皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和6(2024)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

2025年2月20日

2024-Specialist-2

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和6(2024)年度解答解説を作成しました

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選択問題1〜30は下記

2024-Specialist-1
令和6(2024)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

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見出し


令和6年度(2024年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 31〜60

選択問題31:解答 4?

ダーモスコピーに関する出題

*ADM = acquired dermal melanocytosis = 後天性真皮メラノサイトーシス ≒ Hori's nevus

選択肢2は周囲でわずかにglobulesが見られるが、通常"衛星病変"とは呼ばないので少し違和感がある。選択肢4について、fibrillar patternをparallel furrow patternの亜型として扱っている本(「あたらしい皮膚科学」「ダーモスコピー超簡単ガイド」)と別のものとして扱っている本(下記など)があり正解かどうか悩ましい。相対的に選択肢4のほうが不適切でこちらを正解と考えた

241219-fibrillar pattern

参考サイトより引用

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関連問題

選択問題32:解答 1, 4

間擦部および腋窩に角化性丘疹が、組織では基底層直上での裂隙や棘融解が見られ家族歴もあることからDarier病を考える

常染色体優性遺伝疾患だが、出生時には症状を認めないのが特徴→1, 4

Darier病

遺伝性角化症の一つで、遺伝性だが思春期以降に発症する

  • 原因:カルシウムポンプをコードするATP2A2遺伝子変異により発症
    ※同じくカルシウムポンプをコードするATP2C1遺伝子変異はHailey-Hailey病を発症する
  • 症状:間擦部を中心に角化性丘疹をきたし、融合して局面を形成する
  • 組織:異常角化や棘融解、絨毛形成がみられる
  • 1. haploinsufficiency*をきたすため、(遺伝性疾患だが)通常幼児期には症状がみられない→◯
  • 2. 皮疹は"夏季"に増悪しやすく、湿潤や二次感染による悪臭を伴うことがある
  • 3. ニコルスキー現象は健常にみえる皮膚をこすると表皮が剥離する現象で、天疱瘡やぶどう球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)、中毒性表皮壊死症(TEN)で陽性となる
  • 4. 常染色体優性(顕性)遺伝疾患→◯
  • 5. Darier病では"小胞体"のカルシウムポンプ機能異常がある。鑑別疾患であるHailey-Hailey病はゴルジ体膜上のカルシウムポンプをコードするATP2C1遺伝子の異常が原因となる

*遺伝子変異をヘテロ接合体で保有する場合蛋白の産生量が低下する。幼少期には低下した産生量でも生体の需要を満たすため発症しないが、加齢とともに蛋白量が不足するため疾患を発症する
(haplo:半分, insufficiency:不十分)

関連問題(Darier病)

医師国家試験では116A39(2022年)で初出題。こちらも典型例なので参考に

選択問題33:解答 1, 3

DPP-4阻害薬関連水疱性類天疱瘡に関する問題

炎症が軽度であり、特定の薬剤での報告が多い→1, 3

DPP-4阻害剤関連類天疱瘡

経口血糖降下薬であるDPP-4阻害薬(とくにビルダグリプチン:エクア®)内服で誘発される類天疱瘡

  • 炎症が軽度で、緊満性水疱や浮腫性紅斑が少ない
  • BP180のNC16a領域(通常の水疱性類天疱瘡で反応する部位)以外に反応する自己抗体が生じる
    検査上、抗体価が低値となる
  • 1. 紅斑や好酸球浸潤に乏しい非炎症型の臨床像が特徴
  • 2. 通常保険診療で測定される抗BP180NC16a抗体は陰性〜低値となりやすい。BP180分子の全長を対象としたELISA法が研究目的として北海道大学等で行われており、こちらは陽性となる
  • 3. DPP-4阻害薬で広く報告されているが、とくにビルダグリプチン(エクア®)での報告が多い
  • 4. DPP-4阻害薬関連類天疱瘡を疑った場合、薬剤を中止する弊害がなければ中止する。他の薬剤は継続で問題ない
  • 5. DPP-4阻害薬関連類天疱瘡は薬剤中止のみで軽快する可能性がある。またステロイド治療により基礎疾患の糖尿病悪化も懸念されるため、ただちにステロイド内服を開始する必要はない

関連問題(DPP-4iBP)

