皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50

2022年9月10日

2015-Specialist-2

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成27(2015)年度解答解説を作成しました

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選択問題1〜25は下記

2015-Specialist-1
平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜25

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見出し

平成27年度(2015年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 26〜50

選択問題26:解答 5

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する一般問題

マダニが媒介するウイルス感染症→5

重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)

マダニが媒介するSFTSウイルスによって生じる感染症

1〜2週間の潜伏期間を経て、腹痛・嘔吐・下痢などの胃腸症状と血小板および白血球減少、肝機能障害をきたす。皮疹は稀

関連問題

選択問題27:解答 1, 2

HIV/AIDSに関する問題

感染の初期段階ではLangerhans細胞およびケモカイン受容体が重要→1, 2

  • 1. まずランゲルハンス細胞に感染し、それを足がかりとして生体内へ侵入する
  • 2. CD4発現細胞に感染する際、コレセプターであるCCR5やCXCR4が必要。治療薬にCCR5阻害薬マラビラクがある
  • 3. 抗体を検出するスクリーニング検査では、感染後6〜8週が必要(window period)*
  • 4. 梅毒の感染とCD4数に相関関係はなく、CD4数が高値でも梅毒に罹患する
  • 5. 根治は不可だが、(適切な時期に適切な治療を行えば)「長期生存が可能な不死の慢性感染症」として捉えられている

*近年用いられている第4世代検査キットは抗原および抗体を検査するため、2〜3週間程度で検出可能。いずれにせよ7日では検出できない

関連問題

選択問題28:解答 3

梅毒の治療効果判定に用いられるのはRPR法→3

TPHA法は定量値が治療により必ずしも低値とならないため、治癒判定には用いない

梅毒検査については下記も参照

220502-STS-TPHA
梅毒 血清学的検査法の比較 STS法 TPHA法(TPLA法)

続きを見る

  • 1. クオンティフェロンTB-3G:結核感染のスクリーニングに用いられるIGRA(インターフェロンγ遊離試験)の一つ
  • 2. TPHA法:生物学的偽陽性がなく確定診断に向く。また近年用いられるTPLA法RPR法より早期に陽転化する場合がある
  • 3. RPR(STS)法:抗体価が病勢をよく反映するため、治療効果指標に用いる
  • 4. パーカーインク法:梅毒の粘膜疹で鏡検を行う際に用いる方法
  • 5. PCR法:梅毒の滲出液などから行われ、微量なものを増幅するのに向く。梅毒そのものの量が減少している神経梅毒や先天性梅毒の診断、活動性の判定に有効
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p559(2・3・4)/547(1)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p961(2・3・4・ 5)/869(5)

選択問題29:解答 1, 2

nail fold bleedingは強皮症や皮膚筋炎で見られる→1, 2

爪上皮出血点 (nail fold bleeding:NFB)

主に膠原病で見られ、微小血管の血管炎を反映した所見とされるため早期診断に有用

具体的疾患は下記

疾患 頻度
全身性強皮症 70〜80%
混合性結合組織病 70〜80%
皮膚筋炎 30%
SLE 10%

第4指>3・5指>1指の順に多い

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p27・61
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p786/404(1)/413(2)

関連2013 選択65 (lcSScではNFBが多い)

選択問題30:解答 4

鼻出血をきたし、鼻腔では出血性壊死性肉芽腫性炎症がみられる。皮膚では下腿に紅斑が多発しており、組織では血管周囲のフィブリノイド壊死がみられる

多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症, GPA)の診断→4

  • 1. 皮膚白血球破砕性血管炎:小血管の血管炎で血管周囲に核破壊を伴う好中球浸潤(leukocytoclastic vasculitis)が見られるが、皮膚病変のみで臓器病変を伴わない
  • 2. 顕微鏡的多発血管炎:ANCA関連血管炎(MPO-ANCA陽性)で、腎炎や肺胞出血を伴う。組織では肉芽腫に乏しい血管炎がみられる
  • 3. IgA血管炎*:IgA免疫複合体が真皮上層の血管壁に沈着し、関節痛や腹痛(十二指腸に好発)、腎炎を伴う。HE染色上は1と類似
  • 4. 多発血管炎性肉芽腫症*:E(ear 鼻や上気道)→L(lung 肺)→K(kidney 腎)の順に症状をきたす血管炎。組織学的に血管炎+肉芽腫形成が特徴。PR3-ANCAが陽性で、病勢を反映する
  • 5. NK/T細胞リンパ腫:鼻咽頭領域に好発するリンパ腫で、EBウイルスと関連する。組織学的にCD56陽性細胞が増殖する

