皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50

2015-Specialist-2

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成27(2015)年度解答解説を作成しました

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選択問題1〜25は下記

2015-Specialist-1
平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜25

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見出し

平成27年度(2015年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 26〜50

選択問題26:解答 5

選択問題26

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について正しいのはどれか.

  1. 北海道に多い.
  2. 致命率は約80%である.
  3. リケッチア感染症である.
  4. 秋から春にかけて発生しやすい.
  5. マダニ媒介性である.

SFTSはマダニが媒介するウイルス感染症→5

重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)

マダニが媒介するSFTSウイルスによって生じる感染症

1〜2週間の潜伏期間を経て、腹痛・嘔吐・下痢などの胃腸症状と血小板および白血球減少、肝機能障害をきたす。皮疹は稀

関連問題

選択問題27:解答 1, 2

選択問題27

HIV/AIDSについて正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. ランゲルハンス細胞に感染して生体内に侵入する.
  2. ケモカイン受容体を介して細胞に感染する.
  3. 感染後約7日でスクリーニング検査が陽性となる.
  4. CD4数が低い患者ほど, 梅毒に罹患しやすい.
  5. 多剤併用療法により根治可能である.

HIV感染の初期段階ではLangerhans細胞およびケモカイン受容体が重要→1, 2

  • 1. まずランゲルハンス細胞に感染し、それを足がかりとして生体内へ侵入する
  • 2. CD4発現細胞に感染する際、コレセプターであるCCR5やCXCR4が必要。治療薬にCCR5阻害薬マラビラクがある
  • 3. 抗体を検出するスクリーニング検査では、感染後6〜8週が必要(window period)*
  • 4. 梅毒の感染とCD4数に相関関係はなく、CD4数が高値でも梅毒に罹患する
  • 5. 根治は不可だが、(適切な時期に適切な治療を行えば)「長期生存が可能な不死の慢性感染症」として捉えられている

*近年用いられている第4世代検査キットは抗原および抗体を検査するため、2〜3週間程度で検出可能。いずれにせよ7日では検出できない

関連問題

選択問題28:解答 3

選択問題28

梅毒の治療効果判定に最も有用な検査法はどれか.

  1. クオンティフェロン TB-3G
  2. TPHA法
  3. RPR法
  4. パーカーインク法
  5. PCR法

梅毒の治療効果判定に用いられるのはRPR法→3

TPHA法は定量値が治療により必ずしも低値とならないため、治癒判定には用いない

梅毒検査については下記も参照

220502-STS-TPHA
梅毒 血清学的検査法の比較 STS法 TPHA法(TPLA法)

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  • 1. クオンティフェロンTB-3G:結核感染のスクリーニングに用いられるIGRA(インターフェロンγ遊離試験)の一つ
  • 2. TPHA法:生物学的偽陽性がなく確定診断に向く。また近年用いられるTPLA法RPR法より早期に陽転化する場合がある
  • 3. RPR(STS)法:抗体価が病勢をよく反映するため、治療効果指標に用いる
  • 4. パーカーインク法:梅毒の粘膜疹で鏡検を行う際に用いる方法
  • 5. PCR法:梅毒の滲出液などから行われ、微量なものを増幅するのに向く。梅毒そのものの量が減少している神経梅毒や先天性梅毒の診断、活動性の判定に有効
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p559(2・3・4)/547(1)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p961(2・3・4・ 5)/869(5)

選択問題29:解答 1, 2

選択問題29

次の中でいわゆるnail fold bleedingが見出される頻度が高いものはどれか. 2つ選べ.

  1. 強皮症
  2. 皮膚筋炎
  3. SLE
  4. 抗リン脂質抗体症候群
  5. 原発性レイノー病

nail fold bleedingは強皮症や皮膚筋炎で見られる→1, 2

爪上皮出血点 (nail fold bleeding:NFB)

主に膠原病で見られ、微小血管の血管炎を反映した所見とされるため早期診断に有用

具体的疾患は下記

疾患 頻度
全身性強皮症 70〜80%
混合性結合組織病 70〜80%
皮膚筋炎 30%
SLE 10%

第4指>3・5指>1指の順に多い

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p27・61
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p786/404(1)/413(2)

選択問題30:解答 4

選択問題30

22歳の男性. 2か月前より鼻出血を繰り返し, 鼻腔の病理所見では出血性壊死性肉芽腫性炎症であり, 図6aの皮疹で来院, 図6bは生検像である. 最も考えられる疾患はどれか.

