日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和7(2025)年度の解答解説を作成しました
見出しから各問題へ飛べます
誤字脱字ご意見などあればコメント・右のフォーム・X(旧Twitter)などでご連絡ください
- 問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会(問題・写真はリンク先で確認下さい)
- 参考文献:あたらしい皮膚科学 第3版、皮膚科学(マイナー) 第11版、1冊でわかる皮膚病理 第2版でカッコ内は選択肢番号、その他は問題末に各自記載
※正式な解答は公表されていないので、筆者が考える解答をここでは記載しています
選択問題61〜90は下記
-

令和7(2025)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90
続きを見る
見出し
- 1 令和7年度(2025年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 91〜100 記述問題
- 1.1 選択問題91:解答 1
- 1.2 選択問題92:解答 2
- 1.3 選択問題93:解答 3
- 1.4 選択問題94:解答 4
- 1.5 選択問題95:解答 3
- 1.6 選択問題96:解答 1, 4
- 1.7 選択問題97:解答 3
- 1.8 選択問題98:解答 2
- 1.9 選択問題99:解答 4
- 1.10 選択問題100:解答 4
- 1.11 記述問題1:解答 核塵 (nuclear dust)
- 1.12 記述問題2:解答 ムチン (mucin)
- 1.13 記述問題3:解答 乾酪壊死 (caseous necrosis)
- 1.14 記述問題4:解答 外毛根鞘性角化 (trihilemmal keratinization)
- 1.15 記述問題5:解答 カリクレイン (kallikrein)
- 1.16 記述問題6:解答 febrile
- 1.17 記述問題7:解答 バイオシミラー(bilsimilar), バイオ後続品
- 1.18 記述問題8:解答 肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis)
- 1.19 記述問題9:解答 tombstone
- 1.20 記述問題10:解答 Fabry病
- 1.21 記述問題11:解答 胚中心
- 1.22 記述問題12:解答 毛母腫(pilomatricoma), 石灰化上皮腫(calcifying epithelioma)
- 1.23 記述問題13:解答 window
- 1.24 記述問題14:解答 クロマト(グラフィー)
- 1.25 記述問題15:解答 6ヶ月, 5kg
- 1.26 記述問題16:解答 flat
- 1.27 記述問題17:解答 thymoma
- 1.28 記述問題18:解答 tufted
- 1.29 記述問題19:解答 in-transit
- 1.30 記述問題20:解答 アポトーシス(apotosis)
令和7年度(2025年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 91〜100 記述問題
選択問題91:解答 1
壊死性軟部組織感染症(NSTI, 壊死性筋膜炎)に関する出題
- 1. 診断にはfinger test※が有用→◯
- 2. LRINECスコア※"6点以上"はハイリスクとされる→✗
- 3. Aeromonas属は水のある環境に存在するグラム陰性桿菌で、生魚摂取によるNSTIの原因となる。とくに肝硬変・白血病などの基礎疾患を有する患者で多い→予後良好とは言い難い
- 4. 初期治療では"第3世代"セフェム系抗菌薬(CTRX)やカルバペネム系抗菌薬(MEPM)など広域抗菌薬や毒素産生抑制目的のクリンダマイシン等が用いられる。またいずれにせよ"点滴"が必要→✗
- 5. "陰嚢〜会陰部"の壊死性軟部組織感染症をフルニエ壊疽と呼ぶ→✗
※finger test:局所麻酔下に筋膜まで小切開し、指を入れて周囲組織との剥離を調べる検査。抵抗なく剥離できれば筋膜周囲が壊死していることになる
壊死性筋膜炎 LRINEC score
壊死性筋膜炎の早期診断目的に使われ、採血項目のみ(Lはlaboratory)で評価可能
6点以上で壊死性筋膜炎の可能性が高くなる
| 項目 | 検査値 | 点数 |
| CRP | <15mg/dL | 0 |
| ≧15mg/dL | 4 | |
| 白血球 | <15,000/mm3 | 0 |
| 15,000〜25,000/mm3 | 1 | |
| >25,000/mm3 | 2 | |
| ヘモグロビン | >13.5g/dL | 0 |
| 11〜13.5g/dL | 1 | |
| <11g/dL | 2 | |
| 血清ナトリウム | ≧135mEq/L | 0 |
| <135mEq/L | 2 | |
| 血清クレアチニン | ≦1.6mg/dL | 0 |
| >1.6mg/dL | 2 | |
| 血糖値 | ≦180mg/dL | 0 |
| >180mg/dL | 1 |
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p526(1・2・4・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p846(4)/850(3)/848(5)
- 選択肢3の参考:Aeromonas 壊死性軟部組織感染症 ―本症重篤化機序についての一考察― 日皮会誌:110(5), 815―829, 2000
- 選択肢4の参考:日本版敗血症診療ガイドライン 2024 日集中医誌 2024;31:S1165-1313のpS1199
関連問題
- 2021 選択36 / 2018 選択30 (LRINECスコア)
- 2020 選択32 / 2014 選択81 / 2011 選択30 / 2009 選択65 (診断や治療)
- 2019 選択40 (原因菌)
- 2012 記述7 (フルニエ壊疽)
選択問題92:解答 2
スピッツ母斑についての出題
良性〜境界悪性腫瘍とされ、所属リンパ節に転移することもある→2
- 1. 病理組織学的にはKamino小体と呼ばれる好酸性物質の存在が特徴