*IgA血管炎 = ヘノッホ・シェーンライン紫斑病, 多発血管炎性肉芽腫症 = Wegener症候群

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p171(4)/163(1)/169(2)/165(3)/476(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p219(4)/215(1)/216(2)/212(3)/718(5)

選択問題31:解答 2, 5

植皮術の分層/全層の違いを問う問題

分層は薄いため生着しやすく、また広範囲の病変に向く→2, 5

全層植皮 分層植皮 比較

全層植皮 分層植皮
部位 表皮〜真皮全層
(厚い)
表皮〜真皮中層
(薄い)
生着率 低い 高い
整容面*・機能面 優れる 劣る
採皮部 縫縮する
(→あまり取れない)
そのまま上皮化させる
(→広範囲に採皮可能)
保険点数 高い 低い

*拘縮や色素沈着

分層植皮では採皮した皮膚をメッシュ状にする(網状植皮術)ことで、より広範囲へ植皮することも可能

  • 1. 整容面で優れるのは全層
  • 2. 生着しやすいのは分層
  • 3・4. 術後の触覚や発汗機能回復が早いのは全層(汗腺や神経小体の数が多いため)。例えばパチニ小体は真皮深層から皮下組織にかけて存在し、汗腺分泌部も真皮深層から皮下組織にかけて存在する
  • 5 広範囲の皮膚欠損を被覆できるのは分層

関連問題

選択問題32:解答 1

p200はラミニンγ1に対応する→1

分子量が200kDであるため、このように表記される

  • 1. ラミニンγ1:抗ラミニンγ1類天疱瘡の原因。同疾患は尋常性乾癬を半数で合併する
  • 2. エピプラキン:450kDの分子で、ケラチンなどの中間径フィラメントと結合していると考えられている。自己抗体が生じると、水疱性類天疱瘡類似の表皮下水疱症をきたす
  • 3. α6/β4インテグリン: 粘膜類天疱瘡(MMP)や接合部型表皮水疱症(幽門閉鎖合併)の原因分子。MMPの中でも眼症状が強い
  • 4. Ⅳ型コラーゲン:基底板を構成するコラーゲン
  • 5. BP180 NC16a:17型コラーゲンのうち、通常の水疱性類天疱瘡が反応する領域※

粘膜類天疱瘡ではC末端領域、DPP-4阻害薬関連ではBP180全長に対する自己抗体が生じる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p264(1)/241・259(3)/6(4)/256(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p322(1)/321・329(3)/9(4)/318(5)
  • 選択肢2の参考:自己免疫性水疱症をめぐる臨床的、基礎的問題点 皮膚科の臨床 58巻8号 p1247-1257

関連問題

選択問題33:解答 1

疥癬の既往が関連するのはinfantile acropustulosis→1

infantile acropustulosis (acropustulosis of infancy) 小児肢端膿疱症

小児の手足で再発性の無菌性膿疱が多発する疾患

組織学的には表皮内膿疱で、好中球や好酸球がみらえる

  • 発症年齢:0〜5歳, 平均1歳4ヵ月
  • 周期性あり:42% (14/33例)
  • 疥癬の既往・合併/家族歴:それぞれ21%/45% (7/33例と15/33例)
  • 1. infantile acropustulosis:疥癬に類似することがあり、治療後の発症報告もある
  • 2. infantile papular acrodermatitis(小児丘疹性肢端皮膚炎):Gianotti病の別名。ウイルス(B型肝炎等)感染後に生じる丘疹症
  • 3. acrodermatitis continua of Hallopeau(アロポー稽留性肢端皮膚炎):指趾末端に爪囲炎様の無菌性膿疱と紅斑を反復する疾患。膿疱性乾癬の限局型に分類される
  • 4. transient neonatal pustular melanosis:(新生児一過性膿疱性メラノーシス):出生時より生じる膿疱とその後の色素沈着をきたす。5とも類似
  • 5. toxic erythema of the newborn(新生児中毒性紅斑):正常新生児の半数で生じ紅斑・小膿疱をきたす。出生後環境に対する一過性好酸球反応とされ、数日〜数週間で自然消退する

acroは肢端を意味する接頭語(先端巨大症はacromegaly)

