皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成25(2013)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

2022年11月27日

2013-Specialist-3

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成25(2013)年度解答解説を作成しました

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選択問題26〜50は下記

2013-specialist-2
平成25(2013)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50

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見出し


平成25年度(2013年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 51〜75

選択問題51:解答 1, 3, 5

選択問題51

光線過敏が重要な徴候である症候群はどれか。3つ選べ。

  1. Bloom症候群
  2. Werner症候群
  3. Cockayne症候群
  4. Hutchinson-Gilford症候群
  5. Rothmund-Thomson症候群

Werner症候群とHutchinson-Gilford症候群は早老症だが、光線過敏はない→1, 3, 5

選択肢はいずれも常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる早老症

  • 1. Bloom症候群:顔面の毛細血管拡張・光線過敏症・低身長が3徴で、DNA修復にかかわるRecQ-likeヘリカーゼ(BLM)遺伝子変異が原因
  • 2. Werner症候群:足底の胼胝や難治性潰瘍・強皮症様皮膚・特徴的な嗄声(high pitched voice)等が特徴で、WRN遺伝子変異が原因
  • 3. Cockayne症候群:早老症+光線過敏症で、これ自体は高発癌性でないが色素性乾皮症と合併することがある。CSA/CSB遺伝子変異が原因
  • 4. Hutchinson-Gilford症候群:Werner症候群(20歳〜発症)より早い幼児期から症状をきたす早老症LMNA遺伝子変異が原因
  • 5. Rothmund-Thomson症候群:幼児期から多形皮膚萎縮症をきたし、1/3で光線過敏症を認める。RECQL4遺伝子変異が原因
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p340(1・2・3・4)/341(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p284(1・3)/497(2)/498(4)/499(5)

関連問題(早老症)

選択問題52:解答 2

選択問題52

12歳の男児。9歳ごろから、歩行すると足底に強い痛みがある。10歳から手掌にも同様の痛みが出現した。この頃から、腹部に鮮紅色から赤紫色の小丘疹が生じて数が増えてきた。鼡径部の皮疹の電顕写真を示す(図12)。48歳の母は肥大型心筋症と診断されている。この患児が罹患している疾患で欠損する酵素はどれか。

  1. Neuraminidase
  2. α-galactosidase A
  3. β-galactosidase
  4. α-fucosidase
  5. β-mannosidase

2013-S52

手掌足底の疼痛や腹部の皮疹、電子顕微鏡での封入体からFabry病の診断

同疾患はα-galA遺伝子変異が原因となる→2

腹部の鮮紅色〜赤紫色の皮疹は被角血管腫と想定される

Fabry病

α-galA遺伝子変異による先天性代謝異常疾患

→代謝されないトリヘキソシルセラミドが組織に沈着

X染色体連鎖遺伝で、女性も発症するが一般に男性より軽症

  • 皮膚関連症状:無汗/乏汗症、発作性の四肢末端疼痛、被角血管腫
  • その他症状:腎障害、角膜の渦巻状混濁(女性保因者でもみられる)
  • 治療:酵素補充療法等

※尿検査でみられるマルベリー小体も早期診断に有用

  • 2. α-galactosidase A:Fabry病では同酵素が欠損する
  • 1・3・4・5. Neuraminidaseやβ-galactosidase、α-fucosidase、β-mannnosidaseもリソソーム蓄積症の原因となり、びまん性体幹被角血管腫を生じるためFabry病と鑑別が問題になる

関連問題(Fabry病)

選択問題53:解答 3

選択問題53

42歳の女性。胸背部の皮疹で来院した。左上背部の臨床所見(図13a)と病理組織コロイド鉄染色所見(図13b)を示す。最も考えられる疾患はどれか。

  1. Follicular mucinosis
  2. Pretibial myxedema
  3. Reticular erythematous mucinosis
  4. Scleroedema adultorum
  5. Lichen amyloidosus

2013-S53

背部でムチン(コロイド鉄染色陽性)の沈着がみられ、網状紅斑性ムチン沈着症の診断→3

網状紅斑性ムチン沈着症 (Reticular erythematous mucinosis)

中年女性の前胸部や背部で網状紅斑をきたす

組織学的にはムチン沈着や血管周囲へのリンパ球浸潤がみられる

SLEや糖尿病に関連して生じることがあり、治療にもヒドロキシクロロキンが用いられる

ムチン 特殊染色

ムチン(ムコ多糖類)は特殊染色法で明瞭となる

染色法 染色結果
トルイジンブルー染色
アルシアンブルー染色
コロイド鉄染色
ムチカルミン染色
  • 1. 毛包性ムチン沈着症:常色〜紅色の丘疹が主に顔面や頭部に集簇・融合して局面を形成する。菌状息肉症に合併することがある
  • 2. 脛骨前粘液水腫:脛骨前面〜足背にかけて淡紅褐色の局面をきたす。甲状腺機能亢進症に合併する
  • 3. 網状紅斑性ムチン沈着症:前胸部や背部に好発する
  • 4. 成年性浮腫性硬化症:頚部(項部)〜上背部で浮腫性硬化をきたす。成人例は糖尿病の合併が多い(小児では溶連菌などの急性感染症後)
  • 5. アミロイド苔癬:ケラチンを前駆物質とする、皮膚限局性アミロイドーシス。下腿前面や前腕伸側に好発し、2〜10mm大の淡褐色調丘疹が多発する