  1. 皮膚白血球破砕性血管炎
  2. 顕微鏡的多発血管炎
  3. IgA血管炎
  4. 多発血管炎性肉芽腫症 (Wegener肉芽腫症)
  5. NK/T細胞リンパ腫

鼻出血をきたし、生検像で血管周囲のフィブリノイド壊死がみられる

多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症, GPA)の診断→4

  • 1. 皮膚白血球破砕性血管炎:小血管の血管炎で血管周囲に核破壊を伴う好中球浸潤(leukocytoclastic vasculitis)が見られるが、皮膚病変のみで臓器病変を伴わない
  • 2. 顕微鏡的多発血管炎:ANCA関連血管炎(MPO-ANCA陽性)で、腎炎や肺胞出血を伴う。組織では肉芽腫に乏しい血管炎がみられる
  • 3. IgA血管炎*:IgA免疫複合体が真皮上層の血管壁に沈着し、関節痛や腹痛(十二指腸に好発)、腎炎を伴う。HE染色上は1と類似
  • 4. 多発血管炎性肉芽腫症*:E(ear 鼻や上気道)→L(lung 肺)→K(kidney 腎)の順に症状をきたす血管炎。組織学的に血管炎+肉芽腫形成が特徴。PR3-ANCAが陽性で、病勢を反映する
  • 5. NK/T細胞リンパ腫:鼻咽頭領域に好発するリンパ腫で、EBウイルスと関連する。組織学的にCD56陽性細胞が増殖する

*IgA血管炎 = ヘノッホ・シェーンライン紫斑病, 多発血管炎性肉芽腫症 = Wegener症候群

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p171(4)/163(1)/169(2)/165(3)/476(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p219(4)/215(1)/216(2)/212(3)/718(5)

選択問題31:解答 2, 5

選択問題31

分層植皮術の利点はどれか. 2つ選べ.

  1. 整容的に優れる.
  2. 生着しやすい.
  3. 術後の触覚の回復が早い.
  4. 術後の発汗機能の回復が早い.
  5. 広範囲の皮膚欠損を被覆できる.

分層植皮術は薄いため生着しやすく、また広範囲の病変に向く→2, 5

全層植皮 分層植皮 比較

全層植皮 分層植皮
部位 表皮〜真皮全層
(厚い)
表皮〜真皮中層
(薄い)
生着率 低い 高い
整容面*・機能面 優れる 劣る
採皮部 縫縮する
(→あまり取れない)
そのまま上皮化させる
(→広範囲に採皮可能)
保険点数 高い 低い

*拘縮や色素沈着

分層植皮では採皮した皮膚をメッシュ状にする(網状植皮術)ことで、より広範囲へ植皮することも可能

  • 1. 整容面で優れるのは全層
  • 2. 生着しやすいのは分層
  • 3・4. 術後の触覚や発汗機能回復が早いのは全層(汗腺や神経小体の数が多いため)。例えばパチニ小体は真皮深層から皮下組織にかけて存在し、汗腺分泌部も真皮深層から皮下組織にかけて存在する
  • 5 広範囲の皮膚欠損を被覆できるのは分層

関連問題

  • 2020 選択97 / 2017 選択90 (全層/分層植皮の保険点数)
  • 2012 選択38 (全層植皮の特徴・採皮法など)
  • 2011 選択42 / 2010 選択30 (全層/分層植皮の特徴)

選択問題32:解答 1

選択問題32

抗p200類天疱瘡の血清が反応する分子はどれか.

  1. laminin-γ1
  2. epiplakin
  3. α6β4 integrin
  4. Ⅳ型コラーゲン
  5. BP180 NC16aドメイン

p200はラミニンγ1に対応する→1

分子量が200kDであるため、このように表記される

  • 1. ラミニンγ1:抗ラミニンγ1類天疱瘡の原因。同疾患は尋常性乾癬を半数で合併する
  • 2. エピプラキン:450kDの分子で、ケラチンなどの中間径フィラメントと結合していると考えられている。自己抗体が生じると、水疱性類天疱瘡類似の表皮下水疱症をきたす
  • 3. α6/β4インテグリン: 粘膜類天疱瘡(MMP)や接合部型表皮水疱症(幽門閉鎖合併)の原因分子。MMPの中でも眼症状が強い
  • 4. Ⅳ型コラーゲン:基底板を構成するコラーゲン
  • 5. BP180 NC16a:17型コラーゲンのうち、通常の水疱性類天疱瘡が反応する領域※

粘膜類天疱瘡ではC末端領域、DPP-4阻害薬関連ではBP180全長に対する自己抗体が生じる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p264(1)/241・259(3)/6(4)/256(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p322(1)/321・329(3)/9(4)/318(5)
  • 選択肢2の参考:自己免疫性水疱症をめぐる臨床的、基礎的問題点 皮膚科の臨床 58巻8号 p1247-1257

選択問題33:解答 1

選択問題33

疥癬の既往が病因として示唆されている疾患はどれか.

