皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成30年度(2018年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

2022年7月8日

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成30(2018)年度解答解説を作成しました

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選択問題26〜50は下記参照

2018-specialist-2v2
平成30年度(2018年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50

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見出し

平成30年度(2018年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 51〜75

選択問題51:解答 1, 4, 5

選択問題51

22歳, 男性. 図11のような皮疹が四肢に左右対称性に生じた. 本症の原因として頻度が高いのはどれか. 3つ選べ.

  1. 薬疹
  2. 光線過敏
  3. 亜鉛欠乏
  4. マイコプラズマ感染
  5. 単純ヘルペスウイルス感染

円形の浮腫性紅斑が多発しており、多形紅斑の診断

原因には薬剤の他、ウイルス感染症(単純ヘルペスウイルス・マイコプラズマ)がある→1, 4, 5

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p139(1・4・5)/323(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p187(1・4・5)/277(2)/470(3)

関連2020 選択54(小児SJSの原因)

選択問題52:解答 1

選択問題52

40歳, 女性. 初診の4日前より左側腹部に痤瘡様皮疹が出現し, 急速に増悪した(図12). 抗菌薬内服・外用にて経過観察したところ病変の潰瘍化と37℃台の発熱が出現した. 白血球12,300/μL, CRP5.04mg/dl, 細菌培養陰性であった. 基礎疾患として可能性が最も高いのはどれか.

  1. 潰瘍性大腸炎
  2. 糖尿病
  3. 後天性免疫不全症候群
  4. 大動脈炎症候群
  5. サルコイドーシス

抗生剤投与に反応しない無菌性潰瘍であり、壊疽性膿皮症を考える

基礎疾患として最多なのは潰瘍性大腸炎→1

壊疽性膿皮症 (pyoderma gangraenosum)

主に下腿で生じ初期は痤瘡/膿疱様の皮疹だが、辺縁が堤防状に隆起した潰瘍となる。稀な病型としてストーマ周囲に生じるものがある

潰瘍は無菌性で、組織学的に真皮で好中球浸潤がみられる

治療:ステロイドやシクロスポリンの他、TNF-α阻害薬が用いられる
(現在保険適用はアダリムマブ:ヒュミラ®のみ)

基礎疾患

本症は半数程度で基礎疾患に伴って発症する

潰瘍性大腸炎(46.6%)>>血液悪性腫瘍(17.2%)>関節リウマチ(19.3%)>クローン病(14.3%)>大動脈炎症候群(2.5%)
※カッコ内は基礎疾患全体における比率

関連2020 選択48, 2016 選択50(基礎疾患3つ), 2014 選択41, 2013 記述2(ストマ周囲型の臨床問題)

選択問題53:解答 4

選択問題53

重症多形滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症診療ガイドライン(日本皮膚科学会)のStevens-Johnson症候群の診断基準において主要所見(必須)でないものはどれか.

  1. 発熱がある.
  2. 多形紅斑重症型を除外できる.
  3. 病理組織学的に表皮の壊死性変化を認める.
  4. 紅斑は顔面, 頸部, 体幹優位に全身性に分布する.
  5. 皮膚粘膜移行部の広範囲で重篤な粘膜病変がみられる.

紅斑の全身分布は副所見であり、主要所見(必須)ではない→4

Stevens-Johnson症候群(SJS) 診断基準

主要所見(必須)

  1. 皮膚粘膜移行部(眼, 口唇, 外陰部など)の広範囲で重篤な粘膜病変
  2. 皮膚の汎発性の紅斑に伴って表皮の壊死性障害に基づくびらん・水疱を認め、軽快後には痂皮, 膜様落屑がみられる. その面積は体表面積の10%未満*(外力を加えると容易に剥離すると思われる部位を含む)
  3. 発熱
  4. 組織学的に表皮の壊死性変化
  5. 多形紅斑重症型(EM major)を除外できる

*面積>10%では中毒性表皮壊死症(TEN)となる

主要所見5項目をすべてみたす場合、SJSと診断

副所見

  1. 紅斑は顔面, 頸部, 体幹優位に全身性に分布する. 隆起せず中央が暗紅色のflat atypical targetsを示し, 融合傾向を認める.
  2. 皮膚粘膜移行部の粘膜病変を伴う. 眼病変では偽膜形成と眼表面上皮欠損のどちらかあるいは両方を伴う両眼性の急性結膜炎がみられる.
  3. 全身症状として他覚的には重症感, 自覚的には倦怠感を伴う. 種々の程度に摂食障害を伴う.
  4. 自己免疫性水疱症を除外できる.
  • 選択肢4. 紅斑は顔面, 頸部, 体幹優位に全身性に分布:副所見に含まれる
  • 選択肢1〜3・5 + 「皮膚粘膜移行部の広範囲で重篤な粘膜病変」があればSJSと診断可能

※選択肢4が主要所見(必須)であると粘膜病変のみのSJS(稀)が診断できなくなることから推測可能

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p143
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p197

関連2016 選択54(flat atypical targetsが特徴的な疾患)

選択問題54:解答 2, 3

選択問題54

アスピリン不耐症の症状出現時に副腎皮質ステロイド薬を点滴静注する場合, 比較的安全な製剤(商品名)はどれか. 2つ選べ.