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p267(1)/505(2)/287(3)/145(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p335(1)/810(2)/334(3)/195(5)
  • 参考:Infantile acropustulosisの3例 臨床皮膚科61巻4号 p322-325
  • 選択肢4の参考:一過性新生児膿疱黒皮症 皮膚病診療40巻6号 p563-566

関連問題

  • 2023 選択28 (掌蹠で膿疱をきたす疾患)
  • 2009 選択66 (新生児で好酸球性膿疱をきたす疾患)

選択問題34:解答 4

両側肺門リンパ節腫脹・ぶどう膜炎・ツベルクリン反応陰転化・血清ACE/リゾチーム高値はいずれもサルコイドーシスを示唆する所見

瘢痕浸潤型病変*は膝蓋部に好発し、組織学的に肉芽腫に加えシリカ(ケイ素)などの異物がみられる→4

*外傷後の陳旧性瘢痕の上に、サルコイドーシス特有の類上皮細胞肉芽腫が生じる

  • 1・2. Co コバルト・Ni ニッケル:微量元素でナッツやチョコレート、ココアに含まれ全身性接触皮膚炎の原因となる場合がある
  • 4. Si ケイ素:二酸化ケイ素=シリカであり、瘢痕浸潤病変で異物としてみられる
  • 5. Zn 亜鉛:微量元素の一つで、欠乏により下痢・脱毛や開口部皮膚炎をきたす
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p346(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p511(4)

関連2012 選択42 (瘢痕浸潤型の好発部位)

選択問題35:解答 4

乳児で出生時より紅色局面がみられ、発作性の膨隆や嘔吐・下痢の消化器症状を伴うことから肥満細胞症の診断

発作時には抗ヒスタミン薬内服が基本→4

肥満細胞症 (色素性蕁麻疹)

肥満細胞増殖に関わるc-kit遺伝子の体細胞変異から、腫瘍性増殖をきたす

kitは肥満細胞増殖に必須のstem cell factor(SCF)の受容体。このSCFはメラノサイトの増加やメラニン産生増強にも関与する

→皮疹部は色素沈着をきたす。

2015-Mastocytoma

参考文献より引用

  • 検査:Darier徴候陽性*
  • 組織:トルイジンブルーギムザ染色で異染性を示す肥満細胞がみられる
  • 治療:蕁麻疹に準じた抗ヒスタミン薬内服が基本。乳幼児は成長とともに自然消退することが多い

*皮疹部を擦過することで、肥満細胞からヒスタミンが放出され膨疹をきたす

  • 1. ステロイド外用:併用療法としてODT(密封療法)が行われる
  • 2. ステロイド内服:重症例で行われるが、1stに行うものではない
  • 4. 抗ヒスタミン薬内服:最も標準的な治療
  • 5. 抗菌薬内服:感染性腸炎で行われることがある
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p441
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p698
  • 参考・写真引用:皮膚腫瘍 肥満細胞腫(症), 色素性蕁麻疹 小児科診療78巻11号 p1671-1674
    ※本問と同一の写真

関連問題

選択問題36:解答 2, 5

若年男性の前腕および背部で見られた灰青色斑

組織学的に基底膜部の液状変性やメラノファージがみられ、色素異常性固定紅斑(ashy dermatosis)の診断

色素異常性固定紅斑 (ashy dermatosis)

体幹や四肢で小紅斑から始まり、やがて灰白〜灰青色斑となる

組織学的に表皮真皮境界部での液状変性組織学的色素失調*が特徴

2015-AshyDermatosis

参考文献より引用, 基底層の液状変性や血管周囲リンパ球浸潤・メラノファージ沈着がみられる

同様の液状変性をきたす扁平苔癬の亜型と考えられている

*基底細胞の破壊により放出されたメラニン色素が真皮へ落ち、マクロファージによって貪食されメラノファージとしてみられる現象。摩擦黒皮症でもみられる

  • 1. Ashy dermatosisが別名
  • 2. 遺伝性はなく、原因不明だが金属が関与するという報告がある
  • 3. 扁平苔癬の一型とされる
  • 4. 慢性に経過する色素性バラ疹も本症とほぼ同一の病態
  • 5. 組織学的に基底層の液状変性と苔癬型反応がみられ、組織学的色素失調を伴う。真皮メラノーシスは太田母斑や後天性真皮メラノーシスでみられる