  1. infantile acropustulosis
  2. infantile papular acrodermatitis
  3. acrodermatitis continua of Hallopeau
  4. transient neonatal pustular melanosis
  5. toxic erythema of newborn

疥癬の既往が関連するのはinfantile acropustulosis→1

infantile acropustulosis (acropustulosis of infancy)

小児の手足で再発性の無菌性膿疱が多発する疾患

組織学的には表皮内膿疱で、好中球や好酸球がみらえる

  • 発症年齢:0〜5歳, 平均1歳4ヵ月
  • 周期性あり:42% (14/33例)
  • 疥癬の既往・合併/家族歴:それぞれ21%/45% (7/33例と15/33例)
  • 1. infantile acropustulosis:疥癬に類似することがあり、治療後の発症報告もある
  • 2. infantile papular acrodermatitis(小児丘疹性肢端皮膚炎):Gianotti病の別名。ウイルス(B型肝炎等)感染後に生じる丘疹症
  • 3. acrodermatitis continua of Hallopeau(アロポー稽留性肢端皮膚炎):指趾末端に爪囲炎様の無菌性膿疱と紅斑を反復する疾患。膿疱性乾癬の限局型に分類される
  • 4. transient neonatal pustular melanosis:(新生児一過性膿疱性メラノーシス):出生時より生じる膿疱とその後の色素沈着をきたす。5とも類似
  • 5. toxic erythema of the newborn(新生児中毒性紅斑):正常新生児の半数で生じ紅斑・小膿疱をきたす。出生後環境に対する一過性好酸球反応とされ、数日〜数週間で自然消退する
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p267(1)/505(2)/287(3)/145(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p335(1)/810(2)/334(3)/195(5)
  • 参考:Infantile acropustulosisの3例 臨床皮膚科61巻4号 p322-325
  • 選択肢4の参考:一過性新生児膿疱黒皮症 皮膚病診療40巻6号 p563-566

選択問題34:解答 4

選択問題34

69歳の女性. 両側肺門リンパ節腫脹があり, ぶどう膜炎にて治療中である. ツベルクリン反応は陰性で, 血清アンジオテンシンⅡ転換酵素とリゾチームが高値である. 膝蓋の皮疹(図7a)を生検した. 図7bの矢印に示す物質で頻度の高いのはどれか.

  1. Co
  2. Ni
  3. Mn
  4. Si
  5. Zn

両側肺門リンパ節腫脹とツベルクリン反応陰転化、血清ACE・リゾチーム高値はいずれもサルコイドーシスを示唆する所見

瘢痕浸潤型病変*は膝蓋部に好発し、組織学的に肉芽腫に加えシリカ(ケイ素)などの異物がみられる→4

*外傷後の陳旧性瘢痕の上に、サルコイドーシス特有の類上皮細胞肉芽腫が生じる

  • 1・2. Co コバルト・Ni ニッケル:微量元素でナッツやチョコレート、ココアに含まれ全身性接触皮膚炎の原因となる場合がある
  • 4. Si ケイ素:二酸化ケイ素=シリカであり、瘢痕浸潤病変で異物としてみられる
  • 5. Zn 亜鉛:微量元素の一つで、欠乏により下痢・脱毛や開口部皮膚炎をきたす
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p346(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p511(4)

関連:2012 選択42 (瘢痕浸潤型の好発部位)

選択問題35:解答 4

選択問題35

生後1ヵ月の女児. 出生時より, 全身に図8のような赤褐色調の浸潤をふれる局面が大小多数みとめられた. 時々, 赤みを増して膨らむ事があった. その際, 同時に全身の皮膚が潮紅し, 嘔吐・下痢の消化器症状を伴った. このような発作時に行うべき適切な治療法はどれか.

  1. ステロイド外用
  2. ステロイド内服
  3. 整腸剤内服
  4. 抗ヒスタミン薬内服
  5. 抗菌薬内服

出生時より紅色局面がみられ、発作性の膨隆や消化器症状を伴うことから肥満細胞症の診断

発作時には抗ヒスタミン薬内服が基本→4

肥満細胞症 (色素性蕁麻疹)

肥満細胞増殖に関わるc-kit遺伝子の体細胞変異から、腫瘍性増殖をきたす

kitは肥満細胞増殖に必須のstem cell factor(SCF)の受容体。このSCFはメラノサイトの増加やメラニン産生増強にも関与する

→皮疹部は色素沈着をきたす。

2015-Mastocytoma

参考文献より引用

  • 検査:Darier徴候陽性*
  • 組織:トルイジンブルーギムザ染色で異染性を示す肥満細胞がみられる
  • 治療:蕁麻疹に準じた抗ヒスタミン薬内服が基本。乳幼児は成長とともに自然消退することが多い

*皮疹部を擦過することで、肥満細胞からヒスタミンが放出され膨疹をきたす

  • 1. ステロイド外用:併用療法としてODT(密封療法)が行われる
  • 2. ステロイド内服:重症例で行われるが、1stに行うものではない
  • 4. 抗ヒスタミン薬内服:最も標準的な治療
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p441
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p698
  • 参考・写真引用:皮膚腫瘍 肥満細胞腫(症), 色素性蕁麻疹 小児科診療78巻11号 p1671-1674
    ※本問と同一の写真

関連2020 選択11 (肥満細胞の特徴), 2016 選択65 (皮膚肥満細胞症でみられる遺伝子変異), 2010 選択53 (肥満細胞症の診断に有用な染色)

選択問題36:解答 2, 5

選択問題36

14歳の男性. 初診の4ヶ月ほど前に右前腕の灰青色斑に気づいた(図9a〜b). その数日後に背部にも同様の皮疹に気づくも自覚症状がないため放置していたが, 徐々に増加してきたため当科を受診した. 病理では図9c〜dの所見であった. 誤っているものはどれか. 2つ選べ.

