日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成30(2018)年度の解答解説を作成しました
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- 問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会(問題・写真はリンク先で確認下さい)
- 参考文献:あたらしい皮膚科学 第3版、皮膚科学(マイナー) 第10版でカッコ内は選択肢番号、その他は問題末に各自記載
※本記事で参考にしたのは皮膚科学 第10版ですが、11版が出ているので上記リンクは新版です
見出し
- 1 平成30年度(2018年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 1〜25
- 1.1 選択問題1:解答 3
- 1.2 選択問題2:解答 2, 4, 5
- 1.3 選択問題3:解答 4, 5
- 1.4 選択問題4:解答 1, 4
- 1.5 選択問題5:解答 1, 3
- 1.6 選択問題6:解答 5
- 1.7 選択問題7:解答 3, 4
- 1.8 選択問題8:解答 3, 4, 5
- 1.9 選択9:解答 3
- 1.10 選択問題10:解答 5
- 1.11 選択問題11:4
- 1.12 選択問題12:解答 3, 4
- 1.13 選択問題13:解答 3
- 1.14 選択問題14:解答 2, 4, 5
- 1.15 選択問題15:解答 1, 5
- 1.16 選択問題16:解答 4
- 1.17 選択問題17:解答 5
- 1.18 選択問題18:解答 1, 2, 3
- 1.19 選択問題19:解答 2
- 1.20 選択問題20:解答 4
- 1.21 選択問題21:解答 2, 3, 5
- 1.22 選択問題22:解答 2, 4
- 1.23 選択問題23:解答 2, 5
- 1.24 選択問題24:解答 3, 5
- 1.25 選択問題25:解答 3
平成30年度(2018年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 1〜25
選択問題1:解答 3
シェーグレン症候群の診断で行われるガムテストでは、10ml/10分間以下で唾液分泌量低下となる→3
なお涙液を測定するSchirmer試験では5mm/5分間以下が低下
シェーグレン症候群 診断基準
- 生検病理組織検査でいずれかの陽性所見
A) 口唇腺組織で4mm2あたり1focus*以上
B) 涙腺組織で4mm2あたり1focus*以上 - 口腔検査でいずれかの陽性所見
A) 唾液腺造影でStage1(直径1mm未満の小点状陰影)以上
B) 唾液分泌量低下(ガム試験にて10分間10mL以下またはSaxonテスト2分間2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見 - 眼科検査でいずれかの陽性所見
A) Schirmer試験で5mm/5分以下かつローズベンガルテスト陽性
B) Schirmer試験で5mm/5分以下かつフルオレセイン試験陽性 - 血清検査でいずれかの陽性所見
A) 抗SS-A抗体陽性
B) 抗SS-B抗体陽性
*導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤
上記1〜4のうち、いずれか2項目を満たせばシェーグレン症候群と診断
→唾液腺生検はシェーグレン症候群の診断に有用
(一方皮膚生検は診断基準だけでいえば意義がない)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p212
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p420
関連問題
選択問題2:解答 2, 4, 5
手掌の原発性局所多汗症に対して保険適用があるのは、水道水イオントフォレーシス・プロバンテリン・内視鏡下胸部交感神経遮断術→2, 4, 5
- 1. 塩化アルミニウム:効果や簡便さから部位を問わず推奨度が高い「まず行ってよい治療」だが、保険適用はない(院内製剤として一般的に処方)
- 2. イオントフォレーシス:推奨度は掌蹠でB、腋窩でC1であり、保険適用の治療
- 3. A型ボツリヌス菌毒素:重症腋窩多汗症に対してのみ保険適用があるが、その他部位はない(効果はある)
- 4. プロバンテリン錠:日本で唯一多汗症に対する保険適用を有する抗コリン薬。とくに他の治療選択肢が少ない頭部顔面において推奨される
- 5. 内視鏡下胸部交感神経遮断術:保険適用で有効性も高いが、侵襲と代償性発汗*のため重症多汗症に対して推奨される
推奨度は手掌がB、腋窩・顔面はC1
*代償性発汗:治療部位の発汗が減少する代わり、他部位の発汗が増加する副作用
2023年6月には原発性手掌多汗症に対して保険適用を有する外用薬、アポハイド®(オキシブチニン)ローションが発売された
関連問題
選択問題3:解答 4, 5
Lichen planopilaris(LPP:毛孔性扁平苔癬)の亜型にfrontal fibrosing alopeciaとGraham-Little syndromeがある→4, 5
原発性瘢痕性脱毛症 (PCA)
毛孔が消失し、不可逆な脱毛をきたす疾患が瘢痕性脱毛症
その内放射線や外傷などの二次性を除外したのが、原発性瘢痕性脱毛症(PCA)
