皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

2022年4月16日

2019-specialist-3

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和1(2019)年度解答解説を作成しました

見出しから各問題へ飛べます

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2019年度 選択問題31〜60の解答・解説は下記

2019-specialist-2
令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

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見出し


令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

選択問題61:解答 1, 5

総合感冒薬や鎮痛薬を内服後、同一部位(下口唇)に反復して出現する皮疹で固定薬疹が疑われる

被疑薬はNSAIDsの他、カルボシステインやアリルイソプロピルアセチル尿素がある→1, 5

固定薬疹は境界部皮膚炎(interface dermatitis)の組織像を取る疾患の一つ

  • 1. カルボシステイン:固定薬疹被疑薬の29.4%が総合感冒薬とカルボシステインという報告、カルボシステインによる薬疹28/46例が固定薬疹という報告がある
  • 2. グリチルリチン酸:漢方薬の甘草に含まれ、偽性アルドステロン症や肝障害の副作用がある
  • 3. リゾチーム:卵白由来の蛋白質で消炎剤として使われていたが、販売中止・自主回収となっている
  • 4. クレマスチンフマル酸塩:第一世代抗ヒスタミン薬の一つ
  • 5. アリルイソプロピルアセチル尿素:総合感冒薬に含まれる催眠鎮静薬で、近年固定薬疹の原因としての報告が多い

関連問題

選択問題62:解答 1, 2

納豆アレルギーに関する一般問題

納豆アレルギー

納豆に含まれるネバネバ物質、ポリガンマグルタミン酸(PGA)によるアレルギー。大豆では症状が出ない

クラゲに刺されることで経皮感作され、経口摂取した納豆が消化されるとアナフィラキシー反応を呈する

そのため、下記の特徴がある

  • クラゲと触れる機会の多いマリンスポーツ愛好者、とくにサーファーで罹患率が高い
  • 消化まで時間がかかるため、摂取後5〜14時間と遅発性アナフィラキシーをきたす
  • 1. PGA含有量が多いほど、症状が発症しやすい
  • 2. 納豆アレルギー罹患者の92.3%にマリンスポーツ歴、84.6%にサーフィン歴があったという報告がありサーファーに罹患率が高い
  • 3. 納豆やPGAに対するRASTは行えないため、プリックテスト陽性が診断上重要
  • 4. 摂取5〜14時間経過してからの遅発性アナフィラキシーを生じることが特徴。2時間以内ではない
  • 5. 納豆のネバネバ成分が原因のため、他の大豆食品(醤油・味噌・豆腐)のアレルギーを合併することは稀

選択肢1について、「冷やし中華のタレに含まれるPGAでアナフィラキシーをきたした」という報告もあり"用量依存性"は微妙だが、その他選択肢と比較すると相対的に正解肢と考える

関連問題

選択問題63:解答 3

蕁麻疹に関する問題

遅延性圧蕁麻疹はステロイド内服が有効→3

  • 1. Schnitzler症候群は蕁麻疹・関節痛・発熱・モノクローナルIgM増加をきたす、クリオピリン関連周期熱症候群の類縁疾患。抗ヒスタミン薬は無効で、ステロイドが有効。コルヒチンやIL-1をターゲットとした抗体製剤(アナキンラ・カナキヌマブ等)も使われる
  • 2. オマリズマブ(ゾレア®)は蕁麻疹の他、気管支喘息にも保険適用
  • 3. 遅発性圧じんま疹に対して、ステロイド内服の有効性を示す弱いエビデンスがある(物理性蕁麻疹の中で唯一)
  • 4. アスピリン蕁麻疹はアスピリン喘息と同じくNSAIDsのもつCOX1阻害作用が原因となるため、COX2選択性が高いNSAIDs(セレコキシブ)やアセトアミノフェンを用いる
  • 5. イカチバント(フィラジル®)はブラジキニンB2受容体拮抗薬で、遺伝性血管性浮腫の急性発作に対して保険適用がある。難治性蕁麻疹の治療には用いない

関連問題

選択問題64:解答 3, 5

口腔アレルギー症候群の代表的な組み合わせはハンノキ・シラカンバ - リンゴ・モモ→3, 5

口腔アレルギー症候群 OAS (花粉-食物アレルギー症候群 PFAS)

特定の花粉に感作された後、交差反応を示す食物を摂取することでアレルギー症状をきたす

消化(胃酸)・加熱により分解されるとアレルギー反応が起こらなくなるため、一般に症状は口囲に限局し加熱などの加工処理で摂取可能となることが特徴

代表的な花粉-食物の組み合わせ
花粉 果物・野菜など
カバノキ科(シラカンバ・ハンノキ) バラ科(リンゴ・モモ・サクランボ) マメ科(大豆・ピーナッツ)
ヒノキ科・スギ ナス科(トマト)
イネ科(カモガヤ)・ブタクサ ウリ科(メロン・スイカ)
ヨモギ セリ科(セロリ・ニンジン)
  • 1. ヒノキ:花粉症の原因となるが、交差反応は知られていない
  • 2・4. カモガヤ(イネ科)・ブタクサ(キク科):ウリ科果物であるメロン・スイカと交差
  • 3・5. ハンノキ・シラカンバ(共にカバノキ科):バラ科果物であるリンゴ・モモ・サクランボと交差

