日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和5(2023)年度の解答解説を作成しました
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- 問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会(問題・写真はリンク先で確認下さい)
- 参考文献:あたらしい皮膚科学 第3版、皮膚科学(マイナー) 第11版でカッコ内は選択肢番号、その他は問題末に各自記載
選択問題1〜30は下記
-
令和5(2023)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30
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見出し
- 1 令和5年度(2023年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 31〜60
- 1.1 選択問題31:解答 2
- 1.2 選択問題32:解答 1, 4
- 1.3 選択問題33:解答 5
- 1.4 選択問題34:解答 1, 3
- 1.5 選択問題35:解答 2
- 1.6 選択問題36:解答 1
- 1.7 選択問題37:解答 4, 5
- 1.8 選択問題38:解答 5
- 1.9 選択問題39:解答 2
- 1.10 選択問題40:解答 1, 2, 5
- 1.11 選択問題41:解答 5
- 1.12 選択問題42:解答 2, 5
- 1.13 選択問題43:解答 2
- 1.14 選択問題44:解答 5
- 1.15 選択問題45:解答 3
- 1.16 選択問題46:解答 2
- 1.17 選択問題47:解答 3
- 1.18 選択問題48:解答 2
- 1.19 選択問題49:解答 5
- 1.20 選択問題50:解答 3
- 1.21 選択問題51:解答 4
- 1.22 選択問題52:解答 2
- 1.23 選択問題53:解答 4
- 1.24 選択問題54:解答 4
- 1.25 選択問題55:解答 2
- 1.26 選択問題56:解答 5
- 1.27 選択問題57:解答 2, 3
- 1.28 選択問題58:解答 1, 2
- 1.29 選択問題59:解答 1
- 1.30 選択問題60:解答 2, 4, 5
令和5年度(2023年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 31〜60
選択問題31:解答 2
毛包上皮幹細胞は毛隆起(hair bulge)に存在する→2
毛隆起が障害される疾患では、毛包が破壊され不可逆的な脱毛をきたす(瘢痕性脱毛症)↔円形脱毛症などは不可逆的な脱毛ではない
- 1. 脂腺(sebaceous gland):脂腺開口部より上方は毛包漏斗部となる
- 2. 毛隆起:立毛筋基部が付着し、毛包上皮幹細胞が存在する
- 3. 内毛根鞘(innner root sheath):好酸性のトリコヒアリン顆粒(顆粒層のケラトヒアリン顆粒に類似)を含む
- 4. 毛母細胞:メラノサイトを含み、毛にメラニンを供給する
- 5. 毛乳頭(dermal papilla):全ての毛周期で存在し、血管を含むことで毛母細胞に栄養を供給する役割を持つ
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p21
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p82
- 参考・図引用:Revisiting the bulge Dev Cell. 2004 Apr;6(4):454-6.
関連問題
- 2019 選択7 (毛包上皮幹細胞の部位)
選択問題32:解答 1, 4
抜歯直後に腹痛と口唇・舌浮腫をきたした男性
10歳代のころから同様のエピソードがあり、遺伝性血管性浮腫を疑う
通常常染色体優性遺伝形式であり、補体C4は低値を示すことが多い→1, 4
血管性浮腫 病態と治療薬
血管性浮腫は遺伝性のものと、非遺伝性(薬剤性)のものに大きく分けられる
いずれもブラジキニン過剰産生が病態
- 遺伝性:C1-INH(インヒビター)の異常*
- 薬剤性:ACE阻害薬により代謝酵素キニナーゼⅡが阻害され、ブラジキニンが代謝されない
*低下しない型(Ⅲ型)も存在する
遺伝性は外傷や抜歯術などの侵襲、精神的ストレスを契機に急性発作をきたす
発作時治療
急性発作時の治療薬は下記がある
作用機序 | 一般名 | 商品名 | 投与経路 | 発売年 |
ブラジキニンB2受容体拮抗薬 | イカチバント | フィラジル® | 皮下注 (自己注可) |
2018 |
C1-INH欠損/機能不全を補う補充療法 | C1-INH製剤 | ベリナート® | 静注 | 1990
(侵襲を伴う処置前の発症抑制は2017) |
抗ヒスタミン薬・ステロイド薬は無効で、エピネフリンも多くの場合無効
長期予防
長期予防薬は近年複数の新薬が発売されている
作用機序 | 一般名 | 商品名 | 投与経路 | 発売年 |
C1-INH欠損/機能不全を補う補充療法 | C1-INH製剤 | ベリナート®※ | 皮下注(自己注可) | 2022 |
カリクレイン*阻害 *ブラジキニン産生に関わる |
ラナデルマブ | タクザイロ® | 皮下注(病院で投与) | 2022 |
ベロトラルスタット | オラデオ® | 内服 | 2021 |
※長期予防の場合はベリナート®皮下注2000であり、急性発作時/短期予防の治療とは製剤が異なる
その他トラネキサム酸やダナゾール(アンドロゲン製剤)も用いられる
- 1. 遺伝性血管性浮腫はⅠ〜Ⅲ型に分けられ、多くは常染色体優性遺伝形式(孤発例も25%存在する)
- 2. 通常皮膚色〜淡紅色〜蒼白色でときに灼熱感・そう痒を伴う
- 3. ブラジキニンB2受容体拮抗薬であるイカチバント(フィラジル®)は、"発作時"に使われ予防目的では使われない
- 4. 補体C4は頻度の高いⅠ・II型で発作時にほぼすべての症例で基準値以下となり、非発作時でも98%の症例で基準値以下となるためスクリーニングに有効。なおC3は正常値が多い
- 5. 発作時は気道確保が最重要で、治療としてはイカチバントやC1-INH製剤静注が利用される。ペニシリン系抗生物質はレンサ球菌感染症の第一選択(2009-64)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p133(1・2・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p177(1・2・4)
- 選択肢3の参考:マルホ皮膚科セミナー 2023/6/19 遺伝性血管性浮腫 Overview
- 選択肢4の参考:遺伝性血管性浮腫 診療ガイドライン 改訂2019年版
- 選択肢5の参考:レンサ球菌による皮膚軟部組織感染症 日皮会誌:130(11), 2361-2366, 2020
選択肢2について。灼熱感を伴うことがあるとされており、発赤もみられる場合はあるが他選択肢と比較して相対的に誤り選択肢と考えられる
関連問題
- 2022 選択60 / 2021 選択64 / 2019 選択63 (急性発作時の治療)
- 2020 選択87 (ACE阻害薬の作用部位)
- 2022 選択39 / 2016 選択51 / 2013 選択49 / 2012 選択51 / 2009 選択61 (血管性浮腫の原因, 病態など)
イカチバントが発作時なのか予防目的なのかを問う点はやや細かいが、遺伝性やC4については過去問どおりの出題
選択問題33:解答 5
若年女性で腹痛と両下腿の浮腫・紫斑をきたしていることからIgA血管炎を考える
蛍光抗体直接法で証明できるIgAの血管壁への沈着は"凍結切片"を用いる→5
- 1・2. 真皮浅層の血管炎であり、浸潤を触れる紫斑(palpable purpura)が特徴。同じ血管炎でも中型血管炎に分類される結節性多発動脈炎(PN)は真皮深層〜皮下組織の血管炎
- 3. 消化器病変(十二指腸)に好発や関節痛、腎機能障害が合併症として重要
- 4. 特に小児では溶連菌感染後に発症し、ASOやASK高値となる場合がある
