2026/2/7〜8に開催された、120回医師国家試験 皮膚科関連問題の解答・解説を作成しました
受験された方はお疲れ様でした
※一部皮膚科というより膠原病・アレルギー寄りの問題もあります
119・118回の解答解説は下記
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第119回医師国家試験 皮膚科問題を解く(全23問)
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第118回医師国家試験 皮膚科問題を解く(全16+2問)
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見出し
120A39
120A39
63歳の女性。全身の皮疹を主訴に来院した。約15年前から体幹を中心に掻痒を伴う紅斑が出現し、近くの診療所で湿疹として副腎皮質ステロイド外用薬による治療を受けていたが、改善と増悪を繰り返していた。約5年前から紅斑の一部が盛り上がり、局面を形成するようになった。6か月前から局面の一部が急速に増大し、腫瘤が複数出現した。腫瘤からの出血や悪臭も伴うようになった。顔面、体幹および四肢に径1~8cmの半球状~茸状に隆起する暗紅色の結節と腫瘤を複数認める。周囲には浸潤を触れる紅斑や局面が散在する。鼠径リンパ節に軽度の腫大を認める。血液所見:末梢血白血球数8,000/μL、異型リンパ球は認めない。LD 350 U/L(基準 124~222)。胸腹部造影CTでは両側鼠径リンパ節の軽度腫大以外に、内臓病変は指摘されなかった。腫瘤部からの皮膚生検の病理検査では、真皮に大型で核形不整な異型リンパ球が密に浸潤していた。表皮への浸潤は一部で認められた。皮疹の写真(別冊No. 14)を別に示す。
診断はどれか。
- 菌状息肉症
- 結節性痒疹
- Sézary 症候群
- サルコイドーシス
- スポロトリコーシス

解答:a
長い臨床経過で、初期(15年前)は紅斑→(5年前〜)局面→(6か月前〜)腫瘤となっている経過や、組織学的に異型リンパ球が多数認められることから菌状息肉症を考える
- a. 菌状息肉症:初期は紅斑から始まり、徐々に局面→腫瘤となるT細胞系の皮膚リンパ腫。紅斑期は湿疹との鑑別が重要になる。皮膚生検では真皮のリンパ球浸潤に加えて表皮向性が見られることが多い
- b. 結節性痒疹:そう痒感を伴う結節が多発する疾患だが、一つ一つはそこまで大きくなく腫瘤になることはない。異型リンパ球の密な浸潤も合致しない
- c. Sézary症候群:T細胞系の皮膚リンパ腫だが、紅皮症をきたし末梢血での異型リンパ球を認めるのが特徴で本例とは合致しない
- d. サルコイドーシス:全身で肉芽腫性病変をきたす疾患で、局面となることもあるが組織学的には「乾酪壊死を伴わない肉芽腫」が特徴
- e. スポロトリコーシス:深在性皮膚真菌症の一つで、結節や潰瘍をきたすことがある。こちらも組織では肉芽腫形成が特徴
120A52
120A52
35歳の男性。体幹と四肢の皮疹を主訴に来院した。5日前から下肢の皮疹に気付き、徐々に皮疹が拡大してきたため受診した。既往歴は急性B型肝炎で入院加療歴があり、3年前には今回と同様の症状で他院受診歴がある。直近の会社の健診で異常は指摘されていない。喫煙は5本/日を15年間。飲酒歴はない。5年前から同性との性交渉歴がある。意識は清明。身長177cm、体重80kg。体温37.0℃。脈拍68/分、整。血圧140/72mmHg。呼吸数14/分。SpO₂ 97%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。体幹、四肢および手掌に淡い紅斑を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球420万、Hb 12.6g/dL、Ht 37%、白血球3,400(好中球70%、単球5%、リンパ球25%)、血小板17万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 23U/L、ALT 27U/L、LD 182U/L(基準 124~222)、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸7.8mg/dL、血糖90mg/dL、総コレステロール182mg/dL、トリグリセリド120mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 104mEq/L。免疫血清学所見:CRP 0.9mg/dL、RPR 1,280倍(基準 1倍未満)、TPHA 5,120倍(基準 80倍未満)。
追加で行う検査はどれか。
- 喀痰細胞診
- 安静時心電図
- 腹部超音波検査
- HIV抗原・抗体検査
- 胸部エックス線撮影
解答:d
体幹や手掌の皮疹、RPRとTPHA高値から梅毒性ばら疹を考える
3年前にも同症状をきたしていること、MSM(Men who have Sex with Men)であることからHIV感染症の合併を考慮する
梅毒は他の性感染症、とくにHIVとの重複感染例が多い(118A10)
- a. 喀痰細胞診:肺がんを疑う際に実施する
- b・c. 安静時心電図・腹部超音波検査:心音も脈拍も正常なので、優先度は低い
- d. HIV抗原・抗体検査:現在スクリーニングではHIV抗原・抗体検査を行うのが一般的(以前は抗体のみだった)。確定診断には核酸増幅検査等を行う
- e. 胸部X線撮影:AIDS指標疾患としてニューモシスチス肺炎や活動性結核があるが、今回は呼吸器症状もないので優先度は低い
120A59
120A59