  1. Ashy dermatosisとも呼ばれる.
  2. 常染色体優性遺伝である.
  3. 扁平苔癬の一型との考えが強い.
  4. 慢性に経過する色素性バラ疹も本症とほぼ同じ病態である.
  5. 組織学的に真皮メラノーシスの所見を呈する.

前腕および背部で灰青色斑があり、組織学的に基底膜部の液状変性やメラノファージがみられる

色素異常性固定紅斑(ashy dermatosis)の診断

色素異常性固定紅斑 (ashy dermatosis)

体幹や四肢で小紅斑から始まり、やがて灰白〜灰青色斑となる

組織学的に表皮真皮境界部での液状変性組織学的色素失調*が特徴

2015-AshyDermatosis

参考文献より引用, 基底層の液状変性や血管周囲リンパ球浸潤・メラノファージ沈着がみられる

同様の液状変性をきたす扁平苔癬の亜型と考えられている

*基底細胞の破壊により放出されたメラニン色素が真皮へ落ち、マクロファージによって貪食されメラノファージとしてみられる現象

  • 1. Ashy dermatotisが別名
  • 2. 遺伝性はなく、原因不明だが金属が関与するという報告がある
  • 3. 扁平苔癬の一型とされる
  • 4. 慢性に経過する色素性バラ疹も本症とほぼ同一の病態
  • 5. 組織学的に基底層の液状変性と苔癬型反応がみられ、組織学的色素失調を伴う。真皮メラノーシスは太田母斑や後天性真皮メラノーシスでみられる

選択問題37:解答 1, 5

選択問題37

31歳の男性. 突然誘因無く38℃台の発熱が出現した. 近医内科に入院し抗生剤, グロブリン製剤などの治療を受けるも不変のため当院へ転院した. 同時期より皮膚(図10a〜b)および口腔内症状(図10c〜d)が出現したため当科を受診した. また, 下血があり, 消化管精査で図11の所見であった. 正しいものはどれか. 2つ選べ.

  1. 血栓性静脈炎は下腿に多くみられる.
  2. HLA-B54の保有率が最も高い.
  3. 頭痛やてんかん発作などの神経症状は約半数の患者に認める.
  4. 消化器症状の合併は約半数の患者に認める.
  5. 眼症状のぶどう膜炎の大部分は両側性である.

発熱と結節性紅斑様皮疹(図10a)、外陰部潰瘍(図10b)、口腔内アフタ(図10c/d)がみられベーチェット病の診断基準を満たす。図11では腸管潰瘍を認める
(主要症状4項目中3つ)

  • 1. 皮膚症状の血栓性静脈炎や結節性紅斑は下腿に多くみられる
  • 2. HLA-B51が最多で50%、日本人ではHLA-A26も多く30%が保有する。HLA-B54はバージャー病との関連が報告されている
  • 3. 神経ベーチェットは15%程度の合併率
  • 4. 腸管ベーチェットは25%程度の合併率で、回盲部潰瘍が特徴的
  • 5. 眼部ベーチェットは90%が両側性

神経・腸管・眼部ベーチェット病に対し、生物学的製剤(TNF-α阻害薬)が保険適用となっている

ベーチェット病と生物学的製剤

一般名 製品名
眼病変(ぶどう膜炎) インフリキシマブ レミケード®
アダリムマブ ヒュミラ®
腸管型 インフリキシマブ レミケード®
アダリムマブ ヒュミラ®
神経型・血管型 インフリキシマブ レミケード®
口腔内潰瘍 アプレミラスト* オテズラ®

*これのみPDE4阻害薬、ほかはTNF-α阻害薬

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p174(2)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p198(ALL)

関連問題

選択問題38:解答 3

選択問題38

投与前に牛肉アレルギーの有無を聴取したほうがよい薬剤はどれか.

  1. アダリムマブ
  2. ウステキヌマブ
  3. セツキシマブ
  4. ニボルマブ
  5. モガムリズマブ

牛肉アレルギーはセツキシマブと交差反応を生じる→3

マダニとα-Galアレルギー (獣肉・セツキシマブ)

