皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

2019-specialist-2

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和1(2019)年度解答解説を作成しました

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2019年度 選択問題1〜30の解答・解説は下記

令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

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見出し


令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

選択問題31:解答 4

選択問題1

60歳の女性. 6か月前から全身にそう痒を伴う皮疹があり, 貨幣状湿疹と診断され, ベリーストロングのステロイド外用で改善した. 図6の①〜⑤に初診時のダーモスコピー像を示す. この患者の写真はどれか.

2019-S31

ダーモスコピーでみる湿疹病変は落屑が黄色に見えるので、shiny yellow clods(光輝性黄色塊)と呼ばれる

一方尋常性乾癬での鱗屑は白色に見える

  • ① 日光角化症:紅色の背景のなかで、毛包部が白く抜けるstrawberry patternが見られる(毛包部で不全角化がみられない組織像と一致)
  • ② Bowen病:不規則な血管拡張と、白色の鱗屑領域(錯角化に相当)が特徴
  • ③ 汗孔腫:淡黄白色の網状構造と、点状血管が特徴
  • ④ 貨幣状湿疹:黄色の鱗屑が目立つ
  • ⑤ 尋常性乾癬:真皮乳頭部で拡張した毛細血管と、白色の鱗屑がみられる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p62(1)
  • 参考書籍:ダーモスコピー 超簡単ガイド 改訂第2版 p182(2)/190(3)/112(5)
  • 参考文献:yellow clods sign 皮膚病診療 36巻13号 p85

選択問題32:解答 4

選択問題32

( )に入る適切な語句はどれか.

「三叉神経第一枝に罹患する帯状疱疹では眼合併症を生じることがあり注意が必要だが, 特に( )に症状がある時には角結膜炎などを含めた眼合併症を高率に伴う」

  1. コメカミ
  2. 上眼瞼
  3. 頬部
  4. 鼻背部
  5. 耳介部

鼻背部は三叉神経第1枝(Ⅴ1)が単独支配しているため、同部位に病変がある場合はⅤ1領域である角結膜炎に注意が必要(Hutchinson徴候)

一方鼻の先端(鼻尖部)はⅤ1およびⅤ2の双方から支配されており、この部位の皮疹ではⅤ1領域病変かどうか判断できない

2019-Hutchinsonsign

https://www.maruho.co.jp/medical/pdf/famvir/seminars/07.pdfより

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p492

関連2018 記述2(Huthinson徴候), 2015 選択22(鼻背部帯状疱疹の臨床問題), 2011 選択88 (Hutchinson徴候について)

選択問題33:解答 1

選択問題33

学校保健安全法による麻疹が解熱した後の出席停止措置の期間はどれか.

  1. 3日
  2. 5日
  3. 1週間
  4. 2週間
  5. 1ヶ月

麻疹の出席停止期間は解熱後3日間→1

学校感染症の出席停止期間まとめは下記

感染症の出席停止期間 学校保健安全法 【プールの可否】

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関連2021 選択93/2020年度 選択問題91(出席停止期間), 2015年度 選択問題89(麻疹・風疹・水痘の出席停止期間)

選択問題34:解答 1, 2, 4

選択問題34

Epstein-Barrウイルスが関与する皮膚・粘膜疾患はどれか. 3つ選べ.

  1. 蚊刺過敏症
  2. 種痘様水疱症
  3. ブラジル天疱瘡
  4. 口腔毛状白板症
  5. Gibertバラ色粃糠疹

慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)

本来はB細胞に感染し、一過性の症状(伝染性単核症)を引き起こして治癒するEBウイルスがNK/T細胞に持続感染することで生じる

伝染性単核症様の症状を繰り返し、一部で蚊刺過敏症(NK細胞)種痘様水疱症(T細胞)を合併する

経過中に血球貪食症候群や悪性リンパ腫を合併する予後不良の疾患

  • 1. 蚊刺過敏症:虫刺部に潰瘍壊死などの強い局所反応や発熱・肝脾腫がみられる
  • 2. 種痘様水疱症:小児期発症の慢性光線過敏症で、露光部に水疱をきたす。皮疹部からEBウイルスが検出される
  • 3. ブラジル天疱瘡:ブユ唾液中に含まれるLJM11タンパクに反応して産生される自己抗体が、デスモグレイン1と交差反応をきたし生じる水疱症
  • 4. 口腔毛状白板症:EBウイルスによる日和見感染症で、口腔内とくに両側舌縁で白色局面がみられる
  • 5. Gibertバラ色粃糠疹:HHV-6/7の再活性化と関連するとされ、体幹部から近位四肢で鱗屑を伴う紅斑が多発する

関連2021 選択39(CAEBVの臨床問題), 2018年度 選択78(CAEBVの特徴), 2018年度 選択22(蚊刺過敏症の原因ウイルス)

選択問題35:解答 1, 4

選択問題35

帯状疱疹ワクチン(乾燥弱毒生ワクチン, 岡株)について正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. 対象者は50歳以上である.
  2. 水痘ワクチンと同様に2回接種を原則とする.
  3. 水痘・帯状疱疹ウイルス特異的液性免疫の増強を主な目的とする.
  4. 水痘・帯状疱疹ウイルス特異的細胞性免疫の増強を主な目的とする.
  5. 帯状疱疹発症リスクの高いAIDS患者や悪性腫瘍患者に接種可能である.

帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)に関して、不活化ワクチンとの比較は下記

220527-herpeszoster-vaccine
帯状疱疹ワクチン 生ワクチンと不活化ワクチンの比較

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  • 1. 接種年齢:生ワクチン・不活化ワクチンいずれも50歳以上が対象
  • 2. 摂取回数:生ワクチンは1回接種、不活化ワクチンは2回接種
  • 3・4. 免疫誘導:いずれも細胞性免疫を誘導する。水痘免疫はT細胞が主体(∴T細胞が減少するHIVやDiGeorge症候群で発症しやすい)
  • 5. 免疫抑制患者:生ワクチンは接種不可、不活化ワクチンは接種可

関連2017年度 選択問題27(水痘ワクチン 当時は生ワクチンのみ発売)

選択問題36:解答 5

選択問題36

黒色真菌症の代表的な菌種はどれか.

  1. Candida tropicalis
  2. Coccidioides immitis
  3. Microsporum gypseum
  4. Sporothrix globosa (Sporothrix schenkii)
  5. Exophiala spp (E. jeanselmei, E. xenobiotica, E. oligosperma)

メラニン色素を産生するため培地で暗色に見える真菌を黒色真菌と呼ぶ

黒色分芽菌症と黒色菌糸症に分かれる

  • 黒色分芽菌症(クロモミコーシス):Fonsecaea属菌やPhialophora verrucosaが原因となり、sclerotic cellを認める
  • 黒色菌糸症(フェオヒフォミコーシス):Exophiala属菌(E.jeanselmeiなど)が原因となる→5
  • 1. Candida tropicalis:カンジダ症の原因(Candida albicansが最多)
  • 2. Coccidioides immitis:コクシジオイデス症の原因。吸入により肺に原発し、血行性に頚部や顔面で病変を生じる
  • 3. Microsporum gypseum:主に動物に感染する糸状菌で、ペットからヒトへ感染する
  • 4. Sporothrix globosa:スポロトリコーシスの原因となる二相性真菌。組織学的に肉芽腫や星状体(asteroid body)を認める
  • 5. Exophiala spp:黒色菌糸症(フェオヒフォミコーシス)の原因
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p543(5)/537(1)/545(2)/532(3)/541(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p880(5)/865(1)/886(2)/862(3)/875(4)

選択問題37:解答 3

選択問題37

真菌症について正しいのはどれか.

  1. ラブコナゾールは爪カンジダ症にも適応がある.
  2. ラブコナゾールは有益性が上回ると判断すれば妊婦にも投与可能である.
  3. イトラコナゾール内服パルス療法は爪白癬のみの適応である.
  4. 最近足白癬においても薬剤耐性菌が増加している.
  5. 頭部白癬にはまず外用抗真菌剤を試みる.
  • 1・2. ラブコナゾール(ネイリン®):適応は爪白癬のみで、催奇形性があり投与終了後3ヶ月は避妊が必要
  • 3. イトラコナゾール(イトリゾール®)内服パルス療法は爪白癬にのみ適応
    (爪白癬以外は連日内服)→○
  • 4. 足白癬においてテルビナフィン耐性菌の報告が一部である→△
  • 5. 頭部白癬を含む有毛部病変では外用薬により毛包閉塞をきたす/毛根部に菌が存在するため、原則として内服加療を行う
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p533(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p852(5)
  • 選択肢1・2の参考:ネイリン® 添付文書
  • 選択肢3の参考:イトリゾール® 添付文書
  • 選択肢4の参考:テルビナフィン耐性白癬菌 臨床皮膚科 最近のトピックス2021 75巻5号 p142-144

選択肢4について、テルビナフィン耐性足白癬の報告は2018年以降複数件あるが、選択肢3と比べて相対的に間違い選択肢と考える

関連問題

選択問題38:解答 4

選択問題38

酵母菌と菌糸型の両方をとる二相性真菌による疾患はどれか.

  1. Chromomycosis
  2. Cryptococcosis
  3. Phaeohyphomycosis
  4. Sporotrichosis
  5. Tinea pedis

真菌は酵母型と菌糸型に分かれるが、条件によって双方の形態をとるのが二相性真菌

代表例はSporothrix schenckii(S. globosa)やカンジダ→4

  • 1. クロモミコーシス(黒色分芽菌症):酵母型真菌(Fonsecaes属菌等)が原因
  • 2. クリプトコッカス症:酵母型真菌Cryptococcus neoformansが原因で、莢膜を有するのが特徴
  • 3. フェオヒフォミコーシス(黒色菌糸症):菌糸型真菌(Exophiala spp等:選択36)が原因
  • 4. スポロトリコーシス:二相性真菌が原因で、25〜30℃では菌糸型、35〜37℃では酵母型
  • 5. 足白癬:菌糸型真菌(Tricophyton rubrum)が原因
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p541(4)/542(1)/544(2)/543(3)/533(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p875(4)/878(1)/881(2)/880(3)/855(5)

関連:2018年度 選択25(スポロトリコーシスの臨床問題)

選択問題39:解答 4

選択問題39

76歳の男性. 慢性リンパ性白血病でシクロフォスファミド内服中. 1か月前より右手背に皮疹が出現(図7a). 病理組織所見(PAS染色, 図7b), 培養所見(図7c), スライドカルチャー所見(図7d)を示す. 考えられる疾患はどれか.

