日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和7(2025)年度の解答解説を作成しました
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- 問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会(問題・写真はリンク先で確認下さい)
- 参考文献:あたらしい皮膚科学 第3版、皮膚科学(マイナー) 第11版、1冊でわかる皮膚病理第2版でカッコ内は選択肢番号、その他は問題末に各自記載
※正式な解答は公表されていないので、筆者が考える解答をここでは記載しています
選択問題31〜60は下記
-

令和7(2025)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60
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見出し
- 1 令和7年度(2025年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 61〜90
- 1.1 選択問題61:解答 3, 4
- 1.2 選択問題62:解答 1, 3, 4
- 1.3 選択問題63:解答 4
- 1.4 選択問題64:解答 5
- 1.5 選択問題65:解答 5
- 1.6 選択問題66:解答 2, 3
- 1.7 選択問題67:解答 4
- 1.8 選択問題68:解答 3
- 1.9 選択問題69:解答 2, 3
- 1.10 選択問題70:解答 2, 5
- 1.11 選択問題71:解答 3
- 1.12 選択問題72:解答 1
- 1.13 選択問題73:解答 1
- 1.14 選択問題74:解答 5
- 1.15 選択問題75:解答 3
- 1.16 選択問題76:解答 1
- 1.17 選択問題77:解答 2, 5
- 1.18 選択問題78:解答 2, 4, 5
- 1.19 選択問題79:解答 5
- 1.20 選択問題80:解答 2, 3, 4
- 1.21 選択問題81:解答 3
- 1.22 選択問題82:解答 5
- 1.23 選択問題83:解答 1
- 1.24 選択問題84:解答 4
- 1.25 選択問題85:解答 4
- 1.26 選択問題86:解答 3, 5
- 1.27 選択問題87:解答 2, 3, 5
- 1.28 選択問題88:解答 3
- 1.29 選択問題89:解答 1, 4
- 1.30 選択問題90:解答 1
令和7年度(2025年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 61〜90
選択問題61:解答 3, 4
辺縁が隆起した紅斑で、組織学的に不全角化細胞から構成されるcornoid lamellaが見られることから汗孔角化症を考える
有棘細胞癌の発生母地として重要で、複数の病型があるが一部は紫外線曝露と関連する→3, 4
- 1. IL-17阻害薬は乾癬や掌蹠膿疱症(ブロダルマブ:ルミセフ®)、化膿性汗腺炎(ビメキズマブ:ビンゼレックス®)で使用されるが、化膿性汗腺炎では一般的ではない。エトレチナートは乾癬でも汗孔角化症でも使用されることがある
- 2. 外用治療が行われるが難治
- 3. 有棘細胞癌の発生母地として、硬化性萎縮性苔癬や慢性円板状エリテマトーデスと並び重要
- 4. 日光表在播種型は紫外線曝露と関連し、成人の露光部(四肢)で皮疹をきたす病型
- 5. 乾癬では高頻度に関節炎の合併がみられる(乾癬性関節炎)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p408(2・3・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p360(2・3・4)
関連問題
- 2019 記述16 / 2014 選択55 / 2010 選択81 / 2009 選択18 (汗孔角化症について)
- 2023 選択2 / 2016選択30 / 2011 選択61 (有棘細胞癌の発生母地)
選択問題62:解答 1, 3, 4
薬剤リンパ球刺激試験(DLST*)に関する出題
- 1. 高用量ステロイド加療中は免疫抑制により偽陰性になりやすい
- 2. 感度が低いため、DLST陰性であっても原因薬であることが否定できるわけではない
- 3. Stiumulation index(SI)値が180%以上を陽性と判定する
- 4. 採血したリンパ球を培養→薬剤で刺激して、チミジンの取り込み量を測定することでDNA合成量を測定する検査
- 5. Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症では発症早期に陽性となりやすい。一方DIHS*は発症初期は陰性だが、4〜6週後に陽性になるという特徴がある
*DLST = drug-induced lymphocyte stimulation test, DIHS = 薬剤性過敏症症候群
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p83(2・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p110・303(ALL)
関連問題
- 2017 記述6 (DLSTのフルスペル)
- 2015 選択40 (偽陽性になる薬剤など)
- 2014 選択42 (DLSTの機序)
- 2013 選択50 / 2011 選択52 (DIHSでのDLST陽性時期:発症早期は陰性)
選択問題63:解答 4
アミロイド苔癬におけるアミロイドの沈着部位は真皮乳頭部→4
アミロイドーシスでも疾患によりアミロイドの沈着部位が異なる
| 皮膚限局性アミロイドーシス | アミロイド苔癬 | 結節性皮膚アミロイドーシス |
| 沈着部位 | 真皮乳頭層 | 真皮〜皮下組織(より深部) |
| 前駆物質 | ケラチン | AL(免疫グロブリンL鎖) |
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p316
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p446/445
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p176
- 参考:皮膚科セミナリウム 第31回 アミロイドーシス 日皮会誌:117(12), 1927―1933, 2007
関連問題(アミロイドーシス)
- 2023 選択66 (★ほぼ同一問題)
- 2018 選択61 (アミロイド苔癬)
- 2014 選択48 / 2013 選択54 / 2009 選択43 (結節性アミロイドーシス)
- 2021 記述20 / 2009 選択43 (透析アミロイドーシス)
2018-61と2014-48の画像を比較するとアミロイド沈着部位の違いがわかりやすい
選択問題64:解答 5
真菌の検査法について
スポロトリキン反応では皮内注射し、48時間後に硬結を判定する→5
スポロトリキン反応の機序や手技はツベルクリン反応と類似なので、合わせて抑えておく
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p83・542(5)/40(1)/86(3・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p883・912(2・3・4・5)/47(1)
関連問題
- 2024 選択76 / 2023 選択1 / 2021 選択38 / 2010 選択18 / 2009 選択50 (ツベルクリン/スポロトリキン反応について)
