勉強日記

振り返り

2015年9月12日

150912-Study

試験やマッチングでバタバタしていて書けませんでしたが、九州に旅行に行った時の2日目(大分国東半島)の記事を書きました。

【旅行】大分 国東半島史跡めぐり | それいきノート:医学生編

ここだけの話結構このような記事を書くのは大変ですが、書く際に調べるので色々新しい発見もあったりします。振り返りという意味でも良いと思うので、何かイベントがあったときは記事にしていきたいですね。

今日の勉強内容

150912-Study

150912の勉強時間:8時間18分

というかよく考えてみたら(考えてみなくても)、毎日書いてるこの勉強内容についても1日の振り返りですね。こんな内容でも毎日書いてると少しずつ進歩しているのが解ってよいものです。

内容としては今日もQB W(泌尿器科)を継続。

150912-QBW

腫瘍・尿路結石とメジャー級疾患が終わり、明日からは後半戦。泌尿器科は基本的に外科系の科だと思いますが、前立腺癌の内分泌療法や排尿障害のように内科的な側面もそこそこ強いのが面白いところですね。

以下は今日の勉強ノート


腫瘍

腎細胞癌

組織型など

多くは近位尿細管由来の淡明細胞癌(グリコーゲンを多く含むため病理組織が明るく見える)で、散発例であってもVHL遺伝子(von Hippel-Lindau病の原因遺伝子)に変異を持つことが多い。

長期透析患者に後天性腎嚢胞症から透析腎癌を生じることがあるが、この際の組織型は乳頭型細胞癌(病理で乳頭状増殖する)のことが多い。

治療

遠隔転移がある場合でも原発巣の切除を行い、可能なら転移巣の切除も行う。
※基本的に転移巣があれば切除しない悪性腫瘍が多いため珍しい。他には大腸癌も類似した治療戦略

一般の抗癌剤や放射線には抵抗性なため、遠隔転移がある場合従来はIL-2やインターフェロンαを用いた免疫療法を行っていたが、近年は分子標的薬を用いることが多い。使用されるのはVEGF/PDGF受容体阻害薬のソラフェニブ・スニチニブ・アキシニチブ・パゾパニブやmTOR阻害薬のエベロリムス・テムシロリムスなど。

腎盂・尿管癌

症状・検査
  • 無症候性血尿:膀胱癌と類似
  • 尿路系腫瘍のため、尿細胞診が診断に有用↔腎細胞癌ではある程度大きくならないと尿異常とならない
  • 確定診断のためには尿管鏡を用いて生検を行う
  • 尿路系腫瘍は重複しやすいため、片方の尿管に腫瘍があった場合もう片方の尿管や膀胱もチェック
治療

腎尿管全摘+尿管開口部付近の膀胱部分切除
術後に30〜50%で膀胱癌が続発するとされ、定期検査でフォローする必要がある

膀胱癌

  • 肉眼的に乳頭状の腫瘍は非筋層浸潤型であることが多い。上皮内癌の場合膀胱鏡では確認しづらい。
  • 芳香族アミン(ベンジジン・β-ナフチルアミン・オーラミン)や喫煙、慢性炎症(ビルハルツ住血吸虫)がリスク
治療
  • 非筋層浸潤癌:TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)→その後抗癌剤やBCGの膀胱内注入を行うこともある
  • 上皮内癌:BCGの膀胱内注入
  • 筋層浸潤:膀胱全摘(精嚢や前立腺を含む)および再建

再建には尿管を皮膚に固定する方法(尿管皮膚瘻)や、回腸を用いて新しい膀胱を作る方法(自排尿型代用膀胱)がある。
進行癌で行われる化学療法ではGC(ゲムシタビン・シスプラチン)療法が用いられる。

TURBTでは灌流液が体内へ吸収され低Na血症が生じる(TUR反応)ことがあったが、近年生理食塩水を用いることが増えたため頻度は減少。
※従来は電気メスを使用する際には電気を通す生理食塩水が使えなかったが、bipolarメスにより可能となった。

前立腺癌

家族歴がある。また人種によっても発生率が異なり、日本人に比べて白人は10倍、黒人は20倍以上の発生率とされる。
初期は自覚症状に乏しいため、PSA測定がスクリーニングとして有用。

診断・評価

MRI拡散強調像で低信号を、経直腸エコーで低エコー像を示す。

150912-echo

source:前立腺癌-泌尿器科学教室(京都大学医学研究科)-

病理学的にはGleasonスコアが用いられ、6点以下で予後良好/8点以上で予後不良とされる。Gleasonスコアは組織標本中で優位な2つの組織像を足し合わせた合計がスコアとなる。例3+3=6点

