皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成25(2013)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50

2022年11月20日

2013-specialist-2

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成25(2013)年度解答解説を作成しました

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選択問題1〜25は下記

2013-Specialist-1
平成25(2013)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜25

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見出し


平成25年度(2013年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 26〜50

選択問題26:解答 1, 3

選択問題26

大腿内側の皮疹の直接鏡検で図3の所見がみられた。次の外用剤のうち、適応でないものはどれか。2つ選べ。

  1. チオカルバミン酸系 (トルナフタートなど)
  2. アゾール系 (クロトリマゾール、ミコナゾールなど)
  3. ベンジルアミン系 (塩酸ブテナフィンなど)
  4. アリルアミン系 (塩酸テルビナフィンなど)
  5. モルホリン系 (塩酸アモルフィンなど)

2013-S26

直接鏡検では胞子が目立ち、皮膚カンジダ症の診断

チオカルバミン酸系およびベンジルアミン系外用薬は、白癬にのみ用いられる→1, 3

皮膚カンジダ症に対して使用される抗真菌外用薬

系統 一般名 商品名
イミダゾール ケトコナゾール ニゾラール®
ネチコナゾール アトラント®
ルリコナゾール ルリコン®
ラノコナゾール アスタット®
ビホナゾール マイコスポール®
クロトリマゾール エンペシド®
ミコナゾール フロリードD®
モルホリン アモロルフィン ペキロン®
アリルアミン テルビナフィン ラミシール®

青文字は白癬と共通

白癬に対して使用される抗真菌外用薬

ここでの白癬は足白癬や股部白癬など

系統 一般名 商品名
イミダゾール ケトコナゾール ニゾラール®
ネチコナゾール アトラント®
ルリコナゾール ルリコン®
ラノコナゾール アスタット®
ビホナゾール マイコスポール®
モルホリン アモロルフィン ペキロン®
アリルアミン テルビナフィン ラミシール®
ベンジルアミン ブテナフィン メンタックス®, ボレー®
チオカルバミン酸 リラナフタート ゼフナート®

青文字は皮膚カンジダ症と共通

関連問題

多くは白癬/カンジダ共通なので、カンジダにはリラナフタートとブテナフィンがNGという点を抑える

選択問題27:解答 2

選択問題27

32歳の男性。鼡径部の皮膚病変(図4a)で来院した。直接鏡検所見(図4b)、皮膚生検所見のHE染色(図4c)とPAS染色(図4d)を示す。原因として最も頻度が高いのはどれか。

  1. T. mentagrophytes
  2. T. rubrum
  3. T. tonsurans
  4. M. gypseum
  5. M. canis

2013-S27

鼡径部の円形紅斑で、直接鏡検にて菌糸を認めることから股部白癬を考える

原因菌としてはTrichophyton rubrumが最多→2

2番目に多いT. mentagrophytesと合わせて白癬の95%以上を占める

  • 1. T. mentagrophytes:足白癬の原因菌の中でT. rubrumに次いで2番目に多い
  • 2. T. rubrum:原因菌として最多で、とくに角化病変をきたしやすい
  • 3. T. tonsurans:頭部白癬の原因で、柔道やレスリング選手での集団発生が問題となる
  • 4. Microsporum gypseum:土壌に存在する真菌の一種で、ケルスス禿瘡の原因となる
  • 5. Microsporum canis:動物好性菌で、ペットから感染して頭部白癬やケルスス禿瘡の原因となる

近年は分子生物学の進歩により、下記のように菌名変更されている。新しい文献を読む際は注意

  • T. mentagrophytes (とされてきたものの大部分)→ T. interdigitale
  • M. gypseumNannizzia gypsea
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p532・535(1・2)/536(3・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p887・890(1・2)/889・896(3〜5)
    (菌名変更後の記載)

関連問題

選択問題28:解答 4

選択問題28

左上肢に多発性結節を生じ、一部排膿をみる(図5a)。連続切片を作成しPAS染色を行った(図5b)。正しいのはどれか。

  1. クオンティフェロン第2世代が陽性になる。
  2. 魚類を介して感染する。
  3. 培養でコロニーを得るには通常4週間以上かかる。
  4. ヨードカリが有効である。
  5. Ziehl-Neelsen染色が陽性になる。

2013-S28

左上肢で飛び石状に結節が多発しており、PAS染色で染まる円形の菌体が見られる

スポロトリコーシスの診断で、治療にはヨードカリが有効→4

非結核性抗酸菌であるM. marinumも同様の臨床像を示す

スポロトリコーシス

土壌に存在するSporothrix globosa (旧称S. schenckii)が原因の真菌症

S. globosa菌糸および酵母の両形態をとる二相性真菌の一つ

典型的には手背などの傷から侵入し、単発の病変→進展してリンパ行性に近位側へ飛び石状病変を生じる(皮膚リンパ管型)

  • 組織:好酸性の星状体(asteroid body)が特徴, PAS染色陽性の菌体が見られることもある
  • 培養:黒褐色の絨毛状コロニー
  • スライド培養:菌糸に花弁状の胞子を伴う
  • 治療:イトラコナゾール内服および温熱療法、ヨウ化カリウム
  • 1. M. marinumは(結核ではないが)クオンティフェロン第2世代が交差反応で陽性となる
  • 2. M. marinumは魚類飼育者に好発する。スポロトリコーシスは土壌を介して感染するため、農業従事者に好発
  • 3. 培養では1週間ほどで褐色〜黒褐色の絨毛状コロニー形成がみられるM. marinumは遅発性であり約4週間が必要
  • 4. イトラコナゾール内服が第一選択だが、ヨウ化カリウムや温熱療法も有効。なお温熱療法はM. marinumにも有効
  • 5. M. marinumは抗酸菌のため陽性となる。スポロトリコーシスは陰性