  1. サクシゾン®
  2. デカドロン®
  3. リンデロン®
  4. ソル・メドロール®
  5. 水溶性プレドニン®

アスピリン不耐症で投与可能なステロイドはデカドロン®およびリンデロン®→2, 3

NSAIDs不耐症・過敏症でのステロイド製剤

NSAIDs不耐症では、点滴ステロイドに含まれるコハク酸エステルに対して過敏症を示し喘息発作が生じる

リン酸エステルステロイドは比較的安全とされるため、こちらを選択する(ただしこちらも急速静注では危険があるため1-2時間かけて点滴)

NSAIDs不耐症 コハク酸エステル
(投与禁忌)
リン酸エステル
(ゆっくり点滴)
ヒドロコルチゾン サクシゾン® 水溶性ハイドロコートン®
ソル・コーテフ®
プレドニゾロン 水溶性プレドニン® コーデルゾール®
メチルプレドニゾロン ソル・メドロール® -
デキサメタゾン - デカドロン®
ベタメタゾン - リンデロン®

なおリン酸エステルやコハク酸エステルは点滴製剤のみに含まれるため、ステロイド内服は問題ない

※サ行("サ"クシゾン, "水"溶性プレドニン, "ソ"ル・メドロール, "ソ"ル・コーテフ)がNG、と考えるとわかりやすいかも(?)

関連2021 選択27(ステロイド薬について)

選択問題55:解答 5

選択問題55

50人に1人の保因者がいる常染色体劣性遺伝性疾患(浸透率100%)において予想される有病率はどれか.

  1. 1/500
  2. 1/1,000
  3. 1/2,500
  4. 1/5,000
  5. 1/10,000

対立遺伝子の優性形質をA、劣性形質をaとする

  • 父が保有(Aa)する確率:1/50
  • 母が保有(Aa)する確率:1/50
  • 子供がaaとなる確率:1/4
    AAが1/4, Aaが1/2, aaは1/4
  • aaの子供が発症する確率(浸透率):1 (100%)

よって、1/50 × 1/50 × 1/4 = 1/10,000 →5となる

なお長島型掌蹠角化症の保因者が50人に1人程度で、保因者が多いため偽優性遺伝形式(罹患者x非罹患者で子供が発症)をとることがある

医師国家試験では本問と逆の、発症割合から保因者頻度を推定する問題が出題されている(106E26)

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p577

選択問題56:解答 3, 4

選択問題56

Fabry病について正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. 男性より女性の患者数のほうが圧倒的に多い.
  2. 被角血管腫は, 通常思春期以降に生じる.
  3. 低汗症を呈する.
  4. α-ガラクトシダーゼAの異常で発症する.
  5. 有効な治療法は未だに存在しない.

Fabry病はα-ガラクトシダーゼAの異常が原因で、低汗症が特徴→3, 4

Fabry病

α-galA遺伝子変異による先天性代謝異常疾患
→分解されないトリヘキソシルセラミドが組織に沈着

X染色体連鎖遺伝で、女性も発症するが一般に男性より軽症

  • 皮膚関連症状:無汗/乏汗症、発作性の四肢末端疼痛、被角血管腫
  • その他症状:腎障害、角膜の渦巻状混濁(女性保因者でもみられる)
  • 治療:酵素補充療法等
  • 1. X染色体劣性遺伝形式であり基本は男性で、女性保因者は軽症となりやすい
  • 2. 幼少時からみられる特徴的所見
  • 3. 無汗症・乏汗症の原疾患となりえる
  • 4. α-ガラクトシダーゼAの異常が原因
  • 5. 酵素補充療法や近年はケミカルシャペロン療法*も行われる

*活性低下しているα-ガラクトシダーゼの構造を安定化させ、活性を高める治療

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p334/363(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p466

関連問題(Fabry病)

選択問題57:解答 2, 4, 5

選択問題57

全身性アミロイドーシスで高頻度に認められる症状はどれか. 3つ選べ.

  1. 多毛症
  2. 巨大舌
  3. 爪囲紅斑
  4. pinch purpura
  5. 強皮症様の手指硬化

アミロイドーシスは全身性のものと、皮膚限局性のものに分けられる

全身性のものではアミロイド沈着による巨大舌や手指硬化、pinch purpuraが特徴→2, 4, 5

全身性アミロイドーシス (ALアミロイドーシス)

正常では見られないアミロイドが沈着して生じるのがアミロイドーシス

全身性アミロイドーシスでは形質細胞の形成異常(多発性骨髄腫など)により、免疫グロブリンL鎖が原因となる

全身臓器(皮膚・消化管・心筋など)へのアミロイド沈着による症状をきたす

  • 1. 毛髪:アミロイド沈着による脱毛をきたすことがある。多毛症はCushing症候群で生じる
  • 2・5. 巨大舌・強皮症様手指硬化:アミロイド沈着により生じる症状
  • 3. 爪:アミロイドーシスでは爪変形をきたす。爪囲紅斑は皮膚筋炎等でみられる所見
  • 4. pinch purpura:アミロイド沈着で血管が脆弱化し、軽い刺激により紫斑が生じる状態
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p317(2〜5)/205(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p445(2〜5)/413(3)

関連2013 選択1(巨大舌をきたす疾患:粘液水腫, アミロイドーシス)

選択問題58:解答 1, 3

選択問題58

大量飲酒歴のある70歳男性の露光部に図13で示す皮疹が出現し, 採血で肝機能障害を認めた. この疾患に関する記載で正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. C型肝炎ウイルス感染が誘因となる.
  2. 赤血球中のウロポルフィリンが増加する.
  3. 尿中のウロポルフィリンが増加する.
  4. 尿にWood灯を照射すると緑色の蛍光を発する.
  5. 輸血が効果的な治療法である.