- 5. 蛍光抗体直接法では凍結標本を用いる。ルーチンのHE染色で用いるホルマリン固定は抗原性が失われやすく、感度が下がる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p165(1・2・3・4)/39(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p212(1・2・3・4)/46(5)
- 図引用:medu4 113B32
関連問題
選択問題34:解答 1, 3
自己免疫性水疱症に関する問題
- 1. 水疱性類天疱瘡は神経疾患(脳梗塞など)の合併が多いとされる
- 2. 水疱性類天疱瘡は”DPP-4阻害薬”によって誘発される。通常の病型より好酸球浸潤や紅斑に乏しく、通常保険診療で測定されるBP180NC16a領域の抗体価が低値となりやすい。PDE4阻害薬であるアプレミラスト(オテズラ®)は乾癬治療に用いられる
- 3. 腫瘍随伴性天疱瘡の合併疾患は悪性リンパ腫が約半数を占める
- 4. 一人の尋常性天疱瘡患者における抗Dsg3抗体価は病勢を反映するが、患者間の重症度比較には用いることができない
- 5. IVIGで導入されたγ-グロブリンが除去されてしまうため、IVIG直後の血漿交換は行わない。一方血漿交換→IVIGの順番で行うと、血漿交換後のリバウンド現象を抑制できるとされる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p256(2)/254(3)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p318(1・2)/317(3)
- 参考:類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドライン日皮会誌:127(7), 1483-1521, 2017のp1484(1)
- 参考:天疱瘡診療ガイドライン日皮会誌:120(7), 1443-1460, 2010のp1449(4)
- 選択肢5の参考:教育講演 日本皮膚科学会雑誌:124(13), 2014のp2634, 2641
関連問題
選択問題35:解答 2
Rosai-Dorfman病の組織像ではemperiopolesisと呼ばれる所見が特徴→2
Rosai-Dorfman病
反応性(↔腫瘍性)の組織球増殖性疾患
両側頚部の無痛性リンパ節腫脹をきたし、皮膚病変では紅褐色の丘疹〜結節・局面を生じる
皮膚病変のみ生じるものは皮膚型と呼ばれる
- 組織:マクロファージ(組織球)内にリンパ球や好中球が取り込まれた像(emperipolesis)が特徴※
- 免疫染色:CD68(+), S-100(+), CD1a(-)
- 予後:自然消退することも多く良好
※貪食と異なり取り込まれた細胞の破壊を伴わなず、細胞膜が保たれる
組織球症では通常CD68+ S100-となることが多いが(ex. 若年性黄色肉芽腫や多中心性細網組織球症)、Rosai-Dorfman病はS100も陽性となる点が特徴
- 1. exocytosis(表皮内浸潤):炎症細胞(主にリンパ球)が基底膜の破綻部より表皮内に侵入した状態で、表皮の海綿状態を伴う
- 2. emperioplesis:Rosai-Dorfman病で特徴的な所見
- 3. epidermotropism(表皮向性):菌状息肉症などのT細胞リンパ腫が表皮内へ浸潤し、塊を形成する状態。膿瘍に類似しPautrier微小膿瘍と呼ばれる。
- 4. elastophagocytosis:変性した弾性線維(solar elastosis)を多核巨細胞が貪食する像。環状弾性線維融解性巨細胞肉芽腫で見られる
- 5. epidermolytic hyperkeratosis:hyperkeratosis(過角化, 角質肥厚)の中で、顆粒変性を伴うもののこと。顆粒変性を伴わない過角化はorthokeratotic hyperkeratosisと呼ばれる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p438(2)/44(1・3)/349(4)/42(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p695(2)/58(1・3)/517(4)/55(5)
- 参考・図引用:Head and Neck Sinus Histiocytosis with Massive Lymphadenopathy Radiology–Pathology Correlation Head Neck Pathol. 2019 Dec;13(4):656-660.
関連問題
- 2015 選択66 (臨床問題)
選択問題36:解答 1
75歳男性で肺アスペルギルス症に対して内服治療開始後、顔面や頭部に角化性紅斑が多発している。組織では表皮基底層を中心に異型細胞が見られ、日光角化症の像
ボリコナゾールは光線過敏症をきたし、長期内服によって日光角化症や有棘細胞癌を発症することがある→1
ボリコナゾールと日光角化症 有棘細胞癌
ボリコナゾール(ブイフェンド®)はアゾール系抗真菌薬で、肺アスペルギルス症や造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防に用いられる
副作用に薬剤性光線過敏症があり、とくに(通常多い光アレルギー性でなく)光毒性反応が主体とされる。初期は紅斑だが、それ以降も内服を続けることで多発性の日光角化症→有棘細胞癌(SCC)を生じた例の報告がある
- 機序:ボリコナゾールの代謝産物がUVB/UVAの影響を受けることでDNA損傷を引き起こす
- SCC患者背景:発症までの平均内服期間は39.7ヶ月, 13/39例は多発性, 30/39例は背景に免疫不全を有する
- 予後:SCCの5/39例が死亡, 日光角化症についてはボリコナゾール休薬で消退する可逆的なものもある
- 1. ボリコナゾール※:一部の例で内服開始後数ヶ月〜1年の光毒性反応、2年半〜3年の多発性日光角化症様角化性紅斑、その後の有棘細胞癌を順次きたす
- 2. イトラコナゾール(イトリゾール®)※:パルス療法で爪白癬治療に使われる。基底細胞癌に対して腫瘍縮小効果があるという報告がある
- 3. アムホテリシンB(ファンギゾン®):ポリエン系抗真菌薬
- 4. フルコナゾール(ジフルカン®)※
- 5. フルシトシン(アンコチル®):ピリミジン系抗真菌薬
※この3種類はいずれもアゾール系抗真菌薬で、真菌細胞膜特有のエルゴステロール合成を阻害する
- 参考:ボリコナゾールの光毒性の関与が強く疑われた顔面有棘細胞癌の1例 日皮会誌:126(4), 411-418, 2016
- 参考:ボリコナゾール長期内服中に発症した多発日光角化症と有棘細胞癌 皮膚病診療45(3), p268-271, 2023 (図3の病理組織像が本問と同一)
- 選択肢2の参考:皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 基底細胞癌診療ガイドライン2021 日皮会誌:131(6), 1467-1496, 2021のp1483
選択問題37:解答 4, 5
節足動物とそれによる皮膚疾患について問う問題
- 1. トコジラミ(別名ナンキンムシ, カメムシの一種)は普段畳やベッドの隙間に生息し、夜間露出部に丘疹・結節をきたす↔イエダニは非露出部の皮疹が特徴
- 2. ツメダニ:小さなダニでホコリ中に見られるコナダニ・ヒョウヒダニなどを捕食している。本来ヒトを吸血しないが、コナダニが多いと偶発的にヒトを刺し露出部などに皮疹をきたす→△
- 3. チャドクガ:毒針毛を持ち、虫皮膚炎(チャドクガ皮膚炎)の原因となる
- 4. スナノミは中南米などの土壌中に存在し、足皮膚に寄生して白色調の結節をきたす。下腿(飛び上がれる高さ)に好発し、水疱をきたすのは"ネコノミ"
- 5. デング熱はフラビウイルス科のデングウイルスが原因となり、ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介される。アカイエカが媒介するのは"日本脳炎"
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p567(1)/563(3)/566(4)/508(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p938(1)/941(3)/938(4)/821・938(5)
- 参考:虫と皮膚炎 改訂第2版 p124(1)/162(2)/170(3)/120(4)/107(5)
- 選択肢2の参考:アース製薬 同じ場所がいつもかゆい気がする…。ダニに刺されやすい体の場所とは?