関連問題

選択問題37:解答 1, 5

若年男性で抗生剤やグロブリン製剤に不応の発熱と結節性紅斑様皮疹(図10a)、外陰部潰瘍(図10b)、口腔内アフタ(図10c/d)がみられベーチェット病の診断基準を満たす

また消化管では腸管潰瘍を認める(主要症状4項目中3つ)

  • 1. 皮膚症状の血栓性静脈炎や結節性紅斑は下腿に多くみられる
  • 2. HLA-B51が最多で50%、日本人ではHLA-A26も多く30%が保有する。HLA-B54はバージャー病との関連が報告されている
  • 3. 神経ベーチェット(頭痛やてんかん発作)は15%程度の合併率
  • 4. 腸管ベーチェットは25%程度の合併率で、回盲部潰瘍が特徴的
  • 5. 眼部ベーチェット(ぶどう膜炎)は90%が両側性

神経・腸管・眼部ベーチェット病に対し、生物学的製剤(TNF-α阻害薬)が保険適用となっている

ベーチェット病と生物学的製剤

一般名 製品名
眼病変(ぶどう膜炎) インフリキシマブ レミケード®
アダリムマブ ヒュミラ®
腸管型 インフリキシマブ レミケード®
アダリムマブ ヒュミラ®
神経型・血管型 インフリキシマブ レミケード®
口腔内潰瘍 アプレミラスト* オテズラ®

*これのみPDE4阻害薬、ほかはTNF-α阻害薬

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p174(2)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p198(ALL)

関連問題

選択問題38:解答 3

牛肉アレルギーはセツキシマブと交差反応を生じる→3

マダニとα-Galアレルギー (獣肉・セツキシマブ)

マダニ唾液腺中には糖鎖α-Galが含まれ、咬傷で感作される

感作成立後に下記のα-Galないしそれと交差するものに曝露されると、アレルギー反応をきたす

  • 獣肉(四本脚の哺乳類*):・豚・ヒツジなど
  • 抗EGFR抗体:セツキシマブ
  • カレイ魚卵

*鶏は含まれない

獣肉の場合、摂取直後ではなく3時間以上経過してからと遅発型アナフィラキシーの形を取る

血液型がAB型/B型だとα-Galをもともと持っており、感作が成立しづらい

  • 1. アダリムマブ(ヒュミラ®):TNF-α抗体製剤で、皮膚科では乾癬・壊疽性膿皮症・化膿性汗腺炎に保険適用
  • 2. ウステキヌマブ(ステラーラ®):IL-12/23p40抗体製剤で、尋常性/関節症性乾癬と炎症性腸疾患に保険適用
  • 3. セツキシマブ(アービタックス®):抗EGFR抗体製剤で、頭頸部癌や大腸癌に保険適用
  • 4. ニボルマブ(オプジーボ®):抗PD-1抗体製剤で、皮膚科では悪性黒色腫に保険適用
  • 5. モガムリズマブ(ポテリジオ®):抗CCR4抗体製剤で、成人T細胞白血病/リンパ腫等に保険適用

関連問題

選択問題39:解答 4

エルロチニブによる副作用で最も早期に出現するのはざ瘡様皮疹→4

エルロチニブ(タルセバ®) 副作用

EGFR阻害薬であり、下記のような副作用がある
(非小細胞肺癌9,909例の解析)

副作用 投与〜発現までの中央値 範囲
発疹(ざ瘡様皮疹等) 9日 1-508日
そう痒症 10.5日 1-413日
爪囲炎 34日 1-558日
皮膚乾燥 16日 1-453日
皮膚潰瘍 49日 2-313日

よって本文ではざ瘡様皮疹→皮膚そう痒症→皮膚乾燥→爪囲炎の順番となる

なお5. 毛細血管拡張性肉芽腫の副作用は添付文書上記載されていない

関連問題

選択問題40:解答 2, 3, 4

DLSTに関する問題

DLST(drug-induced lymphocyte stimulation test)

採血したリンパ球を培養し、薬剤で刺激してリンパ球増殖に伴うDNA合成量を測定する(チミジンの取り込み量で判定)

