それでも生きていかざるをえない

それいきノート:皮膚科編

レポート 初期研修医

初期研修医レポート 胸痛

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研修医レポートがそろそろ全部終わりそうなので、過去のものを記録に残してみようと思い引っ張り出してきました。提出時にA4 1枚という制限があるので短めです。
※個人情報配慮のため一部事実と異なる記載があります

171212-Report

症候学レポート 胸痛

病歴

現病歴

53歳の男性。来院1ヶ月ほど前から労作時に1〜2分ほど左前胸部がしめつけられるような痛みを数度経験していたが、受診はしていなかった。

受診当日の朝は同様の症状で目が覚めたが数分で収まり、昼頃にも数分間の症状出現と消失があった。深夜24時頃には再三症状が出現した。三度目はこれまでより症状が強く1時間以上持続したため、近医受診後深夜26時頃に当院救急外来を紹介受診した。

既往歴

脂質異常症・胆石(高血圧・糖尿病はなし)

内服薬

なし

生活歴

飲酒:機会飲酒・タバコ:20歳時から20本/日

家族歴

父親が15年前(71歳時)に虚血性心疾患のため、CABGを施行されている。

身体所見・検査

身体所見

身長163.0cm、体重72.0kg。血圧 138/119mmHg・心拍数 78回/分・SpO2 96%(room air)・呼吸数 15回/分

左前胸部の絞扼感は安静時も持続しているが、冷汗・放散痛・嘔気を伴わない。心雑音を聴取しない。

検査
  • 血液検査:CK 118IU/L・心筋トロポニンI 0.62ng/ml・BNP 24pg/ml・Dダイマー 0.48μg/ml
  • 心電図:Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でのST低下及びV2-5誘導でのST上昇をみとめる
  • 心エコー:前壁〜心尖部にかけて壁運動低下をみとめる。

経過

心電図におけるV2-5でのST上昇と心筋逸脱酵素である心筋トロポニンIの上昇から左室前壁のSTEMI(ST上昇型心筋梗塞)と診断され、緊急でCAGおよびPCIが施行された。その結果LAD#6に100%狭窄を認め、ステント留置により再灌流が得られた。PCIにより胸痛は速やかに消失し、CKは同日午前8時の1550IU/Lをピークとして以降は漸減した。

PCI後は不整脈・機械的合併症・心不全等に注意しながら1週間の心臓リハビリテーションと栄養指導を行い、第8病日に退院となった。

退院時処方はDAPTとしてアスピリン・プラスグレル、二次予防目的としてロスバスタチン、胃潰瘍予防としてエソメプラゾールであった。

考察

胸痛の重要な鑑別疾患として、AMIを含むACSの他に大動脈解離・肺動脈血栓塞栓症・緊張性気胸・特発性食道破裂・心タンポナーデがある。これら4つは4killer chest painと呼ばれ、緊急性の高さと治療により予後の改善が見込めることから早期に鑑別に挙げるべき疾患といえる。胸痛をきたす疾患は心血管疾患以外にもGERD、胸膜炎、帯状疱疹、過換気症候群、筋骨格系疾患と多くの臓器におよぶ。

そのため上述した胸痛をきたす疾患を鑑別する際は、病歴聴取が最も重要とされている。特に血圧や酸素飽和度の変化をチェックすることと、痛みの発症機転・増悪寛解因子・性状・部位・随伴症状・時間経過などのOPQRSTを詳細に聴取することが重要となる。
その他の検査としては心電図・胸部X線・心エコーが診断に有用である。

本症例の胸痛は家族歴・BMI高値(27.1)・脂質異常症・喫煙歴の冠危険因子を持ち、狭心症発作を反復していた男性に突然発症した持続性の胸痛であり、ACSの典型的病歴と合致する。
病歴聴取が素早い診断・治療に繋がり予後を改善した1例と言える。

参考文献

ハリソン内科学 第4版・ジェネラリストのための内科外来マニュアル・内科学(朝倉書店) 第10版


一番始めに出した胸痛のレポートです(2016/05頃)。典型的な症例なので最初に選んだ記憶があります。

突っ込みどころは色々ありますが…唐突に略語が出てくる(CABG・ACS)、採血結果が少なすぎ、といった辺りは今なら変更する気がします。

あと冷汗とか嘔気は、身体所見(O)より現病歴(S)の欄だと思う。書き方難しいけど…

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