皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和5(2023)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題91〜100 記述問題

2023-specialist-4

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和5(2023)年度解答解説を作成しました

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選択問題61〜90は下記

2023-specialist-3
令和5(2023)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

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見出し


令和5年度(2023年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 91〜100 記述

選択問題91:解答 1

隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)に関する出題

局所再発をきたしやすいが、遠隔転移は10%と稀→1

  • 1. 遠隔転移は10%以下と稀
  • 2. 免疫染色ではCD34(+), 血液凝固第ⅩⅢa因子(-)となるのが特徴※
  • 3. 組織では腫瘍細胞が花むしろ状(storiform pattern)に増殖するのが特徴。また(DFと比較して)膠原線維が乏しいことも特徴
  • 4. 切除後局所再発をきたすことが多いため、広範囲切除が必要
  • 5. COL1A1-PDGFB融合遺伝子を大部分の症例で認める

※良性疾患である皮膚線維腫(DF)ではCD34(-), ⅩⅢa(+)となるため鑑別に用いられる

関連問題(DFSP)

選択問題92:解答 1, 4

Ehlers-Danlos症候群に関する問題

Ehlers-Danlos症候群 (EDS)

真皮コラーゲン(Ⅰ・Ⅲ・Ⅴ型)をコードする遺伝子変異により発症し、多くは常染色体優性遺伝形式をとる

代表的な症状は下記3つ

  • 皮膚の過伸展性
  • 易出血性 (心血管異常)
  • 靱帯や関節の可動性亢進 (易脱臼)
2022-Ehlers-Danlos-syndrome

参考文献より引用, 皮膚の過伸展性がみられる

臨床症状により血管型・古典型などに分類される。Ⅲ型コラーゲンの異常による血管型は重症例が多い

穿孔性皮膚症の一つ蛇行性穿孔性弾力線維症を合併することがある

  • 1. 関節の過可動(→脱臼)や皮膚の過伸展性が特徴→◯
  • 2・3. EDSと同じく結合組織異常をきたす疾患、Marfan症候群では高身長やくも状指が特徴
  • 4. 古典型EDSはⅤ型やⅠ型コラーゲン遺伝子変異が原因となる→◯
  • 5. 血管型EDSは"Ⅲ型コラーゲン"遺伝子変異が原因となる。Ⅶ型コラーゲンは係留線維を構成し、先天的な遺伝子変異は栄養障害型表皮水疱症の原因となる※

※Ⅶ型コラーゲンに対し、後天的に自己抗体が生じると後天性表皮水疱症をきたす

関連問題(Ehlers-Danlos症候群)

  • 2022 選択56 (臨床問題)
  • 2010 選択46 / 2009 選択45 (症状, 血管型の原因遺伝子)
  • 2014 選択52 (蛇行性穿孔性弾力線維症の基礎疾患)

(類似疾患であるPXEが頻出なのと比較し)Ehlers-Danlos症候群は長らく出題が少なかったが、2022-2023年と連続で出題されており今後も注意が必要と考えられる

選択問題93:解答 3, 4

乳房外Paget病(EMPD)に関する出題

  • 1. 人口10万人あたりの比較で、アジア圏は0.28人/年と白人(0.13人/年)より高頻度に発症するとされる
  • 2. "高齢者で"アポクリン腺が多い部位である外陰部や肛門部・腋窩、臍部などに好発する
  • 3. 境界不明瞭な場合は、マッピング生検によって病変範囲を決定する必要がある
  • 4. EMPDではCK7(+), CK20(-), GCDFP-15(+)となる。下記表も参照
  • 5. 進行例ではドセタキセルやFP療法*が行われるが、保険適用のある薬剤はない

*FP = 5-FU + CDDP(シスプラチン)

