皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和4(2022)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

2023年4月2日

2022-Specialist-1

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和4(2022)年度解答解説を作成しました

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令和4年度(2022年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 1〜30

選択問題1:解答 5

小児で反応性腫大をきたした腋窩リンパ節

胚中心で見られ、成熟する過程でアポトーシスに至ったB細胞を貪食する細胞はtingible body macrophage→5

2022-Tingible-body-macrophage

参考サイトより引用, 不規則な細胞破片を持つマクロファージが見られる(矢印)

反応性リンパ節腫大でみられやすい所見(→腫瘍性疾患との鑑別に有用)

  • 1. centrocyte(濾胞中心細胞):小型〜中型でくびれがある核を持つ細胞
  • 2. centroblast(濾胞中心芽細胞):大型でくびれがなく、核小体が目立つ細胞
  • 3. sinus histiocyte:組織球球増多症であるRosai-Dofrman病の別名はsinus histiocytosis with massive lymphadenopathy
  • 4. follicular dendritic cell(濾胞樹状細胞):大型で明るい核を持ち、centrocyteと相互作用する細胞
  • 5. tingible body macrophage:胚中心に存在し貪食能を持つ細胞

原発性皮膚濾胞中心リンパ腫でみられる腫瘍細胞は1や2

選択問題2:解答 2, 4

有棘細胞癌に関する一般問題

遠隔転移例に対する標準治療は確立しておらず、潰瘍部位の臭気に対してメトロニダゾールゲルが有用→2, 4

  • 1. 抗PD-1抗体:保険適用はニボルマブ(オプジーボ®)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)のいずれも悪性黒色腫のみ
  • 2. 遠隔転移例:化学療法に関するランダム化比較試験は行われておらず、標準治療は存在しない(FP療法*等が行われる)
  • 3. センチネルリンパ節生検の保険適用は”2cm以上”の有棘細胞癌・悪性黒色腫・乳房外Paget病・メルケル細胞癌で明らかなリンパ節転移がみられない場合
  • 4. メトロニダゾール(ロゼックス®)ゲルは「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」に保険適用。なお2022/5に酒さにも保険適用となった
  • 5. 予防的リンパ節郭清の臨床的意義は不明であり、基本的に推奨できない

*FP療法:CDDP(シスプラチン) + 5-FU

関連問題

選択問題3:解答 1, 3

尋常性白斑に合併しやすいのは橋本病とⅠ型糖尿病→1, 3

メラノサイトやメラニンに対する自己免疫が関与する疾患で(→メラノサイトの消失)、自己免疫疾患を合併しやすい

※内因子は胃から分泌され、ビタミンB12の吸収に関与する

なおAAの合併症としては5以外に甲状腺疾患・Ⅰ型糖尿病・尋常性白斑などがある

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p305(1・3)/505(2)/373(4)/368(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p535(1・3)/810(2)/780(4)/752(5)

関連問題

  • 2014 選択39 (汎発型尋常性白斑で最多の合併症:橋本病)
  • 2020 選択4 (円形脱毛症を合併しやすい疾患:アトピー性皮膚炎, Down症候群)

選択問題4:解答 1, 5

頭部で境界不明瞭な暗紫色結節がみられ、血管肉腫の診断

予後と関連するのは年齢および腫瘍の大きさ→1, 5

2022-angiosarcoma

参考サイトより引用

  • 1. 年齢:70歳以上は予後不良因子。一般論として高齢者のほうが身体予備能が低く、予後も悪い
  • 2. 性別:予後因子に含まれない。なお血管肉腫の男女比は2:1で男性が多い
  • 3. 部分生検:悪性黒色腫において、部分生検は播種をきたすため望ましくないとする考えがあった(現在は「患者の予後に明らかな悪影響を及ぼすという報告はない」とされている)。一方血管肉腫においては可及的早期の生検が推奨されている
  • 4. 腫瘍の厚さ(Tumor Thickness):悪性黒色腫のTNM分類に用いられている。血管肉腫では腫瘍深達度が予後不良因子として挙げられている→△
  • 5. 腫瘍の大きさ:腫瘍サイズは血管肉腫の予後不良因子で、TNM分類にも用いられている

選択肢4について。ガイドラインにて予後不良因子として挙げられている「腫瘍深達度」≒腫瘍の厚さと解釈できなくもないが、他の選択肢と比較して相対的に誤り選択肢と考えた

関連問題

選択問題5:解答 2

新生児に見られる全身の角質肥厚や眼瞼外反から道化師様魚鱗癬の診断。魚鱗癬症候群ではなく、精神発達遅滞は伴わない→2

  • 非症候性魚鱗癬 = 角化異常症(皮膚のみ)
  • 魚鱗癬症候群※ = 角化異常症 + 他臓器障害

Netherton症候群, Sjögren-Larsson症候群, Dorfman-Chanarin症候群など

道化師様魚鱗癬

魚鱗癬の最重症型

層板顆粒からの角層細胞間脂質*輸送に関わる蛋白をコードするABCA12遺伝子変異により発症(常染色体劣性遺伝)

