皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択76〜90 記述

2022年9月26日

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成27(2015)年度解答解説を作成しました

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選択問題51〜75は下記

2015-Specialist-3
平成27(2015)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

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平成27年度(2015年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択76〜90 記述

選択問題76:解答 3, 5

付属器癌に関する問題

  • 1. 脂腺癌の多くは眼瞼マイボーム腺に由来するが、国内では眼瞼外が多い(39/60例)という報告もある→△
  • 2. 微小嚢胞性付属器癌は深部への浸潤傾向が強いが、遠隔転移は稀
  • 3. 眼瞼脂腺癌は基本的にマイボーム腺に由来するが、ツァイス腺から生じることもある
  • 4. 皮膚粘液癌は眼瞼や顔面に好発する。腋窩は好発部位ではない
  • 5. エクリン汗孔癌はエクリン汗孔腫が悪性化して生じることがあり、辺縁で良性部分が混在する像が見られる

選択肢1について。教科書的には眼瞼発生が多いという記載が一般的。上記論文では眼瞼外が多いと主張されているが、「札幌皮膚病理研究所」の報告であり、(眼科領域で扱われることも多い)脂腺癌についてこれを普遍的事実として良いかどうかはやや疑問が残る

ただ2014年度の皮膚科専門医試験について述べられている「JDA Letter vol.21」では、脂腺癌の発生部位に関して受験者の知識にピットフォールがあったようです。教科書によっては誤解を招く記載があることを確認しました。少なくとも日皮会誌やJDの臨床研究的な論文、例えば脂腺癌(Sebaceous carcinoma)の臨床的観察などには注意を払う必要がありますと記載され、教科書記載より本論文の結果が妥当であると出題者が認識していることが伺える。よってここでは間違い選択肢であると考えた

なお本問は試験テクニック的に「〜ことがある」という無難な選択肢を選ぶと、正解にたどり着くこと自体は可能となっている

関連2014 選択57 (脂腺癌の発生部位など)

選択問題77:解答 1

ケラチンパターンに関与するのはフィラグリン→1

角化細胞の細胞骨格であるケラチンは、顆粒層でフィラグリンと凝集しケラチンパターンを構成する

その後フィラグリンは分解され天然保湿因子(アミノ酸)となり、保湿や紫外線防御に作用する

*プロフィラグリン:顆粒層に存在するケラトヒアリン顆粒の主要構成成分

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8(1)/9(2・3)/7(4・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p11(1)/12(2・3)/7(4・5)

関連問題

選択問題78:解答 5

CYP3A4が関与しない薬剤を問う問題

アシクロビルは腎排泄薬剤であり、CYP3A4による代謝を受けない→5

CYP3A4は薬物代謝酵素シトクロムP450の一つで、肝臓に多く分布する

同酵素を代謝に利用する薬剤や阻害する薬剤があり、相互作用に留意が必要

  • 1. シクロスポリン:CYP3A4阻害作用を有し、ロスバスタチン等が併用禁忌
  • 2. イトラコナゾール:パルス療法として爪白癬治療に用いられるが、併用禁忌薬剤が多い。肝障害の副作用があり、定期的に肝機能検査を行うことが望ましいとされている。
  • 3・4. クラリスロマイシン・エリスロマイシン:いずれもマクロライド系抗菌薬で、CYP3A4阻害作用を持つ
  • 5. アシクロビル:CYP3A4は関与しない

アシクロビルはクレアチニンクリアランスに応じて投与量を調節することから推測する

関連問題

選択問題79:解答 1, 3, 4

感染症法上の届出義務を問う問題

梅毒・日本紅斑熱・劇症型溶血性レンサ球菌は届出疾患→1, 3, 4

230813-infectious-diseases
感染症法に基づく医師の届出 まとめ

続きを見る

*CRE:カルバペネム耐性腸内細菌科細菌

関連:感染症法の届出義務は頻出, 関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題80:解答 3

臍部に生じない皮膚疾患を問う問題

副乳はmilk line上に生じるため、正中である臍部には生じない→3

  • 1. 異所性子宮内膜症:卵巣やDouglas窩以外の部位で生じたものを異所性〜と称する。臍部子宮内膜症は稀少部位子宮内膜症としてガイドラインが制定されている
  • 2. 尿膜管遺残:胎児期に存在する膀胱から臍へつながる尿膜管が、出生以降も閉鎖しないために生じる。臍炎をきたしやすい
  • 3. 副乳:乳腺原基が消失せずに残っているもの※で、milk line(両腋窩〜乳頭〜鼠径〜大腿内側)に沿って発生する
  • 4. 乳房外Paget病:アポクリン腺に好発し、外陰部や腋窩が多いが臍周囲も生じる
  • 5. Sister Mary Joshph's nodule:腹腔内悪性腫瘍(主に消化器癌)が臍部に転移し、結節をきたしたもの。原発巣が進行しており予後不良