乳房外Paget病とPaget現象 免疫染色

皮膚原発疾患が乳房外Paget病だが、直腸癌や尿路系癌の皮膚浸潤でも類似所見を示し(Paget病)鑑別が問題となる

免疫染色が両者の鑑別に利用される

CK7 CK20 GCDFP15
乳房外Paget病 + - +
Paget現象 - + -

CDX2も直腸癌など消化器癌(≒Paget病)で陽性率が高く、鑑別に用いられることがある

関連問題

選択問題94:解答 1

ヒトを対象とした医学研究での対応について問う出題

患者は同意後に同意を撤回する権利を有する→1

これは研究に関する倫理方針を定めたヘルシンキ宣言にも含まれる

  • 1. 被験者はいつでも不利益を受けることなしに研究参加の拒否や参加同意の撤回を行うことが可能
  • 2. 患者が小学校低学年の場合、両親など代諾者に対するIC(informed consent)や適切な同意が必要。本人からの同意は不要だが、研究に関してわかりやすい言葉で説明し研究の賛意を得る(インフォームド・アセント)よう努めることが必要※
  • 3. 研究により生じた知見や特許、その他知的財産に関する権利は患者ではなく研究者に帰属する
  • 4. 採血による侵襲は(生検等と比較すれば)軽微だが、神経損傷等の可能性はあるため「予想される不利益はない」とは言えない
  • 5. 患者匿名化番号と患者情報との連結表や試料・情報は"研究責任者"が管理する。研究代表者は多機関共同研究における複数の研究機関の研究責任者を代表する人物のこと

※研究対象者が中学校等の過程を修了 or 16歳以上の未成年者で十分な判断能力を有する場合は、(未成年者であっても)本人からのインフォームド・コンセントが必要。本例の場合は小学校低学年なのでインフォームド・コンセントまでは不要

メモ:単語の定義

インフォームド・コンセント

研究の実施又は継続(試料・情報の取扱いを含む。)に関する研究対象者等の同意であって、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者から十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意志に基づいてなされるものをいう。

インフォームド・アセント

インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される研究対象者※が、実施又は継続されようとする研究に関して、その理解力に応じたわかりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施又は継続されることを理解し、賛意を表することをいう。

※つまり意思疎通が十分に測れない小児や、精神発達遅滞・認知症などの対象者のこと。小学校低学年がどちらかは個人差もありそうだが、こちらに該当すると考えられる

関連問題

選択問題95:解答 2

後頭部の脱毛斑より生検した像。毛包周囲のリンパ球浸潤がみられ、円形脱毛症(alopecia areata)に該当する→2

円形脱毛症の急性期では毛球部周囲にリンパ球の密な浸潤(swarm of bees)がみられ、特徴的所見とされる

  • 1. トリコチロマニア:円形脱毛症と臨床像は類似するが、組織では炎症細胞浸潤が乏しい。毛包内の出血(トリコスコピーでのfollicular microhemorrhage)もみられる
  • 2. 円形脱毛症:急性期のswarm of beesが特徴的な所見。一方慢性期になると炎症細胞浸潤は見られなくなり、休止期毛が増加する
  • 3. 毛孔性扁平苔癬(lichen planopilaris):リンパ球性PCAに分類され、組織では顆粒層肥厚やシバット小体など扁平苔癬様変化がみられる
  • 4. 禿髪性毛包炎(folliculitis decalvans):好中球性PCAに分類され、1つの毛包から複数の毛が束になって生えるtufted hairが特徴。組織では毛包漏斗部の融合として見える
  • 5. 円板状エリテマトーデス(discoid lupus erythematosus)≒慢性皮膚エリテマトーデス(CCLE):リンパ球性PCAに分類され、組織では間質のムチン沈着や液状変性が特徴

*PCA = 原発性瘢痕性脱毛症, 円形脱毛症と異なり毛包上皮幹細胞が存在するbulge領域が障害されるため不可逆的脱毛をきたす疾患。生検では毛包漏斗部〜峡部の周囲を中心とした炎症細胞浸潤と皮脂腺が消失し線維性組織に置換される像がみられる

関連問題

選択問題96:解答 3, 5

水疱症に関する問題

  • 1. "線状IgA水疱性皮膚症(LABD)"はバンコマイシンなど薬剤性に発症する場合がある。治療ではDDSが第一選択
  • 2. "抗ラミニンγ1(p200)"類天疱瘡は半数に尋常性乾癬を合併する。ラミニン332は粘膜類天疱瘡の原因分子の一つ(BP180と異なりsplit skin testで真皮側に沈着)で、悪性腫瘍を合併しやすい
  • 3. 妊娠性疱疹(妊娠性類天疱瘡)では17型コラーゲン(BP180)に対する自己抗体が検出される→◯
  • 4. "LABD"ではLAD-1やLAD-97と呼ばれるBP180の分解産物が原因分子となる。デューリング疱疹状皮膚炎はLABDと臨床像が類似するが、グルテン過敏性腸炎を合併することが特徴
  • 5. 水疱型(水疱性)エリテマトーデスでは7型コラーゲンに対する自己抗体が検出される→◯※