主にT細胞の関与する薬疹で原因薬剤の検索に有用

  • 1. 固定薬疹での陽性率は30%と低い(TEN*61%、紅皮症52%)。固定薬疹の診断にはパッチテストが有効で皮疹部のみ陽性となる
  • 2. NSAIDsはプロスタグランジンE2合成阻害作用から、偽陽性となりやすいとされる
  • 3. SJS*では早期から陽性となり、また皮疹軽快後1〜2ヶ月経過するとほとんどの例で陰性化するため早めの施行が必要 
  • 4. 乳酸菌製剤(ビオフェルミン®)も偽陽性となりやすい。培養リンパ球に薬剤を添加すると、増加した乳酸菌がチミジンを取り込むため
  • 5. DIHS*では、初期は陰性だが寛解後(発症4〜6週後)に陽性となり、その1年後にも陽性反応が持続する

*SJS:Stevens-Johnson症候群, TEN:中毒性表皮壊死症, DIHS:薬剤性過敏症症候群

関連問題

選択問題41:解答 4

アレルギーの特定原材料として表示が義務付けられていないのは大豆→4

アレルギー 特定原材料

アレルギーを引き起こす恐れのある食物は表示義務/推奨がある

表示義務/推奨品目はそれぞれ7/21品目あり、合計28品目となる

  • 表示義務:えび, かに, 小麦, そば, 卵, 乳, 落花生(ピーナッツ)
  • 表示推奨:アーモンド*, あわび, いか, いくら, オレンジ, カシューナッツ, キウイフルーツ, 牛肉, くるみ, ごま, さけ, さば, 大豆, 鶏肉, バナナ, 豚肉, まつたけ, もも, やまいも, りんご, ゼラチン

*アーモンドは2019/9に追加

よって本問では、4. 大豆のみが表示推奨品目となる

なおくるみに関してはアレルギーの原因として頻度が上がっていることから、表示推奨→表示義務へ変更された(2023/3)。よって現在は表示義務品目が8品目となる

基本的に食物アレルギーの原因として頻度が高いものが表示義務化されている(小児:卵, 乳, くるみ。成人:えび, かに, 小麦)。そば・落花生(ピーナッツ)は頻度としてはそこまで高くないが、症状が重篤になりやすいため義務化

  • 1・2・3・5. えび・コムギ・そば・卵:表示義務がある
  • 4. 大豆:表示義務はないが、推奨はされている

関連問題

選択問題42:解答 2

20代後半からアトピー性皮膚炎として加療中の女性

発症年齢が比較的遅く、血清IgEが正常値、Dennie-Morgan foldを認めるなどの特徴から内因性アトピー性皮膚炎の診断

内因性アトピー性皮膚炎では、金属アレルギーの関与が大きいとされる→2

内因性アトピー性皮膚炎

通常のアトピー性皮膚炎(AD)は血清IgEが高値で、Th1/Th2バランスがTh2優位となっている(外因性AD)

これに対し、20%を占める内因性ADではTh2細胞の活性化が少なく、血清IgEも正常値

外因性と内因性では下記のような違いがある

外因性 内因性
比率 70〜80% 20〜30%
(患者の70〜80%は女性)
主病態 皮膚バリア機能の低下
(フィラグリン遺伝子変異等)
バリア異常は少ない
金属アレルギーの関与(ニッケル・コバルト)
血清IgE 高値 正常値
臨床像 尋常性魚鱗癬*・手掌の皺亢進 Dennie-Morgan fold
(下眼瞼のシワ)

*FLG遺伝子変異が原因

選択問題43:解答 3

アトピー性皮膚炎に関与する表皮細胞が産生するサイトカインはTSLP→3

アトピー性皮膚炎の痒みや表皮バリア破壊(フィラグリン発現低下)と関連するサイトカインはIL-4/13/31などがある

一方バリア機能が障害されるとケラチノサイトから分泌されるサイトカイン、IL-33やTSLPはTh1/Th2バランスをTh2優位にする

これによって下記のような負のスパイラルに陥る

  1. Th2細胞優位
  2. Th2細胞から分泌されるサイトカインが掻痒・掻爬を引き起こす
  3. 皮膚バリアがさらに悪化
分泌細胞 サイトカインの種類 作用
Th2細胞 IL-4, IL-13 フィラグリン発現低下
掻痒感
好酸球遊走(IL-4のみ)
IL-31 掻痒感
IL-5 好酸球遊走
ケラチノサイト
(角化細胞)
TSLP
IL-33
Th2優位に傾ける

