皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和1(2019)年度解答解説を作成しました

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2020年度の解答・解説は下記

2020-Specialist-1v3
令和2年度(2020年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

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見出し


令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

選択問題1:解答 5

選択問題1

特発性後天性全身性無汗症において認められる頻度が最も低いのはどれか.

  1. 腋窩の発汗
  2. 血清IgE値の上昇
  3. 掌蹠の精神性発汗
  4. 発汗時の皮膚のピリピリする痛み
  5. 病理組織像で汗腺周囲の好酸球浸潤

特発性後天性全身性無汗症の診断基準では、病理組織像で汗腺周囲の"リンパ球浸潤"が含まれる→選択肢5が誤り

特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準

  • A:明らかな原因なく後天性に非髄節性の広範な無汗/減汗(発汗低下)を呈するが,発汗以外の自律神経症候及び神経学的症候を認めない.
  • B:ヨードデンプン反応を用いたミノール法などによる温熱発汗試験で黒色に変色しない領域もしくは サーモグラフィーによる高体温領域が全身の 25% 以上の範囲に無汗/減汗(発汗低下)がみられる.

A+B をもって AIGA と診断する.

参考項目

  1. 発汗誘発時に皮膚のピリピリする痛み・発疹(コリン性蕁麻疹)がしばしばみられる.
  2. 発汗低下に左右差なく,腋窩の発汗ならびに手掌・足底の精神性発汗は保たれていることが多い.
  3. アトピー性皮膚炎は AIGA に合併することがあるので除外項目には含めない.
  4. 病理組織学的所見:汗腺周囲のリンパ球浸潤,汗腺の委縮,汗孔に角栓なども認めることもある.
  5. アセチルコリン皮内テスト又は QSART で反応低下を認める.
  6. 抗 SS-A 抗体陰性,抗 SS-B 抗体陰性,外分泌腺機能異常がないなどシェーグレン症候群は否定する.

引用:特発性後天性全身性無汗症診療ガイドライン 改訂版.自律神経 52 : 352―359, 2015.

  • 1・3. 腋窩の発汗や掌蹠の精神性発汗は保たれる
  • 2. AIGAのうち、特発性純粋発汗不全(IPSF, AIGAの9割を占める)では血清IgE値の上昇を認めることがある
  • 5. 病理組織では汗腺周囲の"リンパ球"浸潤がみられ、シクロスポリンが有効であったという報告もある

IgE上昇と汗腺周囲のリンパ球浸潤については比較的稀な所見という報告もある:新・皮膚科セミナリウム 特発性後天性全身性無汗症 日皮会誌:131(1), 35-41, 2021
※ただし本問出題より後の論文

関連2020 選択3(AIGAに合併する疾患:コリン性蕁麻疹), 2016 選択2(診断基準)

選択問題2:解答 3

選択問題2

45歳の女性. 尋常性乾癬に対して抗IL-17A抗体の自己注射を続けている. 最近, 舌のほぼ全面に白苔が出現し, 違和感があるため受診した. 乾癬の悪化はない. 適切な治療はどれか.

  1. 抗菌薬を投与する.
  2. 抗TNF-α抗体へ変更する.
  3. 抗真菌薬を口腔内へ投与する.
  4. イソニアジド(INH)予防投与を開始する.
  5. 生物学的製剤を中止し, PDE4阻害薬を使用する.

抗IL-17A抗体製剤(セクキヌマブ・イキセキズマブ)の有害事象として、真菌感染がある

舌の白苔(口腔カンジダ症)を認めるも乾癬自体の悪化はないため、生物学的製剤の投与を続けつつ抗真菌薬外用(フロリード®ゲルなど)にて対応する(3)

カンジダ感染が遷延する場合には、定期的なβ-Dグルカン測定も推奨されている

  • 1. 細菌感染である黄色ブドウ球菌感染症(IL-17阻害で生じやすい副作用)では抗菌薬投与を行う
  • 2・5.生物学的製剤:乾癬自体の悪化はないため、薬剤変更は不要
  • 4. INH予防投与:潜在性結核があり、結核乾癬リスクが高い患者で行われる。生物学的製剤開始3週間前からINHを6ヶ月間投与する

関連2020年度 選択問題31 (慢性皮膚粘膜カンジダ症を発症する遺伝子異常:IL17F)

選択問題3:解答 1, 2, 3

選択問題3

全身または局所の多汗を伴いやすいのはどれか. 3つ選べ.

  1. 妊娠
  2. 糖尿病
  3. 腋臭症
  4. コリン性蕁麻疹
  5. アトピー性皮膚炎

続発性多汗症/無汗症の原因疾患を問う問題

  • 1. 妊娠:基礎体温の上昇や甲状腺ホルモン増加のため全身性の多汗症をきたし得る
  • 2. 糖尿病:甲状腺機能亢進症、低血糖とともに全身性多汗症をきたす代謝異常症。無汗症となることもある
  • 3. 腋臭症(ワキガ):アポクリン発汗が原因となり、エクリン発汗が原因となる原発性腋窩多汗症を高率に合併する
  • 4. コリン性蕁麻疹:特発性後天性全身性無汗症(AIGA)に合併することがある(選択問題1)
  • 5. アトピー性皮膚炎:汗孔や導管閉塞から無汗症の原因となる(AIGAに合併することもある)

関連:2021年度 選択問題2(続発性無汗症の原因疾患:糖尿病・視床下部障害)

選択問題4:解答 3

選択問題4

角層には天然保湿因子(natural moisturizing factor)が含まれている. その主成分はどれか.