※水疱型エリテマトーデスは広義にはSLEに生じる水疱性病変全般を示し、狭義にはその中で7型コラーゲンに対する自己抗体が検出されるもののことを示す

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p263(1)/259・264(2)/258(3)/88・261・263(4)/199(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p323(1)/321・322(2)322(3)/323-324(4)/433(5)

関連問題

  • 2013 選択40 (★ほぼ同一問題★)
  • 2015 選択32 / 2009 選択40 (抗ラミニンγ1類天疱瘡)
  • 2019 選択57 / 2018 選択42 /  2012 選択41 / 2010 選択72 (ラミニン332と粘膜類天疱瘡)
  • 2011 選択45 (VCMと線状IgA水疱性皮膚症)
  • 2010 選択28 (水疱型エリテマトーデスと7型コラーゲン)

VCMや水疱型エリテマトーデスについてはかなり古いが過去問で出題歴がある。基本は過去問10年で良いが、可能であれば(学会サイトで確認可能な)2009年まで遡って解くことが望ましいと感じさせられた1問

選択問題97:解答 1, 5

疥癬に関する出題

  • 1. 角化型疥癬は感染力が強く、感染拡大予防のため治療初期1〜2週間程度個室隔離とする
  • 2. 犬疥癬などの動物疥癬では、ヒトに対する抗疥癬薬治療は不要※。犬に対しては抗疥癬薬での治療が必要
  • 3・5. 爪疥癬に対してイベルメクチン(ストロメクトール®)は無効。フェノトリン(スミスリン®)ローションとサリチル酸ワセリンを重層塗布する密封療法や、物理的に爪や肥厚角質を削り取る治療が行われる
  • 4. イベルメクチンは高脂肪食の食後投与で血中薬物濃度が上昇するおそれがあるため、空腹時に投与する

※動物疥癬の場合、ヒトの皮疹は動物由来のヒゼンダニに対するアレルギー反応であり、ヒトの皮膚では動物のヒゼンダニは繁殖しないため

関連問題

犬疥癬については試験前の中部支部講習会でも話に出ていました。過去問対策で選択肢3〜5の正否は判定できるもののそこからはやや厳しい

選択問題98:解答 4

表皮基底層における電子顕微鏡写真の正常構造を問う出題

  • 1. aは核を示している
  • 2. 黄色矢印はメラニン顆粒を示している。小型の高密度構造物
  • 3. 白色矢印はトノフィラメントを示している。基底細胞の細胞質内に存在するケラチン線維(ケラチン5/14)のことで、単純型表皮水疱症の原因分子
  • 4・5. イ・ロはともにケラチノサイトを示している。イは核周囲にメラニン顆粒が多いが、これはメラノサイトから受け渡されたメラニン顆粒と思われる

電子顕微鏡 ケラチノサイト メラノサイト

下記が表皮基底層のケラチノサイト電子顕微鏡写真

2023-keratinocyte-basallayer

参考文献Figure3Aより引用,表皮基底層のケラチノサイト。Nu=核小体, KIF=ケラチン線維, me=メラニン顆粒, cf=真皮コラーゲン, bl=基底膜

基底層のケラチノサイトは、有棘層と比較して核がやや紡錘型なのが特徴とされる

一方下記がメラノサイトの電子顕微鏡写真

2023-melanocyte

参考文献より引用, M=メラノソーム, ME=メラノサイト, K=ケラチノサイト, BM=基底膜

メラノサイトは突起を有しており、その部分に黒くみえるメラノサイトが多数存在する。これがケラチノサイトに受け渡される

電子顕微鏡を見慣れている受験生はほとんどいないはず。イ・ロが同じ構造物なので、選択肢4ないし5のどちらかが正解と考えて2択まで選べれば期待値0.5点なので十分か

選択問題99:解答 1

臨床像では角栓を伴う茶褐色結節が多発しており、組織では青く染まる膠原線維が経表皮排除される像が見られる

上記から反応性穿孔性膠原線維症の診断。腎疾患や糖尿病の合併が多い→1

穿孔性皮膚症

組織学的に変性した皮膚成分が経表皮的に排泄される疾患を穿孔性皮膚症と呼ぶ

代表例は下記2つで、いずれも基礎疾患を伴うことが多い

排泄される組織 特殊染色 病名 基礎疾患
膠原線維 アザンマロリー
エラスチカ・ワンギーソン(EVG)
反応性穿孔性膠原線維症 糖尿病
腎不全 (特に透析患者)
弾性線維 EVG 蛇行性穿孔性弾力線維症 Marfan症候群
Ehlers-Danlos症候群
弾性線維性仮性黄色腫
2023-reactive-perforating-collagenosis