選択問題34:解答 5

保険診療に関する出題

  • 1. 血管腫に対しては「皮膚、皮下、粘膜下血管腫摘出術(露出部K003/露出部以外K004)」が算定可能だが、老人性血管腫や血管拡張性肉芽腫、静脈湖などの切除術では適応できずこの場合は「皮膚、皮下腫瘍摘出術」で算定する。前者は単純縫合や電気焼灼では止血不可能な縫合や吻合などの血管操作を必要とする血管腫が対象
  • 2. 酒さや赤ら顔に対する美容目的の色素レーザー治療は自費となる。血管腫の色素レーザー照射の保険適用は単純性血管腫・苺状血管腫となっている
  • 3. 足底の尋常性疣贅に対して、効果を高めるために剃刀で削ってから冷凍凝固を行う場合でも、鶏眼処置との同時算定はできない(同一部位に2つ以上の処置は算定できない)
  • 4. 稗粒腫摘除はJ057-4稗粒腫摘除(10箇所未満or以上)で算定する。皮膚切開術K001は局所麻酔を行って膿瘍やせつ、蜂窩織炎を切開した場合が対象となる(切開を加えた長さではなく、膿瘍・せつ又は蜂窩織炎等の大きさを指す)
  • 5. 足底は露出部に含まれ、4mmの腫瘍摘出術は「皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部、長径2cm未満)」で算定可能※→◯

もともと足底は露出部から除かれていたが、2012年の診療報酬改定で足底・踵が含まれるようになった(←要会員登録)。このため現在は露出部=半袖半ズボンではみ出る部位と覚えておくと良い

稗粒腫切開に関してはとくに記載は見つけられなかったが、通常局所麻酔を用いないので皮膚切開術での算定は査定対象と思われる

関連問題(保険診療)

選択問題35:解答 1, 2

重症円形脱毛症に対して、JAK阻害薬であるバリシチニブ(オルミエント®)とリトレシチニブ(リットフーロ®)が保険適用となっている→1, 2

バリシチニブはアトピー性皮膚炎に対しても用いられる

円形脱毛症とJAK阻害薬

IFN-γやIL-15などのサイトカインが自己増殖的に亢進することが円形脱毛症の症状を遷延させる原因であり、その下流に存在するJAK-STAT経路を阻害することが治療として有効

このため慢性期の重症円形脱毛症*に対して、近年下記2種類のJAK阻害薬が保険適用となっている

一般名商品名ターゲット保険適用年
バリシチニブオルミエント®JAK1/JAK22022
リトレシチニブリットフーロ®JAK3/TECファミリー2023

*頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ(=SALTスコア≧50)、過去6ヶ月程度毛髪に自然再生が認められない

参考:円形脱毛症診療ガイドライン2024 日皮会誌:134(10), 2491-2526, 2024のp2511

関連問題(円形脱毛症)

選択問題36:解答 1, 5

HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症に関する出題

  • 1. 外陰部や肛囲に生じるが、粘膜部に病変をきたすこともある。また肛門癌や膣がんの8〜9割程度からHPVが検出される
  • 2. 外陰部に生じるBuschke-Löwenstein腫瘍は疣状癌に含まれる
  • 3. ボーエン様丘疹症ではHPV-16が検出される。臨床的には尖圭コンジローマに類似し、組織学的にBowen病類似の異常角化細胞がみられる
  • 4. 尖圭コンジローマで検出されるHPV-6/11は発癌低リスクとされる。子宮頚癌で検出されるHPV-16/18などがハイリスクで、子宮頚癌ワクチンは2価/4価/9価とあるがこの2つはいずれにも含まれる
  • 5. 尖圭コンジローマに対するイミキモド(ベセルナ®)の使用は週3回で”16週間”まで。日光角化症でも、4週外用→4週休薬を2回までで16週となる

関連問題

HPV型と関連疾患およびイミキモドについては頻出のため下記にまとめた

HPV(ヒトパピローマウイルス) 型と関連疾患 まとめ

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230211-imiquimod-beselna
イミキモド(ベセルナ®)クリーム まとめ

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選択問題37:解答 1

手背で外傷後に持続するびらんで、抗生剤治療でも奏効していない。リンパ節に沿った飛び石状病変やスライドカルチャーでの花弁状胞子を伴う菌糸からスポロトリコーシスの診断

原因菌はSporothrix globosa (旧名S. schenckii)→1

  • 1. Sporothrix globosa:土壌からの感染や飛び石状病変が特徴で、菌糸および酵母の両形態をとる二相性真菌の一つ
  • 2. Fonsecaea pedrosoi (monophora):クロモミコーシス※(黒色分芽菌症)の原因として最多の菌。組織で巨細胞と隔壁を有する大型胞子、sclerotic cellが見られるのが特徴
  • 3. Aspergillus fumigatus:長期臥床・ギプス固定などの部位から侵入(原発性)するか、肺病変から播種をきたす(続発性)。Y字状に分岐する菌糸が特徴
  • 4. Trichophyton tonsurans:頭部白癬の原因真菌の一つで、柔道など接触スポーツの選手で集団発生しやすい
  • 5. Cryptococcus neoformans:外傷部位に生じる原発性と、吸入による肺病変→血行性播種で全身皮膚に生じる続発性がある。厚い莢膜を有し、墨汁染色(黒)ムチカルミン染色(赤)で検出できることが特徴

※黒色分芽菌症は"クロモブラストミコーシス"と呼ばれることもある

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p541(1)/542(2)/544(3・5)/536(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p912(1)/916(2)/920(3)/900(4)/918(5)