関連問題

選択問題29:解答 4, 5

選択問題29

尋常性痤瘡に対して保険適用のある経口抗菌薬はどれか。2つ選べ。

  1. ミノサイクリン
  2. クラリスロマイシン
  3. クリンダマイシン
  4. ファロペネム
  5. ロキシスロマイシン

ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)に対して保険適用があるのは、ファロペネムおよびロキシスロマイシン→4, 5

それ以外の抗生剤は「尋常性痤瘡に対しては」保険適用となっていない

(ミノサイクリンやクラリスロマイシンは「表在性皮膚感染症」に対しての保険適用はあり、実務上ほぼ問題はない)

  • 1. ミノサイクリン:A*、めまいや色素沈着の副作用があるためAではない(有効性が同等のドキシサイクリンは推奨度A)
  • 2. クラリスロマイシン:C1
  • 3. クリンダマイシン:内服は使われない。外用薬としてダラシン®が用いられる
  • 4. ファロペネム:B
  • 5. ロキシスロマイシン:B

※英数字はガイドラインでの推奨度を示す

ガイドライン推奨度Aのドキシサイクリンについて。(添付文書上は記載されていないが)痤瘡に対しての投与も保険審査上認められると通達が出ている

関連問題(尋常性痤瘡)

選択問題30:解答 3, 4

選択問題30

Hansen病の原因菌についての説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 感染力が強い。
  2. 培養で同定できる。
  3. 抗酸菌の一つである。
  4. 保菌する動物もいる。
  5. Hematoxylin-Eosin染色で青色に染色される。

Hansen病の原因菌はMycobacterium leprae(らい菌)

同菌は抗酸菌の一つで、アルマジロが保菌動物として知られる→3, 4

  • 1. 感染力が弱く感染しても大部分は細胞性免疫によって駆逐され、発症するのはわずか
  • 2. 人工培地での培養は不可で、アルマジロの足を利用して菌を増殖させる。診断もスメア検査*を行う
  • 3. 結核菌・非結核菌抗酸菌と併せて抗酸菌に分類される
  • 4. アルマジロや霊長類が保菌している
  • 5. HE染色では染色されない。抗酸菌染色であるFite染色やZiehl-Neelsen染色を用いると赤く染色される。好酸性が弱いため前者のほうが向く

*スメア検査:皮膚をメスで刺し、組織液を塗抹して抗酸菌染色を行う

関連問題

選択問題31:解答 5

選択問題31

疥癬に対するイベルメクチン内服療法で正しいのはどれか。

  1. イベルメクチン1mg/kg 分2を1日投与する。
  2. イベルメクチンの1回投与で治癒する。
  3. 爪疥癬に有効である。
  4. クロタミトン軟膏は併用しない。
  5. 副腎皮質ステロイド内服はイベルメクチンの効果を減弱させる。

副腎皮質ステロイド内服は疥癬を悪化させる→5

イベルメクチンは無脊椎動物のClチャネルに作用する薬剤で、疥癬治療の第一選択薬となっている

  • 1. 約200μg(0.2mg)/kg空腹時に1回投与する。1錠3mgのため、体重15kg未満では投与できない
  • 2. 通常2回内服(1週間空ける)により、1ヶ月前後で治癒する※
  • 3. 爪疥癬に対してイベルメクチンは臨床的に無効と報告されており、添付文書でも「爪疥癬の治療には使用しないこと」と記載されている
  • 4. クロタミトン外用剤はフェノトリン外用やイベルメクチン内服との併用が勧められている
  • 5. ステロイド剤内服・外用は疥癬を悪化させたり、治療までの期間が遷延することがある(≒イベルメクチンの効果を減弱させる)

※添付文書上は「通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。」「重症型(角化型疥癬等)の場合、本剤の初回投与後、1〜2週間以内に検鏡を含めて効果を確認し、2回目の投与を考慮すること。」と記載されている

→つまりこれを遵守するなら1回診察+処方後、再度の診察が必要となる

しかしガイドラインでは"通常型疥癬の項で"「通常2回内服により、1ヶ月前後で治癒する」なので、やや乖離がある

(実際問題としては初診時に2回分処方されることが多いだろう。なお2009年 選択48では「疥癬治療でイベルメクチンは1回内服を標準とする。」が誤り選択肢として出題されている)

爪疥癬の治療

外用療法としてフェノトリンローション単独、あるいはサリチル酸ワセリンなどの角質溶解剤と重曹塗布して24時間程度の密封療法を行う。

また物理的に爪や肥厚した角質層を削り取る、短く切るなどして病爪を減らす

関連問題(イベルメクチン)

選択問題32:解答 4

選択問題32

シェーグレン症候群に関連の強い自己抗体で誤っているのはどれか。

  1. 抗SS-A抗体
  2. 抗SS-B抗体
  3. 抗α-フォドリン抗体
  4. 抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体
  5. 抗M3ムスカリンアセチルコリン受容体抗体

抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗ARS抗体)は皮膚筋炎でみられる自己抗体→4

  • 1. 抗SS-A抗体:シェーグレン症候群で感度が高く、診断基準にも含まれる自己抗体
  • 2. 抗SS-B抗体:シェーグレン症候群で特異度が高く、診断基準にも含まれる自己抗体。陽性例で環状紅斑をきたしやすい
  • 3. 抗α-フォドリン抗体:シェーグレン症候群で陽性となることがある自己抗体
  • 4. 抗ARS抗体:機械工の手および慢性進行性間質性肺炎をきたす、皮膚筋炎の自己抗体。抗細胞質抗体であり、抗核抗体は陰性となるため注意
  • 5. 抗M3ムスカリン作動性アセチルコリン受容体抗体:外分泌腺特異的でシェーグレン症候群の病因に関与すると考えられている自己抗体
    乾燥症状に対して用いられるサリグレン®は同受容体を刺激する

