膠原病の一種である皮膚筋炎は自己抗体によって臨床症状が異なるため、表にまとめました
皮膚筋炎と自己抗体 症状
自己抗体 | 種類 | 皮膚以外の臨床的特徴 | 皮膚症状 |
抗ARS抗体※ (ARS:アミノアシルtRNA合成酵素) |
抗細胞質抗体 | 慢性進行性間質性肺炎 | 機械工の手(mechanic's hand)
:母指尺側と示指橈側の角化性病変 |
抗MDA5抗体 (抗CADM-140抗体) |
抗細胞質抗体 (RIG-I様受容体) |
急速進行性間質性肺炎
筋炎症状に乏しい |
逆ゴットロン徴候・紫紅色斑 |
抗TIF1-γ抗体 | 抗核抗体 | 悪性腫瘍(成人例のみ)・嚥下障害
間質性肺炎合併は少ない |
びらん・潰瘍化し浮腫や水疱を伴う |
抗NXP-2抗体 (抗MJ抗体) |
抗核抗体 (抗体価は低い) |
小児皮膚筋炎 | 皮下・筋肉内の石灰化 |
抗Mi-2抗体 | 抗核抗体 (高力価) |
古典的皮膚筋炎(CK高値・強い筋炎症状)
間質性肺炎合併は少ない |
※Jo-1, PL-7等8種類の総称
- 抗細胞質抗体である抗ARS抗体・抗MDA5抗体は、抗核抗体(ANA)陰性となる
- 抗MDA5抗体およびフェリチンは皮膚筋炎の病勢を反映する
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p207-208
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p398-401
- 表の参考:新・皮膚科セミナリウム 筋炎特異抗体別サブグループ分類による皮膚筋炎の診断・治療方針のパラダイムシフト 日皮会誌:130(12), 2535-2541, 2020 ※抗MDA5抗体で抗核抗体が高力価となっているが、この点は誤り
- 参考:膠原病における自己抗体検査の活用法 日本内科学会雑誌 107巻3号p470-475
皮膚科専門医認定試験の関連過去問
- 2023年 選択68 (抗MDA5抗体と逆ゴットロン徴候)
- 2021年 記述6 (皮膚筋炎で悪性腫瘍を合併しやすい自己抗体)
- 2019年 選択53 (抗核抗体でない自己抗体)
- 2017年 選択38 (機械工の手に合併する自己抗体)
- 2017年 選択82 (悪性腫瘍を高頻度に伴う膠原病)
- 2016年 選択32 (急速進行性間質性肺炎を合併する自己抗体)
- 2014年 記述4 (抗ARS抗体の正式名称)
MDA5とTIF1-γは2016年から保険収載だが、数年で医師国家試験にも出題される程メジャーな知識となっている(113F53では問題本文に出てきただけで関連を知らなくても正解できるが、116D44は自己抗体と症状の関連をしらないと正答できない)