54歳の女性。顔面の皮疹と関節痛を主訴に来院した。4週間前から顔面の皮疹と手関節痛が出現し、徐々に増悪したため受診した。体温36.2℃。両頰部に紅斑を認める。硬口蓋に無痛性潰瘍を認める。両側の手関節に腫脹と圧痛を認める。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球360万、Hb 11.6g/dL、白血球3,100、血小板17万。免疫血清学所見:CRP 0.4mg/dL、抗核抗体陽性、抗dsDNA抗体88 IU/mL(基準 12以下)。
この患者でまず開始すべき薬剤はどれか
- リツキシマブ
- シクロフォスファミド
- ヒドロキシクロロキン
- ベリムマブ<抗BAFF抗体>
- ミコフェノール酸モフェチル
解答:c
頬部紅斑(蝶形紅斑)と口腔内潰瘍、関節痛、抗dsDNA抗体陽性からSLEを考える
発熱や明らかな臓器障害(蛋白尿≒ループス腎炎・神経症状等)を認めないことからヒドロキシクロロキン(HCQ)をまず開始する→c
HCQでは網膜炎のリスクがあるため投与前〜中に眼科的評価が必要
- a. リツキシマブ:抗CD20抗体製剤で、既存治療で効果不十分なループス腎炎に対して用いられる。初手から使われる薬剤ではない
- b. シクロフォスファミド(エンドキサン):こちらも重症な臓器病変を伴う場合が対象で、ステロイドと併用される。
- c. ヒドロキシクロロキン:皮膚症状や粘膜症状が主体の場合、初手から用いられやすい。また再発抑制や長期予後改善効果もあるので、SLEと診断された場合は投与されることが多い
- d. ベリムマブ:ステロイドや免疫抑制剤を用いても、疾患コントロールが不十分な場合に追加で使用される。初手から使われる薬剤ではない
- e. ミコフェノール酸モフェチル(MMF):ループス腎炎に対して保険適用となっている
120A63
120A63
8歳の女児。両手指の瘙痒と疼痛を主訴に母親に連れられて来院した。冬になり外で遊ぶ機会が増えた1か月前から、手指全体が紅色に腫脹して瘙痒と疼痛を感じるようになった。暖かい室内に入ると症状はやや軽減するが、完全には消失しない。指先が蒼白になったり、紫色になったりするエピソードはない。両手指の遠位指節間関節から近位指節間関節背側にかけて、境界不明瞭な浮腫性紅斑を認める。圧痛はない。爪周囲の紅斑や毛細血管拡張は認めない。赤沈 10 mm/1 時間。免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL、抗核抗体陰性。
診断はどれか。
- 凍瘡
- 蕁麻疹
- 多形滲出性紅斑
- Raynaud 症候群
- 全身性エリテマトーデス
解答:a
女児で冬季に四肢末端の紅色変化をきたしており、凍瘡の診断
- a. 凍瘡:寒冷曝露で四肢末端や耳介部に限局して掻痒感を伴う紅斑をきたす。小児に多い
- b. 蕁麻疹:一過性の掻痒感を伴う皮疹ではあるが、通常24時間以内に消退する。皮疹は膨疹となるし、末梢部に限局することもない
- c. 多形滲出性紅斑:先行感染や薬剤に伴って四肢や体幹で紅斑が散在する疾患であり、四肢末端のような限局的な分布ではない。なお凍瘡で多形紅斑様皮疹をきたすことがある
- d. Raynaud症候群:寒冷曝露で蒼白化→紫色(チアノーゼ)をきたすものをレイノー症状と呼ぶ(本例のように赤くなるだけでは呼ばない)。「レイノー症候群」は全身性強皮症など基礎疾患に伴って出現するレイノー症状を指すが、本例では爪周囲紅斑や毛細血管拡張など全身性強皮症を示唆する所見も陰性
- e. 全身性エリテマトーデス(SLE):レイノー症状が見られるが、抗核抗体陰性や赤沈亢進、関節痛等のないことから本例では否定的
120A68
120A68
36歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠11週1日、妊婦健康診査のために来院した。特記すべき既往歴や薬剤に対するアレルギーはない。妊娠10週の血液検査で、RPR 16 倍(基準 1 倍未満)、TPHA 640 倍(基準 80 倍未満)であった。
適切な対応はどれか。2つ選べ。
- 保健所へ届け出る。
- 生物学的偽陽性と判断する。
- 妊娠13週までに治療を開始する。
- パートナーの検査は不要と判断する。
- クリンダマイシンの点滴静脈注射を行う。
解答:a, c
RPRおよびTPHAの双方が陽性なことから、梅毒と診断できる。先天梅毒予防のため、妊娠13週まで(というかなるべく早く)治療を開始する
感染症法に基づく届出も必要
- a. 梅毒は5類感染症で、感染症法に基づき診断から7日以内に保健所への届出が必要
- b. RPR(+), TPHA(-)のパターンなら抗リン脂質抗体に伴う生物学的偽陽性の可能性があるが、本例では双方とも陽性のため該当しない
- c. 現時点では潜伏梅毒か活動性梅毒かはっきりしないが、妊婦が未治療だと先天梅毒の原因となる(118A10)ため治療開始がbetter
- d. パートナーから感染した可能性があるため検査しておきたい
- e. 梅毒治療の第一選択はペニシリン系抗菌薬(118B37)で、妊婦でも使用可能かつアレルギーもないためこちらを選ぶ
120A70
120A70
4歳の女児。皮疹、両足関節の痛み及び腹痛を主訴に父親に連れられて来院した。1週間前に発熱と咽頭痛が出現し、自宅近くの診療所を受診した。2日前から発疹と両足関節の痛みが出現した。今朝から腹痛を訴えているため受診した。体温36.9℃。脈拍68/分、整。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に発赤を認めない。扁桃に腫大を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、臍周囲に圧痛を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球466万、Hb 12.1 g/dL、Ht 39%、白血球8,900(好中球 62%、単球 8%、リンパ球 30%)、血小板37万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)、APTT 29.0 秒(基準対照 32.2)。CRP 0.2 mg/dL。下腿の写真(別冊No. 32)を別に示す。