関連問題(皮膚真菌症)

選択問題38:解答 2, 5

副腎皮質ステロイド薬について

  • 1. リファンピシンはステロイド代謝酵素のCYP3A4を誘導し、ステロイド作用が減弱する(併用注意)
  • 2. アナフィラキシー治療の第一選択はアドレナリン筋注(エピペン®)。ステロイド点滴投与は二相性反応の抑制に有効とされ、第二選択薬
  • 3. ベタメタゾン(リンデロン®)はプレドニゾロンより半減期が長い
  • 4. 眼瞼周囲へのステロイド外用薬の使用は眼圧上昇や緑内障のリスクを高める
  • 5. NSAIDs不耐症の患者にコハク酸エステル製剤の投与は禁忌。リン酸エステル製剤は比較的安全

NSAIDs不耐症・過敏症でのステロイド製剤

NSAIDs不耐症では、点滴ステロイドに含まれるコハク酸エステルに対して過敏症を示し喘息発作が生じる

リン酸エステルステロイドでは比較的安全とされるため、こちらを選択する(ただしこちらも急速静注では危険があるため1-2時間かけて点滴)

NSAIDs不耐症コハク酸エステル
(投与禁忌)
リン酸エステル
(ゆっくり点滴)
ヒドロコルチゾンサクシゾン®水溶性ハイドロコートン®
ソル・コーテフ®
プレドニゾロン水溶性プレドニン®コーデルゾール®
メチルプレドニゾロンソル・メドロール®-
デキサメタゾン-デカドロン®
ベタメタゾン-リンデロン®

なおリン酸エステルやコハク酸エステルは点滴製剤のみに含まれるため、ステロイド内服は問題ない

※サ行("サ"クシゾン, "水"溶性プレドニン, "ソ"ル・メドロール, "ソ"ル・コーテフ)がNG、と考えるとわかりやすいかも(?)

関連問題

選択問題39:解答 3, 4

慢性蕁麻疹に保険適用の生物学的製剤は、オマリズマブ(ゾレア®)とデュピルマブ(デュピクセント®)→3, 4

  • 1. トシリズマブ(アクテムラ®):抗IL-6R抗体製剤で、関節リウマチや巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)等に対して保険適用となっている
  • 2. メポリズマブ(ヌーカラ®):抗IL-5抗体製剤で、好酸球の遊走を抑制することから喘息やEGPA*等に対して保険適用となっている
  • 3. オマリズマブ(ゾレア®):抗IgE抗体製剤で、特発性慢性蕁麻疹やアレルギー性鼻炎に対して保険適用となっている。4週間ごとに300mgを皮下注射する
  • 4. デュピルマブ(デュピクセント®):IL-4/13をターゲットとし、もともとアトピー性皮膚炎に対して保険適用だったが2024/2慢性蕁麻疹も対象となった。アトピー性皮膚炎は6ヶ月〜、蕁麻疹は12歳〜使用可能
  • 5. ベンラリズマブ(ファセンラ®):抗IL-5R抗体製剤で、EGPAに対する2剤目の生物学的製剤として保険適用となった(2024/12)

*EGPA = 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

関連問題(生物学的製剤)

選択問題40:解答 1

Birt-Hogg-Dubé症候群患者の鼻に見られる結節病変で、増生した膠原線維を脂腺が取り囲む像がみられ、毛盤腫の診断→1

BHD症候群はBHD遺伝子変異が原因となり、肺嚢胞→自然気胸や腎細胞癌、顔面の線維毛包腫や毛盤腫に加えて頚部や腋窩のアクロコルドンを合併する

毛包系腫瘍は一部の常染色体優性遺伝性疾患で多発することが知られる

疾患原因遺伝子多発する腫瘍
Brooke-Spiegler症候群CYLD毛包上皮腫
円柱腫
Cowden症候群PTEN外毛根鞘種
Gorlin症候群(基底細胞母斑症候群)PTCH1など
基底細胞癌
表皮嚢腫(粉瘤)
Birt-Hogg-Dubé症候群BHD


線維毛包腫※
毛盤腫※
アクロコルドン

線維毛包腫と毛盤腫は標本の切り方により所見が異なる相同疾患

  • 1. 毛盤腫(trichodiscoma):顔面にみられる1〜5mm程度の小丘疹。膠原線維が増生し(図14c)、周りを脂腺がミット状に取り囲む像(図14a)が特徴とされる
  • 2. 毛芽腫(trichoblastoma):顔面や頭部で半球状に隆起した結節としてみられる。組織学的に基底細胞癌に類似した胞巣状増殖をきたすが、fibroepithelial unit*を有する点が特徴
  • 3. 毛包腺腫(trichoadenoma):顔面や臀部に単発する腫瘤。角質嚢腫※や間質の増殖がみられる
  • 4. 毛包腫(trichofolliculoma):鼻部に好発する正常皮膚色の小結節で、中央が陥凹し有毛性なことが多い
  • 5. 毛包上皮腫(trichoepithelioma):Brooke-Spiegler症候群で多発する。毛球への分化(≒毛芽腫に類似)に加えて、毛包漏斗部への分化を伴うため角質嚢腫※が見られるのが特徴

