日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和4(2022)年度の解答を作成しました
速報版のため、解説は短めです(詳細版は別途作成予定→作りました)
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令和4(2022)年度 皮膚科専門医認定試験 過去問 解答解説
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(選択問題100問+記述問題20問の全120問で、6割程度がボーダーラインとの噂です)
見出し
- 1 令和4(2022)年度 皮膚科専門医試験 解答
- 1.1 選択1:5
- 1.2 選択2:2, 4
- 1.3 選択3:1, 3
- 1.4 選択4:1, 5
- 1.5 選択5:2
- 1.6 選択6:2, 5
- 1.7 選択7:1 ★2012-選択86
- 1.8 選択8:5
- 1.9 選択9:2
- 1.10 選択10:2?3?
- 1.11 選択11:5
- 1.12 選択12:5
- 1.13 選択13:2, 5
- 1.14 選択14:2, 4
- 1.15 選択15:5
- 1.16 選択16:1, 4, 5
- 1.17 選択17:4
- 1.18 選択18:2, 3, 4
- 1.19 選択19:5
- 1.20 選択20:2 ★2020-86とほぼ同一
- 1.21 選択21:1, 2
- 1.22 選択22:2
- 1.23 選択23:2, 4, 5
- 1.24 選択24:4, 5
- 1.25 選択25:5
- 1.26 選択26:1, 3
- 1.27 選択27:2
- 1.28 選択28:3, 5
- 1.29 選択29:5
- 1.30 選択30:5
- 1.31 選択31:1→3
- 1.32 選択32:1
- 1.33 選択33:1
- 1.34 選択34:2
- 1.35 選択35:3, 4
- 1.36 選択36:4
- 1.37 選択37:4
- 1.38 選択38:3
- 1.39 選択39:1
- 1.40 選択40:1
- 1.41 選択41:5
- 1.42 選択42:4, 5
- 1.43 選択43:3, 5
- 1.44 選択44:5 ★2021-32とほぼ同一
- 1.45 選択45:5
- 1.46 選択46:4
- 1.47 選択47:5
- 1.48 選択48:4, 5 ★2019-選択21と同一
- 1.49 選択49:1 ★2015-20
- 1.50 選択50:3
- 1.51 選択51:1
- 1.52 選択52:3
- 1.53 選択53:2 ★2021-46の類題
- 1.54 選択54:3, 4, 5?→1, 4, 5
- 1.55 選択55:2
- 1.56 選択56:4
- 1.57 選択57:1, 5
- 1.58 選択58:3
- 1.59 選択59:4 ★2012-17とほぼ同一
- 1.60 選択60:4 ★2019-63
- 1.61 選択61:1
- 1.62 選択62:3
- 1.63 選択63:2
- 1.64 選択64:5
- 1.65 選択65:5
- 1.66 選択66:1
- 1.67 選択67:2
- 1.68 選択68:2 ★2018-35
- 1.69 選択69:5 ★2021-84
- 1.70 選択70:5
- 1.71 選択71:2
- 1.72 選択72:3
- 1.73 選択73:4 ★2010-43と同一
- 1.74 選択74:2, 5
- 1.75 選択75:1, 2, 5
- 1.76 選択76:1, 4
- 1.77 選択77:2
- 1.78 選択78:2
- 1.79 選択79:1
- 1.80 選択80:1, 2
