皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和7(2025)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題91〜100 記述問題

2025-Specialist-4

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和7(2025)年度解答解説を作成しました

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※正式な解答は公表されていないので、筆者が考える解答をここでは記載しています

選択問題61〜90は下記

2025-Specialist-3
令和7(2025)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

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見出し


令和7年度(2025年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 91〜100 記述問題

選択問題91:解答 1

壊死性軟部組織感染症(NSTI, 壊死性筋膜炎)に関する出題

  • 1. 診断にはfinger test※が有用→◯
  • 2. LRINECスコア※"6点以上"はハイリスクとされる→✗
  • 3. Aeromonas属は水のある環境に存在するグラム陰性桿菌で、生魚摂取によるNSTIの原因となる。とくに肝硬変・白血病などの基礎疾患を有する患者で多い→予後良好とは言い難い
  • 4. 初期治療では"第3世代"セフェム系抗菌薬(CTRX)やカルバペネム系抗菌薬(MEPM)など広域抗菌薬や毒素産生抑制目的のクリンダマイシン等が用いられる。またいずれにせよ"点滴"が必要→✗
  • 5. "陰嚢〜会陰部"の壊死性軟部組織感染症をフルニエ壊疽と呼ぶ→✗

※finger test:局所麻酔下に筋膜まで小切開し、指を入れて周囲組織との剥離を調べる検査。抵抗なく剥離できれば筋膜周囲が壊死していることになる

壊死性筋膜炎 LRINEC score

壊死性筋膜炎の早期診断目的に使われ、採血項目のみ(Lはlaboratory)で評価可能

6点以上で壊死性筋膜炎の可能性が高くなる

項目検査値点数
CRP<15mg/dL0
≧15mg/dL4
白血球<15,000/mm30
15,000〜25,000/mm31
>25,000/mm32
ヘモグロビン>13.5g/dL0
11〜13.5g/dL1
<11g/dL2
血清ナトリウム≧135mEq/L0
<135mEq/L2
血清クレアチニン≦1.6mg/dL0
>1.6mg/dL2
血糖値≦180mg/dL0
>180mg/dL1

関連問題

選択問題92:解答 2

スピッツ母斑についての出題

良性〜境界悪性腫瘍とされ、所属リンパ節に転移することもある→2

  • 1. 病理組織学的にはKamino小体と呼ばれる好酸性物質の存在が特徴
  • 2. Spitz母斑の14%にリンパ管浸潤が見られるとの報告もあり、転移しないとは言い切れない
  • 3. 小児に生じることが多いが、青壮年に発症することもある
  • 4. ダーモスコピーでのstarburst pattern(色素斑が全周性に線条で囲まれる)も特徴の一つ
  • 5. Spitz母斑の多くはALK, RETなどのキナーゼ融合遺伝子により、一部はHRAS遺伝子の点変異により生じる

Spitz母斑は"完全な悪性"ではなく悪性黒色腫との鑑別が問題となるが、上記の好発年齢・ダーモスコピー・組織所見、急速拡大などの違いがあるとされる

関連問題

選択問題93:解答 3

顔面で見られる常色丘疹で、組織学的には(基底細胞癌様の)腫瘍細胞の胞巣状増殖が見られることから毛包上皮腫を考える→3

  • 1. 大腸に腺腫が多発する疾患としてメジャーなのはAPC遺伝子変異が原因となる家族性大腸腺腫症で、Gardner症候群と同一疾患。皮膚症状として類表皮嚢腫や骨腫が見られる
  • 2. 多発型(多発性丘疹状毛包上皮腫)はCYLD遺伝子変異による常染色体"顕性(優性)"遺伝性疾患。なおここに円柱種を合併するとBrooke-Spiegler症候群と呼ばれる
  • 3. 顔面腫瘍は毛包上皮腫と考えられる
  • 4. CYLDはがん抑制遺伝子の1つで、障害を受けることでNF-κBシグナル伝達経路が"活性化"することが腫瘍形成に関連すると考えられている
  • 5. 結節性硬化症で見られる顔面血管線維腫に対してはシロリムス(ラパリムス®)ゲルが保険適用。臨床像は毛包上皮腫と類似するが、組織像が異なる