炎症細胞浸潤で幹細胞が存在する毛包bulge領域が傷害されるのが病因で、浸潤細胞で分類される
原発性瘢痕性脱毛症の分類 | ||
リンパ球性 | 慢性皮膚エリテマトーデス | |
毛孔性扁平苔癬 (lichen planopilaris) |
frontal fibrosing alopecia | |
Graham-Little syndrome | ||
ムチン沈着性脱毛症 (alopecia mucinosa) |
||
好中球性 | 禿髪性毛包炎 (folliculitis decalvans) |
|
解離性蜂巣炎 (dissecting cellulitis) ※膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎とも |
||
混合性 | erosive pustular dermatosis |
※参考文献より引用、改変
- 1. alopecia mucinosa(ムチン沈着性脱毛症):常色〜紅色の丘疹が集族して顔面や頭部で局面を形成し、頭部では脱毛をきたす。菌状息肉症を合併することがある
- 2. erosive pustular dermatosis:高齢女性に好発するPCA
- 3. folliculitis decalvans(禿髪性毛包炎):頭部の慢性膿皮症で、毛包一致性の膿疱が多発する。1つの毛包から数本の毛が束になって生えるtufted hairが特徴
- 4. frontal fibrosing alopecia:閉経後の中高年女性に好発し、前頭部〜側頭部で脱毛をきたすLPPの亜型
- 5. Graham-Little syndrome:頭部に加えて腋毛や陰毛の非瘢痕性脱毛をきたすLPPの亜型
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p321(1)/522(3)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p439(1)/324(2)/802(3)/726(4)
- 選択肢5・表の参考:新・皮膚科セミナリウム 原発性瘢痕性脱毛症の最新のマネジメント 日皮会誌:129(1), 7-16, 2019
関連問題
- 2022 選択67 (好中球性PCAをきたす疾患)
- 2021 選択6 / 2016 選択3 / 2009 選択27 (PCAの原因疾患)
- 2015 選択4 / 2012 選択3 (frontal fibrosing alopeciaの臨床問題)
選択問題4:解答 1, 4
男性型脱毛症(AGA)で推奨度Aの治療はミノキシジル外用とフィナステリド(プロペシア®)内服→1, 4
デュタステリド(ザガーロ®)内服も推奨度Aとなっている
男性型脱毛症(AGA) 治療
診療ガイドライン 2017年版より抜粋
推奨度 | 治療 |
A | フィナステリド内服※ (プロペシア®) |
デュタステリド内服※ (ザガーロ®) |
|
ミノキシジル外用 | |
B | 自毛植毛術* |
LEDおよび低出力レーザー照射 | |
アデノシン外用* | |
C1 | カルプロニウム塩化物 (フロジン) |
ケトコナゾール (ニゾラール®) |
|
C2 | 成長因子導入および細胞移植療法 |
D | ミノキシジル内服 |
※女性型脱毛症では推奨度D
*女性型脱毛症では推奨度C1
よって本問の解答は下記
- 1. ミノキシジル:外用は推奨度A、内服は推奨度D(行うべきではない)
- 2. カルプロニウム塩化物:推奨度C1で保険適用があり、円形脱毛症治療でも行われる(こちらも推奨度C1)
- 3. ケトコナゾール外用:推奨度C1、保険適用はない
- 4. フィナステリド内服:推奨度A
- 5. 植毛術:自毛は推奨度Bで推奨度Aの効果が不十分な場合に勧められている。人工は推奨度D
関連問題
- 2020 選択88 (5-α還元酵素阻害剤の作用機序)
- 2019 選択5 / 2017 選択6 (AGA内服治療の比較)
- 2015 選択5 / 2010 選択3 (フィナステリドについて)
- 2022 選択21 / 2011 選択4 (AGA治療と推奨度)
選択問題5:解答 1, 3
円形脱毛症で特徴的な所見はblack dotおよびexclammation mark hair→1, 3
円形脱毛症 ダーモスコピー (トリコスコピー)
活動期の所見:感嘆符毛(漸減毛)・黒点
慢性期の所見:黄色点
- 黒点(black dot):短く毛が切れることで毛包内に観察される所見。円形脱毛症のほか、トリコチロマニアでも生じうる
- 感嘆符毛(exlcamation mark hair):Tapering hairs(漸減毛)とも。円形脱毛症に特異的な、近位側にむかって毛根径が細くなる短く切れた毛
- 黄色点(yellow dots):皮脂や角化物が貯留し黄色く見える毛孔のこと。円形脱毛症のほか、男性型・女性型脱毛症でも生じうる
なお令和4(2022)年度の診療報酬改定で、円形脱毛症に対するダーモスコピーが算定可能となった
(72点で4ヶ月に1回算定可, 日光角化症も同時に追加)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p368(3)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p720(1・3)
- 円形脱毛症でみられる所見:円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版 日皮会誌:127(13), 2741-2762, 2017のp2742