関連問題
ツメダニについては露出部という記載が一般的で「下腹部の小型浮腫性紅斑」はあまり典型的ではないが、選択肢4/5と比較して相対的に誤りと考えた
選択問題38:解答 5
化膿性汗腺炎に関する出題
Hurley分類では病巣の大きさや個数は基準に含まれない→5
Hurley分類 | 症状 |
病期I | 単発あるいは多発する膿瘍形成 瘻孔や瘢痕はない |
病期II | 瘻孔や瘢痕形成を伴う再発性の膿瘍 単発でも多発でもよいが、離れた解剖学的部位に複数の病変がある |
病期III | 広範囲あるいはそれに近い範囲に病変がみられ、その病変が全体に互いに交通する瘻孔と膿瘍を形成する |
- 1. 通常思春期以降に生じる
- 2. 喫煙は発症の危険因子(日本の患者の92%が喫煙者)で、重症度とも相関する
- 3. 腋窩や鼠径部、臀部などアポクリン腺の多い部位に好発。臀部は慢性膿皮症と呼ばれることもある※
- 4. TNF-α阻害薬アダリムマブ(ヒュミラ®)は化膿性汗腺炎に対して唯一保険適用を有する生物学的製剤で、成人(15歳〜)に使用可能。Hurley分類II以上が対象な点やバイオシミラーには保険適用がない点に注意
- 5. Hurley分類では病巣の個数や大きさが含まれず、患者の重症度を的確に表せない・治療効果判定に向かないなどの問題点がある
※「化膿性汗腺炎」下記は二通りの使われ方がある
- 広義:臀部慢性膿皮症を含めた毛包の慢性炎症性疾患の総称
- 狭義:女性の腋窩に好発するものを呼び、臀部病変は含めない(臀部病変は慢性膿皮症と呼称)
現在は広義の意味で使われることが一般的(→「化膿性汗腺炎の好発部位は臀部である」は正しくなる)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p521(3)※
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p759(1・3)
- 参考:化膿性汗腺炎診療の手引き2020 日皮会誌:131(1), 1-28, 2021のp7(2)/19(4)/3(5)
- 選択肢4の参考:ヒュミラ 添付文書
※「あたらしい皮膚科学」は化膿性汗腺炎が狭義の意味で記載されているので注意。「皮膚科学」も10版は狭義の意味だったが11版になって広義となった
関連問題
選択問題39:解答 2
抗がん剤血管外漏出に関する出題
ドセタキセルは壊死性抗がん剤に分類される→2
抗がん剤 血管外漏出
抗がん剤によって漏出時の症状が異なり、3つに分類される
原因薬剤 | |
壊死性 | イダルビシン パクリタキセル ビンクリスチン ドセタキセル |
炎症性 | シクロフォスファミド シスプラチン エトポシド フルオロウラシル |
弱炎症性 | メトトレキサート ブレオマイシン |
- 1. 漏出時の初期治療としてステロイド外用薬が一般的
- 2. ドセタキセルは最も重症になりやすい壊死性抗がん剤
- 3. 可動性のある関節部の血管や、手背などのように軟部組織に乏しく直下に腱・神経が存在する部分は避ける
- 4. アントラサイクリン系抗がん剤漏出時(ドキソルビシンなど)にはデクスラゾキサン(サビーン®)の投与を行う
- 5. ステロイド局注も伝統的に行われてきたが、近年は却って有害という意見もあり「がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版」では行わないことが弱く推奨されている(外用は行うことを弱く推奨)
血管外漏出時は冷却が基本だが、オキサリプラチン(末梢神経傷害を誘発する恐れ)やビンクリスチン・エトポシド(潰瘍を悪化させる)では避ける
- 選択肢1〜3の参考:皮膚科セミナリウム 第58回 化学熱傷と薬剤による皮膚障害 日皮会誌:120(2), 193―200, 2010
- 選択肢4の参考:サビーン 添付文書
- 選択肢5の参考: 抗がん剤の血管外漏出への対応 〜ガイドライン改訂のトピックス〜 (会員登録不要)
関連問題
選択問題40:解答 1, 2, 5
乾癬性関節炎(関節症性乾癬)を発症するリスクの高い皮疹部位は頭皮・臀部・爪→1, 2, 5
とくに爪乾癬はDIP関節部の付着部炎が波及した結果として生じる爪母病変で、関連性が強い
頭部・臀部について。「頭部, 臀部, 爪乾癬がPsA(乾癬性関節炎)と関連するとしたWilsonらの報告は統一した見解となっていないが, 爪乾癬でPsA合併リスクが上昇するという報告は多く(後略)」と下記ガイドラインに記載されており、1つだけ選ぶなら爪が妥当と考えられる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p287(1・5)
- 参考:乾癬性関節炎診療ガイドライン2019 日皮会誌:129(13), 2675-2733, 2019のp2680/2678
関連問題
選択問題41:解答 5
悪性黒色腫(メラノーマ)病変部で見られる遺伝子異常を問う問題
SERPINB7遺伝子変異はみられない→5
悪性黒色腫(メラノーマ) 遺伝子異常
メラノーマでは遺伝子異常が多く見られるが、病型ごとによくみられる遺伝子異常は異なる(重複も多いため一部抜粋)
low-CSD | high-CSD | low to no-CSD | |||||
acral | mucosal | melanoma in blue nevus | uveal | ||||
従来の分類 | 表在拡大型 | 悪性黒子型 | Desmplastic melanoma | 末端黒子型 | 粘膜 | 悪性青色母斑 | 眼球内 |
主な遺伝子異常 | BRAF(p.V600E) | NRAS | NF1 | KIT, NRAS | KIT, NRAS | GNAQ | GNAQ |
*CSD = cumulative sun damage 日光暴露の蓄積量
- 1. BRAF:V600E変異は紫外線の影響が少ない表在拡大型(≒low-CSD)の60%でみられ、治療薬のターゲットとなる
- 2. KIT:日本人に多いacral(末端黒子型)で見られる遺伝子異常
- 3. NF1:high-CSDメラノーマでみられる遺伝子異常
- 4. NRAS:high-CSDメラノーマや粘膜メラノーマでみられる遺伝子異常。大型の先天性母斑でもみられる
- 5. SERPINB7:長島型掌蹠角化症(AR*)の原因遺伝子で、日本人では保有率が2%と高い
*AR =常染色体劣性(潜性)遺伝疾患
BRAF/MEK阻害薬については下記にもまとめた
-
BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】
続きを見る
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p725
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 分子レベルで考えるメラノーマの発症メカニズム 日皮会誌:131(9), 2009-2016, 2021
- 参考(悪性黒色腫の分類等):皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン2019 日皮会誌:129(9), 1759-1843, 2019のp1767-1768