- 2. Spitz母斑の14%にリンパ管浸潤が見られるとの報告もあり、転移しないとは言い切れない
- 3. 小児に生じることが多いが、青壮年に発症することもある
- 4. ダーモスコピーでのstarburst pattern(色素斑が全周性に線条で囲まれる)も特徴の一つ
- 5. Spitz母斑の多くはALK, RETなどのキナーゼ融合遺伝子により、一部はHRAS遺伝子の点変異により生じる
Spitz母斑は"完全な悪性"ではなく悪性黒色腫との鑑別が問題となるが、上記の好発年齢・ダーモスコピー・組織所見、急速拡大などの違いがあるとされる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p55・379(1・3・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p558(1・3・4)
- 参考:皮膚科セミナリウム 第24回 Spitz母斑 日皮会誌:117(3), 255-263, 2007
- 選択肢5の参考:メラノサイト系腫瘍の病理診断 MD Derma 343, 61-71, 2024
関連問題
- 2025 選択96 (Malignant Spitz tumorの遺伝子変異)
- 2019 選択89 / 2009 記述6 (Kamino body)
- 2013 選択62 / 2009 記述5 (ダーモスコピー)
選択問題93:解答 3
顔面で見られる常色丘疹で、組織学的には(基底細胞癌様の)腫瘍細胞の胞巣状増殖が見られることから毛包上皮腫を考える→3
- 1. 大腸に腺腫が多発する疾患としてメジャーなのはAPC遺伝子変異が原因となる家族性大腸腺腫症で、Gardner症候群と同一疾患。皮膚症状として類表皮嚢腫や骨腫が見られる
- 2. 多発型(多発性丘疹状毛包上皮腫)はCYLD遺伝子変異による常染色体"顕性(優性)"遺伝性疾患。なおここに円柱種を合併するとBrooke-Spiegler症候群と呼ばれる
- 3. 顔面腫瘍は毛包上皮腫と考えられる
- 4. CYLDはがん抑制遺伝子の1つで、障害を受けることでNF-κBシグナル伝達経路が"活性化"することが腫瘍形成に関連すると考えられている
- 5. 結節性硬化症で見られる顔面血管線維腫に対してはシロリムス(ラパリムス®)ゲルが保険適用。臨床像は毛包上皮腫と類似するが、組織像が異なる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p409(2・3)/397(1)/394(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p607(2・3)/585(1)/574(5)
- 参考:Brooke-Spiegler症候群の1例 日臨皮会誌:35(1), 74-78, 2018
関連問題
- 2023 記述19 / 2014 記述12 (★ほぼ同一問題)
- 2024 選択99 / 2015 選択73 / 2014 選択67 / 2014 記述11 (Brooke-Spiegler症候群, 円柱種)
選択問題94:解答 4
前腕で紅斑やびらんが目立ち、組織学的に顆粒変性を認めることから表皮融解性魚鱗癬を疑う
KRT1/KRT10遺伝子変異が原因となり、ドミナントネガティブ効果が病態に関与する→4
常染色体顕性(優性)遺伝 発症機序
常染色体優性遺伝では2つの対立遺伝子のうち1つに異常があると症状をきたす
このときの発症機序は大きく下記4つに分類される
| 英語 | 日本語 | 機序 |
| gain of funtion | 機能獲得型変異 | 変異遺伝子の生成産物が新たな機能を獲得 |
| activating mutatioin | 活性型変異 | 変異遺伝子の生成産物が本来の機能を増強 |
| haploinfufficiency | ハプロ不全 | 1つの遺伝子変異により、十分な遺伝子産物が生成されなくなる |
| dominant-negative | 優性阻害効果 | 変異遺伝子の生成産物が正常産物の作用を阻害する |
角化細胞の細胞骨格であるケラチンは酸性のタイプⅠケラチンと中性〜塩基性のタイプⅡケラチンが重合して2量体を形成し、その後さらに重合して最終的に32量体を形成する。この32個の中で1つでも遺伝子変異が入ると、正常なケラチンが作用できず異常ケラチンとなって崩壊してしまう
→ケラチン関連遺伝子変異はドミナントネガティブ効果による発症で、原則として常染色体顕性(優性)遺伝形式となる
- 1. ハプロ不全(haploinsufficiency):生体の需要量が多いため(半分ではinsufficientで)発症する機序のこと※。この機序の皮膚科疾患にDarier病やHailey-Hailey病(家族性良性慢性天疱瘡)がある
- 2. 機能獲得変異(gain of function):遺伝子変異により本来持っていなかった"機能を獲得"し発症する機序
- 3. two hit theory:対立遺伝子に2回の変異が生じることで発がんに至るという説(Knudsonが提唱)。網膜芽細胞腫におけるRb遺伝子変異が有名
- 4. ドミナントネガティブ効果:遺伝子変異により正常産物の働きが阻害される。変異のない残り半分が生成する産物が正常でも、うまく機能できなくなり発症に至る。ケラチン関連疾患の他に7型コラーゲン異常が原因の栄養障害型表皮水疱症もこの機序で発症する
※多くの遺伝子では2つの対立遺伝子の1つに突然変異が起こっても、もう一方の正常(野生型)遺伝子から作られるタンパク質だけで十分量を産生できるため疾患を発症しない(つまり遺伝形式としては潜性/劣性となる)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p42・273・581(4)/246(1)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p55・345
- 選択肢3の参考:遺伝性腫瘍とがん予防 岡山医学会雑誌 131(2), 83-87, 2019
- 参考:日本人類遺伝学会 HOME>WebCast>Educations>スライド集の常染色体優性遺伝(15)
- 参考:皮膚科セミナリウム ケラチン 日皮会誌:117(2), 129―135, 2007
関連問題
- 2023 選択47 / 2022 選択22 / 2021 選択11 / 2013 選択8 (ドミナントネガティブ効果と疾患)
