皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題91〜100 記述問題

2022年4月21日

2019-specialist-4

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和1(2019)年度解答解説を作成しました

見出しから各問題へ飛べます

誤字脱字ご意見などあればコメント・右のフォーム・Twitterなどでご連絡ください

あたらしい皮膚科学

あたらしい皮膚科学

清水宏
8,580円(04/23 22:54時点)
Amazonの情報を掲載しています
皮膚科学

皮膚科学

14,300円(04/23 22:54時点)
Amazonの情報を掲載しています

※本記事で参考にしたのは皮膚科学 第10版ですが、11版が出ているので上記リンクは新版です

2019年度 選択問題61〜90の解答・解説は下記

2019-specialist-3
令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

続きを見る

見出し


令和1年度(2019年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題91〜100 記述問題

選択問題91:解答 4

補体活性化作用が弱いIgGを問う問題

IgG4は補体結合能が低く、補体活性化作用は弱い→4

免疫グロブリンであるIgGやIgMは一般に抗原と結合して補体を活性化させ、獲得免疫を担う

  • 1・3. IgG1・IgG3は補体結合能が高い
  • 2. IgG2も補体結合能を有する
  • 4. IgG4は補体活性化作用が弱く、むしろ抗炎症作用を有する。IgEと同様にTh2サイトカインで促進※され、アトピー性皮膚炎でもIgG4高値となることがある
  • 5. IgMも補体結合能を有する

※Th2サイトカイン:IL-4やIL-13などTh2細胞から分泌されるサイトカインのことで、アトピー性皮膚炎の病態に関与する

関連問題(IgG4)

選択問題92:解答 4, 5

外用剤の種類と基剤について問う問題

外用薬と基剤

種類 具体例 特徴
油脂性軟膏 ステロイド軟膏 いわゆる"軟膏"
ワセリン軟膏
亜鉛華軟膏
W/O軟膏 ヒルドイド®ソフト軟膏 water in oil (油が主体)
軟膏だが水分があり冷却感を有する
水で流れ落ちにくい
パスタロン®ソフト軟膏
ネリゾナ®ユニバーサルクリーム
O/W軟膏 ステロイドクリーム oil in water(水が主体)
いわゆるクリーム
水で簡単に流れ落ちる
ゲーベン®クリーム
レスタミンコーワクリーム
ケラチナミンコーワクリーム
親水軟膏(親水クリーム)
水溶性軟膏 マクロゴール 吸水性のあるもの
アクトシン®軟膏
2019-WO:OW

参考書籍 p90 図6.2より引用, 上がW/Oで下がO/W

上記より、解答は以下

  • 1. 亜鉛華軟膏:油脂性軟膏に該当
  • 2. 親水軟膏:O/W軟膏に該当、現在は親水"クリーム"となっている
  • 3. スピール膏:硬膏(布地に薬剤を粘着剤とともに伸ばしたもの)に該当
  • 4. プラスチベース:油脂性軟膏の基剤として利用される
  • 5. マクロゴール軟膏:吸水性があり、水溶性軟膏に該当
  • 参考・図引用:あたらしい皮膚科学 第3版 p90-93
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p122-123

関連2014 選択32 (外用薬と基剤)

選択問題93:解答 4

一部の感染症は、感染症法に基づき届出義務がある

すべての医療機関に届け出が義務付けられている感染症(全数把握疾患)は、1〜4類感染症+一部の5類感染症

伝染性紅斑のみ、すべての医療機関での届け出義務はない→4

  • 1・5. 梅毒・水痘(入院例):5類感染症で、全医療機関が7日以内に届出
  • 2・3. 風疹・麻疹:5類感染症で、全医療機関が直ちに届出
  • 4. 伝染性紅斑:5類感染症で、小児科定点医療機関が週単位で届出。なお通常の水痘も同じ扱い
230813-infectious-diseases
感染症法に基づく医師の届出 まとめ