  • 臨床像:全身の角質肥厚が見られ、とくに眼瞼外反が特徴
  • 治療:エトレチナートの有効性が報告されている

*角層細胞間脂質=セラミドやコレステロールなど

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p271(3・4・5)/274(2)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p347(3・4・5)/349(2)

関連問題

選択問題6:解答 2, 5

非結核性抗酸菌(NTM)についての出題

  • 1. T-SPOTはM. marinum感染症で陽性となることがある(ただしMAC症では通常陰性)→△
  • 2. 結核菌と異なり、ヒト-ヒト感染はきたさない
  • 3. 抗酸菌は増殖速度が遅く耐性菌を生じやすいため、多剤併用療法を行う(ミノサイクリンやクラリスロマイシンなど)
  • 4. MAC(M. aviumM. intracellulare)症は肺病変を引き起こすNTM症として最多だが、皮膚病変はM. marinumが60%でMACは7%程度
  • 5. M. marinumの培養温度は25℃だが※、M. aviumのように37℃で増殖する菌種も存在するため2通りの温度設定が望ましい

※このため、M. marinum治療にホッカイロを用いた温熱療法が行われる

選択肢1について。T-SPOTはMAC症では通常陰性のため(←リンク先p56)、選択肢1は正解とも解釈可能な文章。そもそも背景として、従前のツベルクリン反応検査が結核とBCG接種・非結核性抗酸菌症の区別ができなかった中で、それらの区別が可能な特異度の高い検査としてT-SPOTは登場している

もっとも選択肢4の通り皮膚でMACが原因となることは少ない点や、選択肢1には(選択肢2の「通常は」のような)形容詞がないことから、本問では間違い選択肢と考えた

関連問題

  • 2015 選択82 (クォンティフェロンとT-SPOTはM. marinumに交差反応を示す)
  • 2012 選択27 (M.marinumの増殖温度は37℃ではない)

選択問題7:解答 1

サザンブロットはDNAを検出するために用いられる→1

皮膚科領域ではリンパ腫診断時の遺伝子再構成解析に用いられる(腫瘍はモノクローナルなバンド、反応性疾患ではポリクローナルなため特定のバンドが見られない)

なおサザンは開発者の人名だが、その後は語呂合わせのような形で方角の名前がつけられている(のでSouthern以外は先頭が小文字表記)

名称 方角 対象 具体例
サザンブロット DNA 遺伝子再構成解析
ノーザンブロット RNA
ウェスタンブロット 西 タンパク質 自己抗体検索
  • 1. DNA:サザンブロット法で検出する
  • 2. RNA:ノーザンブロット法で検出する
  • 5. 蛋白質:ウェスタンブロット法で検出する

関連問題

  • 2012 選択86 (遺伝子再構成解析に用いる手法)
  • 2009 選択13 (ウェスタンブロットで検出するもの)

選択問題8:解答 5

ダーモスコピー像を問う問題

図では皮溝部に一致した色素沈着に加えて、皮丘部でも点状の色素沈着が見られる※

crista dotted variantと呼ばれる皮溝並行パターンの亜型で、小児期に出現する母斑で多くみられる→5

2022-Cristadotted-dermoscopy

参考文献より引用, 皮溝に一致する色素に加えて皮丘部でも点状に色素がみられる

※皮丘部は皮溝部と比較して線が太い点から区別する

手掌足底のメラノサイト病変 ダーモスコピー所見

手掌足底は皮丘・皮溝に分けられる

原則は皮丘部に一致した色素沈着=悪性黒色腫を示唆する所見

色素性母斑
(母斑細胞母斑)
悪性黒色腫
(メラノーマ)
色素沈着部位 皮溝 皮丘
ダーモスコピー所見 parallel furrow pattern parallel ridge pattern
皮溝並行パターン 皮丘並行パターン

ただし良性の皮溝並行パターンのうち、一部の亜型では皮丘部にも色素沈着を伴う場合がある

この場合、色ムラや全体構築から良悪性を判断する必要がある

  • 1. 悪性黒色腫:掌蹠の場合、皮丘部優位の色素沈着や濃淡差が特徴
  • 2. スピッツ母斑:ダーモスコピーではstarburst appearanceが特徴。急速に増大する母斑で体幹部に生じる
  • 3. 異型母斑:不整形・境界不明瞭・濃淡差などから悪性黒色腫との鑑別が問題となる良性母斑
  • 4. ミーシャー母斑:半球状に隆起し軟毛を伴い、組織学的に母斑細胞が真皮に存在するのが特徴。掌蹠ではなく顔面や頭部に生じる
  • 5. 先天性色素性母斑:crista dotted variantは小児期に出現する母斑で見られやすいとされる
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関連問題