- トリコスコピーの参考:新・皮膚科セミナリウム 毛髪疾患診療のためのトリコスコピーの活用法:病態に基づいたフローチャート法と診断の実際 日皮会誌:131(4), 671-678, 2021
選択問題6:解答 5
脱毛をきたす疾患を問う問題
Cronkhite-Canada症候群はポリポーシスと色素斑に加え、脱毛をきたす→5
- 1. Bazex症候群(腫瘍随伴性先端角化症):四肢末端や耳介で乾癬類似の紅色局面が生じ、その数カ月後に内蔵悪性腫瘍が顕在化する
- 2. Cushing症候群:コルチゾール過剰による症候群で、多毛・皮膚の菲薄化・痤瘡などが生じる(ステロイドの副作用に類似)
- 3. 中条・西村症候群:PSMB8遺伝子変異による自己炎症性疾患で、周期熱や凍瘡様皮疹、脂肪萎縮症が特徴
- 4. Peutz-Jeghers症候群:SKT11遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患で、消化管ポリポーシスと生下時〜幼児期出現の色素斑(口唇・手掌など)が特徴
- 5. Cronkhite-Canada症候群:消化管ポリポーシスと色素斑がありPeutz-Jeghers症候群と類似するが、中年期以降の発症で脱毛や爪甲異常を伴う。治療ではステロイドが用いられる
色素斑をきたす母斑症
遺伝 | 消化管ポリポーシス | 皮膚病変 | |
Peutz-Jeghers症候群 | 常染色体優性遺伝 (半数は孤発例) |
+ | 出生時〜 |
Cronkhite-Canada症候群 | - | + | 中年期以降脱毛や脱色素斑、爪甲異常を伴う |
Laugier-Hunziker-Baran症候群 | - | - | 中年期〜が多い |
なお消化管ポリポーシスは非腫瘍性ポリープで、癌化傾向は強くない
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p/299(1)/218(3)/396(4)/397(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p/364(1)/557(4)/558(5)
関連問題
- 2020 選択73 / 2012 選択70 (色素斑をきたす疾患)
- 2014 選択59(Cronkhite-Canada症候群の臨床問題)
選択問題7:解答 3, 4
色素性乾皮症 variant群の特徴を問う問題
色素性乾皮症 (XP)
紫外線曝露によるDNA修復過程の異常により、光線過敏症+高発癌をきたす
- 原因遺伝子によってA〜G群とV型に分けられ、いずれも常染色体劣性遺伝
- V型のみ、ヌクレオチド除去修復ではなく損傷乗り越え複製機構の異常
→唯一不定期DNA合成能(UDS)が正常値 - 頻度はA群(55%)>V型(25%)>D, F
- C群/E群/V型はMED低下がない・神経症状がない・色素沈着が強くなるという共通項がある
- 1. 頻度はA群が最も高く(55%)、V型は25%で2番目
- 2. 血族結婚例は1/3程度とされる
- 3. V型では神経症状を伴わず、A群との鑑別点
- 4. XPのなかでV型のみ不定期DNA合成能に問題がない
- 5. V型ではMED低下はみられず、A群ではみられるため鑑別点となる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p234(1・3・4・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p269(1・3・4・5)
関連問題
- 2023 選択57 / 2020 選択6 / 2015 選択6 / 2010 選択6 (XPについて:頻度・検査結果・神経症状の有無など)
- 2019 選択12(XP-Vの臨床問題)
- 2013 選択5 (若年から発癌をきたしやすい病型)
選択問題8:解答 3, 4, 5
慢性光線性皮膚炎に関する出題
慢性光線性皮膚炎
高齢男性に好発する、内因性光線過敏症
- 症状:露光部中心に難治性湿疹病変をきたし、慢性に経過する
- 検査:UVBのMED低下が著明だが、UVAや可視光線にも過敏性を示すことがある
- 治療:遮光の他、タクロリムス外用が有効
- 1. 一般に瘙痒は強い
- 2. 高齢男性に好発する。一方多形日光疹は若年女性に好発する
- 3. 苔癬化局面であり、組織学的にも真皮へのリンパ球浸潤がみられる(Pautrier微小膿瘍様)
- 4. 治療ではタクロリムス(プロトピック®)外用が有効
- 5. UVBでのMED低下が著明にみられる(可視光線でも過敏性を示すことあり)
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p233
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p267
関連問題
- 2021 選択7 (慢性光線性皮膚炎について)
- 2017 選択9 (多形日光疹との比較)
- 2009 選択16 (慢性光線性皮膚炎ではUVBのMEDが低下)
選択9:解答 3
尋常性ざ瘡治療の中で、面皰改善作用がある治療を問う問題
アスコルビン酸(ビタミンC)は用いられない→3
尋常性痤瘡 面皰治療
面皰治療での推奨は下記の通り(推奨度C1以上)
治療 | 推奨度 | |
外用 | アダパレン (ディフェリン®) |
A |
過酸化ベンゾイル (ベピオ®) |
A | |