  1. 乳酸
  2. セラミド
  3. アミノ酸
  4. 分泌型IgA
  5. 低級脂肪酸

顆粒細胞内のケラトヒアリン顆粒を構成するプロフィラグリン(電子顕微鏡写真)は、分解されフィラグリン→アミノ酸となり天然保湿因子と呼ばれる

  • 1. 乳酸:グルコースが嫌気性代謝を受けることで産生される
  • 2. セラミド:角層細胞間脂質の構成成分の一つで50%を占める
  • 3. アミノ酸:フィラグリンが分解されるとアミノ酸となり、保水機能や紫外線吸収能を持つ。角層のpHを弱酸性に維持する作用もある
  • 4. 分泌型IgA:腸管や唾液などの粘膜で局所免疫に作用し、母乳中にも含まれる
  • 5. 低級脂肪酸:アポクリン腺から分泌される汗が細菌で酸化され、低級脂肪酸となり悪臭を引き起こす

アトピー性皮膚炎では、セラミド含有率の低下やフィラグリン発現低下(アトピー性皮膚炎患者の25%にフィラグリンをコードするFLG遺伝子変異がある)により、角質の水分保持能力が低下することが病態に関与している

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p9(2・3)/30(4)/361(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p11(3)/13(2)/76(4)/736(5)

関連2021年度 選択問題10(フィラグリンとその分解産物の作用)

選択問題5:解答 1, 4(現在は4のみ)

選択問題5

男性型脱毛症に対する内服薬について正しい組み合わせはどれか. 2つ選べ.
※注 現在の正答は1つ

フィナステリド デュタステリド
1. 後発品 あり なし
2. 女性への効果 なし あり
3. 血清PSA値の低下 あり なし
4. 5-α還元酵素Ⅰ型阻害 なし あり
5. 5-α還元酵素Ⅱ型阻害 なし あり

男性型脱毛症(AGA)と5-α還元酵素阻害薬

男性型脱毛症(AGA)は酵素活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)が受容体と結合することが原因となる

治療としてテストステロンからDHTへの変換を行う酵素、5α還元酵素(リダクターゼ)の阻害剤が用いられる

  • フィナステリド(プロペシア®):Ⅱ型の5αリダクターゼを阻害する
  • デュタステリド(ザガーロ®):Ⅰ型+Ⅱ型の5αリダクターゼを阻害する

いずれも男性ホルモンを低下させるため、性欲減退・勃起機能不全や血清PSA濃度低下が生じる

また男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあるため、(妊娠している可能性のある)女性への投与は禁忌となっている

  • 1. 後発品:いずれも後発品が発売されている(本問出題時はフィナステリドのみ)
  • 2. 女性への効果:女性型脱毛症は男性ホルモン依存性でないため無効であり、また上述の利用から投与禁忌(推奨度1D)
  • 3. 血清PSA:いずれも低下するため、前立腺癌診断目的では2倍した値を目安として評価する
  • 4.5-α還元酵素Ⅰ型:デュタステリドのみが阻害作用を持つ
  • 5. 5-α還元酵素Ⅱ型:フィナステリド、デュタステリド双方が阻害作用を持つ

関連問題

選択問題6:解答 3

選択問題6

尋常性痤瘡治療ガイドライン(日本皮膚科学会 2017年版)において推奨度の最も高い内服抗菌薬はどれか.

  1. ファロペネム
  2. ミノサイクリン
  3. ドキシサイクリン
  4. クラリスロマイシン
  5. ロキシスロマイシン

炎症性皮疹に対しては、内服抗菌薬が推奨されている

尋常性痤瘡 炎症性皮疹の内服抗菌薬

推奨度 一般名 製品名
A ドキシサイクリン ビブラマイシン®
A* ミノサイクリン ミノマイシン®
B ロキシスロマイシン ルリッド®
ファロペネム ファロム®
C1 テトラサイクリン アクロマイシン®
エリスロマイシン エリスロシン®
クラリスロマイシン クラリス®
レボフロキサシン クラビット®
トスフロキサシン オゼックス®
シプロフロキサシン シプロキサン®
ロメフロキサシン ロメフロン®
セフロキム アキセチル オラセフ®

よって本問では

  • 1. ファロペネム:B
  • 2. ミノサイクリン:A*(めまい・色素沈着等の副作用があるため)
  • 3. ドキシサイクリン:A
  • 4. クラリスロマイシン:C1
  • 5. ロキシスロマイシン:B

関連2017 選択4(尋常性ざ瘡の推奨治療)

選択問題7:解答 2, 4

選択問題7

図1はヒト頭皮の成長期毛包のヘマトキシリン・エオジン染色像である. 矢印で提示した①〜⑤の構造物について正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. ①は毛峡部レベルで消失する.
  2. ②は, トリコヒアリン顆粒を豊富に含有する.
  3. ③には, デスモグレインは発現しない.
  4. ④は, 休止期毛包にも存在する.
  5. ⑤に, 毛包上皮幹細胞が局在する.

2019-S7

  • 1. ①(外毛根鞘):毛包の大部分で最外層に位置するが漏斗部では消失し、被覆表皮が最外層となる。角化する際に顆粒層を介さない特殊な角化形式をとる(外毛根鞘性角化)
  • 2. ②(内毛根鞘):外毛根鞘の内側に位置し、好酸性のトリコヒアリン顆粒を豊富に含有する
  • 3. ③(毛小皮):毛の最外層に位置し、デスモグレイン4を発現する。これをコードするDSG4遺伝子の変異により、常染色体劣性遺伝形式の連珠毛を発症する
  • 4. ④(毛乳頭):全ての毛周期で存在するが、休止期には毛母細胞から離れて存在する
    医療脱毛は毛母に存在するメラニンに反応するレーザーを用いるため成長期の毛には有効だが、毛乳頭と毛母が離れる休止期の毛には有効性が低い
    →複数回の照射が必要となる
  • 5. ⑤(毛母細胞):毛包上皮幹細胞は毛隆起(バルジ領域)に存在する

関連2019年度 記述問題17(外毛根鞘嚢腫の角化形式), 2017年度 選択問題5(連珠毛の画像所見)

選択問題8:解答 3

選択問題8

脱毛症について正しいのはどれか.

  1. 抜毛症は眉毛・睫毛ではみられない.
  2. 先天性三角形脱毛の病変部では軟毛はほとんどみられない.
  3. 日本人における先天性乏毛症ではLIPH遺伝子変異の頻度が高い.
  4. 円形脱毛症ではダーモスコピー上follicular microhemorrhageがよくみられる.
  5. 円形脱毛症に対するステロイドパルス療法後は速やかにステロイド内服療法に移行する.
  • 1. 抜毛症は自分で毛を抜くことが原因となるため、どの部分でも生じ得る
  • 2. 先天性三角形脱毛の病変部では、ダーモスコピーで白色の軟毛が観察される
  • 3. 先天性乏毛症は常染色体劣性遺伝形式の疾患で、日本人ではLIPH遺伝子(とくに創始者変異であるc.736T>A)やLPAR6遺伝子変異によるものが多い
  • 4. follicular microhemorrhageは抜毛症で抜毛部周囲の毛細血管が破綻して生じる。円形脱毛症では感嘆符毛・漸減毛・黒点がみられる
  • 5. 円形脱毛症の場合、ステロイドパルス内服療法はパルス療法後を先に施行して無効の場合に行うため"速やかに移行"することはない

関連2015 選択3 (乏毛症の原因遺伝子)

選択問題9:解答 4

選択問題9

毛包・脂腺の発生について正しいのはどれか.