関連問題

選択問題65:解答 1, 2, 4

RAS-MAPKシグナル伝達経路を負に制御する経路異常で生じる疾患は、カフェオレ斑など共通の症状を持ちRASopathiesと呼ばれる

代表例はLegius症候群・神経線維腫症1型・LEOPARD症候群がある→1, 2, 4

2019-RASopathies

参考文献より引用

  • 1. Legius症候群:NF1類似のカフェオレ斑を生じるが、神経線維腫などの腫瘍性病変はみられない。SPRED1遺伝子変異が原因
  • 2. 神経線維腫症1型(NF1):カフェオレ斑や神経線維腫症をきたす。ニューロフィブロミン(NF1)変異が原因
  • 3. NF2:両側聴神経鞘腫や皮下神経鞘腫をきたすが、カフェオレ斑は少数。腫瘍抑制因子メルリンをコードするNF2遺伝子変異が原因
  • 4. LEOPARD症候群:L(多発性黒子)やE(心電図異常)など各症状を呈し、カフェオレ斑もみられる。PTPN11BRAF遺伝子変異が原因
  • 5. McCune-Albright症候群:カフェオレ斑・思春期早発症をきたす。GNAS1遺伝子変異が原因
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p393(1)/391(2)/394(3)/403(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p548(1・5)/544(2)/547(3)/563(4)
  • 参考および図引用:RASopathy 関連色素異常 臨床皮膚科72巻5号 2018年増刊号 p16-20

関連問題

選択問題66:解答 1

掌蹠角化症と難聴を家族性にきたしており、家系図から母親が罹患している場合は子供全員が発症している

このことから母系遺伝(ミトコンドリア遺伝)を考える→1

  • 1. 母系遺伝:ミトコンドリア遺伝性掌蹠角化症は難聴を伴う
  • 2. 常染色体優性遺伝(AD):KID症候群は掌蹠角化症と角膜炎、難聴をきたす(GJB6遺伝子変異)。しかし患者叔父は発症しているのに、従兄弟3人は1人も発症しておらず否定的 ※ADなら1/2の3乗で1/8しか生じ得ない
  • 3. 常染色体劣性遺伝(AR):両親が保因者である場合、1/4の確率で子供が症状を発症する。本家系図では発症率が高すぎ考えづらい
  • 4. 伴性優性遺伝(XD):このような遺伝形式を取る疾患は非常に少ない(色素失調症とAlport症候群くらい)。基本的に女性に発症する
  • 5. 伴性劣性遺伝(XR):基本的に男性(XY)に発症し、女性(XX)は通常発症しない(保因者)

関連問題

選択問題67:解答 2

自然免疫系の異常により発症する疾患を、自己炎症症候群と呼ぶ

※獲得免疫系の異常で自己抗体を生じるのがいわゆる膠原病

PSMB8遺伝子変異によりプロテアソーム活性が低下することで生じるのは中條・西村症候群→2

  • 1. 家族性地中海熱:MEFV遺伝子変異によりIL-1βが過剰産生され発症し、発熱や腹痛・関節炎エピソードを周期的に繰り返す
  • 2. 中條・西村症候群:プロテアソーム活性低下で発症し、周期熱と凍瘡〜結節性紅斑類似皮疹、脂肪萎縮症が特徴。指定難病の一つ
  • 3. 家族性寒冷自己炎症症候群:NLRP3遺伝子変異により、IL-1βが過剰産生されるクリオピリン関連周期熱症候群の一つ(軽症型)。寒冷刺激に伴う蕁麻疹様皮疹が特徴
  • 4. 家族性凍瘡状エリテマトーデス:TREX1遺伝子等の変異による。四肢末端部で冬季に増悪する皮疹を呈する
  • 5. Job症候群:STST3遺伝子等の異常による。高IgE血症・アトピー性皮膚炎・黄色ブドウ球菌による皮膚膿瘍/肺炎をきたす免疫不全症