※角質嚢腫:脂漏性角化症でみられる偽角化嚢腫に類似

*fibroepithelial unit:腫瘍胞巣周囲に膠原線維が密着し、その外側に裂隙がみられる(基底細胞癌では膠原線維がなく、腫瘍細胞と裂隙が直接接する)

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関連問題

毛包系腫瘍や脂腺系腫瘍は名前が似ている上に種類も多く、全ての組織像を把握しておくことは現実的ではない。本問も基礎疾患から推察するのが妥当と思われる

選択問題41:解答 4, 5

梅毒に関する出題

  • 1. 早期梅毒では組織学的に”形質細胞”の浸潤が特徴神経線維腫では腫瘍細胞間の肥満細胞浸潤が特徴
  • 2. Jarisch-Herxheimer反応は死滅したTreponema pallidum菌体に対するサイトカインを介した反応で、抗生剤投与後数時間以内に生じ数日以内に自然軽快する。I型アレルギーは即時型反応であり、基本的に抗原投与後5〜15分で反応が生じる
  • 3. ステルイズ®(ベンザルペニシリンベンザチン)は筋注タイプの抗生剤で、感染から1年未満の早期梅毒では1回, 1年以上の後期梅毒では週1回ごと3回を注射する※
  • 4. 梅毒治療の第一選択はペニシリン系抗菌薬で、第二選択はミノサイクリン。ただしミノサイクリンは胎児の骨発育不全をきたすことがあり、妊婦ではスピラマイシンでの治療が第二選択となる→◯
  • 5. 悪性梅毒は牡蠣殻様痂皮を伴う結節や深掘れ潰瘍をきたし発熱やるいそうなどの全身症状も伴う第2期(早期)梅毒で、HIV感染など免疫不全者で見られる病型→◯

※ステルイズの注射回数は感染からの期間で区別する。症候型(第1期梅毒や第2期梅毒、潜伏梅毒など)で区別するわけではないので注意

関連問題(梅毒)

梅毒は検査に関しても頻出なので下記にまとめた

220502-STS-TPHA
梅毒 血清学的検査法の比較 STS法 TPHA法(TPLA法)

続きを見る

選択問題42:解答 3

手掌側の手指に見られる鉄棒豆様の紅斑(逆ゴットロン徴候)と耳介対輪部の紅斑から抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎を疑う

急速進行性間質性肺炎をきたしやすく、労作時呼吸困難も伴っていることから胸部CT検査が優先される→3

皮膚筋炎の自己抗体と臨床症状については頻出のため、下記にまとめた

Dermatomyositis-antibody
皮膚筋炎 自己抗体と臨床症状 まとめ

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  • 1. 筋電図:筋力低下をきたす疾患で、筋原性変化であるか神経原性変化(ex. ニューロパチーやALS)であるかの鑑別に利用される。皮膚筋炎の診断基準にも含まれるが、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎は筋症状のないADM*の形を取ることが多く、意義が乏しい。
  • 2. 心電図:膠原病(強皮症や混合性結合組織病)に伴う肺高血圧症の診断補助に用いられる
  • 3. 胸部CT:臨床症状もあり、早急な画像評価が必要
  • 4. 皮膚生検:皮膚筋炎では表皮基底層の液状変性やリンパ球浸潤などがみられ、SLEと類似する。診断補助として有用だが緊急性は高くない
  • 5. 徒手筋力テスト(MMT):皮膚筋炎一般では筋炎/筋力低下の指標として重要だが、ADMでの意義は乏しい

*ADM = amyopatic DM(dermatomyositis 皮膚筋炎), ALS = 筋萎縮性側索硬化症

関連問題

皮膚筋炎の自己抗体と症状を問う出題は他にも複数あり(とくにTIF1-γやARS)、詳細は上記カード内の記事を参照

選択問題43:解答 5

出生時から乏毛があり、家族歴も見られることから遺伝性乏毛症を考える。西洋梨状の鼻が見られることから、Tricho-rhino-phalangeal syndrome(TRPS)が想定される。

TRPSでは短指症を合併する→5

Tricho-rhino-phalangeal syndrome (TRPS)