- 1.81 選択81:1, 2, 3
- 1.82 選択82:2, 3, 5
- 1.83 選択83:4
- 1.84 選択84:2, 3
- 1.85 選択85:1, 5 ★2015-31と同一
- 1.86 選択86:3
- 1.87 選択87:3
- 1.88 選択88:2, 4
- 1.89 選択89:4
- 1.90 選択90:3
- 1.91 選択91:3
- 1.92 選択92:4
- 1.93 選択93:3, 4, 5
- 1.94 選択94:5
- 1.95 選択95:1
- 1.96 選択96:1
- 1.97 選択97:2, 5
- 1.98 選択98:3, 4
- 1.99 選択99:3
- 1.100 選択100:4
- 1.101 記述1:asteroid body, 星状体(星芒体) ★2017-記述5と同一
- 1.102 記述2:10
- 1.103 記述3:偽角質嚢腫(pseudohorn cyst)
- 1.104 記述4:マダニ
- 1.105 記述5:カーリング潰瘍
- 1.106 記述6:rubrum ★2015-記述2, 2013-選択27
- 1.107 記述7:ヘルトーゲ(Hertoghe)
- 1.108 記述8:色素失調
- 1.109 記述9:wickham ★2017-記述1と同一
- 1.110 記述10:(多発性)脂腺嚢腫 ★2013-記述5と同一
- 1.111 記述11:minimal erythema dose
- 1.112 記述12:β-D-グルカン
- 1.113 記述13:IL-1(IL-1β)
- 1.114 記述14:verocay body ★2014-記述14と同一
- 1.115 記述15:informed consent
- 1.116 記述16:HDSS4
- 1.117 記述17:polymerase
- 1.118 記述18:perfusion
- 1.119 記述19:フォアダイス(Fordyce)状態 ★2015-記述9と同一
- 1.120 記述20:in situ
令和4(2022)年度 皮膚科専門医試験 解答
選択1:5
胚中心に存在し、貪食能を持つ細胞:tingible body macrophage(成熟する過程でアポトーシスに至ったB細胞を貪食)
選択2:2, 4
有棘細胞癌:SLNBは>2cm, 遠隔転移例の標準治療はなし, 予防的リンパ節郭清は行わない
選択3:1, 3
尋常性白斑の合併症:橋本病・I型糖尿病
アトピー性皮膚炎は円形脱毛症の合併症
選択4:1, 5
血管肉腫の予後因子:年齢(70歳以上), 腫瘍の大きさ(TNMのT)
腫瘍の厚さ(TumorThickness)は悪性黒色腫のTNM分類に用いる
選択5:2
道化師様魚鱗癬:魚鱗癬症候群ではないので、皮膚症状のみで精神発達遅滞はない
エトレチナートが有効, ABCA12遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患
選択6:2, 5
M.marinumはT-SPOT陽性となる(MACは陰性なので微妙だが), ヒトヒト感染はない。
菌により培養温度が異なる(M.marinumは室温、MACは37℃)
参考:抗酸菌感染症 日皮会誌:130(11),2347-2354,2020
選択7:1 ★2012-選択86
サザンはDNA(遺伝子再構成解析), ノーザンはRNA, ウェスタンはタンパク質
選択8:5
ダーモスコピーでのcrista dotted variant(小児期に出現する母斑に多くみられる)
選択9:2
抗II型コラーゲン抗体陽性の再発性多発軟骨炎+Histiocytoid Sweet syndrome
選択10:2?3?
無汗症の検査:重量計測法やヨード紙法は多汗症で用いる検査
ヨード紙法はとくに掌蹠なので一つ選ぶならヨード紙法か?