選択肢1〜4はすべてムチン沈着をきたすため、好発部位から判断する

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p40・321(1・3)/320(2)/319(4)/316(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p47・456(1・3)/453(2)/455(4)/446(5)

関連問題(ムチン沈着症)

選択問題54:解答 1

選択問題54

78歳の女性。高血圧で内服治療中である。両下腿の結節を主訴に受診した。3年前から、両下腿に結節が出現し、次第に増大した。痛みや痒みはない。初診時の臨床像(図14a)と病理組織像(図14b〜14e)を示す。図14b、14cはHE染色、図14dはCongo red染色、図14eは偏光顕微鏡所見である。この疾患で組織内に沈着する物質はどれか。

  1. AL型アミロイド
  2. AA型アミロイド
  3. ケラチン由来アミロイド
  4. β2ミクログロブリン型アミロイド
  5. トランスサイレチン型アミロイド

2013-S54

Congo red染色で染まるアミロイドの沈着がみられ、下腿の紅色結節から萎縮性結節性皮膚アミロイドーシスの診断。免疫グロブリンL鎖(AL)が前駆蛋白となる→1

同症は頬部に好発する結節性アミロイドーシスの亜型で、中高年女性の下腹部〜大腿に好発する

アミロイドーシスと前駆物質

正常では見られないアミロイドが沈着して生じるのがアミロイドーシス

検出にはコンゴーレッド染色やダイレクト・ファスト・スカーレット染色が用いられ、皮膚では後者の方が染まりやすい

アミロイドーシスは病型によって前駆物質が異なる

病型 前駆物質
皮膚限局性アミロイドーシス アミロイド苔癬 ケラチン
斑状アミロイドーシス
結節性皮膚アミロイドーシス 免疫グロブリンL鎖(AL)
全身性アミロイドーシス ALアミロイドーシス AL
※多発性骨髄腫を合併することがある
家族性全身性アミロイドーシス トランスサイレチン
アポA1(脂質輸送蛋白)
透析アミロイドーシス β2-ミクログロブリン
  • 1. AL型アミロイド:結節性皮膚アミロイドーシスや全身性アミロイドーシス(多発性骨髄腫に合併することあり)で沈着する
  • 2. AA型アミロイド:反応性AAアミロイドーシスで沈着する。慢性炎症性疾患や感染症に合併して発症するが、皮膚病変は稀
  • 3. ケラチン由来アミロイド:アミロイド苔癬や肛門仙骨部皮膚アミロイドーシスで沈着する
  • 4. β2ミクログロブリン型アミロイド:透析アミロイドーシスで沈着する。手根管症候群が特徴
  • 5. トランスサイレチン型アミロイド:家族性アミロイドーシスで沈着する。ニューロパチーが特徴
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p317(1) /318(2・4・5)/316(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p447(1)/445(2)/446(3・4)/444(5)

関連問題(アミロイドーシスと前駆物質)

選択問題55:解答 3

選択問題55

低亜鉛母乳による獲得性亜鉛欠乏症の特徴はどれか。

  1. 生後1か月以内に発症する。
  2. 遺伝性亜鉛欠乏症に比べて腸症状が顕著である。
  3. 母体の血清亜鉛値は正常である。
  4. 分娩異常例が多い。
  5. 母親に対する亜鉛投与で改善する。

低亜鉛母乳による一過性乳児亜鉛欠乏症では母体の血性亜鉛値は正常→3

母乳への亜鉛分泌に異常をきたす疾患

一過性乳児亜鉛欠乏症 (2次性腸性肢端皮膚炎)

母親の乳腺に発現する亜鉛トランスポーターZnT2(SLC30A2)遺伝子変異が原因

"母乳中の"亜鉛が不足するため、亜鉛欠乏症の症状(開口部皮膚炎や下痢・脱毛)を生じる

  • 乳児自体に問題はないため、離乳すると症状は軽快
  • 母体の亜鉛は低値でなく、あくまでも母乳中の亜鉛分泌が低下することが本態

母体に亜鉛を投与しても母乳中に分泌できず意味がない

  • 1. 生後2〜3ヵ月の乳児に発症する
  • 2. 児の亜鉛輸送蛋白異常による遺伝性亜鉛欠乏症(腸性肢端皮膚炎)より症状は軽度
  • 3. 母親自身の血清亜鉛値は正常
  • 4. 母親の遺伝子変異であり、分娩経過とは関係しない
  • 5. 母親に亜鉛を投与しても(乳汁中に分泌されないので)意味がない

選択問題56:解答 5

選択問題56

76歳の男性。陰茎亀頭部の、自覚症状を欠く不整形の潰瘍を訴えて受診した。初診時の臨床所見(図15a)と病理組織像(図15b)から、最も考えられる診断はどれか。

  1. 陰部単純ヘルペス
  2. 皮膚結核
  3. 梅毒
  4. 亜鉛欠乏症
  5. 有棘細胞癌

2013-S56

陰茎部の不整形潰瘍で、組織学的に癌真珠が見られることから有棘細胞癌の診断→5

自覚症状を伴わないのは3・5の特徴で、1・2は有痛性潰瘍となる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p447(5)/487(1)/550(2)/557(3)/323(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p603(5)/787(1)/868(2)/955(3)/470(4)