選択問題9:解答 2

高齢男性で鼻部および耳介と軟骨部の発赤・腫脹や抗Ⅱ型コラーゲン抗体陽性から、再発性多発軟骨炎を考える

皮疹は環状紅斑をきたしており、組織学的にCD68陽性細胞の浸潤が見られることからHistiocytoid Sweet syndromeの診断→2

Histiocytoid Sweet syndrome

通常のSweet病(症候群)は真皮の好中球浸潤が特徴の疾患で、骨髄異形成症候群や白血病の合併が多い

Histiocytoid Sweet syndromeはその亜型で、組織学的にCD68やMPO陽性の組織球様細胞浸潤が見られ、未熟な骨髄細胞と考えられている

合併疾患:Histiocytoid Sweet syndrome 63例のうち16例が悪性腫瘍に合併しており、そのうち14例が血液疾患であったと報告されている。その他潰瘍性大腸炎やSLEの合併報告があるが、再発性多発軟骨炎との合併例は稀

関連2020 記述7 / 2015 記述3 (再発性多発軟骨炎)

選択問題10:解答 3?

無汗症評価に用いる検査を問う問題

重量計測法は通常無汗症検査で用いられることはない→3

無汗症をきたす疾患として、特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準は下記

220421-AIGA
特発性後天性全身性無汗症(AIGA) 診断基準・重症度分類

続きを見る

この中で取り上げられている検査法は下記3つ

  • ミノール(Minor)法
  • サーモグラフィー
  • 定量的軸索反射性発汗試験(QSART)

選択肢の残る2つの検査法、ヨード紙法と重量計測法はいずれも局所多汗症で行われることが多い検査

各検査の概要を下記に示す

  • 1. ミノール法:ヨードを塗布後にでんぷんを振りかると、発汗部位でヨード-でんぶん反応が起こるためその範囲を計測する
  • 2. ヨード紙法:ヨードを染み込ませた紙を作成し、発汗部位(黒色に変色)が視覚的に捉えられる。とくに掌蹠の発汗評価に適した検査
  • 3. 重量計測法:ろ紙を付着させたビニール手袋を5分間装着後、重量を測定して発汗量を測定する検査で多汗症において各種治療法の効果判定に用いられる
  • 4. サーモグラフィー:温熱負荷後に高体温領域を測定する
  • 5. 定量的軸索反射性発汗試験:アセチルコリンをイオントフォレーシスにより皮膚に導入し、軸索反射による発汗を定量する(AIGAでは発汗が誘発されない)

選択肢2・3はいずれも基本的に多汗症の診断に用いられ、AIGAの診断上も必須の検査ではない。ただ参考文献(新・皮膚科セミナリウム)の表1では無汗症の検査としてヨード紙法が(手掌・足底にという条件付きながら)記載されており、相対的に選択肢3の方がより不適切な選択肢である(=正解選択肢)と考えた

関連問題

選択問題11:解答 5

アトピー性皮膚炎に対する内服JAK阻害薬に関する出題

組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)は不活化ワクチンのため、JAK阻害剤投与中でも接種可能→5

なお帯状疱疹ワクチンでも生ワクチン(ビケン)は生物学的製剤やJAK阻害剤投与中は接種不可。両者の比較は下記参照

220527-herpeszoster-vaccine
帯状疱疹ワクチン 生ワクチンと不活化ワクチンの比較

続きを見る

  • 1. 重篤な感染症(敗血症等)の患者は治療禁忌となっている。COVID-19発症=重篤と言えるかどうかは?→△ ※詳細は後述
  • 2. 乾癬の生物学的製剤使用時と同様、血液検査(血算, CRP, 肝腎機能検査, β-Dグルカン, KL-6, T-SPOT)や画像検査(胸部X線など)が必要
  • 3. 施設要件*を満たした上で、届出の必要がある
  • 4. モニタリング検査:乾癬における生物学的製剤に準じた、治療開始後1, 3, 6ヶ月およびその後は6ヶ月に1回が原則。ただ本薬剤では特に慎重な観察が求められており、6ヶ月以降の定期的な検査に関しても3ヶ月に1 回を目安に症例に応じて適切な間隔で行うことが推奨されている
  • 5. JAK阻害薬内服に伴い帯状疱疹を発現することがあるため、50歳以上の患者には組換え帯状疱疹ワクチンの使用を検討する。生ワクチンは投与不可

*施設要件は下記

  1. 皮膚科専門医が常勤していること
  2. 乾癬・アトピー性皮膚炎の分子標的薬安全対策講習会の受講履歴があること
  3. 薬剤の導入および維持において近隣の施設に必要な検査をお願いできること

選択肢1について。COVID-19罹患が治療禁忌である「重篤な感染症(敗血症等)」に該当するのかどうかはケースにより異なるが(そもそも2022年時点ではワクチン普及もあり致死率が流行初期より相当下がっている)、選択肢5と比較し相対的に誤り選択肢と考えた。なお日本皮膚科学会サイトでは下記の文書が発表されている