  1. Chromomycosis
  2. Cutaneous protothecosis
  3. Paracoccidimycosis
  4. Phaeohyphomycosis
  5. Sporotrichosis

2019-S39

免疫不全患者の右手背で腫瘤を形成している

培養検査で黒色のコロニーが形成され、スライドカルチャーで糸状菌の増生を認めることから黒色菌糸症(フェオヒフォミコーシス)の診断→4

  • 1. クロモミコーシス(黒色分芽菌症):sclerotic cell(muriform cell)と呼ばれる隔壁を持つ大型胞子が見られ、菌糸は見られない
  • 2. プロトテコーシス:藻類の一種。臨床的には疣状結節、組織学的には肉芽腫病変がみられる
  • 3. パラコクシジオイデス症:吸入感染で肺病変を形成し、その後肉芽腫をきたす。操舵輪(marin pilot's wheel)状と呼ばれる発芽を伴う芽胞が特徴
  • 4 フェオヒフォミコーシス(黒色菌糸症):黒色真菌であるがsclerotic cellを認めず、菌糸成分が見られるもの
  • 5. スポロトリコーシス:土中に存在し前腕等露出部から侵入する。組織学的に肉芽腫やエオジン好染のasteroid bodyが見られ、スライドカルチャーでの花弁状胞子(下記)が特徴

2019-Sporotrichosis

関連2018年度 選択25(スポロトリコーシスの臨床問題)

選択問題40:解答 1, 5

選択問題40

生魚の摂取により壊死性筋膜炎を生じるグラム陰性桿菌はどれか. 2つ選べ.

  1. Aeromonas hydrophila
  2. Bacillus cereus
  3. Clostridium perfringens
  4. Listeria monocytogenes
  5. Vibrio vulnificus

壊死性筋膜炎の原因となるグラム陰性桿菌はAeromonas hydrophilaVibrio vulnificus →1, 5

  • 1. Aromonas hydrophila:グラム陰性桿菌で水のある環境に存在。とくに肝硬変など基礎疾患のある患者で、壊死性軟部組織感染症の原因
  • 2. Bacillus cereus(セレウス菌):グラム陽性桿菌で、主に食中毒の原因
  • 3. Clostridium perfringens(ウェルシュ菌):嫌気性のグラム陽性桿菌で、ガス壊疽の原因となる。芽胞を形成し食中毒の原因
  • 4. Listeria monocytogenes(リステリア菌):グラム陽性桿菌で、セフェム系無効のため新生児髄膜炎の起因菌として重要
  • 5. Vibrio vulnificus:好塩性グラム陰性桿菌で、海水中に存在。魚介類の経口摂取や創部からの侵入により、肝硬変患者で急速に進行する壊死性筋膜炎をきたす

グラム染色と細菌(皮膚科関連)

グラム陰性桿菌は多数あるため、その他を把握する

グラム染色と細菌
(主に皮膚科関連)
球菌 桿菌
グラム陽性 Staphylocuccus属(ブドウ球菌)

Streptococcus属(レンサ球菌)

Bacillus属(炭疽菌やセレウス菌, 好気性)

Clostridium属(ウェルシュ菌やボツリヌス菌, 嫌気性)

Listeria monocytogenes

グラム陰性 Neiserria属(髄膜炎菌・淋菌)

Moraxella catarrhalis

大腸菌・腸内細菌等多数

関連2018年 選択28(ガス壊疽について)

選択問題41:解答 5

選択問題41

抗結核薬の副作用で誤っている組み合わせはどれか.

  1. イソニアジド - 神経障害
  2. ピラジナミド - 痛風
  3. リファンピシン - 偽膜性腸炎
  4. ストレプトマイシン - 耳鳴
  5. パラアミノサリチル酸 - SLE様症状

抗結核薬には特有の副作用がある

  • 1. イソニアジド(INH):末梢神経障害(予防のためビタミンB6を併用)や肝障害、SLE様症状(発熱、紅斑、筋肉痛、関節痛等)が副作用
  • 2. ピラジナミド(PZA):高尿酸血症・肝障害・関節痛が副作用
  • 3. リファンピシン(RFP):肝障害・胃腸障害・偽膜性腸炎が副作用で、尿の赤色化をきたす。CYP3A4誘導のため併用禁忌が多い
  • 4. ストレプトマイシン(SM):腎障害・第8脳神経障害(難聴・めまい)
  • 5. パラアミノサリチル酸(PAS):胃腸障害・アレルギー症状(発熱/発疹)が副作用。SLE様症状はINH→✗

その他、エタンブトール(EB)の視神経障害(球後視神経炎)も重要な副作用

結核の初回標準治療ではINH + RFP + PZA + EB or SMの4剤併用療法を2ヶ月間、その後INH + RFPを4ヶ月間内服する

PASは2nd-lineで用いられる薬剤

選択問題42:解答 3

選択問題42

皮膚感染症について正しいのはどれか.

  1. トキシックショック症候群の原因はA群β溶連菌の外毒素である.
  2. ブルーリ潰瘍は疼痛が強い.
  3. Panton Valentine Leukocidin (PVL)毒素は主に市中感染型MRSAが産生する.
  4. 壊死性筋膜炎ではempiricに治療を開始してはならない.
  5. トキシックショック様症候群はトキシックショック症候群より予後良好である.