手背露光部に小水疱とびらんがみられ、肝機能障害および飲酒歴より晩発性皮膚ポルフィリン症を考える

C型肝炎ウイルスと関連し、尿中ウロポルフィリン増加が見られる→1, 3

晩発性皮膚ポルフィリン症 (PCT)

ポルフィリンは、ヘム(ヘモグロビン中に存在)代謝経路の中間産物

晩発性皮膚ポルフィリン症では、ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ(UROD)の活性低下により、前駆物質であるウロポルフィリンが肝臓・皮膚へ蓄積する

尿や糞便からポルフィリンが排泄され、Wood灯にて紅色に光ることから確認できる

  • 原因:肝機能障害(C型肝炎やアルコール)、薬剤(エストロゲンなど)
  • 症状:光線過敏症による露光部の小水疱・びらん
    (ウロポルフィリンが光により励起されるため)
  • 治療:遮光、瀉血、禁酒、肝庇護など

一方先天的にポルフィリン代謝酵素の異常があると、骨髄性ポルフィリン症となり赤血球中からポルフィリンが検出される

以上より本問の解答は下記

  • 1. 肝障害のなかでもC型肝炎が誘因として重要(60%で陽性とされる)
  • 2. 晩発性皮膚ポルフィリン症では赤血球中のウロポルフィリンは増加しない骨髄性プロトポルフィリン症では赤血球中のポルフィリン増加がみられる
  • 3・4. 晩発性皮膚ポルフィリン症では尿中のウロポルフィリンが増加し、Wood灯にて紅色の蛍光を発する。頭部白癬では緑色の蛍光となる
  • 5. 鉄(≒ヘモグロビン)過剰が本態のため、治療として瀉血が行われる

Wood灯と反応蛍光色

365nmのUVAで、一部の疾患で蛍光を発する

疾患 蛍光色
癜風 黄橙色
紅色陰癬 サンゴ赤色
ポルフィリン症 紅色
頭部白癬 黄緑色〜青緑色
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p331/87(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p476

関連問題

選択問題59:解答 4

選択問題59

弾性線維性仮性黄色腫(Pseudoxanthoma elasticum)について正しいのはどれか.

  1. すべて常染色体優性遺伝である.
  2. エラスチン遺伝子の異常で起こる.
  3. 膠原線維の膨化・断裂が特徴である.
  4. 真皮のカルシウム沈着が特徴である.
  5. 皮膚症状は通常幼児期からみられる.

弾性線維性仮性黄色腫では真皮のカルシウム沈着が特徴→4

弾性線維性仮性黄色腫 (PXE)

ABCC6遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患で、弾性線維の変性と石灰化が複数臓器で生じる

  • 皮膚:頚部や腋窩でオレンジ色の丘疹をきたし、加齢とともに皮膚の皺が目立つようになる
  • 眼:網膜-脈絡膜間に存在するBruch膜変化による網膜血管線状
  • 血管病変(心・脳・消化管):動脈の中弾性板変化による虚血性変化、出血等
  • 1. 常染色体劣性遺伝形式だが浸透率が高いため、偽優性遺伝形式を取ることがある(長島型掌蹠角化症と同様)
  • 2. 原因遺伝子はATP binding casetteの一種であるABCC6。エラスチン遺伝子は皮膚弛緩症の原因
  • 3. "弾性"線維の膨化や断裂が特徴
  • 4. 真皮にカルシウム沈着をきたし、コッサ染色にて染色され診断に有用
  • 5. 皮膚症状は幼少時から出現するが、自覚症状がないため通常10〜20代に気づかれる

選択肢5に関してあたらしい皮膚科学 3版では幼少時から出現するが, 自覚症状がないため通常は思春期以降に気づかれると記載され、皮膚科学 11版では10〜20代に発症と記載されている。選択肢4と比較して相対的に誤り選択肢と考えた

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p353
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p493/492(2)

関連問題

選択問題60:解答 2

選択問題60

35歳, 男性. 5日前より疼痛を伴う腫瘤が臍部に出現した. 排膿を伴うため近医皮膚科を受診し, 抗菌薬を投与されるも増悪したため当院受診となった. 図14aに初診時の臨床像を, 図14bに腹圧を加えた際の臨床像を示す. CTによる画像検査では図14cの所見を認めた. 正しい診断はどれか.

  1. 臍炎
  2. 尿膜管遺残
  3. 化膿性粉瘤
  4. 化膿性肉芽腫
  5. Sister Joseph結節

排膿を伴う腫瘍があり、腹圧をかけることで腫瘤が凹み尿と思われる黄色液が排泄されている

CTでは臍部正中から腹直筋背側へ向かう柵状構造がみられ、尿膜管遺残(に伴う臍炎)の診断

尿膜管遺残

胎生期に存在する尿膜管は臍と膀胱をつないでいる

本来は成長とともに消退するが、これが消退せず残ってしまうのが尿膜管遺残(尿膜管洞)で成人の2%にみられる

感染(臍炎)をきたしやすく、その場合臍部から膿の漏出がみられる

CTやエコーでは臍から腹直筋背側を通って膀胱頂部へ到る経路の間に膿瘍がみられる

治療は抗菌薬投与やドレナージが基本だが、根治には外科的治療が必要

  • 1. 臍炎:臍部の感染・炎症の総称で、尿膜管遺残に合併する
  • 2. 化膿性粉瘤:粉瘤(表皮嚢腫)が炎症をきたしたもので、内部にケラチンが存在する
  • 3. 化膿性肉芽腫(毛細血管拡張性肉芽腫):外傷などが誘因となる血管腫の一種。新生児臍部に生じるものは臍肉芽腫と呼ばれる
  • 4. 尿膜管遺残:腹圧による変化や、CTで深部と連続性があることから尿膜管遺残を考える
  • 5. Sister (Mary) Joseph結節:転移性皮膚腫瘍で、胃癌などの消化器癌が臍部へ転移したもの