新型コロナウイルス感染(以下COVID-19)が検査で陽性となった場合には、治療禁忌に記載されている「重篤な感染症を有する患者」に該当する可能性があります。発熱や咳嗽等の症状が軽度、あるいは何ら症状がない場合の治療推奨は難しいところですが、分子標的薬による治療は中止または延期した方がよい、という見解が欧米から示されています(AAD以外にInternational Psoriasis Council (IPC) からも同じ見解が出ています)。

COVID-19感染を疑う症状が現れても、症状が軽度で通常の感冒と変わりがなく、検査も受けていない状況であれば、感冒時と同様の扱い、すなわち予定日に投与を行うかどうかを主治医が慎重に判断するのが望ましいと考えられます。(後略)

引用:日本皮膚科学会 > 新型コロナウイルス感染症 > COVID-19感染に係る分子標的薬の使用について

関連問題

選択問題12:解答 5

伝染性軟属腫処置で用いるペンレス®テープに関する出題

テープ使用料は処置時に一緒に算定可能→5

  • 1. ペンレス®は"リドカイン"を含有している。
  • 2. 貼付時間は伝染性軟属腫と皮膚レーザー照射療法前は約1時間、静脈留置針穿刺時は約30分間
  • 3. 院内貼付が原則のため、予め処方しておくのは不適切
  • 4. 使用量は1回2枚まで
  • 5. 薬剤使用料は(40)処置欄にて請求できる

ルールを厳密に守ると来院後貼付して1時間院内で待ってから(ショックやアナフィラキシーを起こすことがあるので十分な観察が必要)、摘除をすることになる。

(ただそこまで待合スペースに余裕があるクリニック&時間に余裕のある親がどこまで居るのか…という話で、実務上は事前に処方し自宅で貼付する例も多いと思われる)

選択問題13:解答 2, 5

汗に関する一般問題

  • 1. Fabry病は無汗/低汗症をきたし、被角血管腫や四肢末端の発作性疼痛も特徴
  • 2. 水晶様汗疹は角層での汗貯留で自覚症状を伴わない。より深部の表皮で導管が閉塞する紅色汗疹は掻痒感を伴う
  • 3. アポクリン汗中のリポフスチンが酸化されると、色汗症の原因となる。アポクリン汗嚢腫で青色を呈するのもリポフスチンが原因
  • 4. フォックス・フォアダイス病は腋窩や外陰部でアポクリン汗腺の導管が閉塞し、汗があふれて慢性炎症をきたす疾患
  • 5. 後天性特発性全身性無汗症(AIGA)ではエクリン汗腺の数は形態異常はなく機能低下が主体(組織学的に汗腺周囲のリンパ球浸潤がみられる)※

※汗腺の数が減少するのは無汗性外胚葉形成不全症。先天性無痛無汗症も神経線維の異常が原因であり、エクリン汗腺の数は正常

関連問題

選択問題14:解答 2, 4

X連鎖性魚鱗癬について、尋常性魚鱗癬と比較する問題

原因遺伝子はSTSで、遺伝子欠失による発症が多いためFISH法が診断に有用→2, 4

X連鎖性魚鱗癬

X染色体上にある、ステロイドサルファターゼ(STS)遺伝子変異により発症する魚鱗癬

ステロイドサルファターゼは角層細胞間接着を担う硫酸コレステロールを分解する作用を持ち、欠損することで分解されない硫酸コレステロールが角層細胞間に蓄積し剥離遅延が生じる

臨床症状や原因遺伝子などで、尋常性魚鱗癬と対比されることが多い

尋常性魚鱗癬 X連鎖性魚鱗癬
遺伝形式 常染色体半優性 X連鎖劣性
原因遺伝子(蛋白) FLG(フィラグリン) STS(ステロイドサルファターゼ)
好発部位 四肢伸側および体幹 四肢伸側に加えて屈側、体幹
症状 細かい鱗屑 黒褐色で大きな鱗屑
組織 HE染色での顆粒層の菲薄化 顆粒層は正常〜肥厚

病因は遺伝子の欠損によることが多いため、FISH法で視覚化する方法が診断に有効

関連問題

選択問題15:解答 5

ケロイドの発生を問う問題

最も少ないのは頭頂部→5

外傷部位を越えて拡大するのがケロイド、外傷部位を越えず自然萎縮傾向があるのが肥厚性瘢痕

好発部位:前胸部, 耳介(ピアス後), 肩など

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p432
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p660

選択問題16:解答 1, 4, 5

神経線維腫症1型(NF1)に関する一般問題

  • 1. NF1が悪性腫瘍を合併する割合は健常人と比較して約2.7倍高い(平均寿命も10〜15年短い)
  • 2. NF1モザイク(NF5)は病変部でのみNF1※の変異がみられる
  • 3. 悪性末梢性神経鞘腫瘍(MPNST)の検査として通常MRIが選択される
  • 4. NF1に合併した腫瘍に対する放射線治療は、二次的な悪性腫瘍(MPNST等)のリスクを高めるという報告がある
  • 5. 小児のMRIで小脳などに見られる高信号病変をunidentified bright objects(UBO)と呼ぶ。病的意義は乏しく加齢に伴い消退する