選択問題68:解答 2, 3

ステロイド長期内服で骨粗鬆症のリスクが上がるため、予防的にビスホスホネート(BP)製剤が投与される

週1回投与する薬剤を尋ねる問題で、アレンドロン酸35mgとリセドロン酸17.5mgが該当する→2, 3

ステロイド性骨粗鬆症 予防 BP製剤

経口ステロイドを3ヶ月以上使用する場合、骨折リスクを評価し予防内服を行う

製剤 薬剤名 商品名 用法
ビスホスホネート製剤 アレンドロン酸 フォサマック®

ボナロン®
※35mgのみゼリー製剤あり

5mg/日 経口
35mg/週 経口
900μg/4週 点滴
リセドロン酸 アクトネル®

ベネット®

2.5mg/日 経口
17.5mg/週 経口
75mg/月 経口
エチドロン酸 ダイドロネル® 200mg 2週間経口/3ヶ月休薬
ミノドロン酸 リカルボン®

ボノテオ®

1mg/日 経口
50mg/4週 経口
イバンドロン酸 ボンビバ® 1mg/月 静注, 100mg/月 経口
活性型ビタミンD3製剤 アルファカルシドール アルファロール® 0..5〜1μg/日 経口
カルシトリオール ロカルトロール® 0.5μg/日 経口
エルデカルシトール エディロール® 0.5〜0.75μg/日 経口
ヒト型抗RANKL モノクローナル抗体 デノスマブ プラリア® 60mg/6ヶ月 皮下注
  • 推奨度Aはアレンドロン酸およびリセドロン酸
  • 年1回投与のBP製剤ゾレドロン酸(リクラスト®)静注はガイドライン策定後の発売であり未収録
  • BP製剤は食道潰瘍の副作用があり、内服製剤は起床時投与・投与後30分間横にならず飲水以外摂取禁止(∵食道停滞時間を短くする)
  • 表以外にビタミンK2製剤・SERM(エストロゲン受容体に働き閉経後女性のみ)・ヒト副甲状腺ホルモン(2年間まで)がある

よって本問の解答は下記

  • 1. アレンドロン酸(フォサマック®・ボナロン®)5mg:連日投与
  • 2・3. アレンドロン酸35mg/リセドロン酸(アクトネル®・ベネット®)17.5mg:週1回投与
  • 4・5. リセドロン酸75mg・ミノドロン酸50mg(リカルボン®・ボノテオ®):月1回経口投与

関連2021 選択74(ステロイド骨粗鬆症の予防)

選択問題69:解答 1, 4, 5

弾性線維性仮性黄色腫の重症度分類に用いられる病変部を問う問題

皮膚のほか、眼・消化器・心血管に症状をきたし重症度評価にも用いられる→1, 4, 5

弾性線維性仮性黄色腫(PXE)

ABCC6遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患で、弾性線維の変性と石灰化が複数臓器で生じる

  • 皮膚:頚部や腋窩でオレンジ色の丘疹をきたし、加齢とともに皮膚の皺が目立つようになる
  • 眼:網膜-脈絡膜間に存在するBruch膜変化による網膜血管線状
  • 血管病変(心・脳・消化管):動脈の中弾性板変化による虚血性変化、出血等
230413-pseudoxanthoma-elastica
弾性線維性仮性黄色腫 まとめ

続きを見る

  • 1. 眼:Bruch膜の破綻により、網膜下出血や新生血管を生じる
  • 4. 消化器:10%程度で消化管出血を合併し、死亡例もある重要な予後因子
  • 5. 心・血管:虚血性心疾患や末梢動脈疾患(ASO)、脳卒中をきたす

関連

PXEは頻出, その他関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題70:解答 1, 2, 4

亜鉛欠乏症に関する一般問題

  • 1. 亜鉛欠乏症の症状に味覚異常・皮膚炎・脱毛・口内炎・易感染性・難治性褥瘡などがある
  • 2. Beau's lineは爪に見られる横線で、亜鉛欠乏症に特徴的な所見
  • 3. 血清亜鉛は日内変動があり午後は低下するため、早朝空腹時に測定することが望ましい
  • 4. 亜鉛酵素である血清アルカリフォスファターゼ(ALP)値は亜鉛欠乏によって低値となる
  • 5. 腸性肢端皮膚炎は亜鉛輸送蛋白変異により生じ、皮膚炎・下痢・脱毛を3主徴とする。ナイアシン欠乏によるペラグラの症状は皮膚炎(dermatitis)・下痢(diarrhea)・精神障害(dementia)で3つのDと呼ばれる

関連問題

選択問題71:解答 2

piezogenic pedal papulesに関する一般問題

立位で増悪するため、小児をはじめ幅広い年齢に見られ高齢者に多い疾患ではない→2

piezogenic pedal papules

立位時、足底(とくに踵)に弾性軟で正常〜淡黄色の半球状丘疹が数個から数10個生じる疾患。肥満や立ち仕事が病因となり得る

病態的には皮下脂肪組織がヘルニア状に突出し、真皮へ陥入することで生じ弾性線維の断裂を伴う

基本的に無症状だが、ときに疼痛を伴い気付かれる

  • 1. 足底、とくに踵で好発する
  • 2. 小児を含め各年齢層の男女に出現する。立位が誘因となるため、若年者に多いと推察される
  • 3. 皮下脂肪組織の突出であり、弾性軟
  • 4. 座位で圧迫が取れると消失する
  • 5. 真皮菲薄化・弾性線維の断裂がみられる
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p471
  • 参考:Piezogenic pedal papulesの3例 臨床皮膚科69巻10号 p731-734