選択肢の中で尿膜管遺残以外は(腹腔内臓器と連続しないため)腹圧による変化がみられない

関連2015 選択80(臍部に生じない疾患), 2012 選択63 (Sister Joseph結節)

選択問題61:解答 1

選択問題61

77歳, 男性. 数年前から拡大している大腿の褐色局面を生検し, 図15a(HE染色), 図15b (Direct Fast Scarlet染色)の所見を得た. 図15bの真皮上層で橙赤色に染まっている物質の前駆物質はどれか.

  1. ケラチン
  2. アミロイドA蛋白
  3. トランスサイレチン
  4. 免疫グロブリンL鎖
  5. β2ミクログロブリン

真皮乳頭部のアミロイド増殖および角質肥厚や基底層でのメラニン顆粒増加がみられ、アミロイド苔癬の像

前駆物質はケラチン→1

アミロイドーシス 前駆物質

正常では見られないアミロイドが沈着して生じるのがアミロイドーシス

検出にはコンゴーレッド染色やダイレクト・ファスト・スカーレット染色(橙色)を用いる。皮膚アミロイドーシスにおいては後者の方が検出力が高い

アミロイドーシスは病型によって前駆物質が異なる

病型 前駆物質
皮膚限局性アミロイドーシス アミロイド苔癬 ケラチン
斑状アミロイドーシス
結節性皮膚アミロイドーシス 免疫グロブリンL鎖(AL)
全身性アミロイドーシス ALアミロイドーシス AL
※多発性骨髄腫を合併することがある
反応性AAアミロイドーシス アミロイドA蛋白
家族性全身性アミロイドーシス トランスサイレチン
アポA1(脂質輸送蛋白)
透析アミロイドーシス β2-ミクログロブリン
  • 1. ケラチン:結節性皮膚アミロイドーシス以外の皮膚限局性アミロイドーシスの前駆物質。アミロイド沈着部位は真皮乳頭層中心となる
  • 2. アミロイドA蛋白:反応性AAアミロイドーシスの前駆物質。関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や感染症に続発するが、皮疹形成は稀
  • 3. トランスサイレチン:家族性全身性アミロイドーシス(常染色体劣性遺伝疾患)の前駆物質
  • 4. 免疫グロブリンL鎖:結節性皮膚アミロイドーシス(およびALアミロイドーシス)の前駆物質。結節性皮膚アミロイドーシスでは真皮〜皮下脂肪にかけてのアミロイド沈着がみられる
  • 5. β2 ミクログロブリン:透析アミロイドーシスの前駆物質。手根管症候群や臀部・体幹の皮下結節や丘疹をきたす

アミロイド沈着部位:免疫グロブリンL鎖が前駆物質の場合(ex. 結節性皮膚アミロイドーシス)は真皮〜皮下脂肪にかけて広くみられるが、ケラチンが前駆物質の場合(ex. アミロイド苔癬)は真皮上層に限局する

関連問題

選択問題62:解答 2, 3, 5

選択問題62

汗腺系腫瘍の説明で正しいのはどれか. 3つ選べ.

  1. 汗管腫は自然消退することが多い.
  2. エクリン汗孔腫は足底や手掌に好発する.
  3. エクリンらせん腺腫は通常有痛性である.
  4. 乳頭状汗腺腫は脂腺母斑に続発することが多い.
  5. 乳頭状汗管嚢胞腺腫は頭部や顔面に好発する.
  • 1. 汗管腫は女性の眼瞼部に好発し組織学的にオタマジャクシ様構造がみられ、自然消退は稀。エクリン汗嚢腫は夏季に増加・冬季に減少する
  • 2. エクリン汗孔腫は足底(2/3)や手掌に好発する暗赤色の有茎性結節で、組織学的に腫瘍細胞(poroid cell)の増殖巣と小管腔(クチクラ細胞)がみられる
  • 3. エクリンらせん腺腫有痛性腫瘍(ANGEL)のひとつで、組織学的にリンパ節に類似する腫瘍胞巣がみられる
  • 4. 乳頭状汗腺腫は女性の外陰部に好発するアポクリン汗腺腫瘍。脂腺母斑に続発するのは乳頭状汗管嚢胞腺腫
  • 5. 乳頭状汗管嚢胞腺腫は脂腺母斑に続発することが多く(1/3)、組織学的に形質細胞浸潤がみられる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p412(1)/414(2・3)/416(4・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p615(1)/616(2)/618(3)/621(4)/622(5)

関連問題

選択問題63:解答 3

選択問題63

線維上皮腫(Fibroepithelioma (Pinkus))は何の亜型か.