- 2021 選択71 (Darier病とHailey-Hailey病はhaploinsufficiencyで成人発症)
選択問題95:解答 3
手背や膝蓋部に鱗屑を伴う紅斑(Gottron徴候)が生じており、組織学的に液状変性が見られることから皮膚筋炎を疑う。筋症状として嚥下障害も伴っている
間質性肺炎を合併している場合、タクロリムスが保険適用となる→3
- 1. ベリムマブ(ベンリスタ®):Bリンパ球刺激因子(BlyS)に対する抗体製剤で、「既存治療で効果不十分なSLE」に対して保険適用
- 2. リツキシマブ(リツキサン®):抗CD20抗体製剤で、皮膚疾患では全身性強皮症や難治性の尋常性および落葉状天疱瘡に対して保険適用
- 3. タクロリムス(プログラフ®):「多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎」に対して保険適用を有している。抗MDA5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎ではステロイド+タクロリムス+シクロホスファミドの3剤併用も行われる
- 4. シクロスポリン(ネオーラル®):皮膚疾患ではアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬(いずれも皮疹面積≧30%)に対して保険適用
- 5. アニフロルマブ(サフネロー®):Ⅰ型インターフェロン(IFN)の受容体に対する抗体製剤で、こちらも「既存治療で効果不十分なSLE」に対して保険適用
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p205
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p412
- 参考:各種添付文書
選択問題96:解答 1, 4
メラノーマの分類と関連する遺伝子異常を問う出題
悪性黒色腫(メラノーマ) 遺伝子異常
メラノーマでは遺伝子異常が多く見られるが、病型ごとによくみられる遺伝子異常は異なる(重複も多いため一部抜粋)
| 新しい分類 | 従来の分類 | 主な遺伝子異常 | |
| low-CSD | 表在拡大型 | BRAF (p.V600E) | |
| high-CSD | 悪性黒子型 | NRAS, p.V600E以外のBRAF | |
| Desmoplastic melanoma | NF1 | ||
| low to no-CSD | malignant Spitz tumor | 結節型の一部 | HRAS, ALK, RET |
| acral | 末端黒子型 | KIT | |
| mucosal | 粘膜 | KIT | |
| Menlanoma in congenital nevus | 巨大獣皮様母斑 | NRAS | |
| Melanoma in blue nevus | 悪性青色母斑 | GNAQ | |
| uveal | 眼球内 | GNAQ | |
*CSD = cumulative sun damage 日光暴露の蓄積量、つまり露光部はhighで非露光部はlow〜noになる
- 1. 粘膜型:KIT遺伝子異常→◯
- 2. ぶどう膜型(uveal):GNAQ遺伝子異常が見られる
- 3. High-CSD:NRASやNF1などの遺伝子異常が見られる。ALKはキナーゼ関連経路で、low to no-CSDで見られる遺伝子異常
- 4. Low-CSD:BRAF V600E変異→◯ この変異がある場合、BRAF/MEK阻害薬が使用可能
- 5. Malignant Spitz tumor:ALK, RETなどのキナーゼ融合遺伝子異常やHRAS遺伝子異常がみられる。GNAQは青色母斑やそこから発生するメラノーマ、眼球内(ぶどう膜)メラノーマで多い遺伝子異常
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p205
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p412
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 分子レベルで考えるメラノーマの発症メカニズム 日皮会誌:131(9), 2009-2016, 2021
- 参考:皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン 2025 日皮会誌:134(13), 3149-3265, 2024のp3158-3159
関連問題
BRAF/MEK阻害薬については下記も参照
-

BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】
続きを見る
選択問題97:解答 3
腋窩の皮内結節で、明るい細胞質を有する腫瘍細胞の増殖が見られる
PAX8やCD10が陽性なことから腎細胞癌の皮膚転移を考える→3
悪性腫瘍の皮膚転移ではCK7やCK20の免疫染色が原発巣推定に用いられる
| CK7+ | CK7- | |
| CK20+ | 尿路上皮癌 | 大腸癌(Paget現象) メルケル細胞癌 胃癌 |
| CK20- | 乳癌 一般的な腺癌(肺腺癌, 膵癌) 乳頭状腎細胞癌 (乳房外Paget病) | 肝細胞癌 前立腺癌 淡明細胞型腎細胞癌 |
- 1. エクリン汗孔腫:腫瘍細胞(poroid cell)が胞巣増殖し、好酸性のクチクラ細胞が管腔を形成する像が見られる。手掌や足底に好発
- 2. 汗腺腫:円形の核をもつ澄明細胞や管腔構造から形成され、頭頚部に好発する
- 3. 腎細胞癌:HE染色では淡明な細胞質をもつ腫瘍細胞がみられ、CD10やPAX8が陽性となる。上皮系マーカー(AE1/AE3)+間葉系マーカーであるビメンチンの双方が陽性なのも特徴
- 4. 肝細胞癌:CK7とCK20はいずれも陰性となる。特異性の高い免疫染色としてHep Par 1(hepatocyte)染色やGlypican-3染色がある
- 5. 肺小細胞癌:HE染色ではN/C比の高い類円型細胞の増殖がみられ、皮膚Merkel細胞癌との鑑別が問題となる。肺小細胞癌ではTTF-1(+), CK20(-)なのが特徴
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p414(1)/415(2)/460(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p616(1)/618(2)