続きを見る

関連問題:年1題程度は出題されている。上記カード内の記事参照

選択問題94:解答 3

ジャパニーズスタンダードアレルゲン(JSA)2015*に含まれる24項目の大部分は、パッチテストパネル®で判定可能

ただしウルシオール塩化第二水銀のみ含まれない→3

*日本人で陽性率が高い原因物質を厳選したもので、何度か改定されている(2015が最新)

220602-JSA2015
ジャパニーズスタンダードアレルゲン(JSA) 2015 パッチテスト

続きを見る

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p81

関連問題

※JSA関連の問題は複数あり、詳細は上記カード内の記事参照

選択問題95:解答 5

パッチテストのICDRG基準について問う問題

浸潤をふれる紅斑は(+)となり陽性判定→5

なおさらに反応が強い場合、小水疱がみられる

パッチテスト判定 ICDRG基準 本邦基準

ICDRG基準 反応
- 反応なし
+? 紅斑のみ
+ 紅斑+浸潤、丘疹
++ 紅斑+浮腫+丘疹+小水疱
+++ 大水疱
IR 刺激反応

+以上が陽性反応

  • 1・2. 紫斑・膿疱:ICDRG基準に含まれない
  • 3. 小水疱:++に該当
  • 4. 辺縁のみの紅斑:刺激反応のため(パッチの中身が触れていない)、IRに該当
  • 5. 浸潤を触れる紅斑:+に該当

ICDRG基準以外に、本邦基準も存在する

本邦基準 反応
- 反応なし
± 軽度の紅斑
+ 紅斑
++ 紅斑+浮腫、丘疹
+++ 紅斑+浮腫+丘疹+小水疱
++++ 大水疱

++以上が陽性反応

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p82
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p109

関連2015 選択81 (パッチテストの判定基準)

選択問題96:解答 2

プリックテストの判定方法について問う問題

陽性対照の1/2以上の膨疹が見られれば陽性と判定する(紅斑は含まない)→2

プリックテスト判定基準

膨疹の直径 判定
陰性コントロールと同等 -
陽性コントロールの1/2未満 +
陽性コントロールの1/2以上同等未満 2+ (陽性)
陽性コントロールの同等以上2倍未満 3+ (強陽性)
陽性コントロールの2倍以上 4+
  • 施行後15分で判定
  • 原則として紅斑は含まない(紅斑のみ誘発される場合は紅斑径により評価)
  • 陰性コントロール:生理食塩水
    陽性コントロール:ヒスタミン二塩酸塩
  • A:陽性対照の1/2以上同等未満のため、2+(陽性)に該当
  • B:陽性対照で膨疹を生じており、紅斑のみのBは陰性に該当

関連2015 選択81 (プリックテストの判定基準, 陽性コントロール等)

選択問題97:解答 4

自己抗体の中で、病勢を反映するため繰り返し測定されるものがある

選択肢の中では抗Sm抗体のみ、病勢との相関が乏しい→4

  • 1. PR3-ANCA:多発血管炎性肉芽腫症(GPA, Wegerne肉芽腫症)の病勢を反映する
  • 2. 抗dsDNA抗体価:補体低下(とくにC3)と共にSLEの活動性を反映し、疾患活動性を示すSLEDAIにも含まれる
  • 3. 抗MDA-5抗体:血清フェリチン値と共に皮膚筋炎(急速進行性間質性肺炎合併)の病勢を反映する
  • 4. 抗Sm抗体:SLEに特異性が高いが、SLEDAIに含まれず病勢との相関は乏しい
  • 5. 抗デスモグレイン3抗体:尋常性天疱瘡の病勢を反映する。ただし異なる患者間の重症度比較には用いることができない

関連問題

選択問題98:解答 2, 4

乳酸アシドーシスに注意が必要な薬剤を問う問題

ビグアナイド系経口血糖降下薬は糖新生を抑制するため、嫌気性解糖が亢進し乳酸が蓄積する

ヨード造影剤を用いた検査は一過性の腎機能低下から血中濃度上昇をきたしやすく、施行前後(検査時〜48時間後)で休薬が必要

→2, 4

  • 1. ミオナール®:鎮痙剤であり、頸肩腕症候群等に用いられる
  • 2. ジベトス®:ビグアナイド系だが、メトグルコ®より最大投与量が低くあまり使われない
    (ビグアナイド系の効果発現は用量依存性のため)
  • 3. ニドラン®:抗癌剤であり、脳腫瘍等に対して用いられる
  • 4. メトグルコ®:ビグアナイド系の中でも最も高頻度に利用される薬剤
  • 5. メプチン®:β2刺激薬であり、喘息発作時に吸入で用いられる