  1. 汗孔腫
  2. 軟性線維腫
  3. 基底細胞癌
  4. 神経線維腫
  5. 皮膚混合腫瘍

線維上皮腫は基底細胞癌の亜型→3

基底細胞癌 病型分類

臨床像 好発部位 頻度
結節・潰瘍型 硬い黒色小結節 頭頚部 77.9%
表在型 扁平で境界明瞭な病変 体幹 19.5%
斑状・強皮症型 楕円形の浸潤局面
(境界不明瞭)
顔面 2.0%
破壊型 強い潰瘍形成 顔面 0.4%
Pinkus型
(fibroepithelial tumor)
有茎性腫瘤 腰背仙骨部・四肢 非常にまれ
(0/9,532)

頻度の高い結節型と表在型は浸潤性が低いが、斑状強皮症型や破壊型は浸潤性が高いため切除マージンを広くする
(通常は4mmマージン)

その他選択肢については下記

  • 1. 汗孔腫:足底(2/3)や手掌に好発する腫瘍で、ダーモスコピー上ヘアピン様血管がみられる
  • 2. 軟性線維腫:半球状〜有茎性の常色腫瘤で、頚部に多発するものはアクロコルドンと呼ばれる
  • 4. 神経線維腫:紡錘形の腫瘍細胞(S-100/CD34/EMAが+)増殖がみられ、間質では細い膠原線維や肥満細胞浸潤がみられる
  • 5. 皮膚混合腫瘍:エクリンおよびアポクリン腺の双方に由来する腫瘍で、粘液や軟骨など間葉系組織が混在する

関連2015 選択56(基底細胞癌のマージン)

選択問題64:解答 4

選択問題64

42歳, 男性. 数年前から下腹部に増大する結節で受診した. 臨床像を図16aに示す. 皮膚生検で図16b及び図16cの所見がみられた. 図16dの免疫染色はどれか.

  1. CD3
  2. CD10
  3. CD31
  4. CD34
  5. CD68

紅褐色腫瘤で、組織学的に紡錘形の線維芽様細胞が花むしろ状に増殖

隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の診断で、免疫染色ではCD34陽性・凝固因子ⅩⅢa陰性が特徴→4

COL1A1-PDGFB融合遺伝子の存在も特徴の一つ

  • 1. CD3:T細胞全般で陽性となる
  • 2. CD10:胚中心のB細胞で陽性となる(濾胞性リンパ腫など)
  • 3. CD31:血管内皮細胞で陽性となる
  • 4. CD34:血管内皮細胞やリンパ管で陽性となる。血管肉腫ではCD31と並び陽性
  • 5. CD68:組織球(マクロファージ)で陽性となる。多中心性細網組織球症など
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p50/461(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p48/667(4)

関連問題

選択問題65:解答 1

選択問題65

21歳, 男性. 陰茎の多発性丘疹で受診した(図17). ダーモスコピーにて規則正しい血管走行と乳頭腫の分割が観察され, 病理組織では表皮内にウイルス封入体やballooningを起こしている細胞はなかった. 真皮に類似の病理組織所見を呈する病変が特徴的な疾患はどれか.

  1. 結節性硬化症
  2. 神経線維腫症1型
  3. Queyrat紅色肥厚症
  4. 疣贅状表皮発育異常症
  5. 青色ゴム乳首様母斑症候群

陰茎の冠状溝に白色調の小丘疹がみられ、真珠様陰茎小丘疹の像

組織学的には血管線維腫→1

真珠様陰茎小丘疹

陰茎の冠状溝に1〜3mm大の白色丘疹が多発する

生理的なもの(組織的には血管線維腫)であり、病的意義はない

尖圭コンジローマとの鑑別が必要(本問ではウイルス封入体やballooningがなく否定的)

  • 1. 結節性硬化症:TSC1/2遺伝子変異が原因(AD)で、乳幼児期からの葉状白斑、成長に伴う顔面の多発血管線維腫などをきたす
  • 2. 神経線維腫症1型:NF1遺伝子変異が原因(AD 孤発例も多い)で、神経線維腫やカフェオレ斑、虹彩のLisch結節をきたす
  • 3. Queyrat紅色肥厚症:ボーエン病の亜型で、陰茎(亀頭)等に境界明瞭な紅色局面を生じるもの。有棘細胞癌へ移行しやすい
  • 4. 疣贅状表皮発育異常症:先天的な免疫異常(AR)で、HPV-5が原因となり露光部中心に疣贅状病変が多発しやがて発癌をきたす
  • 5. 青色ゴム乳首様母斑症候群:皮膚や消化管で海綿状血管腫(静脈奇形)をきたす母斑症

※AD:常染色体優性遺伝疾患, AR:常染色体劣性遺伝疾患

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p434/394(1)/391(2)/451(3)/497(4)/404(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p574(1)/570(2)/631(3)/808(4)/581(5)

選択問題66:解答 4

選択問題66

メルケル細胞癌について誤っているのはどれか.

  1. 高齢者に好発する.
  2. 自然消退することがある.
  3. 腫瘍巣は表皮に連続しない.
  4. サイトケラチン20の染色で細胞質がびまん性に陽性となる.
  5. メルケル細胞ポリオーマウイルス感染は一般人口の半数程度に認められる.

