皮膚科 皮膚科専門医試験対策

単純ヘルペス 帯状疱疹 抗ウイルス薬まとめ

230123-HerpesSimplex-HerpesZoster

単純ヘルペスと帯状疱疹の治療に使われる抗ウイルス薬をまとめました

前半では抗ウイルス薬について解説し、後半では皮膚科専門医試験の関連問題を紹介しています

単純ヘルペス 帯状疱疹 抗ウイルス薬まとめ

単純ヘルペス 抗ウイルス薬

単純疱疹(単純ヘルペス)で用いられる抗ウイルス薬内服は以下の3種類

内服期間は原則5日間

一般名 商品名 用法用量(1日量)
アシクロビル ゾビラックス® 200mg ×5回
バラシクロビル バルトレックス® 500mg ×2回
ファムシクロビル ファムビル® 250mg ×3回

ただしいずれも腎代謝のため、腎機能(CCr)に応じて減量が必要

CCr (mL/min/1.73m2) ≧10 <10
アシクロビル 200mg ×5回 200mg ×2回
CCr (mL/min) ≧30 <29
バラシクロビル 500mg ×2回 500mg ×1回
CCr (mL/min) ≧40 20-39 <20
ファムシクロビル 250mg ×3回 250mg ×2回 250mg ×1回

単純ヘルペス 特殊な用法用量

通常と異なる特殊な用法用量があり、代表例は下記2つ

  • バラシクロビル 性器ヘルペスの再発抑制
  • ファムシクロビル PIT療法
バラシクロビル 性器ヘルペスの再発抑制

対象:性器ヘルペスの発症を繰り返す(概ね年6回以上)場合

用法用量:バラシクロビル500mg ×1回で、1年間投与後必要性について検討する

なおこれで抑制しきれない場合、250mg ×2回や1,000mg ×1回に変更可能

※性器ヘルペス以外の単純ヘルペスについては保険適用がない点に注意

ファムシクロビル PIT療法

対象:再発性単純ヘルペスで条件を満たしたもの

  • 再発頻度が概ね年3回以上
  • 再発の初期症状(患部の違和感・灼熱感・搔痒感など)を正確に判断可能
  • 再発分の処方は1回のみ

PIT = patient initiated therapyの名前どおり、「薬をあらかじめ処方しておいて患者判断で服用開始する」ことが特徴

230123-FamvirPIT

参考サイトより引用

用法用量は1,000mg ×2回で終了(one-day treatmentとも呼ばれる)

初回服用は初期症状(患部の違和感・灼熱感・搔痒感など)出現後6時間以内に行い、2回目はその12時間後*に服用する

*6〜18時間までは許容

こちらはバラシクロビルと異なり、口唇ヘルペス・性器ヘルペスどちらでもOK

※アシクロビルも成人・小児の「造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制」と小児の「性器ヘルペスの再発抑制」に保険適用があるがここでは省略

帯状疱疹 抗ウイルス薬

帯状疱疹の抗ウイルス薬は下記4種類:単純ヘルペスの3種類+アメナメビル

内服期間は原則7日間

一般名 商品名 用法用量(1日量)
アシクロビル ゾビラックス® 800mg ×5回
バラシクロビル バルトレックス® 1,000mg ×3回
ファムシクロビル ファムビル® 500mg ×3回
アメナメビル アメナリーフ® 400mg ×1回

アメナメビル以外は腎代謝のため、単純ヘルペスと同様に腎機能にあわせて減量が必要(アメナメビルは減量不要)

アメナメビルは従来3種の薬と薬理機序が異なる

  • ファムシクロビル・バラシクロビル・アシクロビル:核酸アナログであり、ヘルペスウイルスが増殖する際に取り込まれてその増殖を抑制する
  • アメナメビル:ウイルス増殖の初期で働くヘリカーゼ・プライマーゼ(DNAの2重螺旋をほどく)の活性を直接阻害する
2020-Amenamevir maruho

参考サイトより引用

減量基準については下記の通り

CCr (mL/min/1.73m2) >25 10-25 <10
アシクロビル 800mg ×5回 800mg ×3回 800mg ×2回
CCr (mL/min) ≧50 30-49 10-29 <10
バラシクロビル 1,000mg ×3回 1,000mg ×2回 1,000mg ×1回 500mg ×1回
CCr (mL/min) ≧60 40-59 20-39 <20
ファムシクロビル 500mg ×3回 500mg ×2回 500mg ×1回 250mg ×1回