選択問題99:解答 1, 2

外用薬と保険適用病名について問う問題

紛らわしいビタミンD外用製剤と保険適用については下記参照

220417-Vitd-topical
ビタミンD外用製剤と保険適用疾患 各種製剤の比較

続きを見る

  • 1. エピデュオ®:アダパレン(ディフェリン®)+過酸化ベンゾイル(ベピオ®)で、"顔面の"尋常性ざ瘡のみが保険適用
    なおBPO製剤は顔以外にも利用可能なので、ベピオ®とデュアック®は体幹でも保険適用となる
  • 2. ドボネックス®:尋常性乾癬にのみ保険適用。配合剤ドボベット®(ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)も尋常性乾癬にのみ保険適用
  • 3. オキサロール®:尋常性乾癬の他、掌蹠膿疱症や掌蹠角化症、魚鱗癬群に保険適用
  • 4. ルリコン®:皮膚カンジダ症・白癬症の双方に保険適用
  • 5. ゼビアックス®:表在性皮膚感染症(≒毛包炎や膿痂疹)および化膿性炎症を伴うざ瘡に保険適用

参考:各種添付文書

関連問題

選択問題100:解答 5

診療報酬請求に関する問題

痒疹は中波紫外線療法が算定できる疾患に含まれない→5

  • 1. 鶏眼胼胝処置は"月2回"まで算定可能
  • 2. 100平方cm未満の第1度熱傷処置は基本診察料に含まれ算定できないが、100平方cmを越えれば算定可能
    (第2度熱傷以上であれば100平方cm未満でも算定可)
  • 3. 皮膚切開術の長径は膿瘍やせつなどの大きさを示す。近接しているものはまとめてカウントする
  • 4. 脂漏性角化症・軟性線維腫は「いぼ等冷凍凝固法」で算定するが、皮膚線維腫には規定がない
    →皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術でも算定可能
  • 5. nUVBによる中波紫外線療法が算定できるのは乾癬や掌蹠膿疱症で、痒疹は含まれない

中波紫外線療法が算定可能な疾患

  • 乾癬
  • 類乾癬
  • 掌蹠膿疱症
  • 菌状息肉症
  • 悪性リンパ腫
  • 慢性苔癬状粃糠疹
  • 尋常性白斑
  • アトピー性皮膚炎
  • 円形脱毛症

参考:J054 皮膚科光線療法(1日につき) | 医科診療報酬点数表 | しろぼんねっと

関連(保険診療)

記述問題1:解答 ケラトヒアリン顆粒

電子顕微鏡での構造について問う問題

矢印はケラチノサイトの黒色均一構造で、ケラトヒアリン顆粒を示す(顆粒層の構成成分)

プロフィラグリンから構成され、フィラグリン→天然保湿因子(NMF)と分解されて保水機能を持つ

 

一方層板顆粒(←写真)は均一ではなく、白い横線が入ることが特徴

こちらは角質細胞間脂質であるセラミドを分泌する

2019-Keratohyalin-lamellar

参考サイトより引用 Kがケラトヒアリン顆粒、Lが層板顆粒

関連問題

記述問題2:解答 ネザートン症候群

SPINK5遺伝子変異が原因で、アトピー性皮膚炎類似の症状や曲折線状魚鱗癬・結節性裂毛をきたす疾患を問う問題

ネザートン(Netherton)症候群

角層セリンプロテアーゼインヒビター(LEKTI)をコードする遺伝子、SPINK5の変異で発症する常染色体劣性遺伝疾患

アトピー性皮膚炎や魚鱗癬様紅皮症に類似した皮疹、節を有し短く折れやすい結節性裂毛、成長障害などを特徴とする

曲折線状魚鱗癬:辺縁に二重隣接を付す特徴的な紅斑

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p275
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p337