アダパレン/過酸化ベンゾイル配合 (エピデュオ®) |
A | |
クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル (デュアック®) |
A | |
内服 | 荊芥連翹湯 | C1 |
施術 (ケミカルピーリング) |
グリコール酸 | C1 |
サリチル酸マクロゴール | C1 |
- 1. アダパレン(外用レチノイド):毛包上皮の角化を正常化させる
- 2・5. 施術:グリコール酸などのAHAは角層剥奪作用を持つ (これのみ保険適用外)
- 3. アスコルビン酸(ビタミンC):面疱改善作用は強くない
- 4. 過酸化ベンゾイル:コルネオデスモソームを破壊し、角質剥離作用を持つ
なおアスコルビン酸はケミカルピーリング後のイオン導入で用いられることがある
関連問題
選択問題10:解答 5
ケラチン17の遺伝子変異では多発性脂腺嚢腫と先天性爪甲肥厚症が生じる→5
多発性脂腺嚢腫
3〜30mmほどの大きさで腋窩や上腕に生じる、淡黄色の腫瘤
通常単発だが、ケラチン17遺伝子変異例では多発する
組織:嚢腫壁の近傍もしくは接して脂腺が存在し、嚢腫壁は鋸歯様に突出する
ケラチンの遺伝子変異と関連疾患については下記
-
ケラチン 発現部位と先天性皮膚疾患 まとめ
続きを見る
- 1. ケラチン9:掌蹠の有棘層に発現し、Vörner 型掌蹠角化症で変異が見られる
- 3. ケラチン13:粘膜に発現し、白色海綿状母斑で変異が見られる
- 5. ケラチン17:爪に発現し、先天性爪甲肥厚症および多発性脂腺嚢腫で変異が見られるタイプⅠケラチン。掌蹠角化症も伴う
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p418
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p585
関連問題
※ケラチンと発現部位に関する問題は多数あり上記カードの記事参照)
選択問題11:4
IL-5は好酸球遊走を促す作用がある→4
気管支喘息や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)で使われるメポリズマブ(ヌーカラ®)は、IL-5の抗体製剤
なおIL-4も好酸球に作用する
- 1. T細胞:Th1細胞・Th2細胞などに分けられる。Th2細胞はIL-5の他IL-4/13/31等を分泌しアトピー性皮膚炎に関与する
- 2. B細胞:Th2細胞により活性化され、抗体産生を行う(液性免疫)
- 3. 好中球:CXCL1により遊走・活性化される
- 4. 好酸球:IL-5により産生される
- 5. 肥満細胞:IgEにより活性化され、ヒスタミンやヘパリン、キマーゼを遊離する
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p34(4)/31(1)/32(2)/35(3)/33(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p81(4)/79(1・2)/81(5)
関連問題
- 2022 選択29 (EGPAで用いられる製剤)
- 2021 選択17(デュピルマブが作用するサイトカイン)
選択問題12:解答 3, 4
ランゲルハンス細胞が減少する疾患TENおよび急性GVHD→3, 4
両疾患とも主にⅣ型アレルギーで細胞傷害性T細胞が活性化され、角化細胞やランゲルハンス細胞のアポトーシスをきたす
ランゲルハンス細胞
CD1a, S-100, CD207(ランゲリン)の免疫染色で陽性となる
- 1. 成人Still病:持続性の紅斑では表皮細胞の個細胞壊死がみられる
発熱に一致してサーモンピンク疹が出現するのが一般的 - 2. ジベルばら色粃糠疹:海綿状態などの湿疹様所見が見られる(非特異的)
- 3. TEN:表皮細胞の壊死性変化がみられ、急性GVHDに類似する組織像となる
- 4. 急性GVHD:表皮細胞の個細胞壊死やリンパ球浸潤、ランゲルハンス細胞消失が特徴。臨床的には皮膚・肝臓・消化管症状が主体
- 5. 慢性GVHD:苔癬型反応(境界部皮膚炎)が中心。臨床的には扁平苔癬や強皮症様皮疹を生じ、多形皮膚萎縮の原因になる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p214(1)/295(2)/155(3)/161(4・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p194(1)/384(2)/281(3)/295(4)/296(5)
「TENでランゲルハンス細胞が減少する」という明確な記載(教科書やガイドライン)は見つからなかったが、両疾患とも組織像が近いことや、英文誌では報告があることからこちらが正解と考えた
慢性GVHDの分類上重複型(急性と慢性の症状が混在する型)があり、この場合急性に近い壊死性変化やLangerhans細胞の減少が見られる可能性は否定できない。ただ原則は苔癬型反応が中心であり、相対的に弱い選択肢と考える
選択問題13:解答 3
免疫応答を抑制するサイトカインはIL-10→3
抑制系サイトカインとしては、TGF-βも知られる
サイトカインの分類
サイトカインは細胞から分泌され、細胞間相互作用に関与するタンパク質のこと
大きく下記のように分類される
含まれるサイトカイン | 代表的疾患 | |
Th1系 | IFN-γ | 接触皮膚炎 (Ⅳ型アレルギー) |
TNF-α | ||
IL-2 | ||