  1. 頭部に最初に現れる.
  2. 脂腺は上面から生じる.
  3. 皮表に対して垂直に伸びる.
  4. 胎生9週ぐらいで初めて現れる.
  5. 胎生7か月で全身の毛包の発生が終わる.

毛の発生に関する一般問題

毛の発生

胎生9〜12週にまず眉毛・上口唇・オトガイ、続いて顔頭部に毛原基/毛芽が下方に向かって突出してくる

毛芽は皮表に対して斜め45°に伸び、下面から脂腺・アポクリン汗腺・毛隆起が生じる

胎生4〜5ヶ月で全身の毛包発生が終了する

上記より、解答は以下

  • 1. 眉毛・上口唇・オトガイが先行するため、頭部は最初ではない
  • 2. 脂腺は"下面"から生じる
  • 3. 皮表に対して"斜め45°"に伸びる
  • 4. 胎生9〜12週間ぐらいで初めて現れる→○
  • 5. 胎生"4〜5か月"で全身の毛包の発生が終わる
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p19

選択問題10:解答 1

選択問題10

日本人のスキンタイプ(JST)-Ⅱで, 光線過敏のない健常者にみられる反応はどれか.

  1. 20J/cm2 UVA照射直後の色素斑
  2. 20J/cm2 UVA照射翌日の紅斑
  3. 20mJ/cm2 UVB照射直後の色素斑
  4. 20mJ/cm2 UVB照射翌日の紅斑
  5. スライドプロジェクター5分照射直後の膨疹

UVAとUVBは皮膚で影響を与える部位や日焼けの生じ方が異なる

UVA/UVBの比較と光線過敏症の検査

紫外線の種類 波長(nm) 影響部位 症状 検査
UVA 320〜400 真皮深層まで サンタン(小麦色の日焼け)

日光弾性線維症(solar elastosis)

MRD(最小反応量)

健常日本人では10〜15J/cm2

UVB 290〜320 表皮〜真皮浅層 サンバーン(赤くひりひりする日焼け)

悪性黒子(Lentigo maligna)

MED(最小紅斑量)

健常日本人では50〜100mJ/cm2

紫外線に曝露された後の反応は下記のようになる

  1. 直後:UVAの影響でもともと持っているメラニンが黒くなる反応(即時型黒化)が起こる
  2. 4時間後〜:UVBの影響によるサンバーンが起こり、24時間後をピークとして3日程度で消退
  3. 10時間後〜:メラニン合成が促進し、サンタンが生じる。照射量によっては数カ月間持続する

上記より解答は以下となる

  • 1. 20J/cm2でも即時型黒化は生じるため、健常人でも見られる反応→○
  • 2. 健常人では通常UVA照射による紅斑は生じず、サンタンのみ
  • 3・4. 20mJ/cm2のUVBは健常人のMED以下であるため、反応は生じない。またUVBは即時型黒化をきたさない
  • 5. スライドプロジェクター:可視光線の光線過敏を検査するもので、15〜20分照射して反応がでれば過敏(慢性光線性皮膚炎や日光蕁麻疹で陽性)
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p84/228/230
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p110/263
  • 参考書籍:皮膚科臨床アセット シミと白斑 最新診療ガイド p148-151

関連問題

選択問題11:解答 3, 4

選択問題11

紫外線について正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. 波長は400nm以上である.
  2. 波長は長い方から, UVC > UVB > UVAの順である.
  3. UVAは, UVBよりも窓ガラスを通過しやすい.
  4. UVAは, UVBよりも外因性光線過敏症を起こしやすい.
  5. UVBは, UVAよりも真皮の深いレベルまで到達する.

紫外線に関する一般問題

UVAとUVBの比較については上記選択問題10を参照

  • 1. 波長が400nm"以下"(190nm以上)のものを紫外線と呼ぶ
  • 2. 波長が"短い"方から、UVC<UVB<UVAの順番となる
    V=fλであり、波長が短いほど振動数が高くエネルギーが高い
  • 3・5. UVAはUVBよりも透過性が高いため、通常の窓ガラスを通過し真皮でコラーゲンやエラスチンにダメージを与える(solar elastosisの原因となる)
  • 4. 外因性光線過敏症の原因となるのは主にUVA

参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p107(1・2)/229(4), 皮膚科学 第10版 p263〜265

関連:2021年度 選択問題9 (UVAが引き起こす疾患), 2020年度選択問題5 (紫外線の波長の単位)

選択問題12:解答 5

選択問題12

69歳の日本人女性. 10歳頃から顔面にそばかすのような小色素斑がみられ, 適宜サンスクリーンを使用していたが, 色素斑は徐々に増加している(図2). 50歳以降, 3度にわたり顔面に生じた基底細胞癌の切除術を受けている. 手背・足背に皮疹はなく, 神経学的な異常はない. 患者細胞を用いた検査で予想される結果として最も考えられるのはどれか.

  1. CS遺伝子に変異が同定される.
  2. 遺伝学的検査では確定診断できない.
  3. 紫外線感受性試験で細胞の生存率はきわめて低い.
  4. 紫外線照射後のRNA合成回復能(RRS)は低下する.
  5. 紫外線照射後の不定期DNA合成能(UDS)は正常である.