関連問題

選択問題94:解答 4

前腕で紅斑やびらんが目立ち、組織学的に顆粒変性を認めることから表皮融解性魚鱗癬を疑う

KRT1/KRT10遺伝子変異が原因となり、ドミナントネガティブ効果が病態に関与する→4

常染色体顕性(優性)遺伝 発症機序

常染色体優性遺伝では2つの対立遺伝子のうち1つに異常があると症状をきたす

このときの発症機序は大きく下記4つに分類される

英語日本語機序
gain of funtion機能獲得型変異変異遺伝子の生成産物が新たな機能を獲得
activating mutatioin活性型変異変異遺伝子の生成産物が本来の機能を増強
haploinfufficiencyハプロ不全1つの遺伝子変異により、十分な遺伝子産物が生成されなくなる
dominant-negative優性阻害効果変異遺伝子の生成産物が正常産物の作用を阻害する

角化細胞の細胞骨格であるケラチンは酸性のタイプⅠケラチンと中性〜塩基性のタイプⅡケラチンが重合して2量体を形成し、その後さらに重合して最終的に32量体を形成する。この32個の中で1つでも遺伝子変異が入ると、正常なケラチンが作用できず異常ケラチンとなって崩壊してしまう

→ケラチン関連遺伝子変異はドミナントネガティブ効果による発症で、原則として常染色体顕性(優性)遺伝形式となる

  • 1. ハプロ不全(haploinsufficiency):生体の需要量が多いため(半分ではinsufficientで)発症する機序のこと※。この機序の皮膚科疾患にDarier病やHailey-Hailey病(家族性良性慢性天疱瘡)がある
  • 2. 機能獲得変異(gain of function):遺伝子変異により本来持っていなかった"機能を獲得"し発症する機序
  • 3. two hit theory:対立遺伝子に2回の変異が生じることで発がんに至るという説(Knudsonが提唱)。網膜芽細胞腫におけるRb遺伝子変異が有名
  • 4. ドミナントネガティブ効果:遺伝子変異により正常産物の働きが阻害される。変異のない残り半分が生成する産物が正常でも、うまく機能できなくなり発症に至る。ケラチン関連疾患の他に7型コラーゲン異常が原因の栄養障害型表皮水疱症もこの機序で発症する

※多くの遺伝子では2つの対立遺伝子の1つに突然変異が起こっても、もう一方の正常(野生型)遺伝子から作られるタンパク質だけで十分量を産生できるため疾患を発症しない(つまり遺伝形式としては潜性/劣性となる)

関連問題

選択問題95:解答 3

手背や膝蓋部に鱗屑を伴う紅斑(Gottron徴候)が生じており、組織学的に液状変性が見られることから皮膚筋炎を疑う。筋症状として嚥下障害も伴っている

間質性肺炎を合併している場合、タクロリムスが保険適用となる→3

  • 1. ベリムマブ(ベンリスタ®):Bリンパ球刺激因子(BlyS)に対する抗体製剤で、「既存治療で効果不十分なSLE」に対して保険適用
  • 2. リツキシマブ(リツキサン®):抗CD20抗体製剤で、皮膚疾患では全身性強皮症や難治性の尋常性および落葉状天疱瘡に対して保険適用
  • 3. タクロリムス(プログラフ®):「多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎」に対して保険適用を有している。抗MDA5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎ではステロイド+タクロリムス+シクロホスファミドの3剤併用も行われる
  • 4. シクロスポリン(ネオーラル®):皮膚疾患ではアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬(いずれも皮疹面積≧30%)に対して保険適用
  • 5. アニフロルマブ(サフネロー®):Ⅰ型インターフェロン(IFN)の受容体に対する抗体製剤で、こちらも「既存治療で効果不十分なSLE」に対して保険適用
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p205
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p412
  • 参考:各種添付文書