関連問題

選択問題57:解答 2, 5

選択問題57

サイトケラチン20 (CK20)が陽性となる腫瘍はどれか。2つ選べ。

  1. 乳癌
  2. 直腸癌
  3. 肺小細胞癌
  4. 有棘細胞癌
  5. メルケル細胞癌

CK20陽性となるのは直腸癌とメルケル細胞癌→2, 5

乳房外Paget病 Paget現象 免疫染色

乳房外Paget病と、直腸癌などの皮膚浸潤によるPaget現象は組織像が類似する

鑑別のため免疫染色が行われる

CK7 CK20 GCDFP15
乳房外Paget病 + - +
Paget現象 - + -
  • 2. 直腸癌:CK20(+), CK7(-)となる
  • 3. 肺小細胞癌:CK20(-)で、組織学的に類似するメルケル細胞癌との鑑別に有効。特異度の高いマーカーにTTF-1*がある
  • 4. 有棘細胞癌:上皮系腫瘍であり、AE1/AE3やCK1/CK10が陽性となる
  • 5. メルケル細胞癌:CK20が陽性、とくに核近傍の細胞質が点状に陽性となる(びまん性ではない)のが特徴

*TTF-1はThyroid transcription factor-1の略で、原発性肺癌のマーカー

関連問題

選択問題58:解答 1

選択問題58

50歳の男性。右耳前部の皮疹を主訴に受診した。10年前から、右耳前部に褐色皮疹を認めていた。初診時、図16のダーモスコピー所見がみられた。あてはまる所見はどれか。

  1. 非定型偽色素ネットワーク
  2. 多発性脾粒腫様嚢腫
  3. 線維状パターン
  4. 多発性青灰色小球
  5. 葉状領域

2013-S58

顔面で不規則に所々白く抜ける色素沈着がみられ、悪性黒子を示唆する非定型偽色素ネットワークの診断→1

顔面では毛包部を避ける色素沈着の結果、偽ネットワークと呼ばれる太い網目模様がみられる

偽ネットワーク 名称 みられる疾患
規則的なもの typical (定型) 母斑細胞母斑 (Miescher母斑)

老人性色素斑

不規則なもの atypical (非定型) 悪性黒色腫 (悪性黒子)
  • 1. 非定型偽色素ネットワーク(atypical pseudonetwork):非対称性で色ムラが目立つもので、悪性黒子に特徴的な所見
  • 2. 多発性稗粒腫様嚢腫(multiple milia-like cysts):褐色病変の中にみられる白色点で、脂漏性角化症*の偽角化嚢腫に対応する
  • 3. 線維状パターン(fibrillar pattern):色素が擦れて見えるパターンで、外部からの荷重が加わる足底荷重部の母斑細胞母斑でみられる
  • 4. 多発性青灰色小球(multiple blue-gray globules):青灰色の色素小球で、基底細胞癌のメラニンを含む腫瘍胞巣に対応する
  • 5. 葉状領域(leaf-like areas):褐色〜灰褐色の葉状構造で、基底細胞癌の病変辺縁でみられる表皮と連続した腫瘍胞巣に対応する

*脂漏性角化症のダーモスコピー所見としては面皰様開大(comedo-like openings)も有名

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p56(1)/60(2)/57(3)/59(4・5)
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p44(1)/168(2)/84(3)/162(4)/160(5)

関連問題

選択問題59:解答 1

選択問題59

Incontinentia pigmenti (色素失調症)で誤っているのはどれか。

  1. 男女ほぼ同数の比で生じる。
  2. NEMO (NF-kB essential modulator)遺伝子に変異を認める。
  3. 歯牙異常を伴う。
  4. 皮膚病変はBlaschko線に沿って出現する。
  5. 色素沈着は4〜5歳頃から退色する。

色素失調症はほとんどが女児→1

色素失調症 (Bloch-Sulzberger症候群)

NEMO遺伝子変異によるX染色体優性遺伝疾患(→男児は胎生致死のため95%は女児)

Blaschko線に沿って、水疱→丘疹・疣贅→色素沈着→色素脱失という特徴的経過の皮疹が生じる

  1. 水疱期:出生時〜, 水疱が多発し、組織学的に表皮内水疱と好酸球浸潤が見られる
  2. 疣状期:数週〜数ヶ月, 過角化を伴う疣贅状丘疹が多発
  3. 色素沈着期:生後6ヶ月〜, 渦巻き状の色素沈着がみられる
  4. 色素消退期:4・5歳ごろ〜, 色素斑が消退し、約半数で脱色素性瘢痕を残す

皮膚症状以外に眼症状(30%, 網膜剥離など)や精神発達遅滞も合併する

  • 1. 95%以上が女性に生じる。男性はクラインフェルター症候群(XXY)やモザイク例で稀
  • 2. 原因遺伝子はNEMO遺伝子
  • 3. 歯牙形成不全や爪甲異常、眼病変(網膜剥離など)を合併する
  • 4. Blaschko線に沿って、水疱→丘疹→色素沈着→消退という経過をとる
  • 5. 4〜5歳ごろから色素消退期に入る。半数程度で軽度の脱色素性瘢痕を残す
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p398
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p588