選択11:5
アトピー性皮膚炎でのJAK阻害薬内服:組み換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)は不活化ワクチンのため接種可能
選択12:5
伝染性軟属腫除去時のペンレス®テープは処置欄にて算定できる
参考:マルホHP>伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和におけるペンレスの使い方と保険請求
選択13:2, 5
水晶様汗疹は自覚症状なし, 後天性特発性全身性無汗症では汗腺の数は正常(リンパ球浸潤がみられる)
選択14:2, 4
X連鎖性魚鱗癬:ステロイドサルファターゼ(STS)遺伝子の欠失が原因となることが多いため、FISH法が診断に有効
選択15:5
ケロイドの好発部位:前胸部や体幹など
最も発生しづらいのは頭頂部
選択16:1, 4, 5
NF1では
- 悪性腫瘍が健常人の2.7倍
- 放射線治療によりMPNSTの発生リスクが上昇
- unidentified bright objectsが小児の半数以上でみられる(加齢で改善する)
参考:神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病) 診療ガイドライン 2018
選択17:4
顆粒細胞腫:明るい細胞質を持ち、S-100陽性
選択18:2, 3, 4
リツキシマブのターゲット細胞(CD20陽性)はpre-B cell, naive B cell, memory B cell
最終分化した形質細胞や幹細胞では陰性
参考:B細胞と自己免疫 日皮会誌:118(9),1691―1695,2008
選択19:5
血液透析患者でみられる疼痛の強い皮膚潰瘍で、組織学的に石灰化が著明:カルシフィラキシー
選択20:2 ★2020-86とほぼ同一
ディフェリン®外用で炎症性皮疹が減少しはじめるのは4週目、有意差が生じるのは6週目以降
関連:2020 選択86
選択21:1, 2
女性型脱毛症の治療で推奨度D:フィナステリドおよびミノキシジル内服
(ミノキシジル内服は男性でもD)
選択22:2
優性型栄養障害型表皮水疱症は7型コラーゲンの変異が原因で、1/8(1/2の3乗)しか正常蛋白は生じない
変異産物によって正常産物の働きが阻害されるdominant-negative効果が病態形成に関与する
関連:2013 選択8
選択23:2, 4, 5
神経内分泌マーカー:S-100, シナプトフィジン, クロモグラニンA
皮膚科領域ではメルケル細胞癌の診断等に用いられる
参考:表皮系腫瘍 日皮会誌:130(1),11-19,2020
選択24:4, 5
膿疱性乾癬:エトレチナートとシクロスポリンは推奨度C1(B*)で上位, 病型として急性汎発性膿疱性乾癬・小児汎発性膿疱性乾癬・疱疹状膿痂疹がある
小児汎発性膿疱性乾癬のうちcircinate annular formは除外されるが、全てを含まないわけではない
参考:膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン 2014 年度版
選択25:5
angry back syndrome:パッチテストにおいて、非常に強い陽性反応が見られた場合近傍の(本来陽性でない試薬貼付部にも)反応を示すこと
参考:接触皮膚炎診療ガイドライン 2020のp536
選択26:1, 3
真菌診断に用いる特殊染色はPAS染色とGrocott染色
選択27:2
円形脱毛症のnUVBは保険適用(2020年〜)
皮膚科特定疾患指導管理料は初診時は算定できない
選択28:3, 5
好酸球性膿疱性毛包炎:男性に好発し瘙痒感を伴い、再発寛解を繰り返す。インドメタシンは内服/外用ともに有効。掌蹠に生じ、掌蹠膿疱症と紛らわしいことがある。
選択29:5
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA):IL-5抗体製剤メポリズマブ(ヌーカラ®)が保険適用
選択30:5
ドボネックス®は1g中に50μgのカルシポトリオールを含有する
選択31:1→3
光老化の寄与度はUVB>UVA, ただし光老化の代表的症状であるsolar elastosisはUVAが原因
日焼け(sunburn)を起こす力はUVB>UVAであり、日焼けサロンはUVAが主体。sunburnを起こす力はUVBの方が強い
UV”B”によるDNA障害は直接吸収されるのが原因、UVAは活性酸素が生じるのが原因
参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A>日焼け>Q3UVBとUVAはどう違いますか?