選択問題96:解答 1, 4

メラノーマの分類と関連する遺伝子異常を問う出題

悪性黒色腫(メラノーマ) 遺伝子異常

メラノーマでは遺伝子異常が多く見られるが、病型ごとによくみられる遺伝子異常は異なる(重複も多いため一部抜粋)

新しい分類従来の分類主な遺伝子異常
low-CSD表在拡大型BRAF (p.V600E)
high-CSD悪性黒子型NRAS, p.V600E以外のBRAF
Desmoplastic melanomaNF1
low to no-CSDmalignant Spitz tumor結節型の一部HRAS, ALK, RET
acral末端黒子型KIT
mucosal粘膜KIT
Menlanoma in congenital nevus巨大獣皮様母斑NRAS
Melanoma in blue nevus悪性青色母斑GNAQ
uveal眼球内GNAQ

*CSD = cumulative sun damage 日光暴露の蓄積量、つまり露光部はhighで非露光部はlow〜noになる

  • 1. 粘膜型:KIT遺伝子異常→◯
  • 2. ぶどう膜型(uveal):GNAQ遺伝子異常が見られる
  • 3. High-CSD:NRASNF1などの遺伝子異常が見られる。ALKはキナーゼ関連経路で、low to no-CSDで見られる遺伝子異常
  • 4. Low-CSD:BRAF V600E変異→◯ この変異がある場合、BRAF/MEK阻害薬が使用可能
  • 5. Malignant Spitz tumor:ALK, RETなどのキナーゼ融合遺伝子異常やHRAS遺伝子異常がみられる。GNAQは青色母斑やそこから発生するメラノーマ、眼球内(ぶどう膜)メラノーマで多い遺伝子異常

関連問題

BRAF/MEK阻害薬については下記も参照

BRAF-MEK-inhibitor
BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】

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選択問題97:解答 3

腋窩の皮内結節で、明るい細胞質を有する腫瘍細胞の増殖が見られる

PAX8やCD10が陽性なことから腎細胞癌の皮膚転移を考える→3

悪性腫瘍の皮膚転移ではCK7やCK20の免疫染色が原発巣推定に用いられる

 CK7+CK7-
CK20+尿路上皮癌大腸癌(Paget現象)
メルケル細胞癌
胃癌
CK20-乳癌
一般的な腺癌(肺腺癌, 膵癌)
乳頭状腎細胞癌
(乳房外Paget病)
肝細胞癌
前立腺癌
淡明細胞型腎細胞癌
  • 1. エクリン汗孔腫:腫瘍細胞(poroid cell)が胞巣増殖し、好酸性のクチクラ細胞が管腔を形成する像が見られる。手掌や足底に好発
  • 2. 汗腺腫:円形の核をもつ澄明細胞や管腔構造から形成され、頭頚部に好発する
  • 3. 腎細胞癌:HE染色では淡明な細胞質をもつ腫瘍細胞がみられ、CD10やPAX8が陽性となる。上皮系マーカー(AE1/AE3)+間葉系マーカーであるビメンチンの双方が陽性なのも特徴
  • 4. 肝細胞癌:CK7とCK20はいずれも陰性となる。特異性の高い免疫染色としてHep Par 1(hepatocyte)染色やGlypican-3染色がある
  • 5. 肺小細胞癌:HE染色ではN/C比の高い類円型細胞の増殖がみられ、皮膚Merkel細胞癌との鑑別が問題となる。肺小細胞癌ではTTF-1(+), CK20(-)なのが特徴
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p414(1)/415(2)/460(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p616(1)/618(2)
  • 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p27・576/354(1)/358(2)/318(5)
  • 参考:免疫組織化学的所見が確定診断に有用であった乳頭状腎細胞癌皮膚転移 皮膚科の臨床60(11), 1786-1790, 2018