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p27・576/354(1)/358(2)/318(5)
- 参考:免疫組織化学的所見が確定診断に有用であった乳頭状腎細胞癌皮膚転移 皮膚科の臨床60(11), 1786-1790, 2018
関連問題
選択問題98:解答 2
成人で四肢遠位部の浮腫性紅斑や紫斑、関節痛が見られ自然経過で改善している。周辺の流行状況から伝染性紅斑を疑う
ヒトパルボウイルスB19による感染症→2
- 1. ムンプスウイルス:流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因ウイルス。無菌性髄膜炎や内耳性難聴、精巣炎などの合併症がある
- 2. ヒトパルボウイルスB19:伝染性紅斑は別名"リンゴ病"で頬部紅斑が特徴だが、成人例では目立たず膠原病との鑑別が問題となることがある。頬部症状が見られる時期にはすでに感染性はなく、登校制限は不要な点も重要
- 3. コクサッキーウイルスA16:手足口病の原因ウイルスとして最多のウイルス。四肢末端や口腔粘膜でのびらん・水疱形成が特徴
- 4. EBV:伝染性単核球症の原因ウイルス。紅斑が見られ、頚部リンパ節腫脹や発熱、末梢血での異型リンパ球出現などが特徴
- 5. HHV-6:突発性発疹の原因ウイルス。生後半年ごろの乳児で高熱→解熱時に顔面や体幹に紅斑が多発という経過をとる。口蓋垂での永山斑も特徴
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p504(2)/506(3)/507(4)/503(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p799(2)/816(3)/797(4)/799(5)
関連問題
- 2013 選択23 / 2011 選択23 (伝染性紅斑)
- 2021 選択31 / 2017 選択26 / 2012 選択21 / 2010 選択83 (手足口病)
- 2024 選択75 / 2016 選択20 / 2011 選択22(伝染性単核球症)
選択問題99:解答 4
皮膚免疫に関する出題
MHC分子を介する免疫機構は"獲得免疫"→4
- 1. Th1細胞はIFN-γやIL-2などのサイトカインを分泌し、細胞性免疫を誘導する
- 2. Th2細胞はIL-4やIL-13などの2型サイトカインを分泌し、液性免疫(抗原抗体反応が主体)を誘導する
- 3. T細胞受容体を持たず、抗原非特異的に働くリンパ球を自然リンパ球と呼ぶ。自然リンパ球は微生物が侵入した際の初期の免疫応答である自然免疫に関与する機構で、TLR*などを用いて病原体に特有の成分パターンを認識している
- 4. MHC分子を介した抗原提示→その後の免疫応答を獲得免疫と呼び、選択肢1の細胞性免疫や選択肢2の液性免疫が含まれる。選択肢3で出てきた自然免疫と比較すると反応まで時間を要するが、排除能は高い
- 5. 誘導型皮膚関連リンパ網内系組織(iSALT)はIFN-γを分泌し、海綿状態の形成に関与する。アレルギー性接触性皮膚炎の病態において重要
*TLR = toll-like receptor
アトピー性皮膚炎はTh2優位の免疫応答が病態に関連し、IL-4やIL-13をターゲットとした生物学的製剤(デュピルマブ等)が治療で用いられる。詳細は下記
-

アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について
続きを見る
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p28-31(1-4)/33(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p70-76(1-4)
- 選択肢5の参考:マルホ皮膚科セミナー 2016/7/28 第79回日本皮膚科学会東京・東部支部学術大会 教育講演4 皮膚免疫学
関連問題
- 2016 選択14 / 2015 選択11 / 2012 選択82 / 2012 記述9 (自然免疫と獲得免疫)
- 2013 選択13 / 2012 選択9 / 2011 選択10 / 2010 選択9 (Th1/Th2とサイトカイン)
選択問題100:解答 4
女児で四肢に毛孔一致性の丘疹と角化性紅斑が見られることから毛孔性紅色粃糠疹を考える
組織学的にCheckerboard patternが特徴→4
- 1. acantholysis(棘融解):ケラチノサイトの細胞間接着が離開し、間隙や水疱形成をきたしたもの。天疱瘡やDarier病、Hailey-Hailey病で見られる
- 2. epithelioid granuloma(類上皮細胞肉芽腫):大型の組織球(マクロファージ)が密に浸潤したもの。サルコイドーシスでは乾酪壊死がない、柵状肉芽腫では中央にムチン沈着があるなど細分類される
- 3. satellite cell necrosis(衛星細胞壊死):異常角化/個細胞角化(細胞が角層に達する前に角化すること)した細胞にリンパ球が付着した像。多形紅斑やGVHDで見られる
- 4. チェッカーボードサイン:過角化(角層の肥厚)が見られ、正常な角化と不全角化/錯角化(角層に核が残存)が交互に配列する所見。毛孔性紅色粃糠疹でみられる
- 5. Munro's microabscess(マンロー微小膿瘍):角層中〜直下に見られる小膿疱のこと。尋常性乾癬で特徴的な所見※
※膿疱性乾癬で見られるKogoj海綿状膿疱は角層"下"(有棘層上層)で見られるもので部位が異なる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p41・288(4)/43(1)/46(2)/42(3)/44(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p49・394(4)/54(1)/63(2)/187(3)/56(5)
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p44・158(4)/46(1)/51(2)/43・47(3)/52(5)
関連問題
記述問題1:解答 核塵 (nuclear dust)