日本人に多いフォトスキンタイプは2〜3, 地上に達するのはUVA>UVB
色々調べた結果、"光老化"に対してはUVB>UVAのようなので解答を修正しました(2023/1/1)
選択32:1
口腔アレルギー症候群の原因となるPR-10は熱や胃酸で分解されやすい(ので症状が口腔に限局する)
選択33:1
AIDSによる皮膚症状:口腔カンジダ症, 潰瘍性単純ヘルペス, 好酸球性膿疱性毛包炎, pruritic papular eruption
選択34:2
ランゲルハンス細胞組織球症の約半数でBRAF V600E変異がみられる
参考:小児慢性特定疾病情報センター>ランゲルハンス細胞組織球症
選択35:3, 4
Sweet症候群:疼痛を伴う有痛性紅斑をきたし、骨髄異型性症候群や白血病に合併する。組織での血管炎はない
選択36:4
表皮基底層に豊富に存在するケラチン:K5/K14, 遺伝子変異で単純型表皮水疱症をきたす
-
ケラチン 発現部位と先天性皮膚疾患 まとめ
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選択37:4
アオカミキリモドキは水疱性皮膚炎を生じる
イエダニは非露出部(エッチ虫), アオバアリガタハネカクシは線状皮膚炎
選択38:3
COVID-19で見られる脱毛症の病態は休止期脱毛(通常は妊娠/分娩後に発症することが多い疾患)
参考:CareNet > COVID-19患者の脱毛症、特徴が明らかに
選択39:1
色素性蕁麻疹では刺激部に膨疹を生じるDarier徴候が特徴
日光蕁麻疹の原因波長は可視光線が最多, 接触蕁麻疹の皮疹は2時間程度で消退
選択40:1
デルゴシチニブ(コレクチム®)の外用上限量は1日2回で1回5gまで(合計10g/日)
選択41:5
生後1ヶ月の乳児血管腫:眼部に近く、視野障害をきたしえる病変。機能障害の危険性や整容面で問題となる乳児血管腫に対してはプロプラノロール(ヘマンジオル®シロップ)が第一選択
参考:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形 診療ガイドライン 2017のCQ14
選択42:4, 5
色素失調症:NEMO/IKBKG遺伝子変異が原因のX染色体優性遺伝疾患(→基本は女児)で、紅斑を伴う小水疱がBlaschko線に沿って配列する
選択43:3, 5
「温感と触覚の受容体の発見」で2021年にノーベル医学生理学賞を受賞:David Jay JuliusとArdem Patapoutian
選択44:5 ★2021-32とほぼ同一
爪白癬治療薬の薬価比較:月2本x12ヶ月の場合はエフィナコナゾール(クレナフィン®)が13万円程度の薬価で最も高額。ホスホラブコナゾール(ネイリン®)は6.8万円
関連:2021 選択32 (月1本だとネイリンの方が安い)
選択45:5
慢性アルコール中毒に伴う露光部の皮膚炎・下痢・認知機能障害→ナイアシン欠乏によるペラグラ(3つのD)を考える
選択46:4
結節性硬化症でみられる病変は
- angiofibroma(血管線維腫)
- hypomelanotic macule(葉状白斑)
- shagreen patch(粒起革様皮膚)
- ungual fibroma(爪囲線維腫:Koenen腫瘍)
選択47:5
電子顕微鏡でplasma membraneとlamina densaの間に存在する構造→anchoring filaments
選択48:4, 5 ★2019-選択21と同一
アトピー性皮膚炎の病態において、表皮細胞から分泌されるサイトカイン:IL-33, TSLP
選択49:1 ★2015-20
扁平疣贅:組織でのコイロサイトーシス, HPV-3が原因
関連:2015 選択20
選択50:3
アポクリン汗腺はアドレナリン作動性, エクリン汗腺はアセチルコリン作動性
(→抗コリン薬はエクリン汗腺が原因となる原発性多汗症に用いられる)
選択51:1
sebaceoma(脂腺腫):脂腺への分化がみられ、境界明瞭な結節病変。脂腺癌は否定的と考えられる
選択52:3
マムシ咬傷では肘関節までの腫脹はGradeⅢに分類される
選択53:2 ★2021-46の類題
SLEにおけるヒドロキシクロロキンの1日投与量は理想体重(身長から計算)を元に決定する
関連:2021 選択46 (体重65kgでは400mg1日1回)