参考文献図1より引用, 左下のアザン染色では膠原線維が青く染まっている

診断では特殊染色が用いられる

特殊染色 検出対象 染色結果
エラスチカ・ワンギーソン染色 膠原線維
弾性線維
アザン染色 膠原線維
  • 1. 腎不全患者や糖尿病患者に好発する
  • 2. 感染症ではないため菌は検出されない。緑膿菌が原因となる疾患に壊疽性膿瘡がある
  • 3. 診断のため、組織学的に経表皮排除を証明することが有用
  • 4. 治療ではステロイド"外用"や紫外線療法がガイドラインで推奨されている(いずれも推奨度C1)
  • 5. EVG染色は弾性線維を黒、膠原線維を赤に染める。写真のアザン染色では膠原線維が青く染まる

関連問題

選択問題100:解答 1

モーズペーストの主成分は塩化亜鉛→1

モーズペースト (Mohs' paste)

塩化亜鉛を主成分とする外用薬で、組織を腐食・固定し殺菌作用を有する

切除不能で悪臭や出血を伴う皮膚悪性腫瘍(転移性皮膚腫瘍含む)に使われることがある

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p95(1・2・3・5)/39(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p125(2)/46(4)

関連問題

記述問題1:解答 α-ガラクトシダーゼA

Fabry病で活性が低下または消失する酵素はα-ガラクトシダーゼA

同酵素はα-gal A遺伝子によりコードされ、X染色体遺伝形式のため男性に多い(女性保因者も症状をきたすが軽症が多い)

従来あまり治療法がなかったが、酵素補充療法などが行われるようになっている

Fabry病では無汗/低汗症をきたし、被角血管腫や四肢末端の発作性疼痛も特徴

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p334・363
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p466

関連問題(Fabry病)

記述問題2:解答 外胚葉形成

男児で繰り返す発熱と無汗をきたしており、乏毛や歯牙形成異常も見られることから無汗(低汗)性外胚葉形成不全症の診断

無汗性外胚葉形成不全症

外胚葉由来の組織である毛髪・歯・爪・汗腺に異常をきたし、発汗低下から熱中症をきたしやすい

遺伝疾患であり下記の遺伝子が原因となる

  • EDA1遺伝子変異(X連鎖劣性遺伝形式)
  • EDAR遺伝子変異(常染色体劣性遺伝形式)
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p342
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p500

関連問題

記述問題3:解答 結節性筋膜炎

小児で腰部のしこりをきたしており、組織では紡錘形細胞が増殖している。免疫染色ではα-SMA(+), Desmin(-), CD34(-), FactorⅩⅢa(-), S-100(-)で、USP6-MYH9融合遺伝子が見られることから結節性筋膜炎の診断

結節性筋膜炎

1〜2週間で急速に増大する2cm程度の皮下結節をきたし、圧痛を伴う

  • 30代に好発
  • 部位は前腕が多い(外傷などが誘因となる)
  • 組織:線維芽細胞様の紡錘形細胞が増生し、間質のムチン沈着を伴う(tissue-culture appearance)
  • 経過:自然治癒傾向あり

外傷などが誘因となることから従来反応性増殖性病変と考えられていたが、USP6-MYH9融合遺伝子が検出されることから近年は自然消退傾向を示す間葉系腫瘍と考えられている

鑑別疾患の一つである隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)ではCD34(+), 血液凝固第ⅩⅢa因子(-)が特徴。またこちらの融合遺伝子はCOL1A1-PDGFB

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p435
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p527(10版では記載がなかった融合遺伝子について記載がある)
  • 参考:USP6MYH9の融合遺伝子を認めた結節性筋膜炎の1例 皮膚科の臨床 61(1), 83-86, 2019

関連問題

記述問題4:解答 リツキシマブ

全身性強皮症に対して、2021/9〜保険適用となった薬剤はリツキシマブ(リツキサン®)