メルケル細胞癌はCK20染色で細胞質が"点状に"陽性となる→4

メルケル細胞癌

掌蹠の基底層に多く分布する触圧覚受容器、メルケル細胞由来とされる悪性腫瘍

高齢者の顔面に好発し、紅色のドーム状結節をきたす

メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)が原因

メルケル細胞癌の組織学的特徴

  • 神経内分泌系腫瘍であり、N/C比が高くNSEやクロモグラニンA陽性
  • MCPyVに対する抗体を用いた免疫染色も可能
  • 電子顕微鏡で有芯顆粒を有する
  • サイトケラチン(CK)20で核近傍が点状に染まる
    :HE染色が類似する肺小細胞癌や悪性黒色腫との鑑別に有用

治療:放射線感受性が高く、進行例では抗PD-L1抗体アベルマブ(バベンチオ®)も利用される。稀に自然消退する

  • 1. 高齢者の頭頸部(とくに頬部)に好発する
  • 2. 稀に自然消退することがある
  • 3. 腫瘍巣が表皮と連続することは稀
  • 4. CK20ではびまん性ではなく、核近傍の細胞質で点状に陽性となる
  • 5. MCPyVは健常人でも60〜80%にみられたとする報告がある

関連問題

選択問題67:解答 3, 4

選択問題67

頭部血管肉腫診療ガイドライン(日本皮膚科学会)で推奨度Bの治療法はどれか. 2つ選べ.

  1. 結節・潰瘍病変に対してのインターロイキン-2局所投与
  2. 多発性病変に対する外科的切除
  3. 原発巣への放射線療法
  4. タキサン系抗腫瘍剤の全身化学療法
  5. 所属リンパ節転移に対するリンパ節郭清術または放射線療法
  • 1. IL-2局所投与は斑状型に対して有効性が高くBだが、その他病型はC1
  • 2. 外科的切除は単発かつ最大径≦5cmで完全切除可能ならBだが、多発例や>5cmではC1。いずれも術後放射線治療が望ましいとされる
  • 3. 放射線感受性があるため、原発巣に対してはB。外科的切除や化学療法との併用が強く勧められている
  • 4. 全身化学療法はBであり、保険適用のあるタキサン系抗腫瘍剤(PTXやDTX)が1st line
    2nd line以降はマルチキナーゼ阻害薬のパゾパニブ(ヴォトリエント®)等が用いられる
  • 5. 所属リンパ節転移に対するリンパ節郭清術や放射線療法はC1。原発巣が完全切除可能で所属リンパ節以外の転移がなければ、郭清術が考慮される

最新版(皮膚血管肉腫診療ガイドライン 2021)は頭部だけでなく皮膚に発生する血管肉腫全般が対象となり、CQも大きく変わって治療推奨度がなくなっている

関連2020 選択68(肺転移を伴う場合の治療), 2016 選択61(血管肉腫の治療を選択)

選択問題68:解答 3

選択問題68

日本人の悪性黒色腫患者のBRAFのコドンV600における変異の最も多いのはどれか.

  1. V600A
  2. V600D
  3. V600E
  4. V600K
  5. V600R

悪性黒色腫のBRAF変異ではV600Eが最多→3

BRAF変異と治療については下記参照

BRAF-MEK-inhibitor
BRAF阻害薬とMEK阻害薬 【悪性黒色腫】

続きを見る

BRAF阻害薬が用いられる腫瘍は、現在悪性黒色腫のほか大腸癌および非小細胞肺癌がある

悪性黒色腫はV600Eが多数を占める(一部V600K)が、非小細胞肺癌では半数程度

悪性黒色腫の中でも、体幹など非露光部(≒表在拡大型)で陽性率が高い

BRAF変異のパターン V600E V600K
悪性黒色腫
(メラノーマ)
90%
若年者の体幹や四肢(≒表在拡大型)
10%
高齢者の男性
非小細胞肺癌 約半数 -

関連2021 選択85(BRAF変異陽性例が多い病型)

選択問題69:解答 1

選択問題69

66歳, 女性. 初診の1年前に気づいた前胸部の結節を主訴に来院した. 前胸部の臨床所見(図18a)と皮膚生検病理組織HE染色像(図18b)とS100タンパクの免疫組織化学染色(図18c)を示す. 考えられる診断はどれか.

  1. 顆粒細胞腫
  2. 黄色肉芽腫
  3. 結節性黄色腫
  4. 神経鞘腫
  5. ランゲルハンス細胞組織球症

明るい胞体を有する腫瘍細胞で、S100(+)から顆粒細胞腫を考える→1

顆粒細胞腫

シュワン細胞由来で、皮膚や口腔・消化器に生じる3cm未満の小腫瘤

組織学的に胞体が明るく好酸性の顆粒を含む腫瘍細胞がみられ、S-100やNSE陽性となる

  • 1. 顆粒細胞腫:S-100陽性となる単発の腫瘤であり、明るい胞体を持つ
  • 2. 黄色肉芽腫:生後1週〜6ヶ月頃に発生する組織球系腫瘍で、自然消退傾向あり。組織学的に脂肪を貪食した肉芽腫(Touton型巨細胞)がみられ、CD68陽性だがS-100は陰性
  • 3. 結節性黄色腫:高コレステロール血症に伴い肘頭・膝蓋に好発する5mm〜数cmの黄色腫
  • 4. 神経鞘腫:シュワン細胞由来の良性腫瘍(有痛性)で、S-100陽性。組織ではVerocay bodyがあり血流豊富なAntoni A領域と、細胞成分が疎なAntoni B領域がみられる
  • 5. ランゲルハンス細胞組織球症:主に小児期に皮膚や骨、肺などでランゲルハンス細胞が腫瘍性に増殖をきたす疾患で湿疹類似の紅色丘疹をきたす。S-100の他、CD1aCD207(Langerin)陽性が特徴

S-100陽性となるのは1, 4, 5だがHEから1。5は年齢や臨床像(多発しやすい)からも否定的

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p421(1)/436(2)/322(3)/420(4)/480(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p738(1)/692(2)/462(3)/736(4)/696(5)

関連問題

選択問題70:解答 2, 5

選択問題70

腫瘍細胞がCD30陽性となるのはどれか. 2つ選べ.

