医師国家試験および模試

第116回医師国家試験 皮膚科問題を解く(全15問)

2022年2月6日

220219-TOP

皮膚科専門医試験の勉強をしていますが、第116回医師国家試験が開催されていたので解いてみました

皮膚科分野が中心ですが、一部免疫・アレルギー・膠原病も含まれます

問題は下記より引用

第116回 国試速報掲示板 | MEC国試速報掲示板


116A10 解答:d

116A-10

解答:d

Raynaud現象は原因のない一次性(若年女性に好発)と原疾患のある二次性(続発性)に分類される

二次性Raynaud現象の原因としては、物理的刺激(振動工具)や各種膠原病(とくに全身性強皮症 SSc、混合性結合組織病 MCTD)がある

全身性強皮症に伴う場合、原疾患の症状から手指腫脹を伴う

  • a. 強皮症は末梢での血流障害が主体のため、両側性の症状となる
  • b. 強皮症は一般的に遺伝しない
  • c. 強皮症は30歳〜50歳代の女性に後発する
  • e. 末梢循環障害が主体のため、高安病のような血圧の左右差はみられない

116A25 解答:c

116A25

解答:c

運動後に膨疹と腹痛を認めており、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーを疑う

原因としては小麦が最多(60%)で、続いて甲殻類(30%)。甲殻類はイカと交差反応を起こすことがある

  • a. 特定の食物+運動の双方が発症には必要なため、運動(部活動)の全面禁止は不要
  • b. 予防策としては有効だが、確定診断がついていない状況で完全除去するのは望ましくない
  • c. Ⅰ型アレルギーであり、検査としては特異的IgE抗体測定(RAST)や皮膚プリックテストが用いられる
  • d. 再発予防としては有効だが、確定診断されておらずすべての食事を禁止する必要はない
  • e. ステロイド内服薬を飲んでも予防にはならない

ガイドラインでも運動2時間前の原因食物の摂取禁止が指導として挙げられており、

原因食物の完全除去や過剰な運動制限など不適切な指導により、患児のQOLを損なわないよう、注意する」と警告されている→a・bはバツ

220205-FDEIA-2

診断フローチャートは下記のようになっています

2202025-FDEIA

図11-3 原因食物診断のフローチャート

食物アレルギーガイドライン2016 第11-1章 食物依存性運動誘発アナフィラキシー

d. 「運動前の食事摂取禁止を指導」は再発予防にはなるが、検査(特異的IgE抗体・皮膚プリックテスト)での診断もつけたいところ→c

ただ検査結果がでるまでの対応としてはdの指導が妥当(再燃したら困るから)

ということで

  • d. 運動前の食事制限:再発は防ぎたい
  • c. プリックテスト:検査日程を組んで診断をしっかりつける

という両者を並行でやっていくのが現実的な対応と思われる。一つ選ぶならdか?

2022/3/16 追記:厚生労働省発表の正解はcでした

116A39 解答:b

解答:b

No.11 Aでは体幹に褐色の角化性丘疹が多発しており、No.11Bでは角質肥厚や有棘層での棘融解がみられる

腋窩や乳房下、鼠径などの間擦部に皮疹があること、母親にも同様の症状を認めATP2A2遺伝子の変異が同定されていることからDarier病と診断できる。二次性に細菌やウイルス感染症をきたしやすい

  • a. Sweet病:有痛性の隆起性紅斑をきたし、白血病などの造血器腫瘍に合併しやすい。病理では真皮への好中球浸潤がみられる
  • b. Darier病:間擦部で角化性丘疹が多発し、遺伝性疾患だが10〜20歳時に発症する
  • c. Kaposi肉腫:紫〜褐色の斑から始まって徐々に隆起をきたし、HIV患者での発症が中心(AIDS指標疾患)。病理では血管腔増生がみられる
  • d. 尋常性天疱瘡:弛緩性水疱をきたし、高齢発症が多い。病理では表皮内水疱がみられる
  • e.アトピー性皮膚炎:掻痒を伴う慢性経過の湿疹病変をきたし、幼少期から症状があることが多い。病理では表皮の海綿状態や表皮肥厚がみられる

皮膚科医ならだいたいわかりそうですが、医学生がDarier病を知っているのかと言われると厳しそう

母娘で遺伝子変異が同定されていることから遺伝性疾患が確定→遺伝性皮膚疾患は選択肢のなかではDarier病のみ、として解くのが実践的

116A59 解答:c

116A59

116A59

解答:c

No.20では著明な皮膚乾燥と紅斑、苔癬病変が多発している。掻痒を伴いIgEや好酸球高値、特異的IgE強陽性といったアトピー素因を伴うことからアトピー性皮膚炎の診断