医師主導治験を経て承認となっている

リツキシマブと皮膚疾患

リツキシマブ(リツキサン®)は抗CD20モノクローナル抗体で、もともとはB細胞リンパ腫に対して用いられていた

B細胞は抗体産生にも関連するため、自己免疫が関連する皮膚疾患に対しても保険適用が追加されている

疾患 投与法 保険適用
難治性の尋常性及び落葉状天疱瘡 1,000mg/body2週間間隔で2回 2021年12月
全身性強皮症(皮膚硬化) 375mg/m21週間間隔で4回 2021年9月

関連問題

記述問題5:解答 肥厚性皮膚骨膜症

中高年男性でばち指と頭皮の脳回転状皮膚、骨膜性骨肥厚がみられることから肥厚性皮膚骨膜症の診断

採血上、低カリウム血症を合併することがある

肥厚性皮膚骨膜症

著明な皮膚肥厚やばち状指(時計皿爪)、骨膜性骨肥厚をきたす遺伝性疾患で、プロスタグランジン過剰が原因とされる

皮膚肥厚ではとくに頭皮にみられる脳回転状皮膚の特異性が高い

脳回転状皮膚や眼瞼下垂に対して形成外科的修復が行われる他、選択的COX-2阻害薬(セレコキシブ)が有用という報告がある

関連問題

記述問題6:解答 Microsporum canis

顔面および前腕の紅斑でKOH鏡検陽性、培養検査でもコロニー形成がみられる

最近子猫の飼育を始めたという病歴から、Microsporum canisが原因菌として最も考えやすい

イヌ・ネコなどのペットから感染し、ケルスス禿瘡の原因真菌として知られる。ペットも治療が必要

形態からの菌種同定に最も適するのはスライドカルチャーであるため本例では完全な同定は難しいが(同定するならスライドカルチャーや分子生物学的検査が必要)、病歴上M. canisが原因と考えるのが妥当

関連問題(M. canis)

  • 2011 選択25 (動物好性の真菌)
  • 2009 記述8 (スライドカルチャーの大分生子)

記述問題7:解答 好酸球性膿疱性毛包炎

20代男性の顔面で紅色丘疹が集簇しており、組織では脂腺周囲の好酸球浸潤がみられることから好酸球性膿疱性毛包炎(太藤病)の診断

好酸球性膿疱性毛包炎

顔面に好発し、無菌性の毛孔一致性膿疱が集簇して紅斑局面をきたす疾患。ただし毛包のない掌蹠にも皮疹がみられ、掌蹠膿疱症との鑑別が必要となる場合がある

3つの病型に分類される

病型 特徴
古典型(太藤病) 基礎疾患を伴わず、若年男性に好発*
免疫抑制関連型 HIV感染症/AIDS等や血液悪性腫瘍に合併
小児型 乳幼児の頭皮に好発し自然治癒する

*古典型は以前は男性に多いとされていたが、近年の調査では男女比がほぼ同等とされる

  • 組織:毛包・脂腺への好酸球浸潤、毛包破壊が特徴
  • 治療:インドメタシンが著効する

本症では炎症細胞にプロスタグランジン(PG)D2が過剰発現している。COX(シクロオキシゲナーゼ)を阻害することでPGD2の産生を抑制する(これはNSAIDsに共通の作用)

またインドメタシンは好酸球遊走因子産生を抑制する作用も併せ持つため、ダブル効果で有効性が高いと考えられている

なおインドメタシンカプセルは現在販売中止となっており、代替にインドメタシンファルネシル(インフリー®)等が用いられる

関連問題(好酸球性膿疱性毛包炎)

記述問題8:解答 フルーツ

ラテックスアレルギーを有する患者において、30〜50%の症例でバナナ・クリ・アボカドなどの食物と交叉反応を示す(ラテックス-フルーツ症候群)

天然ゴム製品に含まれるHev b群蛋白に対するIgEが原因であり、アレルゲンコンポーネントHev b 6.02が保険適用で測定可能となっている

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p132(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p176

関連問題

記述問題9:解答 satellite cell necrosis

GVHDの組織像において見られる、変性した表皮角化細胞(異常角化細胞)をリンパ球が取り囲む像は衛星細胞壊死(satellite cell necrosis)と呼ばれる

多形紅斑やStevens-Johnson症候群でもみられる所見

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p42・139
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p197