NF1(イタリック表記)は遺伝子名を意味する。NF1と通常表記した場合は疾患名なので混同しないよう注意

選択肢3について。MRIの方が有用とする文献記載は見当たらなかったが、症例報告ではMRIが行われていることが多い(軟部組織の撮像にはMRIの方が向く)。また選択肢4の通り放射線により二次的な悪性腫瘍の発生リスクが高まることも踏まえれば、あえてCTを選択する意義は乏しいだろう

関連問題

選択問題17:解答 4

高齢男性の下腿にみられた赤褐色の小腫瘤

HE染色では明るい胞体を持つ腫瘍細胞の増殖がみられ、S-100陽性であることと併せて、顆粒細胞腫の診断→4

S-100は神経系マーカーであり、神経系腫瘍では幅広く陽性となる

顆粒細胞腫

シュワン細胞由来で、皮膚や口腔・消化器に生じる3cm未満の小腫瘤

組織学的に胞体が明るく好酸性の顆粒を含む腫瘍細胞がみられ、S-100やNSE陽性となる

*DFSP = 隆起性皮膚線維肉腫

関連問題

選択問題18:解答 2, 3, 4

リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)のターゲット細胞(→CD20陽性細胞)を問う問題

CD20陽性細胞は下記3つ

  • pre-B cell
  • naive B cell (成熟B細胞)
  • memory B cell

最終分化して抗体を産生する形質細胞(plasma cell)や、逆に未分化なリンパ増殖幹細胞では陰性となる

2022-CD20expression

参考文献より引用, 下段の赤がCD20発現細胞を示す

なお形質細胞のマーカーにCD79aがある(B細胞も陽性となる)

リツキシマブと皮膚疾患

リツキシマブ(リツキサン®)は抗CD20モノクローナル抗体で、もともとはB細胞リンパ腫に対して用いられていた

B細胞は抗体産生にも関連するため、自己免疫が関連する皮膚疾患に対しても保険適用が追加されている

疾患 投与法 保険適用
難治性の尋常性及び落葉状天疱瘡 1,000mg/body2週間間隔で2回 2021年12月
全身性強皮症(皮膚硬化) 375mg/m21週間間隔で4回 2021年9月

関連問題

選択問題19:解答 5

血液透析中の高齢男性に下腿潰瘍が見られ、組織で血管壁の石灰化が著明なことからカルシフィラキシーの診断→5

類上皮細胞性肉芽腫や血管炎が見られないことから、結核や血管炎によるものは否定される

カルシフィラキシス (calciphylaxis)

カルシフィラキシーとも呼ばれる

長期血液透析患者において二次性の副甲状腺機能亢進*から、小動脈石灰化をきたす

強い疼痛を伴い急速に拡大する潰瘍をきたし、予後不良

*高リン血症→血中Ca低下→副甲状腺機能亢進

  • 組織:真皮や皮下脂肪組織で小動脈壁の石灰化が見られる
  • 治療:副甲状腺摘出, チオ硫酸ナトリウム投与
    ※ワルファリンは危険因子とされる
  • 1. 壊疽性膿皮症:下腿などで無菌性膿瘍をきたす疾患で、潰瘍性大腸炎白血病など基礎疾患を持つことが多い。組織では好中球浸潤が特徴
  • 2. 末梢動脈閉塞症:閉塞性動脈硬化症(ASO)とほぼ同義。糖尿病や動脈硬化性変化を基盤に足趾末端中心の潰瘍をきたす
  • 3. Bazin硬結性紅斑:結核疹*の場合があり、結節性紅斑に類似するが潰瘍を伴う。組織では小葉性脂肪織炎の他、血管炎や乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫がみられる
  • 4. 持久性隆起性紅斑:四肢伸側に好発する血管炎で、浸潤性紅斑→次第に線維化しケロイド様に硬くなる。組織では白血球破砕性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)が特徴
  • 5. カルシフィラキシー:血液透析患者に好発し、石灰化が強いことが特徴

*結核疹:結核菌そのものによる症状ではなく、菌に対するアレルギー/免疫反応による疾患

関連問題

  • 2015 選択53 / 2011 選択59 (カルシフィラキシーの臨床問題, 組織)
  • 2009 選択44 (カルシフィラキシスの検査所見)

選択問題20:解答 2

図は横軸が外用使用週数を、縦軸が炎症性皮疹数*の使用開始時からの減少率を示している

2022-Adapalen-inflammatory

参考文献より引用, 炎症性皮疹数の減少をアダパレン群とVehicle群で比較

アダパレン(ディフェリン®)とVehicle*を比較すると、4週目時点では有意差がないが6週目時点では有意差が生じていることがわかる

ここから、「炎症性皮疹の有意な減少に4週間以上を要する」と考えられる→2

*炎症性皮疹数 = inflammatory lesion count, Vehicle = 基材(ワセリン等)