下腿の浸潤を触れる紫斑であり、IgA血管炎などの血管炎を疑う
血管炎では炎症の結果、好中球の核が壊死・破壊されて核塵として見られる
メモ
血管炎ではフィブリノイド変性(血管壁や血管内腔への好酸性物質の沈着)も特徴の一つで、これらが見られると病理所見として白血球破砕性血管炎(LCV:leukocytoclastic vasculitis)と呼ばれる
LCVを呈する疾患は複数あり、たとえば蛍光抗体直接法でIgAの沈着があればIgA血管炎、24時間以上持続する蕁麻疹様皮疹であれば蕁麻疹様血管炎などの病名になる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p163
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p211
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p52・64・100
関連問題
- 2021 記述5 (LCVのフルスペル)
記述問題2:解答 ムチン (mucin)
鼻の結節で表皮から連続性に腫瘍細胞の胞巣状増殖が見られ、基底細胞癌を考える
基底細胞癌(BCC)では腫瘍胞巣周囲にムチンの沈着が見られ、周囲結合組織との間に裂隙が形成されることが特徴
BCCと組織像が類似し鑑別になることが多い疾患に毛芽腫がある。毛芽腫では腫瘍胞巣と膠原線維が密着し(fibroepithelial unit)、そのさらに外側に裂隙が見られるのが特徴。一方BCCでは膠原線維がなく、腫瘍細胞と裂隙が直接接する
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p444
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p641/607
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p54・336/327
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 毛包系腫瘍の病理 -最近の話題 日皮会誌:128(13), 2815-2822, 2018
関連問題
記述問題3:解答 乾酪壊死 (caseous necrosis)
真性皮膚結核である皮膚腺病の病理組織において、中心部に見られる無構造領域は乾酪壊死と呼ばれる
周辺部には類上皮細胞(マクロファージ)から構成される肉芽腫が見られる→両者をまとめて「乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫」と呼び結核ないしLMDF(顔面播種状粟粒性狼瘡)のキーワード
一方で「乾酪壊死を"伴わない"類上皮細胞肉芽腫」はサルコイドーシスの組織学的特徴で診断基準にも含まれる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p47・547
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p64・863
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p51・252
関連問題
記述問題4:解答 外毛根鞘性角化 (trihilemmal keratinization)
毛包峡部より下方では、好塩基性の顆粒層を伴わない角化形式である外毛根鞘性角化が見られる
頭部に好発する外毛根鞘嚢腫で特徴的な組織所見
一方で毛包漏斗部(より上方)に由来する粉瘤(類表皮嚢腫)では顆粒層を伴う通常の角化形式となる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p418・22
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p16・611
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p274・278
関連問題
記述問題5:解答 カリクレイン (kallikrein)
遺伝性血管性浮腫(HAE)の長期予防治療薬であるラナデルマブやベロトラルスタットはカリクレインを阻害する
カリクレインはブラジキニンを産生する酵素。HAEではブラジキニンが過剰産生され、B2受容体が刺激されることが病態と関与する
遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療
HAEは外傷や抜歯術などの物理的侵襲や精神的ストレスを契機として急性発作をきたすことがある
治療では発作時の治療と長期予防を分けて考える
発作時治療(オンデマンド治療)
急性発作時の治療薬は下記がある
| 作用機序 | 一般名 | 商品名 | 投与経路 | 発売年 |
| ブラジキニンB2受容体拮抗薬 | イカチバント | フィラジル® | 皮下注 (自己注可) | 2018 |
| C1-INH欠損/機能不全を補う補充療法 | C1-INH製剤 | ベリナート® | 静注 | 1990(侵襲を伴う処置前の発症抑制は2017) |
抗ヒスタミン薬・ステロイド薬は無効で、エピネフリンも多くの場合無効
長期予防
長期予防薬は近年複数の新薬が発売されている
| 作用機序 | 一般名 | 商品名 | 投与経路 | 発売年 |
| C1-INH欠損/機能不全を補う補充療法 | C1-INH製剤 | ベリナート®※ | 皮下注(自己注可) | 2022 |
| カリクレイン阻害 | ラナデルマブ | タクザイロ® | 皮下注(病院で投与) | 2022 |
| ベロトラルスタット | オラデオ® | 内服 | 2021 |
※長期予防の場合はベリナート®皮下注2000であり、急性発作時/短期予防の治療とは製剤が異なる
その他トラネキサム酸やダナゾール(アンドロゲン製剤)も用いられる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p133
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p177
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 血管性浮腫の診断と治療 日皮会誌:133(11), 2581-2587, 2023
関連問題(血管性浮腫)