  1. MALTリンパ腫
  2. リンパ腫様丘疹症
  3. 節外性NK/T細胞リンパ腫
  4. 原発性皮膚γδT細胞リンパ腫
  5. 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫

CD30陽性腫瘍はリンパ腫様丘疹症および原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫→2, 5

原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症

CD30陽性の異型リンパ球がみられる疾患で、下記2つが含まれる

年齢 分布 皮疹
原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫 高齢者が多い 単発が多い 紅色結節
リンパ腫様丘疹症 中年に多い 多発 直径数mm〜1cmの鱗屑を伴う丘疹

※CD30陽性細胞自体は疥癬結節や虫刺症でもみられる

リンパ腫様丘疹症は出現と消退を繰り返し、新旧の皮疹が混在することが特徴。原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫でも、自然消退することがある

治療:CD30抗体製剤ブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス®)が保険適用

  • 1. MALTリンパ腫:B細胞由来の腫瘍で、原発性皮膚辺縁帯B細胞リンパ腫などを包括した概念
  • 2. リンパ腫様丘疹症:鱗屑や痂皮を伴う丘疹が多発し慢性の経過をとる。組織学的にCD30+
  • 3. 節外性NK/T細胞リンパ腫:鼻咽頭周囲に潰瘍を形成することが多い。EBウイルスとの関連が示唆され、CD56+
  • 4. 原発性皮膚γδT細胞リンパ腫:細胞傷害性γδT細胞に由来し、腫瘤・結節を生じ潰瘍化しやすい。CD3やCD56陽性
  • 5. 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫:高齢者で単発の病変をきたすことが多い。CD30+

関連:2011 選択67(★ほぼ同一問題★), 2017 選択72(原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫), 2016 選択64(リンパ腫様丘疹症)

選択問題71:解答 2, 4

選択問題71

炎症性線状疣贅状表皮母斑の特徴で誤っているのはどれか. 2つ選べ.

  1. 痒みを伴う.
  2. 男児に好発する.
  3. 上肢より下肢に多い.
  4. 多くは思春期以降に遅発性に生じる.
  5. 表皮に乳頭腫状肥厚がみられる.

炎症性線状疣贅状表皮母斑 (ILVEN)

Blaschko線に沿って線状に生じる母斑を表皮母斑(疣贅状表皮母斑)と呼ぶ

ILVENはその中でも瘙痒や湿疹様変化が強いもの*で、下記の特徴がある

  • 幼小児期に発症(75%が5歳未満)
  • 女児に好発(男女比1:4)
  • 下肢、とくに左側に好発

*ILVEN以外は自覚症状はない

組織学的には乳頭腫状肥厚や角質増殖がみられ、病変部でGJA1遺伝子変異がみられる場合がある

  • 4. 思春期以降に生じ、自然消退しないため外科的切除の適応となる
  • 5. 組織:ILVENでは上記に加え、リンパ球浸潤や乾癬様の不全角化もみられる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p385
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p549

選択問題72:解答 3

選択問題72

出生時より特徴的皮膚病変がみられるのはどれか.

  1. Birt-Hogg-Dube症候群
  2. Cole-Engman症候群
  3. Leopard症候群
  4. Peutz-Jeghers症候群
  5. Maffucci症候群
  • 1. Birt-Hogg-Dube症候群:成人以降発症し、顔面の線維毛包腫や頚部アクロコルドン・腎細胞癌・多発性肺嚢胞をきたす。BHD遺伝子変異によるAD
  • 2. Cole-Engman症候群(先天性角化異常症):幼少期〜思春期発症網状色素沈着・爪甲変形・口腔粘膜白板症が3徴、その他再生不良性貧血や肺線維症をきたす。AD・AR・XRの遺伝形式がある
  • 3. Leopard症候群:RAS/MAPK経路の異常によるRASopathyの一つで、カフェオレ斑や多発性黒子("l"entigines)など、頭文字の疾患を呈する。多発性黒子は出生時よりみられる
  • 4. Peutz-Jeghers症候群:乳児期より口唇や掌蹠の色素斑、消化管ポリープをきたす。ADだが半数は孤発例
  • 5. Maffucci症候群:先天性中胚葉形成不全のため、幼児期〜海綿状血管腫(静脈奇形)や内軟骨腫をきたす

*AD:常染色体優性遺伝, AR:常染色体劣性遺伝, XR:伴性劣性遺伝

選択肢3 LEOPARD症候群について、あたらしい皮膚科学 3版では出現時期の記載なく、皮膚科学 11版では出生時より全身に黒子が多発と記載されている。選択肢4 Peutz-Jeghers症候群について、あたらしい皮膚科学 3版では色素沈着は生下時〜幼児期に出現し, 加齢に伴って増大と記載され、皮膚科学 11版では出現時期の記載がない。
→あたらしい皮膚科学に準拠すれば正解は3, 皮膚科学に準拠すれば正解は4

出題元である日本皮膚科学会雑誌(上記文献)にてLEOPARD症候群は出生時より全身に小豆大の黒子が多発し, 思春期まで次第に増数すると記載、Peutz-Jeghers症候群は乳児期より口唇,口腔粘膜,手指掌,足蹠に点状~ 米粒大の褐色斑が散在,多発すると記載(=皮膚科学 11版と同じ)されていることから、選択肢3が正答と考えた。

※上記セミナリウムの執筆者は皮膚科学の編集者である大塚藤男先生なので、"皮膚科学"と同等の記載になるのは当たり前だが…

選択問題73:解答 2, 3, 4

選択問題73

結節性硬化症で遺伝子検査でTSC1, TSC2遺伝子のいずれにも機能喪失変異が見つからないとき, 診断基準の大症状と小症状を診断に用いるが, 大症状はどれか. 3つ選べ.