関連問題(色素失調症)

選択問題60:解答 2

選択問題60

顆粒変性を伴う列序性表皮母斑をもつ患者の子供に発症する可能性がある疾患はどれか。

  1. Vörner型掌蹠角化症
  2. 水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症 (表皮融解性角質増殖症)
  3. 顆粒変性を伴う列序性表皮母斑
  4. 尋常性魚鱗癬
  5. 葉状魚鱗癬

顆粒変性を伴う列序性表皮母斑はケラチン1/10(K1/K10)遺伝子変異の体細胞モザイク

体細胞の一部に遺伝子変異を持つだけなので通常子供は健常児だが、精子/卵子中の遺伝子にこの変異が入ると全身の細胞が遺伝子変異を持ち、水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(表皮融解性魚鱗癬)を発症する可能性がある→2

具体的に、精子細胞中の変異細胞は3.9%だったという報告がある

  • 1. Vörner型掌蹠角化症:顆粒変性を伴う掌蹠角化症だが、病原遺伝子はK9であるため発症しない※
  • 2. 水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(表皮融解性魚鱗癬):K1/K10遺伝子変異が原因で、全身に病変をきたす
  • 3. 顆粒変性を伴う列序性表皮母斑:Blaschko線に沿った皮疹をきたし、病変部では顆粒変性がみられK1/K10遺伝子変異を伴う(体細胞モザイク)
  • 4. 尋常性魚鱗癬:FLG遺伝子変異による常染色体半優性遺伝疾患で、HE染色での顆粒層消失が特徴
  • 5. 葉状魚鱗癬:周辺帯に存在するTGM1遺伝子変異による魚鱗癬で、厚い落屑を伴う

※顆粒変性を伴わないUnna-Thost型掌蹠角化症はK1が原因となる

選択肢3について。発生過程で体細胞モザイクをきたせば生じる可能性はゼロではない(つまりゼロベースでの列序性表皮母斑の有病率:0.1%以下)が、3.9%である2よりはるかに低いため相対的に不正解選択肢と考えられる

関連問題

選択問題61:解答 2

選択問題61

60歳の男性。体幹の、そう痒を伴い、急速に多発した皮疹を主訴に来院した。図17のようなダーモスコピー所見がみられた。最も適切な検査はどれか。

  1. 膠原病の精査
  2. 内臓悪性腫瘍の精査
  3. 血中抗HIV抗体の検査
  4. 糸状菌鏡検
  5. 血中抗デスモグレイン1抗体の検査

2013-S61

ダーモスコピーでは面皰様開大や多発性稗粒腫様嚢腫がみられ、脂漏性角化症の像

急速に多発し掻痒を伴う場合は内臓悪性腫瘍合併のデルマドローム、Leser-Trélat症候群を考える→2

脂漏性角化症 ダーモスコピー

下記2つが代表例

和名 面皰様開大 多発性稗粒腫様嚢腫
英名 comedo-like openings multiple milia-like cyst
ダーモスコピー所見 黒褐色で境界明瞭な貯留物質 褐色病変の中の若干境界不明瞭な白色点
対応する組織所見 角栓 偽角化嚢腫

その他乳頭腫に対応したbrain-like appearance(脳回転様外観)などがある

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p406・59(2)/535(4)/253(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p598(2)/891(4)/314(5)
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p168
    ※本問と同一の写真

関連問題

  • 2014 選択62 / 2011 選択63 (脂漏性角化症のダーモスコピー所見)
  • 2014 選択5 (内臓・血液悪性腫瘍のデルマドローム)

選択問題62:解答 4

選択問題62

30歳の女性。大腿部に1年前から生じ、急に増大した皮疹。図18のようなダーモスコピー所見がみられた。最も考えられる診断はどれか。

  1. 悪性黒色腫
  2. Miescher母斑
  3. Unna母斑
  4. Spitz母斑
  5. Clark母斑

2013-S62

対称性の色素斑で、全周性に線条を伴うことからSpitz母斑を疑う→4

Spitz母斑

若年者に好発し、急速増大する色素性母斑

悪性黒色腫(MM)との鑑別が問題となるが、下記の特徴がある

  • ダーモスコピー:色素斑が全周性に線条に囲まれるstarburst appearance (爆発的星新生パターン)
  • 組織:エオジン好染の均質構造部(Kamino body)
  • 1. 悪性黒色腫:病変辺縁の一部だけに線条がみられ、色や分布が不規則となる
  • 2. Miescher母斑:顔面に好発し、半ドーム状で軟毛を伴う真皮内母斑
  • 3. Unna母斑:体幹部に生じる有茎性/乳頭状の真皮内母斑
  • 4. Spitz母斑:ダーモスコピーではstarburst appearanceが特徴
  • 5. Clark母斑:思春期前後から生じ、不整形・境界不明瞭・濃淡差などの特徴を持ちMMとの鑑別が問題になる良性母斑
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p55・379(2・3・4)/381(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p558(4)/557(2・3・5)
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p26・132(4)/48(1)/130(2)/128(3)/134(5)
    ※p26の写真は本問と同一