2019-S12

顔面から頚部にかけて雀卵斑様の色素斑が多発しており、50歳と比較的若年から基底細胞癌が多発している

神経学的異常がないことから、光線過敏症の中でも色素性乾皮症 V型を疑う

色素性乾皮症(XP)

常染色体劣性遺伝疾患で、紫外線によるDNA損傷を修復する機構に異常があり若年から皮膚悪性腫瘍を合併しやすい

原因遺伝子によってA〜G群+V型に分けられ、A〜G群ではDNA除去修復酵素に異常が、V型は損傷乗り越え複製機構に異常がある

C群/E群/V型には神経症状がない・サンタン型(色素異常型)・MED低下がないなどの共通項がある

  • 1・2. CS遺伝子変異が原因となるのはコケイン症候群で、光線過敏症の他早老症や難聴を合併するが高発癌性ではない。XP-V型の原因遺伝はPOLHで、確定診断に有用
  • 3.紫外線感受性試験:XP-V型は正常〜軽度高感受性にとどまり、V型以外は高感受性
  • 4. RNA合成回復能(RRS):コケイン症候群ではRRSが低下する
  • 5. UDS:V型の病因はDNA損傷乗り越え複製(複製の際に損傷があっても、それを乗り越えて複製を行う機構)の異常であり、UDSは正常値。V型以外は低下する

関連問題

選択問題13:解答 5

選択問題13

メラニン合成について正しいのはどれか.

  1. トリプトファンから合成される.
  2. ケラチノサイト内で合成される.
  3. 律速酵素はDHICA oxidaseである.
  4. 多くの日本人はフェオメラニン優位である.
  5. 二重膜構造のメラノソーム内で合成される.
  • 1. メラニンは"チロシン"から合成される
  • 2. メラノサイト内のメラノソームで合成され、ケラチノサイト(角化細胞)に供給される
  • 3. 律速酵素はチロシナーゼであり、同部位の遺伝子変異でOCA1型を発症する。DHICA oxidase活性を有するのはTYRP1で、OCA3型の原因となる
  • 4. 多くの日本人はユーメラニン(黒色)優位である。フェオメラニン(黄色)優位では赤毛となる
  • 5. メラノサイト内の脂質二重膜で囲まれた細胞内小器官、メラノソームで合成される
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p10-11(ALL)/304(3)/23(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p29-31(1・2・4)/517(3)/18(4)

関連2020 記述1 / 2012年 記述3(赤毛の原因となるメラニン)

選択問題14:解答 3, 4

選択問題14

掌蹠の表皮に発現するタイプⅠケラチンはどれか. 2つ選べ.

  1. keratin 1
  2. keratin 5
  3. keratin 9
  4. keratin 17
  5. keratin 25

ケラチンと先天性皮膚疾患

ケラチンは角化細胞の細胞骨格を担い、酸性のタイプⅠケラチンと中性〜塩基性のタイプⅡケラチンが重合して中間経線維を形成する

  • タイプⅠケラチン:ケラチン9〜40
  • タイプⅡケラチン:ケラチン1〜8

組織によって発現するケラチンが異なり、またケラチン関連の遺伝子変異により先天性皮膚疾患を合併する

ケラチン 発現組織 疾患
1/10 有棘細胞 表皮融解性魚鱗癬
(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)
1/9 有棘細胞(掌蹠) Vörner 型掌蹠角化症
2/10 有棘層上層〜顆粒層 表在性表皮融解性魚鱗癬
(Siemens型水疱性魚鱗癬)
3/12 角膜上皮細胞 Meesmann角膜ジストロフィ
4/13 粘膜上皮 白色海綿状母斑
5/14 基底細胞 単純型表皮水疱症
6a・6b/16・17 先天性爪甲肥厚症

掌蹠角化症を引き起こす中で、タイプⅠケラチンに該当するのはケラチン9と17となる

  • 選択肢5のケラチン25は毛包内毛根鞘で発現し、常染色体劣性縮毛症の原因となる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p11
  • 選択肢5の参考:毛髪角化異常症の病態と診断 日皮会誌:126(12), 2269-2274, 2016 のp2269

関連2021年 選択12(ケラチンの発現部位), 2017年 選択10(ケラチンの発現部位)

選択問題15:解答 2

選択問題15

Cornified cell envelopeの主成分はどれか.

  1. involucrinとfilaggrin
  2. involucrinとloricrin
  3. keratinとfilaggrin
  4. keratinとinvolucrin
  5. keratinとloricrin
  • Cornified cell envelope(周辺帯):角層の細胞膜を裏打ちする構造物で、インボルクリンやロリクリンなどの蛋白がトランスグルタミナーゼにより架橋することで作られる
    ロリクリン遺伝子の変異は角化症であるロリクリン角皮症を引き起こす
  • filaggrin(フィラグリン):顆粒細胞のケラトヒアリン顆粒に存在するプロフィラグリンが分解を受けて産生される。さらに分解を受けることで天然保湿因子(NMF)となり、保水や紫外線吸収に働く
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8-9/274
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p11-12

関連

選択問題16:解答 3

選択問題16

図3にケラチン構造の模式図を示す. ケラチンの重合形成に重要で, ケラチン異常症の症例数が多い変異部位はどれか.

2019-S16

ケラチンは3つのドメイン(ヘッドドメイン・ロッドドメイン・テイルドメイン)から構成される

ケラチン異常症は重合に関わるロッドドメインの両端(1Aおよび2B)領域に多い

2019-Keratin

参考文献より引用

よって本問では1Aを示す選択肢3が正解となる

関連2021年 選択11(ケラチンの構造)

選択問題17:解答 1, 3, 4

選択問題17

アトピー性皮膚炎の痒みに直接関与すると考えられているサイトカインはどれか. 3つ選べ.

  1. IL-4
  2. IL-5
  3. IL-13
  4. IL-31
  5. IL-36

痒みへ直接関与すると考えられているサイトカインは、IL-4/13/31の3つ

生物学的製剤のターゲットとなっている

2019-ADIL

参考文献より引用

  • 1. IL-4:Th2細胞から分泌され、角化細胞でのフィラグリン発現低下や掻痒、好酸球遊走に関与する。デュピルマブ(デュピクセント®)のターゲット
  • 2. IL-5:Th2細胞から分泌され、好酸球遊走に関与する。同部位をターゲットとするメポリズマブ(ヌーカラ®)は好酸球を減少させるが、アトピー性皮膚炎での皮疹や掻痒に対する効果は証明されていない
  • 3. IL-13:Th2細胞から分泌され、角化細胞でのフィラグリン発現低下や掻痒に関与する。デュピルマブおよびトラロキヌマブ(承認申請中)のターゲット
  • 4. IL-31:Th2細胞から分泌され、掻痒に関与する。同部位をターゲットとするネモリズマブ(ミチーガ®)が最近アトピー性皮膚炎に対して承認された
  • 5. IL-36:角化細胞から分泌され、汎発性膿疱性乾癬や炎症性腸疾患の病態に関与する。同部位をターゲットとする薬剤も開発中

関連2015 選択18(★類問), 2021 選択17(デュピルマブのターゲット), 2020 選択8(フィラグリンの発現を低下させるサイトカイン)

選択問題18:解答 3, 4, 5

選択問題18

T細胞の機能抑制あるいは疲弊化に関与するのはどれか. 3つ選べ.