- 2024 選択30 / 2023 選択32 / 2020 選択87 / 2016 選択51 / 2013 選択49 / 2012 選択51 / 2009 選択61 (原因や病態)
- 2022 選択60 / 2021 選択64 / 2019 選択63 (治療)
記述問題6:解答 febrile
Sweet症候群 = acute febrile neutrophilic dermatosis(急性熱性好中球性皮膚症)
febrileは「発熱性」の意味で、川崎病もacute febrile mucocutaneous lymphonode syndromeと呼ばれることがある。afebrile = 無熱性も術後患者のカルテ記載などでよく見かける表現
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p143
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p201
関連問題
記述問題7:解答 バイオシミラー(bilsimilar), バイオ後続品
先行の生物学的製剤と同等の品質・安全性・有効性が確認された生物学的製剤はバイオシミラー(バイオ後続品)と呼ばれる
先行の生物学的製剤より薬価が安いのが特徴で、医療費抑制のため使用が推奨されている。2026年度診療報酬改定でも「後発医薬品・バイオ後続品の使用促進」が基本方針として挙げられている
皮膚科領域では2026年現在下記3剤が用いられている
| 先発品 | 一般名 | バイオシミラー名 |
| レミケード® | インフリキシマブ | インフリキシマブBS |
| ヒュミラ®※ | アダリムマブ | アダリムマブBS |
| ステラーラ® | ウステキヌマブ | ウステキヌマブBS |
※先発品であるヒュミラは壊疽性膿皮症および化膿性汗腺炎にも保険適用を有するが、アダリムマブBSは現状乾癬にしか保険適用がないので注意
ようするに後発医薬品(ジェネリック医薬品)とほぼ同じ概念なのだが、低分子化合物である内服薬等と異なり、高分子化合物である生物学的製剤では"完全な同一性"を示すことが困難なためこのように呼ばれている
- 参考:7 バイオ後続品(バイオシミラー)に関する基本的なこと~一般の皆様への広報資料~ |厚生労働省
- 参考:「後発医薬品」の現状は?バイオシミラーとの違いや使用割合、課題を解説【医師向け】|医師向け情報メディア「ドクタービジョン+」(←自分が昔書いた記事)
- 参考:令和8年度診療報酬改定の基本方針
記述問題8:解答 肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis)
中高年男性で掌蹠多汗症とばち状指、骨や皮膚の肥厚が見られHPGD遺伝子変異を有することから肥厚性皮膚骨膜症の診断
肥厚性皮膚骨膜症
著明な皮膚肥厚やばち状指(時計皿爪)、骨膜性骨肥厚をきたす遺伝性疾患で、プロスタグランジン過剰が原因とされる
皮膚肥厚ではとくに頭皮にみられる脳回転状皮膚の特異性が高い
脳回転状皮膚や眼瞼下垂に対して形成外科的修復が行われる他、選択的COX-2阻害薬(セレコキシブ)が有用という報告がある
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p343
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p503
- 参考:肥厚性皮膚骨膜症(指定難病165) – 難病情報センター
関連問題
記述問題9:解答 tombstone
尋常性天疱瘡では基底層直上で棘融解、表皮内水疱形成が見られる。基底細胞自体は保たれるので、これをtombstone appearance(墓石状外観)と称する

参考サイトより引用, 基底層が残って配列している
尋常性天疱瘡ではケラチノサイト同士を繋ぎ止めるデスモソームの構成成分で、表皮下層に分布する、デスモグレイン3に対する自己抗体が生じる

あたらしい皮膚科学 p249 図14.20より
一方でケラチノサイトと基底細胞を繋ぎ止めるヘミデスモソームに対する構成成分、BP180に対する自己抗体は生じない(これが生じる疾患は"類"天疱瘡)。
→尋常性天疱瘡では基底細胞自体は傷害されず、墓石状に並ぶ所見が見られる
落葉状天疱瘡であればデスモグレイン1に対する自己抗体が生じるが、デスモグレイン1は表皮全層に分布するためより浅い部位(角層直下)で水疱形成をきたす。つまり「落葉状天疱瘡ではtombstone appearanceは生じづらい」ということになる
- 参考・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p247-250
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p309-312
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p136
- 参考:天疱瘡診療ガイドライン2026 日皮会誌:136(3), 189-210, 2026のp192
- 参考・図引用:Histology of tombstone row appearance is seen in ? X
関連問題
記述問題10:解答 Fabry病
男児で全身の無汗症・四肢末端痛・腹部での被角血管腫が見られることからFabry病の診断
Fabry病
α-ガラクトシダーゼAをコードするα-galA遺伝子変異による先天性代謝異常疾患
→代謝されないトリヘキソシルセラミドが組織に沈着し、腎障害や心不全をきたす
X染色体連鎖遺伝で、基本は男性に発症(女性保因者も発症するが一般に男性より軽症)
- 皮膚関連症状:無汗/乏汗症、発作性の四肢末端疼痛、被角血管腫
- その他症状:腎障害、角膜の渦巻状混濁(女性保因者でもみられる)
- 治療:酵素補充療法等
尿検査で見られるマルベリー小体(渦巻状の脂肪成分)も特異性が高く、早期診断に有用な所見とされる

参考サイトより引用
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p334
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p466
- 参考・図引用:ファブリー(Fabry)病 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