TRPS1遺伝子が原因となる常染色体優性(顕性)遺伝疾患

症候性(全身症状を伴う)乏毛症に分類され、下記のような症状が特徴

  • 先天性乏毛症(側頭部が主体)
  • 特徴的顔貌(西洋梨状の鼻、アーチ状の太い眉毛、上口唇の菲薄化)
  • 短指症
  • 低身長
  • 1. 難聴:魚鱗癬症候群の一つKID症候群ではkeratitis(角膜炎), ichthyosis(魚鱗癬), deafnessの3症状をきたし掌蹠角化を伴う。GJB2遺伝子変異が原因のAD
  • 2. 無汗症:無汗性/低汗性外胚葉形成不全は乏毛症・乏歯症・無汗症を3主徴とする疾患。EDA1遺伝子変異(XR)ないしEDAR遺伝子変異(ARないしAD)が原因として多い
  • 3. 掌蹠角化症:Clouston症候群(有汗性外胚葉形成不全性)はGJB6遺伝子変異が原因のADで、乏毛症と爪甲肥厚・掌蹠角化症が見られる
  • 4. 鼻涙管閉塞:TP63遺伝子変異による外胚葉形成不全症では、乏毛症に加えて口唇口蓋裂や鼻涙管閉塞がみられる
  • 5. 指趾の骨の形成異常:TRPSでは短指症(骨短縮)やcone-shaped spiphysisと呼ばれる骨端変化が見られる

※AD = 常染色体優性遺伝疾患, AR = 常染色体劣性遺伝疾患, XR = X連鎖劣性遺伝疾患

無汗性外胚葉形成不全では耳介低位や鞍鼻が、TRPSでは西洋梨状の鼻が特徴とされる。個人的には写真だけで判断できる気が全くしないが、毛髪写真も側頭部が映されていることからTRPSと考えるのが妥当と思われる

関連問題

選択問題44:解答 1, 3

乳房外Paget病に関する出題

陰嚢や大陰唇に好発し、リンパ節転移数が予後規定因子として重要→1, 3

  • 1. 外陰部に多く、男性では陰嚢・女性では大陰唇が好発部位
  • 2. 乳房外パジェット病は毛包や汗管内に進展していることがあり、深部まで照射されていないと再発を起こすことがある→少ないとは言えない
  • 3. リンパ節転移数が予後規定因子となり、予後は転移が1個以下であれば転移(-)と同じだが2個以上あると極端に悪くなる
  • 4. 旧分類(1993)では両側鼠径リンパ節転移は遠隔転移と同等のStageⅣだった。現在の分類(2016)ではリンパ節転移は全例StageⅢで、1個ならⅢA、2個以上ならⅢBとなる
  • 5. 境界明瞭な病変であれば切除範囲は1cmで良いとされる。境界不明瞭な場合、腫瘍範囲確定のためにマッピング生検(臨床的な境界から1cm程度外側を生検)が有用

選択問題45:解答 2

高齢男性の四肢にみられる環状紅斑

皮膚生検を実施する際は健常部と病変部を含むように辺縁から実施することで対比しやすくなる→2

  • 1. 病変部は含まれるが、ちょうど割が入ってしまうので観察に向かない
  • 3・5. 紅斑部分が十分に含まれていない
  • 4. トレパンよりメス生検の方が検体量が多く、"確実に診断するための皮膚生検の方法"としては妥当(侵襲は低くなるが)。割も入ってしまう
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p39
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p45

選択問題46:解答 1

ぶどう球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)では、菌の産生する表皮剥離毒素(ET)によってデスモグレイン(Dsg)1が障害される

同じ分子を標的として自己抗体が生じる疾患に落葉状天疱瘡がある→1

水疱性膿痂疹(とびひ)も同じ病態

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p522・247(1・3)/256(2)/260(4)/264(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p840・314(1・3)/318(2)/323(4)/322(5)

関連問題

選択問題47:解答 5

ダーモスコピーで中心に白色部が、辺縁に色素ネットワークがみられ皮膚線維腫の像

通常単発だが、SLEなどの膠原病では多発する場合がある→5

皮膚線維腫のダーモスコピー所見

中心部に線維化を反映した白色調の部分がみられ(central white patch)、表皮肥厚に相当

非メラノサイト系病変だが、腫瘍辺縁で細かい色素ネットワークが見られるのが特徴で、これは組織学的には基底層のメラニン沈着に相当する

2018-Dermatofibroma-Dermscopy

参考サイトより引用, 中心は白色で辺縁に褐色の色素ネットワークが存在する

関連問題

選択問題48:解答 4

チャドクガ皮膚炎に関する出題

幼虫の脱皮殻に触れても発症する→4

  • 1. 時期としては幼虫が孵化する"夏季〜秋季"(4〜6月や7〜9月)に多い
  • 2. 症状としてはチクチクした疼痛やそう痒感が見られる
  • 3. 幼虫によることが多いが、成虫も毒針毛をもつため原因となる
  • 4. 幼虫の脱皮殻や卵にも毒針毛があるため原因となる
  • 5. 接触後すぐはチクチクした痛みがあるが自然消退し、接触数時間後にそう痒を伴う皮疹が出現する(庭仕事をした日の夜か翌日)