関連問題
- 2021 選択85 (メラノサイト系病変と遺伝子異常)
- 2018 選択68 / 2015 選択48 / 2014 選択86 (BRAF遺伝子変異について)
- 2020 選択14 / 2015 選択14 (長島型掌蹠角化症の原因遺伝子)
BRAF/MEK阻害薬についての問題もあり、上記カード内の記事参照
長島型掌蹠角化症はアジア人に多いこと、原因遺伝子SERPINB7を同定したのも日本人であることから特に頻出となっている
選択問題42:解答 2, 5
若年男性で出生時より淡褐色の色素斑(カフェオレ斑)が散在し、思春期頃より体表の小腫瘤(神経線維腫)が多発していることから神経線維腫症1型(NF1)を考える
神経線維腫のなかで大きく懸垂状に垂れ下がるものをびまん性(蔓状)神経線維腫や叢状神経線維腫と呼ぶ。
これらは血流豊富で出血リスクが高く、内服MEK阻害薬セルメチニブ(コセルゴ®)が保険適用となっている→2, 5
- 1. 神経線維腫はCD34の他、S-100やEMAが陽性となる。隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)もCD34陽性が重要な腫瘍
- 2. 叢状神経線維腫は血流豊富で腫瘍内出血のリスクもある。切除には大量出血の可能性がある
- 3. 神経線維腫から"悪性末梢神経鞘腫(MPNST)"が発生することがある。未分化多形肉腫はかつて悪性線維性組織球症と呼ばれた腫瘍※
- 4. NF1に合併した腫瘍に対する放射線治療は二次的な悪性腫瘍(とくにMPNST)のリスクを高めるという報告がある
- 5. セルメチニブは小児にしか投与できない(3歳未満および19歳以上の患者における有効性および安全性は確立していない)
※悪性線維性組織球症はもともと5型に細分類されており、その中で粘液型・類血管型を除く未分化なものが未分化多形肉腫に分類されるようになった
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p391/466(3)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p570/668(3)
- 参考:神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病) 診療ガイドライン 2018日皮会誌:128(1), 17-34, 2018のp23(2・3・4)
- 選択肢5の参考:コセルゴ 添付文書
関連問題
- 2022 選択16 (NF1への放射線治療について)
- 2019 選択86 / 2017 選択86 / 2014 選択68 / 2013 選択70 (神経線維腫のマーカー:S-100, CD34, EMA)
「神経線維腫がCD34陽性」は教科書で記載が少ないが頻出のため抑えておく
選択問題43:解答 2
抗TNF-α抗体製剤の投与により、多発性硬化症等の脱髄疾患を再燃/悪化させる恐れがある
そのため尋常性乾癬で用いられるTNFα抗体製剤はいずれも、添付文書上投与禁忌となっている→2
- 1. IL-17阻害剤:真菌感染症(とくにカンジダ症)の副作用があり、炎症性腸疾患にも注意が必要
- 2. TNFα阻害剤:脱髄性疾患やループス様症候群(抗核抗体や抗dsDNA抗体陽性化)、うっ血性心不全が特有の注意点
- 3. アプレミラスト(オテズラ®):妊婦には投与禁忌
- 4. エトレチナート(チガソン®):催奇形性が強いので女性は投与中止後2年間の、男性も6ヶ月間の避妊が必要
- 5. シクロスポリン(ネオーラル®):CYP3A4を阻害するロスバスタチン等との併用禁忌。以前は妊婦禁忌だったが現在は妊婦でも投与可能。腎障害や高血圧に注意が必要
※結核や重篤な感染症への注意は生物学的製剤全般で共通
関連問題(乾癬の生物学的製剤)
- 2019 選択29 (★同一問題★)
- 2017 選択20 (IL-17A関連薬剤の投与スケジュール)
- 2014 選択15 (レミケード®の投与量)
- 2013 選択20 (乾癬治療の標的分子:TNF-α, IL-12/23p40, IL-17)
- 2012 選択14 / 2011 選択14 (TNF-α阻害薬投与時の注意)
選択問題44:解答 5
中高年男性の頭部皮膚腫瘍の組織像を問う問題
乳頭状汗管嚢胞腺腫
頭部や顔面に好発する疣状結節で、脂腺母斑に続発することが多い(1/3)
組織:絨毛状・乳頭状の増殖をきたし、2層の管状構造がみられる
間質の形質細胞浸潤も特徴
- 1. Poroma(汗孔腫):足底に好発(2/3)する暗赤色の結節で、組織では小円形のporoid cellが巣状に増殖し好酸性のクチクラ細胞が管腔を形成する。ダーモスコピーでの血管構造が特徴
- 2. Cyrindroma(円柱腫):頭部に好発し、組織では胞巣状増殖をきたす腫瘍細胞と間質の好酸性構造物が特徴。CYLD遺伝子変異が原因となるBrooke-Spiegler症候群で多発する
- 3. Mixed tumor of the kin(皮膚混合腫瘍):顔面に好発。組織では管状構造をとる上皮組織と粘液様および軟骨様の間葉系組織の混在が特徴
- 4. Hidradenoma papilliferum(乳頭状汗腺腫):女性の外陰部に好発する。組織ではアポクリン分泌が特徴
- 5. Syringocystadenoma papilliferum(乳頭状汗管嚢胞腺腫):とくに弱拡での乳頭状構造は特徴的
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p416(4・5)/414(1)/415(2・3)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p622(5)/616(1)/623(2)/620(3)/621(4)
- 参考・図引用:Webpathology.com: A Collection of Surgical Pathology Images, Pathology Outlines - Syringocystadenoma papilliferum
関連問題(乳頭状汗管嚢胞腺腫)
汗腺系腫瘍は種類が多いが出題内容は定型的
選択問題45:解答 3
特発性慢性蕁麻疹に対するオマリズマブ(ゾレア®)の投与方法を問う問題
4週間ごとに300mgを皮下注射する→3
- 2. 2週間ごとに300mg皮下注射, 初回のみ600mg皮下注射:アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブ(デュピクセント®)の成人量およびトラロキヌマブ(アドトラーザ®)は初回ローディングのためこの用法用量
- 3. 4週間ごとに300mg皮下注射:特発性慢性蕁麻疹におけるオマリズマブの投与方法
- 5. 4週間ごとに300mg皮下注射だが血清中総IgE濃度及び体重に基づき用量調節:気管支喘息および季節性アレルギー性鼻炎に対してオマリズマブを投与する場合
- 参考:ゾレア 添付文書
選択問題46:解答 2
