今週は台風がきて一部の地方では大きな被害が出たりしていましたが、気付けば完全に秋。8月後半くらいからずっと雨が多かった印象ですが、最近ようやく晴れの日も多くなってきました。
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今週の勉強内容
今日で今週も終わりなので、1週間の勉強内容を振り返ってみました。
時間としては先週(26時間)の約2倍ですが、先週は3日間ほど旅行に行っていたので当たり前である。
内容としては週に2回卒試(整形外科・老年内科)があったので、その勉強がメイン。あとは泌尿器科を来週の卒試に備えてMECの復習・ポリクリ班勉強会・QB(W)と進めました。泌尿器科の卒試はそこそこ難しいという噂(まだ過去問みてない)なので、はやいところQBを終わらせて過去問を解こうと思います。
勉強とは関係ありませんが、今週は結構ブログが更新できたのでその点も良かったところ。せっかく作っているので、この日記(?)以外もなるべく書いていきたいですね
来週は水曜日が泌尿器科の卒試で、その後は救急の勉強会が1回。夏休みにやり残したQBもやりたいところですが、次の卒試である救急は卒試史上最強難易度(昨年の本試合格率35%)なので心してかからねば…
今日の勉強内容
今日もQB W(泌尿器科)の続きをやっていました。
これで各疾患のところは終わり、後は明日検査や症候についてまとめれば終わる予定です。泌尿器科は思ったよりもサクサク終わったのですが、この間買った教科書が良かったのかも。教科書についてはまたそのうち書きます
以下は今日の勉強ノート
感染症:尿道・膀胱・腎盂・前立腺
尿道炎
クラミジアは女性では子宮頚管炎や肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)を引き起こし、男性では精巣上体炎の原因となる。
診断・治療
淋菌やクラミジアは尿道分泌物のPCRで診断する。淋菌ではグラム染色も手軽
淋菌はペニシリン・ニューキノロン耐性のものが増加しており、治療にはセフトリアキソン(第3世代セフェム)の点滴を用いる
両者が混合感染している場合は淋菌の治療を優先する
膀胱炎
- 三徴:頻尿・排尿時痛・尿混濁
- 発熱などの全身症状は膀胱・尿道など管腔臓器の炎症では出現しないが、腎臓や前立腺などの実質臓器の炎症では出現する。
- 治療では水分を多く摂取して利尿をつけることが大事
腎盂腎炎
腎盂や尿細管を含めた間質性腎炎で、糸球体は保たれる
急性腎盂腎炎
膀胱炎から上行性に発生することが多い
大腸菌はニューキノロンに耐性のものが増えてきている
重症化すると病変が腎盂から腎実質に広がり、造影CTで造影不良域が認められるようになる(急性限局性細菌性腎炎)。医師国家試験104A-36の画像参照
慢性腎盂腎炎
基礎疾患(腫瘍・結石・カテーテル留置)を持つ複雑性のものが多い
尿濃縮力が低下する(Fishberg濃縮試験でチェック)が、急性と異なり症状は少ない。放置すると慢性腎不全に到る
前立腺炎
急性前立腺炎
女性で多い急性泌尿器感染症が腎盂腎炎とすれば、男性で多いのは前立腺炎。鑑別のためには直腸診での前立腺圧痛(とCVA叩打痛)が重要。前立腺で炎症が起こっているので細胞が破壊され、結果前立腺細胞に含まれるPSA(前立腺特異抗原)の血中濃度も上昇する。
※急性では前立腺マッサージは菌血症をきたす恐れがあるため禁忌
起炎菌としては大腸菌やESBL産生グラム陰性桿菌などがある。後者では治療にカルバペネムを用いることもある。
慢性前立腺炎
症状としては前立腺関連領域の不定愁訴を訴える。