- 2022 選択26 / 2012 選択85 (真菌の特殊染色)
- 2023 選択69 / 2019 記述5 / 2018 選択58 (Wood灯)
選択問題65:解答 5
皮膚肥満細胞症に関する出題
成人発症例では肥満細胞が少ないRóna型が多い→5
- 1. 病変部皮膚をこすると膨疹が生じるDarier徴候が肥満細胞症(色素性蕁麻疹)の特徴
- 2. 乳幼児発症例が多いが、成人期までに自然治癒することが多い※。大人で初発すると難治
- 3. 皮膚肥満細胞症ではKIT遺伝子の体細胞変異が見られやすい
- 4. 皮膚肥満細胞症は色素性蕁麻疹(斑状丘疹状肥満細胞症)・皮膚肥満細胞腫・びまん性皮膚肥満細胞症などに分類されるが、色素性蕁麻疹が70〜90%で最多
- 5. 肥満細胞が密に浸潤するUnna型は"小児"で多い。一方成人では肥満細胞浸潤に乏しいRóna型が多い
※このためそう痒などの訴えがなければ経過観察でも可能。治療する場合は抗ヒスタミン薬内服など
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p441(1・2・3・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p698(1・2・3・5)
- 選択肢4の参考:過去25年間に当科で経験した, 肥満細胞症患者30例の臨床的解析 日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌, 3(3), 413-419, 2020
関連問題
- 2022 選択39 / 2016 選択65 / 2015 選択35 / 2010 選択53(肥満細胞症について)
- 2021 選択15(肥満細胞の特徴) / 2020 選択11 (肥満細胞について)
選択問題66:解答 2, 3
腋窩で瘻孔や瘢痕形成が見られ、化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)を考える
毛包漏斗部の閉塞が病態形成に重要で、治療ではビメキズマブが用いられる→2, 3
- 1 化膿性汗腺炎の好発部位は腋窩と鼠径、殿部※。基本的にアポクリン腺が多い部位に発症し、掌蹠(エクリン腺)には"生じない"
- 2. 「汗腺炎」という病名ではあるが、感染症というよりは毛包閉塞・嚢腫形成とそれに続発する自然免疫活性化が病態の主体。細菌感染は二次的なものと現在では考えられている
- 3. 化膿性汗腺炎におけるビメキズマブの投与量は毎回320mg。アダリムマブの場合は初回160mgで、その後80mgないし40mgとなる
- 4. 化膿性汗腺炎の30〜40%は家族歴をもつが、NCSTN遺伝子やPSENEN遺伝子変異が見られるのは全体の"5%程度"にとどまる
- 5. Hurley分類では瘢痕や瘻孔形成が見られれば"StageⅡ以上"に分類される
※殿部に発症する場合は「慢性膿皮症」と呼ばれることも多い
化膿性汗腺炎 Hurley分類と生物学的製剤
化膿性汗腺炎で最も一般的に用いられる重症度分類がHurley分類
| 病期(Stage) | 症状 |
| Ⅰ | 単発あるいは多発する膿瘍形成。瘻孔や瘢痕はない。 |
| Ⅱ | 瘻孔や瘢痕形成を伴う再発性の膿瘍。単発でも多発でも良いが、離れた解剖学的部位に複数の病変がある。 |
| Ⅲ | 広範囲あるいはそれに近い範囲に病変がみられ、その病変が全体に互いに交通する瘻孔と膿瘍を形成する |
この分類でStageⅡ〜Ⅲを対象として、生物学的製剤が用いられる。2026年2月現在はアダリムマブとビメキズマブの2種類が保険適用
| 一般名 | 商品名 | ターゲット | 用法用量 |
| アダリムマブ | ヒュミラ® | TNF-α | 初回160mg 2週間後に80mg 4週目以降は40mg 週1回 or 80mg 2週に1回 |
| ビメキズマブ | ビンゼレックス® | IL-17A/F | 320mgを初回から16週までは2週間隔、以降4週間隔 ※患者状態に応じて16週以降も2週ごと投与可能 |
アダリムマブにはバイオシミラー(BS)が存在するが、こちらは化膿性汗腺炎や壊疽性膿皮症が保険適用外なので注意
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p521・25(1・2)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p759・26(1・2)
- 参考:化膿性汗腺炎診療の手引き2020 日皮会誌:131(1), 1-28, 2021のp3(1・5)/9-10(2・4)
- 選択肢3の参考:日本皮膚科学会 化膿性汗腺炎におけるビメキズマブの使用上の注意
関連問題
選択問題67:解答 4
色素異常症の中で、出血傾向を伴う疾患はHermansky-Pudlak症候群→4
- 1. Griscelli症候群:メラノソーム輸送関連蛋白の異常により生じる白皮症で、Chédiak-東症候群に類似した免疫不全を伴う(白血球巨大顆粒を持たないのが鑑別点)
- 2. 眼皮膚白皮症(OCA)Ⅰa:メラニン合成の律速段階酵素であるチロシナーゼ遺伝子の変異で生じ、酵素活性が完全欠損するため白皮症の程度が強い
- 3. OCA Ⅰb:OCAⅠaと同様にチロシナーゼ遺伝子変異を持つが、酵素活性が部分的に保たれている疾患。成人に達しメラニン合成がそれなりに行われると白皮症が目立たない場合があり見逃しに注意が必要
- 4. Hermansky-Pudlak症候群:血小板機能低下による出血傾向や、中高年以降で肺線維症・肉芽腫性大腸炎の合併がみられる色素異常症
- 5. Waardenburg-Klein症候群:メラノサイト分化に関わる遺伝子の異常で発症し、前額部の白斑(white forelock)に虹彩異色症や先天性難聴を伴う疾患
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p304(4)/302(2・3)/306(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p541(4)/539(2・3)/542(1・5)
- 参考:眼皮膚白皮症診療ガイドライン 日皮会誌:124(10), 1897-1911, 2014のp1901(4)/1902(1)/1900(2・3)
関連問題
選択問題68:解答 3
フラジオマイシンに対する接触皮膚炎がある場合、ゲンタマイシンも交差反応があるため避けることが望ましい→3
- 1. ロキソプロフェン:NSAIDsの一種。NSAIDs貼付薬ではケトプロフェン(モーラステープ®)が光接触皮膚炎を生じやすいことで知られる
- 2. クロラムフェニコール(クロロマイセチン®):外用抗菌薬でアレルギー性接触皮膚炎の原因となるが、アミノグリコシド系ではない
- 3. ゲンタマイシン(ゲンタシン®):アミノグリコシド系抗菌薬で、フラジオマイシンと基本構造骨格が同じため交叉反応を生じる
- 4. オキシテトラサイクリン(テラコートリル®):抗菌薬だが2. と同様アミノグリコシド系ではないため交叉反応を示さない
- 5. クリンダマイシン(ダラシンTゲル®):こちらもアミノグリコシド系ではないため交叉反応を示さない
- 参考:接触皮膚炎診療ガイドライン 2020のp549-550
関連問題
選択問題69:解答 2, 3
冷所保存が必要な薬剤はアクトシン®とフィブラスト®→2, 3
- 1. スルファジアジン銀(ゲーベン®クリーム):室温保存
- 2. ブクラデシンナトリウム(アクトシン®軟膏):10℃以下で保存, 水溶性軟膏に分類される