マダニ唾液腺中には糖鎖α-Galが含まれ、咬傷で感作される

感作成立後に下記のα-Galないしそれと交差するものに曝露されると、アレルギー反応をきたす

  • 獣肉(四本脚の哺乳類*):・豚・ヒツジなど
  • 抗EGFR抗体:セツキシマブ
  • カレイ魚卵

*鶏は含まれない

獣肉の場合、摂取直後ではなく3時間以上経過してからと遅発型アナフィラキシーの形を取る

血液型がAB型/B型だとα-Galをもともと持っており、感作が成立しづらい

  • 1. アダリムマブ(ヒュミラ®):TNF-α抗体製剤で、皮膚科では乾癬・壊疽性膿皮症・化膿性汗腺炎に保険適用
  • 2. ウステキヌマブ(ステラーラ®):IL-12/23p40抗体製剤で、尋常性/関節症性乾癬と炎症性腸疾患に保険適用
  • 3. セツキシマブ(アービタックス®):抗EGFR抗体製剤で、頭頸部癌や大腸癌に保険適用
  • 4. ニボルマブ(オプジーボ®):抗PD-1抗体製剤で、皮膚科では悪性黒色腫に保険適用
  • 5. モガムリズマブ(ポテリジオ®):抗CCR4抗体製剤で、成人T細胞白血病/リンパ腫等に保険適用

関連2018 選択33(α-Galアレルギーをきたす物質), 2019 選択45(マダニ刺症で注意するアレルギー)

選択問題39:解答 4

選択問題39

エルロチニブによる副作用のうち最も出現時期が早いと考えられているものはどれか.

  1. 爪囲炎
  2. 皮膚乾燥
  3. 皮膚掻痒症
  4. 痤瘡様皮疹
  5. 爪囲の毛細血管拡張性肉芽腫

エルロチニブによる副作用で最も早期に出現するのはざ瘡様皮疹→4

エルロチニブ(タルセバ®) 副作用

EGFR阻害薬であり、下記のような副作用がある
(非小細胞肺癌9,909例の解析)

副作用 投与〜発現までの中央値 範囲
発疹(ざ瘡様皮疹等) 9日 1-508日
そう痒症 10.5日 1-413日
爪囲炎 34日 1-558日
皮膚乾燥 16日 1-453日
皮膚潰瘍 49日 2-313日

よって本文では4>3>2>1の順番となる

なお5. 毛細血管拡張性肉芽腫の副作用は添付文書上記載されていない

関連問題

選択問題40:解答 2, 3, 4

選択問題40

DLSTについて正しいものはどれか. 3つ選べ.

  1. 固定薬疹では陽性を示しやすい.
  2. NSAIDsでは偽陽性になりやすい.
  3. スティーブンス・ジョンソン症候群では発症後早期に行う方が良い.
  4. 乳酸菌製剤では偽陽性になりやすい.
  5. DIHSでは6週を過ぎると陰転化しやすい.

DLST(drug-induced lymphocyte stimulation test)

採血したリンパ球を培養し、薬剤で刺激してリンパ球増殖に伴うDNA合成量を測定する(チミジンの取り込み量で判定)

主にT細胞の関与する薬疹で原因薬剤の検索に有用

  • 1. 固定薬疹での陽性率は30%と低い(TEN*61%、紅皮症52%)。固定薬疹の診断にはパッチテストが有効で皮疹部のみ陽性となる
  • 2. NSAIDsはプロスタグランジンE2合成阻害作用から、偽陽性となりやすいとされる
  • 3. 早期から陽性となり、また皮疹軽快後1〜2ヶ月経過するとほとんどの例で陰性化するため早めの施行が必要 
  • 4. 乳酸菌製剤(ビオフェルミン®)も偽陽性となりやすい。培養リンパ球に薬剤を添加すると、増加した乳酸菌がチミジンを取り込むため
  • 5. DIHS*では、初期は陰性だが寛解後(発症4〜6週後)に陽性となり、その1年後にも陽性反応が持続する

*TEN:中毒性表皮壊死症, DIHS:薬剤性過敏症症候群

関連問題

選択問題41:解答 4

選択問題41

アレルギーの特定原材料として内閣府令で表示を義務付けられている品目でないのはどれか.

  1. えび
  2. 小麦
  3. そば
  4. 大豆

特定原材料として表示が義務付けられていないのは大豆→4

アレルギー 特定原材料

アレルギーを引き起こす恐れのある食物は表示義務/推奨がある

表示義務/推奨品目はそれぞれ7/21品目あり、合計28品目となる

  • 表示義務:えび, かに, 小麦, そば, 卵, 乳, 落花生(ピーナッツ)
  • 表示推奨:アーモンド*, あわび, いか, いくら, オレンジ, カシューナッツ, キウイフルーツ, 牛肉, くるみ, ごま, さけ, さば, 大豆, 鶏肉, バナナ, 豚肉, まつたけ, もも, やまいも, りんご, ゼラチン

*アーモンドは2019/9に追加

よって本問では、4. 大豆のみが表示推奨品目となる

なおくるみに関してはアレルギーの原因として頻度が上がっていることから、表示推奨→表示義務へ変更予定

選択問題42:解答 2

選択問題42

30歳の女性. 20歳代半ばから, 体幹, 四肢, 顔面に湿疹を認め, 28歳時より, アトピー性皮膚炎として, 近医に通院している. ステロイド含有軟膏の外用はある程度有効であるが, 湿疹病変が消失することはない. 血液検査にて, 好酸球の増多を認めるが, 血清IgE値は正常. ダニ, ハウスダスト, 花粉などの一般的なアレルゲンに対する特異的IgEも認めない. 顔面に特徴的なDennie-Morgan foldを認める. 本症例の増悪因子の特定において, 最も有用な検査はどれか.