関連問題

選択問題33:解答 2, 3, 4

選択問題33

62歳の男性。高血圧、糖尿病あり。狭心症発作を繰り返すため心臓カテーテル検査を受けた。その翌日から足先のチアノーゼが生じてきた(図6a)。その部の皮膚生検の病理組織所見を示す(図6b)。この疾患に随伴して起きる特徴的症状、検査異常はどれか。3つ選べ。

  1. 血清カルシウム値上昇
  2. 好酸球増多
  3. 血清クレアチニン上昇
  4. 血清補体価低下
  5. 血小板減少

2013-S33

カテーテル検査後の足趾色調不良であり、組織でコレステロール結晶を認めることからコレステロール結晶塞栓症の診断

コレステロール結晶塞栓症 (Blue toe syndrome)

動脈硬化病変の粥状硬化巣から剥がれたコレステロール結晶が、皮膚や腎臓などの血管を閉塞させることで生じる

典型的には血管カテーテル操作などを誘引として発症する

  • 診断:皮膚生検によるコレステロール結晶の証明(HEでは固定されないので白く抜けてみえる)
  • 検査所見:血清Cr上昇(←腎障害を反映), 好酸球増多, 血清補体価低下

関連問題

  • 2010 選択74 (コレステロール結晶塞栓症の臨床問題)

選択問題34:解答 2

選択問題34

蛍光抗体間接法による抗核抗体の染色型と対応抗原で、誤っているのはどれか。

  1. 細胞質型 - ヒスチジルtRNA合成酵素
  2. 核小体型 - セントロメア
  3. 均質型 - DNA-ヒストン複合体
  4. 辺縁型 - 2本鎖DNA
  5. 斑紋型 - 可溶性核抗原

抗セントロメア抗体は離散斑紋型(discrete speckled)となる→2

抗核抗体 染色型と対応抗原

抗核抗体検査の陽性パターンである程度対応抗原(≒膠原病)を絞り込める

陽性パターン 英語表記 自己抗原 関連疾患
斑紋型 speckled RNP, Sm, Scl-70 複数
均一型(びまん型) homogeneous ssDNA, dsDNA, ヒストン, Mi-2 SLE
辺縁型 peripheral ssDNA, dsDNA
核小体型 nucleolar U3RNP, Th/To SSc
離散斑紋型 discrete speckled セントロメア

*RNP = RNAポリメラーゼ, SLE = 全身性エリテマトーデス, SSc = 全身性強皮症

抗セントロメア抗体 - 離散斑紋型以外は1対1対応でないため、抗核抗体陽性なら各自己抗体を測定したほうが確実

  • 1. 細胞質型 cytoplasmic:抗ARS抗体(Jo-1=ヒスチジルtRNA合成酵素など複数)や抗ミトコンドリア抗体など。対応抗原が核でないため、抗核抗体は陰性(上記表では省略した)
  • 2. 離散斑紋型 discrete speckled:抗セントロメア抗体と1対1対応する
  • 3・4 均質型(均一型) homogeneous・辺縁型 peripheral:DNAやヒストンなどSLE関連の自己抗体
  • 5. 斑紋型 speckled:抗ENA(可溶性核抗原)抗体に含まれる抗Sm抗体、抗RNP抗体、抗Scl-70抗体など

選択問題35:解答 2, 3

選択問題35

24歳の男性。2か月前から体幹と四肢に、痒みの強い紅斑と小水疱が出現した(図7a)。図7bに組織HE染色所見を示す。予想される蛍光抗体直接法所見はどれか。2つ選べ。

  1. 線状にIgGが表皮基底膜部に沈着
  2. 線状にIgAが表皮基底膜部に沈着
  3. 線状にC3が表皮基底膜部に沈着
  4. 顆粒状ないし細線維状にIgGが真皮乳頭層に沈着
  5. 顆粒状ないし細線維状にIgAが真皮乳頭層に沈着

2013-S34

強い掻痒感と小水疱がみられ、線状IgA水疱性皮膚症を考える

表皮基底膜部へのIgAやC3の線状沈着が特徴→2, 3

線状IgA水疱性皮膚症

類天疱瘡群の一種だが、水疱よりも掻痒感の強い紅斑が特徴

薬剤(バンコマイシンなど)が原因となる場合がある

  • 組織:表皮下水疱および好中球中心の細胞浸潤
  • 蛍光抗体直接法:基底膜部への線状のIgAやC3沈着
  • 治療:DDSが第一選択※

※線状IgA水疱性皮膚症に限らず、IgA沈着がみられる疾患ではDDSがステロイドより優先される

  • 1. IgGが基底膜部へ線状沈着:水疱性類天疱瘡や後天性表皮水疱症でみられる所見
  • 2. IgAが基底膜部へ線状沈着:線状IgA水疱性皮膚症でみられる所見
  • 3. C3が基底膜部へ線状沈着:線状IgA水疱性皮膚症や水疱性類天疱瘡、妊娠性疱疹など、類天疱瘡群で幅広くみられる所見
  • 4. IgGが真皮乳頭層へ顆粒状沈着:このような類天疱瘡群はない
  • 5. IgAが真皮乳頭層へ顆粒状沈着:Duhring疱疹状皮膚炎に特徴的な所見