関連問題

  • 2009 記述5 (starburst appearance)
  • 2019 選択89 / 2009 記述6 (Kamino body)

選択問題63:解答 3

選択問題63

30歳の女性。足底の色素斑を主訴に受診。図19のダーモスコピー所見がみられた。最も考えられる診断はどれか。

  1. 色素性Bowen病
  2. 色素性汗孔腫
  3. 母斑細胞母斑
  4. 悪性黒色腫
  5. ブラックヒール

2013-S63

ダーモスコピー(DS)では皮溝部に一致した色素沈着(parallel furrow pattern)がみられ、母斑細胞母斑を示唆する→3

手掌足底のメラノサイト病変 ダーモスコピー所見

手掌足底は皮丘・皮溝に分けられる

原則は皮丘部に一致した色素沈着=悪性黒色腫を示唆する所見

色素性母斑
(母斑細胞母斑)
悪性黒色腫
(メラノーマ)
色素沈着部位 皮溝 皮丘
ダーモスコピー所見 parallel furrow pattern parallel ridge pattern
皮溝並行パターン 皮丘並行パターン

ただし皮溝一致パターンのうち、一部の亜型では皮丘部にも色素沈着を伴う場合がある

この場合、色ムラや全体構築から良悪性を判断する必要がある

  • 1. 色素性Bowen病:DSでは糸球体状血管が特徴。表面に痂皮が付着する疣贅状の色素性局面をきたし、手指に好発する
  • 2. 色素性汗孔腫:DSでは糸球体状血管が特徴。足底に好発する腫瘍で、腫瘍細胞にメラニンが沈着することで黒色となる
  • 3. 母斑細胞母斑:皮溝並行パターン(parallel furrow pattern)のDSが特徴
  • 4. 悪性黒色腫:皮丘並行パターン(parallel ridge pattern)のDSが特徴。皮溝よりも太くなる
  • 5. ブラックヒール:外傷性の皮内出血で、皮丘部に一致して赤黒色の沈着物がみられる

選択肢1・2も(通常のものと異なり)黒色調となるため、悪性黒色腫など色素性病変との鑑別が問題となる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p56(3)/57(4)/61(5)
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p80・144(3)/114(1・2)/154(4)
  • 選択肢1の参考:ダーモスコピーで色素性病変が疑われたBowen病の1例 臨床皮膚科 64(1), p59-62, 2010
  • 選択肢2の参考:色素性エクリン汗孔腫5例のダーモスコピー所見と病理組織所見の検討 臨床皮膚科 67(10), p747-752, 2013

関連問題

選択問題64:解答 3

選択問題64

26歳の男性。幼少時から出現した掌蹠に限局する皮疹の臨床像(図20a)と、病理組織HE染色像(図20b)を示す。この疾患で変異がみられる遺伝子はどれか。

  1. KRT1
  2. KRT5
  3. KRT9
  4. KRT10
  5. KRT14

2013-S64

掌蹠で過角化がみられ、組織では顆粒変性を伴っていることからVörner型掌蹠角化症の診断

KRT9遺伝子変異が原因となる→3

顆粒変性

表皮の顆粒層〜有棘層にかけて、大型のケラトヒアリン顆粒をもつ空胞化細胞が出現する状態

ケラチンの先天的異常をきたす疾患でみられ、魚鱗癬2つは診断基準でも参考症状に含まれている

原因遺伝子 疾患
ケラチン9 Vörner型掌蹠角化症
ケラチン1/10 表皮融解性魚鱗癬
(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)
ケラチン2e* 表在性表皮融解性魚鱗癬
(Siemens型水疱性魚鱗癬)
ケラチン1/10
※体細胞モザイク
疣贅状表皮母斑

*顆粒層で発現するため、顆粒変性も有棘層上層〜顆粒層に限局的

  • 1. KRT1:Unna-Thost型掌蹠角化症の原因遺伝子で、顆粒変性を伴わないのが特徴※
  • 2・5. KRT5/14:先天性単純型表皮水疱症(EBS)の原因遺伝子
  • 3. KRT9:Vörner型掌蹠角化症の原因遺伝子で、組織学的に顆粒変性を伴う
  • 4. KRT10表皮融解性魚鱗癬の原因遺伝子。同症はKRT1遺伝子変異でも生じるが、この場合は掌蹠角化が強いという特徴がある

※Unna-Thost型とVörner型は同一疾患(生検部位に顆粒変性があったか否かで診断名が変わっていた)と最近では解釈されるようになっている。本問では顆粒変性が見られることからVörner型を想定して解答した

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p42・277(1・3)/273(4)/239(2・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p55・353(1・3)/345(1)/327(2・5)

関連問題(顆粒変性)

選択問題65:解答 3

選択問題65

全身性強皮症(SSc)で、diffuse cutaneous SScと比較したときのlimited cutaneous SScの特徴はどれか。

  1. 肘関節より近位皮膚の硬化
  2. 皮膚硬化がRaynaud現象に先行
  3. 爪上皮内出血点が多数みられる
  4. 石灰沈着はまれ
  5. 抗トポイソメラーゼ1抗体が陽性

lcSScでは爪上皮内出血点が多数みられる→3

全身性強皮症 限局皮膚硬化型(lcSSc)とびまん皮膚硬化型(dcSSc)