この患児で注意すべき合併症はどれか。2つ選べ。
- 腎炎
- 冠動脈瘤
- 腸重積症
- 間質性肺炎
- 大動脈弁閉鎖不全

解答:a, c
上気道感染後に両下腿の紫斑と関節痛、腹痛がみられることからIgA血管炎を考える
血小板低下や凝固系(PT/APTT)異常などその他明らかな出血原因は見られない
腎炎や腸重積症に注意が必要
- a. 腎炎:IgA血管炎の合併症として頻度が高く(紫斑病性腎炎)注意が必要。血尿が中心
- b. 冠動脈瘤:川崎病(こちらも血管炎)の合併症として知られる
- c. 腸重積症:消化器症状では腹痛がよくみられるが、稀に腸重積や小腸穿孔などをきたすことがある
- d・d. 間質性肺炎・大動脈弁閉鎖不全症:血管炎の合併症としては一般的でない
選択肢cの参考:小児IgA血管炎診療ガイドライン2023のp21
120B31
120B31
45歳の女性。左手の疼痛と腫脹を主訴に来院した。昨夜、飼い猫に左手関節付近をかまれた。今朝は創が小さく出血も止まっていたため出勤し、事務作業を行った。昼ごろから疼痛が増悪し、夕方になり疼痛と腫脹で手指が動かせなくなったため受診した。左手関節の伸側と屈側に径3~5 mmの創を2か所認める。左手背は腫脹し、発赤を肘関節付近まで認める。左の手指は全体的に腫脹し、疼痛で伸展が困難であった。
実施すべきでない処置はどれか。
- 創の洗浄
- 創の縫合
- 抗菌薬の投与
- 左上肢の安静
- 破傷風トキソイドの投与
解答:b
動物咬傷で受傷から24時間近く経過しており、感染徴候も伴っていることから創縫合は実施すべきでない。
- a. 創の洗浄:物理的に洗い流すことがまずは有効
- b. 創の縫合:受傷早期であれば行われることもあるが、昨夜噛まれてから当日夕方とかなり時間が経っており不適当。この状況ならむしろ切開を考慮したいところ
- c・d. 抗菌薬の投与・左上肢の安静:感染症(蜂窩織炎)治療として局所安静や抗生剤投与が必要
- e. 破傷風トキソイド:動物咬傷は汚染創なので破傷風予防にトキソイドの接種が無難
120C27
120C27
欠乏すると皮膚炎をきたすのはどれか。
- 鉄
- 銅
- 亜鉛
- 葉酸
- セレン
解答:c
亜鉛欠乏症では皮膚炎をきたす
- a. 鉄:欠乏症で匙状爪や舌炎・口角炎(プランマー・ビンソン症候群)がみられる
- b. 銅:先天的な銅吸収異常症であるMenkes病では、皮膚の色素減少や捻転毛(kinky hair)が見られる
- c. 亜鉛:欠乏症では下痢・脱毛・皮膚炎が3主徴とされる。皮膚炎は四肢末端や開口部に多い
- d. 葉酸:貧血の原因として重要だが、皮膚症状は一般的ではない
- e. セレン:欠乏で爪床の白色変化が見られる
亜鉛の長期間投与で銅吸収が阻害されて銅欠乏をきたすことがある
120C28
120C28
汚染のない皮下組織までの創を縫合する際、まず行うべきことはどれか。
- 軟膏を創へ塗布する。
- 鎮痛薬を筋肉注射する。
- 抗菌薬を静脈内投与する。
- 破傷風トキソイドを接種する。
- 局所麻酔薬アレルギーについて問診する。
解答:e
縫合前に局所麻酔薬アレルギーの確認が必要
- a. 軟膏の塗布は行うにしても縫合"後"で十分(先に塗布するとベタついて針が刺しづらい)
- b. 鎮静薬を使う場合であっても、事前に内服する or 局所注射するのが普通。「皮下組織までの創」なので筋肉注射する意味がない
- c. 汚染がないためルーチンでの抗菌薬投与は必須ではないし、まず行うべきものでもない
- d. 汚染創でなければトキソイド接種は必須ではない(↔120B31のような汚染創では接種したほうがベター)
- e. 縫合時に局所麻酔薬を使用するため、事前に問診しておきたい
120C30
120C30
表皮内に存在するのはどれか。
- 皮脂腺
- 肥満細胞
- 毛母細胞
- 線維芽細胞
- Langerhans細胞
解答:e
Langerhans細胞以外はいずれも真皮以遠に存在する

参考書籍より引用, 一部追記。CD1aで染まるLangerhans細胞は主に表皮に存在する
- a. 皮脂腺:皮脂腺は真皮に存在し、表皮へ開口する
- b. 肥満細胞:真皮の血管周囲に存在し、IgE抗体が結合することで保持するヒスタミンを放出する(→蕁麻疹など)
- c. 毛母細胞:毛を作り出す元となる部分で、毛包の深部である真皮深層〜皮下組織に存在する
- e. 線維芽細胞:真皮に存在し膠原線維や弾性線維を産生する
- e. Langerhans細胞:皮膚に存在する樹状細胞で、主に表皮有棘層に存在する
- 参考・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p12(図1.22)
120C43
120C43
50歳の男性。胃がん検診の上部消化管造影検査で異常を指摘され精査のため来院した。現在、自覚症状はない。意識は清明。身長 170 cm、体重 62 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 134/78 mmHg。呼吸数 14/分。SpO₂ 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に発赤を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。精査のため経口で上部消化管内視鏡検査を施行することとした。前処置としてリドカインによる咽頭麻酔を行ったところ、「喉がつまる感じがあり、息苦しい」と本人が訴えた。前腕部に紅斑と膨疹を認める。