関連問題(Fabry病)
- 2023 記述1 / 2013 選択52 (原因酵素)
- 2021 選択73 / 2018 選択56 (治療や症状など)
- 2022 選択13 / 2012 選択1 / 2011 選択2 / 2009 選択1 (無汗症)
記述問題11:解答 胚中心
反応性のリンパ節腫大(や偽リンパ腫)においては胚中心でtingible body macrophageが見られるのが特徴
tingible body macrophageはアポトーシスに至ったB細胞を貪食した組織球のことで、腫瘍性のリンパ節腫大では見られないことから両者の鑑別に有用
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p32
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p701
- 参考:tingible body/tingible body macrophage 皮膚病診療44(13), 153, 2022
関連問題
記述問題12:解答 毛母腫(pilomatricoma), 石灰化上皮腫(calcifying epithelioma)
背部の境界明瞭な皮下結節で、石灰化病変や核が消失し好酸性に染色される陰影細胞(shadow cell)が見られることから毛母腫/石灰化上皮腫の診断
石灰化上皮腫は筋緊張性ジストロフィーで多発することが知られる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p410
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p610
- 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p330
関連問題
記述問題13:解答 window
HIVや梅毒では感染した直後に血液検査では偽陰性となる時期が存在し、window periodと呼ばれる
梅毒においてはwindow periodがTPHA法>STS法で、早期診断にはSTS法が向くとされてきた。しかし近年普及しているTPLA法では両者の関係が逆転し、STS法よりも早期にTPLA法が陽性となる場合がある
-

梅毒 血清学的検査法の比較 STS法 TPHA法(TPLA法)
続きを見る
HIVの検査において、第4世代の検査キットでは抗原・抗体を同時測定可能になり(従前は抗体のみを測定していた)window periodが短縮している
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p509
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p818
- 参考:日本性感染症学会誌 性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016 のp47
関連問題
梅毒の検査については頻出なので上記カード内の記事でまとめた
記述問題14:解答 クロマト(グラフィー)
単純ヘルペスウイルスキットを用いた抗原迅速検査はイムノクロマト(グラフィー)法で測定している
皮膚科領域ではヘルペスウイルスが主な対象となっている(一般的にはインフルエンザやCOVID-19の検査で使用)
| 商品名 | 対象ウイルス | 発売日 |
| プライムチェック®HSV※ | 単純ヘルペスウイルス(HSV-1/2) | 2013/12 |
| デルマクイック®HSV | 2023/2 | |
| デルマクイック®VZV | 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV) | 2018/1 |
※プライムチェック®HSVは使用目的が「性器ヘルペスウイルス感染症の診断の補助」(口唇等は含まれない)点に注意
イムノクロマト法は"抗原"を検査する方法で、5分程度で完了する。ヘルペスウイルス感染症検査として以前から用いられてきたのは抗体検査(中和抗体法:NTやELISA)が多かったが、検査に時間がかかりかつ再感染では信頼性が乏しいことが課題だった
- 参考:各種添付文書
- 参考:帯状疱疹診療ガイドライン 2025 日皮会誌:135(3), 527-556, 2025のp532-533
- 参考:新・皮膚科セミナリウム ウイルス感染症における診断のための検査法と読み方 日皮会誌:124(8), 1545-1553, 2014
関連問題
正式名称は"イムノクロマトグラフィー法"だが、皮膚科学会の帯状疱疹ガイドラインでも「イムノクロマト法」と記載されておりどちらでも正解と思われる
記述問題15:解答 6ヶ月, 5kg
アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブ(デュピクセント®)の用法用量は下記の通り
| 年齢 | 体重 | 用法用量 |
| 小児(生後6ヶ月〜) | 5〜15kg | 200mg 4週間隔 |
| 15〜30kg | 300mg 4週間隔 | |
| 30〜60kg | 初回400mg, その後200mg 2週間隔 | |
| 60kg〜 | 初回600mg, その後300mg 2週間隔 | |
| 成人(15歳〜) | (体重による変化なし) | 初回600mg, その後300mg 2週間隔 |
デュピルマブ投与要件の一つに「適切な外用治療を6ヶ月以上行っていること」があるので生後6ヶ月からというのは妥当なところ
- 参考:デュピクセント 添付文書
関連問題
-

アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について
続きを見る
デュピルマブ等生物学的製剤については近年頻出なので上記カード内の記事でまとめた
記述問題16:解答 flat
Stevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)でみられる特徴的な皮疹はflat atypical targetsと表現される
多形滲出性紅斑におけるtarget lesionと対比されることが多い
| 鑑別点 | 多形滲出性紅斑(EM major) | Stevens-Johnson症候群 |
| 皮疹分布 | 四肢優位 | 顔面・頚部・体幹優位 |