関連問題

記述問題3:(汎発性)膿疱性乾癬

IL-36受容体阻害因子欠損症(Deficiency of Interleukin 36 Receptor Antagonist;DITRA)に含まれる疾患を問う問題

IL36RAが欠損することで、汎発性膿疱性乾癬(尋常性乾癬が先行しないタイプ)を発症すると考えられている。その他、庖疹状膿痂疹や急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)との関連も指摘されている

一方、尋常性乾癬が先行して発症する汎発性膿疱性乾癬にはCARD14遺伝子変異/多型が関与する。CARD14は毛孔性紅色粃糠疹Ⅴ型の原因ともなる

関連問題

記述問題4:解答 デング熱

ベトナムから帰国後の患者で発熱および血球減少、紅色丘疹が見られる

解熱期には紫斑をきたしておりデング熱の診断

デング熱

RNAウイルスであるデングウイルスが、ヤブカによって媒介される

1週間程度の潜伏期間を経て高熱・関節痛・筋肉痛などで発症し、約半数の症例で解熱後毛孔一致性の紅斑や紫斑が出現する。当初は中毒疹様(図28a)だが徐々に一部白く抜ける部位が目立つようになり、"white islands in a sea of red"と称される(図28b)

関連問題

記述問題5:解答 紅色陰癬

前胸部に紅色局面がみられ、真菌検査は陰性。Wood灯で紅色蛍光を呈するという特徴的な検査結果から紅色陰癬の診断

紅色陰癬

グラム陽性桿菌Corynebacterium minutissimumの角層への感染が原因。菌がコプロポルフィリンⅢを産生するため、Wood灯で紅色(サンゴ色)を呈することが特徴

間擦部や趾間など湿潤部に好発し、足白癬やカンジダ性間擦疹など真菌症との鑑別が問題となる

※丘疹・水疱に乏しいことや、中心治癒傾向がない(↔体部白癬)ことが鑑別点

治療はイミダゾール系抗真菌薬やエリスロマイシン内服が行われる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p529
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p817

関連問題

  • 2009 選択24 (細菌が原因の感染症)
  • 2009 選択75 (ポルフィリンと関係する疾患)

記述問題6:解答 免疫再構築症候群

AIDS患者で治療開始後に免疫反応が回復し感染症が顕在化する現象の名称を問う問題

HIVウイルスにより高度免疫抑制状態であったところ、抗レトロウイルス療法で免疫反応が回復し帯状疱疹やカポジ肉腫等の感染症が顕在化する現象を免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)と呼ぶ

非HIV患者でも、薬剤性過敏症症候群(DIHS)や免疫チェックポイント阻害剤投与に伴う免疫関連有害事象(irAE)が類似病態と考えられている

関連2021 記述11 (irAEのフルスペル)

記述問題7:解答 グルコン酸カルシウム

フッ化水素による化学熱傷後に必要な処置を問う問題

フッ化水素は組織傷害性が高いため、十分な流水洗浄に加えてグルコン酸カルシウムの外用・局注による中和を行う

なお経口摂取した場合、嘔吐はさせずに牛乳を飲ませて中和する(∵逆流時に食道を損傷するため)

化学熱傷 初期対応

基本は流水洗浄だが、原因物質によっては一部対応が異なる

  • フッ化水素:グルコン酸カルシウムの外用・局注
  • フェノール:水に溶けないため、ポリエチレングリコールを用いる
  • 生石灰・セメント:水と反応するので除去してから大量流水で洗浄

関連問題(化学熱傷)

記述問題8:解答 糖尿病

辺縁が軽度隆起した丘疹がみられ、組織学的には中央で変性した膠原線維とムチン沈着が、周囲に組織球・リンパ球が放射状に取り囲む柵状肉芽腫の像がみられる

環状肉芽腫の診断で、汎発型では糖尿病の合併が多い

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p348
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p495