選択問題72:解答 4

鼻背部正中の痂皮を伴う黒色斑で、辺縁では毛細血管拡張を伴うことから基底細胞癌(BCC)を疑う

典型例では辺縁に黒色の蝋様光沢を有する小結節が並んで見られる→4

  • 1・2. 面皰圧出や過酸化ベンゾイル(ベピオ®)外用は尋常性痤瘡で行われる
  • 3. BCCで最多の結節型(80%)では進行すると中心部は潰瘍をきたす
  • 4. BCCでは蝋様光沢を有する硬い黒色結節が、病巣辺縁部を縁取るように配列する(pearly border)
  • 5. BCCで特徴的な血管所見に樹枝状血管(arborizing vessels)がある。コンマ状血管は真皮内占拠性病変(真皮内母斑等)でみられ、腫瘍を避ける血管が表皮直下を通る所見
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p444(3・4)/365(1・2)/58(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p612-615(3・4・5)/713(1・2)
  • 参考書籍:ダーモスコピー 超簡単ガイド 改訂第2版 p116(5)

関連問題(基底細胞癌のダーモスコピー)

選択問題73:解答 1

図16aでは角化細胞が内方向性に増殖し、図16bでは棘融解や個細胞壊死、中央上部ではsquamous eddies(渦状の有棘細胞)がみられる

特徴的な増生から、病理組織学的にInverted follicular keratosisの診断→1

Inverted follicular keratosis

毛嚢上皮が(外方向性のみでなく)内方向性に増殖し、縦長の病変を形成する組織像の病理診断名

毛嚢上皮へのHPV感染症もしくはirritated typeの脂漏性角化症が原因となり、臨床上は尋常性疣贅・脂漏性角化症などの病名となる

squamous eddiesと呼ばれる渦巻状に増生する有棘細胞(しばしば中央で小管腔を伴う)が必発であり、脂漏性角化症の所見が主体のときは棘融解や個細胞壊死などの変性像を伴う

  • 1. Inverted follicular keratosis:内方向性の増殖やsquamous eddiesの存在が特徴
  • 2. ケラトアカントーマ:弱拡では左右対称性で境界明瞭なコップ状の増殖がみられ、中央部では過角化を伴う。強拡では核異型がみられ有棘細胞癌に類似する
  • 3. 日光角化症:基底層に限局し、毛包や付属器を避ける異型細胞の増殖・不全角化がみられる(pink and blue sign)。solar elastosisを伴う
  • 4. 有棘細胞癌:表皮基底膜を破壊し下床へ浸潤増殖する異常角化細胞がみられ、強拡では癌真珠や核分裂像がみられる
  • 5. 尋常性疣贅:不全角化を伴う表皮肥厚や乳頭状増殖がみられ、強拡では空胞細胞(コイロサイトーシス)がみられる
  • 参考書籍:みき先生の皮膚病理診断ABC ① 表皮型病変 初版 p80(1)/136(2)/90(3)/142(4)/22(5) ※下記リンクは改訂版
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p454(2)/450(3)/447(4)/495(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p582(1)/610(2)/597(3)/605(4)/771(5)
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関連問題

選択問題74:解答 4

高齢女性の左手掌で多彩な色調かつ左右非対称性で境界不明瞭な色素斑を認め、悪性黒色腫を疑う

ダーモスコピーではparallel ridge pattern(皮丘並行パターン)が特徴→4

悪性黒色腫(メラノーマ)のABCDEルール

悪性黒色腫を疑わせる臨床像の特徴

  • A:Asymmertry (不規則形)
  • B:Borderline irregularity (境界不鮮明)
  • C:Color variegation (色調多彩)
  • D:Diameter enlargement (拡大傾向 直径6mm以上)
  • E:Evolution (性状の変化)
  • 1〜3. 色調多彩・左右非対称性・辺縁不明瞭はABCDEルールに該当する
  • 4. 悪性黒色腫では皮丘部に平行な、太い色素沈着がみられる(parallel "ridge" pattern)。parallel furrow patternは皮溝部色素沈着で、良性の母斑細胞母斑を示唆する所見(下記参照)
  • 5. 提示されたダーモスコピー像では有意な血管所見を認めない