関連問題

選択問題98:解答 2

成人で四肢遠位部の浮腫性紅斑や紫斑、関節痛が見られ自然経過で改善している。周辺の流行状況から伝染性紅斑を疑う

ヒトパルボウイルスB19による感染症→2

  • 1. ムンプスウイルス:流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因ウイルス。無菌性髄膜炎や内耳性難聴、精巣炎などの合併症がある
  • 2. ヒトパルボウイルスB19:伝染性紅斑は別名"リンゴ病"で頬部紅斑が特徴だが、成人例では目立たず膠原病との鑑別が問題となることがある。頬部症状が見られる時期にはすでに感染性はなく、登校制限は不要な点も重要
  • 3. コクサッキーウイルスA16:手足口病の原因ウイルスとして最多のウイルス。四肢末端や口腔粘膜でのびらん・水疱形成が特徴
  • 4. EBV:伝染性単核球症の原因ウイルス。紅斑が見られ、頚部リンパ節腫脹や発熱、末梢血での異型リンパ球出現などが特徴
  • 5. HHV-6:突発性発疹の原因ウイルス。生後半年ごろの乳児で高熱→解熱時に顔面や体幹に紅斑が多発という経過をとる。口蓋垂での永山斑も特徴
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p504(2)/506(3)/507(4)/503(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p799(2)/816(3)/797(4)/799(5)

関連問題

選択問題99:解答 4

皮膚免疫に関する出題

MHC分子を介する免疫機構は"獲得免疫"→4

  • 1. Th1細胞はIFN-γやIL-2などのサイトカインを分泌し、細胞性免疫を誘導する
  • 2. Th2細胞はIL-4やIL-13などの2型サイトカインを分泌し、液性免疫(抗原抗体反応が主体)を誘導する
  • 3. T細胞受容体を持たず、抗原非特異的に働くリンパ球を自然リンパ球と呼ぶ。自然リンパ球は微生物が侵入した際の初期の免疫応答である自然免疫に関与する機構で、TLR*などを用いて病原体に特有の成分パターンを認識している
  • 4. MHC分子を介した抗原提示→その後の免疫応答を獲得免疫と呼び、選択肢1の細胞性免疫や選択肢2の液性免疫が含まれる。選択肢3で出てきた自然免疫と比較すると反応まで時間を要するが、排除能は高い
  • 5. 誘導型皮膚関連リンパ網内系組織(iSALT)はIFN-γを分泌し、海綿状態の形成に関与する。アレルギー性接触性皮膚炎の病態において重要

*TLR = toll-like receptor

アトピー性皮膚炎はTh2優位の免疫応答が病態に関連し、IL-4やIL-13をターゲットとした生物学的製剤(デュピルマブ等)が治療で用いられる。詳細は下記

230109-atopicdermatitis-biologics-jakinhibitor
アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について

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関連問題

選択問題100:解答 4

女児で四肢に毛孔一致性の丘疹と角化性紅斑が見られることから毛孔性紅色粃糠疹を考える

組織学的にCheckerboard patternが特徴→4

  • 1. acantholysis(棘融解):ケラチノサイトの細胞間接着が離開し、間隙や水疱形成をきたしたもの。天疱瘡やDarier病、Hailey-Hailey病で見られる
  • 2. epithelioid granuloma(類上皮細胞肉芽腫):大型の組織球(マクロファージ)が密に浸潤したもの。サルコイドーシスでは乾酪壊死がない、柵状肉芽腫では中央にムチン沈着があるなど細分類される
  • 3. satellite cell necrosis(衛星細胞壊死):異常角化/個細胞角化(細胞が角層に達する前に角化すること)した細胞にリンパ球が付着した像。多形紅斑やGVHDで見られる
  • 4. チェッカーボードサイン:過角化(角層の肥厚)が見られ、正常な角化と不全角化/錯角化(角層に核が残存)が交互に配列する所見。毛孔性紅色粃糠疹でみられる
  • 5. Munro's microabscess(マンロー微小膿瘍):角層中〜直下に見られる小膿疱のこと。尋常性乾癬で特徴的な所見※

※膿疱性乾癬で見られるKogoj海綿状膿疱は角層"下"(有棘層上層)で見られるもので部位が異なる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p41・288(4)/43(1)/46(2)/42(3)/44(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p49・394(4)/54(1)/63(2)/187(3)/56(5)
  • 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p44・158(4)/46(1)/51(2)/43・47(3)/52(5)