関連問題

記述問題9:解答 メルカーソン・ローゼンタール症候群

肉芽腫性口唇炎 (メルカーソン・ローゼンタール症候群)

突然の口唇腫脹をきたし、組織学的に肉芽腫がみられる

症状は再発を繰り返し、慢性に経過する

  • 病巣感染(扁桃炎・う歯)や金属アレルギーの関与が考えられている
  • 肉芽腫性疾患であるサルコイドーシスを鑑別する

肉芽腫性口唇炎・皺襞舌・顔面神経麻痺の3症状が揃うと、メルカーソン・ローゼンタール症候群と呼ばれる(すべて揃うのは10%)

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p349
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p498

関連問題

記述問題10:解答 インドメタシン

顔面で毛包一致性の丘疹・膿疱をきたしており組織学的には毛包内への好酸球浸潤がみられ、好酸球性膿疱性毛包炎の診断

治療ではインドメタシンが奏功する

好酸球性膿疱性毛包炎

  • 症状:主に顔面や上半身で好酸球性膿疱が集簇して局面を形成する。組織学的に毛包への好酸球浸潤、毛包破壊がみられる
  • 病因:プロスタグランジンD2の過剰発現→エオタキシンによる好酸球浸潤
  • 疫学:20歳代に好発し、男性が80%。HIV感染合併例がある
  • 治療:インドメタシンが有効
    (COX阻害によりプロスタグランジンD2を低下させる)
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p266
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p324

関連問題(好酸球性膿疱性毛包炎)

記述問題11:解答 プリミン

サクラソウ(学名はプリムラ トキワザクラやオトメザクラ)による皮膚炎はプリミンがアレルゲンとなる

葉にある絨毛に含まれるが品種改良でプリミンを含まないトキワザクラが出回り、接触皮膚炎の頻度は激減している

  • 1985年 陽性率22.9%(1位)→2014年 陽性率0.7%
  • 日本人でアレルゲンとなりやすい物質を厳選したジャパニーズスタンダードアレルゲンでも、2008に含まれていたが2015(最新)で除外

関連2015 選択19(プリミンをアレルゲンとする製品)

記述問題12:解答 Blaschko線(ブラシュコ線)

胎生期皮膚の成長線をBlaschko線(ブラシュコ線)と呼び、表皮母斑や伊藤白斑、色素失調症などの疾患はこの線に沿った皮疹の分布がみられる

  • 表皮母斑(疣贅状表皮母斑):ケラチン1/10変異がみられ、表皮融解性魚鱗癬の体細胞モザイク
  • 伊藤白斑:不完全脱色素斑や神経症状がみられる
  • 色素失調症:NEMO遺伝子が原因。水疱・丘疹→疣贅→色素沈着と変化する皮疹をきたし、神経症状や眼症状(30%)を伴う

これとは逆に全ての体細胞で先天的な変異がある中で、一部の体細胞が後天的な相同組み換えによって“正常に復帰“する現象を復帰変異モザイクと呼ぶ

先天性表皮水疱症で復帰変異モザイクをきたした正常皮膚を用いて、自家培養表皮を作成する治療が行われている

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p3/385/399
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p2/521/561-563