Th2系 | IL-4 | アトピー性皮膚炎 (Ⅰ型アレルギー) |
IL-5 | ||
IL-13 | ||
IL-31 | ||
Th17系 | IL-17 | 乾癬 |
IL-23 | ||
Treg系 | IL-10 | |
TGF-β |
- 1・2・5. IL-1・IL-6・TNF-α:炎症性サイトカインで、それぞれイラリス®・アクテムラ®・レミケード®の標的となっている(家族性地中海熱や関節リウマチで使用)
- 4. IFN-γ:Th1細胞から分泌され、マクロファージを活性化する
- 3. IL-10:Treg細胞から分泌され、免疫反応を抑制する
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p29/31(4)/32(1・2・5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p77/79(4)/80(1・5)
選択問題14:解答 2, 4, 5
IgG4に関する一般問題
IgG4とIgG4関連疾患
IgG4は4つあるIgGのサブタイプの1つで、通常は5%未満しか存在しない
下記のような特徴を持つ
- 補体活性化能が弱い
- Th2サイトカインであるIL-4やIL-13によって産生が促進される
IgG4関連疾患では血清IgG4の増加(≧135mg/dL)やIgG4陽性細胞の浸潤がみられる
皮膚症状には乾癬様皮疹やリンパ球浸潤による偽リンパ腫がある
- 1. IL-4産生細胞(Th2細胞)によって誘導されるが、産生するのは形質細胞
- 2. Th2サイトカインで誘導されるため、IgG4関連疾患ではIgEも高値となる
- 3. 1分子で異なった2つの抗原を認識(bispecific antibody)するが、抗原架橋は行わないため免疫反応を抑制する方向に働く
- 4. 健常人での血清濃度は全IgG中の4%程度と最も低い
- 5. IgG4関連疾患の診断基準に高IgG4血症(≧135mg/dL)が含まれる
関連:2019 選択91(補体活性化能が弱いIgG), 2017 選択12(血清中最多のIgG)
選択問題15:解答 1, 5
魚鱗癬および魚鱗癬症候群に関する一般問題
- 非症候性魚鱗癬 = 角化異常症(皮膚のみ)
- 魚鱗癬症候群 = 角化異常症 + 他臓器障害
- 1. KID症候群:コネキシンをコードするGJB2遺伝子変異が原因で、角膜炎(keratitis)・魚鱗癬(ichthyosis)・聴覚障害(deafness)が3徴
- 2. 葉状魚鱗癬:周辺帯形成に関与するトランスグルタミナーゼをコードするTGM1遺伝子変異が原因。KRT1遺伝子変異は表皮融解性魚鱗癬の原因
- 3. 道化師様魚鱗癬:層板顆粒の脂質輸送蛋白をコードするABCA12遺伝子変異が原因。SPINK5はNetherton症候群の原因
- 4. Netherton症候群:曲折線状魚鱗癬・結節性裂毛・アトピー素因が3徴。痙性四肢麻痺や精神発達遅滞はSjögren-Larsson症候群の特徴
- 5. 表皮融解性魚鱗癬(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症):ケラチン1/10遺伝子変異による魚鱗癬。新生児期は水疱形成が目立つが、成長とともに減少し過角化が主体となる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p275(1)/271(2・3)/275(4)/273(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p338(1)/334(2)/335(3)/337(4)/332(5)
関連問題
- 2021 選択18 / 2011 選択8 / 2010 選択7 (葉状魚鱗癬)
- 2021 選択91 / 2020 選択15 / 2019 記述2 / 2017 選択15 / 2016 選択6 (Netherton症候群)
- 2017 選択17(表皮融解性魚鱗癬の臨床問題)
- 2016 選択15 / 2012 選択11 (Sjögren-Larsson症候群)
選択問題16:解答 4
掌蹠で出生時からのびまん性過角化がみられ、組織学的に表皮上層での顆粒変性*を伴っていることからVörner型掌蹠角化症の診断→4
*表皮の顆粒層〜有棘層で、大型のケラトヒアリン顆粒をもつ空胞化細胞が出現する状態
掌蹠角化症 | 原因遺伝子 | 顆粒変性 |
Unna-Thost型 | KRT1 | なし |
Vörner型 | KRT9 (まれにKRT1) |
あり |
と分類されてきたが、同一疾患(生検部位に顆粒変性があったか否かで診断名が変わっていた)と最近では解釈されるようになっている
本問では明確に顆粒変性があるので、Vörner型とするのが妥当
- 1. Meleda病:transgredisns(掌蹠を越える皮疹:肘・膝・アキレス腱部など)がみられ、日本人では非常に稀な疾患。SLURP1遺伝子変異が原因
- 2. 線状掌蹠角化症:びまん性ではなく線状の過角化をきたす。KRT1やDSG1遺伝子変異が原因
- 3. 長島型:transgrediensが見られ、過角化のみでなく潮紅が目立つ。SERPINB7遺伝子変異が原因で、日本人最多の掌蹠角化症
- 4. Vörner型:掌蹠に限局したびまん性角化をきたし、組織学的に顆粒変性を伴う
- 5. Unna-Thost型:臨床像はVörner型と同じだが、組織学的に顆粒変性なし