関連問題

記述問題1:解答 核塵 (nuclear dust)

下腿の浸潤を触れる紫斑であり、IgA血管炎などの血管炎を疑う

血管炎では炎症の結果、好中球の核が壊死・破壊されて核塵として見られる

メモ

血管炎ではフィブリノイド変性(血管壁や血管内腔への好酸性物質の沈着)も特徴の一つで、これらが見られると病理所見として白血球破砕性血管炎(LCV:leukocytoclastic vasculitis)と呼ばれる

LCVを呈する疾患は複数あり、たとえば蛍光抗体直接法でIgAの沈着があればIgA血管炎、24時間以上持続する蕁麻疹様皮疹であれば蕁麻疹様血管炎などの病名になる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p163
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p211
  • 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p52・64・100

関連問題

記述問題2:解答 ムチン (mucin)

鼻の結節で表皮から連続性に腫瘍細胞の胞巣状増殖が見られ、基底細胞癌を考える

基底細胞癌(BCC)では腫瘍胞巣周囲にムチンの沈着が見られ、周囲結合組織との間に裂隙が形成されることが特徴

BCCと組織像が類似し鑑別になることが多い疾患に毛芽腫がある。毛芽腫では腫瘍胞巣と膠原線維が密着し(fibroepithelial unit)、そのさらに外側に裂隙が見られるのが特徴。一方BCCでは膠原線維がなく、腫瘍細胞と裂隙が直接接する

関連問題

記述問題3:解答 乾酪壊死 (caseous necrosis)

真性皮膚結核である皮膚腺病の病理組織において、中心部に見られる無構造領域は乾酪壊死と呼ばれる

周辺部には類上皮細胞(マクロファージ)から構成される肉芽腫が見られる→両者をまとめて「乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫」と呼び結核ないしLMDF(顔面播種状粟粒性狼瘡)のキーワード

一方で「乾酪壊死を"伴わない"類上皮細胞肉芽腫」はサルコイドーシスの組織学的特徴で診断基準にも含まれる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p47・547
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p64・863
  • 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p51・252

関連問題

記述問題4:解答 外毛根鞘性角化 (trihilemmal keratinization)

毛包峡部より下方では、好塩基性の顆粒層を伴わない角化形式である外毛根鞘性角化が見られる

頭部に好発する外毛根鞘嚢腫で特徴的な組織所見

一方で毛包漏斗部(より上方)に由来する粉瘤(類表皮嚢腫)では顆粒層を伴う通常の角化形式となる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p418・22
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p16・611
  • 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p274・278

関連問題

記述問題5:解答 カリクレイン (kallikrein)

遺伝性血管性浮腫(HAE)の長期予防治療薬であるラナデルマブやベロトラルスタットはカリクレインを阻害する

カリクレインはブラジキニンを産生する酵素。HAEではブラジキニンが過剰産生され、B2受容体が刺激されることが病態と関与する

遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療

HAEは外傷や抜歯術などの物理的侵襲や精神的ストレスを契機として急性発作をきたすことがある

治療では発作時の治療と長期予防を分けて考える

発作時治療(オンデマンド治療)

急性発作時の治療薬は下記がある

作用機序一般名商品名投与経路発売年
ブラジキニンB2受容体拮抗薬イカチバントフィラジル®皮下注
(自己注可)
2018
C1-INH欠損/機能不全を補う補充療法C1-INH製剤ベリナート®静注1990(侵襲を伴う処置前の発症抑制は2017)

抗ヒスタミン薬・ステロイド薬は無効で、エピネフリンも多くの場合無効

長期予防

長期予防薬は近年複数の新薬が発売されている

作用機序一般名商品名投与経路発売年
C1-INH欠損/機能不全を補う補充療法C1-INH製剤ベリナート®※皮下注(自己注可)2022
カリクレイン阻害ラナデルマブタクザイロ®皮下注(病院で投与)2022
ベロトラルスタットオラデオ®内服2021