※乳腺原基は本来、乳頭部の一対以外消失する

関連問題

選択問題81:解答 5

パッチテスト/プリックテストに関する問題

プリックテストでは陽性コントロールの1/2以上であれば陽性→5

パッチテスト判定 ICDRG基準 本邦基準

パッチテストには判定基準が2つ存在する

ICDRG=国際接触皮膚炎研究班(International Contact Dermatitis Research Group)

ICDRG基準 反応
- 反応なし
+? 紅斑のみ
+ 紅斑+浸潤、丘疹
++ 紅斑+浮腫+丘疹+小水疱
+++ 大水疱
IR 刺激反応

+以上が陽性反応

本邦基準
(パッチテスト研究会)
反応
- 反応なし
± 軽度の紅斑
+ 紅斑
++ 紅斑+浮腫、丘疹
+++ 紅斑+浮腫+丘疹+小水疱
++++ 大水疱

++以上が陽性反応

プリックテスト判定基準

膨疹の直径 判定
陰性コントロールと同等 -
陽性コントロールの1/2未満 +
陽性コントロールの1/2以上同等未満 2+ (陽性)
陽性コントロールの同等以上2倍未満 3+ (強陽性)
陽性コントロールの2倍以上 4+
  • 施行後15分で判定
  • 原則として紅斑は含まない(紅斑のみ誘発される場合は紅斑径により評価)
  • 陰性コントロール:生理食塩水
    陽性コントロール:ヒスタミン二塩酸塩(1%)

上記より本問の解答は以下

  • 1. パッチテストで紅斑のみはICDRG基準では+?、本邦基準では±。いずれも紅斑のみでは陽性と解釈しない
  • 2. angry back syndromeはパッチテストで特定の場所が強い陽性反応を示すと、周囲に非特異的反応が生じて解釈不能になる現象。対策として濃度を薄めたパッチテストを行う
  • 3. プリックテストは即時型アレルゲン検出("I型"アレルギー)の検査
  • 4. プリックテストは注射なので、ワセリンは使わずヒスタミンのみを用いる。また濃度は10mg/mL=1%*
  • 5. プリックテストは陽性コントロールの1/2以上の膨疹で陽性と判定する

*10mg/mL = 10mg/1,000mg(1mLは1gのため) = 1%

関連問題

選択問題82:解答 5

クォンティフェロン検査とT-スポット.TBの違いを問う問題

両検査とも、結核菌だけでなくM. marinumに対して交差反応を示すことがある→5

IGRA検査 (クォンティフェロン・T-SPOT) 比較

IGRA(interferon-γ release assay)は結核感染判定に用いられ、クォンティフェロン®TBゴールド(QFT)とT-SPOT®.TB(T-スポット)の2法がある

いずれもリンパ球を結核菌特異的抗原で刺激し、IFN-γ産生をチェックする

(感染していると健常人より免疫応答が強くなるため判定できる)

ツベルクリン反応と比較して、BCG接種や非結核性抗酸菌症(肺NTM症)の影響を受けないというメリットがある

QFT T-スポット
刺激方法 全血を抗原刺激 末梢血リンパ球のみを抗原刺激
測定方法 IFN-γを定量
(ELISA)
IFN-γを産生したリンパ球をスポット数としてカウント
(ELISPOT)
採血管 専用採血管※ 通常のもの
(ヘパリン入り採血管)

※最新の第4世代QFTではヘパリン採血管での一時的保存が可能(培養時は専用採血管に移す必要がある)