トキシックショック症候群とトキシックショック様症候群

  • トキシックショック症候群:黄色ブドウ球菌(大部分はMRSA)によって産生される外毒素、TSST-1が原因。
    タンポンの不適切使用が原因として知られる
  • トキシックショック様症候群:A群β溶連菌の産生する外毒素、SPE-ASPE-Cが原因

これらの外毒素はスーパー抗原と呼ばれ抗原を介することなくT細胞の異常活性化を引き起こし、強い炎症反応(サイトカインストーム)をきたす

毒素が原因のため、血液培養は陰性でもよい

トキシックショック症候群は死亡率5%以下、トキシックショック様症候群は死亡率30〜70%

  • 1. トキシックショック症候群の原因は"黄色ブドウ球菌"の外毒素。トキシックショック"様"症候群はA群β溶連菌
  • 2. ブルーリ潰瘍:抗酸菌のMycobacterium ulceransが原因。毒素マイコラクトンにより組織壊死を起こすが、神経も障害され無痛性であることが特徴
  • 3. PVLは主に市中関連型MRSAが産生し、白血球破壊作用を持ち再発性のせつ・せつ腫症と深く関連する
  • 4. 壊死性筋膜炎は早期治療が重要なため、empiric(経験的)に治療を開始し菌種同定後de-escalationを行う
  • 5. トキシックショック様症候群のほうが予後不良

選択問題43:解答 5

選択問題43

50歳代の男性. 図8aの皮膚所見で受診し, 図8bの検査所見であった. 本症について正しいのはどれか.

  1. 中枢神経が侵される
  2. 1種類の抗菌薬で治療する.
  3. 抗酸菌用培地で発育可能である.
  4. 日本では毎年約50名の新規患者がいる.
  5. 多菌型(MB, LL型)では左右対称性に皮疹・神経症状がみられる.

2019-S43

図8aでは左右対称性の軽度隆起した紅斑局面がみられ、図8bでは赤く染まる桿菌を多数認めることからハンセン病の診断

ハンセン病について、詳しくは上記リンク先を参照

  • 1. ハンセン病で障害されるのは皮膚と"末梢"神経
  • 2. 治療はダプソン(DDS)やリファンピシン(RFP)を含む多剤併用療法が行われる(∵増殖速度が遅いため単剤では薬剤耐性菌が生じる)
  • 3. らい菌(Mycobacterium leprae)は通常培地で発育不可のため、皮膚スメア検査や生検組織の抗酸菌染色で診断する
  • 4. 日本での新規発症患者は10名/年程度で、多くは在日外国人
  • 5. 多菌型の皮疹や神経症状は左右対称性(少菌型は非対称)

関連問題

選択問題44:解答 3

選択問題44

26歳の女性. 睫毛部に付着していた虫体(図9)を持参して来院した. 本性について正しいのはどれか.

  1. 不潔な環境で発生する.
  2. 幼児での流行がみられる.
  3. 通常は性行為で感染する.
  4. 虫卵は衣類に付着している.
  5. 殺虫剤抵抗性が問題となっている.

2019-S44

図9の写真は胴体が太くケジラミを示している

ケジラミは通常性行為で感染するが、眉毛や睫毛に寄生することもある→3

2019-Sirami

参考サイトより引用

※アタマジラミとコロモジラミは外見だけでは区別できない

※トコジラミ(南京虫)はカメムシの一種でシラミとは別

  • 1・4. コロモジラミは不潔な環境(衣類)で発生するため、ホームレスでの集団感染が問題となる
  • 2. アタマジラミは学校などの共同生活により幼児〜学童間で流行する
  • 3. ケジラミは主に性行為で感染する
  • 5. アタマジラミはピレスロイド(スミスリン®)抵抗性のものが沖縄県などで増加している。
    ピレスロイド抵抗性にも有効なジメチコン製剤であるアースシラミとりローション®が近年発売された

選択問題45:解答 3

選択問題45

68歳の男性. キャンプから帰宅した翌日に腹部の皮疹(図10)に気付いた. 本症について正しいのはどれか.

  1. 虫体の自然脱落を待つのがよい.
  2. 鶏肉アレルギーに注意する必要がある.
  3. 忌避剤配合の虫除けスプレーが予防に有効である.
  4. 重症熱性血小板減少症候群に感染する確率が高い.
  5. ネズミが生息する施設内で宿泊した際に被害を受ける.

2019-S45

図10はフタトゲチマダニを示しており、マダニ刺症に関する問題

  • 1. 感染予防のため早期に、また周囲皮膚を含めて(∵口器が残ると異物肉芽腫となるため)虫体を切除する
  • 2. マダニ咬傷により糖鎖α-galへ感作され、交差反応で獣肉(牛・豚など4つ足動物)やセツキシマブ(抗がん剤)に対するアレルギー反応をきたす。鶏肉は交差反応を示さない。
    Bird-egg症候群では交差反応により卵黄や鶏肉にアレルギー反応を生じる
  • 3. マダニ予防ではディート(ジエチルトルアミド)やイカリジンが用いられる
  • 4. マダニのSFTSウイルス保有率はきわめて低い
  • 5. マダニは草むらに生息する。イエダニはネズミが媒介し、家族性に膨疹や丘疹をきたす

関連2018 選択33(マダニ刺症とアレルギー)

選択問題46:解答 2

選択問題46

次の刺症・咬傷の中でアナフィラキシーを最も生じないのはどれか.