記述問題10:解答 メトトレキサート

関節リウマチに対して長期間治療中の高齢女性

下肢に紅色結節がみられ、CD20やEBER陽性なことからメトトレキサート(MTX)関連リンパ増殖異常症を考える

MTX関連リンパ増殖性疾患(増殖異常症) MTX-LPD

とくに関節リウマチ患者における、メトトレキサート(MTX)内服に伴う有害事象

  • 投与期間2年以上など長期間投与例に多い
  • リンパ腫であるが、皮膚病変(難治性潰瘍)など節外病変が多い(40-70%)
    分類上はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
  • 組織:腫瘍細胞でEBVが陽性となることが多い(40%)
    →組織検体でEBER(EBV感染細胞に発現する低分子RNA)を確認する
  • 臨床経過:約半数はMTX休薬にともない自然消退する

補足

現在のWHO分類ではMTX-LPDという概念は存在せず、他の医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患と呼ぶ(MTXそのものによる有害事象というよりは、関節リウマチの活動性なども関与していると考えられているため)がここでは簡略化のためMTX-LPDと表記した

関連問題

記述問題11:解答 顆粒変性

組織像を問う出題

角質層・顆粒層の肥厚や顆粒層〜有棘層にかけて細胞の空胞化や粗大ケラトヒアリン顆粒が見られ、顆粒変性に該当する

ケラチンの先天的異常をきたす下記疾患でみられる所見で、魚鱗癬2つは診断基準でも参考症状に含まれている

原因遺伝子 疾患
ケラチン9 Vörner型掌蹠角化症※
ケラチン1/10 表皮融解性魚鱗癬
(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)
ケラチン2e* 表在性表皮融解性魚鱗癬
(Siemens型水疱性魚鱗癬)
ケラチン1/10
※体細胞モザイク
疣贅状表皮母斑

*顆粒層で発現するため、顆粒変性も有棘層上層〜顆粒層に限局的

※組織学的に顆粒変性が”みられない”場合はUnna-Thost型掌蹠角化症と呼ばれる

関連問題

記述問題12:解答 皮膚腺病

高齢女性で頚部に皮下腫瘤がみられる

組織では乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が、胸部CTでも結節影が見られることから、肺結核から直接波及して生じた皮膚腺病を考える

皮膚組織から結核菌が検出される真性結核の代表的疾患

皮膚結核の分類 真性皮膚結核と結核疹

  • 結核菌が直接病巣を作るもの(培養で結核菌+):真性皮膚結核
  • 結核菌に対するアレルギー反応で生じるもの:結核疹
真性皮膚結核 結核疹
皮膚腺病 Bazin硬結性紅斑
尋常性狼瘡 丘疹壊疽性結核疹
皮膚疣状結核 腺病性苔癬
陰茎結核疹

皮膚腺病は感染症ではあるが疼痛や熱感などの炎症所見に乏しい冷膿瘍をきたすのが特徴

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p547
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p866

関連問題

記述問題13:解答 Sister (Mary) Joseph

胃癌や大腸癌が臍部に転移して生じた紅色結節のことをSisetr (Mary) Joseph 結節と呼ぶ

原発巣が末期状態であることが多く、予後不良

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p467
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p657

文献によって微妙に表記ブレがあり、Maryがないパターンや(「皮膚科学」の記載)、Sister Marie-Joseph’s node(2012年出題時の問題文選択肢)などの記載がある。どこまで正解なのかは不明

関連問題

記述問題14:解答 Langhans(ラングハンス)

サルコイドーシスにおいて見られる多核巨細胞をLanghans型巨細胞と称する

サルコイドーシスではasteroid body(星状体)も見られる

巨細胞の分類

巨細胞の多くは組織球に由来し、異物型・Langhans型・Touton型に大きく分かれる

2013-Giantcell

参考書籍 p47 図2.22より引用

巨細胞 特徴 代表疾患
異物型 核の配置に規則性がない 炎症性粉瘤
Langhans型 核が周辺に規則正しく配列 結核
サルコイドーシス
光沢苔癬
Touton型 外側に泡沫状の明るい細胞質が見られる 黄色肉芽腫
黄色腫
  • 参考・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p47・344
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p64・509

名前が似ているLangerhans(ランゲルハンス)細胞は皮膚における樹状細胞なので、混同しないよう注意。Langerhans細胞の増殖性疾患がLangerhans細胞組織球症

関連問題

記述問題15:解答 sustainable

国連加盟193か国が掲げた、2016〜2030年の持続可能な開発目標SDGs = Sustainable Development Goals

巷ではSDGsバッジを胸に付けている人を見ることも多い

2023-SDGs

なお2022年に開催された第121回日本皮膚科学会総会のテーマはこれをもじったSustainable "Dermatology" Goalsとなっていた

記述問題16:解答 先天性三角形

女児で出生時から見られる不完全脱毛斑であり、軟毛を伴っていることから先天性三角形脱毛症を考える

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p370
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p757