なおIL-4/13/31についてはそれぞれアトピー性皮膚炎における生物学的製剤の治療ターゲットとなっている

ターゲット 一般名 商品名
IL-4, IL-13 デュピルマブ デュピクセント®
IL-13 トラロキヌマブ アドトラーザ®
レブリキズマブ
IL-31 ネモリズマブ ミチーガ®

関連問題

Th2細胞から分泌されるサイトカインに関する問題は下記を参照

230109-atopicdermatitis-biologics-jakinhibitor
アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について

続きを見る

選択問題44:解答 3

アレルギーマーチと関連する疾患を問う問題

最も遅く発症するのは鼻炎→3

アレルギーマーチ

アレルギーになりやすい子どもが成長につれて、様々なアレルギー疾患を発症すること

  1. 乳児期〜:食物アレルギー・アトピー性皮膚炎
  2. 幼児期(3歳)〜:気管支喘息
  3. 学童期〜:アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎

上記のなかで、マーチへ到らず自然軽快する例も多い

そのまま持続すると、成人型気管支喘息へ移行することもある

なお選択肢5. 膿痂疹はアレルギーマーチに含まれない

選択問題45:解答 2

加水分解コムギ含有化粧品によるアレルギーでは、プリックテストが診断に有用→2

加水分解コムギ含有化粧品によるアレルギー

加水分解コムギ含有化粧品(旧茶のしずく石鹸®)を使用することで、含有されているグルパール®19Sに経皮感作

→小麦経口摂取時に、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)を発症

検査では加水分解小麦を用いたプリックテストが有効

通常の小麦によるFDEIAと比較して下記のような違いがある

FDEIA 通常型 加水分解小麦型
症状 蕁麻疹(全身の膨疹) 血管浮腫(眼瞼浮腫)
アナフィラキシーショック しばしば 起こりえる
小麦特異的IgE陽性率 44% 70%
ω-5グリアジン特異的IgE*陽性率 82% 10%
加水分解小麦によるプリックテスト 陰性 陽性

*アレルゲンコンポーネントの一つで、通常の小麦アレルギーでは小麦特異的IgEより陽性率が高い

  • 1. パッチテスト:接触皮膚炎の診断に有用
  • 2. プリックテスト:加水分解コムギ含有化粧品によるアレルギーの診断に有用
  • 3・5. 運動負荷試験・ω-5グリアジン特異的IgE検査:通常型のFDEIA診断に有用
  • 4. 薬剤リンパ球刺激試験(DLST):薬疹の診断に有用

関連問題

選択問題46:解答 3

頚部でオレンジ色の丘疹が集簇して見られ、組織学的に弾性線維の変性やカルシウム沈着(コッサ染色で染まる)が見られることから弾性線維性仮性黄色腫(PXE)の診断

病態はわかっていない→3

弾性線維性仮性黄色腫 (PXE)

ABCC6遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患で、弾性線維の変性と石灰沈着をきたす

皮膚に加えて、眼や血管病変が特徴

  • 皮膚:頚部や腋窩に黄〜オレンジ色の小丘疹が集簇してみられ、加齢とともに皮膚のシワが目立つようになる
  • 眼:網膜-脈絡膜間に存在するBruch膜変化による網膜血管線条
  • 血管病変(心・脳・消化管):動脈の中弾性板変化
230413-pseudoxanthoma-elastica
弾性線維性仮性黄色腫 まとめ

続きを見る

*PXE以外にMarfan症候群やEhlers-Danlos症候群など

選択肢2について。Grönblad-Strandberg症候群は主に眼科領域で用いられる表現で、網膜血管線条に皮膚症状を伴うものを呼ぶ(眼が主体)。つまり「眼症状と心血管系症状の合併を~」という選択肢2の文章は間違い(→正解選択肢)となってしまう。

ただPXEの病態はわかっておらず、これを差し置いて正解選択肢となるとは考えづらいため、本問では選択肢3が相対的に正解選択肢と考えた。

関連:PXEは頻出, 関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題47:解答 1

魚鱗癬症候群に含まれる疾患を問う問題

Waardenburg症候群は色素異常症であり、魚鱗癬症候群ではない→1

魚鱗癬症候群は魚鱗癬の皮膚症状に、他臓器症状を伴う遺伝性疾患

魚鱗癬症候群には上記以外にNetherton症候群(SPINK5遺伝子), Dorfman-Chanarin症候群(ABHD5遺伝子)などがある

*AD:常染色体優性遺伝疾患, AR:常染色体劣性遺伝疾患

PAX3, MITF, SOX10などで原因遺伝子と症状により4型に亜分類される

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p306(1)/276(2)/275(3)/275(4)/276(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p542(1)/349(2・4)/351(3)/350(5)