  1. オオハリアリ
  2. クマバチ
  3. トビズムカデ
  4. ヒアリ
  5. ミツバチ

クマバチは温厚なハチであり、人を刺すことはめったに無い。また毒針を持たないので、アレルギー症状が出現することは稀→2

  • 1. オオハリアリ:アリ刺症の原因となる代表的なアリで、毒針を有しアナフィラキシー症状を来すことがある
  • 2. クマバチ:大型のハチだが、通常人を襲うことはなく刺されたとしても直後の疼痛のみ
  • 3. トビズムカデ:オオムカデ属に属し、溶血性毒素を持つ。アナフィラキシー症状を生じることがある
  • 4. ヒアリ:ソノレプシンと呼ばれるアルカロイドが毒成分で、アナフィラキシーをきたし得る。ハチ毒と交差反応を示しえる
  • 5. ハチ:ミツバチ・アシナガバチ・スズメバチはアナフィラキシーを起こすハチの代表。ススメバチ-アシナガバチは交差反応もある
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p904(1・5)/905(3)
  • 参考書籍:Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎 p44(2)/48(1)/56(3)/42(5)
  • 選択肢4の参考:ヒアリの特徴とヒアリ刺症の治療 臨床皮膚科 最近のトピックス2018 72巻5号 p166-168

選択問題47:解答 2, 3, 5

選択問題47

疥癬治療に用いる内服薬イベルメクチンについて正しいのはどれか. 3つ選べ.

  1. 母乳中には移行しない.
  2. 空腹時投与が原則である.
  3. 妊婦には投与すべきではない.
  4. 肝機能障害があっても減量の必要はない.
  5. 腎機能障害があっても減量の必要はない.

イベルメクチン(ストロメクトール®)の投与対象者に関する問題

疥癬治療薬としてはフェノトリン(スミスリン®)ローションと並んで推奨度Aだが、妊婦授乳婦や体重15kg未満の場合非推奨(疥癬診療ガイドライン 第3版)

  • 1. ヒト母乳中への移行が報告されている
  • 2. 高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがあり、空腹時に投与することが望ましい
  • 3. 妊婦への投与は安全性が確立していない
  • 4. 肝機能障害の副作用があり、肝障害患者では投与を控える/異常時の投与中止等対応が必要
  • 5. 腎障害・透析患者であっても減量の必要はない

選択肢4は"減量"について添付文書等に具体的な記載(ex. ASTの値が基準値の3倍以上なら半量にする)はないが、肝障害時に投与中止と記載があり、中止は広義の減量に含まれるため間違い選択肢と考える

なお発売元のマルホHPでは「肝機能障害患者には、医師の慎重な判断のもとに投与を検討してください。また、肝機能障害が悪化した場合は次回の投与を中止してください。」と記載されている

関連2017 選択36(小児に投与可能な疥癬治療薬), 2018 選択32(投与量), 2016 選択25(疥癬治療の1st choice)

選択問題48:解答 5

選択問題48

梅毒の皮疹・粘膜疹の組織に浸潤している炎症細胞の中で, 特に本疾患を強く示唆するのはどれか.

  1. 好酸球
  2. 組織球
  3. リンパ球
  4. 肥満細胞
  5. 形質細胞

梅毒の皮疹・粘膜疹(1〜2期)では血管内皮細胞の増殖と形質細胞やリンパ球の浸潤が見られる

梅毒特異性が高いのは形質細胞→5

なお3期梅毒では類上皮細胞肉芽腫がみられる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p559
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p923

関連:2014年度 選択66(形質細胞浸潤がみられる疾患)

選択問題49:解答 3

選択問題49

先天梅毒で, 出現しない症状はどれか.

  1. 難聴
  2. 角膜炎
  3. 初期硬結
  4. 仮性麻痺
  5. Hutchinson歯

先天梅毒

梅毒は重篤な母子感染をきたすTORCH症候群に含まれる

先天梅毒では経胎盤感染が原因となり、第1期梅毒(梅毒が侵入する部位の症状)はなく第2期梅毒の症状から始まる

→初期硬結はない(選択肢3)

先天梅毒の症状 時期 症状
早期先天梅毒 生後6か月〜 第2期症状(梅毒性バラ疹・丘疹性梅毒・扁平コンジローマ等)

老人用顔貌

骨軟骨炎の疼痛による仮性麻痺
(Parrot仮性麻痺)

晩期先天梅毒 学童期・思春期 第3期症状(ゴム腫等の肉芽腫性病変)

Hutchinson3徴が顕著となる

  1. 歯牙のビア樽状変化(Hutchinson歯牙)
  2. 角膜実質炎
  3. 内耳性難聴
  • 1・2・5. 難聴・角膜炎・Hutchinson歯:Hutchinson3徴
  • 3. 初期硬結:1期梅毒の症状であり、先天梅毒ではきたさない
  • 4. 仮性麻痺:早期先天梅毒でみられる症状
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p559
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p922

選択問題50:解答 2, 3

選択問題50

HIVについて正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. 新規感染者は近年世界的に増加傾向にある.
  2. CD4陽性細胞数と梅毒の罹患頻度には相関はない.
  3. HIVにはHIV-1とHIV-2の2種類があり, ともにRNAウイルスである.
  4. HIV抗体検査が偽陰性となりうる空白期間は感染から3週間以内である.
  5. 無症候期ではCD4陽性細胞におけるHIVの複製・増殖はほとんどみられない.
  • 1. HIV新規感染者数は1998年のピーク時(280万人)より47%減少し、2020年は150万人/年となっている。国内はややピークが遅かったが、2010年頃の1,200人/年をピークに2020年は750人/年まで減少している
  • 2. CD4陽性細胞数と梅毒の罹患頻度に相関はなく、CD4数が高値でも梅毒に罹患する
  • 3. HIVにはHIV-1とHIV-2があるが、HIV-2は西アフリカの限られた地域でのみ流行している。
    RNAウイルスであり変異(薬剤耐性化)をきたしやすい
  • HIV"抗体"検査が偽陰性となりうる空白期間(window period)は6〜8週間。核酸増幅検査(NAT)や抗原・抗体を同時測定可能な第4世代の検査キットでは感染後2〜3週間程度で陽性となる
  • 無症候期(感染後数ヶ月〜10年)もHIVウイルスの複製/CD4陽性細胞の破壊は生じている

関連2021 選択44/2018 選択34 (感染後抗体ができるまでの期間), 2015 選択27(CD4値と梅毒罹患)

選択問題51:解答 4

選択問題51

シェーグレン症候群において認められる頻度が最も低いのはどれか.