150912-GleasonScore

source:Johns Hopkins - Brady Urological Institute- Partin Tables

治療

・手術
腹腔鏡下手術やda Vinciを使用したロボット支援下手術が行われる。なお前立腺癌全摘は現在da Vinciで唯一保険適用となっている治療でもある。

・放射線
外部放射線治療としてIMRT(強度変調放射線治療)が用いられる。前立腺は直腸が近く、直腸に放射線が当たりすぎると穿孔をきたすため周辺組織への被爆線量を低下させるIMRTが有効。

150912-IMRT

source:兵庫県立がんセンターについて-各診療科・各部の紹介-診療部-放射線治療科 :: 兵庫県立がんセンター

・内分泌療法(抗男性ホルモン療法)
前立腺癌はアンドロゲン依存性に増殖するため、進行癌では去勢やGnRHアゴニストを利用した内分泌療法が有効。一次治療として化学療法は行わない。
ただし長期間の経過ではホルモン療法抵抗性となり、CRPC(castration resitant prostate cancer)と呼ばれるようになる。これは前立腺癌細胞内でのアンドロゲン合成能が亢進し、組織内でアンドロゲンが上昇することが原因とされる。この場合はドセタキセル(タキサン系)が使用される。

※現在CRPCに対してアンドロゲン合成酵素阻害薬やアンドロゲン受容体アンタゴニストが開発中

・PSA監視療法
PSA検査の普及で早期に診断される前立腺癌が増加した。その結果本来治療する必要が無い(生命予後と関連しない)前立腺癌にも手術が行われているではないかという懸念から、PSA監視療法が行われるようになった。
PSA測定や直腸診、前立腺生検を定期的に行い悪化傾向が見られた場合は治療を行う。

前立腺肥大症

前立腺組織の腺腫様過形成

症状・検査
  • 排尿開始の遅延や尿勢低下による排尿時間の延長がみられる
  • 超音波検査で残尿測定や水腎症の確認も可能。ただし前立腺肥大の程度と排尿障害は必ずしも相関しないので、後者を重視する。
  • 残尿が高度な重症例では膀胱鏡にて膀胱の肉柱形成が認められ(参考:第1回TECOM模試A-9)、膀胱憩室も生じる。つまり膀胱内圧が上昇する結果、筋肥大や憩室が生じるといえる。
治療

外科的治療としてHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)などの経尿道的前立腺核出術も行われる。TUR-P(経尿道的前立腺切除術)と比べて出血量が少なくて済み、再肥大も少ないというメリットがある

150912-HoLEP

source:泌尿器科-前立腺肥大症の最先端治療〜HoLEPとは?- | 上尾中央総合病院

精巣腫瘍

若年男性に好発する(セミノーマ)。

組織型ではセミノーマが最も多く、次は胎児性癌。幼児においては卵黄嚢腫が多い。セミノーマ以外の成分を含んでいれば、非セミノーマとして扱われる。セミノーマでは放射線が効きやすいため用いられるが、非セミノーマでは用いない。

化学療法:BEP療法(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)

腎・尿路結石

結石の種類としてはカルシウム含有結石が80%を占める。
部位としては尿管が50%前後、腎臓が40%前後をしめ上部尿路に多い。膀胱結石は尿道カテーテル長期留置後や神経因性膀胱などに生じる

リスクファクター 参考:MEC夏模試I-40
  • 長期臥床:尿管から膀胱への尿うっ滞が起こりやすく、骨吸収も促進されやすい
  • 尿路感染症:ウレアーゼ産生菌によりアンモニアが生じ、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)結石が出来やすくなる。逆に結石もうっ滞をきたすため尿路感染症のリスクとなる。
  • Cushing症候群:コルチゾールにより尿細管でのCa再吸収が抑制される。ステロイド使用もリスクとなる
診察・検査
  • 結石の嵌頓により腎盂内圧が上昇し、腎被膜が伸展されることで痛みを感じる→CVA叩打痛
  • 尿管結石が疑われる時は、超音波で水腎症の有無をチェックしておく(尿管結石は見えないことが多い)。水腎症があれば腎梗塞や大動脈解離との鑑別にも有効
治療

・結石溶解療法
シスチン結石ではチオプロニンやD-ペニシラミンによる結石溶解促進、重炭酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムによる尿のアルカリ化(シスチンはアルカリで溶解しやすい)が行われる。尿酸結石でも尿のアルカリ化は有効

・侵襲的治療
長径10mm以上の場合や、尿路閉塞が持続し腎機能低下が懸念される際、感染を合併した際に行う。
方法としてTUL(経尿道的尿管砕石術)やESWL(体外衝撃波砕石術)があり、上部尿管ではESWLが、下部尿路ではTULが用いられる。

また重症尿路感染症を合併している場合は尿管ステント挿入や腎瘻造設で閉塞を解除する。

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