現時点で適切な対応はどれか。
- 自然軽快を待つ。
- 咽頭麻酔を追加する。
- 経鼻内視鏡検査に変更する。
- バイタルサインを確認する。
- 水道水によるうがいを勧める。
解答:d
リドカインによる麻酔後に膨疹と呼吸苦を訴えており、アナフィラキシーを考慮してバイタルサイン(血圧やSpO2低下)を確認する
- a. (まずバイタルサインを確認して)アナフィラキシーショックに至っている場合はアドレナリン筋注が必要
- b. 咽頭麻酔によるアレルギー反応の可能性があり、追加するのは不適当
- c. 緊急事態なので検査は中止する
- d. まずはバイタルサインやABC(airway, breathing, circulation)の評価が必要
- e. 麻酔によって咽頭の動き(嚥下反射)が低下しているので、誤嚥リスクがある。すでに粘膜から吸収されており、水で洗い流してなんとかなるものでもない
120C64
120C64
22歳の女性。発熱を主訴に来院した。
現病歴 : 2週間前から39℃を超える発熱が連日出現し、1週間前に自宅近くの診療所を受診した。解熱鎮痛薬と抗菌薬が処方されたが、その後も発熱が続き、咽頭痛、膝と手指の関節痛も出現したため、受診した。
既往歴 : 3歳時に肺炎。
生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現 症 : 意識は清明。体温 39.4 ℃。脈拍 112/分、整。血圧 98/50 mmHg。呼吸数 22/分。SpO₂ 96 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。左肋骨弓下に脾を 1 cm 触知する。両膝と近位指節間関節とに腫脹と圧痛を認める。四肢に径 1~2 cm の淡い紅斑を複数認める。皮膚硬化を認めない。
検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球 422 万、Hb 11.2 g/dL、Ht 42 %、網赤血球 2.2 %、白血球 16,300(桿状核好中球 15 %、分葉核好中球 70 %、単球 6 %、リンパ球 9 %)、血小板 36 万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、IgG 1,614 mg/dL(基準 861~1,747)、IgA 166 mg/dL(基準 93~393)、IgM 166 mg/dL(基準 50~269)、総ビリルビン 0.4 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 288 U/L、ALT 165 U/L、LD 322 U/L(基準 124~222)、ALP 126 U/L(基準 38~113)、γ-GT 32 U/L(基準 9~32)、CK 66 U/L(基準 41~153)、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、尿酸 4.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、TSH 3.6 μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT₃ 2.8 pg/mL(基準 2.3~4.3)、FT₄ 1.6 ng/dL(基準 0.8~2.2)、フェリチン 2,266 ng/mL(基準 20~120)。免疫血清学所見:CRP 12.2 mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗SS-A抗体陰性、C3 132 mg/dL(基準 52~112)、C4 51 mg/dL(基準 16~51)。血液培養は陰性。
この患者で認める可能性が高い身体所見はどれか。
- 脱毛
- 手指潰瘍
- 舌乳頭萎縮
- Gottron 徴候
- リンパ節腫大
解答:e
2週間以上続く発熱と咽頭痛、関節痛やフェリチン著増から成人Still病を考える
身体所見ではリンパ節腫大が特徴
成人Still病 診断基準
大項目
- 発熱 (39度以上, 1週間以上持続)
- 関節症状 (2週間以上持続)
- 定型的皮疹
- 白血球増加 (10,000/μL以上, 好中球80%以上)
小項目
- 咽頭痛
- リンパ節腫脹または脾腫
- 肝機能異常
- リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性
大項目2つ以上を含んだ合計5つ以上で診断
参考項目:血性フェリチン値著増 (正常上限の5倍以上)
※除外項目
- 感染症 (とくに敗血症, 伝染性単核球症)
- 悪性腫瘍 (とくに悪性リンパ腫)
- 膠原病 (とくに結節性多発動脈炎, 悪性関節リウマチ)
- a. 脱毛:SLEでは関節痛や脱毛を認めるが、血球減少や補体低下がないことや抗核抗体陰性から否定的
- b. 手指潰瘍:全身性強皮症では手指潰瘍が見られるが、「皮膚硬化を認めない」ことから否定される
- c. 舌乳頭萎縮:シェーグレン症候群では舌乳頭萎縮が見られるが、抗SS-A抗体陰性で高γグロブリン血症も認めないことから否定的
- d. Gottron徴候:皮膚筋炎で見られる所見だが、抗核抗体陰性やCK上昇がないことから否定的
- e. リンパ節腫大:成人Still病でみられる所見
参考:成人発症スチル病(指定難病54) – 難病情報センター
類問:117D41
120C65
120C65
この疾患の典型的な皮疹の特徴はどれか。2つ選べ。