関連問題

記述問題17:解答 elimination

後天性反応性穿孔性膠原線維症などの穿孔性皮膚症では、変性皮膚成分が経表皮的に排出されるtransepidermal eliminationが見られる

穿孔性皮膚症

組織学的に変性した皮膚成分が経表皮的に排泄される疾患を穿孔性皮膚症と呼ぶ

代表例は下記2つで、いずれも基礎疾患を伴うことが多い

排泄される組織 特殊染色 病名 基礎疾患
膠原線維 アザンマロリー
エラスチカ・ワンギーソン(EVG)
反応性穿孔性膠原線維症 糖尿病
腎不全 (特に透析患者)
弾性線維 EVG 蛇行性穿孔性弾力線維症 Marfan症候群
Ehlers-Danlos症候群
弾性線維性仮性黄色腫

診断では特殊染色が用いられる

特殊染色 検出対象 染色結果
エラスチカ・ワンギーソン染色 膠原線維
弾性線維
アザン染色 膠原線維
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p45・343/40
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p60・504/47

関連問題

記述問題18:解答 リポイド類壊死症(糖尿病性類脂肪壊死症)

糖尿病を有する女性で、両下腿に境界明瞭な褐色局面がみられる。組織では変性した膠原線維を取り囲む組織球浸潤(柵状肉芽腫)が見られるが、ムチン沈着を伴わない

上記よりリポイド類壊死症の診断

リポイド類壊死症 (糖尿病性脂肪類壊死)

30〜40代女性の下腿(前脛骨部)に好発し、類円形で5〜10cmの境界明瞭な萎縮性局面をきたす

  • 原因:「糖尿病性」と付くこともあり、糖尿病合併例が多い(35%)。外傷が契機となることも
  • 組織:真皮で膠原線維の変性・壊死とそれを取り囲む柵状肉芽腫(palisading granuloma)がみられる
  • 治療:ステロイド外用や抗血小板薬内服など

組織で柵状肉芽腫が見られ、中心にムチン沈着を伴うのが環状肉芽腫※。こちらも汎発型は糖尿病の合併が知られる

※リポイド類壊死症ではムチン沈着が乏しいのが両者の鑑別点とされる

関連問題

記述問題19:解答 毛包上皮腫

小児期〜顔面に皮膚色の小結節が多発しており、組織では基底細胞癌に類似した腫瘍細胞の胞巣状増殖がみられる

家族内発症で常染色体優性(顕性)遺伝形式を示すことがある疾患というヒントから、毛包上皮腫を考える

毛包系腫瘍は一部の常染色体優性遺伝性疾患で多発することが知られる

疾患 原因遺伝子 多発する腫瘍
Brooke-Spiegler症候群 CYLD 毛包上皮腫
円柱腫
Cowden症候群 PTEN 外毛根鞘種
Gorlin症候群(基底細胞母斑症候群) PTCH1など
基底細胞癌
表皮嚢腫(粉瘤)

毛包上皮腫の組織では角化性嚢腫(脂漏性角化症でみられる偽角質嚢腫に類似したもの)が見られるのが特徴とされるが、本例でははっきりしない(中央やや右下にあるようにも見えるが)。ただ外毛根鞘腫-Cowden症候群とするのも、低倍率しか提示されていない本問では否定的(外毛根鞘種の特徴は外毛根鞘性角化であり高倍率が提示されるはず)

関連問題

記述問題20:解答 チェッカーボードサイン

正角化と錯角化(不全角化)の交互配列のことをチェッカーボードサイン(パターン) checkerboard sign/patternと呼び、毛孔性紅色粃糠疹に特徴的な組織所見とされる

毛孔性紅色粃糠疹では毛孔の開大と角質充満も特徴

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p288
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p394
  • 参考:チェッカーボードサイン 皮膚病診療36(13), 92, 2014

日本語だと上記の"サイン"表記が多いが、英語論文ではチェッカーボードパターンという表記もあり(Am J Clin Dermatol . 2010;11(3):157-70. )、どちらでも正解と思われる

関連問題

  • 2020 選択17 / 2010 選択12 (毛孔性紅色粃糠疹の組織)

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