今日の勉強内容
今日もMECの循環器のテキストを復習、今日の内容は不整脈でした。
不整脈は難しい。医学生みんながそう思っていることでしょうが、やっぱり難しい。まず”どうして不整脈が生じるのか”があまりはっきり解りません。「頻脈性不整脈ではリエントリーが悪い」というのは何とか解るとしても、それぞれの疾患における伝導路が複雑なので、今日覚えても明日には忘れていそうな話です。結局心電図という結果から診断するしかないところがあります。さらに治療の際にもNaチャネルやKチャネルの働きをあーだこーだする薬を使うので、この機序がまた難しかったりします。
結果、「演習を重ねてなんとなく問題は解けるけど、やっぱり不整脈はよく解らない」という一番困った状況になっていく自分…
そんな不整脈ですが、自分が読んでて良いなと思った本は下の「心電図のみかた、考え方」という本。以前も書いた気がしますが、今日パラパラとみていてやっぱりこれは良いものだと実感。
心電図のみかた、考え方―基礎編
中外医学社
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心電図を読むための実践的なポイントが簡潔にまとめられている一方で、中隔性q波が生じる機序の様な理論的な話もちゃんと書いてあるところが良いと思います。まあ自分も全然よみきれていないのですが…中身がしっかりしている故にやや分厚いのが唯一の欠点ですね。
以下は今日の勉強ノート
§4 不整脈
抗不整脈薬
Williams分類
- Ⅰ群(Naチャネル遮断):キニジン・プロカインアミド・ジソピラミド(Ⅰa群)/リドカイン(Ⅰb群)/フレカイニド(Ⅰc群)
- Ⅱ群(β遮断薬):プロプラノロール
- Ⅲ群(Kチャネル遮断薬):アミオダロン
- Ⅳ群(Caチャネル抑制):ベラパミル・ジルチアゼム
アミオダロンは強力な作用を持つが、間質性肺炎等の副作用もあるため電気的除細動抵抗性のVF/pulslessVTなど適応は限られる。
同じCa拮抗薬でもニフェジピンなどのジヒドロピリジン系は使わない。
心房性頻脈性不整脈
発作性上室性頻拍(PSVT)
房室結節や副伝導路(at房室)を介するリエントリーにより生じる。多くは房室結節リエントリー型(AVNRT)とWPW症候群などに合併する房室回帰型頻拍(AVRT)とに分類される。
根本的治療としてはリエントリーを引き起こす伝導路のカテーテルアブレーションがある。AVNRTなら遅伝導路を焼き、AVRTなら副伝導路を焼く。
心房細動(Af)
心房全体でリエントリーが多発するため無秩序な電気興奮(細動波)が生じる。肺静脈の上にある心房筋から異常電気興奮が生じるためとされ、ここをカテーテルでアブレーションする治療が行われる。
心房粗動(AFL)
心房内のリエントリー(Afより規則的)をきたす。粗動波は300回/min程度であり、多くは4:1ないし2:1のタイミングで心室に電気刺激が伝わるため、脈拍は150回/minもしくは75回/minとなる。このときの心房の興奮はF波と呼ばれる。
洞頻脈
洞結節の自動能の亢進によるもの
心室性不整脈
心室頻拍(VT)・心室細動(VF)
心筋梗塞などの冠動脈疾患や心筋症などの器質的異常に合併することが多く、その場合は壊死層近傍における心筋内でのリエントリーが原因。
器質的異常以外にはBrugada症候群やQT延長症候群(LQTS)と呼ばれるものがあり、これらはいずれもチャネルの異常が原因。(LQTSは薬剤性や電解質異常に起因するものもある)
徐脈性不整脈など
抗不整脈薬は徐脈性不整脈の大きなリスク!
房室ブロック(AVB)
心房での興奮は正常だが、心房から心室への伝導遅延/途絶をきたす疾患。
1度・Wenckebach型2度は房室結節内での伝導障害(AHブロック)であるが、MobitzⅡ型や3度はHis束以下のブロック(HVブロック)。前者は迷走神経過緊張が原因となりえるが、後者は心室内での器質的異常が生じておりペースメーカー挿入の適応。
洞不全症候群(SSS)
洞結節自動能の低下や洞房間伝導障害が生じるために引き起こされる。以下の3つに分類される
- Ⅰ群 洞性徐脈:洞結節自動能の低下
- Ⅱ群 洞停止:洞結節の興奮が生じない・洞房ブロック:洞結節からの刺激が心房へと伝わらない
- Ⅲ群 徐脈頻脈症候群:心房細動などの上室性頻脈の後、洞停止や洞房ブロックが出現する
AVBとの簡単な見分け方としてはP波(心房興奮)の有無がある。AVBは心房の興奮は正常なためP波があるが、SSSは(Ⅰ群をのぞき)心房での興奮が生じていないのでP波も存在しない。
※脚ブロック
0.12秒≦QRSで完全、0.10秒≦QRS≦0.12秒で不完全ブロック
QRS≦0.10秒が正常
左脚ブロックでは中隔興奮の欠如によりV5/6における中隔性q波が消失する
右脚ブロックのみなら特に病的意義はないが、左脚ブロックと合併している場合は完全房室ブロックへと移行することがある。