上記より本問の解答は下記

  • 1. 専用の採血管を用いるのはQFTのみ、T-SPOTは通常のヘパリン入り採血管
  • 2. 全血を検査で用いるのはQFTのみ、T-SPOTはリンパ球のみ
  • 3. IFN-γ定量を行うのはQFTのみ、T-SPOTはスポット数をカウント
  • 4. 小児や乳幼児では細胞性免疫が未成熟であるためIGRAの検査感度が低く、ツベルクリン反応検査を併用することが推奨されている※
  • 5. 一部の抗酸菌(M.marinumM. kansasii)は血液刺激に使われる結核菌特異抗原を含み、陽性となることがある。なお肺MAC症の原因となるM. aviumM. intracellulareは交差反応をきたさない

※最新の第4世代QFT(2018年発売)では、CD8免疫応答を測定することで小児やHIV感染者での検査感度が上がったとされる

関連問題

選択問題83:解答 2

皮膚生検部位に関する問題

血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B cell lymphoma:IVL)の診断に、無疹部を含めたランダム生検が有用→2

  • 1. シェーグレン症候群の診断に、唾液腺ないし涙腺の生検(リンパ球浸潤の証明)が必要。皮膚は診断基準に含まれない
  • 2. IVLの生検は真皮深部〜皮下脂肪組織を含め、無疹部からも行われる。なお老人性血管腫がある場合はその部位の生検が有用
  • 3. クリーピングディジーズは皮膚寄生幼虫が皮内を移動するのに伴って生じる線状皮疹で、顎口虫などが原因。先端部で虫体がみられることがあり、同部位からの生検が有用
  • 4. 血管炎ではしびれ(神経障害)だけではなく、紫斑や潰瘍がある部位での生検が必要
  • 5. サルコイドーシスの診断には皮膚病変と組織学的診断(乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫)が必要

関連問題

選択問題84:解答 4

FDG-PET/CTは糖尿病で影響を受ける→4

FDG-PET/CT

腫瘍や炎症など、代謝が亢進した部位を検出する検査(ex. 悪性腫瘍の転移検索, サルコイドーシス病変部位)

ブドウ糖と同様の挙動を示すFDG(ブドウ糖の一部を放射性元素の18Fで置換したもの)の取り込みを検出し、代謝亢進部位を判断する

しかし血糖値が高いと腫瘍へ集積せず、バックグラウンド集積が高くなり診断能が低下する

→検査前4時間以上の絶食が必要

選択問題85:解答 4

蛍光抗体直接法では凍結処理を行う→4

  • 1・2. ルーチンで行われるHE染色の固定には10%ホルマリンを用いる。ホルムアルデヒドの水溶液がホルマリン
  • 3. グルタールアルデヒド:電子顕微鏡用の試料作成時に用いられる
  • 4. 凍結処理:蛍光抗体直接法では抗原性を保持するため、液体窒素等による組織凍結を行う
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p39
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p46

関連問題

選択問題86:解答 3

抗癌剤の効果判定指標を問う問題

PRは標的病変の総和が30%以上減少した場合→3

固形がん 治療判定 (RECIST)

評価 和訳 内容
CR
(Complete Response)
完全奏効 すべての標的病変の消失
PR
(Partial Response)
部分奏功 ベースライン径和から30%以上減少
SD
(Stable Disease)
安定 PRにもPDにも該当しない場合
PD
(Progressive Disease)
進行 ベースライン径和から※20%以上増加
かつ絶対値でも5mm以上増加

※経過中ベースラインより小さくなることがあれば、そちらを基準にする

→つまり一度抗がん剤が奏功してベースラインより小さくなれば、もとの大きさまで腫瘍が大きくなる前でもPD判定となることがあり得る

選択問題87:解答 5

陥入爪の初期治療について問う問題

爪母両側縁除去術は保存的治療に抵抗性の場合行う→5

施行後爪甲肥厚や爪甲鉤彎症が起こる場合があるので、初期治療としては行わない

  • 1. アクリル人工爪:先端に人工爪を装着し陥入を改善させる(爪甲が短いと陥入爪発症の原因となる)
  • 2. ガター法:爪甲の辺縁に塩化ビニル性のチューブを挿入・固定し、側爪郭への陥入を解除する
  • 3. ワイヤー法:弾性ワイヤーを爪甲に装着することで、彎曲を改善させる
  • 4. テーピング法:テープを爪甲陥入部から螺旋状に貼付し、爪郭を反り返えさせることで陥入を改善させる
  • 5. 爪母両側縁除去術:爪甲の幅が母趾の幅より広いと陥入が生じやすいため、側縁を除去する方法。除去後にフェノールで腐食させ爪母を破壊することが一般的