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p277(3・4・5)/278(1・2)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p341(1・2・4)/342(3)/339(5)
関連問題(顆粒変性)
- 2023 記述11 (顆粒変性の病理)
- 2021 選択13 / 2021 選択21 / 2017 選択17 / 2014 選択9 / 2011 選択12 (顆粒変性をきたす疾患)
- 2022 選択77 / 2013 選択64 (顆粒変性を伴う掌蹠角化症)
- 2013 選択12 (KRT1/10遺伝子変異による疾患)
選択問題17:解答 5
セクキヌマブ(コセンティクス®)・イキセキズマブ(トルツ®)・ブロダルマブ(ルミセフ®)は全てIL-17をターゲットとした乾癬の生物学的製剤
投与禁忌項目のみが共通→5
IL-17抗体製剤 乾癬 比較
※本問出題後に発売されたビメキズマブも追記して記載
抗体 | ターゲット | 由来 | |
セクキヌマブ (コセンティクス®) |
IgG1 | IL-17A | 完全ヒト型 |
イキセキズマブ (トルツ®) |
IgG4 | IL-17A | ヒト化型 |
ブロダルマブ (ルミセフ®) |
IgG2 | IL-17RA (受容体) |
完全ヒト型 |
ビメキズマブ (ビンゼレックス®) |
IgG1 | IL-17A/F | ヒト化型 |
適用疾患 | 尋常性 乾癬 |
関節症性 乾癬 |
膿疱性 乾癬 |
乾癬性 紅皮症 |
強直性脊椎炎 | X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎 |
セクキヌマブ (コセンティクス®) |
○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
イキセキズマブ (トルツ®) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ブロダルマブ (ルミセフ®) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ビメキズマブ* (ビンゼレックス®) |
○ | × | ○ | ○ | × | × |
投与禁忌項目(共通)
- 重篤な感染症
- 活動性結核
- 本剤の成分に対する過敏症の既往歴
※IL-17製剤共通で注意なのは炎症性腸疾患で、ブロダルマブのみうつ病が含まれる
- 1. 適用疾患:3剤の中でセクキヌマブのみ乾癬性紅皮症が含まれない
- 2. IgG1抗体:3つの中ではセクキヌマブだけがIgG1モノクローナル抗体
- 3. ヒト型抗体:接尾後がzumabのイキセキズマブ(+ビメキズマブ)はヒト化型抗体、umabの2剤は完全ヒト型抗体。なおキメラ化製剤はximab(ex. インフリキシマブ)
- 4. 抗IL-17抗体:ブロダルマブのみIL-17受容体抗体(RA)製剤となっており、他2剤はIL-17A抗体
- 5. 投与禁忌項目:重篤な感染症・活動性結核・過敏症の既往歴で共通
- 参考:各種添付文書
関連問題
選択問題18:解答 1, 2, 3
乾癬様皮疹が見られる疾患を問う問題
- 1. 梅毒:第2期梅毒ではとくに掌蹠で乾癬様皮疹をきたす。組織では形質細胞浸潤がみられる
- 2. IgG4関連疾患:他臓器のIgG4関連疾患に乾癬様皮疹が合併し、IgG4陽性の形質細胞浸潤がみられる
- 3. 反応性関節炎(Reiter症候群):クラミジア感染後に生じる反応性関節炎で、尿道炎や結膜炎の他掌蹠で乾癬様皮疹をきたす(15%)
- 4. POEMS症候群:Polyneuropathy(多発単神経炎), Organomegaly(臓器腫大), Endocrinopathy(内分泌異常), M-protein(M蛋白血症), Skin lesions(皮膚病変)の略。皮膚では糸球体様血管腫や色素沈着がみられる
- 5. クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS):NLRP3遺伝子変異によりIL-1βが過剰産生される自己炎症性疾患で、寒冷刺激に伴う膨疹をきたす
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p558(1)/216(3)/425(4)/217(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p920(1)/196(3)/654(5)
- 選択肢2の参考:新・皮膚科セミナリウム IgG4関連皮膚疾患 日皮会誌:126(8), 1445-1451, 2016
関連問題
- 2012 選択31 (梅毒乾癬様皮疹の好発部位)
選択問題19:解答 2
乾癬で用いられる外用剤に含まれるステロイドを問う問題
カルシポトリオール+ベタメタゾンジプロピオン酸エステル=ドボベット®→2
合剤としては下記2種類
商品名 | ステロイド | ビタミンD3 |
ドボベット® | ベタメタゾンジプロピオン酸エステル (リンデロン-DP®) |
カルシポトリオール (ドボネックス®) |
マーデュオックス® | ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル (アンテベート®) |
マキサカルシトール (オキサロール®) |
ビタミンD外用製剤については下記も参照
-
ビタミンD外用製剤と保険適用疾患 各種製剤の比較
