今日の勉強内容
昨日も少し触れた整形外科ポリクリノートを少し進めていました。ちなみにこのノート、分量多すぎて提出してもほとんど見られてないという噂も尽きなかったり…確かに23ページx100人以上の課題をちゃんと読んでるほど先生も暇じゃないですよね。
ただまあちゃんと教科書で調べれば勉強になるのも事実なので、適度に真面目に適度に適当に(適って使いすぎ?)やっていこうと思います。
その後整形外科漬けにも疲れたので、午後からはQB E(腎臓)を少し進めました。
腎臓、とくに糸球体疾患は病理所見が大事だなあと思いながら、病理の本を引っ張りだしてきていました。病理の本では下の「病理診断コンパクトナビ」という本は、厚さが手頃で内容もまとまっていて使いやすいと思います。
あ、あとこの記事の下の方の画像でリンクを張っている「病理コア画像」もオススメです。
病理診断コンパクトナビ―医学生・研修医必携
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これ以外の病理学の本だと「ロビンス基礎病理学」(大学では実質指定テキスト)も名著だとは思うのですが、疾患の勉強をしながら読むにはボリュームが多いし、その割に臨床的な話が多くて写真はそこまで掲載されていないのが問題。臨床的な話は朝倉内科学なりイヤーノートなりで読むので、病理所見にポイントを絞って貰った方が私のニーズには合います。
以下は今日の勉強メモ
(溶連菌感染後)急性糸球体腎炎 (PS)AGN
疫学・病態
- 小児〜若年者に多いが、近年は成人例(予後悪い)も増加中。また溶連菌以外の黄色ブドウ球菌やウイルス感染によるAGNが増加している
- Ⅲ型アレルギーの関与:糸球体基底膜へと免疫複合体が沈着、補体の活性化が生じ炎症が惹起される。ただし腎炎惹起抗原の直接糸球体沈着による炎症経路も関与する。
検査
- 補体価は低下するが、発症2ヶ月後には回復する(=急性疾患)。なお副経路を介した活性化のためC4はほぼ正常
- 蛋白尿はみられるが、ネフローゼの形をとることは少ない
- 病理像では毛細血管内の白血球浸潤と内皮細胞・メサンギウム細胞の増殖(管内増殖型変化)が見られる→糸球体は膨化する
- 電子顕微鏡:humpと呼ばれる基底膜上皮下のdeposit
治療
浮腫・高血圧の治療にループ利尿薬とCa拮抗薬を使用する
半月体形成性糸球体腎炎(≒急速進行性糸球体腎炎:RPGN)
※「半月体形成性」は病理所見からの名称で、「急速進行性」は臨床経過からの名称なので必ずしも一致しない
病態
糸球体毛細血管の壊死が生じ、係蹄壁からフィブリンが流出→サイトカインにより係蹄壁周囲に炎症と線維化が生じ、線維化を主体とする半月体が形成される
診断
- 様々な原因により生じるため、蛍光抗体法によりIgGの沈着パターンを見る
→pauci-immune型(沈着しない)ならANCA関連疾患、線状型なら抗糸球体基底膜抗体が生じる疾患(抗GBM抗体腎炎やGoodpasture症候群)、顆粒状型ならループス腎炎などの糸球体腎炎に続発したRPGNを考える。 - 原因疾患である顕微鏡的多発血管炎(MPA)では血管周囲のフィブリノイド変性を認める(下の写真で囲われたところ)
source:12.腎臓・泌尿器 (5)半月体形成性糸球体腎炎|病理コア画像
治療
- カクテル療法:ステロイドと免疫抑制薬、抗血小板薬と抗凝固薬を併用することで、1つの薬の使用量を減らし副作用の出現を抑える
- 血漿交換:とくに抗GBM抗体が陽性の場合
- 腎予後は改善傾向だが依然悪い(透析導入原疾患で5位)
IgA腎症
疫学
20代前半が発症のピーク
慢性糸球体腎炎の中で最も多く30〜40%、45歳以下の透析導入原因ではNo.1
病態
- 腎のメサンギウム領域優位にIgAの沈着が見られ、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病(アナフィラクトイド紫斑病,アレルギー性紫斑病)の腎限局型とも考えられている。
※シェーンライン〜は2012年、IgA血管炎に名称変更された - IgAは90%が1量体だがIgA腎症で沈着しているIgAの多くは多量体であること、またIgAヒンジ部の糖鎖不全があることから、扁桃における異常IgAの産生が病態に関与していると考えられている。
また上気道感染時に増悪することも粘膜免疫の関与を示唆する。 - 進行すると糸球体硬化像を呈する(慢性糸球体腎炎)
検査
高血圧や蛋白尿がある症例の方が予後は悪い
治療
- 抗血小板薬・降圧薬(ACE阻害薬,ARB)
- 扁桃摘出+ステロイドパルス:上述のように扁桃病巣感染症と考えられているため。軽症例から積極的に行うことで予後を改善するという報告もある