選択54:3, 4, 5?→1, 4, 5
糖尿病性壊疽:早期の血糖コントロールおよび抗生剤選択参考のため細菌培養は必要。
2週間と亜急性の経過であり、全身状態良好なことから壊死性筋膜炎評価に用いるLRINEC scoreの優先度は下がる。
血流障害があると外科的デブリードマンによりかえって壊死・壊疽が拡大する可能性があるため、血流評価が優先される
デブリを急ぐような全身状態ではないため、血流評価を行ってからのデブリが妥当と考え解答を修正しました (2023/1/9)
選択55:2
サビーン®の保険適用はアントラサイクリン系抗がん剤の血管外漏出→ドキソルビシン
選択56:4
皮膚の過伸展と易出血性からEhlers-Danlos症候群の診断。身長や四肢の長さが通常程度であり、Marfan症候群は否定的
選択57:1, 5
好塩基球:末梢血中にみられ、肥満細胞と同様にケミカルメディエーターを持つことからトルイジンブルーで異染性(赤紫色)を示す。c-kitは肥満細胞で発現
選択58:3
大村智氏が開発に関与した薬剤(イベルメクチン)の皮膚科領域での適用疾患→疥癬
選択59:4 ★2012-17とほぼ同一
背部の難治性潰瘍:心臓カテーテル検査/治療による放射線皮膚炎を考える
選択60:4 ★2019-63
イカチバント(フィラジル®)は選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカーで、遺伝性血管性浮腫の発作時治療に用いられる
選択61:1
診療報酬点数が低い検査:ダーモスコピー(72点)
その他選択肢:鶏眼・胼胝処置(170点), いぼ等冷凍凝固3箇所以下(210点), 皮膚科特定疾患指導管理料Ⅱ(100点), 中波紫外線療法308-313nm(340点)
選択62:3
エクリン汗孔腫で特徴的なダーモスコピー所見:Glomerular vessels(糸球体様血管)
選択63:2
分節型尋常性白斑:病変部に一致して発汗異常がみられることはあるが、神経炎ではない
選択64:5
基底細胞と基底版をつなぐ蛋白:17型コラーゲン
選択65:5
色ムラのある顔面の色素性病変で、ダーモスコピーでは毛包を中心とした不規則な色素沈着:asymmetric pigmented follicular openings(非対称性色素性毛包開孔)がみられる
悪性黒色腫を示唆する所見
選択66:1
高脂血症に伴う黄色腫に対して保険適用のある薬剤:プロブコール
選択67:2
瘢痕性脱毛症の中で好中球性のもの:folliculitis decalvans
毛孔性扁平苔癬やその亜型(frontal fibrosing alopecia, Graham-Little syndrome)はいずれもリンパ球性
選択68:2 ★2018-35
カポジ肉腫は”HHV-8が”血管内皮細胞に感染することで発症する
選択69:5 ★2021-84
アザチオプリン(イムラン®)はNUDT15のコドン139多型がCys/Cysの場合重篤な副作用が生じるため、服用を回避する必要がある
関連:2021 選択84 (NUDT15多型で副作用発症頻度が変化する薬剤:アザチオプリン)
選択70:5
遺伝学的検査の結果は最も重要な個人情報の一つであり、担当する医師が単独で他人へ開示することはできない
非発症保因者診断は本人が成人し、自律的に判断できるようになるまで実施を延期すべき
参考:日本医学会「医療における遺伝学的検査・診療に関するガイドライン」Q&A
選択71:2
長島型掌蹠角化症は日光曝露で増悪する疾患ではない
選択72:3
各種生物学的製剤の投与法:アダリムマブ(ヒュミラ®)は初回80mgでそれ以降は2週に1回40mg。効果不十分な場合は80mgまで増量可能
選択73:4 ★2010-43と同一
結節性硬化症で最も早期からみられる病変:葉状白斑
選択74:2, 5
穿孔性皮膚症の診断に有用な染色:アザンマロリー染色(膠原線維), エラスチカ・ワンギーソン染色(弾性繊維/膠原線維)
選択75:1, 2, 5
ホスラブコナゾール(ネイリン®)の併用注意薬:シンバスタチン, ミダゾラム, ワルファリン
選択76:1, 4
Bowen病:慢性ヒ素中毒で多発する, イミキモド外用は保険適用外
HPV16/31/33は子宮頚癌で検出されるハイリスクHPVで、手指や外陰部のBowen病発症とも関連すると考えられている。外科的治療が常に1stかどうかは?