続きを見る
- 1. ベタメタゾン吉草酸エステル:リンデロン®V, ベトネベート®
- 2. ベタメタゾンジプロピオン酸エステル:リンデロン®DP, ヒズボット®で、ドボベット®に含まれる
- 3. クロベタゾールプロピオン酸エステル:デルモベート®, コムクロ®
- 4. デキサメタゾンプロピオン酸エステル:メサデルム®
- 5. ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル:アンテベート®で、マーデュオックス®に含まれる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p93
関連問題
- 2022 選択30 (ドボネックス®の含有量)
- 2015 選択16 (ドボベット®の最大使用量)
- 2013 選択10 / 2011 選択13 (高カルシウム血症のリスク因子)
選択問題20:解答 4
若年女性の背部で色素沈着を残す掻痒感の強い皮疹であり、色素性痒疹の診断
ペットボトル飲料の過飲が原因となりえる→4
色素性痒疹(長島)
思春期女性の背部や項部に好発
蕁麻疹様紅斑→消退後色素沈着を残す
ケトーシスとの関連が指摘されており、
- ダイエットに伴う急激な体重減少
- 摂食障害
- ペットボトル飲料(清涼飲料水)の過飲
などが原因となる
治療ではミノサイクリンの内服が有効だが、ステロイド外用や抗ヒスタミン薬内服に反応しない
- 1. HCV感染症:扁平苔癬や晩発性皮膚ポルフィリン症、クリオグロブリン血症Ⅱ型と関連する
- 2. 急激な体重増加:体重"減少"であれば色素性痒疹の誘因となる。「急激な体重増加」が特徴なのはEAE*
- 3. 繰り返す喘息発作:喘息発作が先行する疾患に、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)がある
- 4. ペットボトル過飲:ケトーシス、引いては色素性痒疹の原因となり得る
- 5. アロマオイル:含まれる香料(ベルガプテン)によって光線過敏症をきたすことがある:ベルロック皮膚炎
*EAE = episodic angioedema with eosinophilia
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p137(2・4)/291・331(1)/170(3)/232(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p174(2・4)/375・459(1)/212(3)/266(5)
関連問題
- 2021 記述10 / 2010 記述8 (臨床問題)
選択問題21:解答 2, 3, 5
アトピー性皮膚炎診療ガイドラインで推奨度が高い治療は、タクロリムス軟膏・ステロイド外用薬・プロアクティブ療法の3つ→2, 3, 5
アトピー性皮膚炎 ガイドライン推奨治療
現在最新の2021年ガイドラインで最も推奨されている治療(推奨度1, エビデンスレベルA)は下記の通り
- ステロイド外用薬
- タクロリムス(プロトピック®)軟膏
- プロアクティブ療法(再発をよく繰り返す場合)
- 保湿剤外用
(以下2021年版より追加)
- デルゴシチニブ(コレクチム®)軟膏
- デュピルマブ(デュピクセント®)皮下注
- バリシチニブ(オルミエント®)内服
※バリシチニブ以外のJAK阻害薬は当時未発売
このうち旧ガイドラインから存在する3つが本問の解答となる
- 1. シクロスポリン(ネオーラル®)内服:副作用のため推奨度2, エビデンスレベルA
- 4. 環境中のダニ抗原除去:推奨度2, エビデンスレベルB
プロアクティブ療法については2018年版では2A→2021年版で再度1Aとなった。それ以外の選択肢は2018/2021年版いずれも推奨度に変化はない
- 参考(最新版):アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021 日皮会誌:131(13), 2691-2777, 2021の表16(p2753)
- 2016年版:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016年版 日皮会誌:126(2), 121-155, 2016
関連問題
- 2022 選択40 / 2017 選択23 / 2013 選択22 (ガイドラインでの治療/除外すべき疾患/診断基準)
- 2016 記述4 (プロアクティブ療法)
選択問題22:解答 2, 4
ヒトヘルペスウイルス(HHV)と関連疾患を問う問題
ヒトヘルペスウイルス(HHV)と皮膚疾患
公式名称 | 略称 | 皮膚疾患 |
HHV1 | HSV-1 | 単純膨疹(とくに口唇) |
カポジ水痘様発疹症 | ||
HHV2 | HSV-2 | 単純膨疹(とくに性器) |
HHV3 | VZV | 水痘 |
帯状疱疹 | ||
HHV4 | EBV | 伝染性単核球症 |
慢性活動性EBウイルス感染症 (蚊刺過敏症, 種痘様水疱症) |
||
Gianotti-Crosti症候群 | ||
節外性NK/T細胞リンパ腫 | ||
口腔毛状白板症 | ||
HHV5 | CMV | 伝染性単核球症 |
Gianotti-Crosti症候群 | ||
薬剤性過敏症症候群(DIHS) ※HHV-6より遅れて再活性化 |
||
HHV6 | HHV-6 | 突発性発疹 |
DIHS | ||
HHV7 | HHV-7 | 突発性発疹 |