- 魚鱗癬を呈する。
- 水疱を形成する。
- 平熱時に消退する。
- Nikolsky 現象が陽性となる。
- 色調はサーモンピンクである。
※3連問の2問目なので共通する問題文は省略している
解答:c, e
成人発症Still病で典型的な皮疹はサーモンピンク疹で、発熱時のみ見られるのが特徴
- a. 魚鱗癬を呈する:皮膚が乾燥して魚の鱗(うろこ)のように剥がれ落ちる状態を魚鱗癬と呼ぶ。遺伝性疾患や悪性腫瘍に伴うものがある
- b. 水疱を形成する:自己免疫性水疱症(天疱瘡や類天疱瘡)、中毒性表皮壊死症(TEN)でみられる所見
- c. 成人発症Still病は弛張熱をきたし、発熱がないときには皮疹が消退することが典型的
- d. Nikolsky現象:一見正常な皮膚をこすると表皮剥離や水疱を生じる現象で、天疱瘡や中毒性表皮壊死症(TEN)などでみられる所見
- e. 体幹や四肢で1〜2cmまでの淡い紅斑・丘疹がみられサーモンピンク疹と呼ばれる
120C66
120C66
この疾患の治療標的となるサイトカインはどれか。
- IFN-α
- IL-6
- IL-17
- IL-23
- TNF-α
※3連問の3問目なので共通する問題文は省略している
解答:b
成人発症Still病では抗IL-6抗体製剤であるトシリズマブ(アクテムラ®)が用いられる
- a. IFN-α:SLEではⅠ型インターフェロンα受容体をターゲットとした抗体製剤アニフロルマブ(サフネロー®)が用いられる
- b. IL-6:関節リウマチの他、Still病でも用いられる
- c・d. IL-17・IL-23:いずれも尋常性/関節症性乾癬と関連が深いサイトカインで、複数の生物学的製剤が使用されている。IL-23は潰瘍性大腸炎やクローン病の治療ターゲットでもある
- e. TNF-α:関節リウマチやベーチェット病(ぶどう膜炎)など多くの疾患で治療ターゲットとなっている
成人Still病ではIL-1βをターゲットとした生物学的製剤、カナキヌマブ(イラリス®)も用いられることがある
120C71
120C71
77歳の女性。熱傷のため救急車で搬入された。
現病歴 : 本日、自宅の風呂場から叫び声が聞こえ、息子が様子を見に行った。熱湯に患者の下半身がつかり、身動きがとれなくなっているところを発見され、なんとか浴槽から引きずり出された。息子が救急車を要請した。
既往歴 : 軽度認知症を指摘されている。高血圧症と糖尿病で降圧薬、血糖降下薬を内服している。
生活歴 : 息子と2人暮らし。
家族歴 : 特記すべきことはない。
現 症 : 意識レベルは JCS I-2、GCS 14(E 4 V 4 M 6)。身長 154 cm、体重 50 kg。体温 36.8 ℃。心拍数 108/分、整。血圧 104/52 mmHg。呼吸数 22/分。SpO₂ 94 %(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。陰部、両側下肢から足底にかけてⅢ度熱傷を認める。虐待を疑うような徴候、身体所見は認めない。警察に報告し、事件性はないと判断された。熱傷範囲(別冊No. 6)を別に示す。
検査所見 : 血液所見:赤血球 486 万、Hb 15.3 g/dL、Ht 47 %、白血球 29,760(桿状核好中球 1 %、分葉核好中球 92 %、好酸球 0 %、好塩基球 0 %、単球 5 %、リンパ球 2 %)、血小板 27 万、PT-INR 0.9(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.1 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、総ビリルビン 2.0 mg/dL、AST 77 U/L、ALT 27 U/L、LD 350 U/L(基準 124~222)、ALP 75 U/L(基準 38~113)、γ-GT 15 U/L(基準 9~32)、アミラーゼ 93 U/L(基準 44~132)、CK 250 U/L(基準 41~153)、尿素窒素 37 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、血糖 280 mg/dL、HbA1c 8.3 %(基準 4.9~6.0)、総コレステロール 237 mg/dL、Na 145 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 103 mEq/L。CRP 9.6 mg/dL。

初期輸液を Baxter の公式(最初の24時間の輸液量 = 4 (mL) × 体重 (kg) × 熱傷面積 (%))に沿って開始することとした。 初期輸液として適切なのはどれか。
| Na⁺(mEq/L) | K⁺(mEq/L) | Cl⁻(mEq/L) | L-lactate⁻(mEq/L) | 24時間の輸液量 | |
| a | 220 | 0 | 220 | 0 | 7,400 mL |
| b | 220 | 0 | 220 | 0 | 10,000 mL |
| c | 130 | 4 | 109 | 28 | 7,400 mL |
| d | 130 | 4 | 109 | 28 | 10,000 mL |
| e | 40 | 35 | 40 | 0 | 10,000 mL |
解答:c
「9の法則」で熱傷面積を計算すると37%になる
Baxterの公式にあてはめて7,400mL/24hrの輸液を行う必要があり、組成としては等張電解質液を用いる
熱傷面積計算 9の法則とBaxter法
成人における熱傷面積の計算では9の法則が用いられる

本例では両下肢前面+後面で36%+陰部で1% = 合計37%
Baxter法
重症熱傷の初期輸液の算定方法