関連問題

記述問題13:解答 ケラチン

炎症性粉瘤(類表皮嚢腫)の中身である角質塊はケラチンから構成される

組織学的に細くモヤモヤした角化物と、それを貪食する組織像が観察される

  • 参考書籍:みき先生の皮膚病理診断ABC ② 付属器病変 p75
みき先生の皮膚病理診断ABC (2) 付属器系病変

みき先生の皮膚病理診断ABC (2) 付属器系病変

泉 美貴
9,900円(04/23 15:09時点)
Amazonの情報を掲載しています

記述問題14:解答 低血糖・低血圧・徐脈

プロプラノロール(ヘマンジオル®)シロップの副作用を問う問題

βブロッカーのため、低血圧(0.9%)・徐脈(0.5%)・房室ブロック(0.2%)・低血糖(0.5%)・気管支痙攣(0.2%)などの症状が現れることがある

また気管支喘息や心原性ショック、末梢循環障害がある場合、βブロッカーは症状を増悪させる恐れがあり、投与禁忌となっている

"頻度の高い"の定義が微妙ですが、気管支痙攣と房室ブロック以外は(相対的に高いので)正解と思います

関連問題

記述問題15:解答 ランゲルハンス細胞組織球症

体幹に出現した紅色丘疹で、組織学的にCD207(ランゲリン)陽性の細胞が腫瘍性に増殖をきたしており、ランゲルハンス細胞組織球症の診断

生後2か月での発症であり、レッテラー・シーベ病に該当する

Langerhans細胞の免疫染色:S-100、CD1a、CD207(ランゲリン)が陽性となる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p480/35
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p663

関連問題

記述問題16:解答 cornoid lamella

学童期男児の下肢に辺縁が隆起し、(Blaschko線に沿った)線状の角化性丘疹がみられる

組織学的に不全角化細胞が連なったcornoid lamellaを認め、汗孔角化症の診断

汗孔角化症 (porokeratosis)

常染色体優性遺伝形式をとる角化症(孤発例も多い)で、長期経過でBowen病や有棘細胞癌に移行する

メバロン酸代謝に関わるMVD遺伝子等の変異が原因となり、セカンドヒットにより発症する

セカンドヒットが生じる時期(胎生期 or 紫外線暴露による成人期)で、病型分類できる

病型 皮疹分布 発症機序
播種状表在性光線性 成人の露光部(四肢) 受精卵で1ヒット

紫外線等により全身の様々な部位でセカンドヒットが生じる

線状型 小児で線状 受精卵で1ヒット

胎生期に1つの細胞でセカンドヒットが生じたものが、Blaschko線に沿って分布する

2019-Parakeratosis

参考サイトより引用

関連問題(汗孔角化症)

記述問題17:解答 外毛根鞘性角化

後頭部の皮下腫瘍。図35bでは顆粒層(好塩基性)を伴わない角化様式-外毛根鞘性角化-がみられる

毛包峡部由来の腫瘍である外毛根鞘嚢腫(頭部に好発)でみられる角化形式

粉瘤は(外毛根鞘が消失する)毛包漏斗部に由来し、顆粒層がみられる通常の角化形式をとる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p418・22
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p817

関連問題

記述問題18:解答 maturation

真皮上層の母斑細胞はメラノサイトへの分化傾向が強いためメラニンを豊富に含有するが、真皮下層になるにつれ紡錘形のシュワン細胞類似の形態をとりメラニン産生も低下していく。この現象をmaturationと呼ぶ

このため

  • 真皮内母斑であるMiescher母斑(ミーシャー母斑)は皮膚色となる
  • メラノサイトでmaturationが見られないことはメラノーマの診断上重要

悪性黒色腫の診断ではmaturationの消失の他、pagetoid spreadの存在も重要

記述問題19:解答 (1)pink (2)blue

日光角化症では腫瘍部で錯角化、毛孔部や汗孔部では正常角化がみられ、pink and blue signと呼ばれる

これをダーモスコピーで観察すると、紅色背景で毛包部が白く抜けるstrawberry patternとなる

表皮基底層に限局する異型細胞がみられ、日光性弾力線維症(solar elastosis)を伴うことも特徴

関連問題

記述問題20:解答 ヨード

ミノール法で必要な物品を問う問題

ヨードデンプン反応を利用するため、ヨードが必要

ミノール法

ヨードとデンプンが反応し、発汗部で青色色素が生じることを利用したもの

  1. ヨード・無水エタノール・ヒマシ油を混合し、全身に塗布
  2. 乾燥後、デンプン粉を散布
  3. サウナ等の温熱刺激を加える
  4. 汗をかく部位では(水で混ざることにより)ヨードデンプン反応が起こり黒く変色するが、無汗部では変色が生じない

全身の25%以上で無汗・低汗部位があれば特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準に該当する(75%以上で重症)

関連:2011 選択2

スポンサード リンク

-皮膚科, 皮膚科専門医試験対策