Gibertばら色粃糠疹 | ||
HHV8 | HHV-8 | カポジ肉腫 |
- 1. HSV2:HSV-1/2はともに単純疱疹の原因となり、再発性性器ヘルペスではHSV-2が多い。帯状疱疹の原因はVZV
- 2. EBV:慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)では蚊刺過敏症や種痘様水疱症をきたす
- 3. CMV:伝染性単核球症やGianotti症候群をきたす。EBVはNK細胞リンパ腫と関連する
- 4. HHV-6やHHV-7は突発性発疹の原因となる。解熱後の発疹をきたす
- 5. HHV-8:カポジ肉腫の原因となる。カポジ水痘様発疹症の原因はHSV-1/2
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p487(1)/562(2)/476(3)/503(4)/464(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p753(1)/764(2)/765(3・4)/657(5)
関連問題
- 2022 選択68 / 2018 選択35 / 2012 選択19 (Kaposi肉腫の原因ウイルス)
- 2021 選択39(CAEBV)
- 2019 選択34 (EBV関連疾患)
- 2014 選択16 / 2012 選択18 (ウイルスと関連疾患)
選択問題23:解答 2, 5
AIDS指標疾患はカポジ肉腫および食道カンジダ→2, 5
AIDS指標疾患 皮膚科関連
HIV感染症かつ、免疫能の低下による疾患(AIDS指標疾患)を発症した場合にAIDSと診断する
皮膚科関連の主なAIDS指標疾患は下記
- カンジダ症:食道・気管・気管支・肺 (口腔や膣は含まない)
- サイトメガロウイルス感染症
- 単純ヘルペスウイルス感染症:1ヶ月以上持続し潰瘍を伴うもの
- カポジ肉腫
- 1・3. 帯状疱疹・脂漏性湿疹:HIV感染者に好発するが、指標疾患ではない
- 2. カポジ肉腫:HHV-8が原因となるAIDS指標疾患
- 4. 口腔カンジダ症:口腔カンジダ症は含まれない
- 5. 食道カンジダ症:AIDS指標疾患の一つ
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p512
関連問題
選択問題24:解答 3, 5
空気感染する感染症の代表は下記3つ
- 麻疹
- 水痘
- 結核
→3, 5
- 1. EBウイルス:唾液によって感染する(kissing disease)
- 2. 風疹:飛沫感染
- 3. 麻疹:空気感染し、感染力が強く不顕性感染も少ない(基本再生産数が極めて高い)
- 4. サイトメガロウイルス:多くは乳幼児期に産道・経母乳・水平感染する
- 5. 水痘・帯状疱疹ウイルス:空気感染
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p507(1)/501(2)/499(3)/490(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p763(1)/780(2)/777(3)/765(4)/758(5)
選択問題25:解答 3
手背で半年前からと経過の長いリンパ行性の飛び石状病変がみられ、スライドカルチャーでは菌糸および花弁状胞子がみられる
スポロトリコーシスの像→3
スポロトリコーシス
土壌に存在するSporothrix globosa (旧称S. schenckii)が原因の真菌症
S. globosaは菌糸および酵母の両形態をとる二相性真菌の一つ
手背などの傷から侵入し、当初は単発の病変を形成するが進展するとリンパ行性に近位側へ飛び石状病変を生じる
- 組織:好酸性の星状体(asteroid body)が特徴
- 培養:黒褐色の絨毛状コロニー
- スライド培養:菌糸に花弁状の胞子を伴う像
- 治療:イトラコナゾール内服および温熱療法、ヨウ化カリウム
- 1. 黒色菌糸症(フェオヒフォミコーシス):培養で黒色コロニーを形成する黒色真菌のなかで、特徴的なsclerotic cell(muriform cell)がみられないもの。スライド培養では菌糸が特徴
- 2. 黒色分芽菌症(クロモミコーシス):黒色真菌のなかで、特徴的な隔壁を持つ褐色の大型胞子(sclerotic cell)を認めるもの。原因はFonsecae monophora(旧F. pedrosoi)など
- 3. スポロトリコーシス:手背に好発しリンパ行性の病変形成、スライド培養での菌糸と花弁状胞子が特徴
- 4. 皮膚アルテルナリア症:環境中に広く分布する真菌で顔面や前腕で潰瘍形成をきたす深在性と、角層で紅斑をきたす浅在性が存在する
- 5. 皮膚アスペルギルス症:肺病変からの播種ないし長期臥床・ギプス固定等の部位から侵入した膿皮症の病型をとる
- 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p541(3)/543(1)/542(2)/544(5)
- 参考書籍:皮膚科学 第10版 p875(3)/880(1)/878(2)/884(4)/883(5)
関連問題
選択問題26〜50は下記へ
-
平成30年度(2018年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50
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