選択問題88:解答 5

感染症法に基づく保健所への届出に本人の同意は不要→5

個人情報保護法では個人の権利を保護するため個人情報の取扱いに制限が設けられており、許可なく(無断で)利用できない

ただ感染症法は目的が公衆衛生の向上(感染症発生・蔓延の防止)にあり、例外的に届出が義務となっている

その他医師が関連する中では下記のような届出義務がある

  • 異状死体:医師法第21条
  • 児童虐待:児童福祉法, 児童虐待防止法
  • 麻薬中毒者:麻薬及び向精神薬取締法
  • 医療事故発生時(医療事故調査制度)※:医療法

※医師個人ではなく医療機関の管理者に届出義務がある

これらは許可を得る必要はなく、逆に反対されたとしても届出が必要(児童虐待をしている本人が届出に同意することはない)

  • 1・4. 第三者提供に当たっては、原則として(医療機関に依らず)本人の同意が必要
  • 2. 個人情報保護法第17, 18条では可能な限り利用目的の特定が求められている
  • 3. 死者に関する情報は個人情報保護法での「個人情報」には該当しないが、同等の安全管理措置が求められている(保護が必要)
  • 5. 感染症法に基づく保健所への届出は、(患者の個人情報であるが)同意なしに届出が可能

関連2016 選択86 (医療事故調査制度について)

選択問題89:解答 4

学校感染症と出席停止期間に関する出題

帯状疱疹は学校感染症に含まれず出席停止期間もない→4

一部の感染症は保育所・学校での流行を防ぐため、出席停止期間が定められている。詳細は下記

感染症の出席停止期間 学校保健安全法 【プールの可否】

続きを見る

*=第二種学校感染症

関連:年1題程度出題されている, 上記カード内の記事参照

選択問題90:解答 4 (現在は3も)

保険診療に関する問題

足底は露出部位に含まれる→4

もともと足底は露出部から除かれていたが、2012年の診療報酬改定で足底・踵が含まれるようになった

鶏眼・胼胝処置, 露出部位, 皮膚切開術の長さについては頻出

関連 (保険診療)

記述問題1:解答 種痘様水疱症

慢性活動性EBウイルス感染症の一種とされる光線過敏症は種痘様水疱症

種痘様水疱症

小児に生じる慢性日光過敏症で、露光部の小水疱および治癒後の瘢痕をきたす

慢性EBウイルス感染との関連が指摘されており、一部はリンパ腫や血球貪食症候群を合併する

蚊刺過敏症も慢性活動性EBウイルス感染症の合併症として重要

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p234
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p279・798

関連問題

記述問題2:解答 Trichophyton mentagrophytes (T. interdigitale)

足白癬起炎菌は最多のTrichophyton rubrumと、T. mentagrophytesの2つで95%以上

とくにT. rubrumは角質肥厚を起こしやすいとされる

なお近年は分子生物学の進歩により、T. mentagrophytesの大部分はT. interdigitaleに菌名変更されている

関連問題

  • 2022 記述6 (★ほぼ同一問題★)
  • 2013 選択27 (体部白癬の原因菌として最多:T. rubrum)
  • 2010 選択17 (T. rubrumでは角質増殖型が多い)

記述問題3:解答 再発性多発軟骨炎

半年ほどの経過で両耳介の腫脹がみられ、組織では軟骨周囲の炎症細胞浸潤がみられる

TypeⅡコラーゲン陽性であることも踏まえ、再発性多発軟骨炎の診断

再発性多発軟骨炎

全身の軟骨組織(TypeⅡコラーゲン*から構成される)に対して自己免疫が生じる疾患

耳介軟骨が代表だが、その他鼻・喉頭気管支関節の軟骨・硝子体等でも症状をきたす

30%ほどの症例でTypeⅡコラーゲン抗体がみられ、病勢を反映する

*真皮に存在する膠原線維はTypeⅠコラーゲンで、TypeⅡコラーゲンは軟骨や硝子体に存在する

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p213
  • 皮膚科学 第11版 p438

関連問題

記述問題4:解答 シャルコー足(関節)