本問で鑑別に挙げられる疾患としてDuhring疱疹状皮膚炎がある。この場合蛍光抗体直接法においてIgAが"顆粒状に"基底膜部や真皮乳頭部に沈着する所見がみられる(選択肢5)

ここで一つ問題となる点として、本問の臨床画像は2011 選択47(明らかなDuhring疱疹状皮膚炎)と同一である。しかし本問をDuhring疱疹状皮膚炎と考えて解こうとしても、正解となる選択肢が存在しないので、ここでは線状IgA水疱性皮膚症と考え、2, 3を正解選択肢とした。

Duhirng疱疹状皮膚炎と線状IgA水疱性皮膚症のはときに鑑別困難とされており、同一写真を提示してあえて違う疾患について問うという問題構成なのかもしれない(深読みしすぎな気はするが)

なお線状IgA水疱性皮膚症とDuhring疱疹状皮膚炎の蛍光抗体直接法の違いについては、医師国家試験108I19の画像がわかりやすい

2013-108I19

参考サイト画像を一部改変, 左が線状IgA水疱性皮膚症, 右がDuhring疱疹状皮膚炎

関連問題(線状IgA水疱性皮膚症)

  • 2017 記述4 (第一選択薬:DDS)
  • 2011 選択45 (VCMと関連する水疱症)
  • 2011 選択47 (Duhring疱疹状皮膚炎の蛍光抗体所見, 画像は本問と同一)
  • 2010 選択33 (好発年齢, 合併症 ,治療など)

選択問題36:解答 1, 2

選択問題36

化学熱傷で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 一般にアルカリによる熱傷は、酸による熱傷よりも深くなる。
  2. フッ化水素酸熱傷は、皮膚病変の程度に比して強い疼痛を伴う。
  3. フッ化水素酸熱傷は、高カルシウム血症を起こす。
  4. 灯油による化学熱傷は深達性になる。
  5. 化学熱傷の治療には適切な中和剤を用いる。

化学熱傷 初期対応

原則は十分量の水洗浄だが、一部特殊対応が必要

  • 1. アルカリは作用時間が長く、酸による熱傷よりも深くなりやすい
  • 2. フッ化水素酸酸熱傷は皮膚病変の程度に比して疼痛が強いのが特徴
  • 3. フッ化水素酸熱傷では低Ca血症を生じえる。治療としてグルコン酸カルシウムの外用や局注を行う(疼痛軽減効果もある)
  • 4. 灯油皮膚炎は刺激性接触皮膚炎をきたし、浅達性Ⅱ度熱傷に類似する。治療はステロイド外用
  • 5. 治療の基本は十分な量による水洗浄であり、中和剤は用いない(かえって皮膚障害をきたすことがある)

関連問題(化学熱傷)

選択問題37:解答 2

選択問題37

図8のような鼻翼部の色素性母斑の切除を行うのにLimberg flapを用いた場合の正しい皮弁デザインはどれか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

2013-S37

Limberg flapではひし形の短い対角線を伸ばす線(1本目)と、ひし形の一辺に並行な線(2本目)が必要

菱形皮弁 (Rhomboid flap)

その名の通り、腫瘍を含めて菱形に切除し皮弁で再建する方法

代表例はLimberg皮弁で、60°と120°のひし形を作成する

2013-Limberg-flap

参考書籍 p112 図6.17より引用

一方切除する部分が75°と105°の菱形となる皮弁をdufourmentel皮弁と呼ぶ

2013-Dufourmentel flap

参考文献 Figure3より引用

円形や正方形に近い腫瘍などの切除では正常皮膚の犠牲が少なくてすむが、角度が大きいためdog earをきたしやすい

  • 1・3. 形態としてはLimberg flapだが、腫瘍部位から考えてこのような切除線は困難。また3は切開線が長すぎる
  • 4・5. Dufourmentel flapのデザイン。1本目の線の引き方が異なる
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関連問題(皮弁)

選択問題38:解答 2, 3, 4

選択問題38

72歳の男性。2か月前から体幹と四肢に、痒みの強い浮腫性紅斑と水疱が出現した。口腔内と歯肉のびらんも認められた。臨床所見(図9a)、皮膚生検所見(図9b)と蛍光抗体直接法所見(図9c)を示す。血清中抗体は抗BP180抗体(ELISA)で、IgG抗体が陽性(430index)であった。BP180について正しいのはどれか。3つ選べ。

  1. BP180分子は全長が細胞内に存在する。
  2. Collagen ⅩⅤⅡ(17型コラーゲン)である。
  3. 多くの類天疱瘡抗体はNC16aドメインと反応する。
  4. BP180はヘミデスモゾームだけでなく、基底細胞の側壁細胞膜にも存在する。
  5. 抗BP180抗体(ELISA)の抗原にはBP180分子の全長が用いられている。

2013-S3839

水疱性類天疱瘡における自己抗体、BP180に関する問題

BP180(17型コラーゲン)と類天疱瘡

BP180は表皮基底細胞〜基底膜へ到る膜貫通タンパク質であり、疾患によって自己抗体が認識する部分が異なる

自己抗体の認識部位 疾患
NC16a領域
(N末端側 基底膜に近い領域)
水疱性類天疱瘡(典型例)
BP180全長 水疱性類天疱瘡
(DPP-4阻害薬関連)
C末端領域 粘膜類天疱瘡
2018-BP180

参考文献 p256図14.31より

通常測定可能なのは一番上の"NC16a領域に反応する自己抗体"のみのため、DPP-4関連や粘膜類天疱瘡では抗体価が低値となる

  • 1. BP180分子のうち、基底細胞内に存在するのはN末端側の一部のみ。膜貫通蛋白であり、大部分はヘミデスモソーム(透明帯)に存在する
  • 2. 17型コラーゲンの分子量が180kDのため、BP180と称される
  • 3. 典型例ではNC16aドメインと反応し、細胞膜近傍の細胞外領域に相当
  • 5. 通常保険診療で測定される抗BP180抗体(ELISA)の抗原は、NC16a領域を用いている