- 3. トラフェルミン(フィブラスト®スプレー):溶解後は10℃以下の冷暗所で保存し、2週間以内に使用する必要がある。なお投与部位に悪性腫瘍があると投与禁忌
- 4. 精製白糖・ポビドンヨード配合(ユーパスタ®軟膏):室温保存, 吸水性なので浸出液の多い創面に向く
- 5. アルプロスタジルアルファデクス(プロスタンディン®軟膏):室温保存
- 参考:各種添付文書
選択問題70:解答 2, 5
ヒドロキシクロロキン(HCQ, プラケニル®)投与時の注意事項についての出題
- 1. 薬疹の頻度は国内第Ⅲ相試験で1.0%(1/101例)であったとされ、著しく高いわけではない
- 2. 網膜症は累積投与量が200gを超えた患者でリスクが高い→"初期"ではない
- 3. 1日投与量が多ければ、当然累積投与量も増え網膜症リスクが高くなる
- 4. 腎障害や肝障害を伴う例では網膜症リスクが高くなる
- 5. 皮膚エリテマトーデスの治療では、グルココルチコイド"外用"不応例や不適例(瘢痕性など)に使用される
HCQの1日投与量は身長から計算される理想体重に基づき決定され、過去問でも何度か問われている
- 参考:ヒドロキシクロロキン適正使用の手引き 日皮会誌:125(11), 2049-2060, 2015のp2051(1)/2054(2・3・4)/2052(5)
- 参考:プラケニル添付文書
関連問題
選択問題71:解答 3
手足で爪甲異常が見られ、組織学的に表皮真皮境界部皮膚炎が目立つことから爪扁平苔癬を考える→3
境界部皮膚炎(interface dermatitis)
炎症性皮膚疾患は組織学的に表皮と表皮基底膜〜真皮(境界部)に大別される
炎症は組織学的に表皮か表皮基底膜〜真皮(境界部)かに分類される
| 炎症部位 | 特徴的所見 | 代表疾患 |
| 表皮 | 海綿状態 | 急性湿疹 |
| Gibertバラ色粃糠疹 | ||
| 表皮基底膜〜真皮(境界部) | 液状変性 | 扁平苔癬 |
| 薬疹(多形紅斑・固定薬疹) | ||
| エリテマトーデス・皮膚筋炎 |
境界部皮膚炎をきたす疾患の代表が扁平苔癬のため、境界部皮膚炎は苔癬様反応(lichenoid reaction)や苔癬型組織反応・苔癬様皮膚炎などと呼ばれることがある
外部からの刺激が原因の場合(ex 接触皮膚炎)は体表近くの表皮で炎症所見が強く、体内のものに対する反応が原因の場合(ex 血中に取り込まれた薬剤→薬疹, 自己組織→抗原病)は毛細血管のある境界部で炎症所見が強くなる、と考えると理解しやすい
- 1. 爪乾癬:組織学的には不全角化や表皮突起の延長、Munro微小膿瘍が特徴。とくに関節症性乾癬で生じやすい病変
- 2. 爪白癬:母趾で爪甲の肥厚や変形を生じることが多く、手指では少ない。また全指で同時に罹患することはない
- 3. 爪扁平苔癬:組織での液状変性や顆粒層肥厚が特徴となる疾患。爪病変も10%と生じやすい
- 4. 爪カンジダ症:白癬と同様の症状をきたす。こちらは指爪で多いが、感染症なので通常全指には生じない
- 5. 黄色爪症候群:ほぼ全ての爪が黄色化する疾患で、胸水貯留やリンパ浮腫を伴う
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p43・45/281(1)/534(2)/291(3)/539(4)/372(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p52・54/379(1)/894(2)/390(3)/904(4)/776(5)
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p58
関連問題
- 2023 選択72 / 2021 選択88 / 2020 選択17 / 2020 選択82 / 2012 選択13 / 2012 選択79 (境界部皮膚炎/扁平苔癬の組織)
- 2023 選択49 / 2023 選択59 / 2016 選択75 (急性湿疹の組織)
選択問題72:解答 1
小児露光部で紅斑や水疱形成がみられ、赤血球中プロトポルフィリンが増加していることから骨髄性プロトポルフィリン症の診断
プロトポルフィリン→ヘムへの最終代謝に関わる酵素であるフェロケラターゼの異常が原因となる→1
骨髄性プロトポルフィリン症
ヘム代謝障害をきたすポルフィリン症の一つ
プロトポルフィリンが代謝されず骨髄で蓄積する
→血中・糞便中のプロトポルフィリンが増加、肝にも蓄積して肝障害
臨床症状としては幼少期からの光線過敏症が特徴
- 原因:フェロケラターゼ(FECH)遺伝子変異による常染色体顕性(優性)遺伝疾患
- 検査:赤血球が変性しており、蛍光顕微鏡で赤色蛍光を発する&日光曝露で溶血する

参考文献より引用, 赤血球蛍光試験にて健常者(左)は自家蛍光(-)だが患者検体では自家蛍光がみられる
- 1. フェロケラターゼ:プロトポルフィリンからヘムへの代謝を担う酵素で、FECH遺伝子によってコードされる。遺伝子異常によってプロトポルフィリンが骨髄で蓄積し、脂溶性のため胆汁→糞便へ排泄される
- 2. プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ:異型ポルフィリン症の原因酵素。同疾患は肝性ポルフィリン症に分類され、腹痛・下痢・嘔吐などの腹部症状が主体で光線過敏症はみられない
- 3. ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ:晩発性皮膚ポルフィリン症の原因酵素。同疾患はアルコール長期摂取やC型肝炎を背景に発症し、光線過敏をきたす※
- 4. ウロポルフィリノーゲンⅢシンターゼ:先天性骨髄性ポルフィリン症の原因酵素。先天性の名前通り生後まもなく光線過敏症で発症することが特徴(骨髄性プロトポルフィリン症は少し遅い)で、溶血性貧血の程度も強い
- 5. ヒドロキシメチルビランシンターゼ:急性間欠性ポルフィリン症の原因酵素。異型ポルフィリン症と同様に光線過敏症はみられず、腹部症状が主体
※晩発性皮膚ポルフィリン症は骨髄性ポルフィリン症ではないため、尿や糞便中からウロポルフィリンが検出されるが、赤血球中からは検出されないのがポイント
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p328-331
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p473-478
- 参考・図引用:赤血球光溶血試験と赤血球蛍光試験が診断の一助となった骨髄性プロトポルフィリン症の一例 医学検査 Vol.69 No.4 (2020) pp. 683–688
- 参考:ポルフィリン症診療ガイドライン2025 日皮会誌:135(9), 2015-2060, 2025
関連問題
- 2014 選択49 / 2013 選択7 (骨髄性プロトポルフィリン症)
- 2023 選択57 / 2018 選択58 (晩発性皮膚ポルフィリン症)
- 2024 選択67 / 2022 選択71 (光線過敏を来す疾患)
ポルフィリン症は数が多く難解なところだが、ひとまずは出題歴の多い骨髄性プロトポルフィリン症と晩発性皮膚ポルフィリン症の2つを押さえておきたい
選択問題73:解答 1
背部や前胸部に紅色結節が多発しており、組織学的に管腔を有する腫瘍胞巣の増殖が見られることからエクリン汗孔腫を考える
→1
- 1. Poromatosis:エクリン汗孔腫(eccrine poroma)が多発する病態で、細胞障害性抗がん剤治療との関連が指摘されている
- 2. Neurofibromatosis:神経線維腫が多発するもので、神経線維腫症1型(NF1)がとくに有名
- 3. Cowden症候群:PTEN遺伝子変異が原因のAD疾患で、外毛根鞘腫の多発や口腔粘膜の乳頭腫が特徴