常染色体劣性(潜性)遺伝疾患の推定患者数を求める問題
保因者頻度が1%の場合、1/00 × 1/100 × 1/4※ × 1億2千万 = 3,000人となる→2
※対立遺伝子の優性形質をA、劣性形質をaとする。両親がAaの場合、子供はAA:Aa:aa = 1:2:1となる。常染色体劣性遺伝疾患の場合は子供がaaの場合のみ発症するため、1/4
関連問題
- 2018 選択55 / 2011 選択54 (メンデルの法則に従う疾患の有病率/保因率計算)
選択問題47:解答 3
コラーゲン(膠原線維)に関する問題
- 1. コラーゲンは”三重”螺旋構造をとり、3量体を形成する。DNAは二重螺旋構造をとる(ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックが発見)
- 2. II型コラーゲンは”弾性軟骨”の構成成分で、これに対する自己抗体が再発性多発軟骨炎で検出される。弾性線維はエラスチンが主要構成成分で、エラスチカ・ワンギーソン(EVG)染色により黒く染色される※
- 3. コラーゲンはいずれもグリシン(1/3)が最多の構成成分で、そのほかヒドロキシプロリンなどから構成される
- 4. Ⅳ型コラーゲンは表皮基底板を構成する。表皮顆粒層にはケラチン2が発現する
- 5. 真皮における膠原線維はⅠ型(80%)>>Ⅲ型(15%)>Ⅴ型コラーゲンの順に多い
※EVG染色は弾性線維性仮性黄色腫(弾性線維が変性)の診断に用いられる
Ⅰ型・Ⅴ型コラーゲンは古典型、Ⅲ型コラーゲンは血管型Ehlers-Danlos症候群の原因分子。選択肢1の通り3量体を形成し、変異産物を一つでも含む7/8の異常蛋白が正常蛋白の機能を阻害してしまう(ドミナントネガティブドミナントネガティブ)ため常染色体優性(顕性)遺伝形式となる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p14-15(1・2・4・5)/213(2)/6・8(4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p33-35(1・2・4・5)/438(2)/9・11(4)
- 選択肢3の参考:コラーゲンの構造
関連問題
- 2022 選択22 (7型コラーゲン異常と遺伝形式)
選択問題48:解答 2
角層下層での細胞間接着を担うのはコルネオデスモソーム→2
角層に存在する構造として、インボルクリンやロリクリンがトランスグルタミナーゼによって架橋されて構成される周辺帯(cornified cell envelope)も重要
- 1. フォーカルアドヒージョン:細胞と細胞外基質とを密着させる構造
- 2. コルネオデスモソーム:有棘細胞間に存在するデスモソームが変化したもので、デスモグレイン1/3に加えてコルネオデスモシンが関わる。コルネオデスモソームが分解されることで角層が剥離する
- 3. ヘミデスモソーム:表皮基底層に存在する構造で、BP180(17型コラーゲン)などから構成される
- 4. タイトジャンクション(密着結合):顆粒層に存在する構造で、クローディン(メイン)やオクルディンから構成される
- 5. アドへレンスジャンクション(接着結合):角化細胞間の接着構造で、カドヘリンやカテニンから構成される
コルネオデスモソームを分解し角質を剥離させるのがKLK5で、このKLK5を阻害する働きを持つのがLEKTI。つまりLEKTIはコルネオデスモソームが過剰分解されるのを抑制している。先天的な異常(SPINK5遺伝子)からLEKTIの活性が低下するNetherton症候群では、皮膚剥離が亢進しアトピー性皮膚炎様皮疹をきたす
一方コルネオデスモシンをコードするCDSN遺伝子変異では、炎症性ピーリングスキン病をきたす
*KLK = カリクレイン関連ペプチダーゼ, LEKTI = Lympho-epithelial Kazal-type-related inhibitor
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p10(2)/3(3)/7(4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p7-10(3・4・5)
- 参考:細胞接着と細胞骨格 生化学80(3), p184-193, 2008
関連問題
- 2017 選択16 (角質剥離を生じる疾患の原因分子)
- 2020 選択7 / 2017 選択88 (タイトジャンクションについて)
- 2019 選択15 / 2017 選択11 / 2013 選択11 / 2011 選択8 (周辺帯・接着結合について)
- 2014 選択71 / 2013 選択38 / 2011 選択46 / 2009 選択37 (ヘミデスモソーム/BP180について)
選択問題49:解答 5
急性湿疹における組織像
Langerhans細胞が表皮に浸潤しポートリエ微小膿瘍に類似することがある(偽ポートリエ微小膿瘍)→5
一般的には海綿状態が急性湿疹に特徴的な組織像で、表皮真皮境界部の炎症である液状変性と対比される
炎症部位 | 特徴的所見 | 代表疾患 |
表皮 | 海綿状態 | 急性湿疹 |
Gibertバラ色粃糠疹 | ||
表皮基底膜〜真皮(境界部) | 液状変性 | 扁平苔癬 |
薬疹(多形紅斑・固定薬疹) | ||
エリテマトーデス・皮膚筋炎 |
境界部皮膚炎をきたす疾患の代表が扁平苔癬のため、境界部皮膚炎は苔癬様反応(lichenoid reaction)や苔癬型組織反応・苔癬様皮膚炎などと呼ばれることがある
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p44
- 参考:いむーの Pautrier’s microabscessとpseudo-Pautrier abscessの鑑別
選択問題50:解答 3
粘膜病変が生じづらいのは落葉状天疱瘡→3
デスモグレインの発現量と天疱瘡での自己抗体
表皮有棘細胞間に発現するデスモグレイン1/3は皮膚と粘膜で発現量が異なる
デスモグレイン(Dsg) | Dsg1 | Dsg3 |
皮膚 | 表皮全層 | 表皮下層 |
粘膜 | ± | +++ |
尋常性天疱瘡での自己抗体 | + or - | + |
落葉状天疱瘡での自己抗体 | + | - |
腫瘍随伴性天疱瘡での自己抗体 | +が多い | + |
水疱性膿痂疹(伝染性膿痂疹)やブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)では黄色ブドウ球菌の産生するET(表皮剥離毒素)によってDsg1が切断され、落葉状天疱瘡類似の皮疹をきたす
- 1. 慢性GVHD:扁平苔癬様皮疹(口腔粘膜疹)や強皮症様皮膚硬化、多型皮膚萎縮などをきたす
- 2. 亜鉛欠乏症:3主徴は皮膚炎(開口部)・下痢・脱毛で、口内炎や味覚異常、易感染性も生じる
- 3. 落葉状天疱瘡:Dsg1に対する自己抗体のみが生じ、粘膜で発現するDsg3に対する自己抗体は生じないため粘膜病変は生じづらい
- 4. 水疱性類天疱瘡:BP180に対する自己抗体が原因で、粘膜病変は比較的少ない(20%程度)