選択問題49:解答 2, 4

サルコイドーシスに関する出題

  • 1. 血清ACE活性やリゾチーム高値は診断基準に含まれる
  • 2. 皮膚病変のうち、"結節性紅斑"は欧米では多いが日本では数%と少ない。瘢痕浸潤型は膝蓋部に好発し、日本では最も多い※
  • 3. 臓器別頻度としては両側肺門縦隔リンパ節腫脹(BHL)・眼病変・眼病変・皮膚病変の頻度が高い
  • 4. 病理学的には乾酪壊死を"伴わない"類上皮細胞肉芽腫(Langhans型巨細胞)が特徴。asteroid bodyが見られることもある。「乾酪壊死を伴う肉芽腫」は結核のキーワード
  • 5. 皮膚病変のみであれば原則はステロイド外用治療だが、顔面など整容的に問題がある場合はステロイド内服も考慮される(高Ca血症や心サルコイドーシスは内服の適応)

※日本ではサルコイドーシスの皮疹は「特異的病変(皮膚サルコイド), 瘢痕浸潤, 非特異的病変」の3つに分けられる。一方海外では特異疹と非特異疹に分けられ、瘢痕浸潤型は特異疹に含まれ稀だと考えられている。日本でも瘢痕浸潤を別扱いすべきではないという意見もある

 

関連問題(サルコイドーシス)

選択問題50:解答 1, 4

砂かぶれ様皮膚炎に関する出題

小児掌蹠丘疹性紅斑性皮膚炎 (砂かぶれ様皮膚炎)

1〜2歳前後の幼児の手掌/足底に紅斑や丘疹が生じ、2〜3週間の経過で自然治癒する疾患

ステロイド外用薬は無効

原因としてはウイルス感染症や寒冷刺激が考えられているが、詳細はわかっていない

  • 1. そう痒感を伴うことが一般的
  • 2. 幼児に好発するがとくに家族内発症するわけではない
  • 3. 名前の類似する"砂かぶれ皮膚炎"は4〜5歳の幼少期にみられ、アトピー性皮膚炎の部分症状ないし砂や土に含まれる微量なニッケルによるアレルギー性皮膚炎と考えられている。砂かぶれ様皮膚炎は砂に触れていなくても発症する点や年齢が異なる
  • 4. 1〜2歳までの小児に好発する
  • 5. ステロイド外用薬は無効

砂かぶれ様皮膚炎について、教科書的には記載が少ない。どちらかというとジェネラリスト向けの本ではあるが下記には記載されている

診療所で診る皮膚疾患 第3版

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選択問題51:解答 1

ケラチンの種類と関連する遺伝性疾患に関する出題

ケラチン1は表皮融解性魚鱗癬の原因となる→1

詳細は下記にまとめた

ケラチン 発現部位と先天性皮膚疾患 まとめ

続きを見る

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8/271(4)/243(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p11/347(4)/330(5)

関連問題

ケラチンの発現部位やその異常による疾患は頻出。詳細は上記カード内の記事を参照

選択問題52:解答 2

原発性局所多汗症の診断基準について

睡眠中は発汗が"止まっている"ことが特徴→2

局所多汗症の診断基準

局所的な過剰発汗が6ヶ月以上持続し、下記6症状のうち2項目以上あてはまる場合

(明らかな原因がないことも必要)

  1. 最初に症状がでるのが25歳以下であること
  2. 対称性に発汗がみられること
  3. 睡眠中は発汗が止まっていること
  4. 1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
  5. 家族歴がみられること
  6. それらによって日常生活に支障をきたすこと

関連問題(原発性局所多汗症)

選択問題53:解答 4

中高年男性で、顔面や体幹・四肢で青色〜黒灰色斑や血管腫(病理)がみられ、色素血管母斑症の診断

四肢の肥厚や可動域制限など皮膚外病変もみられ、Ⅱb型に分類される→4

  • 1. Maffucci症候群:先天性中胚葉形成不全により、皮膚や内臓の海綿状血管腫(静脈奇形)と内軟骨腫をきたす疾患
  • 2. Osler-Weber-Rendu病:全身の動静脈吻合部で血管拡張を生じる常染色体優性遺伝疾患で、繰り返す鼻出血肺動静脈瘻をきたす。舌や手指での毛細血管拡張症が特徴
  • 3. 青色ゴムまり様母斑症候群(blue rubber bleb nevus syndrome):皮膚や消化管で海綿状血管腫をきたす常染色体優性遺伝疾患
  • 4. 色素血管母斑症(phakomatosis pigmentovascularis):毛細血管奇形(単純性血管腫)と表皮系/メラノサイト系母斑が合併する疾患で、合併する母斑によりⅠ〜Ⅳ型、また皮膚外病変の有無でa/b型に分類される。青色母斑を合併するⅡb型が最も多い
  • 5. 先天性血管拡張性大理石様皮斑(cutis marmorata telangiectatica congenita):出生後早期からのリベド(網状皮斑)をきたし、中枢神経や心で奇形を合併する場合がある。皮疹は2年以内にほとんど自然消退する
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p403(4)/405(1・5)/404(2・3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p580(4)/582(1)/581(2・3)