- 4. Muir-Torre症候群:ケラトアカントーマや脂腺系腫瘍(脂腺腺腫や脂腺癌)が多発し、内臓悪性腫瘍の合併も見られる症候群。DNAミスマッチ修復遺伝子の異常が原因となるAD
- 5. Brooke-Spiegler症候群:CYLD遺伝子変異によるADで、毛包上皮腫や円柱種が多発する
*AD = 常染色体顕性(優性)遺伝疾患
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p414(1)/391(2)/411(3)/455(4)/416(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p616(1)/570(2)/587(3)/615(4)/607・623(5)
- 参考:細胞障害性抗癌剤治療後の患者に生じたporomatosisの3例 日皮会誌:134(3), 603-614, 2024
関連問題
- 2024 選択4 / 2022 選択62 / 2019 選択80 / 2018 選択76 / 2016 選択72 / 2015 記述6 (エクリン汗孔腫の病理とダーモスコピー)
- 2017 選択58 / 2015 選択74 (Muir-Torre症候群と脂腺系腫瘍)
- 2024 選択99 / 2023 記述19 / 2015 選択73 / 2014 選択67 / 2014 記述11 / 2014 記述12 (Brooke-Spiegler症候群)
選択問題74:解答 5
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による皮膚障害(irAE*)に関する出題
びらん・水疱以外の皮疹面積が10%程度の場合、Grade1〜2に相当しただちに薬剤投与を中止する必要はない→5
*irAE = immune-related adverse event
- 1. 皮膚irAEでは多彩な皮疹が見られるが、通常の薬疹と同様播種状紅斑・丘疹型も多い
- 2. irAEとして水疱性類天疱瘡を発症する場合もある。投与開始から発症までの中央値は72週と、時間が経ってからの発症が多いので注意
- 3. 皮膚irAEが出現するまでの期間はタイプによって異なるが、頻度の高い皮脂欠乏症や播種状紅斑・丘疹型は比較的早期に見られる
- 4. 皮膚障害は軽症例も含めれば抗PD-1抗体製剤単独でも34〜42%と高率で発現する
- 5. 皮疹面積10%だと副作用評価に用いるCTCAEではGrade1-2相当のため、"ただちに薬剤の投与を中止"する必要はない※。皮膚irAEが出現する患者はICI治療に対する反応性が良好という報告もある(→できれば投与を継続したい)
※一般にグレード3以上だと休薬/投与中止することが多い
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p299
- 参考:免疫チェックポイント阻害薬投与中に生じた皮膚症状と抗腫瘍効果の関連性 日皮会誌:133(12), 2825-2836, 2023
- 選択肢2の参考:抗PD-1抗体投与後に発症した水疱性類天疱瘡の6例 日皮会誌:133(19), 2373-2384, 2023
関連問題
選択問題75:解答 3
成人以降の発症で間擦部に水疱やびらんがみられ、組織学的に棘融解細胞を伴うことからHailey-Hailey病(家族性良性慢性天疱瘡)を考える
(蛍光抗体直説法が陰性のため、自己免疫性水疱症は否定的)
指定難病の一つ→3
Hailey-Hailey病 (家族性良性慢性天疱瘡)
遺伝性水疱症の一つで、遺伝性疾患だが青年期以降で発症するのが特徴(haploinsufficiencyの機序による)
- 原因:カルシウムポンプをコードするATP2C1遺伝子変異
- 症状:間擦部を中心に水疱やびらんがみられる
- 組織:基底層直上を中心とした表皮内の棘融解・裂隙形成
同じくカルシウムポンプをコードするATP2A2遺伝子変異はDarier病の原因となり、こちらも思春期以降の発症
- 1. "夏期"など高温多湿環境での増悪が特徴
- 2. 紫外線は増悪因子ともされ、紫外線治療は"推奨されない"(推奨度D)。治療としてはステロイド外用やエトレチナート、アプレミラスト(オテズラ®)内服など
- 3. Hailey-Hailey病は指定難病161番となっている。一方Darier病は指定難病ではない
- 4. Hailey-Hailey病は"ATP2C1"遺伝子の変異が原因のAD。Darier病はATP2A2遺伝子変異が原因のAD
- 5. Hailey-Hailey病では遺伝子の変異部位と臨床的重症度の相関性(Genotype-Phenotype correlation)は明らかではない。一方先天性表皮水疱症ではある程度相関する※
*AD = 常染色体顕性(優性)遺伝性疾患
※たとえば先天性表皮水疱症の単純型は限局型・中等症汎発型・重症汎発型の3型に大別される。原因遺伝子は同じケラチン5/14だが、病型によって変異部位が異なるため相関性があると言える
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p246・279(1・2・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p359・356(1・2・4)/327(5)
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p153
- 参考:家族性良性慢性天疱瘡診療ガイドライン2023 日皮会誌:134(2), 273-287, 2024のp274(1・4・5)/281(2)
- 選択肢5の参考:表皮水疱症:最近の研究で明らかとなったこと 日皮会誌:109(6), 853-863, 1999
本問がDarier病なのかHailey-Hailey病なのか、正確に鑑別するのは難しい(Darier病と仮定すると指定難病でなく、ATP2A2遺伝子変異が原因のため正解が4となる)。ただDarier病は発症年齢がやや若く思春期前後が多いこと・臨床像で角化性丘疹が目立つこと・組織学的にも異常角化細胞が見られることなどが特徴とされており、本例はいずれも該当しないのでやはりHailey-Hailey病と考えるのが妥当と思われる
関連問題
- 2021 選択71 / 2018 選択91 / 2016 選択88 (Hailey-Hailey病について, 指定難病)
- 2024 選択32 / 2021 選択19 / 2020 選択55 / 2018 記述1 / 2016 選択11 / 2014 選択7 / 2010 選択51 (Darier病について)
選択問題76:解答 1
長島型掌蹠角化症(NPPK)に関する出題
角化症だが過角化よりは紅斑が主体→1
- 1. "掌蹠角化症"の病名だが、Unna-Thost型などと比べると掌蹠角化は軽度で紅斑が主体となる
- 2. 紅斑や過角化が掌蹠を越えて手背・足背やアキレス腱部等に及ぶtransgrediensが見られるのがNPPKの特徴※
- 3. 1の特徴からアトピー性皮膚炎等と誤診されステロイド外用が行われる場合があるが、通常無効
- 4. NPPKでは掌蹠多汗や悪臭、白癬の合併がみられQOLを低下させる
- 5. 短時間の水曝露で病変部皮膚が白色に変化することもNPPKの特徴の一つ※
※transgrediensや浸水での白色変化は同じく掌蹠角化症の一つであるMeleda病の特徴でもある。このため以前はNPPK = Meleda病の軽症型と臨床的に誤診されていた例もあったと推測されている。Meleda病ではNPPKより過角化が目立ちやすいなどが鑑別点とされる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p277(2・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p354(2・4)