- 5. 腫瘍随伴性天疱瘡:口腔や眼粘膜の症状が強い。自己抗体はDsg3がほぼ全例、Dsg1が60%で検出され、その他デスモプラキンなどに対する自己抗体も検出される
- 参考・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p251/160(1)/323(2)/253(3)/256(4)/254(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p306(1)/470(2)/314(3)/318(4)/317(5)
関連問題
- 2015 選択1 / 2013 選択40 / 2009 選択40 (天疱瘡の症状と自己抗体)
- 2021 選択61 (GVHDの症状)
- 2019 選択70 / 2018 選択77 / 2011 選択60 (亜鉛欠乏症の症状)
選択問題51:解答 4
JAK-STAT経路とサイトカインとの組み合わせを問う問題
IL-17はJAK-STAT経路による直接の制御を受けない→4
JAK阻害薬と皮膚科疾患 (アトピー性皮膚炎・関節症性乾癬)
JAK(janus kinase)は細胞内シグナル伝達を担うJAK-STAT経路を構成し、JAK1/2/3とTYK2の4つがある
JAK阻害薬は自己免疫性疾患等で過剰活性化された同経路を抑制し、抗炎症作用や免疫抑制を発揮する
皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎・関節症性乾癬・円形脱毛症で保険適用となっており、阻害部位が異なる複数の薬剤がある
アトピー性皮膚炎のJAK阻害薬 | 一般名 | 商品名 |
JAK1 | アブロシチニブ | サイバインコ® |
ウパダシチニブ | リンヴォック® | |
JAK1/JAK2 | バリシチニブ※ | オルミエント®※ |
JAK1/JAK2/JAK3/TYK2 | デルゴシチニブ* | コレクチム®* |
*外用薬
※バリシチニブのみ円形脱毛症にも保険適用がある。円形脱毛症ではJAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬リトレシチニブ(リットフーロ®)も保険適用
乾癬のJAK阻害薬 | 一般名 | 商品名 |
JAK1 | ウパダシチニブ | リンヴォック® |
TYK2 | デュークラバシチニブ | ソーティクツ® |
ウパダシチニブは関節症性乾癬のみが、デュークラバシチニブは尋常性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症が保険適用疾患
- 1・2. JAK1:IL-4/IL-13/IL-31などアトピー性皮膚炎で活性化するサイトカインと関連する
- 3. JAK2:こちらもIL-13と関連する他、GM-CSFとも関連する
- 4・5. TYK2:IL-12やIL-23など乾癬で活性化するサイトカインと関連する。IL-17も乾癬で重要だが、こちらはJAK-STAT経路による直接の制御を受けない
サイトカインとJAKの関係は文献によって微妙に記載が異なる(たとえばIL-13もJAK1/JAK3が関係すると日本内科学会雑誌では記載されている)。上記は下記を総合的に踏まえて記載した
- 参考:アレルギー用語解説シリーズ JAKキナーゼ アレルギー 67(2), p157-158, 2018
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 乾癬性関節炎の最新の治療 日皮会誌:132(1), 35-47, 2022の図17
- 参考:関節リウマチ治療におけるJAK阻害薬の役割 日本内科学会雑誌:110(10), 2160-2165, 2021
- 参考:コレクチム>作用機序
全部を暗記するよりはJAK阻害薬のうちアトピー性皮膚炎で使われるものが(主に)JAK1を、乾癬で使われるものがTYK2を阻害することから関連サイトカインを類推するのが現実的と思われる
関連問題
- 2022 選択87 (★ほぼ同一問題★)
アトピー性皮膚炎のサイトカインと生物学的製剤・JAK阻害薬については下記も参照
-
アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について
続きを見る
選択問題52:解答 2
梅毒および原因菌であるTreponema pallidumに関する出題
※厚生労働省の届出基準における梅毒確定基準は下記のいずれか
- 染色法またはPCR検査等による病原体の検出
- カルジオリピンを抗原とする検査(RPR) and T. pallidumを抗原とする検査(TPHA)による血清抗体の検出
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p556(1・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p955(1・3・4)
- 選択肢5の参考:日本性感染症学会 ベンジルペニシリン持続性筋注製剤「ステルイズ®水性懸濁筋注シリンジ」について
選択肢2について。T. pallidumを含むスピロヘータはGram染色でうまく染まらないので「不定」と表現される場合がある(陰性と記載されている場合もある)。ただ他の選択肢と比較して相対的に正解選択肢と考えた
関連問題
- 2016 選択28 (梅毒は培養不可)
感染症法に基づく届け出基準については下記も参照(梅毒については頻出)
-
感染症法に基づく医師の届出 まとめ
続きを見る
選択問題53:解答 4
左足の有痛性皮下腫瘤
組織では紡錘形細胞の増殖と血管構造がみられ、α-SMA(+), Desmin(+)から血管平滑筋腫の診断→4
有痛性皮下腫瘍 LEND AN EGG (ANGEL)
英語名 | 日本語名 |
L:Leiomyoma | 平滑筋腫 |
E:Eccrine spiradenoma | エクリンらせん腺腫 |
N:Neuroma | 神経腫 |
D:Dermatofibroma | 皮膚線維腫 |
A:Angiolipoma | 血管脂肪腫 |
N:Neurilemoma (Schwannoma) | 神経鞘腫 |
E:Endometriosis (Endometrioma) | 子宮内膜症 |
G:Glomus tumor | グロムス腫瘍 |
G:Granular cell tumor | 顆粒細胞腫 |
※ANGELという暗記方法もあるようです
- 1. 神経鞘腫:Antoni A領域/B領域に分けられ、無核の領域を紡錘形細胞が柵状に取り囲むverocay bodyと呼ばれる構造が特徴。免疫染色ではS100(+)
- 2. 皮膚線維腫:真皮での太い膠原線維や紡錘形細胞増殖、基底層のメラニン沈着が特徴。免疫染色ではCD34(-)↔悪性疾患である隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)では陽性
- 3. 血管脂肪腫:脂肪腫と比較して有痛性なのが特徴。組織では脂肪細胞の増殖に加えて血管構造がみられる