  1. 網膜無色素斑
  2. 顔面の3個以上の血管線維腫または前額部, 頭部の結合織よりなる局面
  3. シャグリンパッチ
  4. 2個以上の爪囲線維腫
  5. 多発性腎嚢腫

診断基準の大症状には、顔面の血管線維腫(3個以上)やシャグリンパッチ、爪囲線維腫(2個以上)が含まれる→2, 3, 4

結節性硬化症 診断基準

TSC1/2遺伝子(それぞれハマルチン/チュベリンをコード)の変異でmTORシグナルが活性化され生じる、常染色体優性遺伝疾患(2/3は孤発例)

遺伝子検査でTSC1/TSC2いずれかの機能喪失変異があれば確定診断となるが、10〜25%は同定できない

そのような場合は臨床症状から診断する

大症状

  • 3個以上の低色素斑
    (直径5mm以上)
  • 顔面の3個以上の血管線維腫または前額部, 頭部の結合織よりなる局面
  • 爪囲線維腫(2個以上)
  • シャグリンパッチ(粒起革様皮)
  • 多発性網膜過誤腫
  • 大脳皮質の異形成
  • 脳室上衣下結節
  • 脳室上衣下巨大細胞性星状細胞腫
  • 心横紋筋腫
  • リンパ脈管筋腫症 (LAM)*
  • 血管筋脂肪腫(2つ以上)*

*同時にある場合は確定診断に他の症状が必要

小症状

  • 散在性小白斑
  • 3個以上の歯エナメル質の多発性小腔
  • 2個以上の口腔内の線維腫
  • 網膜無色素斑
  • 多発性腎嚢腫
  • 腎以外の過誤腫

Definitive:大症状2つ or 大症状1つ+小症状2つ以上

Possible:大症状1つ or 小症状2つ以上

よって解答は下記

  • 1・5. 網膜無色素斑・多発性腎嚢腫:小症状に該当
  • 2. 顔面の血管線維腫:大症状に該当し、2歳頃から出現し思春期以降増大。外用mTOR阻害薬ラパリムス®(シロリムス)ゲルの適用がある
  • 3. シャグリンパッチ:大症状に該当し、5歳以上では50%にみられる。膠原線維や弾性線維に由来する結合織母斑に含まれる
  • 4. 爪囲線維腫:大症状に該当し、思春期以降に見られることが多い

関連問題

選択問題74:解答 4

選択問題74

37歳, 男性. 下腿にやや硬く触れる小結節がある. ダーモスコピー所見(図19)で最外側の微細な色素ネットワークに対応するのは主にどれか.

  1. 古くなった角質
  2. 角層内のメラニン
  3. 表皮全層のメラニン
  4. 表皮基底層のメラニン
  5. 真皮乳頭部の微細な出血

下腿の褐色隆起性結節であり、皮膚線維腫の像

ダーモスコピーでは辺縁部に色素ネットワークがみられ、基底層メラニン沈着と対応する→4

皮膚線維腫のダーモスコピー所見

中心部に線維化を反映した白色調の部分がみられ(central white patch)、表皮肥厚に相当

非メラノサイト系病変だが、腫瘍辺縁で細かい色素ネットワークが見られるのが特徴で、基底層のメラニン沈着に相当

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p63・431
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p658
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p180 (★本問と同一写真)

関連2019 選択85(表皮基底層でメラニンが沈着する疾患), 2016 選択70(皮膚線維腫のDS)

選択問題75:解答 4

選択問題75

手掌にみられた色素斑をダーモスコピーで観察した(図20). 最も考えられるパターンはどれか.

  1. 網状パターン
  2. 線維状パターン
  3. 格子状パターン
  4. 皮丘並行パターン
  5. 皮溝並行パターン

不規則で非対称、濃淡差のある色素沈着であり、皮丘優位の色素沈着がみられる

皮丘並行パターンであり、悪性黒色腫を示唆する所見→4

  • 皮溝並行パターン:母斑細胞母斑(良性)
  • 皮丘並行パターン:悪性黒色腫(MM)

が原則

2018-Parallel-ridge-pattern

参考サイトより引用, 左が皮溝一致・右が皮丘一致

皮溝並行パターンには亜型が複数あり選択肢に登場している

  • 1. 網状パターン(crista reticulated):皮溝並行パターンの亜型で、皮丘部にも網状の色素沈着がみられる
  • 2. 線維状パターン(fibrillar pattern):皮溝並行パターンの亜型で、足底荷重部のため擦れたように見える
  • 3. 格子状パターン(lattice-like pattern):皮溝並行パターンの亜型で、直行する線状が加わったもの。土踏まず部に多い
  • 4. 皮丘並行パターン(parallel ridge pattern):悪性黒色腫でみられる色素パターンで、非対称性や色ムラが目立つ
  • 5. 皮溝並行パターン(parallel furrow pattern):良性の母斑細胞母斑でみられる色素パターンで色ムラが少ない

関連2020 選択77 / 2019 選択74(悪性黒色腫のDS), 2014 選択64, 2013 選択63/記述6 (皮溝並行パターンのDS)

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