- 参考:掌蹠角化症診療の手引き 日皮会誌:130(9), 2017-2029, 2020のp2019(2・4・5)
- 参考:長島型掌蹠角化症 皮膚科:4(2), 171-175, 2023
transgrediensや浸水試験、原因遺伝子(SERPINB7)については既出だが、その他の選択肢については教科書での記載も少なく難易度高め。上に挙げた雑誌「皮膚科」の野村先生の記事(2023)はよくまとまっておりわかりやすい
関連問題(長島型掌蹠角化症)
選択問題77:解答 2, 5
HIV感染症に関する出題
RNAウイルスが原因となり、母乳感染するため母乳栄養は中止する→2, 5
- 1. HIV感染症の予後は多剤併用療法(ART)の進展に伴い改善し、現在は「長期生存が可能な不死の慢性感染症」として捉えられるようになってきている
- 2. 原因ウイルスのHIV-1はRNAウイルス。ちなみにHIV-2もある
- 3. HIVウイルスはCD4陽性"T細胞"に選択的に感染する。このため病勢が進行するとCD4陽性T細胞数が減少する
- 4. HIV感染症は"5類感染症"で、診断から7日以内に届出が必要※
- 5. HIVは経胎盤/産道/母乳感染のいずれも感染経路としてありえるので、母乳栄養中止+母および児の予防的抗HIV薬内服(+原則は帝王切開)での対応が必要
※感染症法における疾患名は「後天性免疫不全症候群(AIDS)」となっている。通常AIDSはAIDS指標疾患を発症して始めて診断基準を満たす(HIV陽性でも指標疾患未発症ならAIDSではない)。しかし感染症法では「無症状病原体保有者」も届出対象のため、結局HIV陽性者は全員届出が必要という解釈になる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p509(1・2・3)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p818(1・2・3・4)
- 選択肢1の参考:新・皮膚科セミナリウム 梅毒とHIV/AIDS 日皮会誌:127(7), 1523-1531, 2017
- 選択肢4の参考:9 後天性免疫不全症候群|厚生労働省
- 選択肢5の参考:HIV感染妊娠に関する診療ガイドライン 第3版のp12
関連問題
- 2021 選択44 (★類問)
- 2023 選択88 / 2022 選択68 / 2019 選択50 / 2018 選択23 / 2018 選択34 / 2015 選択27 / 2012 選択30 (HIVについて, 疫学など)
選択問題78:解答 2, 4, 5
口腔内に好発する疾患を問う問題
- 1. Lichen nitidus(光沢苔癬):若年者に好発し、陰茎・亀頭や下腹部、四肢屈側などで生じる。組織学的に扁平苔癬様の液状変性に加え、Langhans型巨細胞が見られるのが特徴
- 2. Granular cell tumor(顆粒細胞腫):口腔や皮膚(とくに外陰部)、消化器などに生じる。組織学的に好酸性顆粒が見られ、S-100陽性となるのが特徴
- 3. Pemphigus foliaceus(落葉状天疱瘡):デスモグレイン1に対する自己抗体のみが生じるため、粘膜病変は生じづらい
- 4. Verruciform xanthoma(疣状黄色腫):外陰部や口腔内に好発する。組織学的に泡沫細胞(脂質を貪食した組織球)が見られることが特徴
- 5. Granuloma telangiectaticum(毛細血管拡張性肉芽腫, 化膿性肉芽腫):外傷などが誘因となる血管腫の一種で、口唇や指が好発部位となる。新生児では臍部に生じる場合がある
※表皮有棘細胞間に発現するデスモグレイン1/3は皮膚と粘膜で発現量が異なる

参考文献p251 図14.24より
| デスモグレイン(Dsg) | Dsg1 | Dsg3 |
| 皮膚 | 表皮全層 | 表皮下層 |
| 粘膜 | ± | +++ |
| 尋常性天疱瘡での自己抗体 | + or - | + |
| 落葉状天疱瘡での自己抗体 | + | - |
このためDsg1に対する自己抗体のみが生じる落葉状天疱瘡では、粘膜病変は生じづらい
- 参考書籍・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p294(1)/421(2)/253(3)/323(4)/424(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p392(1)/738(2)/314(3)/466(4)/682(5)
関連問題
- 2024 選択22 / 2024 選択46 / 2023 選択50 / 2015 選択1 / 2013 選択40 / 2009 選択40 (天疱瘡の病型と自己抗体)
- 2020 選択17 / 2017 選択18 / 2013 記述8 (光沢苔癬)
- 2022 選択17 / 2018 選択69 / 2013 選択70 / 2013 記述14 / 2011 記述11 (顆粒細胞腫)
- 2023 選択73 / 2020 記述14 / 2014年 記述5 (疣状黄色腫)
選択問題79:解答 5
正常な角層において、角層間結合を担う電子密度の高い構造はコルネオデスモソーム→5
- 1. 辺縁帯/周辺帯(cornified cell envelope):角層の細胞膜を裏打ちする構造で、インボルクリンやロリクリンがトランスグルタミナーゼによって架橋されて生じる
- 2. 層板顆粒:有棘層上部〜顆粒層にかけて存在し、セラミドなどの脂質が含まれる。ABCA12遺伝子変異があると正常に産生されなくなる(道化師様魚鱗癬の原因)
- 3. ケラチンパターン:角化細胞の細胞骨格であるケラチンが顆粒層でフィラグリンと凝集して構成される
- 4. 角質細胞間脂質:セラミド(50%)やコレステロール(30%)、遊離脂肪酸などから構成され、2. の層板顆粒から放出される。皮膚の保湿に重要
- 5. コルネオデスモソーム:角質下層において細胞間接着に関わる構造。(有棘細胞間接着を担うデスモソームに類似)
コルネオデスモソームを構成するのがコルネオデスモシン。これをコードするCDSN遺伝子の異常で炎症性Peeling skin病を発症する

参考動画 4:19より
- 参考書籍・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p9(1・4)/4(2)/10(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p12(1)/13(2・4)/11(3)
- 参考(図あり):新・皮膚科セミナリウム デスモソーム・コルネオデスモソームと遺伝性角化異常症 日皮会誌:126(12), 2259-2267, 2016
- 参考:Tips for electron microscopy of desmosomal junctions
関連問題
選択問題80:解答 2, 3, 4
外用薬と保険適用疾患を問う出題
- a:常色の小結節〜腫瘤が多発しており神経線維腫症1型(NF1)を考える。タピナロフ(ブイタマー®)クリームは尋常性乾癬およびアトピー性皮膚炎に保険適用
- b:右前額部〜眼瞼外側にかけて小水疱が集簇しており帯状疱疹を考える。ビダラビン軟膏は単純ヘルペスおよび帯状疱疹に保険適用→◯
- c:両側鼻部周囲に丘疹が多発しており、結節性硬化症の血管線維腫を考える。mTOR阻害薬であるシロリムス(ラパリムス®)ゲルが保険適用となっている→◯
- d:鼠径部の褐色調・疣状結節で尖圭コンジローマを考える。外性器部/肛門周囲の病変にイミキモド(ベセルナ®)クリームが保険適用となっている→◯, イミキモドは日光角化症にも保険適用を有する