※長期予防の場合はベリナート®皮下注2000であり、急性発作時/短期予防の治療とは製剤が異なる

その他トラネキサム酸やダナゾール(アンドロゲン製剤)も用いられる

関連問題(血管性浮腫)

記述問題6:解答 febrile

Sweet症候群 = acute febrile neutrophilic dermatosis(急性熱性好中球性皮膚症)

febrileは「発熱性」の意味で、川崎病もacute febrile mucocutaneous lymphonode syndromeと呼ばれることがある。afebrile = 無熱性も術後患者のカルテ記載などでよく見かける表現

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p143
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p201

関連問題

記述問題7:解答 バイオシミラー(bilsimilar), バイオ後続品

先行の生物学的製剤と同等の品質・安全性・有効性が確認された生物学的製剤はバイオシミラー(バイオ後続品)と呼ばれる

先行の生物学的製剤より薬価が安いのが特徴で、医療費抑制のため使用が推奨されている。2026年度診療報酬改定でも「後発医薬品・バイオ後続品の使用促進」が基本方針として挙げられている

皮膚科領域では2026年現在下記3剤が用いられている

先発品一般名バイオシミラー名
レミケード®インフリキシマブインフリキシマブBS
ヒュミラ®※アダリムマブアダリムマブBS
ステラーラ®ウステキヌマブウステキヌマブBS

※先発品であるヒュミラは壊疽性膿皮症および化膿性汗腺炎にも保険適用を有するが、アダリムマブBSは現状乾癬にしか保険適用がないので注意

ようするに後発医薬品(ジェネリック医薬品)とほぼ同じ概念なのだが、低分子化合物である内服薬等と異なり、高分子化合物である生物学的製剤では"完全な同一性"を示すことが困難なためこのように呼ばれている

記述問題8:解答 肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis)

中高年男性で掌蹠多汗症とばち状指、骨や皮膚の肥厚が見られHPGD遺伝子変異を有することから肥厚性皮膚骨膜症の診断

肥厚性皮膚骨膜症

著明な皮膚肥厚やばち状指(時計皿爪)、骨膜性骨肥厚をきたす遺伝性疾患で、プロスタグランジン過剰が原因とされる

皮膚肥厚ではとくに頭皮にみられる脳回転状皮膚の特異性が高い

脳回転状皮膚や眼瞼下垂に対して形成外科的修復が行われる他、選択的COX-2阻害薬(セレコキシブ)が有用という報告がある

関連問題

記述問題9:解答 tombstone

尋常性天疱瘡では基底層直上で棘融解、表皮内水疱形成が見られる。基底細胞自体は保たれるので、これをtombstone appearance(墓石状外観)と称する

2025-tombstone-appearance

参考サイトより引用, 基底層が残って配列している

尋常性天疱瘡ではケラチノサイト同士を繋ぎ止めるデスモソームの構成成分で、表皮下層に分布する、デスモグレイン3に対する自己抗体が生じる

2024-Dsg13

あたらしい皮膚科学 p249 図14.20より

一方でケラチノサイトと基底細胞を繋ぎ止めるヘミデスモソームに対する構成成分、BP180に対する自己抗体は生じない(これが生じる疾患は"類"天疱瘡)。

→尋常性天疱瘡では基底細胞自体は傷害されず、墓石状に並ぶ所見が見られる

落葉状天疱瘡であればデスモグレイン1に対する自己抗体が生じるが、デスモグレイン1は表皮全層に分布するためより浅い部位(角層直下)で水疱形成をきたす。つまり「落葉状天疱瘡ではtombstone appearanceは生じづらい」ということになる

関連問題

記述問題10:解答 Fabry病

男児で全身の無汗症・四肢末端痛・腹部での被角血管腫が見られることからFabry病の診断

Fabry病

α-ガラクトシダーゼAをコードするα-galA遺伝子変異による先天性代謝異常疾患

→代謝されないトリヘキソシルセラミドが組織に沈着し、腎障害や心不全をきたす

X染色体連鎖遺伝で、基本は男性に発症(女性保因者も発症するが一般に男性より軽症)