なおアダパレンは毛包上皮の角化を正常化させる作用を持ち、特に白色面皰に対する効果が高い。

元論文でも非炎症性皮疹数は使用開始1週目からVehicleと比較して有意に減少していることが読み取れる

2022-Adapalene

参考文献より引用, 非炎症性皮疹数の減少をアダパレン群とVehicle群で比較

  • 1. 自動車の運転:抗ヒスタミン薬で多い注意事項。アダパレンは紫外線曝露を避ける必要がある(夜間に外用)
  • 2. アダパレンの薬効としての炎症性皮疹の減少は、4週間〜プラセボと有意差が生じている
  • 3. 刺激感が治療開始早期(とくに2週間)に生じやすいのは事実だが、図からは読み取れない
  • 4.  グラフ縦軸は炎症性皮疹数を示しており、患者数ではない。なお元論文では副作用のため12週以前に治療を中断したのは1/100名(卵巣嚢腫)とのこと
  • 5. グラフ縦軸は0週時点からの減少率を示しており、「下にプロットされるほど効果が高い」ことになる。アダパレン群の6週目以降は★が付与されており、有意差を持って減少していることがわかる

関連問題

選択問題21:解答 1, 2

女性型脱毛症治療で推奨されていない(推奨度D)治療を問う問題

ミノキシジルおよびフィナステリドの内服が該当する→1, 2

男性型脱毛症(AGA) 女性型脱毛症(FAGA) 治療

診療ガイドライン 2017年版より抜粋

推奨度 治療
A フィナステリド内服※
(プロペシア®)
デュタステリド内服※
(ザガーロ®)
ミノキシジル外用
B 自毛植毛術*
LEDおよび低出力レーザー照射
アデノシン外用*
C1 カルプロニウム塩化物
(フロジン)
ケトコナゾール
(ニゾラール®)
C2 成長因子導入および細胞移植療法
D ミノキシジル内服

女性型脱毛症では推奨度D

*女性型脱毛症では推奨度C1

フィナステリド/デュタステリド内服は男性ホルモンDHTと関わるため、男性では推奨度Aだが、女性では推奨度Dと大きく異なる

上記より本問の解答は下記

  • 1. ミノキシジル内服:男女とも推奨度D。外用薬と比較して全身副作用が生じ得るため
  • 2. フィナステリド内服:男性は推奨度Aだが、女性は推奨度D
  • 3. アデノシン外用:男性は推奨度B、女性は推奨度C1
  • 4. ケトコナゾール外用:男女とも推奨度C1。脱毛症の保険適用はない(脂漏性皮膚炎は保険適用)
  • 5. ミノキシジル外用:女性では1%が、男性では5%が推奨度A。外用初期の休止期脱毛に注意

関連問題

AGAでは5-αリダクターゼ阻害薬2種の比較も頻出

選択問題22:解答 2

7型コラーゲンは係留線維(anchoring fibril)を構成する

3量体であるため、3つ全てが正常蛋白である確率は1/8(←1/2の3乗)となる

変異産物 正常産物 確率
0 3 1/8
1 2 3/8
2 1 3/8
3 0 1/8

逆の言い方をすれば7/8の確率で変異産物を少なくとも1つ含む3量体が形成されてしまう

これら7/8の3量体では、変異産物が正常産物の働きを阻害するドミナントネガティブ効果から、蛋白が正常に機能しなくなる

→解答は2

常染色体優性(顕性)遺伝 病態機序

2つの対立遺伝子のうち1つに異常があると症状をきたす遺伝形式

作用機序は大きく3パターンに分けられる

  • Gain of function(機能獲得変異):変異遺伝子の生成産物が新たな機能を獲得
  • Haploinsufficiency(ハプロ不全):1つの遺伝子変異により、十分な遺伝子産物が生成されなくなる
  • Dominant-negative(優性阻害):変異遺伝子によって生成された異常産物が正常産物の作用を阻害する

下記が皮膚科疾患での具体例

作用機序 疾患例
Dominant-negative 表皮水疱症ケラチン異常による表皮融解性魚鱗癬
Haploinsufficiency※ Darier病Hailey-Hailey病

※(遺伝性疾患だが)幼少期には低下した産生量でも生体需要を満たすため発症しないが、加齢とともに蛋白量が需要に追いつかなくなる成人期〜に発症する

関連問題

選択問題23:解答 2, 4, 5

神経内分泌マーカーとして利用されるのはS-100, シナプトフィジン, クロモグラニンA→2, 4, 5

皮膚科領域ではメルケル細胞癌の診断等に用いられる

CK20もメルケル細胞癌において核近傍で点状に染まるが、名前通りケラチンのため上皮性マーカーに分類される

  • 1. CK20(サイトケラチン20):メルケル細胞癌の他、直腸癌(Paget現象)でも陽性になる
  • 2. S-100:Langerhans細胞やメラノサイト、シュワン細胞で幅広く陽性となる(ex. Langerhans細胞組織球症, 悪性黒色腫, 神経線維腫)
  • 3. desmin:筋細胞で陽性となり、代表疾患は平滑筋腫
  • 4・5. シナプトフィジン・クロモグラニンA:いずれも神経内分泌マーカーで、メルケル細胞癌で陽性となる