選択77:2
長島型掌蹠角化症では掌蹠を越える過角化(transgrediens)がみられる
選択78:2
掌蹠角化症は指定難病に含まれない
選択79:1
Elastofibroma(弾性線維腫):肩甲骨部に好発する皮下腫瘤で、弾性線維や膠原線維が増殖する。沖縄県に多く、全報告例222例の63%を占める
コッサ染色(Caを染める)陰性から弾性繊維性仮性黄色腫(PXE)は否定される
選択80:1, 2
成人(15歳以上)のアトピー性皮膚炎に使用が限られる薬剤:バリシチニブ(オルミエント®), デュピルマブ(デュピクセント®)
- ウパダシチニブ(リンヴォック®)は12歳以上
- デルコシチニブ(コレクチム®)0.5%は小児でも可能
- シクロスポリン(ネオーラル®)は16歳以上
選択81:1, 2, 3
出席停止期間が定められている感染症:麻疹(measles)・風疹(rubella)・水痘(varicella)
選択82:2, 3, 5
掌蹠膿疱症:”女性”に多く、IL-23が病態に関与(グセルクマブは唯一保険適用がある生物学的製剤)。胸肋鎖骨関節炎の合併があり、扁桃炎や歯周病が関連する
選択83:4
局所多汗症:最初に症状がでるのは25歳以下
選択84:2, 3
BCG接種後の副反応で生じた丘疹状結核疹:真性皮膚結核ではなく、自然改善する。その他副反応として腋窩リンパ節腫大がある
接種後1週間以内に生じるのはコッホ現象(接種部に膿疱を形成するなど強い皮膚症状が生じる)で、これはBCG接種前に結核感染があったことを示唆する所見
選択85:1, 5 ★2015-31と同一
分層植皮術:生着しやすく、広範囲の皮膚欠損の被覆に向く
全層植皮術は整容面で優れ、術後の触覚や発汗機能の回復が早い
選択86:3
腎性全身性線維症に関係する元素:Gd, 腎不全患者にガドリニウム造影剤を使用した際に生じる
選択87:3
JAK-STAT経路を介さないサイトカイン:IL-17
選択88:2, 4
感染初期ではTPLA法→RPR法で陽性となる”ことがある”, 第5類感染症であり、診断確定後7日以内に届出が必要
RPR(+)・TPHA(-)の場合、生物学的偽陽性の他、感染早期の可能性もある。ペニシリンアレルギーではミノサイクリン(テトラサイクリン系)が推奨
選択89:4
線状IgA水疱性皮膚症の自己抗体:Split skin法で真皮側に沈着するのは17型コラーゲン(BP180)
選択90:3
円形脱毛症ガイドラインでC2(行わないほうが良い)に分類される治療:シクロスポリン内服
ステロイド内服・セファランチン内服・グリチルリチン内服・経過観察はいずれもC1
選択91:3
神経線維腫症1型(NF1)患者の半数近く(とくに18歳以下)で前胸部にみられる皮膚症状:貧血母斑
選択92:4
再発性単純疱疹におけるファムシクロビルのPIT療法での内服量:1,000mgを2回
選択93:3, 4, 5
基底細胞癌の病型でaggressive型に分類されるもの:斑状強皮症型・浸潤型・微小結節型
参考:基底細胞癌ガイドライン 第3版のp1474(表2)
選択94:5
COVID-19のオミクロン株で変異がみられる部位:スパイク蛋白
選択95:1
光線過敏における光アレルギー性と光毒性の違い:光アレルギー反応は非露出部にも炎症が進展する場合がある
ソラレンは光毒性物質で、PUVA療法に用いられる
選択96:1
口唇腫脹・雛壁舌・顔面神経麻痺→Melkersson-Rosenthal症候群
組織では肉芽腫形成が特徴
選択97:2, 5
西日本でマダニ咬症を受けた血液型B型患者に生じやすい疾患:日本紅斑熱・重症熱性血小板減少性紫斑病(SFTS)
ツツガムシはマダニではない, ライム病の原因シェルツェマダニは北海道と本州山岳地帯に限られる, 牛肉アレルギー(α-Gal)は糖鎖の関係でB型には少ない
参考:ダニ媒介性感染症 日皮会誌:129(12),2493-2501,2019
選択98:3, 4
皮膚筋炎に特異度が高い皮疹:ヘリオトロープ疹, ゴットロン丘疹