  1. C1インヒビター活性の測定
  2. 金属パッチテスト
  3. 発汗テスト
  4. 最少紅斑量の測定
  5. 針反応

発症年齢が比較的遅く、血清IgEが正常値、Dennie-Morgan foldを認めるなどの特徴から内因性アトピー性皮膚炎の診断

内因性アトピー性皮膚炎では、金属アレルギーの関与が大きいとされる→2

内因性アトピー性皮膚炎

通常のアトピー性皮膚炎(AD)は血清IgEが高値で、Th1/Th2バランスがTh2優位となっている(外因性AD)

これに対し、20%を占める内因性ADではTh2細胞の活性化が少なく、血清IgEも正常値

外因性と内因性では下記のような違いがある

外因性 内因性
比率 70〜80% 20〜30%
(患者の70〜80%は女性)
主病態 皮膚バリア機能の低下
(フィラグリン遺伝子変異等)
バリア異常は少ない
金属アレルギーの関与(ニッケル・コバルト)
血清IgE 高値 正常値
臨床像 尋常性魚鱗癬*・手掌の皺亢進 Dennie-Morgan fold
(下眼瞼のシワ)

*FLG遺伝子変異が原因

本問の解答は下記

選択問題43:解答 3

選択問題43

アトピー性皮膚炎に関与する「表皮細胞」が主に産生するサイトカインはどれか.

  1. IL-4
  2. IFN-γ
  3. TSLP
  4. IL-13
  5. IL-31

表皮細胞が産生するサイトカインはTSLP→3

アトピー性皮膚炎の痒みや表皮バリア破壊(フィラグリン発現低下)と関連するサイトカインはIL-4/13/31などがある

一方バリア機能が障害されるとケラチノサイトから分泌されるサイトカイン、IL-33やTSLPはTh1/Th2バランスをTh2優位にする

これによって下記のような負のスパイラルに陥る

  1. Th2細胞優位
  2. Th2細胞から分泌されるサイトカインが掻痒・掻爬を引き起こす
  3. 皮膚バリアがさらに悪化
分泌細胞 サイトカインの種類 作用
Th2細胞 IL-4, IL-13 フィラグリン発現低下
掻痒感
好酸球遊走(IL-4のみ)
IL-31 掻痒感
IL-5 好酸球遊走
ケラチノサイト
(角化細胞)
TSLP
IL-33
Th2優位に傾ける

上記より、本問の解答は下記

なおIL-4/13/31についてはそれぞれアトピー性皮膚炎における生物学的製剤の治療ターゲットとなっている

ターゲット 一般名 商品名
IL-4, IL-13 デュピルマブ デュピクセント®
IL-13 トラロキヌマブ
レブリキズマブ
IL-31 ネモリズマブ ミチーガ®

関連2019 選択21 (アトピー性皮膚炎の病変部ケラチノサイトから分泌されるサイトカイン:IL-33, TSLP)

Th2細胞から分泌されるサイトカインに関する問題は2021 選択17などを参照

選択問題44:解答 3

選択問題44

アレルギーマーチに関与する疾患のうち, 通常最も遅く発症するとされているのはどれか.

  1. 皮膚炎
  2. 食物アレルギー
  3. 鼻炎
  4. 喘息
  5. 膿痂疹

アレルギーマーチのうち、最も遅く発症するのは鼻炎→3

アレルギーマーチ

アレルギーになりやすい子どもが成長につれて、様々なアレルギー疾患を発症すること

  1. 乳児期〜:食物アレルギー・アトピー性皮膚炎
  2. 幼児期(3歳)〜:気管支喘息
  3. 学童期〜:アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎

上記のなかで、マーチへ到らず自然軽快する例も多い

そのまま持続すると、成人型気管支喘息へ移行することもある

なお選択肢5. 膿痂疹はアレルギーマーチに含まれない

選択問題45:解答 2

選択問題45

近年, 加水分解コムギ含有石鹸を使用した消費者の一部が, 小麦製品を食べた際にアレルギー症状を示すようになり, 大きな社会問題となった. これらの患者の確定診断の際に最も有用と考えられる検査方法はどれか.