前立腺マッサージ前後で尿所見を比較し、白血球や細菌が出現しているかをみる。細菌感染が証明されないものを「慢性骨盤痛症候群」と呼ぶ。この場合原因不明なため、前立腺マッサージやα1受容体拮抗薬が治療に用いられている。
その他
- 尿路結核では血行性に感染した腎が石灰化をきたし、漆喰腎とよばれる。その後尿路へ広がると尿管狭窄をきたす
- 精巣上体炎は陰嚢の有痛性腫脹をきたすため、精巣捻転との鑑別が必要。「精巣挙上で疼痛が軽減する」というPrehn徴候が違いだが、判定が難しいためエコーを行う方が無難
- 腎周囲膿瘍は腎皮質とGerota筋膜の間に存在する脂肪織に膿がたまるもので、腎感染症が重症化して生じる
蓄尿・排尿障害
膀胱尿管逆流(VUR)
正常では膀胱壁内を斜めに走行する尿管により膀胱から尿管への逆流を防ぐ機構となっているが、この長さが短いと逆流を生じる。膀胱壁内尿管は成長とともに長くなるため、原発性のものは小児で生じやすい。尿が膀胱→尿管と逆流するためうっ滞をきたしやすく、小児腎盂腎炎の基礎疾患として重要。
二次性は前立腺肥大や尿道狭窄などの下部尿路閉塞に続発する。つまり下の尿道から流れていけず膀胱内圧が上昇するため、上の尿管に逆流する。
小児では自然軽快することもあり、初期は抗菌薬の予防的投与などの保存的治療が行われる。外科治療として内視鏡下ヒアルロン酸注入(尿管を狭くし逆流しづらくする)などが行われる。
source:インフォメーション|九州大学病院
神経因性膀胱
生理
- 蓄尿時:胸腰髄交感神経中枢や仙髄Onuf核がONになり、筋としては排尿筋弛緩・内尿道括約筋収縮・外尿道括約筋収縮し蓄尿
- 排尿時:胸腰随行艦神経中枢や仙髄Onuf核はOFF、仙髄交感神経中枢がONになり排尿筋が収縮し排尿
橋の排尿中枢(PMC)は胸腰髄交感神経・仙髄Onuf核・仙髄副交感神経に働きかけて排尿を促す。大脳は蓄尿時にはPMCを抑制し、排尿時にはその抑制を解除することで蓄尿・排尿のバランスをとっている(基本的に抑制系)。
膀胱の進展刺激つまり蓄尿は大脳とPMCに伝わるが、正常では大脳が抑制をかけるため即座に排尿反射が生じることはない。
病態
中枢および末梢神経の異常により排尿障害をきたしたもの。大まかに分類すると
- 大脳〜橋:中枢神経→脳血管障害やパーキンソン病で障害されると排尿反射が亢進(無抑制性膀胱)。末梢は正常なため尿意はある
- 仙髄〜末梢神経:末梢神経→糖尿病性ニューロパチーや手術の際の損傷で障害されると排尿反射が低下(低活動膀胱)
※運動神経でも上位モーターニューロン障害では反射が亢進し、下位モーターニューロン障害では反射が低下するのでそれに類似。
これ以外に脊髄損傷などにより橋〜仙髄レベルで障害が生じると、反射性膀胱を呈する。中枢障害かつ知覚神経の障害が加わるため、尿意なしに排尿反射が亢進したような状態
source:Simple STEP 泌尿器科(海馬書房) p157
・球海綿体反射(肛門括約筋反射)
肛門に指を挿入した状態で亀頭や陰核を刺激すると外肛門括約筋に収縮が生じるとい反射で、中枢がL〜Sに存在するため神経因性膀胱の診断に有用。最も下位に存在する反射のため、脊髄損傷の完全損傷/不完全損傷の区別にも用いられる
過活動膀胱
蓄尿時の膀胱不随意収縮をきたし、尿意切迫感を伴う。
※低活動膀胱(排尿筋の活動低下)と対立する概念ではないので注意
- 神経因性:中枢性の神経因性膀胱(上述)が原因
- 非神経因性:膀胱の知覚亢進や排尿筋の収縮性亢進(前立腺肥大)が背景にある
頻尿を伴うため膀胱炎と鑑別が必要。
腹圧性尿失禁
骨盤底筋群の脆弱化や尿道括約筋の機能低下により生じる。
内科的治療としてはα刺激薬で括約筋を収縮させるのが有効。