全長BP180 ELISA法について

現在はBP180分子の全長リコンビナント蛋白を用いた方法も開発されている。(保険適用はないが研究目的として北海道大学等で解析されている)

これを利用した"全長BP180 ELISA法"ではDPP-4阻害薬関連や粘膜類天疱瘡など、従来自己抗体を検出できなかった症例でも自己抗体を検出することが可能

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p7・256(1・2・3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p9-10・318(1・2・3)
  • 選択肢5の参考:DPP-4阻害薬内服に伴う類天疱瘡と全長BP180 ELISA法 臨床皮膚科72(5) 2018増刊号 p72-76, 2018

選択肢4 BP180が側壁細胞膜に発現しているかどうかの記載は見つけることができなかったが、その他選択肢から相対的に正解選択肢と考えた

関連問題

選択問題39:解答 2, 3, 5

選択問題39

問題38の症例の蛍光抗体法所見で正しいのはどれか。3つ選べ。

  1. 1M NaCl処理正常皮膚を基質に用いた蛍光抗体間接法では真皮側に陽性となる。
  2. 1M NaCl処理で離開するのは、lamina lucidaの部分である。
  3. 図9cの蛍光が途絶した部分(矢印)にはメラノサイトが存在する。
  4. 蛍光抗体間接法で、IgAクラス抗基底膜抗体が見つかれば、線状IgA水疱性皮膚症と診断すべきである。
  5. 蛍光抗体間接法では、抗BP180抗体とともに抗BP230抗体の反応も検出される。

蛍光抗体法

蛍光抗体法は直接法と間接法に分けられる

利用するもの 特徴
直接法 患者皮膚 沈着抗体の種類/部位により水疱症の鑑別が可能
(ホルマリンでなく)新鮮凍結切片が必要
間接法 患者血清
+健常ヒト皮膚
血清を段階希釈し抗体の力価を測定可能
採血のみなので低侵襲

一般に画像として提示されることが多いのは(例えば本問のように)蛍光抗体直接法

蛍光抗体間接法は数値で示されるが、画像として提示される場合はsplit skin法(1M NaCl処理皮膚を用いる)が代表

*BP = 水疱性類天疱瘡

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p49(1)/261(2)/263(4)/256(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p113(1)/318(1・2・5)

関連問題

選択問題40:解答 3, 4

選択問題40

疾患と対応抗原の組み合わせで誤っているのはどれか。2つ選べ。

  1. 落葉状天疱瘡 - Dsg1
  2. 瘢痕性類天疱瘡 - ラミニン332
  3. 線状IgA皮膚症 - BP230
  4. 妊娠性疱疹 - LAD1
  5. 後天性表皮水疱症 - ⅤⅡ型コラーゲン
  • 1. 落葉状天疱瘡:Dsg1に対する自己抗体が原因。黄色ブドウ球菌の産生する表皮剥離毒素(ET)によるSSSS水疱性膿痂疹も同分子が原因
  • 2. 瘢痕性類天疱瘡(粘膜類天疱瘡):ラミニン332(ラミニン5)の他BP180のC末端α6/β4インテグリン(眼型)に対する自己抗体が原因
  • 3. 線状IgA皮膚症BP180のコラーゲン部分(LAD1ないしLABD-97)や7型コラーゲンに対する自己抗体が原因
  • 4. 妊娠性疱疹:BP180のNC16a領域(つまり通常のBPと同一)に対する自己抗体が原因。妊娠4ヵ月〜分娩直後に生じ、妊娠ごとに反復する
  • 5. 後天性表皮水疱症:7型コラーゲンに対する自己抗体が原因。BPと臨床像が類似するが、真皮に存在するためsplit skin法が鑑別に有効

*SSSS = ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群, BP = 水疱性類天疱瘡

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p253(1)/259(2)/263(3)/258(4)/260(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p314(1)/321(2)/323(3)/322(4)/323(5)

関連問題

  • 2018 選択42 / 2014 選択35 / 2010 選択72 (粘膜類天疱瘡の原因:ラミニン332, BP180 C末端)
  • 2020 選択57 / 2010 選択28 (後天性表皮水疱症の原因:7型コラーゲン)
  • 2009 選択40 (落葉状天疱瘡の原因:Dsg1)

選択問題41:解答 3, 4

選択問題41

次の組織球症の中で、樹状細胞(S100陽性)由来と考えられているのはどれか。2つ選べ。

  1. Xanthogranuloma
  2. Xanthelasma
  3. Congenital self-healing histiocytosis (Hashimoto-Pritzker病)
  4. Langerhans cell histiocytosis
  5. Erdheim-Chester syndrome

S-100陽性腫瘍はランゲルハンス細胞組織球症およびErdheim-Chester syndrome→3, 4

皮膚での樹状細胞≒Langerhans細胞

組織球症と免疫染色

組織球=マクロファージ

ただし"組織球症"の場合はマクロファージが増殖する疾患(ex.多中心性細網組織球症)だけでなく、Langerhans細胞(樹状細胞)が増殖する疾患(ex.Langerhans細胞組織球症)も含めて呼ばれる