関連問題

選択問題48:解答 5

悪性黒色腫の一部でBRAF遺伝子変異(V600Eなど)がみられる→5

下流に存在するMEKと併せて、BRAF/MEK阻害薬として治療に利用される。詳細は下記

BRAF-MEK-inhibitor
BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】

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その他選択肢は下記

  • 1. NOTCH:有棘細胞癌において高頻度に遺伝子変異が報告されている
  • 2. p16(CDKN2A):癌抑制遺伝子の一つで、家族性悪性黒色腫の原因遺伝子となる
  • 3. WNT:Wntシグナル伝達経路を構成する遺伝子の一つで、悪性黒色腫の原因となることがある
  • 4. TP53:癌抑制蛋白p53をコードし、慢性的な紫外線ダメージが原因で変異が生じる。有棘細胞癌において頻度が高く、悪性黒色腫でも慢性的な光線暴露がある部位(hig-CSD≒悪性黒子型)で変異がみられる
  • 5. BRAF:悪性黒色腫、とくに紫外線暴露の少ないlow-CSD≒表在拡大型で多く見られる遺伝子変異

関連:BRAFに関する関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題49:解答 1

女児で下記

  • a 顔面血管線維腫:外用mTOR阻害薬ラパリムス®ゲルが保険適用
  • b 葉状白斑
  • c 粒起革様皮膚 (シャグリンパッチ):結合織母斑の一つ
  • d 爪囲線維腫 (Koenen腫瘍)
  • e 歯エナメル質の多発性小腔

の症状から、結節性硬化症の診断基準を満たす。常染色体優性遺伝形式を取る→1

  • 1. 常染色体優性遺伝形式をとるが、孤発例も多い(2/3)。本症例も家族歴がない
  • 2. TSC1/TSC2複合体として働き、mTORシグナル経路を抑制する。ハマルチンはTSC1遺伝子の、チュベリンはTSC2遺伝子の蛋白産物
  • 3. b 葉状白斑は乳幼児期からみられ、早期診断に有用。d 爪囲線維腫は思春期以降に好発する
  • 4. 診断基準でe 歯エナメル質の多発性小腔のみ小症状で、他4つ(a〜d)は大症状
  • 5. 70%で腎血管脂肪腫や腎嚢腫がみられ、内服mTOR阻害薬エベロリムスが保険適用となっている

関連問題(結節性硬化症)

選択問題50:解答 3

乳児の女児で出生児から見られる皮疹。Blaschko線に沿った水疱形成で、組織学的には好酸球浸潤を伴う表皮内水疱がみられる

色素失調症の診断で、原因遺伝子はNEMO→3

色素失調症 (Bloch-Sulzberger症候群)

NEMO遺伝子変異によるX染色体優性遺伝疾患(→男児は胎生致死のため95%は女児)

Blaschko線に沿って、水疱→丘疹・疣贅→色素沈着→色素脱失という特徴的経過の皮疹が生じる

  1. 水疱期:出生時〜, 水疱が多発し、組織学的に表皮内水疱と好酸球浸潤が見られる
  2. 疣状期:数週〜数ヶ月, 過角化を伴う疣贅状丘疹が多発
  3. 色素沈着期:生後6ヶ月〜, 渦巻き状の色素沈着がみられる
  4. 色素消退期:4・5歳ごろ〜, 色素斑が消退し、約半数で脱色素性瘢痕を残す

皮膚症状以外に眼症状(30%, 網膜剥離など)や精神発達遅滞も合併する

230103-incontinentia-pigmenti
色素失調症 (Bloch-Sulzberger症候群) まとめ

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*AD:常染色体優性遺伝疾患, AR:常染色体劣性遺伝疾患

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p398(3)/273(1)/411(2)/279(4)/403(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p588(3)/345(1)/587(2)/356(4)/586(5)

関連:色素失調症は頻出, 関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題51〜75は下記

2015-Specialist-3
平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

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