関連問題

「メルケル細胞癌で陽性となるものを選ぶ」というだけだと本問ではCK20を除外できないので注意

選択問題24:解答 4, 5

膿疱性乾癬(汎発型)に関する一般問題

  • 1. HLA-Cw6と関連するのは"尋常性"乾癬。膿疱性乾癬はIL-36RNCARD14遺伝子の変異/多型と関連する
  • 2・3. 粘膜症状やリウマトイド因子陰性関節炎、二次性アミロイドーシスは診断の参考項目に含まれ「ほとんどない」とは言えない
  • 4. エトレチナートとシクロスポリンはいずれもガイドラインで推奨度B*(委員会推奨)で最も高い。ただし妊婦ではエトレチナートは催奇形性のため使用できない
  • 5. 急性汎発性膿疱性乾癬が代表だが、小児に発生する場合※や妊娠を契機に発症する疱疹状膿痂疹という病型もある

※circinate annular formという小児に多い病型は、軽症例が多いため除外される

関連問題

選択問題25:解答 5

接触皮膚炎に関する問題

angry back syndromeはパッチテストである物質が非常に強い陽性反応をきたした場合、周囲の(本来陽性でない)部位にも非特異的な反応が誘発される現象

→5

この場合周囲物質の判定が困難となるため、濃度を薄める・距離を離すなどして再検査が必要

  • 1. ケトプロフェン(モーラステープ®)やピロキシカム(フェルデン® バキソ®)は光接触皮膚炎の原因となり得る。とくにケトプロフェンは貼付後4週間は紫外線を避ける必要がある
  • 2. ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド®)はアレルギー性接触皮膚炎の原因となりえる
  • 3. フラジオマイシン硫酸塩(ソフラチュール®やバラマイシン®)はゲンタマイシンなどアミノグリコシド系抗菌薬と交叉反応することが報告されている※
  • 4. ヤマイモに含まれるシュウ酸カルシウムは刺激性接触皮膚炎の原因となる。刺激性なので感作不要(誰でも、初回から生じる)
  • 5. angry back syndromeは先述の通り。テープ等の機械的刺激は接触皮膚炎の原因となる

※フラジオマイシンとアミノグリコシド系抗菌薬は基本構造骨格を共有しているため。フラジオマイシンはパッチテスト(JSA)にも含まれる

関連問題

選択問題26:解答 1, 3

真菌を同定するのに用いるのはPAS染色およびGrocott染色→1, 3

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p40(1・3・4・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p47(1・3・4)/111(2)/961(5)

関連問題

  • 2012 選択85 (特殊染色と色, グロコット等)
  • 2009 選択59 (Warthin-Starry染色と梅毒)

選択問題27:解答 2

保険診療に関する問題

円形脱毛症に対するナローバンドUVB療法は2020年から保険適用→2

皮膚科光線療法 保険適用疾患

  • 乾癬
  • 類乾癬
  • 掌蹠膿疱症
  • 菌状息肉症
  • 悪性リンパ腫
  • 慢性苔癬状粃糠疹
  • 尋常性白斑
  • アトピー性皮膚炎
  • 円形脱毛症 (2020年より追加)

保険点数は下記

  • 通常のUVAやUVB:150点
  • ナローバンドUVB(311±2nm)やエキシマライト(308±2nm):340点
  • 1. DLST(drug-induced lymphocyte stimulation test)は薬剤数により点数が異なるが、1薬剤(345点)/2薬剤(425点)/3薬剤以上(515点)なので、10種類の薬剤で同時に行うのは不適切
  • 2. 円形脱毛症に対するナローバンドUVB療法は現在保険適用となった
  • 3. 脂漏性皮膚炎は皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ)を算定可能な疾患だが、初診時は算定できない(初診料に含まれると解釈される)ため不適切。なお入院中〜退院1ヶ月以内も同様に入院基本料に含まれるので算定できない
  • 4. 創傷処理のデブリードマン加算は汚染された挫創に対して(通常麻酔下で)行われる場合に算定可能なので、壊死性筋膜炎は不適切(外傷などが対象)。なお壊死性筋膜炎に対しては後日の植皮術の予定がある場合、K002 デブリードマンで算定が可能となる※
  • 5. 在宅自己注射管理料は在宅療養指導管理料に含まれる。在宅療養指導管理料は皮膚科特定疾患指導管理料と同一月に算定できないので、両方請求するのは不適切

※K002 デブリードマンの算定条件に下記が含まれる

区分番号「K013」分層植皮術から区分番号「K019」複合組織移植術及び区分番号「K020」自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)区分番号「K021-2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。

