので約1ヶ月。単位取得のための総会参加や講習会参加は事後オンデマンド視聴なので移動時間などのスキマ時間を利用しましたが、それも含めるともう少し大きくなります。
また専門医はなって終わりというものではなく、維持コストがかかります。年会費(10,000円/年)と、更新のたびに単位取得(年間10単位相当)や更新料(22,500円)が必要になります。
自分が考える取ってよかった点
取ってよかったと思う点をいくつか挙げてみます
- 知識の幅が広がった
- 美容・自費診療領域との親和性
- 開業やキャリア選択肢への布石
資格そのものというよりはアンチエイジングについて勉強する過程に一番意味があるのだと思います。栄養・運動・サプリメント・ホルモンなどの、日常診療では学ぶ機会の少ない知識を一通り整理することができます。これは診療における「何を食べればいいか」「このサプリは効果的ですか?」といった質問への回答はもちろんですが、それ以上に自分自身のセルフケアの観点からも役立つ知識であると思います。
たとえば男性であっても加齢と共に男性ホルモンが減少し、EDだけでなくうつ症状や認知機能の低下と関連する(LOH症候群)。その治療として男性ホルモン補充療法(注射や外用薬)がある…など。泌尿器科の先生にとっては一般的な知識かもしれませんが、皮膚科の自分としては医師国家試験レベルで出題されるわけでもないため、あまり詳しくありませんでした。
また取得するメリットとして、美容や自由診療と比較的親和性が高いことが挙げられるかと思います。自費診療は保険診療と比較して医師を選ぶ傾向が強いため、関連資格を持っていることは一定の信頼材料になり得ます。
これはとくにクリニック開業時などの差別化に繋がり得るという点でもメリットです。皮膚科は開業志向が強い診療科ですが、わかりやすい差別化要素として資格保有というものが挙げられます。ほかには記事監修や医療情報発信を行う上でも、肩書保有は具体的な武器として機能するでしょう。
ただし、保険診療の専門領域だけで完結していて、今後も開業志向が強くない場合には約20万円+1万円/年の維持費+1ヶ月超の勉強時間のコストに見合うリターンは薄いと思います。資格を持っているからといって、診療報酬点数が増えるわけでもなく、就職・転職市場で評価が高まるわけでもありません。
逆に言えば、美容・予防医療への関わりや開業・情報発信の予定が少しでもあるなら、勉強の過程で得られる知識も含めて、十分に投資へ見合う資格だと感じています。
まとめとFAQ
最後に、この記事の要点を整理します。
- 抗加齢専門医は日本抗加齢医学会の学会認定資格。医師は基本領域の専門医・認定医(または産業医)資格が受験の前提
- 受験には3年以内に取得した30単位が必要。総会参加(MAX2日で10単位)が最もコスパが良く、単位の揃え方で総費用が変わる
- 費用は入会金〜受験・認定までで総額14〜19万円が目安
- 試験は年1回、6月頃の総会最終日に実施。マークシートの複数選択方式・100問90分
- 出題の6〜7割は問題集・セルフアセスメント問題から→プール問題を固めることが最短
- 勉強期間は1ヶ月、余裕を見ても2ヶ月あれば十分戦える
- 合格発表は受験から1ヶ月後
出題傾向が素直で対策の的が絞りやすく、働きながらでも現実的に取得できる資格です。美容・予防医療への展開や開業を視野に入れている先生にとっては、勉強の過程で得られる知識も含めて、投資に見合う価値があると感じました。
受験を決めたら、まずは学会への入会と、直近の総会日程の確認から始めてみてください。単位は「申請前3年以内」の縛りがあるので、受験年から逆算して総会・講習会のスケジュールを組むのが最初の一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q. 専門医と指導士の違いは何ですか?
A. どちらも日本抗加齢医学会の認定資格ですが、受験区分が異なります。専門医は、基本領域の専門医・認定医(または産業医)資格を持つ医師、および日本歯科医学会の専門分科会に所属する歯科医師が対象です。指導士は、看護師・薬剤師・管理栄養士など医療系国家資格の保有者が対象で(詳細は公式サイト参照)、専門医の受験要件を満たさない医師・歯科医師も指導士区分での受験になります。試験問題数も専門医100問に対し指導士は80問と異なります。
医師の方はせっかくなら専門医の取得を目指したいところ。といっても皮膚科のように専門医取得まで5年間必要な診療科もあるので、早めに取得したい場合は研修医でも取得できる産業医資格をまず目指すのが良いかもしれません。
Q. 資格の更新はどうなっていますか?
A. 学会の認定ページによると、初回の認定期間は3年間で、期間内に30単位の取得が必要です。2回目以降の更新は5年ごととなり、更新には50単位が必要になります。単位の取得方法は受験時と同様に総会(参加/発表)・講習会などが対象ですが、WEB研修セミナーの上限単位数など一部異なる部分もあります。
いずれも毎年10単位あれば単位要件を満たすため、総会参加単位を意識しておけばとりあえずは大丈夫でしょう。
Q. 試験はいつ実施されますか?
A. 年1回、例年6月頃に開催される日本抗加齢医学会総会の最終日午後に実施されます(2026年は6月28日・横浜、2027年は恐らく6月13日・大阪)。受験申請の締切は3月末頃なので、受験を決めたら早めに単位の確認と書類準備を進めておきましょう。
Q. 歯科医師も受験できますか?
A. 受験できます。歯科医師の場合は「日本歯科医学会の専門分科会の会員であること」が条件で、医師と異なり専門医資格の保有までは求められていません。実際に歯科医師の抗加齢専門医も多いようです。