全身性強皮症は大きく2つに分類される

全身性強皮症の分類 びまん皮膚硬化型
(dcSSc)
限局皮膚硬化型
(lcSSc)
皮膚硬化範囲 肘より近位 肘より末梢(遠位)のみ
Raynaud現象と皮膚硬化 皮膚硬化が先行 or ほぼ同時 Raynaud現象が先行
病勢進行(皮膚・内臓) 比較的急速 緩徐なことが多い
陽性となりやすい抗核抗体
(自己抗体)
抗トポイソメラーゼⅠ抗体
(抗Scl-70抗体)
抗セントロメア抗体
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体*
爪上皮内出血点 進行期には消失 多数
石灰沈着 まれ 多い

*悪性腫瘍腎クリーゼの合併が多く、また男性に多い

  • 1. 肘関節より”遠位部”の硬化にとどまるのがlcSSc、近位に及ぶのがdcSSc
  • 2. Raynaud現象が皮膚硬化に先行するのがlcSSc。皮膚硬化が先行ないしほぼ同時なのがdcSSc
  • 3. 爪上皮内出血点(nail fold bleeding)が多数見られるのはlcSScの特徴
  • 4. 石灰沈着が多くみられるのがlcSSc、まれなのがdcSSc。CREST症候群(石灰沈着/Raynaud現象/食道機能不全/強指症/毛細血管拡張症)もlcSScに含まれる
  • 5. 抗トポイソメラーゼ1(Scl-70)抗体陽性となるのはdcSSc、lcSScは抗セントロメア抗体*が陽性

*抗セントロメア抗体は抗核抗体の染色型で唯一discrete speckled(離散斑紋型)となる

関連問題

選択問題66:解答 4

選択問題66

リベド血管症(Livedo vasculopathy)の組織所見で見られないのはどれか。

  1. 出血
  2. 静脈炎
  3. 微小血栓
  4. 壊死性血管炎
  5. 血管壁へのIgMの沈着

リベド血管症では血管炎所見は乏しい→4

以前はリベド血管"炎"と呼ばれたが、このため現在はリベド血管"症"となっている

リベド血管症 (リベド血管炎)

成人、とくに若い女性に好発し下肢でリベド(網状皮斑)や紫斑、潰瘍をきたす疾患

潰瘍は治癒後、白色瘢痕(atrophie blanche)となる

夏季に増悪する病型(livedo reticularis with summer ulcerations)が存在する

  • 組織:真皮血管で血栓形成がみられるが、血管炎(-)*
  • 治療:血管拡張薬やステロイド内服、抗凝固薬など

*血管壁のフィブリノイド変性や血管周囲の好中球浸潤など

  • 1・2. 出血・静脈炎:赤血球の血管外漏出像がみられることがある
  • 3. 微小血栓:44/45例(97.8%)で真皮の血管に血栓が認められた
  • 4 .壊死性血管炎が"ないことが"皮膚白血球破砕性血管炎などの血管炎との鑑別に重要
  • 5. 31/36検体(86.1%)でフィブリンやC3、IgM沈着が見られた

関連問題

選択問題67:解答 3, 4

選択問題67

遺伝性疾患を持つ患者や家族に対する対応で、適切でないのはどれか。2つ選べ。

  1. 病態について詳しく説明する。
  2. 次子の罹患の可能性について事実を話す。
  3. 診断確定のために、遺伝子検査を行うことを強く薦める。
  4. 妊娠中の児に罹患の可能性がある時は人工中絶を薦める。
  5. 患者会の存在を知らせる。

遺伝カウンセリングにおいて、医療者の意見を"薦める"ことは適切ではない→3, 4

遺伝カウンセリングでは下記が重要視されるべきとされている

  1. 自発的なカウンセリングの開始:遺伝的問題に悩む本人の意思により開始される
  2. 開かれたカウンセリング体制:どこでも自由に受けられる
  3. 十分な情報提供:相談者がわかりやすく理解できるように伝える
  4. 得られた情報の完全な開示:原則として全クライアントに開示する*
  5. 非指示的カウンセリング:一方的な価値観を押し付けてはならない
  6. 心理的援助:クライアントの悩みや不安に応える
  7. 守秘義務:遺伝情報の開示によりクライアントが不利益を被ることがないように留意する
  8. 生命倫理の尊重:クライアントが望む医療技術を提供することが、社会が受け入れられるものでなければならない

つまり希望者に対して医学的見地に基づく情報提供を行うことが基本で、医療者の価値観を押し付けてはいけない

*近年は全エクソーム解析が主体のため、(当初解析目的とした疾患以外の疾患に関する情報が)偶発的に得られた情報について開示すべきか否か、という議論はある

選択問題68:解答 1, 3, 5

選択問題68

図21に病理像を示した疾患について正しいのはどれか。3つ選べ。

  1. 上皮内癌である。
  2. HPV16が高頻度にみらえる。
  3. しばしば多発する。
  4. 白人より有色人種に好発する。
  5. 近年本邦では増加傾向にある。