なおこれら腎排泄性抗ヘルペスウイルス薬とNSAIDsを併用すると抗ヘルペスウイルス薬の排泄遅延をきたすため、高齢者や腎機能低下者では鎮痛薬としてアセトアミノフェンの使用が推奨されている

アメナメビルは2021/12に「単純ヘルペスの再発抑制」で追加申請を行なっているが、現在は帯状疱疹に対してしか処方できない

皮膚科専門医試験 過去問 関連問題

問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会

2022年 選択問題92

2022年 選択問題92

以下の空白箇所に該当する数値はどれか。

再発性単純疱疹に保険適用になったファムシクロビル錠のpatient initiated therapyでは、1年に概ね3回以上発症し、初期症状を正確に判断できる患者に対し、1回( )mgを2回処方する。なお、初期症状が出現してから6時間以内に1回目を内服し、約12時間間隔で2回目を内服するように患者に指導する。

  1. 250
  2. 500
  3. 750
  4. 1,000
  5. 1,250

解答:4

ファムシクロビルはPIT療法の場合、1,000mg ×2回を内服する

2021年 記述問題3

2021年 記述問題3

帯状疱疹を治療する際の内服の抗ウイルス薬を一般名にて3つ記せ.

解答:アメナメビル, ファムシクロビル, バラシクロビル, アシクロビルから3つ

解説詳細はリンク先:2021 記述3

2020年 選択問題23

2020年 選択問題23

再発性単純疱疹に対するファムビル®のone-day treatmentについて誤っているのはどれか.

  1. 性器ヘルペスは適応外である.
  2. 1回1,000mgを2回内服する.
  3. 再発の初期症状を正確に判断可能な患者が適応となる.
  4. 同じ病型の再発頻度が年間3回以上の患者が適応となる.
  5. 初期症状発現から6時間以内に服用可能な場合のみ治療を開始できる.

解答:1

ファムビル®PIT療法の適応は性器ヘルペスおよび口唇ヘルペス

解説詳細はリンク先:2020 選択23

2020年 記述問題4

2020年 記述問題4

( )内に入る最も適当な薬剤の一般名を記せ.

「( )は帯状疱疹に適応を持つ抗ヘルペスウイルス薬で, DNAヘリカーゼ, プライマーゼを阻害することでVZVの増殖を抑制する」

解答:アメナメビル

アメナメビルは既存の抗ヘルペスウイルス薬と作用機序が異なる

解説詳細はリンク先:2020 記述4

2017年 選択問題37

2017年 選択問題37

本邦において, 繰り返し発症する性器ヘルペスの抑制療法を行う場合, 使用する抗ヘルペスウイルス薬として保険適用があるのはどれか.

  1. ビダラビン
  2. アシクロビル
  3. バラシクロビル
  4. ファムシクロビル
  5. ガンシクロビル

解答:3

性器ヘルペスの再発抑制に使われるのはバラシクロビル

解説詳細はリンク先:2017 選択37

2015年 選択問題22

2015年 選択問題22

80歳の女性. 4日前から図5のような皮疹が出現し, 強い疼痛を伴っている. この症例について正しいものはどれか. 2つ選べ.

  1. 再発しやすい.
  2. 神経痛が残りやすい.
  3. 眼合併症が高率にみられる.
  4. 疼痛に対してはNSAIDsが第一選択である.
  5. 抗ヘルペスウイルス薬を通常量よりも増量する.

解答:2, 3

鼻背部の帯状疱疹は眼合併症をきたしやすく(Huthinson徴候)、また高齢者・重症例では帯状疱疹後神経痛へ移行しやすい

高齢者では鎮静薬としてアセトアミノフェンの利用が無難

解説詳細はリンク先:2015 選択22

2010年 選択問題64

2010年 選択問題64

ヘルペスウイルス感染症の治療で保険診療適用となるのはどれか。2つ選べ。

  1. 性器ヘルペス初発例にアシクロビル1日5錠(1,000mg) 7日間処方した。
  2. 性器ヘルペスの再発抑制にバラシクロビル1日1錠(500mg) 30日間処方した。
  3. 水痘にファムシクロビル1日6錠(1,500mg) 7日間処方した。
  4. 口唇ヘルペスにファムシクロビル1日2錠(500mg) 5日間処方した。
  5. 帯状疱疹にビダラビン1日2回(1,200mg) 7日間点滴静注した。

解答:1, 2

アシクロビルは原則5日間だが、初発型は重症化する場合があるため10日間まで使用可能

ファムシクロビルはCCrによって500mg×5日間となる場合もあるが、出題当時は帯状疱疹にしか保険適用がなかった(2013年に単純ヘルペスが追加された)

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