深部感染を合併した糖尿病患者で、高度の足変形および胼胝・過角化が認められる

糖尿病性神経障害による高度の足変形*、シャルコー足(Charcot foot)/関節の診断

*神経障害→痛覚麻痺→関節酷使→関節破壊

なお胼胝も糖尿病性神経障害を示唆する所見として重要

病態は一般に病態機序を示すものと考えられる。本問であれば「糖尿病性神経障害による痛覚麻痺から外的刺激が反復して加わるため生じる高度の足変形」あたりが妥当だが、(出題者の意図であろう)病名と読み替えてシャルコー足を解答とした

関連2016 選択35 (糖尿病性足潰瘍で神経障害を示唆するもの)

記述問題5:解答 コゴイ海綿状膿疱

表皮有棘層において、角化細胞の破壊と膿疱形成がみられ、コゴイ(Kogoj)海綿状膿疱と称される膿疱性乾癬の特徴的所見

なお類似病変にマンロー微小膿瘍やポートリエ微小膿瘍がある

2015-Kogoj's-spongiform-pustule

参考サイトより引用

所見 代表疾患
Kogoj海綿状膿疱 有棘層上層の多房性膿疱 膿疱性乾癬
Munro微小膿瘍 角層中〜直下の好中球集合 尋常性乾癬
Pautrier微小膿瘍 角層中〜直下の異型リンパ球集合 菌状息肉症

つまり表皮内であればKogojで、角層内であればMunroと考えるのが解りやすい

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p44/283
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p56-57/384
  • 参考・図引用:Twitter @byo_mie 2022/10/18

関連2013 選択73 (膿瘍とそれを生じる疾患)

記述問題6:解答 エクリン汗孔腫

下肢の小結節で、組織では表皮から連続して周囲と異なる腫瘍巣が孤立性に増殖するBorst-Jadassohn現象がみられる

これはエクリン汗孔腫、とくにHidroacanthoma simplexと呼ばれるタイプに特徴的な像

※その他脂漏性角化症やBowen病でもみられることがある

2015-HidroacanthomaSimplex

参考文献より引用, 低倍で正常な角化細胞に囲まれて境界明瞭な腫瘍胞巣がみられる(A)。高倍では異型性に乏しい小型の腫瘍細胞がみられる(B)

記述問題7:解答 ヒストン

ボリノスタット(ゾリンザ®)はヒストンの脱アセチル化酵素、HDACを阻害する作用を持つ

アセチル化状態を維持することで、細胞分化誘導・アポトーシス誘導等に関わる遺伝子転写を促進し、抗腫瘍効果を発揮すると考えられている

皮膚T細胞性リンパ腫(菌状息肉症など)に対して保険適用

※同じ機序の薬にロミデプシン(イストダックス®)があり、2018年再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に保険承認

関連問題

記述問題8:解答 色素分界線条

下肢に対称性の境界明瞭な褐色斑がみられる。このような境界線を色素分界線条(pigmentary demarcation lines)と呼ぶ

神経分布の境界線(Voigt線)に一致してみられ、妊娠(特に妊娠後期)に伴って生じることが多い

通常出産後に消退する

2015-pigmentary-demarcation-lines

参考書籍より引用

記述問題9:解答 フォアダイス状態

口唇に黄白色の小丘疹が多発しており、フォアダイス(Fordyce)状態の診断

独立脂腺の増殖により、口唇や口腔粘膜、包皮で1〜2mm大までの黄色小丘疹が多発集簇する状態を指す

記述問題4と同様、病態(病態機序)は「独立脂腺の増殖」辺りが妥当に思えるが、(出題者の意図であろう)病名と考えてフォアダイス状態を解答とした

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p362
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p613

関連問題

記述問題10:解答 conflict of interest

利益相反(COI)のフルスペルを問う問題

conflict of interest

直訳すると利益(interest)の対立(conflict)

利益とは下記2つの利益を指す

  • 研究者の発見による技術進歩等:公的利益
  • 研究者が発見により得る金銭等の利益:私的利益

この両者が併存する状態をCOI状態と呼び、これは公的利益に悪影響を及ぼす可能性がある

例:特定の製薬会社から多額の寄付金(=私的利益)を得ていれば、同社製品の臨床効果(=公的利益)を本来より過大に見積もって発表しやすくなる、というバイアスが想定される

よって学会・論文発表やガイドラインにおいては、私的利益(寄付金等)についてCOI状態を自己申告することが一般的

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