2013-S68

図21bでは表皮基底層を中心にN/C比の高い異形細胞と一部不全角化がみられ、日光角化症(光線角化症)の像

図21aでは画面左の脂腺部分で不全角化が乏しいことがわかる(pink and blue sign)

Bowen病と日光角化症(光線角化症)

共に上皮内癌であり、有棘細胞癌の前癌病変だが下記の違いがある

日光角化症 Bowen病
好発部位 顔面(露光部以外は生じない) 体幹・四肢(全身に生じえる)
リスク因子 紫外線 HPVウイルス(HPV-16), ヒ素
異型細胞 基底層中心 表皮全層性
pink and blue sign* + -
日光性弾力線維症(solar elastosis) + -

*pink and blue sign:異型細胞や異常角化が付属器上皮(毛包や汗腺)を避ける像で、日光角化症の特徴

なお絶対に浸潤しないというわけではなく、例外もある

これをダーモスコピーで観察すると、紅色背景で毛包部が白く抜けるstrawberry patternとなる

  • 1. 日光角化症は上皮内癌の一つ
  • 2. HPV-16と関連するのはBowen病(とくに爪部Bowen病など)※
  • 3. 日光角化症は紫外線刺激が原因で露光部のみに生じ、多発する傾向がある
  • 4. 白人に生じやすく、白人高齢者ではほぼ必発
  • 5. 皮膚悪性腫瘍はいずれも増加傾向

※組織像がBowen病に類似するBowen様丘疹症もHPV-16が原因

関連問題

選択問題69:解答 4

選択問題69

図22のA1からE2に病理像を示した疾患について、関連のある組み合わせはどれか。

  1. A - Muir-Torre症候群
  2. B - 神経線維腫症
  3. C - Gorlin症候群
  4. D - 筋緊張性ジストロフィー
  5. E - 結節性硬化症
  • A:基底細胞癌, 腫瘍胞巣の形成および周囲との裂隙形成
  • B:腱鞘巨細胞腫, 手指の皮下結節として生じ巨細胞を伴う
  • C:黄色肉芽腫, 核が辺縁を一周し周囲に明るい細胞質が見られるTouton型巨細胞が特徴。CD68+, S100-
  • D:石灰化上皮腫(毛母腫), 好塩基性細胞から陰影細胞*への移行
  • E:脂腺腺腫, 胞体が明るい成熟脂腺細胞が増殖し、表皮に開口する

*陰影細胞は核が消失し好酸性に染色される

上記より本問の解答は下記となる

なおBの腱鞘巨細胞腫はとくに合併疾患はない

本問のB・Cに関しては、記述問題9/10でそれぞれ出題されている。Bに関しては「50歳男性の手指に生じた無痛性皮下腫瘤」という大ヒントまであるので先にこちらを見てから解くことが現実的

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p410(4)/455(1)/391(2)/403(3)/394(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p610(4)/615(1)/570(2)/586(3)/574(5)

関連問題

選択問題70:解答 3, 4

選択問題70

図23のA1からE2に示した腫瘍の腫瘍細胞が、S100蛋白陽性のものはどれか。2つ選べ。

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E
  • A(皮膚線維腫):膠原線維や紡錘形の線維芽細胞増殖がみられる。悪性であるDFSPと比較して太い膠原線維が多く、CD34-
  • B(血管肉腫):高齢者の頭部に好発し、管腔構造や出血像が多数みられる。CD34+, CD31+
  • C(神経線維腫):境界明瞭な皮下結節で、紡錘形の核を持つ細胞が増殖し間質での肥満細胞浸潤も特徴。S-100+, CD34+, EMA+
  • D(顆粒細胞腫):大型で好酸性顆粒を含む細胞が特徴。S-100+, PAS染色陽性
  • E(平滑筋腫?):好酸性で紡錘形の核を持つ細胞が腫瘍増殖する。アクチンやデスミンに陽性

本問のA〜Dに関しては、記述問題11〜14でそれぞれ出題されている。B・Cに関しては「80歳代の男性の頭部に生じた紫紅色結節」「腹部に孤立性に生じた12mm大の柔らかい皮膚腫瘍」というヒントまであるので先にこちらを見てから解くことが現実的

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p431(1)/462(2)/420(3)/421(4)/439(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p658(1)/689(2)/736(3)/738(4)/673(5)

関連問題

選択問題71:解答 2, 4

選択問題71

以下の文のうち正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 血管拡張性肉芽腫は、肉芽腫性炎症を特徴とする。
  2. 組織損傷の修復過程で出現する組織を肉芽組織と呼ぶ。
  3. 肉芽腫性炎症とは、肉芽組織に出現する炎症のことである。
  4. 肉芽腫性炎症では、多核巨細胞が出現することが多い。
  5. 肉芽腫とは、種々の炎症細胞が結節状に配列した状態である。

肉芽組織と肉芽腫の違いを理解する

  • 肉芽組織:創傷治癒過程で生じる血管増生や炎症細胞・膠原線維増生所見
  • 肉芽腫:組織球の密な浸潤で、大型の組織球は上皮細胞に似るため類上皮細胞肉芽腫と呼ばれる
  • 1. 血管拡張性肉芽腫:外傷などに伴う毛細血管増生から、血管腫様の組織像がみられる。肉芽腫を伴うことがあるが特徴というわけではない
  • 2. 組織損傷の修復過程で見られる組織を肉芽組織と呼ぶ→○
  • 3. 肉芽腫性炎症は”肉芽腫”を伴う炎症疾患のことで、代表例は結核やサルコイドーシス
  • 4. 肉芽腫性炎症では組織球由来の多核巨細胞が見られることが多い→○
  • 5. 肉芽腫は組織球の浸潤を示す用語
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p424(1)/46(2〜5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p682(1)/65(2)/63(3〜5)

選択問題72:解答 5?