手掌足底のメラノサイト病変 ダーモスコピー所見

手掌足底は皮丘・皮溝に分けられる

原則は皮丘部に一致した色素沈着=悪性黒色腫を示唆する所見

色素性母斑
(母斑細胞母斑)
悪性黒色腫
(メラノーマ)
色素沈着部位 皮溝 皮丘
ダーモスコピー所見 parallel furrow pattern parallel ridge pattern
皮溝並行パターン 皮丘並行パターン

ただし良性の皮溝並行パターンのうち、一部の亜型では皮丘部にも色素沈着を伴う場合がある

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p56-57(4)/482(1・2・3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p698(4)/694(1・2・3)

関連問題

選択問題75:解答 4

トラメチニブ(メキニスト®)のターゲット分子を問う問題

MEK阻害薬→4

BRAF阻害薬であるダブラフェニブ(タフィンラー®)と併用で、BRAF遺伝子変異(V600E/K)を有する悪性黒色腫に対して利用される

BRAF-MEK-inhibitor
BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】

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悪性黒色腫ではMAPキナーゼ経路(NRAS→BRAF→MEK→ERK)が異常活性化して細胞増殖が亢進しており、この部分を阻害する治療が行われる

2019-MAPK-Melanoma

参考文献 図3より引用

  • 1. BRAF:一部の悪性黒色腫では同部位の変異により細胞増殖が亢進しており、治療ターゲットとなっている(後述)
  • 2. EGFR:悪性黒色腫との関連は薄いが肺腺癌で遺伝子変異率が高く、治療ターゲットとなっている(タグリッソ®)
  • 3. ERK:BRAF/MEKの下流に位置し、腎細胞癌で使われるソラフェニブ(ネクサバール®)の治療ターゲットの一つ
  • 4. MEK:BRAFと並んで悪性黒色腫の治療ターゲットとなっている
  • 5. NRAS:BRAF/MEKの上流に位置し、先天性母斑や一部の悪性黒色腫で遺伝子変異がみられる

関連:BRAF/MEK阻害薬は頻出, 関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題76:解答 3

腓腹部の有痛性皮下腫瘤。Bモードでは境界明瞭な腫瘤で内部の一部に高エコー領域を認め、ドップラーモードでは血流を有することがわかる

血流を有する良性腫瘍では神経鞘腫が最も考えやすい→3

  • 1. 血腫:内部は低エコー領域で、血流はみられない
  • 2. 毛母腫(石灰化上皮腫):内部は石灰化を伴い高エコーとなり、後方エコーが減弱する。筋緊張性ジストロフィーで多発することがある
  • 3. 神経鞘腫:神経細胞からなるAntoni A領域は血流豊富で、細胞成分の疎なAntoni B領域は血流が乏しくなる。良性腫瘍の中では血流豊富なことが特徴
  • 4. 表皮嚢腫:腫瘤は低エコーとなり、後方エコーの増強が見られる。炎症性でなければ内部血流は認めない
  • 5. 血管脂肪腫:有痛性皮下腫瘍だが、腫瘤は高エコーとなり内部血流は乏しい

AntoniA領域でみられる病理所見はVerocay bodyと称され、同腫瘍に特徴的な所見

有痛性皮下腫瘍 LEND AN EGG (ANGEL)

L:Leiomyoma 平滑筋腫
E:Eccrine spiradenoma エクリンらせん腺腫
N:Neuroma 神経腫
D:Dermatofibroma 皮膚線維腫
A:Angiolipoma 血管脂肪腫
N:Neurilemoma (Schwannoma) 神経鞘腫
E:Endometriosis (Endometrioma) 子宮内膜症
G:Glomus tumor グロムス腫瘍
G:Granular cell tumor 顆粒細胞腫

※ANGELという暗記方法もあるようです

  • 参考書籍:今日から読める!皮膚エコー p74(3)/124(1)/66(2)/24(4)/52(5)
  • 選択肢3の参考:血流を超音波検査でとらえた神経鞘腫の3例 日皮会誌:124(1), 33-37, 2014
  • 有痛性皮下腫瘍の参考:みき先生の皮膚病理診断ABC ②付属器系病変 p216
みき先生の皮膚病理診断ABC (2) 付属器系病変