- 輸液総量(ml) = 4 × Ⅱ度+Ⅲ度熱傷面積(%) × 体重(kg)
開始8時間で輸液総量の1/2を、その後の16時間で残り1/2を投与する - 組成:乳酸リンゲルや酢酸リンゲルなどの等張電解質輸液を用いる
- a:輸液量は良いが、Na濃度が高すぎる(高張食塩水)ので高Na血症になってしまう。低Na血症補正の場合以外は使わない組成
- b:輸液量は正しく、中身も等張液なので正しい
- b・d・e:輸液量がそもそも合っていないし、eは低張電解質液なのでさらに不適
- 参考・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p221(図13.3)
120D9
120D9
von Recklinghausen 病患者の皮膚の写真(別冊No. 1)を別に示す。 写真にみられる皮膚所見はどれか。

- ケロイド
- 葉状白斑
- 血管線維腫
- 神経線維腫
- café au lait 斑
解答:d
von Recklinghausen病(神経線維腫症1型 NF1)では成人期になると神経線維腫が多発する
- a. ケロイド:前胸部正中やピアス部分など外傷や手術に続発して発生することが多い
- b. 葉状白斑:結節性硬化症で幼少期から見られ、早期診断に重要な所見
- c. 血管線維腫:結節性硬化症で学童期〜思春期にかけて顔面に多発する腫瘍。シロリムス外用が行われる
- d. 神経線維腫:NF1で学童期以降に出現する所見。出生時〜見られるわけでは無い点に注意
- e. café au lait 斑:NF1で出生時〜見られ早期診断に重要な所見
神経皮膚症候群では皮膚症状の出現時期が重要
| 時期 | 神経線維腫症1型(NF1) | 結節性硬化症 |
| 出生早期〜 | カフェオレ斑 | 葉状白斑(119A23) |
| 成長してから | 神経線維腫 | 血管線維腫 |
120D13
120D13
Sjögren 症候群に特徴的な症候はどれか。
- う歯
- 兎眼
- 難聴
- 胸鎖関節炎
- 爪部点状陥凹
解答:a
シェーグレン症候群では唾液分泌低下に伴いう歯を生じやすい
- a. う歯やドライアイがシェーグレン症候群で代表的な所見。皮膚症状では環状紅斑や紫斑がみられる
- b. 兎眼:顔面神経麻痺(Bell麻痺)等に伴う閉眼障害で生じる
- c. 難聴:Ramsay-Hunt症候群に伴い生じる
- d. 胸鎖関節炎:掌蹠膿疱症では胸肋鎖関節炎が特徴(118A45)
- e. 爪部点状陥凹:乾癬では爪変化が見られることがあり、とくに関節症状を伴う場合(乾癬性関節炎, 関節症性乾癬)に有病率が高い所見
120D24
120D24
50歳の女性。顔面の皮疹を主訴に来院した。3日前から38℃台の発熱、悪寒を認め、顔面に熱感を伴う皮疹が出現し、急速に両側に拡大した。右耳後部リンパ節の腫大を認めた。血液所見:赤血球458万、Hb 12.5 g/dL、白血球12,100、血小板34万。CRP 7.8 mg/dL。右顔面の皮疹の写真(別冊No. 6)を別に示す。 最も考えられる診断はどれか。
- せつ
- 丹毒
- ひょう疽
- ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
- 蜂窩織炎

解答:b
発熱を伴う顔面の紅斑で、熱感を伴うことから丹毒を考える
- a. せつ:毛包の浅層に限局した感染症で、局所症状が主体であり全身症状は生じづらい
- b. 丹毒:おもに真皮レベルでの皮膚感染症で、顔面に好発する。所属リンパ節腫脹も伴いやすい
- c. ひょう疽:細菌性爪囲炎のことで、爪周囲で局所感染徴候を認める。全身症状は通常見られない
- d. ぶどう球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS):黄色ブドウ球菌の産生する毒素によって表皮剥離・びらんをきたす疾患。顔面というより体幹中心
- e. 蜂窩織炎:皮下脂肪織レベルでの感染症で、丹毒より境界不明瞭とされる。部位としては下肢に多い
120D41
120D41
14歳の男子。発熱と皮疹を主訴に来院した。5日前から咽頭痛が出現し、市販のNSAIDを内服している。3日前から発熱と皮疹が出現し、咽頭痛が増強したため受診した。体温39.8℃。両側眼球結膜の充血、口腔粘膜に発赤や出血斑を認める。顔面、体幹の広範囲に紅斑、水疱、びらんを認める。病変部の疼痛が強いため、鎮静下に呼吸管理を開始した。血液所見:赤血球390万、Hb 12.5 g/dL、Ht 33 %、白血球12,200、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白6.4 g/dL、アルブミン3.6 g/dL、AST 124 U/L、ALT 250 U/L、LD 480 U/L(基準 124~222)、尿素窒素6.0 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL。CRP 13 mg/dL。胸部の写真(別冊No. 17)を別に示す。 適切な治療薬はどれか。
- 抗菌薬
- NSAID
- 抗ウイルス薬
- 抗ヒスタミン薬
- グルココルチコイド

解答:e
薬剤使用後に全身の水疱・びらんや粘膜疹がみられ、中毒性表皮壊死症(TEN)などの重症薬疹を考える
治療はステロイドが基本
- a. 抗菌薬:びらん部からの二次感染予防に用いられる場合はあるが副次的な治療
- b. NSAID:薬疹の被疑薬なので再投与は禁忌
- c. 抗ウイルス薬:ウイルスとは関連しない
- d. 抗ヒスタミン薬:軽症〜中等症の薬疹で用いられる
- e. 重症薬疹ではステロイド全身投与が基本。効果不十分な場合は免疫グロブリンも用いられる
120D51
120D51