| 皮疹の性状 | target lesion (辺縁が隆起し、中央が陥凹した浮腫性紅斑) |
|
| 粘膜症状 | 弱い | 強い 角膜上皮障害/偽膜形成あり |
| 組織 | 表皮細胞壊死は少数 炎症細胞浸潤が高度 | 広範囲にわたる表皮細胞壊死 少ない細胞浸潤 |
| 全身症状 | 軽度 | 発熱, 倦怠感・重症感, 経口摂取の程度など |
なおflat atypical targetsはSJS診断基準の副所見にも含まれている
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p141・155/139
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p196/187
- 参考:重症多形滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン 日皮会誌:126(9), 1637-1685, 2016のp1640・1649
関連問題
記述問題17:解答 thymoma
浸潤性胸腺腫に伴って落屑を伴う紅斑が多発し、下痢も生じている。胸腺腫の腫瘍随伴症候群であるThymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)を考える
Thymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)
TAMAでは皮膚・肝臓・腸管でGVHDに類似した症状が見られる。胸腺は免疫寛容に関わる臓器であるため、胸腺腫によって自己免疫寛容が破綻することが病態に関与していると考えられている
皮膚病変では鱗屑を伴う角化性紅斑(乾癬様皮疹)の報告が多く、紅皮症を呈することもある
- 組織:基底層での液状変性や個細胞壊死、CD8陽性T細胞の浸潤(GVHD like)が見られ、錯角化を伴う過角化(乾癬like)を伴うことがある
- 治療:胸腺腫に対する加療やIVIgが行われるが予後不良
- 参考:Thymoma-associated multiorgan autoimmunityの1例 日内会誌 107(3):550~555, 2018
- 参考:Thymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)の皮膚病変としてのgraft-versus-host disease(GVHD)-like erythroderma 臨床皮膚科73(5増), 10-16, 2019
記述問題18:解答 tufted
原発性瘢痕性脱毛症の一つである禿髪性毛包炎(folliculitis decalvans)では、1つの毛孔から束状に複数の毛が見られるtufted hairが特徴
組織学的には毛包周囲の好中球浸潤が特徴とされる
瘢痕性脱毛症
瘢痕形成の結果、毛包が破壊され不可逆的な脱毛をきたす疾患のこと↔円形脱毛症などは毛根部が保たれるので不可逆脱毛ではない
外傷や熱傷などによる続発性と、原発性(原発性瘢痕性脱毛症:PCA)がある
原発性のものは組織学的に炎症細胞浸潤が見られ、浸潤細胞によって分類される
| 原発性瘢痕性脱毛症の分類 | ||
| リンパ球性 | 慢性皮膚エリテマトーデス | |
| 毛孔性扁平苔癬 (lichen planopilaris) | frontal fibrosing alopecia | |
| Graham-Little syndrome | ||
| ムチン沈着性脱毛症 (alopecia mucinosa) | ||
| central centrifugal cicatricial alopecia | ||
| 好中球性 | 禿髪性毛包炎 (folliculitis decalvans) | |
| 解離性蜂巣炎 (dissecting cellulitis) ※膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎とも | ||
| 混合性 | erosive pustular dermatosis | |
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p372
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p758
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 原発性瘢痕性脱毛症の最新のマネジメント 日皮会誌:129(1), 7-16, 2019
関連問題(瘢痕性脱毛症)
- 2022 選択67 (禿髪性毛包炎の組織)
- 2021 選択6 / 2016 選択3 / 2009 選択27 (瘢痕性脱毛をきたす疾患)
- 2018 選択3 / 2015 選択4 / 2012 選択3 (毛孔性扁平苔癬, FFA)
記述問題19:解答 in-transit
メラノーマ(悪性黒色腫)において、原発巣から半径2cm離れた部位から所属リンパ節までの間に生じた皮膚または皮下組織への転移をin-transit転移と呼ぶ
原発巣からの距離が2cm"以内"に生じた、皮膚もしくは皮下結節への転移は衛星転移と呼ぶ
メラノーマのTNM分類ではin-transit転移や衛星転移があるとN◯cに分類される
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p482(MEMO)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p732
- 参考:皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025 日皮会誌:134(13), 3149-3265, 2024のp3161
関連問題
記述問題20:解答 アポトーシス(apotosis)
「プログラムされた細胞死」の代表がアポトーシスであり、周囲に炎症を引き起こさないのが特徴。具体例としてはオタマジャクシの尾がカエルになる際に消失する現象が有名
対義語はネクローシスで、外傷などによる意図しない(受動的な)細胞死を示す
- 参考:アポトーシス (プログラム細胞死) - ★線虫 C. elegans ~約1ミリのモデル生物で切り拓く生命科学~ - Cute.Guides at 九州大学 Kyushu University
- 参考:アポトーシスと死細胞除去 皮膚科, 5(5), 439-445, 2024