  • 皮膚関連症状:無汗/乏汗症、発作性の四肢末端疼痛、被角血管腫
  • その他症状:腎障害、角膜の渦巻状混濁(女性保因者でもみられる)
  • 治療:酵素補充療法等

尿検査で見られるマルベリー小体(渦巻状の脂肪成分)も特異性が高く、早期診断に有用な所見とされる

2021-Marbury

参考サイトより引用

関連問題(Fabry病)

記述問題11:解答 胚中心

反応性のリンパ節腫大(や偽リンパ腫)においては胚中心でtingible body macrophageが見られるのが特徴

tingible body macrophageはアポトーシスに至ったB細胞を貪食した組織球のことで、腫瘍性のリンパ節腫大では見られないことから両者の鑑別に有用

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p32
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p701
  • 参考:tingible body/tingible body macrophage 皮膚病診療44(13), 153, 2022

関連問題

記述問題12:解答 毛母腫(pilomatricoma), 石灰化上皮腫(calcifying epithelioma)

背部の境界明瞭な皮下結節で、石灰化病変や核が消失し好酸性に染色される陰影細胞(shadow cell)が見られることから毛母腫/石灰化上皮腫の診断

石灰化上皮腫は筋緊張性ジストロフィーで多発することが知られる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p410
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p610
  • 参考書籍:1冊でわかる皮膚病理 第2版 p330

関連問題

記述問題13:解答 window

HIVや梅毒では感染した直後に血液検査では偽陰性となる時期が存在し、window periodと呼ばれる

梅毒においてはwindow periodがTPHA法>STS法で、早期診断にはSTS法が向くとされてきた。しかし近年普及しているTPLA法では両者の関係が逆転し、STS法よりも早期にTPLA法が陽性となる場合がある

220502-STS-TPHA
梅毒 血清学的検査法の比較 STS法 TPHA法(TPLA法)

続きを見る

HIVの検査において、第4世代の検査キットでは抗原・抗体を同時測定可能になり(従前は抗体のみを測定していた)window periodが短縮している

関連問題

梅毒の検査については頻出なので上記カード内の記事でまとめた

記述問題14:解答 クロマト(グラフィー)

単純ヘルペスウイルスキットを用いた抗原迅速検査はイムノクロマト(グラフィー)法で測定している

皮膚科領域ではヘルペスウイルスが主な対象となっている(一般的にはインフルエンザやCOVID-19の検査で使用)

商品名対象ウイルス発売日
プライムチェック®HSV※単純ヘルペスウイルス(HSV-1/2)2013/12
デルマクイック®HSV2023/2
デルマクイック®VZV水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)2018/1

※プライムチェック®HSVは使用目的が「性器ヘルペスウイルス感染症の診断の補助」(口唇等は含まれない)点に注意

イムノクロマト法は"抗原"を検査する方法で、5分程度で完了する。ヘルペスウイルス感染症検査として以前から用いられてきたのは抗体検査(中和抗体法:NTやELISA)が多かったが、検査に時間がかかりかつ再感染では信頼性が乏しいことが課題だった

関連問題

正式名称は"イムノクロマトグラフィー法"だが、皮膚科学会の帯状疱疹ガイドラインでも「イムノクロマト法」と記載されておりどちらでも正解と思われる

記述問題15:解答 6ヶ月, 5kg

アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブ(デュピクセント®)の用法用量は下記の通り

年齢体重用法用量
小児(生後6ヶ月〜)5〜15kg200mg 4週間隔
15〜30kg300mg 4週間隔
30〜60kg初回400mg, その後200mg 2週間隔
60kg〜初回600mg, その後300mg 2週間隔
成人(15歳〜)(体重による変化なし)初回600mg, その後300mg 2週間隔

デュピルマブ投与要件の一つに「適切な外用治療を6ヶ月以上行っていること」があるので生後6ヶ月からというのは妥当なところ

関連問題

230109-atopicdermatitis-biologics-jakinhibitor
アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について