75歳の男性。鼻部の皮疹を主訴に来院した。約2年前から鼻根部に小さな皮疹が出現したが医療機関を受診しなかった。徐々に増大し、中心部が少し凹み、縁が堤防状に盛り上がってきた。時々、かさぶたが付着し、剥がれるとわずかに出血することがあったが、痛みや痒みはない。鼻根部に長径20 mmの結節を認める。頸部リンパ節の腫大はない。鼻部の皮疹の写真(別冊No. 21A)とダーモスコピー像(別冊No. 21B)とを別に示す。 診断はどれか。
- 悪性黒色腫
- 基底細胞癌
- 日光角化症
- 有棘細胞癌
- 脂漏性角化症
解答:b
数年の経過で鼻部に見られる色素斑で、出血を伴うことやダーモスコピーで血管構造が目立つことから基底細胞癌を考える
基底細胞癌のダーモスコピーでは樹枝状血管(arborizing vessels)が特徴

参考書籍より引用
- a. 悪性黒色腫:黒色斑を生じるが、色調は均一ではなく色ムラが多い(118A20)。また血管構造は通常目立たない。進行が早いためリンパ節転移を伴いやすい
- b. 基底細胞癌:顔面の正中部に好発し、潰瘍や出血をきたしやすい。遠隔転移は非常に稀
- c. 日光角化症:露光部に好発するが、通常紅色になる。ダーモスコピーでは紅色の背景で毛包部は白く抜けるstrawberry patternが特徴
- d. 有棘細胞癌:腫瘤や潰瘍を形成することが多く、通常紅色になる
- e. 脂漏性角化症:黒褐色調の腫瘍だが、真っ黒というより茶色に近い色調になる。潰瘍化しない。ダーモスコピーではcomedo-like openings(面疱様開大)が特徴
脂漏性角化症のダーモスコピー↓

脂漏性角化症で見られるダーモスコピー
参考:あたらしい皮膚科学 第3版 p58(図3.21)
120D57
120D57
67歳の男性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。2週間前から労作時呼吸困難が出現し、急速に悪化したため受診した。手の皮膚所見(別冊No. 26)を別に示す。両側の肘と膝の伸側に落屑を伴う紅斑を認める。両側下肺野にfine cracklesを聴取する。徒手筋力テストで、両側三角筋および大腿四頭筋は4。胸部単純CTで下葉にすりガラス陰影および牽引性気管支拡張を認める。 診断に最も有用な自己抗体はどれか。
- 抗Scl-70抗体
- 抗MDA5抗体
- 抗ADAMTS-13抗体
- 抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
- 抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体〈抗MuSK抗体〉

解答:b
間質性肺炎をきたしており、手指屈側での皮疹(逆Gottron徴候)が見られることから抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎を考える
通常皮膚筋炎では手背側の皮疹(Gottron徴候)が特徴だが、抗MDA5抗体陽性例では手掌側でも皮疹が見られる
- a. 抗Scl-70抗体(抗トポイソメラーゼⅠ抗体):びまん皮膚硬化型の全身性強皮症で見られることのある自己抗体
- b. 抗MDA5抗体:皮膚筋炎の中でも急速進行性間質性肺炎を合併しやすいとされる。鉄棒豆ができる部位に紅斑や丘疹が見られやすいとされる
- c. 抗ADAMTS-13抗体:後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)で見られる自己抗体
- d. 抗RNAポリメラーゼⅢ抗体:びまん皮膚硬化型の全身性強皮症で見られることのある自己抗体
- e. 抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体<抗MuSK抗体>:重症筋無力症で見られることのある自己抗体
類問:116D44
120D65
120D65
25歳の女性。右下腿の皮疹を主訴に来院した。1週間前に右下腿に小丘疹が出現し、搔破後に急速に潰瘍が拡大した。その後、潰瘍は多発してきた。潰瘍性大腸炎で治療中である。体温36.1℃。下腿は強い疼痛を伴い、潰瘍辺縁は紫紅色調を呈している。潰瘍部の細菌培養は陰性。病変部の病理検査で真皮に好中球の浸潤を多数認めるが、乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認めない。右下腿の皮疹の写真(別冊No. 29)を別に示す。 診断はどれか。
- 結節性紅斑
- 硬結性紅斑
- 壊死性筋膜炎
- 壊疽性膿皮症
- 血栓性静脈炎

解答:d
下腿で外傷後に急速に拡大し、辺縁隆起した無菌性潰瘍が多発している
組織学的に好中球浸潤がみられ、壊疽性膿皮症の診断。潰瘍性大腸炎やMDSなど原疾患をもつ場合が多い(110C58)
- a. 結節性紅斑:下腿で圧痛を伴う紅斑を認め潰瘍性大腸炎に合併する場合もあるが、通常潰瘍化しない。組織学的には脂肪織炎が見られる
- b. 硬結性紅斑:結節性紅斑と臨床像や病理像は類似するが、結核疹として生じ潰瘍化する。結核であれば乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が見られる
- c. 壊死性筋膜炎:筋膜レベルでの細菌感染症で、発熱など全身症状を伴う
- d. 壊疽性膿皮症:下肢に好発する無菌性潰瘍が特徴
- e. 血栓性静脈炎:静脈に沿って索状の硬結をきたし、発赤を伴う
120D66
120D66
24歳の女性。リンゴを食べた直後に口腔内の違和感と咽頭搔痒感を訴えて受診した。症状は数分以内に消失し、全身症状は認めなかった。 診断に最も有用な検査はどれか。
- 口腔粘膜生検
- パッチテスト
- プリックテスト
- 血清総IgE抗体測定