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関連問題

選択問題77:解答 4

エコー(ドップラーモード)の画像から、良性腫瘍が想定される画像を選択する問題

境界明瞭かつ腫瘍内部の血流が少ないことから、④がもっとも良性腫瘍を考える→4

とくに後方エコー増強を伴っていることから、粉瘤(表皮嚢腫)が想定される

一般的な傾向としては、下記のようになる

  • 良性腫瘍:境界明瞭・血流に乏しい
  • 悪性腫瘍:境界不明瞭・血流豊富

良性腫瘍の中で血流豊富な例外として、神経鞘腫(選択76)がある

選択問題78:解答 5

HE染色と視診での見え方の対比を問う問題

画像ではHE染色で真皮中層〜深層のメラニン沈着がみられ、青色母斑を考える

(名前の通り)肉眼的には青色に見える→5

メラニン沈着部位と色調・疾患

メラニン沈着部位によって色調が異なり、疾患がある程度推測できる

表皮内では黒色だが、深部に達するにつれて青色へ近づいていく

2019-Melanin

参考文献p65より引用

沈着部位 皮膚の色調 代表的疾患
表皮内〜真皮表皮接合部 黒色 母斑細胞母斑
(複合母斑)
悪性黒色腫
基底層 褐色ないし黒褐色 肝斑
雀卵斑
カフェオレ斑
基底層〜表皮中層 茶色ないし黒色 母斑細胞母斑
(境界母斑)
真皮乳頭層 紫褐色ないしスレート色 扁平苔癬
色素失調症
固定薬疹
真皮深層 青色 蒙古斑
青色母斑
太田母斑
  • 1. 黒色:表皮内〜真皮結合部にかけてのメラニン沈着
  • 2. 白色:メラノサイトの消失
  • 3. 黄色:基底層のメラニン沈着
  • 4. 茶色:基底層〜表皮中層にかけてのメラニン沈着
  • 5. 青色:真皮深層でのメラニン沈着
  • 参考および図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p65/382(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p3/535(5)

関連2020 記述16 (青色母斑のダーモスコピー)

選択問題79:解答 5

間葉細胞系母斑に関する一般問題

皮膚限局の奇形腫・過誤腫を母斑と呼び、増殖細胞によって分類される

  • メラノサイト系:母斑細胞母斑(ほくろ)など
  • 表皮系:疣贅状表皮母斑(表皮融解性魚鱗癬の体細胞モザイク)など
  • 間葉細胞系:結合組織母斑など
  • 1. 貧血母斑:入浴や摩擦で周囲皮膚が紅潮した際に蒼白部位が出現するもので、神経線維腫症1型患者の前胸部に見られ特異性が高い
  • 2. 軟骨母斑:軟骨を含んだ正常皮膚色の丘疹で、耳周辺で生じたものを副耳と呼ぶ※
  • 3. 平滑筋母斑:立毛筋由来で腰部や仙骨部に好発し、しばしば多毛を伴う
  • 4. 結合織母斑:膠原線維や弾性線維由来で皮膚色〜黄褐色の丘疹や結節が集簇して、局面を形成する。結節性硬化症の粒起革様皮膚(シャグリンパッチ)も含まれる
  • 5. 表在性皮膚脂肪性母斑:脂肪細胞が増殖し、数cmまでの黄色結節を生じる
    四肢片側で単純性血管腫が生じるKlippel-Trenaunay-Weber症候群は、片側性下肢肥大や脚長差がみられる

※耳の近くは第1鰓弓に由来する。第2鰓弓由来のものは頚部にみられ、先天性頸部遺残軟骨と呼ばれる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p388(2~5)/390(1)/401(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p540-541/552(5)

関連問題

選択問題80:解答 2

足底の紅色結節で、好酸性細胞から構成される管腔をもつエクリン汗孔腫

ダーモスコピーではAなどやや大型の血管構造がみられ(糸球体様血管:glomerular vessels)、組織学的には真皮乳頭部の拡張血管に該当する→2

やや小型で細長い血管はヘアピン様血管(hairpin vessels)と呼ばれ、こちらも汗孔腫でよくみられる所見

  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p190

関連問題

選択問題81:解答 4

手掌の小陥凹、顎骨嚢胞から基底細胞母斑症候群(Gorlin症候群)を疑う

若年から基底細胞癌をきたしやすく、ダーモスコピー上はarborizing vessels(樹枝状血管)を伴う→4

  • 1. 非対称性の色素沈着、非定型偽ネットワークがみられ、悪性黒子の像
  • 2. comedo-like openings(面皰様開大)やmultiple milia-like cysts(多発性脾粒腫様嚢腫)がみられ、脂漏性角化症の像
  • 3. 赤みをおびた均一領域(red lacunae)がみられ、血管腫の像
  • 4. large blue-gray ovoid nests(青灰色類円形大型胞巣)や中心部のarborizing vessels(樹枝状血管)がみられ、基底細胞癌の像
  • 5. 色素斑が全周性に線状に囲まれるスターバーストパターンがみられ、Spitz母斑の像

基底細胞母斑症候群(Gorlin症候群) 診断基準

主に癌抑制遺伝子であるPTCH1遺伝子変異によって発症する常染色体優性遺伝疾患

皮膚関連症状としては下記が特徴的

  • 掌蹠点状小陥凹(85%以上)
  • 2個以上あるいは20歳以下の基底細胞癌(80%)
  • 多発性顎骨嚢胞(70% 皮疹に先行)