- 4. 血管平滑筋腫:成人女性の下肢に好発する。組織では紡錘形の血管平滑筋が増殖し、中心に血管腔がみられ被膜で包まれることが多い。免疫染色ではα-SMA*やデスミンなど筋マーカーが陽性
- 5. グロムス腫瘍:指の爪甲下に好発する。組織では好酸性の細胞質と円形の核を有するグロムス細胞が増殖する。免疫染色ではα-SMA陽性だがdesminは陰性が多い
*SMA = smooth muscle actinで名前通り平滑筋が染まる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p439(4)/420(1)/431(2)/438(3)/426(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p673(4)/736(1)/658(2)/671(3)/686(5)
- 参考・図引用:A case of angioleiomyoma in the hard palate with accompanying pain Kawasaki Medical Journal 46:173-179, 2020
関連問題
- 2022 記述14 / 2014 記述14 (神経鞘腫の組織)
- 2021 記述17 / 2011 記述3 (血管脂肪腫の組織)
- 2021 選択86 / 2015 選択75 / 2011 選択75 (グロムス腫瘍の組織と染色)
- 2020 選択84 / 2018 選択80 / 2013 記述11 / 2011 選択66 (皮膚線維腫/DFSPの組織)
選択問題54:解答 4
センチネルリンパ節生検(SLNB)に関する問題
- 1・2・5. メラノーマ※およびメルケル細胞癌・乳房外Paget病・長径2cmを超える有棘細胞癌が皮膚科での対象疾患で、臨床的に所属リンパ節腫大がない際に算定できる
- 3. RI(放射性同位元素)と色素法を併用した場合のみ、センチネルリンパ節加算(5,000点)を算定できる
- 4. メラノーマにおいてSLN転移陽性例にリンパ節郭清術を実施しないことが提案されている(SLN転移陽性例全例にリンパ節郭清術を行うべきではない、とするものではない)
※メラノーマではT1a病変(Tumor Thickness<0.8mmかつ潰瘍なし)まではセンチネルリンパ節転移率が低く推奨されていない
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p484
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p114・733(1)
- 選択肢4の参考:皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン 2019 日皮会誌:129(9), 1759-1843, 2019のp1822
- 選択肢1〜3・5の参考:K007 皮膚悪性腫瘍切除術 しろぼんねっと
関連問題
選択問題55:解答 2
メラノーマのダーモスコピー(DS)像を問う問題
図では乳白紅色領域(milky red areas / globules)がみられる→2
- 1. polymorphous vessels(多形血管):2種類以上の血管パターンが見られることで、メラノーマで高頻度に見られる血管構造の一つ。ただし図は明らかに血管病変ではない
- 2. milky red areas/globules(乳白紅色領域):乳白〜ピンク色の小球ないし領域。見られる頻度は高くないが、メラノーマを強く示唆する所見(陽性的中率77.8)
- 3. ulcers(潰瘍):基底細胞癌で病初期から見られやすく、50〜60%に見られる所見
- 4. lacunae(小湖):均一構造のことで、血管腫や血腫で見られる紅色(red lacunae)が代表
- 5. globules(小球):メラニン顆粒を反映した点状構造で、規則的であれば良性の母斑を不規則であればメラノーマを示唆する所見(下記)
ダーモスコピーでメラノーマを疑うためのチェック項目にRevised 7-point checklistがある(1つでも当てはまれば生検が推奨)
ダーモスコピーパターン(英語) | 日本語 |
atypical network | 非定型ネットワーク |
blue-white veil | 青灰色ベール |
atypical vascular pattern | 非定型血管パターン |
irregular dots/globules | 不規則色素小点/小球 |
irregular blotches | 不規則斑状色素沈着 |
regression structures | 自然消退構造 |
milky red areasは上記のatypical vascular patternに含まれており、メラノーマを示唆する所見として重要
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p59(3)/61(4)/55(5)
- 参考・図引用:Vascular structures in skin tumors: a dermoscopy study Arch Dermatol. 2004 Dec;140(12):1485-9.のFigure5A
- 参考:新・皮膚科セミナリウム SSMと鑑別診断 日皮会誌:133(8), 1839-1844, 2023
- 参考:新・皮膚科セミナリウム 生毛部メラノサイト系腫瘍のダーモスコピー 日皮会誌:131(2), 289-294, 2021 (図10, p292)
関連問題
メラノーマのダーモスコピーについては掌蹠病変について問う問題が多かったが、近年は顔面顔面(悪性黒子)や体幹も出題が見られる
選択問題56:解答 5
頚部や腋窩で皮膚弛緩が生じており、コッサ染色にて黒く染まるカルシウム沈着を認めることから弾性線維性仮性黄色腫(PXE)の診断
臓器病変として膀胱病変は少ない→5
PXEについては下記にまとめた
-
弾性線維性仮性黄色腫 まとめ
続きを見る
- 1. 眼病変:Bruch膜の破綻により網膜血管線条をきたし、85%の患者でみられる
- 2. 心臓:冠動脈の中弾性板変化による虚血性変化(冠動脈疾患)のほか、心不全も留意すべき合併症
- 3. 脳卒中:血管病変の一つとして脳卒中も重要
- 4. 消化器病変:動脈瘤形成をきたす場合があり、10%程度で消化管出血を合併する
- 5. 膀胱:膀胱で出血をきたす場合もあるが、他臓器より重要度は低い
重症度分類には1〜4および皮膚病変が含まれている
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p353(1・2・4)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p493
- 参考:弾性線維性仮性黄色腫診療ガイドライン(2017年版)日皮会誌:127(11), 2447-2454, 2017のp2448
膀胱病変について。皮膚科学 第11版では「膀胱などの内蔵出血」となっており、膀胱も病変の一つとして挙げられている。ただ重症度分類では膀胱のみ含まれていないため、留意すべき優先度としては最も低いと考えられる
関連問題