組織球症の
免疫染色
CD68 CD1a S-100 CD207
(Langerin)
組織球
(マクロファージ)
+ - - -
Langerhans細胞 - + + +
  • 1. Xanthogranuloma(若年性黄色肉芽種):生後早期に単発ないし多発する黄色肉芽腫をきたす。脂質を貪食した組織球がみられ、CD68+ S100-
  • 2. Xanthelasma(眼瞼黄色腫):上眼瞼内眼角部に好発する黄色腫で、約半数に高コレステロール血症を伴う
  • 3. Congenital self-healing histiocytosis :予後良好なLangerhans細胞組織球症の一型で、生後数週以内に皮膚病変のみが出現するが内臓病変は伴わず1年以内に自然消退する。S-100+
  • 4. Langerhans細胞組織球症:S-100の他、CD1aCD207(langerin)も陽性。Langerhans細胞の腫瘍性増殖をきたし、皮膚病変のみ〜臓器病変を伴うタイプまで幅広い
  • 5. Erdheim-Chester syndrome:組織球増殖症である播種状黄色腫のうち、骨・肺などの内臓病変をきたすもの。CD68+ S100-

関連問題(組織球症)

Langerhans細胞がS-100, CD1a, CD207陽性となることは最頻出

選択問題42:解答 1, 5 (現在は1, 2, 4)

選択問題42

サルコイドーシスの診断基準で、診断に必要な全身反応を示唆する検査所見6項目の中の検査項目はどれか。2つ選べ。

  1. 血清アンジオテンシン変換酵素
  2. 血清リゾチーム
  3. 血清γグロブリン
  4. 可溶性インターロイキン-2受容体
  5. 血清カルシウム

サルコイドーシスの診断基準に含まれる(ていた)のは血清ACEおよび血清Ca→1, 5

サルコイドーシス診断基準(2015)

  • 組織診断:臨床症状・検査所見・呼吸器/眼/心臓病変のどれか1項目+組織像(乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫)
  • 臨床診断:臨床症状 + 検査所見 2/5項目 + 呼吸器/眼/心臓 のうち2/3

特徴的検査所見には下記が含まれる

  • 両側肺門リンパ節腫脹
  • 血清ACE活性高値 or 血清リゾチーム高値
  • 血清IL-2受容体高値
  • 67Gaシンチグラフィ or 18F-FDG/PETにおける著明な集積
  • 気管支肺胞洗浄液のリンパ球比率上昇 or CD4/8比の上昇
  • 1・2. 血清ACE活性やリゾチーム高値は特徴的検査所見に含まれる
  • 3. γグロブリン:サルコイドーシスにて上昇するが、診断基準には含まれない
  • 4. 可溶性IL-2受容体:こちらも特徴的検査所見に含まれる
  • 5. 血清カルシウム:現在は診断基準に含まれない(下記参照)

本問出題時の2013年は旧診断基準が用いられており、血清or尿中カルシウム高値が診断基準に含まれていた(→選択肢5が正解だった)。しかし2015年策定の新診断基準では同項目が削除され、現在は不正解となる。逆に新基準では血清リゾチーム値・可溶性IL-2受容体が追加されており、選択肢2・4が現在は正解となる

関連問題

選択問題43:解答 4, 5

選択問題43

メラノサイトの分化・発生・遊走に関わる遺伝子の異常による色素異常症はどれか。2つ選べ。

  1. Chediak-Higashi症候群
  2. Griscelli症候群
  3. Hermansky-Pudlak症候群
  4. Waardenburg症候群
  5. まだら症

メラノサイトの分化に関わる遺伝子異常による疾患はWaardenburg症候群とまだら症→4, 5

AD = 常染色体優性遺伝形式, AR = 常染色体劣性遺伝形式, OCA = 眼皮膚白皮症

LYST遺伝子の働きははっきりしておらず、書籍によって微妙に記載が異なる。いずれにせよメラノサイトの分化には関与しない

  • 皮膚科学 第11版:小胞の蛋白質輸送に関わる
  • あたらしい皮膚科学 第3版:微小管が正常に機能せず発症
  • ガイドライン:ライソソームの膜融合の調節に関与する

関連問題

選択問題44:解答 5

選択問題44

光線過敏はないが、手背と足背に色素斑と脱色素斑が混在する皮疹(図10)がみられた。この疾患で誤っているのはどれか。

  1. 常染色体優性遺伝
  2. ADAR1遺伝子の異常
  3. 皮疹は10歳頃までに完成
  4. 顔面の雀卵斑様皮疹
  5. 手掌の点状陥凹

2013-S44

手足背の色素斑/脱色素斑の混在から遺伝性対側性色素異常症(遠山)の診断

点状陥凹はみられない→5

遺伝性対側性色素異常症(遠山)

RNA editingに関与する遺伝子、ADAR1の異常による色素異常症(常染色体優性遺伝)

四肢末端(手背足背)で症状が強く、色素沈着と色素脱失が混在する。顔面では雀卵斑様皮疹がみられる

類似疾患に網状肢端色素沈着症(北村)がある

疾患 遺伝性対側性色素異常症(遠山) 網状肢端色素沈着症(北村)
好発部位 手背・足背 手背・足背
皮疹 色素沈着・色素脱失

雀卵斑様皮疹(顔面)

色素沈着・点状陥凹
原因遺伝子 ADAR1 ADAM10
遺伝形式 常染色体優性遺伝 常染色体優性遺伝

"色素異常症"では色素沈着+色素脱失、色素沈着症は色素沈着のみと考えるとわかりやすい

  • 1・2. ADAR1遺伝子変異による常染色体優性遺伝疾患
  • 3. 皮疹は6歳までに発症し、10歳ごろまでに完成し症状は固定する
  • 4. 顔面の雀卵斑様皮疹も特徴の一つ
  • 5. 手掌の点状陥凹は遠山ではなく、鑑別疾患である網状肢端色素沈着症(北村)の特徴

