初期研修医 教科書レビュー

泌尿器科:ローテート終了とおすすめの教科書

2018年1月30日

初期研修医レポートが全て合格したので、無事に初期研修が終われそうな私です。今月は泌尿器科ローテーターとして過ごしていました。

泌尿器科の印象

学生の頃の泌尿器科に対する印象は「腹腔鏡手術やロボット手術が多い」というものです。適応疾患が増えると最近ニュースになっていたロボット支援下(ダヴィンチ)手術も、最初に保険適応が通ったのは前立腺癌に対する前立腺全摘術(2012年)です。

さて今度は研修医として回ってみてどうかというと、(大学病院と市中病院の違いもあり)当院ではTUR-Btや尿管ステントが圧倒的に多かったです。ダヴィンチも一応ありますが、ロボット支援下手術件数は年間50例弱で9割以上は前立腺摘出術(残りが腎部分切除術)。

ただ腹腔鏡/ロボット支援下手術にせよTURにせよ、「モニタ画面で術者と視野が共有出来る」というのはやはり素晴らしいなと思いました。開腹手術だと、助手として入ってもほとんど視野が見えないとかよくある話なので…

また1ヶ月ローテートした印象としては手技はそれなりにあるが、緊急で行う手術や処置が少ないという点もあります。ON/OFFのバランスが良い科だなと感じました。外傷(腎損傷)であっても保存的治療や血管内治療が多いので、手術はほぼありません

泌尿器科の教科書

泌尿器科の教科書で一番良かったのは標準泌尿器科学

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学生時代に読んだ時も良くまとまっているなと思いましたが、研修医になってから読んでも同じ感想です。実践的な本というよりは教科書なので、病棟管理などを求める場合はレジデントマニュアルなど”研修医向け”とされている本の方が無難でしょう。発行が2014年とやや古くなりつつあるのは残念。

自分は図書館で借りたものを使っていましたが、新版が出たら買うかもしれません

その他パラパラみたものとしてはベッドサイド泌尿器科学

ベッドサイド泌尿器科学(改訂第4版)

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このサイズ(1080ページ)でベッドサイドに置くのか?と思ったが臨床という意味だった(自己完結)。標準よりさらに教科書的な一冊。

どちらかというとこうした専門医以外絶対に買わないような本こそ図書館に置いて欲しいものですが、近くの図書館にはなかったので諦めました。

その他感想

経尿道手術で使う還流液の量に驚く

TUR反応と教科書には書いてあるものの、還流液が多少静脈に入るくらいでそんな簡単に起こるのか?と半信半疑に思っていた自分。しかしあれだけの量を使えば起こるよねと思いました。10年目くらいの先生曰く、昔はTUR術後に血清Na値が110mEq/Lくらいになることもあったそうです。

※現在使われている双極切除鏡では、生理食塩水還流液に用いることが出来るようになったのでTUR反応は起きない

特に手術時間の長くなるTUR-Pだと2Lの生理食塩水バッグを25本とか使っておりました。いちいちバッグを取り替えるのが大変手間なので、5Lバッグのような大容量のものを発売してくれるとありがたい(既にあるのかも)

KUBの意義を知る

ERに来る患者さんだと初診の人が多くKUB撮影してもほとんど解らないことがほとんどなので、最初から腹部CTを一緒にオーダーしていることが多いです。

しかし泌尿器科に定期通院して定期的に“石割り“されるような大型結石なら、KUBで十分なんだなと思いました。


来月は地域医療ということで、在宅医療を行なっているクリニックと内科のクリニックに2週間ずつお世話になる予定です。その前に年次休暇を使用して旅行に行ってきます!

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