それでも生きていかざるをえない

それいきノート:皮膚科編

レポート

初期研修医レポート めまい

更新日:

研修医レポートがそろそろ全部終わりそうなので、過去のものを記録に残してみようと思い引っ張り出してきた企画第2弾。提出時にA4 1枚という制限があるので短めです。
※個人情報配慮のため一部事実と異なる記載があります

171212-Report

症候学レポート めまい

病歴

主訴

回転性めまい

現病歴

75歳の男性。
受診当日の朝4時頃、起床しようとした際に回転性めまいが出現した。めまいは初発であり持続時間は5分程度であったが、その後も頭位変換時に同様のめまいが出現したためERを受診した。なお同様のめまいはERで仰臥位になる際も出現し、合計3回出現した。

上気道感染や外傷の先行はない。耳鳴りや耳閉塞感、嘔気を伴わない。めまい出現前の動悸・胸痛・冷汗・意識消失・頭痛などはない。

既往歴

骨粗鬆症, 高血圧

内服薬

抗骨粗鬆症薬(詳細不詳)

生活歴

ADL:全自立, 飲酒:機会飲酒, 喫煙:なし, アレルギー:なし

身体所見・検査

身体所見

JCS 0, GCS E4V5M6, 血圧 160/80mmHg, 心拍数 96回/分, SpO2 96%(room air), 呼吸数 18回/分, 体温36.2℃

瞳孔:径2.5mm/2.5mm 対光反射俊敏, 複視・眼球運動障害・眼振なし, 顔面触覚/痛覚左右差なし, 額しわ寄せ左右差なし・まつげ徴候陰性・口角下垂なし, 構音障害なし, 挺舌:正中歯列を越える, 上肢Barre試験/下肢Mingazzini試験:左右差なく両側保持, 指鼻試験・膝踵試験・回内回外試験:左右差なくスムーズ
Dix-Hallpike試験:右45°に傾け仰臥位にした際にめまいと水平性眼振が出現

検査
  • 心電図:洞調律, 心拍数85回/分, ST-T変化なし
  • 頭部CT:高吸収域/低吸収域なし

経過

身体診察および各種検査からBPPV(benign paroxysmal positional vertigo:良性発作性頭位めまい症)の可能性が高いと考えた。症状が治まっており、自力歩行可能なことから耳鼻科外来の受診を勧め帰宅とした。

同日中に耳鼻科を受診し、Frenzel眼鏡を用いた頭位変換眼振の出現と聴力検査で左右差がないことを再度確認の上、メリスロン6mg 3錠を処方された。

考察

高齢男性の初発の回転性めまいである。

めまいをきたす疾患で最多とされるのはBPPVであるが、他疾患の除外が必須である。この際の手順として、まずはpresyncopeをきたす疾患である出血・心血管性疾患・迷走神経反射を除外する。さらにvertigoをきたす中枢性疾患として小脳・脳幹の出血/梗塞があるため、神経所見をとる必要がある。これらの疾患が否定されればめまいは末梢性めまいの可能性が高まるため、蝸牛症状の有無や発症形式から鑑別を行う。検査としては心電図によるpresyncopeの鑑別や頭部CT/MRIによる中枢性疾患の鑑別、Frenzel眼鏡による眼振の精査が重要となる。

今回の症例では動悸・胸痛などの随伴症状がないことや血圧低下/脈拍増加を認めないこと、仰臥位移行時にも症状が出現していることからpresyncopeは否定的である。神経所見でも有意所見を認めなかったが、高齢者の初発めまいであることから中枢性めまいを除外するために頭部CTを施行した。最終的には蝸牛症状や先行感染を伴わない頭位変換時の回転性めまいや持続時間から、BPPVと診断した。

参考文献

ジェネラリストのための内科外来マニュアル(医学書院)・標準的神経治療:めまい(日本神経治療学会)


症候学レポート第2弾、めまいです。これは長い間書きかけで眠っていたので、最終的に書き上げたのは今年の3月くらい。

めまいのレポートをまじめに書くと回転性めまい・非回転性めまい・前失神の全てを書かないといけなくなるので、「明らかに回転性」なものを選んで他の考察をカット出来るかがA4 1枚という文字制限と戦うためには重要。

この人は明らかに体動時の回転性めまいなので、頭部CTはERの忙しさによっては省略すると思いますが、レポート的にはCTを撮ってないと書きづらい(こうして余分な検査が増えていくんだな、とは思う)。

あとは身体所見に聴覚所見がない点、既往歴で糖尿病や脂質異常症に触れていない点は今から見返すとちょっとダメかなーという感じがします。

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