- 2019 選択69 (PXE重症度分類に用いられる病変)
PXEについては他にも複数出題あり、詳細は上記カード内の記事参照
選択問題57:解答 2, 3
光線過敏症に関する出題
- 1. 色素性乾皮症は本邦ではA群が最も高く(55%)、V型は25%で2番目、続いてD群となる
- 2. 日光蕁麻疹は反復照射で改善する例があり、脱感作療法として短時間の日光浴が行われる。原因波長は可視光線が多い
- 3. 薬剤性(外因性)光線過敏症の主な作用波長は"UVA"。UVBは慢性光線性皮膚炎の作用波長となる
- 4. ニコチン酸欠乏によるペラグラは3つのD※をきたし、皮膚炎は光線過敏症の形態をとるため遮光が有効。前頚部の皮疹はカザールの首飾りと称される
- 5. 晩発性皮膚ポルフィリン症はC型肝炎やアルコールによる肝障害が誘因となる。高齢者で光線過敏症をきたす疾患の一つ
※3つのD = dermatitis(皮膚炎), diarrhea(下痢), dementia(認知症)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p234(1)/232(2)/231(3)/327(4)/331(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p279(1・2)/175(2)/275(3)/479(4)/476(5)
関連問題
- 2022 選択45 / 2021 選択72 / 2009 選択43 (ペラグラの原因, 症状など)
- 2020 選択6 / 2018 選択7 / 2015 選択6 / 2010 選択6 (色素性乾皮症の疫学)
- 2019 選択11 / 2013 選択6 (薬剤性光線過敏症の原因波長)
- 2022 選択71 / 2018 選択58 (晩発性皮膚ポルフィリン症について)
選択問題58:解答 1, 2
皮膚科特定疾患指導管理料に関する出題
皮膚科特定疾患指導管理料の対象疾患
皮膚科の特定の疾患に対して月1回算定可能
皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ):250点
- 天疱瘡
- 類天疱瘡
- エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
- 紅皮症
- 尋常性乾癬
- 掌蹠膿疱症
- 先天性魚鱗癬
- 類乾癬
- 扁平苔癬
- 結節性痒疹及びその他の痒疹(慢性型で経過が1年以上のもの)
皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ):100点
- 帯状疱疹
- じんま疹
- アトピー性皮膚炎(16歳以上で外用療法を必要とする場合)
- 尋常性白斑
- 円形脱毛症
- 脂漏性皮膚炎
注意点
- 初診時は算定できない(初診料に含まれる)
- 入院中〜退院1ヶ月以内は算定できない(入院基本料に含まれる)
- 在宅自己注射管理料(デュピクセント®など)と同一月に算定できない
- 1. 類乾癬は年齢を問わず皮膚科特定疾患指導管理料Ⅰの対象→◯
- 2. 尋常性白斑は年齢を問わず皮膚科特定疾患指導管理料Ⅱの対象→◯
- 3. アトピー性皮膚炎は16歳以上かつ外用療法を必要とする場合に皮膚科特定疾患指導管理料Ⅱの対象となる→✗
- 4. 結節性痒疹は年齢を問わず慢性型で経過が1年以上の場合に皮膚科特定疾患指導管理料Ⅰの対象となる→✗
- 5. 円形脱毛症は年齢を問わず皮膚科特定疾患指導管理料Ⅱの対象となる。ただし退院後1ヶ月を経過しないと算定できない→✗
関連問題(皮膚科特定疾患)
選択問題59:解答 1
接触皮膚炎の病理で特徴的なのは海綿状態(spongiosis)→1
表皮内に水分を引き込んで濃度を希釈しようとする生体防御反応に相当する
- 1. spongiosis(海綿状態):表皮角化細胞同士の細胞間隙が明瞭になった状態で、進行すると水疱をきたす。接触皮膚炎や異汗性湿疹などの湿疹・皮膚炎でみられる
- 2. acanthosis(表皮肥厚):表皮とくに有棘層の肥厚で、慢性湿疹や乾癬でみられる。黒色表皮腫では通常みられない
- 3. acantholysis(棘融解):表皮角化細胞同士が離開し、細胞が分散している状態で、天疱瘡やDarier病・Hailey-Hailey病でみられる
- 4. dyskeratosis(異常角化):表皮細胞が(本来角化する)角層に達する前に角化する状態で、Darier病でみられる(Hailey-Hailey病では少ない)
- 5. parakeratosis(不全角化/錯角化):角化が不完全なため角層の細胞でも核が残存している状態。尋常性乾癬でみられる。汗孔角化症では円柱状に連なりcornoid lamellaと呼ばれる
海綿状態の対義語が表皮真皮境界部の炎症である境界部皮膚炎(液状変性)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p43(1・3)/40(2)/42(4・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p52(1・4)/51(2)/54(3)/49(5)
関連問題
選択問題60:解答 2, 4, 5
薬剤性血管性浮腫の原因となる薬剤を問う出題
ACE阻害薬のほか、NSAIDsや経口避妊薬がある→2, 4, 5
- 1. 抗甲状腺薬:チアマゾール(メルカゾール®)は先天性皮膚欠損症の報告が、プロピルチオウラシルはANCA関連血管炎との関連が知られる
- 2. 経口避妊薬:薬剤性血管性浮腫の原因薬剤の一つ。その他肝障害によるくも状血管腫や晩発性皮膚ポルフィリン症など
- 3. トラネキサム酸やダナゾールは血管性浮腫の発作予防に用いられる(保険適用外)
- 4. NSAIDs:薬剤性血管性浮腫の原因薬剤の一つ。FDEIA*を誘発しやすくなる薬剤でもある
- 5. ACE阻害薬:ブラジキニンを不活性化する酵素キニナーゼIIを阻害し、薬剤性血管性浮腫の原因となりえる
*FDEIA = 食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p133(3・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第11版 p177(4・5)/174(4)
- 参考:厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 血管性浮腫のp6
関連問題
- 2020 選択87 / 2016 選択51 / 2012 選択51 / 2009 選択61 (ACE阻害薬と血管性浮腫)
- 2013 選択49 / 2012 選択51 (トラネキサム酸の血管性浮腫予防効果)
選択問題61〜は下記
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令和5(2023)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90
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