Vネックサインは診断基準にも含まれない
選択99:3
皮膚線維腫で基底層にみられる病理所見:毛嚢誘導(follicular induction)
参考:YouTube ishida-yamamoto akemiチャンネル>毛包の誘導を伴う皮膚線維腫の病理組織像の解説
選択100:4
鼻部に生じ、中央部に小陥凹を伴う腫瘍:毛包腫(trichofolliculoma)
参考:鼻前庭部に発生した毛包腫例 日鼻誌 59(2):158 ~ 164,2020
記述1:asteroid body, 星状体(星芒体) ★2017-記述5と同一
サルコイドーシスで巨細胞中にみられる針状構造の名称
関連:2017 記述5 (同一問題)
記述2:10
SJS(Stevens-Johnson症候群)と中毒性表皮壊死症(TEN)の区分:体表面積の10%を超えるか否か
記述3:偽角質嚢腫(pseudohorn cyst)
脂漏性角化症のダーモスコピーでみられるmultiple milia-like cysts(多発性稗粒腫様嚢腫)に対応する病理所見:偽角質嚢腫
記述4:マダニ
山にハイキングに行った後で気づいた皮疹。組織でマダニが見られる
記述5:カーリング潰瘍
広範囲熱傷後に生じる消化性潰瘍:カーリング潰瘍
記述6:rubrum ★2015-記述2, 2013-選択27
足白癬の原因菌として最多:Trichophyton rubrum
2番目がT. mentagrophytes (T. interdigitale)というのが2015年記述4の出題
記述7:ヘルトーゲ(Hertoghe)
アトピー性皮膚炎患者において、眉毛部外側1/3が疎毛となる現象:ヘルトーゲ徴候
記述8:色素失調
表皮基底層のメラニン顆粒が真皮に滴落する現象:組織学的色素失調
扁平苔癬など表皮真皮境界部炎症をきたす疾患でみられる
記述9:wickham ★2017-記述1と同一
扁平苔癬にオリーブ油をたらして観察すると見られる細い灰白色線条:wickham線条
記述10:(多発性)脂腺嚢腫 ★2013-記述5と同一
上肢の黄色小結節で、HEでは嚢腫壁に脂腺が開口する像を伴う
ケラチン17遺伝子変異例では多発し、先天性爪甲肥厚症を伴う
記述11:minimal erythema dose
UVBを照射して紅斑を生じる最小量:最小紅斑量 minimal erythema dose(MED)
※英語フルスペルの指定
記述12:β-D-グルカン
真菌の細胞壁を構成する成分で、深在性真菌症の血清診断に用いられる物質:β-D-グルカン
記述13:IL-1(IL-1β)
クリオピリン関連周期熱症候群に使われる薬剤が阻害するサイトカイン
→カナキヌマブ(イラリス®)はIL-1βの抗体製剤
記述14:verocay body ★2014-記述14と同一
無核の領域を紡錘形細胞が柵状に囲む部分の病理組織所見:verocay body
神経鞘腫のAntoni A領域でみられる所見
記述15:informed consent
病状説明「IC」のフルスペル:informed consent
記述16:HDSS4
エクロック®ゲル初回処方時の重症度:HDSS
「発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある」場合はHDSS4に該当
記述17:polymerase
コロナウイルス感染症検査で行われるPCRのフルスペル:(polymerase) chain reaction
記述18:perfusion
下肢虚血において難治性潰瘍の治癒予測に用いられ、血管の石灰化があっても評価可能な検査:skin perfusion pressure(SPP)
記述19:フォアダイス(Fordyce)状態 ★2015-記述9と同一
上口唇にみられる黄色小丘疹。独立脂腺の増殖病変:フォアダイス状態
記述20:in situ
Bowen病や日光角化症、メラノーマの水平増殖期などで腫瘍細胞の増殖が表皮内に限局している状態:(in situ)病変