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デュピルマブ等生物学的製剤については近年頻出なので上記カード内の記事でまとめた

記述問題16:解答 flat

Stevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)でみられる特徴的な皮疹はflat atypical targetsと表現される

多形滲出性紅斑におけるtarget lesionと対比されることが多い

鑑別点多形滲出性紅斑(EM major)Stevens-Johnson症候群
皮疹分布四肢優位顔面・頚部・体幹優位
皮疹の性状target lesion
(辺縁が隆起し、中央が陥凹した浮腫性紅斑)
  • flat atypical targets
    (隆起せず中央が暗紅色)
  • びまん性紅斑
粘膜症状弱い強い
角膜上皮障害/偽膜形成あり
組織表皮細胞壊死は少数
炎症細胞浸潤が高度
広範囲にわたる表皮細胞壊死
少ない細胞浸潤
全身症状軽度発熱, 倦怠感・重症感, 経口摂取の程度など

なおflat atypical targetsはSJS診断基準の副所見にも含まれている

関連問題

記述問題17:解答 thymoma

浸潤性胸腺腫に伴って落屑を伴う紅斑が多発し、下痢も生じている。胸腺腫の腫瘍随伴症候群であるThymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)を考える

Thymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)

TAMAでは皮膚・肝臓・腸管でGVHDに類似した症状が見られる。胸腺は免疫寛容に関わる臓器であるため、胸腺腫によって自己免疫寛容が破綻することが病態に関与していると考えられている

皮膚病変では鱗屑を伴う角化性紅斑(乾癬様皮疹)の報告が多く、紅皮症を呈することもある

  • 組織:基底層での液状変性や個細胞壊死、CD8陽性T細胞の浸潤(GVHD like)が見られ、錯角化を伴う過角化(乾癬like)を伴うことがある
  • 治療:胸腺腫に対する加療やIVIgが行われるが予後不良

記述問題18:解答 tufted

原発性瘢痕性脱毛症の一つである禿髪性毛包炎(folliculitis decalvans)では、1つの毛孔から束状に複数の毛が見られるtufted hairが特徴

組織学的には毛包周囲の好中球浸潤が特徴とされる

瘢痕性脱毛症

瘢痕形成の結果、毛包が破壊され不可逆的な脱毛をきたす疾患のこと↔円形脱毛症などは毛根部が保たれるので不可逆脱毛ではない

外傷や熱傷などによる続発性と、原発性(原発性瘢痕性脱毛症:PCA)がある

原発性のものは組織学的に炎症細胞浸潤が見られ、浸潤細胞によって分類される

原発性瘢痕性脱毛症の分類
リンパ球性慢性皮膚エリテマトーデス
毛孔性扁平苔癬
(lichen planopilaris)
frontal fibrosing alopecia
Graham-Little syndrome
ムチン沈着性脱毛症
(alopecia mucinosa)
central centrifugal cicatricial alopecia
好中球性禿髪性毛包炎
(folliculitis decalvans)
解離性蜂巣炎
(dissecting cellulitis)
※膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎とも
混合性erosive pustular dermatosis

関連問題(瘢痕性脱毛症)

記述問題19:解答 in-transit

メラノーマ(悪性黒色腫)において、原発巣から半径2cm離れた部位から所属リンパ節までの間に生じた皮膚または皮下組織への転移をin-transit転移と呼ぶ

原発巣からの距離が2cm"以内"に生じた、皮膚もしくは皮下結節への転移は衛星転移と呼ぶ

メラノーマのTNM分類ではin-transit転移や衛星転移があるとN◯cに分類される

関連問題

記述問題20:解答 アポトーシス(apotosis)

「プログラムされた細胞死」の代表がアポトーシスであり、周囲に炎症を引き起こさないのが特徴。具体例としてはオタマジャクシの尾がカエルになる際に消失する現象が有名

対義語はネクローシスで、外傷などによる意図しない(受動的な)細胞死を示す

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