  1. 眼瞼炎
  2. 凍瘡様紅斑
  3. 頬部環状紅斑
  4. 多形皮膚萎縮
  5. 下腿点状紫斑

多形皮膚萎縮(ポイキロデルマ)は慢性炎症疾患の終焉像であり、原因疾患は膠原病では皮膚筋炎がある→4

シェーグレン症候群の症状

  • 皮膚症状:環状紅斑・高ガンマグロブリン血症性紫斑(皮膚血管炎)・凍瘡様紅斑・虫刺症様紅斑
  • 眼症状:眼球乾燥・眼瞼炎
  • 口腔症状:口腔内乾燥・口角炎

とくに環状紅斑と皮膚血管炎はシェーグレン症候群に特徴的な皮膚病変としてガイドラインでも挙げられている(SSCQ4)

多形皮膚萎縮(ポイキロデルマ)

皮膚萎縮・色素異常と毛細血管拡張症の混在する状態

様々な疾患の皮膚病変の終末像という側面があり、下記のような原因疾患がある

  • 膠原病:皮膚筋炎, SLE, 強皮症
  • リンパ腫:菌状息肉症
  • 炎症性皮膚疾患:湿疹続発性紅皮症, 扁平苔癬
  • 皮膚障害:慢性放射線皮膚炎, 慢性日光皮膚炎, 外傷性瘢痕
  • 遺伝性疾患:色素性乾皮症, 先天性表皮水疱症, Rothmund-Thomson症候群
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p212/75(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p419/472(4)

関連:2015年度 選択58(多形皮膚萎縮を来す疾患:色素性乾皮症・菌状息肉症), 2011年度 選択62(同 放射線皮膚炎・Rothmund-Thomson症候群)

選択問題52:解答 1

選択問題52

2012年に発表された血管炎の国際分類であるChapel Hill分類(CHCC2012)において, 多様な血管を侵す血管炎の範疇に配置されたのはどれか.

  1. Behçet病
  2. ループス血管炎
  3. がん関連血管炎
  4. 皮膚白血球破砕性血管炎
  5. クリオグロブリン血症性血管炎

Chapel Hill分類では障害血管の太さや原疾患によって、血管炎が分類されている

種々の血管を侵す血管炎として分類されているのはBehçet病とCogan症候群→1

Chapel Hill 血管炎分類

大型血管炎 高安動脈炎
巨細胞性動脈炎
中型血管炎 結節性多発動脈炎(PAN)
川崎病
小型血管炎 ANCA関連血管炎 顕微鏡的多発血管炎(MPA)
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
(Wegener肉芽腫症)
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
(Churg-Strauss症候群)
免疫複合体性小型血管炎 IgA血管炎
(Henoch-Schönlein)
クリオグロブリン血症性血管炎
低補体血症性蕁麻疹様血管炎
種々の血管を侵す血管炎 Behçet病
Cogan症候群
単一臓器の血管炎 皮膚白血球破砕性血管炎
皮膚動脈炎
全身疾患に続発する血管炎 ループス血管炎
リウマトイド血管炎
サルコイド血管炎
誘因の推定される続発性血管炎 C型肝炎ウイルス関連クリオグロブリン血症性血管炎
梅毒関連大血管炎
癌関連血管炎

上記より、本問の解答は以下

  • 1. Behçet病:種々の血管を侵す血管炎
  • 2. ループス血管炎:全身疾患に続発する血管炎
  • 3. がん関連血管炎:誘因の推定される血管炎
  • 4. 皮膚白血球破砕性血管炎:単一臓器の血管炎
  • 5. クリオグロブリン血症性血管炎:免疫複合体性小型血管炎

関連2017 選択40(血管炎の病態に基づく分類)

選択問題53:解答 1, 3

選択問題53

皮膚筋炎の特異的抗体で抗核抗体でないのはどれか. 2つ選べ.

  1. 抗ARS抗体
  2. 抗Mi-2抗体
  3. 抗MDA5抗体
  4. 抗TIF1-γ抗体
  5. 抗NXP-2抗体

皮膚筋炎特異的抗体の多くは抗核抗体、つまり細胞の核に対する抗体

一部それ以外の細胞成分(細胞質)に対する抗体がある:抗ARS抗体、抗MDA5抗体→1, 3

※"A"がつくものは抗核抗体(ANA)が陰性

これらの自己抗体では抗核抗体が陰性となる(=スクリーニングで見逃される恐れがある)ため注意が必要

皮膚筋炎と自己抗体 症状

自己抗体 種類 皮膚以外の臨床的特徴 皮膚症状
抗ARS抗体
(ARS:アミノアシルtRNA合成酵素)※Jo-1, PL-7等8種類の総称
抗細胞質抗体 慢性進行性間質性肺炎 機械工の手(mechanic's hand)