引用:K002 デブリードマン

選択肢1について。DLSTが保険点数の分類で3薬剤以上となっているのは事実だが、病院持ち出しであれば(10薬剤検査して3剤以上で保険請求すれば)10薬剤を検査することも不可能ではないわけで、やや微妙な選択肢ではある。ただ選択肢3が明確に正解なので、相対的に間違い選択肢と考えた

関連問題

選択問題28:解答 3, 5

好酸球性膿疱性毛包炎に関する一般問題

掻痒感を伴い、手掌や足底でも生じる→3, 5

好酸球性膿疱性毛包炎 (EPF)

顔面に好発(掌蹠にも見られる)し、無菌性の毛孔一致性膿疱が集簇して紅斑局面をきたす疾患

3つの病型に分類される

病型 特徴
古典型(太藤病) 基礎疾患を伴わず、若年男性に好発*
免疫抑制関連型 HIV感染症/AIDS等や血液悪性腫瘍に合併
小児型 乳幼児の頭皮に好発し自然治癒する

*古典型は以前は男性に多いとされていたが、近年の調査では男女比がほぼ同等とされる

本症では炎症細胞にプロスタグランジン(PG)D2が過剰発現している。COX(シクロオキシゲナーゼ)を阻害することでPGD2の産生を抑制する(これはNSAIDsに共通の作用)

またインドメタシンは好酸球遊走因子産生を抑制する作用も併せ持つため、ダブル効果で有効性が高いと考えられている

なおインドメタシンカプセルは現在販売中止となっており、代替にインドメタシンファルネシル(インフリー®)等が用いられる

  • 1. 従来若年(20代)男性に多いとされてきたが、近年は男女比1:1とされる。いずれにせよ中年女性には好発しない
  • 2. "掻痒感を伴う"毛包一致性丘疹・膿疱が特徴
  • 3. 再燃・寛解を繰り返して慢性に経過する
  • 4. インドメタシン内服が第一選択だが、(例えば妊娠授乳中など禁忌に該当する場合)外用も行われる
  • 5. 古典型は顔面に好発(88%)するが、掌蹠(18%)にも見られることがあり掌蹠膿疱症との鑑別が問題となる

関連問題(好酸球性膿疱性毛包炎)

選択問題29:解答 5

四肢末端で壊死をきたしており、組織では血管周囲の炎症細胞浸潤(好酸球が目立つ)がみられる

アレルギー性鼻炎の既往から好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)を考える。メポリズマブ(ヌーカラ®)が保険適用→5

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EGPA)

ANCA関連血管炎の一つ

気管支喘息やアレルギー性鼻炎が発症の数年前から先行

→その後末梢神経障害や下腿潰瘍などの血管炎症状をきたす

治療はステロイドやIVIgの他、IL-5(好酸球遊走に関与)のモノクローナル抗体製剤メポリズマブ(ヌーカラ®)が保険適用

  • 1. リツキシマブ(リツキサン®):抗CD20抗体で、尋常性/落葉状天疱瘡や全身性強皮症に保険適用
  • 2. ベリムマブ(ベンリスタ®):抗BLyS(Bリンパ球刺激因子)抗体で、SLEに保険適用
  • 3. アニフロルマブ(サフネロー®):抗Ⅰ型インターフェロン受容体抗体で、SLEに保険適用
  • 4. オマリズマブ(ゾレア®):抗IgE抗体で、特発性慢性蕁麻疹のほか気管支喘息や季節性アレルギー鼻炎にも保険適用
  • 5. メポリズマブ(ヌーカラ®):抗IL-5抗体で、EGPAの他気管支喘息にも保険適用
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p101(1・2・4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p222(5)/122(1・4)/420(2・3)

関連問題

  • 2018 選択11 (IL-5が作用する細胞:好酸球)
  • 2016 選択31 / 2010 選択27 (EGPAはMPO-ANCA陽性)
  • 2013 記述7 / 2011 選択37 (臨床問題・症状)
  • 2010 選択62 (末梢神経障害にIVIgが保険適用)

選択問題30:解答 5

ドボネックス®は1g中にカルシポトリオール50μgを含む(50μg/g)→5

なお配合剤であるドボベット®は同量のカルシポトリオールと、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロン-DP®)を含む

両者とも保険適用は尋常性乾癬のみで、高Ca血症の副作用から外用量上限が90g/週と定められている

ビタミンD3含有軟膏と含有量

商品名 一般名(ビタミンD3部分のみ) 含有量
ドボネックス® カルシポトリオール 50μg/g
ドボベット® カルシポトリオール 50μg/g
オキサロール® マキサカルシトール 25μg/g
マーデュオックス® マキサカルシトール 25μg/g
ボンアルファ® タカシトール 2μg/g
ボンアルファハイ® タカシトール 20μg/g

ビタミンD3外用薬については下記も参照

220417-Vitd-topical
ビタミンD外用製剤と保険適用疾患 各種製剤の比較

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関連問題

選択問題31〜60については下記

2022-Specialist-2
令和4(2022)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

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