  1. パッチテスト
  2. プリックテスト
  3. 運動負荷試験
  4. 薬剤リンパ球刺激試験
  5. ω-5グリアジン特異的IgE検査 (CAP-FEIA)

加水分解コムギ含有化粧品によるアレルギーでは、プリックテストが診断に有用→2

加水分解コムギ含有化粧品によるアレルギー

加水分解コムギ含有化粧品(旧茶のしずく石鹸®)を使用することで、含有されているグルパール®19Sに経皮感作

→小麦経口摂取時に、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)を発症

検査では加水分解小麦を用いたプリックテストが有効

通常の小麦によるFDEIAと比較して下記のような違いがある

FDEIA 通常型 加水分解小麦型
症状 蕁麻疹(全身の膨疹) 血管浮腫(眼瞼浮腫)
アナフィラキシーショック しばしば 起こりえる
小麦特異的IgE陽性率 44% 70%
ω-5グリアジン特異的IgE*陽性率 82% 10%
加水分解小麦によるプリックテスト 陰性 陽性

*アレルゲンコンポーネントの一つで、通常の小麦アレルギーでは小麦特異的IgEより陽性率が高い

関連問題

  • 2013 選択21 (加水分解コムギアレルギーの病態)
  • 2012 選択89 (加水分解コムギによるアレルギーの特徴:プリックテスト陽性)

選択問題46:解答 3

選択問題46

24歳の女性. 数年前から自覚した頚部の皮疹を主訴に当科を受診(図12a~b)した. 病理所見(図12c~e)を示す. この疾患について誤っているものはどれか.

  1. 眼底に血管様線状がみられる.
  2. 眼症状と心血管系症状の合併例をGrönblad-Strandberg症候群と呼ぶ.
  3. 全身性のCa代謝異常と考えられている.
  4. 蛇行性穿孔性弾性線維症を合併する.
  5. 血管系の異常により冠動脈不全や脳出血をきたす.

頚部でオレンジ色の丘疹が集簇して見られ、組織学的に弾性線維の変性やカルシウム沈着(コッサ染色で染まる)が見られることから弾性線維性仮性黄色腫(PXE)の診断

病態はわかっていない→3

弾性線維性仮性黄色腫 (PXE)

ABCC6遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患で、弾性線維の変性と石灰沈着をきたす

皮膚に加えて、眼や血管病変が特徴

  • 皮膚:頚部や腋窩に黄〜オレンジ色の小丘疹が集簇してみられ、加齢とともに皮膚のシワが目立つようになる
  • 眼:網膜-脈絡膜間に存在するBruch膜変化による網膜血管線条
  • 血管病変(心・脳・消化管):動脈の中弾性板変化
  • 1. 眼Bruch膜は弾性線維を含み、網膜血管線条がみられる
  • 2. 眼症状と皮膚症状の合併をGronblad-Strandberg症候群と呼ぶ。
  • 3. 原因遺伝子であるABCC6は膜輸送蛋白をコードしているが病態は不明。組織ではCa沈着がみられる
  • 4. 弾性線維に異常をきたす疾患*は、蛇行性穿孔性弾性線維症を合併しえる
  • 5. 動脈の中弾性板に症状をきたし、虚血性心疾患や脳出血、消化管出血を合併する

*PXE以外にMarfan症候群やEhlers-Danlos症候群など

選択肢2について。Grönblad-Strandberg症候群は主に眼科領域で用いられる表現で、網膜血管線条に皮膚症状を伴うものを呼ぶ(眼が主体)。つまり「眼症状と心血管系症状の合併を~」という選択肢2の文章は間違い(→正解選択肢)となってしまう。

ただPXEの病態はわかっておらず、これを差し置いて正解選択肢となるとは考えづらいため、本問では選択肢3が相対的に正解選択肢と考えた。

関連問題

選択問題47:解答 1

選択問題47

魚鱗癬症候群に含まれないものはどれか.

  1. Waardenburg症候群
  2. Rud症候群
  3. KID症候群
  4. Sjögren-Larsson症候群
  5. Refsum症候群

Waardenburg症候群は色素異常症であり、魚鱗癬症候群ではない→1

魚鱗癬症候群は魚鱗癬の皮膚症状に、他臓器症状を伴う遺伝性疾患

  • 1. Waadenburg症候群:メラノサイト消失によるwhite forelockや白斑に虹彩異色症先天性難聴を伴う。KIT遺伝子(まだら症の原因)の転写因子異常が原因※
  • 2. Rud症候群:先天性魚鱗癬様紅皮症にてんかんや精神発達遅滞、成長障害を伴う
  • 3. KID症候群:魚鱗癬様紅皮症(Ichthyosis)に角膜炎(Keratitis)と感音性難聴(Deafness)を伴う。GJB2遺伝子変異が原因(AD)
  • 4. Sjögren-Larsson症候群:先天性魚鱗癬・痙性四肢麻痺・精神遅滞が3徴。脂肪酸代謝に関わるALDH3A2遺伝子変異が原因(AR)
  • 5. Refsum症候群:尋常性魚鱗癬類似の皮疹に、色素性網膜炎や小脳性運動失調を伴う。食事中に含まれるフィタン酸の代謝関連遺伝子(PHYHなど)変異が原因(AR)

魚鱗癬症候群には上記以外にNetherton症候群(SPINK5遺伝子), Dorfman-Chanarin症候群(ABHD5遺伝子)などがある

*AD:常染色体優性遺伝疾患, AR:常染色体劣性遺伝疾患

PAX3, MITF, SOX10などで原因遺伝子と症状により4型に亜分類される

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p306(1)/276(2)/275(3)/275(4)/276(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p542(1)/349(2・4)/351(3)/350(5)

関連:2014 選択40 (Waardenburg-Klein症候群の臨床問題)

選択問題48:解答 5

選択問題48

悪性黒色腫でその活性化が知られており, 分子標的薬のターゲットともなっている遺伝子はどれか.