:母指尺側と示指橈側の角化性病変

抗MDA5抗体
(抗CADM-140抗体)
抗細胞質抗体
(RIG-I様受容体)
急速進行性間質性肺炎

筋炎症状に乏しい

逆ゴットロン徴候・紫紅色斑
抗TIF1-γ抗体 抗核抗体 悪性腫瘍(成人例のみ)・嚥下障害

間質性肺炎合併は少ない

びらん・潰瘍化し浮腫や水疱を伴う
抗NXP-2抗体
(抗MJ抗体)
抗核抗体
(抗体価は低い)
小児皮膚筋炎 皮下・筋肉内の石灰化
抗Mi-2抗体 抗核抗体
(高力価)
古典的皮膚筋炎(CK高値・強い筋炎症状)

間質性肺炎合併は少ない

選択問題54:解答 4

選択問題54

「鼠径リンパ節郭清は鼠径靭帯・長内転筋・( )で囲まれた大腿三角の脂肪組織を中心とした軟部組織を一塊として切除することで所属リンパ節を摘出する」

  1. 短内転筋
  2. 大腿二頭筋
  3. 精索
  4. 縫工筋
  5. 大腿筋膜

大腿三角を構成する要素は下記3つ→4

  • 長内転筋(ちょう)
  • 縫工筋(ほう)
  • 鼠径靭帯(けい)

同部位には大腿動静脈と神経が走行(内側からVANの順)し、スカルパ三角と呼ばれる

2019-Scarpatriangle

参考サイトより引用

選択問題55:解答 2

選択問題55

ケラチンと直接結合する分子はどれか.

  1. BP180 (17型コラーゲン)
  2. BP230
  3. ラミニン332
  4. ラミニンγ1
  5. 7型コラーゲン

基底細胞に存在する蛋白の中で、BP230・プレクチン・α6β4インテグリンはケラチン5/14と直接結合する→2

2019-K5:14

あたらしい皮膚科学 第3版より引用

  • 1. BP180(17型コラーゲン):ヘミデスモソームに存在する、接合部型表皮水疱症(非Herlitz型)や水疱性類天疱瘡の標的分子
  • 2. BP230:基底細胞に存在し、ケラチンと直接結合する。水疱性類天疱瘡の標的分子の一つ
  • 3. ラミニン332(ラミニン5):基底膜真皮側に存在する、接合部型表皮水疱症(Herlitz型)や粘膜類天疱瘡(MMP)の標的分子。MMPでは悪性腫瘍の合併が多い
  • 4. ラミニンγ1:基底膜真皮側に存在する、抗ラミニンγ1類天疱瘡の標的分子。半数で尋常性乾癬を合併する
  • 5. 7型コラーゲン:係留線維に存在する、栄養障害型表皮水疱症や後天性表皮水疱症の標的分子
  • 参考および図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p6/241・256(1)/256(2)/241・259(3)/264(4)/243・260(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p10/308・318(1)/308(2)/311・318(3)/313・319(5)

選択問題56:解答 5

選択問題56

接合部型先天性表皮水疱症(幽門閉鎖合併型)と粘膜類天疱瘡に共通する標的分子はどれか.

  1. プレクチン
  2. ラミニン332
  3. プラコフィリン1
  4. 17型コラーゲン
  5. インテグリンα6/β4

接合部型表皮水疱症(幽門閉鎖合併型)の標的分子はインテグリンα6/β4

粘膜類天疱瘡の中でも、眼症状をきたしやすい→5

表皮水疱症の病型と原因蛋白については下記参照

Epidermolysis-Bullosa
先天性表皮水疱症の病型と原因蛋白・遺伝形式まとめ

続きを見る

上記より、

  • 1. プレクチン:単純型表皮水疱症 筋ジストロフィー/幽門閉鎖合併型の標的分子
  • 2. ラミニン332(ラミニン5):接合部型表皮水疱症(Herlitz型)や粘膜類天疱瘡(MMP)の標的分子
  • 3. プラコフィリン1:Ectodermal dysplasia skin fragility syndromeの標的分子。水疱症に脱毛や掌蹠角化症を伴う
  • 4. 17型コラーゲン:接合部型表皮水疱症(非Herlitz型)や水疱性類天疱瘡の標的分子
  • 5. インテグリンα6/β4:接合部型表皮水疱症(幽門閉鎖合併型)および粘膜類天疱瘡の標的分子
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p239(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p318(3)

関連2020年度 選択57, 2018年度 選択84(幽門閉鎖を伴う表皮水疱症の原因分子), 2017年度 選択81(表皮水疱症の原因分子)

選択問題57:解答 2, 5

選択問題57

1M食塩水処理(4℃, 48時間)した正常皮膚を用いた蛍光抗体間接法(split skin法)のIgG染色で, 図11のような所見がみられた. 考えられる疾患はどれか. 2つ選べ.

  1. 水疱性類天疱瘡
  2. 後天性表皮水疱症
  3. 妊娠性水疱性類天疱瘡
  4. 抗BP180型粘膜類天疱瘡
  5. 抗ラミニン332型粘膜類天疱瘡

2019-S57

図11ではsplit skin法において、真皮側で蛍光抗体の沈着が見られる

選択肢の中では、後天性表皮水疱症と抗ラミニン332型粘膜類天疱瘡が真皮側での沈着をきたす→2, 5

split skin 間接蛍光抗体法による水疱症の鑑別(1M食塩水剥離皮膚)