  1. CD134 (OX40)
  2. CD137 (4-1BB)
  3. CD152 (CTLA-4)
  4. CD279 (PD-1)
  5. IDO (Indoleamine 2,3-dioxygenase)

腫瘍免疫は抗原提示細胞による"誘導相"とT細胞が反応する"効果相"に分けられる

主に前者で働くのがCTLA-4、後者で働くのがPD-1

2019-Checkpoint

参考文献より引用

メラノーマなど悪性腫瘍では、T細胞の機能抑制を利用し腫瘍免疫から逃避する機構が存在する

この「抑制を解除」し、腫瘍免疫を賦活化させることを目的とした薬剤が免疫チェックポイント阻害剤として利用されている

  • 1・2. CD134(OX30)・CD137(4-1BB):活性化シグナルとして作用する
  • 3. CD152(CTLA-4):同部位に作用する薬剤にイピリムマブ(ヤーボイ®)がある
  • 4. CD279(PD-1):同部位に作用する薬剤にニボルマブ(オプジーボ®)やペムブロリズマブ(キイトルーダ®)がある
  • 5. IDO:トリプトファン代謝に関わる。悪性腫瘍で高発現となり、リンパ球の作用に必要なトリプトファンを枯渇させる
    同部位に作用する薬剤にエパカドスタットがある(悪性黒色腫で治験を行っていたが有効性が証明できず終了となった)

関連問題

選択問題19:解答 1, 2

選択問題19

アレルゲンコンポーネント特異的IgE検査のうち正しい組み合わせはどれか. 2つ選べ.

  1. 卵白 - Gal d 1
  2. 牛乳 - Bos d 8
  3. 大豆 - Ara h 2
  4. ピーナッツ - Bet v 1
  5. ラテックス - Gly m 4

アレルゲンコンポーネント検査

従来のアレルギー検査では「大豆」「牛乳」などの蛋白質(粗抗原)に対するIgEを測定していた

ただ粗抗原には複数のアレルゲンコンポーネントが含まれるため、アレルゲンコンポーネント特異的IgE検査を施行することでより感度・特異度の高い検査が可能となる

下記10種類のアレルゲンコンポーネントが保険適用となっている

由来 コンポーネント名 蛋白名
卵白 Gal d 1 オボムコイド
牛乳 Bos d 4 αラクトアルブミン
Bos d 5 βラクトグロブリン
Bos d 8 カゼイン
小麦 Tri a 19 ω-5グリアジン
大豆 Gly m 4 PR-10
ピーナッツ Ara h 2 2Sアルブミン
クルミ Jug r 1
カシューナッツ Ana o 3
ラテックス Hev b 6.02 ヘベイン

よって、本問の解答は下記となる

  • 1. 卵白:Gal d 1 (オボムコイド)→○
  • 2. 牛乳:Bos d 8 (カゼイン)→○
  • 3. 大豆:Gly m 4 (PR-10)→✗、Ara h 2はピーナッツ
  • 4. ピーナッツ:Ara h 2 (2Sアルブミン)→✗、Bet v 1はシラカンバ ※口腔アレルギー症候群の原因となる
  • 5. ラテックス:Hev b 6.02 (ヘベイン)→✗、Gly m 4は大豆

関連問題

選択問題20:解答

選択問題20

60歳の男性. 両親はいとこ婚. 幼少期から図4aに示す皮疹を露光部を中心に認める. 病理検査では図4bに示す所見が得られた. この疾患は, ある病原体に対する先天性免疫不全により発症する. その病原体はどれか.

  1. Beta human papillomavirus
  2. Candida albicans
  3. Cytomegalovirus
  4. Epstein-Barr virus
  5. Malassezia globosa

2020-S20

図4aでは前頚部露光部で紅色〜褐色斑が多発している

図4bでは組織学的に明るい細胞質がみられ、ヒトパピローマウイルスによる感染が示唆される

いとこ婚で遺伝性疾患のリスクが高く、幼少期から上記皮疹を認めることから疣贅状表皮発育異常症の診断

疣贅状表皮発育異常症

常染色体劣性遺伝疾患で、TMC6TMC8遺伝子の異常が原因となる

先天的にHPV(human papillomavirus)に対する免疫異常があり、全身とくに露光部で扁平疣贅様の疣贅状病変が多発(HPV-5/8/17/20などが原因)し、青年期に有棘細胞癌など悪性腫瘍へ進展する

癜風に類似した所見となることもある

組織学的には細胞質が明るく腫大した澄明変性細胞が有棘層上層〜顆粒層でみられる

  • 1. Beta human papillomavirus:疣贅状表皮発育異常症の原因→○
  • 2. Candida albicans:指間びらん症や間擦疹、慢性皮膚粘膜カンジダ症(2020年度 選択31)等の原因
  • 3. Cytomegalovirus(サイトメガロウイルス):皮膚科領域では伝染性単核球症(の一部)やGianotti-Crosti症候群の原因
  • 4. Epstein-Barr virus(EBウイルス):伝染性単核球症の原因で、慢性化すると慢性活動性EBウイルス感染症となる
  • 5. Malassezia globosa(マラセチア):癜風やマラセチア毛包炎の原因で、脂漏性皮膚炎との関与も指摘される
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p497(1)/537(2)/505・507(3・4)/540(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p774(1)/865(2)/765(3)/763(4)/872(5)

選択問題21:解答 4, 5

選択問題21

アトピー性皮膚炎の病変部ケラチノサイトから産生されるサイトカインはどれか. 2つ選べ.