- e:足底で小膿疱・落屑が多発しており掌蹠膿疱症を考える。オキシブチニン(アポハイド®)ローションは原発性"手掌"多汗症に保険適用を有する
NF1で近年保険適用となった薬剤にセルメチニブ(コセルゴ®)がある
ビタミンD含有軟膏のうち、マキサカルシトール(オキサロール®)は掌蹠膿疱症に保険適用を有するが、カルシポトリオール(ドボネックス®)やステロイドとの混合軟膏は有しないので注意
- 参考書籍・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p391(1)/492(2)/394(3)/496(4)/264(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p570(1)/795(2)/574(3)/807(4)/332(5)
- 参考:各種添付文書
関連問題
- 2021 記述9 (シロリムスゲル)
ビタミンD含有軟膏とイミキモドについてはそれぞれ下記にまとめた
-

ビタミンD外用製剤と保険適用疾患 各種製剤の比較
続きを見る
-

イミキモド(ベセルナ®)クリーム まとめ
続きを見る
選択問題81:解答 3
高齢男性の顔面に見られた紅色結節で、CD138陽性から形質細胞系腫瘍が疑われる。血液検査ではM蛋白血症と高Ca血症が見られ、多発性骨髄腫に伴う続発性皮膚形質細胞腫の診断→3
皮膚形質細胞腫
形質細胞が骨髄以外で腫瘍性増殖をきたす疾患を形質細胞腫と呼び、大きく下記2つに分類される
| 原発性皮膚形質細胞腫 | 皮膚のみに病変が限局 |
| 続発性皮膚形質細胞腫 | 骨髄病変や皮膚以外の髄外病変からの浸潤 |
形質細胞腫は免疫組織学的に下記のような特徴を持つ
- CD3(T細胞マーカー)やCD20(B細胞マーカー)が陰性
- 形質細胞に特異性の高いCD38やCD138が陽性
- 1. 汗孔癌:エクリン汗孔腫が悪性化した腫瘍で、組織学的には管腔構造がみられる
- 2. 悪性黒色腫:通常黒色だが、稀に無色素性で赤くなるものもある(amelanotic melanoma)。免疫染色ではHMB-45やMART-1/Melan-A、PRAMEなどが陽性となる
- 3. 多発性骨髄腫:血液検査でのM蛋白血症や高Ca血症、骨病変を伴うことから多発性骨髄腫の診断になる※。つまり形質細胞腫としては続発性に分類される
- 4. メルケル細胞癌:高齢者の頭頚部に好発する。CK20が核近傍で点状に陽性となり、神経内分泌系腫瘍のためNSEやChromogranin A、Synaptophysinも陽性となることが特徴
- 5. 皮膚びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫:B細胞系腫瘍であり、CD20が陽性となる
※多発性骨髄腫の4症状はCRAB(高Ca血症 , 腎機能障害, 貧血, 骨病変)
- 参考書籍・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p481(3)/458(1)/481(2)/459(4)/479(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p702・704(3)/653(1)/724(2)/740(4)/719(5)
- 参考:免疫グロブリン遺伝子再構成検査で診断した原発性皮膚形質細胞腫の1例 皮膚科の臨床 62(5), 573-577, 2020
関連問題
- 2024 選択62 / 2016 選択63 (メラノーマと免疫染色)
- 2022 選択23 / 2018 選択66 / 2015 選択10 / 2013 選択57 / 2009 選択12 / 2009 選択72 (メルケル細胞癌と免疫染色)
選択問題82:解答 5
再発性単純ヘルペスに対するPIT療法についての出題
アメナメビルの場合は単回投与で治療可能→5
単純ヘルペス PIT療法
PIT = patient initiated therapy
Patient(患者) initiate(開始)の名前通り「薬をあらかじめ処方しておき、再発の初期症状があれば患者判断で服用を開始する」治療法
現在ファムシクロビル(ファムビル®)とアメナメビル(アメナリーフ®)の2剤が保険適用となっているが、共通点・相違点がある
両者の共通点
- 対象疾患:再発性単純ヘルペス(口唇 or 性器)
- 対象患者:再発の初期症状(患部の違和感・灼熱感・掻痒感など)を正確に判断可能
- 内服方法:初期症状出現後6時間以内に内服(皮疹が出ていなくてもよい)
- 注意点:再発分の処方は1回のみ可能
両者の相違点
| ファムシクロビル | アメナメビル | |
| 再発頻度 | 概ね年3回以上 | 規定なし |
| 用法用量 | 1,000mg 2回, 12時間空ける | 1,200mg 1回 |
総じてアメナメビルのほうが利便性は高いが、その分薬価も高い
- 1. 再発頻度が年3回以上必要なのは"ファムシクロビル"。なお「概ね」なので、多少再発頻度が少なくても認められる可能性もある
- 2. PIT療法では発疹が生じる前の自覚症状段階で内服して良いことになっている
- 3. "ファムシクロビル"をPIT療法で服用する場合は1,000mg × 2回。バラシクロビルは再発抑制療法として500mg連日投与を行う場合があるが、PIT療法としては認められていない
- 4. アメナメビルは空腹時に服用すると吸収低下から効果減弱する恐れがあるため、"食後に服用"することが必要
- 5. アメナメビルのPIT療法は単回投与で治療が完結する
- 参考:ファムビル 添付文書
- 参考:アメナリーフ 添付文書
関連問題
-

単純ヘルペス 帯状疱疹 抗ウイルス薬まとめ
続きを見る
ヘルペスに対する抗ウイルス薬治療については複数あり、上記にまとめた
選択問題83:解答 1
シェーグレン症候群(病)では甲状腺疾患を合併しやすい→1
シェーグレン症候群 診断基準
- 生検病理組織検査でいずれかの陽性所見
A) 口唇腺組織で4mm2あたり1focus*以上
B) 涙腺組織で4mm2あたり1focus*以上 - 口腔検査でいずれかの陽性所見
A) 唾液腺造影でStage1(直径1mm未満の小点状陰影)以上
B) 唾液分泌量低下(ガム試験にて10分間10mL以下またはSaxonテスト2分間2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見 - 眼科検査でいずれかの陽性所見
A) Schirmer試験で5mm/5分以下かつローズベンガルテスト陽性
B) Schirmer試験で5mm/5分以下かつフルオレセイン(蛍光色素)試験陽性 - 血清検査でいずれかの陽性所見
A) 抗SS-A抗体陽性
B) 抗SS-B抗体陽性
*導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤
上記1〜4のうち、いずれか2項目を満たせばシェーグレン症候群と診断
従来からシェーグレン症候群と呼ばれてきたが、名称変更でシェーグレン病へ変更しようという動きもある
- 1. シェーグレン症候群では慢性甲状腺炎(橋本病)や甲状腺腫瘍を合併しやすい
- 2. 環状紅斑は"顔面"に好発する。下肢は高γグロブリン血症性紫斑の好発部位
- 3. 診断基準では「シルマー試験で"5分間"に5mm以下かつ蛍光色素試験陽性」を満たす必要がある
- 4. 抗SS-A抗体は経胎盤移行し新生児ループス(新生児エリテマトーデス)の原因となることがあるが、発症予防としての免疫グロブリン大量療法は一般的ではない※
- 5. 抗SS-A/B抗体はシェーグレン症候群診断の必須基準ではなく、他項目を満たせば陰性でも診断できる