選択問題72

図24はある疾患の表皮角化細胞の電顕写真である。主要な異常所見はどれか。

  1. 細胞内浮腫
  2. 核内封入体
  3. Tonofibrilの凝集
  4. Desmosomeの形成不全
  5. 細胞核chromatinの異常凝集

2013-S72

  • 2. 核内封入体:Fabry病では血管内皮細胞(被角血管腫)腎・心臓で核内封入体が見られる。角化細胞の疾患ではない
  • 3. トノフィブリルの凝集:光学顕微鏡での異常角化細胞に相当し、Darier病などでみられる
  • 4. デスモソームの形成不全:光学顕微鏡での棘融解に相当し、尋常性天疱瘡などでみられる
  • 5. 図左上の細胞内では核が異常凝集をきたしている

電顕所見は詳しくないため、御意見ある方はコメント頂けますと幸いです

関連2013 選択52 (Fabry病での核内封入体)

選択問題73:解答 2, 3

選択問題73

以下の疾患と病理組織所見の組み合わせで、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 色素失調症 - Munro微小膿瘍
  2. 天疱瘡 - 好酸球浸潤を伴った海綿状浮腫
  3. 急性汎発性発疹性膿疱症 - 角層下膿疱
  4. 尋常性乾癬 - Pautrier微小膿瘍
  5. 菌状息肉症 - tingible body macrophage

膿瘍/膿疱は部位によって名称が変化する

所見 代表疾患
Kogoj海綿状膿疱 有棘層上層の多房性膿疱 膿疱性乾癬
Munro微小膿瘍 角層中〜直下の好中球集合 尋常性乾癬
Pautrier微小膿瘍※ 角層中〜直下の異型リンパ球集合 菌状息肉症

※Pautrierは正確には腫瘍細胞なので、膿疱ではない

  • 1. 色素失調症:病期によって変化するが、出生直後の水疱期にみられる好酸球性膿疱が特徴。Munro微小膿瘍は尋常性乾癬でみられる
  • 2. 天疱瘡:好酸球浸潤を伴う棘融解がみられ、細胞間浮腫や水疱形成をきたす。部位は異なるが類天疱瘡でも好酸球浸潤は見られる
  • 3. 急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP):表皮内や角層下の膿疱がみられ、膿疱性乾癬に類似する
  • 4. 尋常性乾癬:Munro微小膿瘍や不全角化表皮突起の棍棒状延長が特徴。Pautrier微小膿瘍は菌状息肉症でみられる
  • 5. 菌状息肉症:Pautrier微小膿瘍が見られる。tingible body macrophageはアポトーシスに陥ったリンパ球を貪食したマクロファージのことで、リンパ濾胞においてみられる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p44/398(1)/251(2)/158(3)/281(4)/32(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p56-57/588(1)/309(2)/338(3)/379(4)

関連問題

選択問題74:解答 3

選択問題74

次のうち、感覚神経支配領域を示すのはどれか。

  1. Blaschko線
  2. Langer割線
  3. Dermatome
  4. Voigt線
  5. Dennie-Morgan線

感覚神経支配領域を示すのはデルマトーム→3

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p492(3)/3(1・2)/310(4)/121(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p1-2(1〜4)

関連問題

選択問題75:解答 2

選択問題75

脂腺細胞の分泌様式はどれか。

  1. 断頭分泌
  2. 全分泌
  3. オートクリン分泌
  4. パラクリン分泌
  5. メロクリン分泌

脂腺細胞は全分泌形式をとる→2

オートクリン・パラクリン分泌は内分泌、つまりホルモンの分泌形式

  • 1. 断頭分泌:細胞質の一部が細胞から切り離される形式で、アポクリン腺の分泌形式
  • 2. 全分泌:細胞内に脂肪滴が充満し破裂することで分泌される形式で、脂腺の分泌形式
  • 3. オートクリン分泌(自己分泌):細胞外に分泌されたホルモンが分泌細胞自体に作用する形式で、エンドセリンなど
  • 4. パラクリン分泌(傍分泌):ホルモンが血流を介さず近傍の細胞に作用する形式で、ソマトスタチンなど
  • 5. メロクリン分泌(開口分泌):細胞自体が破壊されず分泌される形式で、エクリン汗腺の分泌形式
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p24(2)/26(1)/25(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p20(2)/26(1)/22(3)
  • その他選択肢の参考:病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第5版 p164
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関連2021 選択1 (アポクリン腺の分泌形式)

選択問題76〜Lastは下記

2013-Specialist-4
平成25(2013)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題76〜86 記述

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