  1. IL-4
  2. IL-5
  3. IL-13
  4. IL-33
  5. TSLP (Thymic Stromal Lymphopoietin)

アトピー性皮膚炎の病態に関わるサイトカインの多くはTh2細胞から分泌され、掻痒感やフィラグリン発現低下に関与する(選択問題17)

一方バリア機能が障害されるとケラチノサイトから分泌されるサイトカイン(IL-33やTSLP)は、Th1/Th2バランスをTh2優位にする作用がある

これによって、Th2細胞優位

→Th2細胞から分泌されるサイトカインが掻痒・掻爬を引き起こす

→皮膚バリアがさらに悪化

という負のスパイラルへ陥る

2020-ADkeratinocyte

参考文献より引用

  • 1. IL-4:Th2細胞から分泌され、角化細胞でのフィラグリン発現低下や掻痒、好酸球遊走に関与する。デュピルマブ(デュピクセント®)のターゲット
  • 2. IL-5:Th2細胞から分泌され、好酸球遊走に関与する。同部位をターゲットとするメポリズマブ(ヌーカラ®)は好酸球を減少させるが、アトピー性皮膚炎での皮疹や掻痒に対する効果は証明されていない
  • 3. IL-13:Th2細胞から分泌され、角化細胞でのフィラグリン発現低下や掻痒に関与する。デュピルマブおよびトラロキヌマブ(承認申請中)のターゲット
  • 4. IL-33:ケラチノサイトから分泌され、Th2型優位への免疫偏移を引き起こす。同部位をターゲットとするイテペキマブは喘息において有効とされ、皮疹の改善も報告されている
  • 5. TSLP:ケラチノサイトから分泌され、Th2型優位への免疫偏移を引き起こす。同部位をターゲットとするテゼペルマブは喘息治療薬として米国で承認されているが、アトピー性皮膚炎においては臨床効果が得られなかった

関連2015 選択43 (★類題 サイトカイン1個のみ)

選択問題22:解答 4

選択問題22

家族性寒冷蕁麻疹, Muckle-Wells症候群, CINCA症候群に共通する原因遺伝子はどれか.

  1. IL36RN
  2. LPAR6
  3. NF1
  4. NLRP3
  5. NOD2

自己炎症症候群や遺伝性皮膚疾患の原因遺伝子を問う問題

本問の3疾患はまとめてクリオピリン関連周期熱症候群と呼ばれ、NLRP3が病原遺伝子

クリオピリン関連周期熱症候群

炎症の初期反応を制御するクリオピリン(NLRP3遺伝子:別名CIAS1遺伝子)の変異によりNF-κBが活性化→IL-1βが過剰産生され、寒冷刺激による膨疹や関節痛・発熱発作をきたす

臨床症状の程度により、3つに分類される

  • 家族性寒冷蕁麻疹(軽症)
  • Muckle-Wells症候群(中等症)
  • 慢性乳児神経皮膚関節炎症候群:CINCA症候群(重症)

治療薬としてIL-1βをターゲットとするカナキヌマブ(イラリス®)やアナキンラ(日本未承認)がある

  • 1. IL36RN:汎発性膿疱性乾癬、とくに尋常性乾癬の先行しない病型の原因遺伝子
  • 2. LPAR6:常染色体劣性遺伝形式の先天性乏毛症の原因遺伝子の一つ(日本人で最多はLIPH)
  • 3. NF1:神経線維腫症1型の原因遺伝子で、遺伝子産物はニューロフィブロミン
  • 4. NLRP3:クリオピリン関連周期熱症候群の原因遺伝子
  • 5. NOD2:Blau症候群の原因遺伝子。乳幼児に肉芽腫を生じ、若年性サルコイドーシスとも呼ばれる疾患

関連2020年度選択問題18 (汎発性膿疱性乾癬の原因遺伝子、NLRP3も選択肢に登場)

選択問題23:解答 2

選択問題23

常染色体半優性遺伝であり両方のアレルの変異により症状が増強する疾患はどれか.

  1. 葉状魚鱗癬
  2. 尋常性魚鱗癬
  3. 道化師様魚鱗癬
  4. 表皮融解性魚鱗癬
  5. 先天性魚鱗癬様紅皮症

常染色体半優性遺伝疾患では、遺伝子変異をhetero接合体で保有している場合でも症状を発症するが、homo接合体で保有している場合重症型を示す

フィラグリンをコードするFLG遺伝子変異による尋常性魚鱗癬が代表例

  • 1. 葉状魚鱗癬:周辺帯形成に関与するTGM1遺伝子変異により発症し、常染色体劣性遺伝形式をとる
  • 2. 尋常性魚鱗癬:FLG遺伝子変異をhomo接合体ないし複合hetero接合体で保有する場合、臨床像が重症となる
  • 3. 道化師様魚鱗癬:層板顆粒からの角質細胞間脂質の分泌に関わるABCA12遺伝子変異(nonsense変異)により発症し、常染色体劣性遺伝形式をとる
  • 4. 表皮融解性魚鱗癬:細胞骨格をコードするKRT1/10遺伝子変異により発症し、常染色体優性遺伝形式をとる
    組織学的に顆粒変性を伴うことが特徴
  • 5. 先天性魚鱗癬様紅皮症:ABCA12遺伝子変異(missense変異)やTGM1遺伝子変異によって発症し、常染色体劣性遺伝形式をとる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p269(2)/271(1・3・5)/273(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p329(2)/334(1・5)/335(3)/332(4)

関連2015 選択12 (常染色体劣性遺伝形式の角化症)

選択問題24:解答 1

選択問題24

層板顆粒に存在する主要な脂質輸送タンパクをコードし, そのタンパクの欠損により出生時より全身の皮膚が厚い角質に覆われ亀裂を伴い, 眼瞼外反・口唇突出・開口制限などを生じると考えられる遺伝子はどれか.