  1. NOTCH
  2. p16
  3. WNT
  4. TP53
  5. BRAF

悪性黒色腫の一部でBRAF遺伝子変異(V600Eなど)がみられる→5

下流に存在するMEKと併せて、BRAF/MEK阻害薬として治療に利用される。詳細は下記

BRAF-MEK-inhibitor
BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】

続きを見る

その他選択肢は下記

  • 1. NOTCH:有棘細胞癌において高頻度に遺伝子変異が報告されている
  • 2. p16(CDKN2A):癌抑制遺伝子の一つで、家族性悪性黒色腫の原因遺伝子となる
  • 3. WNT:Wntシグナル伝達経路を構成する遺伝子の一つで、悪性黒色腫の原因となることがある
  • 4. TP53:癌抑制蛋白p53をコードし、慢性的な紫外線ダメージが原因で変異が生じる。有棘細胞癌において頻度が高く、悪性黒色腫でも慢性的な光線暴露がある部位(hig-CSD≒悪性黒子型)で変異がみられる
  • 5. BRAF:悪性黒色腫、とくに紫外線暴露の少ないlow-CSD≒表在拡大型で多く見られる遺伝子変異

関連問題

選択問題49:解答 1

選択問題49

15歳の女児. 幼少時より図13a〜eに示す臨床所見がみられる. 家族歴はない. この疾患にあてはまらないものはどれか.

  1. 常染色体劣性遺伝の場合が多い.
  2. Hamartinが原因蛋白の1つである.
  3. bの皮疹はdの皮疹より先行することが多い.
  4. eの所見は診断基準の大症状に含まれない.
  5. 腎臓にしばしば血管筋脂肪腫ができる.
  • 13a 顔面血管線維腫:外用mTOR阻害薬ラパリムス®ゲルが保険適用
  • 13b 葉状白斑
  • 13c 粒起革様皮膚 (シャグリンパッチ):結合織母斑の一つ
  • 13d 爪囲線維腫 (Koenen腫瘍)
  • 13e 歯エナメル質の多発性小腔

上記より、結節性硬化症の診断基準を満たす。常染色体優性遺伝形式を取る→1

  • 1. 常染色体優性遺伝形式をとるが、孤発例も多い(2/3)。本症例も家族歴がない
  • 2. TSC1/TSC2複合体として働き、mTORシグナル経路を抑制する。ハマルチンTSC1遺伝子の、チュベリンはTSC2遺伝子の蛋白産物
  • 3. b 葉状白斑は乳幼児期からみられ、早期診断に有用。d 爪囲線維腫は思春期以降に好発する
  • 4. 診断基準でe 歯エナメル質の多発性小腔のみ小症状で、他4つ(13a〜d)は大症状
  • 5. 70%で腎血管脂肪腫や腎嚢腫がみられ、内服mTOR阻害薬エベロリムスが保険適用となっている

関連問題

選択問題50:解答 3

選択問題46

0歳の女児. 出生時より皮疹が出現し, 生後6日で図14aのような臨床像を示した. 病理組織HE染色像を図14bに示す. この疾患で変異のみられる遺伝子はどれか.

  1. KRT10
  2. PTEN
  3. NEMO
  4. ATP2A2
  5. PTCH1

図14aでBlaschko線に沿った水疱形成が見られ、図14bで好酸球浸潤を伴う表皮内水疱がみられる

色素失調症の診断で、原因遺伝子はNEMO→3

色素失調症 (Bloch-Sulzberger症候群)

NEMO遺伝子変異によるX染色体優性遺伝疾患(→男児は胎生致死のため95%は女児)

Blaschko線に沿って、水疱→丘疹・疣贅→色素沈着→色素脱失という特徴的経過の皮疹が生じる

  1. 水疱期:出生時〜, 水疱が多発し、組織学的に表皮内水疱と好酸球浸潤が見られる
  2. 疣状期:数週〜数ヶ月, 過角化を伴う疣贅状丘疹が多発
  3. 色素沈着期:生後6ヶ月〜, 渦巻き状の色素沈着がみられる
  4. 色素消退期:4・5歳ごろ〜, 色素斑が消退し、約半数で脱色素性瘢痕を残す

皮膚症状以外に眼症状(30%, 網膜剥離など)や精神発達遅滞も合併する

*AD:常染色体優性遺伝疾患, AR:常染色体劣性遺伝疾患

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p398(3)/273(1)/411(2)/279(4)/403(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p588(3)/345(1)/587(2)/356(4)/586(5)

関連問題

選択問題51〜75は下記

2015-Specialist-3
平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

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