悪性黒色腫の治療で用いられる、BRAF阻害薬・MEK阻害薬についてまとめました
BRAF遺伝子変異とは
治療薬の前に、まずBRAF遺伝子変異について簡単に説明
BRAF→MEKは細胞内シグナル伝達系である、MAPキナーゼの一部を担っている
悪性黒色腫ではこのBRAF遺伝子に体細胞変異が生じることで、上からのシグナル伝達に依らない恒常的な活性化が生じる→腫瘍細胞の異常増殖を引き起こす
そこでこの経路をストップさせるために利用されるのが、BRAF阻害薬およびMEK阻害薬となる
BRAF阻害薬 MEK阻害薬 悪性黒色腫
阻害薬はBRAF遺伝子のp.V600E(大部分)ないしp.V600K変異を有する場合に用いられる
同変異は紫外線影響の少ない表在拡大型(≒low-CSD)では50%程度に見られるが、末端黒子型(acral)や粘膜メラノーマでは少ない
日本で現在用いられているBRAF阻害薬/MEK阻害薬は下記の通り
BRAF/MEK阻害薬 | 一般名 | 商品名 |
BRAF阻害薬 | ベムラフェニブ | ゼルボラフ® |
ダブラフェニブ1 | タフィンラー® | |
エンコラフェニブ2 | ビラフトビ® | |
MEK阻害薬 | トラメチニブ1 | メキニスト® |
ビニメチニブ2 | メクトビ® |
- 現在はBRAF阻害薬+MEK阻害薬(1ないし2の組み合わせ)が基本
※BRAF阻害薬単剤より効果・副作用(ケラトアカントーマや有棘細胞癌などの皮膚癌)ともに優れる - 1の組み合わせのみ術後補助療法としても保険適用がある (2022年9月時点)
- 参考・図引用:皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン2019 日皮会誌:129(9), 1759-1843, 2019
- 参考:各種添付文書
皮膚科専門医認定試験 BRAF/MEK阻害薬 過去問題
皮膚科専門医試験のBRAF/MEK阻害薬関連の問題は下記
- 2023年 選択41 (メラノーマで見られる遺伝子異常)
- 2021年 選択85(BRAF遺伝子変異が多い病型)/ 記述14(BRAF阻害薬とMEK阻害薬の一般名)
- 2020年 選択66(ダブラフェニブ・トラメチニブの術後補助療法)
- 2019年 選択75(トラメチニブの標的分子)
- 2018年 選択問題(BRAF遺伝子で最も多い変異)
- 2017年 選択70(ダブラフェニブ・トラメチニブのターゲット) / 選択83(ベムラフェニブの特徴)
- 2016年 選択89(ベムラフェニブの重大な副作用)
- 2015年 選択48(悪性黒色腫の分子標的薬ターゲット)
- 2014年 選択86 (ベムラフェニブの標的部位)
- 2012年 選択81 (悪性黒色腫でみられる遺伝子変異)