  1. ABCA12
  2. FLG
  3. KRT1
  4. STS
  5. TGM1

脂質輸送タンパクをコードし、層板顆粒からの角層細胞間脂質の分泌に関与する遺伝子はABCA12

同遺伝子の変異で、道化師様魚鱗癬を発症する。最重症の魚鱗癬で、眼瞼外反・口唇突出など特徴的な所見を呈する

その他選択肢については下記参照

魚鱗癬の原因遺伝子

原因遺伝子 遺伝形式
尋常性魚鱗癬 FLG 常染色体半優性遺伝
(選択問題23)
X連鎖性魚鱗癬 STS X連鎖劣性
道化師様魚鱗癬 ABCA12 常染色体劣性
葉状魚鱗癬 TGM1 常染色体劣性
先天性魚鱗癬様紅皮症 ABCA12, TGM1等複数
(ゴミ箱的診断)
常染色体劣性
表皮融解性魚鱗癬 KRT1/KRT10 常染色体優性
表在性表皮融解性魚鱗癬 KRT2e 常染色体優性

※ケラチン症性魚鱗癬は、dominant negative効果のため常染色体優性遺伝形式をとる(2021年度 選択問題11)

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p271(1・5)/268(2)/273(3)/270(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p335(1)/329(2)/332(3)/331(4)/334(5)

関連2021 記述1(皮膚の保湿に関連する因子), 2016 選択12(臨床写真があるがほぼ同一問題)

選択問題25:解答 5

選択問題25

6歳の女児. 生後間もなくから図5a, bに示す皮疹を認めた. 皮疹は水暴露により容易に白く浸軟する. この疾患の特徴として誤っているのはどれか.

  1. 常染色体劣性遺伝性疾患である.
  2. 病変部に多汗や悪臭を認めることが多い.
  3. 顆粒層直上の角層数層に限局した不全角化を認める.
  4. 患者のほとんどは病因遺伝子にナンセンス変異を持つ.
  5. 病因遺伝子がコードするタンパク質は掌蹠など身体のごく一部の皮膚にのみ発現する.

2019-S25

図5a, bでは掌蹠のびまん性過角化および一部アキレス腱での潮紅を伴う皮疹(掌蹠を越える皮疹:transgrediens)がみられる

水暴露で浸軟するという特徴的な所見と合わせて、長島型掌蹠角化症の診断

長島型掌蹠角化症

日本含むアジアで最も高頻度に見られる掌蹠角化症で、セリンプロテアーゼインヒビターの一種SERPINB7遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患

とくにc.796 C>T(p.Arg266*)が創始者変異で、保有率が高い

症状としては肘頭部やアキレス腱部など、掌蹠を越える部位で潮紅を伴う皮疹がみられるtransgrediensや短時間の浸水で患部が浸軟することが特徴。掌蹠多汗による悪臭や白癬の合併が多い

  • 1. SERPINB7遺伝子変異による、常染色体劣性遺伝疾患。ただし保有率が高く、一見常染色体優性遺伝形式のように見える(偽優性遺伝形式)ことがある(2020 選択14)
  • 2. 病変部では多汗や悪臭を認め、足白癬の合併が多い
  • 3. 組織学的には顆粒層直上(角層最下層)に数層の不全角化がみられる
  • 4. 病原性変異の多くはc.796C>Tであり、ナンセンス変異:終止コドンによりタンパク合成が途中で終了↔ミスセンス変異はアミノ酸置換
  • 5. SERPINB7は顔面や腹部でも発現がみられ、全身の皮膚に存在する→ので掌蹠以外でも症状があると思われる
    (なぜ掌蹠優位に病変が見られるかはわかっていない)

関連問題

選択問題26:解答 5

選択問題26

固定性扁豆状角化症(Hyperkeratosis lenticularis perstans)について正しいのはどれか.

  1. 小児期に発症する.
  2. 前腕伸側に好発する.
  3. 角質をはがしても出血しない.
  4. SERPINB7遺伝子変異が関与する.
  5. 病変の真皮上層に密な単核球細胞浸潤を伴う.

角化症の一つ、固定性扁豆(へんず)状角化症に関する一般問題

固定性扁豆状角化症 (heperkeratosis lenticularis perstans)

中高年の両側四肢(足背や手背)に好発し、直径1〜5mmの赤色〜褐色調角化性丘疹がみられる。角質部をはがすと点状出血をきたす

家族内発症があり常染色体優性遺伝と考えられているが、原因不明

組織学的には角質が肥厚し、表皮や顆粒層の菲薄化/消失する。表皮真皮境界部での単核球浸潤(苔癬様変化)もみられる

治療ではエトレチナート内服やビタミンD外用が用いられる

 

上記より、本問の解答は

  • 1. 発症時期:(遺伝性疾患だが)中年以降
  • 2. 手背・足背・下腿が好発部位
  • 3. 角質をはがすと小陥凹を残し点状出血をきたす
  • 4. 常染色体優性遺伝形式をとるが、原因遺伝子は不明。SERPINB7長島型掌蹠角化症の原因遺伝子
  • 5. 組織像:真皮上層での単核球浸潤は特徴の一つ
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p300(1・2・4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p349(1〜4)
  • 選択肢5の参考:家族内発症を伴う固定性扁豆状角化症の1例 皮膚科の臨床 59巻4号 p431-434, 2017

選択問題27:解答 4

選択問題27

毛孔性紅色粃糠疹について誤っているのはどれか.

  1. HIVと関連することがある.
  2. 活性型ビタミンD3外用薬は保険適用薬である.
  3. 抗IL-12/23 p40抗体製剤の有効例が報告されている.
  4. 古典的成人発症型(GriffithsⅠ型)は自然治癒率が低い.
  5. 思春期前後の小児発症型(Griffiths Ⅳ型)は肘・膝に角化性丘疹がみられる.