関連問題

選択問題45:解答 1, 2, 3

選択問題45

メラニン合成と輸送に関与する酵素はどれか。3つ選べ。

  1. tyrosinase
  2. TRP-1
  3. TRP-2
  4. S100
  5. PD-1

メラニン合成に関与するのはチロシナーゼとTRP-1/2→1, 2, 3

これらの変異は眼皮膚白皮症(OCA)の原因となる

  • 1. チロシナーゼ:チロシンから始まるメラニン生成経路の最初の反応に関与し、OCA1型の病因。メラニン合成の律速段階となる重要酵素
  • 2. TRP-1(TYRP-1):ユーメラニン(黒色)産生の最終段階に関与する酵素で、OCA3型の病因。日本ではほぼいない
  • 3. TRP-2(TYRP-2):TRP-1の前段階の代謝に関与する
  • 4. S-100:蛋白の一種で、シュワン細胞やランゲルハンス細胞、メラノサイトで陽性となるため免疫染色に用いられる
  • 5. PD-1:T細胞で発現する分子で、PD-L1によって刺激され免疫抑制・寛容に働く。免疫チェックポイント阻害薬のターゲット※

※抗PD-1抗体製剤にニボルマブ(オプジーボ®)やペムブロリズマブ(キイトルーダ®)があり、皮膚科領域ではいずれも悪性黒色腫に保険適用

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p10/303(1)/304(2)/49(4)/485(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p31/539(1)/541(2)/48(4)/121(5)

関連問題

選択問題46:解答 5

選択問題46

化膿性汗腺炎(hidradenitis supprativa)で誤っているのはどれか。

  1. Acne inversaとも呼ばれる。
  2. 毛孔閉塞(follicular occlusion)が病態にかかわっている。
  3. 腋窩と臀部に好発する。
  4. 家族性症例ではγ-セクレターゼ遺伝子に変異がある。
  5. 重症、再発例ではTNFα阻害薬は病状を悪化させる。

化膿性汗腺炎の重症例ではTNFα阻害薬が治療に用いられる→5

化膿性汗腺炎 (慢性膿皮症)

毛包が閉塞し慢性炎症を繰り返す疾患で、アポクリン腺の多い腋窩・鼠径・肛門周囲・臀部などで病変をきたす

病態としては毛包閉塞+炎症が主体で、(併発する場合もあるが)細菌感染はあくまでも二次的なものであることに注意が必要

  • 広義:臀部慢性膿皮症を含めた毛包の慢性炎症性疾患の総称
  • 狭義:女性の腋窩に好発するものを呼び、臀部病変は含めない(臀部病変は慢性膿皮症と呼称)

の2通りの使用方法があるが近年は広義に捉える(臀部慢性膿皮症を含んだ概念)のが一般的

  • 1. acne inversa(反転型痤瘡)とも呼ばれる(が現在この呼称はあまり使われていない)
  • 2. 毛包閉塞と嚢腫形成が主病態で、二次性に細菌感染が加わる
  • 3. 腋窩は成人女性に多く、臀部は中年男性に多い。臀部は(化膿性汗腺炎でなく)慢性膿皮症と称することもある
  • 4. 家族性など一部の症例で、γ-セクレターゼ遺伝子異常が指摘されている
  • 5. 炎症性サイトカインTNF-αが病態形成に関与し、阻害薬であるアダリムマブ(ヒュミラ®)が保険適用

なおアダリムマブは乾癬以外に壊疽性膿皮症でも保険適用となっている

関連問題

選択問題47:解答 5

選択問題47

成人スチル病で誤っているのはどれか。

  1. 咽頭痛
  2. リンパ節腫脹
  3. 肝機能障害
  4. 抗核抗体陰性
  5. 異型リンパ球

異型リンパ球は成人スチル病の特徴ではない→5

代表的な症状は皮疹(サーモンピンク疹)・関節痛・弛張熱など

成人Still病 診断基準

大項目

  • 発熱 (39度以上, 1週間以上持続)
  • 関節症状 (2週間以上持続)
  • 定型的皮疹
  • 白血球増加 (10,000/μL以上, 好中球80%以上)

小項目

  • 咽頭痛
  • リンパ節腫脹または脾腫
  • 肝機能異常
  • リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性

大項目2つ以上を含んだ合計5つ以上で診断

参考項目:血性フェリチン値著増 (正常上限の5倍以上)

※除外項目

  • 感染症 (とくに敗血症, 伝染性単核球症)
  • 悪性腫瘍 (とくに悪性リンパ腫)
  • 膠原病 (とくに結節性多発動脈炎, 悪性関節リウマチ)

上記より、5. 異型リンパ球(悪性リンパ腫や伝染性単核球症の症状)のみ含まない

なお本問の選択肢1〜3は伝染性単核球症と共通の症状であり、除外診断の重要性がよくわかる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p214
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p203

関連問題

  • 2011 選択41 (成人スティル病の特徴:WBC増加, リウマトイド因子陰性など)

選択問題48:解答 4, 5

選択問題48

汎発性膿疱性乾癬(厚労省特定疾患としての)に含まれる疾患はどれか。2つ選べ。

  1. 尋常性乾癬の一過性膿疱化
  2. 急性汎発性発疹性膿疱症
  3. 掌蹠膿疱症の掌蹠外汎発疹
  4. 疱疹状膿痂疹
  5. 稽留性肢端皮膚炎(Hallopeau)の汎発化

汎発性膿疱性乾癬

汎発性膿疱性乾癬は総称であり、複数の疾患を含む

  • 急性汎発性膿疱性乾癬(von Zumbusch型):典型例, IL-36RN遺伝子変異と関連する
  • 疱疹状膿痂疹:妊娠やホルモン異常に伴う病型
  • 稽留性肢端皮膚炎の汎発化:まれ