※ヒドロキシクロロキン(プラケニル®)はハイリスク症例において新生児ループス発症予防効果が期待できるという報告があり、日本でも臨床試験が行われている
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p211/199(4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p436/432(4)
- 選択肢4の参考:抗SS-A抗体陽性女性の妊娠に関する診療の手引きのp5-6
関連問題
- 2023 選択86 / 2019 選択51 / 2018 選択1 / 2013 選択32 / 2009 選択30 (シェーグレン症候群の症状や自己抗体)
- 2014 選択28 / 2012 選択32 (新生児ループス)
選択問題84:解答 4
Notalgia parestheticaでは背部にそう痒が見られる→4
notalgia paresthetica (背部錯感覚症)
背部脊髄神経後根支配領域のTh2-Th6に一致する皮膚領域で、皮膚のそう痒を主訴としてきたす疾患
掻爬による二次性の湿疹変化をきたすことはあるが、通常は皮疹を伴わない
- 原因:Th2〜6の脊髄神経後根枝は僧帽筋を貫いて上行しており、僧帽筋による神経圧迫が原因と考えられている※
- 治療:ステロイド外用薬は無効で、カプサイシンクリーム外用やガバペンチン、選択的κオピオイド受容体作動薬difelikefailnの内服が有効という報告がある
※通常の末梢神経症状でみられるしびれや痛みは目立たない事が多い
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p138 表8.2(3)
- 参考:Notalgia Parestheticaの1例 皮膚臨床 42(5), 769-71, 2000
- 参考:日経メディカル 繰り返す上背部のかゆみ (要会員登録)
関連問題
選択問題85:解答 4
若年男性でニキビ治療中だが、嚢腫や硬結をきたしており集簇性ざ瘡を考える
瘻孔で交通した面疱や膿疱が見られることが特徴→4
- 1. 軽症例では尋常性ざ瘡に準じて内服抗菌薬が用いられる。重症例ではステロイドやDDSの内服、慢性膿皮症に準じたTNF-α阻害薬投与等が行われる※
- 2. 症状に応じて切開排膿や外科的切除も行われることはあるが、第一選択ではない
- 3. 病変は顔面〜項部、前胸部や背部にも好発する
- 4. 圧痛を伴う結節や面疱がみられ、皮下で膿瘍や瘻孔を形成して交通するようになる
- 5. 日本の尋常性ざ瘡ガイドラインでは、集簇性ざ瘡や壊死性ざ瘡を"含まない"ことになっている
※海外ではレチノイドの一種である、イソトレチノイン内服も使用される。日本ではざ瘡に対して保険承認されていない(自費診療で処方される場合はある)が、重症難治性ざ瘡を対象とした第Ⅲ相試験が実施されている(サンファーマ株式会社)
本問は「尋常性ざ瘡の最重症型(片側の炎症性皮疹が51個〜)」と考えるか「集簇性ざ瘡」と考えるか微妙なところがある。前者と考えれば選択肢5が正解となり、後者だと選択肢4が正解となる。通常のざ瘡治療を継続しているが治療反応性が乏しいこと、瘢痕や硬結が見られることからここでは集簇性ざ瘡と考えた
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p363
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p743
- 参考:痤瘡治療における抗菌薬の使用状況 日皮会誌:134(2), 289-295, 2024
- 参考:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023のp408・426
- 参考:ニキビ up date 重症・難治・特殊例 MB Derma 49, 13-18, 2001
関連問題(尋常性ざ瘡)
- 2024 記述4 / 2022 選択20 / 2020 選択86 / 2018 選択9 / 2017 選択4 / 2012 選択2 / 2009 選択58 (外用治療)
- 2019 選択6 / 2013 選択29 / 2012 選択49 (その他治療)
選択問題86:解答 3, 5
先天性毛髪疾患に関する出題
- 1. 先天性三角形脱毛症の病変部では、ダーモスコピーで白色の軟毛が観察される→毛包は"存在する"
- 2. Netherton症候群では"結節性裂毛(bamboo hair)"が特徴※。連珠毛はDSG4遺伝子の変異(AR)等が原因となる
- 3. Tricho-rhino-phalangeal症候群では乏毛症・西洋梨状の鼻・指趾形成異常が3主徴。TRPS1遺伝子変異等が原因のAD
- 4. 低汗性(無汗性)外胚葉形成不全症の多くはEDA1遺伝子変異による"XR"をとる。乏毛と無汗症に加えて歯牙形成異常をきたす
- 5. 日本人の先天性縮毛症/乏毛症ではLIPH遺伝子の変異が原因として最多(AR)
※Netherton症候群はアトピー性皮膚炎様皮疹・結節性(陥入性)裂毛・曲折線状魚鱗癬などが特徴で、SPINK5遺伝子変異が原因のAR
*AD = 常染色体顕性(優性)遺伝形式, AR = 常染色体潜性(劣性)遺伝形式, XR = X染色体潜性(劣性)遺伝形式
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p370(1)/275(2)/371(3・5)/342(4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p757(1)/349・763(2)/592(3)/500(4)
関連問題
- 2024 選択43 (Tricho-rhino-phalangeal症候群)
- 2023 記述16 / 2016 選択4 (先天性三角形脱毛症)
- 2023 記述2 / 2021 選択75 / 2020 選択1 / 2012 選択1 (無汗性外胚葉形成不全症)
- 2019 選択8 / 2015 選択3 (乏毛症と原因遺伝子)
- 2024 選択56 / 2021 選択91 / 2020 選択15 / 2019年 記述2 / 2018 選択15 / 2017 選択15 / 2017 選択16 / 2016 選択6 / 2010 選択4 / 2010 選択55 (Netherton症候群)
選択問題87:解答 2, 3, 5
病変の主座が真皮までに限られる疾患を問う問題
- 1. 神経鞘腫:皮膚や皮下に発生することもあるが、神経由来で中枢神経など深部に発生する傾向がある→△ 例:NF2における両側聴神経鞘腫
- 2. 表皮嚢腫:真皮〜皮下脂肪織にかけて嚢腫が存在する→◯
- 3. 皮膚線維腫:主に真皮内で膠原線維の増生がみられる→◯ 逆に脂肪織への浸潤が強い場合は、悪性であるDFSPを示唆する
- 4. 皮膚混合腫瘍:皮下/皮内結節だが、真皮〜皮下脂肪織内と比較的深部に存在する→△ 組織学的には管腔構造+軟骨様組織などの間葉系組織が混在して見られることが特長
- 5. サクランボ血管腫(老人性血管腫):真皮乳頭下層で毛細血管の限局性の増殖がみられる→◯
*DFSP = 隆起性皮膚線維肉腫(dermatofibrosarcoma protuberans)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p420(1)/417(2)/431(3)/415(4)/424(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p736(1)/601(2)/658(3)/620(4)/685(5)
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p482(1)/276(2)/458(3)/366(4)/499(5)