- 末梢血好酸球数測定
解答:c
リンゴを食べた後の口腔内違和感であり、花粉食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)を考える
即時型アレルギーであり、診断にはプリックテストが有用
口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群) OAS
特定の花粉に感作された後、交差反応を示す食物を摂取することでアレルギー症状をきたす症候群
消化・加熱により分解されるとアレルギー反応が起こらなくなるため、一般に症状は口囲に限局し加熱などの加工処理で摂取可能となることが多い
| 代表的な花粉-食物の組み合わせ | ||
| 花粉 | 果物・野菜など | |
| カバノキ科(シラカンバ・ハンノキ) | バラ科(リンゴ・モモ・サクランボ) | マメ科(大豆・ピーナッツ) |
| ヒノキ科・スギ | ナス科(トマト) | |
| イネ科(カモガヤ)・ブタクサ | ウリ科(メロン・スイカ) | |
| ヨモギ | セリ科(セロリ・ニンジン) | |
- a. 口腔粘膜生検:一過性の症状なので生検しても所見は乏しい
- b. パッチテスト:Ⅳ型アレルギーの検査であり、接触皮膚炎の精査等で用いられる
- c. プリックテスト:Ⅰ型アレルギー検査であり、prick to prick(リンゴを刺したプリック針でそのまま皮膚を刺す)が診断に有効
- d. 特異的IgE抗体測定が診断に有用な場合もあるが、"総IgE抗体"を測っても得られる情報は少ない
- e. 末梢血好酸球測定:好酸球が増加するわけではない
120E1
120E1
アナフィラキシーにおけるアドレナリンの注射部位はどれか。
- 筋肉内
- 心腔内
- 動脈内
- 皮下
- 皮内
解答:a
アナフィラキシーにおけるアドレナリンは大腿外側の筋肉内に注射する
皮下注よりも吸収が早いため
120E2
120E2
皮膚筋炎の患者にみられるのはどれか。
- 口腔潰瘍
- 指尖潰瘍
- 上眼瞼の紫紅色の浮腫
- 蝶形紅斑
- 網状皮斑
解答:c
皮膚筋炎では上眼瞼にヘリオトロープ疹が見られる
- a・d. 口腔潰瘍・蝶形紅斑:SLEで見られる所見
- b. 指尖潰瘍:全身性強皮症では指尖潰瘍が見られる(119A22)
- c. 上眼瞼の紫紅色の浮腫:ヘリオトロープ疹で、皮膚筋炎の診断基準にも含まれる
- e. 網状皮斑(リベド):網目状の皮疹で、血管炎やクリオグロブリン血症等で見られる所見
120E17
120E17
縫合した創部の断面図(別冊No. 1)を別に示す。鑷子(せっし)で縫合糸を挙上している。 抜糸を行う際、剪刀(せんとう)で切離すべき場所はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤

解答:e
表層に出ている部分 = 清潔ではないため、なるべくギリギリで切ってこの部分が皮膚の内部を通らないようにする
(とはいうものの、⑤はギリギリすぎて正直ここで切るのは困難では…という気もする。現実世界では④と⑤の間くらいで切っているのではないだろうか)
120F12
120F12
内臓悪性腫瘍の合併を想起すべきなのはどれか。
- 亜鉛欠乏症候群
- 黒色表皮腫
- 弾性線維性仮性黄色腫
- Ehlers-Danlos 症候群
- Fabry 病
解答:b
黒色表皮腫は胃癌など悪性腫瘍に合併して生じることがある
- a. 亜鉛欠乏症候群:皮膚炎の背景に亜鉛欠乏が存在する場合がある(120C27)
- b. 黒色表皮腫:悪性腫瘍や肥満、糖尿病等が背景に存在する場合がある
- c. 弾性線維性仮性黄色腫:遺伝性に弾性線維の変性をきたす疾患
- d. Ehlers-Danlos症候群:主にコラーゲンをコードする遺伝子の異常で生じる先天性疾患
- e. Fabry病:X連鎖性遺伝性疾患(おもに男性で発症)であり、進行性の腎障害がとくに問題になる。皮膚では無汗/低汗症や発作性の四肢末端痛、被角血管腫などが生じる
120F38
120F38
6歳の女児。呼吸困難のため救急要請された。小学校の給食で、ピーナッツバター付きのパンを食べた直後から呼吸困難と悪心を認めた。傍にいた担任教諭は、事務員に家族を呼び救急車を要請するように指示した。救急車は15分後、家族は20分後に到着するという。意識は傾眠状態。脈は触知できるが、顔面は蒼白であった。激しい咳嗽と全身に膨疹を認める。学校から搬入予定の病院まで車で30分かかる。ピーナッツによるアナフィラキシーショックの既往がある。主治医の指導でアドレナリン自己注射液は本人に携帯させており、事前に担任教諭へアドレナリン注射の指導をしている。担任教諭が注射の実施について判断に迷ったため、主治医に電話相談をした。
指示すべきアドレナリン注射の実施者はどれか。
- 家族
- 教諭
- 本人
- 救急救命士
- 搬入先の医師
解答:b
既往もあり、ピーナッツによるアナフィラキシーショックを疑う
緊急事態では教職員によるアドレナリン注射の実施も許容されている

参考文献より
- a. 家族:児童が自分で注射できない場合は親が打つことになる。ただ今回はその場に居ない
- b. 教諭:緊急時であり、明らかに上記症状をきたしていることから教諭に注射を指示する
- c. 本人:傾眠状態であり自己での注射は困難
- d. 救急救命士:アドレナリン自己注射を処方されている場合、救急救命士も注射が可能※。といってもその場に居ないのですぐにできるわけではない
- e. 搬入先の医師:アナフィラキシーと診断すればもちろん注射可能だが、その場に居ない
※「自己注射が処方されていない場合」でも救命救急士が投与可能なように、適応を拡大する実証事業が行われている
参考:アナフィラキシーガイドライン 2022のp30