逆に下記の疾患は原則として除外する

  • 尋常性乾癬が明らかに先行し、副腎皮質ホルモン剤などの治療で一過性に膿疱化した症例
  • 小児汎発性膿疱性乾癬(通常全身症状が軽微なため)
  • 膿疱型薬疹(AGEP)
  • 1. 尋常性乾癬の一過性膿疱化:原則として除外する(繰り返し容易に膿疱化する例は含まれることもある)
  • 2. 急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP):除外される
  • 3. 掌蹠膿疱症の汎発疹:掌蹠膿疱症は限局型の膿疱症に分類される
  • 4. 疱疹状膿痂疹:妊娠後期に発生する膿疱性乾癬の一型。分娩とともに治癒するが、次回妊娠時に再燃する。妊娠中のため治療選択肢が限られる
  • 5. 稽留性肢端皮膚炎の汎発化:アロポーは指趾末端で無菌性膿疱・紅斑の再発を繰り返す慢性疾患。厳密な意味での本症はまれであり、慎重に診断する

関連問題

  • 2011 選択15 (★同一問題★)
  • 2018 選択902016 選択16 / 2015 選択17 (顆粒球吸着療法:妊婦でもOKな膿疱性乾癬治療)
  • 2010 選択13 (疱疹状膿痂疹の治療:ステロイド, シクロスポリン)

選択問題49:解答 4

選択問題49

じんま疹、アレルギーの治療で正しいのはどれか。

  1. 急性じんま疹では、strongestクラスのステロイド外用が推奨されている。
  2. 慢性じんま疹では、抗ヒスタミン薬の内服の効果は1〜2か月継続したのちに判定する。
  3. 食物依存性運動誘発性アナフィラキシーでは、発症に備えてNSAIDを携行させる。
  4. 遺伝性血管性浮腫では、トラネキサム酸を投与する。
  5. 催奇形性のため、妊婦に抗ヒスタミン薬を投与してはならない。

遺伝性血管性浮腫の長期予防にトラネキサム酸が用いられる→4

蛋白同化ホルモン(ダナゾール)も同様の目的で用いられることがある

  • 1. 一般にステロイド外用薬は蕁麻疹の症状抑制治療として推奨されない。冷却やクロタミトン軟膏は痒み軽減のため試みてよい
  • 2. 慢性蕁麻疹では1〜2週間継続内服した後に判断することが基本。急性蕁麻疹の場合は数日で判断する
  • 3. 食物依存性運動誘発性アナフィラキシーはNSAIDs内服によって増悪しやすく、運動なしで誘発されることもある。発症に備えて携行するのはエピペン®
  • 4. 遺伝性血管性浮腫の長期予防として、トラネキサム酸やダナゾールの内服が行われる
  • 5. 国内承認されている抗ヒスタミン薬はいずれも催奇形性の報告はない※。とくにロラタジンとセチリジンは使用経験の蓄積がある

※「妊婦に対する薬物療法の十分な安全性は確立していない」ので、治療上の有益性と危険性を考え必要であれば投与する

関連問題

  • 2012 選択52 / 2010 選択59 (FDEIA はNSAIDsで増悪)
  • 2012 選択51 (トラネキサム酸の血管性浮腫予防効果)

選択問題50:解答 4

選択問題50

ステロイド内服による治療が行われた、薬剤性過敏症症候群の1症例の経過表を図11に示す。A、B、Cに起こったイベントとして正しい組み合わせはどれか。

  1. A 原因薬DLST陰性
    B 異型リンパ球出現
    C HHV-6再活性化
  2. A 好酸球増多
    B 肝機能異常
    C HHV-6再活性化
  3. A HHV-6再活性化
    B 白血球減少
    C CMV再活性化
  4. A リンパ節腫脹
    B HHV-6再活性化
    C CMV再活性化
  5. A 原因薬DLST陽性
    B HHV-6再活性化
    C 異型リンパ球出現

2013-S50

薬剤性過敏症症候群(DIHS)の経過について問う問題

A (初期:発症2〜4週)

DISHの診断基準に含まれる、下記のような症状が見られる

  • リンパ節腫脹
  • 白血球/好酸球増多, 異型リンパ球出現
  • HHV-6再活性化(発症2週目あるいは3週目, 発症7日以内では判定不可)

※DLST(drug-induced lymphocyte stimulation test)はこの時期(早期)は陰性

B (中期:発症4週〜6週)

DLSTは発症4〜6週後に陽性となる(1年後にも持続)

C (後期:発症2ヵ月〜)

CMVの再活性化が見られる

さらに時間が経つと、晩期合併症の1型糖尿病や甲状腺炎を合併しえる

  • 1・2HHV-6再活性化は比較的早期に生じるため、Cは遅すぎる
  • 3. B 白血球増加は診断基準に含まれるが、減少することはない
  • 4. HHV-6再活性化がBの時期はやや遅いが、CMV再活性化に先行するのは正しい→△
  • 5. Aの時期はDLST陰性

ポイントはDLSTで見られるウイルス再活性化では、HHV-6→CMVとなること

選択肢4について。DIHSでのHHV-6は比較的早期に出現する所見とされているので、Bの時期に生じるのはやや遅い(Aが妥当だろう)。またCMV再活性化も治療開始約4〜6週頃(つまりB)とされておりやや遅い。ただその他選択肢を踏まえると、本選択肢が相対的に正解と考えた

関連問題

選択問題51〜75は下記

2013-Specialist-3
平成25(2013)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

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