毛孔性紅色粃糠疹に関する一般問題

毛孔性紅色粃糠疹(PRP:pityriasis rubra pilaris)の病型分類

四肢伸側で毛孔一致性の角化性丘疹をきたす疾患で、組織学的には不全角化と正常角化が交互配列することが特徴

古典的にはⅠ〜Ⅴ型に分類されるが、HIV感染と関連した型(Ⅵ型)も存在する

発生率(%) 3年以内寛解率 特徴
Ⅰ型(成人古典型) 55 81 急性発症
Ⅱ型(成人非典型型) 5 20 魚鱗癬様で慢性経過
Ⅲ型(小児古典型) 10 16 2歳以前に発症
Ⅳ型(小児限局型) 25 32 肘膝で毛孔性角化、進展しない
Ⅴ型(小児非典型型) 5 0 CARD14遺伝子と関連し、早期発症で慢性経過
Ⅵ型(HIV関連型)

※皮膚科学 第10版 p380 表16-3に追記

CARD14遺伝子の変異/多型はPRPⅤ型と関連し、家族性乾癬や膿疱性乾癬(2020年度 選択18)も発症することがある

  • 1. HIVと関連した型はⅥ型に分類される
  • 2. 活性型ビタミンD3外用薬のうち、タカシトール(ボンアルファ®)のみPRPに保険適用がある
  • 3. 抗IL-12/23 p40抗体製剤(ウステキヌマブ:ステラーラ®)や抗TNF-α抗体製剤が有効であった例が報告されている(保険適用外)
  • 4. 成人は2〜3年、若年は1年で自然治癒する
  • 5. Ⅳ型は肘や膝の角化性丘疹が特徴
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p288-289(1・2・4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p380-382(1・2・4・5)
  • 選択肢3の参考:毛孔性紅色粃糠疹の遺伝学的背景 臨床皮膚科 最近のトピックス2018 72巻5号 p55-59, 2018

関連2021年度 選択問題23(PRPの臨床問題), 2020年度 選択問題18(膿疱性乾癬の原因遺伝子)

選択問題28:1, 2, 3

選択問題28

アプレミラストについて正しいのはどれか. 3つ選べ.

  1. 妊婦への投与は禁忌である.
  2. 紫外線療法と併用してもよい.
  3. 細胞内のcAMPを増加させる.
  4. 適応疾患は尋常性乾癬と膿疱性乾癬である.
  5. 開始時は, 通常10日間かけて常用量まで増量する.

アプレミラスト(オテズラ®)に関する問題

  • 1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性にはアプレミラストやメトトレキサートは投与禁忌。シクロスポリン(ネオーラル®)は投与可能
  • 2. 紫外線療法:アプレミラストは併用可能。シクロスポリンは皮膚癌の発現を促進する可能性があり、併用注意
  • 3. cAMPに特異的なホスホジエステラーゼ(PDE)4を阻害することで、細胞内cAMP濃度を上昇させIL-17やTNF-αなど炎症性サイトカインの分泌を抑制する
  • 4. 適応疾患は尋常性乾癬(局所療法で効果不十分)および"関節症性"乾癬。ベーチェット病による口腔潰瘍も適用
  • 5. 開始時は下痢や頭痛の副作用を軽減するため、"6日間"かけて常用量(30mg 2錠)まで増量する

関連2021年度 選択問題24 (アプレミラストの妊婦禁忌), 2016 選択16(妊婦膿疱性乾癬の治療)

選択問題29:解答 2

選択問題29

多発性硬化症を合併した尋常性乾癬の患者に選択すべきではない薬剤はどれか.

  1. IL-17阻害剤
  2. TNFα阻害剤
  3. IL-23 p19阻害剤
  4. エトレチナート
  5. シクロスポリン

抗TNF-α抗体製剤の投与により、多発性硬化症等の脱髄疾患を再燃/悪化させる恐れがある

そのため尋常性乾癬で用いられるTNFα抗体製剤はいずれも、添付文書上投与禁忌となっている

  • IL-17阻害剤:真菌感染症(とくにカンジダ症)の副作用があり(選択問題2)、炎症性腸疾患にも注意が必要
  • TNFα阻害剤:脱髄性疾患やループス様症候群(抗核抗体や抗dsDNA抗体陽性化)、うっ血性心不全が特有の注意点
  • IL-23 p19阻害剤:特有の注意点はない
  • エトレチナート(チガソン®):催奇形性が強いため妊娠は禁忌(服薬終了後2年間は避妊)。肝機能障害・脂質異常症に注意が必要
  • シクロスポリン(ネオーラル®):CYP3A4を阻害するロスバスタチン等との併用禁忌(2017 選択22)。腎障害や高血圧に注意が必要

※結核や重篤な感染症への注意は生物学的製剤全般で共通

乾癬 生物学的製剤の一般名と商品名

  • TNFα阻害剤:インフリキシマブ(レミケード®), アダリムマブ(ヒュミラ®), セルトリズマブ ペゴル(シムジア®)
  • IL-17阻害剤:セクキヌマブ(コセンティクス®), イキセキズマブ(トルツ®), ブロダルマブ(ルミセフ®)
  • IL-23 p19阻害剤:グセルクマブ(トレムフィア®), リサンキズマブ(スキリージ®), チルドラキズマブ(イルミア®)
  • IL-12/23p40阻害剤:ウステキヌマブ(ステラーラ®)

選択問題30:解答 3, 4

選択問題30

1歳のアトピー性皮膚炎患児に投与可能な薬剤(添付文書に6か月以上の用法用量が記載され, 安全性が確率していないことの注意記載がない)はどれか. 2つ選べ.

  1. アレジオン®ドライシロップ
  2. クラリチン®ドライシロップ
  3. ザイザル®シロップ
  4. ザジテン®ドライシロップ
  5. ジルテック®ドライシロップ

6ヶ月から投与可能な抗ヒスタミン薬はザイザル®・ザジテン®・アレグラ®の3種類

→3・4が正解

抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬) 投与可能年齢

年齢 一般名 商品名
6ヶ月〜 ケトチフェン ザジテン®
フェキソフェナジン アレグラ®
レボセチリジン ザイザル®
1歳〜 メキタジン ニポラジン®

ゼスラン®

2歳〜 オロパタジン アレロック®
セチリジン ジルテック®
3歳〜 エピナスチン アレジオン®
ロラタジン クラリチン®
7歳〜 ベポタスチンベシル タリオン®
12歳〜 ルパタジン ルパフィン®
デスロラタジン デザレックス®
成人 ビラスチン ビラノア®
エバスチン エバステル®

※オキサトミド(セルテクト® 鎮静性)は幼児以上で使用可能だったが、2018年8月で販売中止となった

過敏症以外の禁忌

  • ザジテン®:てんかんまたはその既往
  • ザイザル®:CCr<10mL/minの重度腎機能障害

関連2018 選択86(腎機能障害患者で通常投与可能な抗ヒスタミン薬)

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