眼科合併症としては白内障や円錐角膜、網膜剥離がある

  • c. アトピー性皮膚炎の炎症および掻爬による物理的刺激が原因となり、白内障をきたす
  • d. 円錐角膜は重症のアトピー性皮膚炎で頻度が高いが、思春期の男性に多い
  • e. アトピー素因はあるが、特異的IgE検査において食物抗原が陰性と明記されていることから可能性は下がる

116A60 解答:a

116A60

116A60

解答:a

高齢男性の紫斑が3ヶ月の経過で拡大・隆起し、易出血性をきたしている

No.21では左側頭部〜頬部にかけて境界不明瞭な暗赤色隆起性局面が分布している。左頚部リンパ節転移を疑う病変もあり、血管肉腫が最も考えやすい

  • a. 血管肉腫:高齢者の頭部・顔面領域に好発する血管系悪性腫瘍
  • b. 有棘細胞癌:赤色の隆起性腫瘤が多く、びらん・潰瘍を伴いやすい
  • c. 老人性紫斑:高齢者や抗凝固療法治療者で前腕に好発し、境界明瞭で隆起性病変はきたさない
  • d. 血管拡張性肉芽腫:外傷後に生じる紅色の易出血性腫瘤
  • e. 抗凝固薬内服者では紫斑が生じやすいが、隆起はきたさず転移もしない

116C36 解答:b(採点除外)

116C36

解答:b

関節リウマチの生物学的製剤投与前に必要な検査について

スクリーニング検査として、HBs抗原(B型肝炎)・HCV抗体(C型肝炎)・IGRA/胸部X線(結核)・β-Dグルカン(ニューモシスチス肺炎含む真菌症)が必要

関節リウマチについては、TNF阻害薬仕様の手引が公開されている

関節リウマチ(RA)に対するTNF阻害薬使用の手引き | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR)

類縁疾患ではあるが、乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンスでの投与前検査がチェックリスト形式でわかりやすい

感染症以外では抗核抗体が入っています(TNF-α阻害薬投与後にループス様症状の報告があるため)

220205-Bio

乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2018年版)

2022/3/16追記:厚生労働省発表では「問題として適切であるが、受験者レベルでは難しすぎるため」採点除外になりました(採点サービスでは10%程度の正解率)

116C40 解答:b

116C40

解答:b

海水浴に行き日光曝露の後から、頬部広範・関節痛・汎血球減少が出現しており、抗核抗体陽性・抗dsDNA抗体陽性からSLEの診断

  • a. 網赤血球数:ヘモグロビン低下に伴い前駆体である網赤血球は増加する
  • b.ハプトグロビン:溶血性貧血のため、ヘモグロビン運搬が盛んになりハプトグロビンは低下する
  • c.C1インヒビター:C1インヒビター活性が低下するのは遺伝性血管性浮腫。SLEでは補体C3/C4/CH50が低下する
  • d.ADAMTS-13:血栓性血小板減少性紫斑病では自己抗体によってADAMTS-13活性が低下する
  • e.結成補体価(CH50):SLEの急性期では補体が消耗性に低下する

116D8 解答:e

116D8

解答:e

  • a. 癜風:真菌であるマラセチアが原因となり、体幹に褐色斑や脱色素斑をきたす
  • b.掌蹠膿疱症:手掌足底に"無菌性"膿疱が多発する疾患で、慢性扁桃炎やう歯などの病巣感染が原因となることがある。膿疱性乾癬の亜型とする考えもある
  • c.膿疱性乾癬:体幹部に"無菌性"膿疱が多発する疾患
  • d.化膿性汗腺炎:アポクリン腺の多い腋窩や肛囲で毛包が閉塞して慢性炎症を繰り返す疾患。二次的に細菌感染を合併することはあるが、急性細菌感染症ではない
  • e.伝染性膿痂疹:主に黄色ブドウ球菌が原因となる急性細菌感染症で、菌の毒素により細胞間接着を行うデスモグレイン1が切断され表皮内水疱をきたす

b〜dはいずれも感染症ではなく炎症性疾患のため、重症例では生物学的製剤が使用される

;掌蹠膿疱症はIL-23p19、膿疱性乾癬はTNF-αやIL-17/IL-23、化膿性汗腺炎はTNF-αがターゲット

116D44 解答:d

116D44

116D44

解答:d

1ヶ月の経過でfine cracklesを伴う間質性肺炎をきたしており、採血結果ではKL-6およびフェリチンの微増、抗MDA5抗体陽性となっている一方でCKは増加が見られない