1M食塩水で正常皮膚を処理すると、透明帯の部分で表皮と真皮に分かれる

この皮膚と患者血清を反応させ、抗体が表皮 or 真皮のどちらに沈着するかで病変部位が推定できる

沈着部位 代表的疾患
表皮側に沈着 水疱性類天疱瘡
粘膜類天疱瘡(17型コラーゲン)
妊娠性類天疱瘡
真皮側に沈着 後天性表皮水疱症
粘膜類天疱瘡(ラミニン332)
抗ラミニンγ1類天疱瘡

上記より、解答は以下

  • 1・3・4. 水疱性類天疱瘡・妊娠性水疱性類天疱瘡・抗BP180型粘膜類天疱瘡:表皮側に沈着
  • 2・5. 後天性表皮水疱症・抗ラミニン332型粘膜類天疱瘡:真皮側に沈着
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p261

選択問題58:解答 1

選択問題58

わが国のサルコイドーシスの診断基準(2015)で, 非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を示す皮膚病変を有し, 他の肉芽腫・局所サルコイド反応を除外できている患者で, サルコイドーシスと診断するのに必要な他の条件は何か.

  1. なし
  2. BHL (両側肺門リンパ節腫脹)
  3. 眼病変
  4. 肺野病変
  5. 皮膚以外の2病変

サルコイドーシス診断基準では、組織学的診断がつき鑑別疾患が除外できていれば皮膚病変(臨床症状)のみで確定診断できる

サルコイドーシス診断基準

  • 組織診断:臨床症状・検査所見・呼吸器/眼/心臓病変のどれか1項目+組織像(乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫)
  • 臨床診断:臨床症状+検査所見(BHLやACE高値) 2/5項目+呼吸器/眼/心臓 のうち2/3

※いずれも鑑別疾患の除外は必要

選択問題59:解答 1, 2, 4

選択問題59

メラノサイトの減少を主病態とする疾患はどれか. 3つ選べ.

  1. まだら症
  2. 尋常性白斑
  3. 脱色素性母斑
  4. Vogt-小柳-原田病
  5. Hermansky-Pudlak症候群

白斑を生じる疾患は、メラノサイト数が減少するものと機能異常が生じるものに分類される

数が減少する疾患はまだら症・尋常性白斑・Vogt-小柳-原田病→1, 2, 4

  • 1. まだら症:KIT遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患で、メラノサイトの遊走障害をきたす(→メラノサイト減少)。前額部のwhite forelockと呼ばれる病変が特徴
  • 2. 尋常性白斑:後天性にメラノサイトによる自己免疫が生じ、メラノサイトが消失する
  • 3. 脱色素性母斑(白斑性母斑):先天的に一部のメラノサイトで機能低下が生じ、不完全脱色素斑を示す。大きさや分布は生涯変化しない
  • 4. Vogt-小柳-原田病:メラノサイトに対する自己免疫が生じ、急性期の髄膜炎症状→ぶどう膜炎後、回復期に白斑をきたす
  • 5. Hermansky-Pudlak症候群:症候型眼皮膚白皮症の一つで、細胞内蛋白質輸送の障害からメラニン合成障害による白皮症や出血傾向をきたす

大まかに言って、自己免疫的機序による疾患はメラノサイトが破壊され組織学的にメラノサイト数減少が見られる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p306(1)/305(2)/308(3)/307(4)/304(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p518(1)/511(2)/539(3)/514(4)/517(5)

関連2021 選択78(メラノサイトが増加しない疾患)2020年度 選択72(脱色素性母斑について), 2018年 選択48(不完全脱色素斑を示す疾患)

選択問題60:解答 3

選択問題60

54歳の女性. 小学生の頃より, 四肢伸側の皮膚に色素増強を認め, 当科を受診した. 四肢末端に図12a〜bの皮膚所見を呈し, 手掌には点状陥没を認めた(図12cの矢印). 家族歴を図12dに示す. 最も考えられる疾患はどれか.

  1. まだら症
  2. Dowling-Degos病
  3. 網状肢端色素沈着症(北村)
  4. 遺伝性汎発性色素異常症
  5. 遺伝性対側性色素異常症(遠山)

四肢末端の色素沈着および手掌での点状陥凹を認め、家系図からは子ども3/4が発症していることから常染色体優性遺伝疾患と考えられる

特徴的な症状より、網状肢端色素沈着症(北村)の診断→3

  • 1. まだら症:白斑、とくに前額部のwhite forelockと呼ばれる病変が特徴のKIT遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患
  • 2. Dowling-Degos病:間擦部を中心に角化性丘疹や色素沈着をきたし、KRT5・POGLUT1遺伝子などが原因の常染色体優性遺伝疾患
  • 3. 網状肢端色素沈着症:四肢末端の小褐色斑が多発し掌蹠で点状陥凹をきたす疾患で、ADAM10遺伝子が原因となる常染色体優性遺伝疾患
  • 4. 遺伝性汎発性色素異常症:全身の皮膚で(5)と類似した色素斑や脱色素斑をきたす疾患で、ABCB6SASH1遺伝子が原因となる
  • 5. 遺伝性対側性色素異常症(遠山):四肢末端で褐色斑と脱色素斑が混在し顔で雀卵斑をきたす疾患で、ADAR1遺伝子が原因となる常染色体優性遺伝疾患
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p306(1)/311-312(3・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p518(1)/510-511(3・5)
  • 選択肢2・4の参考:新・皮膚科セミナリウム 色素増加症 日皮会誌:129(10), 2125-2135, 2019

関連2020年度 選択45(色素沈着と色素脱失をきたす疾患), 2016年度 選択43(遠山の遺伝形式), 2014年度 選択45(常染色体優性遺伝疾患)


2019-specialist-3
令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

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