関連問題

選択問題54:解答 3, 4

抗がん剤血管外漏出に関する出題

組織障害性が強い薬剤にビノレルビンやドキソルビシンがある→3, 4

抗がん剤 血管外漏出

抗がん剤によって漏出時の症状が異なり、3つに分類される

原因薬剤
壊死性
(vesicant)
イダルビシン
パクリタキセル
ビンクリスチン
ドセタキセル
ドキソルビシン

ビノレルビン
炎症性
(irritant)
シクロフォスファミド
シスプラチン
エトポシド
フルオロウラシル(5-FU)
弱炎症性
(non-vesicant)
メトトレキサート
ブレオマイシン
  • 1・2・5. 5-FU・シスプラチン・シクロホスファミド(エンドキサン®):炎症性抗がん剤
  • 3. ビノレルビン:壊死性抗がん剤
  • 4. ドキソルビシン(アドリアシン®):壊死性抗がん剤であり、アントラサイクリン系のため早期であればサビーン®の適応がある

関連問題

選択問題55:解答 5

30代女性の眼瞼周囲に小丘疹があり、組織学的には乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫がみられることからLMDFの診断→5

顔面播種状粟粒性狼瘡 (LMDF:lupus miliaris disseminatus faciei)

20〜40歳代で顔面とくに下眼瞼や頬部に常色〜紅色丘疹が多発する

毛包脂腺成分への肉芽腫性反応と考えられており、組織での乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が特徴

好発年齢や部位から尋常性ざ瘡との鑑別が問題となる。治療はミノサイクリン内服など

  • 1. 稗粒腫(milium):眼瞼部に好発する白色の小丘疹で、組織では嚢胞が見られる
  • 2. 汗管腫(syringoma):眼瞼部に好発し、組織学的には管腔の一旦に上皮索が付着したオタマジャクシ様構造が特徴。壁細胞の胞体が明るいclear cell syringomaは糖尿病に合併することがある
  • 3. サルコイドーシス:組織学的に乾酪壊死を"伴わない"類上皮細胞肉芽腫(Langhans型巨細胞)が特徴で、診断基準にも含まれる
  • 4. エクリン汗嚢腫(eccrine hidrocystoma):顔面にみられる常色〜青色調の結節病変で、組織では嚢胞性病変がみられる。夏季に増悪することも特徴
  • 5. LMDF:眼瞼周囲に紅色丘疹をきたし、組織学的には乾酪壊死を伴う肉芽腫性病変が特徴
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p367(5)/417(1)/412(2・4)/344(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p518(5)/602(1)/615(2・4)/509(3)

関連問題

  • 2009 選択41 (類上皮細胞性肉芽腫がみられる疾患)
  • 2012 選択59 (汗管腫の組織)

選択問題56:解答 4

魚鱗癬および魚鱗癬症候群について

"表皮融解性魚鱗癬"の皮膚では病理学的に顆粒変性が見られる→4

※復帰変異モザイクは先天性皮膚疾患ですべての体細胞が変異をきたしている場合に生じ、この現象が生じた部分は疾患症状をきたさなくなる。ichthyosis with confettiは表皮融解性魚鱗癬の亜型で、加齢に伴い健常皮膚部分が増加することで白い紙吹雪(confetti)様に見えるためこのように呼ばれる

関連問題

選択問題57:解答 1

水疱性類天疱瘡の重症度評価に用いるBPDAIに関する出題

類天疱瘡重症度スコア BPDAI (bullous pemphigoid disease area index)

皮膚12箇所のびらん/水疱(①)および膨疹/紅斑(②)と、粘膜12箇所のびらん/水疱(③)に分ける

重症度に応じて1箇所あたり10点満点でスコアを付ける

①〜③いずれも120点満点となるが、それぞれ判定を行い最も高い重症度を採用する

軽症中等症重症
①皮膚のびらん/水疱≦14点15〜34点35点≦
②皮膚の膨疹/紅斑≦19点20〜34点35点≦
③ 粘膜のびらん/水疱≦9点10〜24点25点≦
  • 1. 合計点は①〜③のいずれも最大120点
  • 2. 症状がない場合は0点、最も重症な場合は10点となる
  • 3. 各部位での点数は0/1/2/3/5/10点に分けられ連続数ではない
  • 4. 頭部・頚部も含めて皮疹の重症度に応じて0〜10点の点数をつける
  • 5. ①〜③のなかで最も高い重症度を採用するのであって、3つを合計するわけではない。PDAI*では皮膚病変と粘膜病変、頭皮病変を合計してスコアリングする

*PDAI = 天疱瘡重症度判定基準 (Pemphigus Disease Area Index)