- 選択肢4の参考:皮膚混合腫瘍(mixed tumor of the skin)の臨床病理学的検討 日皮会誌:117(12), 1959-1967, 2007
皮膚線維腫も脂肪織で見られる場合があるが、「主に」という点と他の選択肢から相対的に正解選択肢と考えた
関連問題
- 2021 選択77 / 2017 選択76 (NF2と聴神経鞘腫)
- 2022 選択99 / 2020 選択84 / 2013 記述11 / 2011 選択66 (皮膚線維腫の病理)
- 2021 選択89 / 2017 選択66 (皮膚混合腫瘍の病理)
選択問題88:解答 3
すべての人の健康改善(プライマリ・ヘルス・ケア)を提唱したのはアルマ・アタ宣言→3
- 1. オタワ憲章:WHOがヘルスプロモーション(健康増進)を提唱したものとして知られる(1986年)。その後バンコク憲章(2005年)で再提唱された
- 2. ジュネーブ宣言:ヒポクラテスの誓いを引き継いだもので、臨床医の倫理について記載されている(1948年)
- 3. アルマ・アタ宣言:「2000年までに世界のすべての人に健康を」という理念で、WHOにより1978年に提唱された。"すべての"というのはとくに開発途上国を念頭に置かれている
- 4. ニュルンベルク綱領:ヒトに関する医学研究の倫理を定めたもので、1964年世界医師会によって採択された「ヘルシンキ宣言」に影響を与えたとされる。ニュルンベルクの名前からわかるように※、ナチスドイツによる人体実験に対する反省が込められている
- 5. ベルモント・レポート:こちらも研究倫理の原則について定めたもので、アメリカで作成された
※ニュルンベルクは当時のナチス党大会の開催地で、戦後は国際軍事裁判が行われたことが歴史的に知られる
倫理研究に関連する3つの順番としては、まずニュルンベルク綱領(1947年)→これを具体的内容に落とし込んだのがヘルシンキ宣言(1964年, 世界医師会)およびベルモント・レポート(1979年, 米国)ということになる
- 参考:公衆衛生がみえる 2026-2027
関連問題
- 2020 選択99 / 2020 選択100 (各種宣言について)
選択問題89:解答 1, 4
真性皮膚結核は皮膚腺病(scrofuloderma)とtuberculosis verrucosa cutis(皮膚疣状結核)→1, 4
皮膚結核の分類 真性皮膚結核と結核疹
- 結核菌が直接病巣を作るもの(培養で結核菌+):真性皮膚結核
- 結核菌に対するアレルギー反応で生じるもの:結核疹
- 1. scrofuloderma(皮膚腺病):肺などの結核病変が直接皮膚に波及して生じる、真性皮膚結核の代表的疾患。感染症だが疼痛や熱感などの局所所見に乏しい(冷膿瘍)ことが特徴
- 2. erythema induratum(Bazin硬結性紅斑):下腿に好発する紅斑で結節性紅斑に類似するが、組織学的に小葉性脂肪織炎をきたすのが特徴で血管炎所見も見られる
- 3. papulonecrotic tuberculid(丘疹壊疽性結核疹/壊疽性丘疹状結核疹):結核菌に対するアレルギーによって生じる血管炎
- 4. tuberculosis verrucosa cutis(皮膚疣状結核):結核菌にすでに免疫がある人で、外傷によって結核菌が侵入して生じる
- 5. lupus miliaris disseminatus faciei(LMDF, 顔面播種状粟粒性狼瘡):20〜30代に好発し、下眼瞼優位に紅色丘疹が見られるためざ瘡との鑑別が問題となる疾患。組織学的に乾酪壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫が見られるが、結核とは関連しない
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p547(1)/549(2・3・4)/368(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p866(1・4)/868(2・3)/518(5)
関連問題
- 2023 記述12 / 2017 選択32 (皮膚腺病)
- 2022 選択84 / 2021 選択38 / 2018 選択29 / 2009 選択51 (真性結核と結核疹)
- 2024 選択55 / 2009 選択41 (LMDF)
選択問題90:解答 1
メラノーマのステージングを問う出題
左踵の原発巣に加えて、左鼠径部のセンチネルリンパ節で1個転移が見られることからN1aに該当する→1
メラノーマ(悪性黒色腫) 病期分類
進行度分類としてTNM分類が用いられる
進行度(ステージング)としてTNM分類が用いられる
| 名称 | 項目 |
| T分類 | 腫瘍の厚さ(TumorThickness) |
| 潰瘍の有無 | |
| N分類 | 領域リンパ節転移 |
| in-transit転移, 衛星病巣 | |
| M分類 | 遠隔転移 |
| 血清LDH値 |
N分類では領域リンパ節転移の数と転移の広がり方、in-transit転移・衛星病巣によって細分類されている
- 臨床的に明らかなリンパ節転移:臨床所見(リンパ節腫大)や画像評価で明らかな転移
- 臨床的に潜在性のリンパ節転移:臨床上はあきらかではないが、センチネルリンパ節生検によってはじめて明らかになる転移(顕微鏡的転移)
- in-transit転移:原発巣からの距離が2cmを超えた皮膚または皮下組織への転移
- 衛星病巣:原発巣からの距離が2cm以内の皮膚または皮下結節
| N分類 | 定義 | 定義 | |
| N1 | 1個の領域リンパ節転移 | N1a | 顕微鏡的な転移のみ |
| N1b | 肉眼的な(臨床的に明らかな)転移 | ||
| 領域リンパ節転移を伴わない | N1c | 衛星転移 or in-transit転移 | |
| N2 | 2 or 3個の領域リンパ節転移 | N2a | 顕微鏡的な転移のみ |
| N2b | 肉眼的な(臨床的に明らかな)転移 | ||
| 1個の領域リンパ節転移を伴う | N2c | 衛星転移 or in-transit転移 | |
| N3 | 4個以上の領域リンパ節転移 | N3a | 顕微鏡的な転移のみ |
| N3b | 肉眼的な(臨床的に明らかな)転移 | ||
| 2個以上の領域リンパ節転移を伴う | N3c | 衛星転移 or in-transit転移 |
顕微鏡的な領域リンパ節転移であれば末尾がa、肉眼的な領域リンパ節転移であれば末尾がb、衛星転移 or in-transit転移であれば末尾がcとなる
- 1. 1a:リンパ節転移数が1個でセンチネルリンパ節生検で明らかとなった転移 = 顕微鏡的転移のため、本例は1aに該当する
- 2. 1b:リンパ節転移数が1個で「臨床的に明らかな転移」の場合
- 3. 1c:リンパ節転移数が1個で衛星転移 or in-transit転移の場合
- 4. 2a:リンパ節転移数が2-3個で顕微鏡的転移の場合
- 5. 2b:リンパ節転移数が2-3個で「臨床的に明らかな転移」の場合
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p485
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p732
- 参考:皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン 2025 日皮会誌:134(13), 3149-3265, 2024のp3160-3161
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