No.16では手背のゴットロン徴候が、手掌部の逆ゴットロン徴候がみられる

筋無症候性皮膚筋炎(ADM)であり、急速進行性間質性肺炎に注意が必要

  • a. 心不全は皮膚筋炎の合併症として一般的ではない
  • b.悪性腫瘍は抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎で合併しやすい
  • c.嚥下障害は抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎で合併しやすい
  • d.間質性肺炎は抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎で合併しやすい
  • e.肺高血圧症は混合性結合組織病(MCTD)で合併しやすい

皮膚筋炎の自己抗体と臨床的特徴

  • 抗Mi-2抗体:合併症は少なく、皮膚症状としてはゴットロン徴候やヘリオトロープ疹など定型的なものが多い
  • 抗MDA5抗体:間質性肺炎の合併例が多く、皮膚症状としては逆ゴットロン徴候が特徴
  • 抗TIF1-γ抗体:悪性腫瘍の合併が多く、皮膚症状としては浮腫性紅斑が強い。嚥下障害との関連も指摘される

116D56 解答:c

116D56

116D56

解答:c

高齢男性で1ヶ月前からの皮膚紅斑を認め、全身倦怠感と食欲不振が出現している

No.22では末梢血で核に多数の切れ込みを有するflower cellを認める

成人T細胞白血病(ATLL)の診断。姉が血液疾患でなくなっているという家族歴も診断を支持する

LD高値であり、腫瘍の産生するPTHrPにより高Ca血症をきたしていると考えられる

116D57 解答:b

116D57

116D57AB

解答:b

20年前からあった爪周囲の黒色斑が急速拡大している

No.23では爪を越えて先端の皮膚や爪上皮でも黒色斑の浸潤がみられ(ハッチンソン徴候)る。爪破壊が強く、色調も不均一

右鼠径リンパ節に転移を疑う病変もあり、悪性黒色腫(末端黒子型)を最も疑う

  • a. Bowen病:躯幹・四肢で境界不明瞭な紅斑をきたす。爪に生じることもあるが、一般的ではない
  • c.基底細胞癌:顔面に生じ、黒色の小結節がみられる
  • d.色素性母斑:いわゆるホクロ。爪部に生じることもあるが、境界明瞭かつ均一な色調で爪破壊も伴わない
  • e.乳房外Paget病:アポクリン汗腺の多い腋窩・外陰部などに発生し、紅色局面がみられる

116E25 解答:a

116E25

解答:a

アナフィラキシーの原因として最も多いのは薬物で、続いて食事(食物依存性運動誘発性アナフィラキシーを含む)がある

外的刺激によるものでは虫刺傷がある

116F9 解答:b

116F9

解答:b

  • a. 扁平苔癬では四肢や口腔粘膜に皮疹が好発する
  • b. 尋常性乾癬では粘膜疹は一般的ではない
  • c. 膿疱性乾癬では粘膜症状や眼合併症(ぶどう膜炎など)をきたすことがある
  • d. 尋常性天疱瘡ではデスモグレイン3の存在する粘膜で症状をきたす(落葉状天疱瘡は粘膜疹なし)
  • e. 多形滲出性紅斑のなかで、発熱や粘膜疹をともなうものはEM majorに分類される

116F15 解答:e

116F15

解答:e

好中球の構成成分(細胞質)に対する自己抗体として、MPO-ANCAやPR3-ANCAがある

ANCAと血管炎

  • MPO-ANCA陽性:顕微鏡的多発血管炎(MPA)や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
  • PR3-ANCA陽性:多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
  • a. 川崎病:中型血管が障害される血管炎で、合併症として冠動脈瘤が重要
  • b. 高安動脈炎:大血管が障害される血管炎
  • c. 巨細胞性動脈炎:大血管が障害される血管炎で、リウマチ性多発筋痛症との合併が多い
  • d. 結節性多発動脈炎:中型血管が障害される血管炎で、ANCA関連血管炎には含まれない

116F36 解答:e

116F36

116F36

解答:e

全身状態は良好だが、全身に紅暈を伴う水疱と一部痂皮が混在しており水痘の診断

学校保健安全法の規定で全ての皮疹が痂皮化するまで出席停止

学校保健安全法の出席停止期間

  • 発疹が消失するまで出席停止:風疹
  • 解熱後3日を経過するまで出席停止:麻疹
  • すべての発疹が痂皮化するまで出席停止:水痘

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