関連問題

選択問題58:解答 2

神経線維腫症1型(NF1)との鑑別が問題となる疾患のうち、café au lait斑を伴わないのはProteus症候群→2

  • 1. Noonan症候群※:LEOPARD症候群類似の症状をきたすが、多発性黒子や難聴が目立たない疾患。カフェオレ斑が見られる場合もある
  • 2. Proteus症候群:巨大な指趾や片側肥大症を特徴とする疾患で、細胞増殖やアポトーシスに関連するAKT1遺伝子異常が報告されている
  • 3. Costello症候群※:特異な顔貌や心疾患、精神発達遅滞を合併する。30%程度に色素斑がみられる
  • 4. LEOPARD症候群※:L(多発性黒子)やE(心電図異常)など各症状を呈し、カフェオレ斑も約半数にみられる。PTPN11遺伝子等の変異が原因
  • 5. Cardio-Facio-Cutaneous症候群※:BRAF遺伝子変異等によって生じ、先天性心疾患(cardio)や特徴的な顔貌(facio)、皮膚症状(cutaneous)がみられる。カフェオレ斑は30%程度

※これらの疾患やNF1はRAS/MAPK経路の異常をきたす疾患であり、症状がオーバーラップする。まとめてRASopathyと総称される

文献によってカフェオレ斑の有無は微妙に異なり、Proteus症候群について「皮膚科学」ではカフェオレ斑(+)、上記セミナリウムではカフェオレ斑(-)となっている。一方Noonan症候群について「あたらしい皮膚科学」では"全身の多発性黒子やカフェオレ斑が目立つものをLEOPARD症候群とよび、Noonan症候群の亜型と考えられている"(→Noonan症候群ではカフェオレ斑が目立たないと解釈できる)と、上記セミナリウムでは"時にカフェ・オ・レ斑を認める"となっている。本問はどれを参考にするかで解答が変わってしまう微妙な問題だが、選択肢の中で一つだけRASopathyでないのがProteus症候群で、設問趣旨的にこれを解答として選ぶのが妥当と考えた

関連問題

選択問題59:解答 1, 2

乾癬の光線療法に関する出題

  • 1. 外用PUVA療法は概ね400回(1,000J/cm2)までに留める。これ以上となると10%程度にボーエン病や日光角化症が見られている→◯
  • 2. メトトレキサート(MTX)など免疫抑制薬内服中のnUVB療法は相対禁忌。内服PUVAは絶対禁忌となる→◯
  • 3. PUVAバスはオクソラレンローションの濃度が低く、発がん性は同等もしくは低いことが推測されている
  • 4. 紫外線療法ではFoxP3陽性制御性T細胞が増加し、末梢血中Th17が減少することが報告されている。乾癬ではTregの減少・Th17の上昇が生じているので紫外線療法が乾癬に有効ということになる
  • 5. 生物学的製剤と光線療法を併用する場合は発癌への懸念もあり、(全身のnUVBではなく)ターゲット型光線療法に留める

選択問題60:解答 1

生後4ヶ月頃から間擦部を中心とした皮疹が見られている

低亜鉛血症であるが本人の亜鉛トランスポーターZIN4遺伝子には変異がないこと、母乳栄養で兄も同時期に皮疹があったものの成長に伴い改善していることから一過性乳児亜鉛欠乏症を考える

離乳食開始で皮疹改善が期待されるため、早めた方がよい→1

一過性乳児亜鉛欠乏症 (2次性腸性肢端皮膚炎)

母親の乳腺に発現する亜鉛トランスポーターZnT2(SLC30A2)遺伝子変異が原因

"母乳中の"亜鉛が不足するため、亜鉛欠乏症の症状(開口部皮膚炎や下痢・脱毛)を生じる

  • 乳児自体に問題はないため、離乳すると症状は軽快
  • 母体の亜鉛は低値でなく、あくまでも母乳中の亜鉛分泌が低下することが本態

母体に亜鉛を投与しても母乳中に分泌できず意味がない

SLC39A4 (ZIP4)遺伝子は先天性腸性肢端皮膚炎の原因遺伝子で、腸管からの亜鉛吸収が行えなくなる。この場合当然だが離乳食だろうと症状は改善しない

  • 1. 一過性乳児亜鉛欠乏症であれば離乳食開始で症状改善が期待される
  • 2. 母乳中の亜鉛低値でかつ母親自身の血清亜鉛値は正常であると診断できる
  • 3. 患児自身が亜鉛を取り込む能力は正常なので、亜鉛補充により速やかな症状改善が期待される
  • 4. 組織学的所見としてはLangerhans細胞の消失や表皮内空胞変性がみられ、進行すると乾癬様となる。壊死性遊走性紅斑の組織像とも類似する
  • 5. 一過性乳児亜鉛欠乏症の母親はZnT2遺伝子変異を有している。患児にこの変異が遺伝する確率は1/2、遺伝しない確率も1/2

関連問題

選択問題61〜90は下記

2024-Specialist-3
令和6(2024)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

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