診断基準

大基準 2個以上, または20歳未満の基底細胞癌
(80%)
顎骨の歯原性角化嚢胞(組織学的に証明)
3個以上の掌蹠の小陥凹
大脳鎌の石灰化
肋骨異常(二分, 癒合, 極端な扁平化)
一等親に罹患者を持つ
小基準 大頭症(身長で補正後)
先天奇形(口唇口蓋裂, 前額突出, 粗野顔貌, 両眼隔離)
その他の骨格異常(Sprengel変形, 胸郭変形, 合指症)
X線検査の異常(トルコ鞍骨性架橋, 脊椎の異常, 手足のモデリング欠損, 手足の火焔様透過像)
卵巣線維腫
髄芽腫
(5%)

大基準2つまたは大基準1つと小基準2つで診断

関連問題

選択問題82:解答 2, 3, 4

慢性じんま疹に関する一般問題

  • 1. オマリズマブ(ゾレア®)はIgE抗体製剤で慢性蕁麻疹に高い効果があり、推奨度1A。気管支喘息にも保険適用がある
  • 2. 一部では自己血清皮内反応によるスクリーニングと健常人末梢血好塩基球を利用したヒスタミン遊離試験により、自己免疫機序が証明される
  • 3. 発症後6週間以上継続するものを慢性、それ以内を急性と定義する(以前は1ヶ月だったが変更)
  • 4. 非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)が第一選択
  • 5. 基本的に原因は特定不能

選択問題83:解答 1, 3, 5

爪部Bowen病についての一般問題

爪部Bowen病

Human papillomavirus(HPV)-16※や56が原因となり、Bowen病全体の5%程度を占める

手指の爪に生じやすく、男性に多い(性交渉時に女性生殖器から感染?)

※HPV-16はBowen様丘疹症の原因にもなる

  • 1. 爪部Bowen病は3.8:1で男性が多い。通常のBowen病は1:1.21で女性にやや多い
  • 2. 足趾は15/156例(9.6%)で、大部分は手指に生じる
  • 3. 爪部Bowen病はケラチノサイトの腫瘍性病変であり、(悪性黒色腫と比べて)色素線条の幅が狭い早期から部分欠損・縦溝・隆起などの形態異常が出現しやすい
  • 4. 井戸水摂取は慢性ヒ素中毒による多発性Bowen病の原因となり得るが、爪部Bowen病とは関連しない
  • 5. 爪部Bowen病の平均年齢は51.5歳で、通常のBowen病の平均年齢75.2歳と比較して著しく低い

関連:2009 選択20 (HPV-16と関連した腫瘍)

選択問題84:解答 3

中高年男性に生じた有痛性の皮下腫瘤

弱拡では真皮にリンパ節様の境界明瞭な腫瘤が、強拡では好酸性の淡明細胞からなる管腔構造がみられることからエクリンらせん腺腫の診断→3

  • 1. Basal cell carcinoma(基底細胞癌):胞巣状増殖をきたすが、表皮との連続性があり有痛性ではない
  • 2. Dermal duct tumor:エクリン汗孔腫をさらに細分類したもので、真皮内で充実性胞巣がみられるものを指す。管腔を形成する好酸性のクチクラ細胞と、N/C比の高い腫瘍細胞(poroid cell)増殖が特徴
  • 3. Eccrine spiradenoma(エクリンらせん腺腫):有痛性腫瘍で、好酸性の淡明細胞(内側)とクロマチン豊富な暗調細胞(外側)からなる管腔構造が特徴
  • 4. Glomangioma(グロムス血管腫):爪甲下に好発する、グロムス細胞(平滑筋由来で動静脈吻合部に存在)が増殖して生じる疾患。腫瘍細胞は好酸性なのが特徴
  • 5. Nodular hidradenoma(結節性汗腺腫):円形の核をもつ澄明細胞や管腔構造からなる病変が、真皮で結節状に存在する

有痛性皮下腫瘍は選択問題76で記載した通り、3 エクリンらせん腺腫と 4 グロムス血管腫の2つ。そこから組織学的に3と診断するのがスムーズ

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p414(3)/446(1)/426(4)/415(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p591(3・5)/614(1)/652(4)
  • 参考書籍:みき先生の病理診断ABC② 付属器病変 p196(3)/94(1)/178(2)
みき先生の皮膚病理診断ABC (2) 付属器系病変

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関連問題

選択問題85:解答 1, 4, 5

基底層でのメラニン増加をきたす疾患を問う問題

  • 1. 汗管腫:膠原線維が増加し、褐色調の強い皮疹では基底層でメラニン増加がみられる→○
  • 2. 色素性エクリン汗孔腫:腫瘍巣でのメラニン増加がみられる(基底細胞ではなく腫瘍細胞そのもの)
  • 3. 青色母斑:真皮深層でのメラニン増生の結果、青色にみえる
  • 4. 皮膚線維腫:真皮〜皮下にかけての膠原線維や線維芽細胞の増殖、表皮基底層でのメラニン増加がみられる→○
    (非メラノサイト病変だが)ダーモスコピーでも色素ネットワークをきたす
  • 5. 肥満細胞腫:トルイジンブルーで異染性(紫)を示す肥満細胞と、色素斑部の有棘層〜基底層でのメラニン増加がみられる→○
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p382(3)/63・432(4)/443(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p589(2)/535(3)/627(4)
  • 選択肢1の参考:汗管腫 (特に組織発生について) 皮膚 第7巻 3号 p317-337

関連問題

選択問題86:2, 4, 5

神経線維腫で陽性となる免疫染色の種類を問う問題

神経線維腫は神経鞘(シュワン)細胞由来の腫瘍で、神経周膜細胞および神経内膜細胞から構成される

CD34やEMA, S-100が陽性となる→2, 4, 5

「神経線維腫がCD34陽性」は教科書で記載が少ないが頻出のため抑えておく

関連問題

選択問題87:解答 4

CD20免疫染色で陽性となる部位を問う問題

CD(cluster of differentiation)は白血球の細胞表面に存在する分子を分類したもので、CD20はB細胞、CD4はヘルパーT細胞など発現が異なるため、腫瘍細胞の由来を同定するのに利用される

細胞表面に存在するため、細胞膜で陽性となる→4

  • 2. 核:悪性黒色腫で陽性率が高いとされるSOX10は核に発現する(転写因子)
  • 3. 細胞質:メルケル細胞癌の診断に用いられるCK20は核近傍の細胞質に発現する(ケラチン:細胞骨格→細胞内)。その他アクチンやビメンチン、αSMA、HMB-45等
  • 4. 細胞膜:CD系列の他、EGFRのような受容体型チロシンキナーゼも細胞膜で陽性

関連問題

選択問題88:解答 5

電子顕微鏡の構造について問う問題

白い縦線が平行に並ぶような構造であり、デスモソームに該当する→5

2019-desmosome

参考文献より引用 左上がデスモソーム

  • 1. 透明帯:基底膜に存在し、トノフィラメントと連続する板状構造がみられる
  • 2. 層板顆粒:顆粒層に存在し、黒色構造に縦線が入ったような構造がみられる。ケラトヒアリン顆粒は縦線が見られない
  • 3. Birbeck顆粒:Langerhans細胞に存在し、テニスラケット状の構造がみられる
  • 4. メラノソーム:楕円形の構造をとる
  • 5. デスモソーム:縦線が2本平行に並ぶ構造をとり、それぞれは隣接する細胞の細胞膜(plasma membrane)

関連問題

選択問題89:解答 3

Spitz母斑でみられるエオジン好染の均質構造物をKamino bodyと呼ぶ→3

  • 1. Asteroid body(星状体):サルコイドーシスで巨細胞内にみられる、中心部に核を有する放射状の針状構造。スポロトリコーシスでも見られる
  • 2. Civatte body:変性をきたした角化細胞(好酸性)が基底膜下でみられる現象で、液状変性(境界部皮膚炎)をきたす疾患である多形紅斑や扁平苔癬、GVHDでみられる
  • 3. Kamino body:エオジン好染、PAS染色陽性でSpitz母斑の70%にみられ、悪性黒色腫との鑑別に有用。個細胞壊死に陥った腫瘍細胞とされる
  • 4. Russel body:免疫グロブリンが過剰産生された状態で形質細胞内に生じる、円形のヒアリン状好酸性の塊
  • 5. Tingible bodyアポトーシスに陥ったリンパ球を貪食したマクロファージのことで、リンパ濾胞においてみられる好塩基性に濃縮する顆粒。反応性リンパ節腫大でみられやすい
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p380(3)/346・542(1)/45(2)/32(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p532(3)/494・876(1)/54(2)/37(4)

関連(Spitz母斑)

  • 2009 記述6 (★同一問題★)
  • 2013 選択62 / 2009 記述5 (Spitz母斑のダーモスコピー)

選択問題90:2

ナルフラフィン(レミッチ®)はオピオイドκ(カッパ)受容体作動薬→2

保険適応は透析患者および慢性肝疾患患者に限られる。傾眠・便秘などオピオイド特有の副作用がある

オピオイド受容体はμ・κ・δの3種類で、薬物ターゲットとなっているのは主にκとμ受容体

  • 2. κ:中枢性の掻痒感を抑制する作用がある
  • 4. μ:鎮痛効果が強く、モルヒネやフェンタニルのターゲットとなっている。かゆみを誘発する作用もある
  • 5. ノシセプチン:オピオイド受容体と類似した構造を持つが、役割に関しては不明

選択問題91〜は下記

2019-specialist-4
令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題91〜100 記述問題

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