皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成29年度(2017年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜25

2022年5月26日

2017-specialist-1

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成29(2017)年度解答解説を作成しました

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平成29年度(2017年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 1〜25

選択問題1:解答 3

選択問題1

局所多汗症の診断において, 局所的に過剰な発汗の持続期間の条件はどれか.

  1. 1ヶ月以上
  2. 3ヶ月以上
  3. 6ヶ月以上
  4. 12ヶ月以上
  5. 24ヶ月以上

局所多汗症は6ヶ月以上過剰発汗が持続することが診断上必要→3

局所多汗症の診断基準

局所的な過剰発汗が6ヶ月以上持続し、下記6症状のうち2項目以上あてはまる場合

(明らかな原因がないことも必要)

  1. 最初に症状がでるのが25歳以下であること
  2. 対称性に発汗がみられること
  3. 睡眠中は発汗が止まっていること
  4. 1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
  5. 家族歴がみられること
  6. それらによって日常生活に支障をきたすこと

選択問題2:解答 2, 5

選択問題2

多汗症に用いられるボツリヌス菌毒素について正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. B型が最も臨床効果がある.
  2. アセチルコリン放出を抑制する.
  3. 掌蹠多汗症に保険適用がある.
  4. 中等症以上の腋窩多汗症に保険適用がある.
  5. 眉間または目尻の表情じわに同種の製剤が用いられる.

多汗症とボツリヌス菌毒素

A型ボツリヌス毒素(ボトックス®:グラクソ・スミスクライン)が重症腋窩多汗症に対して保険適用となっている

その他部位に関しては自費診療のみ

  • 1. 多汗症で用いられるのは持続期間の長い"A型"毒素。B型毒素(ナーブロック®)は痙性斜頸に用いられる
  • 2. ボツリヌス毒素は神経筋接合部のアセチルコリン受容体に作用し、その放出を抑制する
  • 3. 掌蹠多汗症には保険適用がない
  • 4. “重度の”腋窩多汗症に保険適用がある
  • 5. 眉間・目尻の表情ジワにもA型毒素が用いられる
    ただし商品名は異なる(ボトックスビスタ®:アラガン・ジャパン)

なおボツリヌス毒素は近年、強皮症に伴うRaynaud現象・手指潰瘍に対しても有効という報告がある

関連2018 選択2(手掌局所多汗症の保険治療)

選択問題3:解答 3, 5

選択問題3

円形脱毛症診療ガイドライン(日本皮膚科学会2010年版)の推奨度Bの治療法はどれか. 2つ選べ.

  1. 光線療法
  2. ステロイド内服
  3. ステロイド局注
  4. 点滴静注ステロイドパルス療法
  5. 局所免疫療法

円形脱毛症治療で推奨度Bとなっているのはステロイド局注および局所免疫療法→3, 5

  • 1. 光線(紫外線)療法:C1*
  • 2. ステロイド内服:C1*
  • 3. ステロイド局注:B*
  • 4. ステロイドパルス:C1*
  • 5. 局所免疫療法(SADBE):B

*小児には原則行わない

円形脱毛症診療ガイドラインは2017年版に更新されているが、本問選択肢の推奨度はいずれも変更されていない(ステロイド外用とかつらはC1→B)

選択問題4:解答 5

選択問題4

27歳の女性. 図1の皮膚所見で受診した. 額には炎症性の皮疹はない. 最も適切な治療はどれか.

  1. 低用量ピル内服
  2. 十味敗毒湯内服
  3. ファロペネム内服
  4. ケトコナゾール外用
  5. クリンダマイシン1%/過酸化ベンゾイル3%配合ゲル外用

2017-S4

図1では頬部〜下顎部にかけて紅色丘疹と面皰がみられ、尋常性痤瘡の炎症性皮疹

炎症性皮疹には、クリンダマイシン1%/過酸化ベンゾイル3%配合ゲル(デュアック®)が適当→5

尋常性痤瘡 急性炎症期の治療

尋常性痤瘡治療ガイドライン2017で、炎症性皮疹に対して強く推奨(推奨度A)されている治療は下記

尋常性痤瘡 推奨度A 一般名 商品名
外用 クリンダマイシン1%/過酸化ベンゾイル3%配合ゲル デュアック®
アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲル
(+内服抗菌薬も可)
エピデュオ®
アダパレン0.1%ゲル
(+外用*/内服抗菌薬も可)
ディフェリン®
過酸化ベンゾイル2.5%ゲル ベピオ®
外用抗菌薬*
内服 ドキシサイクリン ビブラマイシン®
ミノサイクリン※ ミノマイシン®

※ミノサイクリンは推奨度Aではなく、A*(めまいやふらつきの副作用があるため)

*外用抗真菌薬は3種類ある

一般名 商品名
クリンダマイシン ダラシン®
ナジフロキサシン アクアチム®
オゼノキサシン ゼビアックス®
  • 1. 低容量ピル内服:推奨度C2 他の治療で改善不十分な場合
  • 2. 十味敗毒湯:推奨度C1 炎症性皮疹に対し、他の治療法が無効な場合
  • 3. ファロペネム内服:推奨度B
  • 4. ケトコナゾール外用:推奨なし(マラセチア毛包炎で使用される)
  • 5. デュアック®は推奨度A

関連2019 選択6(尋常性ざ瘡の内服抗菌薬で推奨度Aのもの), 2018 選択9(面皰に対して有効な治療)

選択問題5:解答 3

選択問題5

5歳の男児. 生下時より, 疎で脆弱な頭髪を呈していた. 毛髪症状以外に特記すべき異常はない. 患児の頭髪の光学顕微鏡像を図2に示す. 認められる毛髪奇形はどれか.

  1. 縮毛
  2. 捻転毛
  3. 連珠毛
  4. 結節性裂毛
  5. 陥入性裂毛

2017-S5

膨大部と狭窄部が交互に生じており、連珠毛の所見→3

2017-hair

参考文献より編集・引用

  • 1. 縮毛:毛髪のちぢれた状態。毛髪症状のみを呈する非症候性(LIPHLPAR6遺伝子変異によるAR)と、掌蹠角化症や拡張型心筋症を合併する症候性(JUP遺伝子-Naxos病・DSP遺伝子-Carvajal症候群)がある
  • 2. 捻転毛:毛幹が捻転し、太細の状態が交互する。外胚葉形成不全症でみられ、口唇口蓋裂や感音性難聴を合併する
  • 3. 連珠毛:紡錘状膨大部と狭窄部が交互に生じる。AD(KRT81/83/86遺伝子変異)とAR(DSG4遺伝子変異)がある
  • 4. 結節性裂毛:毛髪のところどころに球状の灰白色小結節が生じる。Netherton症候群などでみられる非特異的な所見
  • 5. 陥入性裂毛(bamboo hair):毛幹で竹の節様の結節を形成する。Netherton症候群でみられ、魚鱗癬を合併する

※AR:常染色体劣性遺伝, AD:常染色体優性

選択問題6:解答 3, 4, 5

選択問題6

男性型脱毛症の治療薬について正しいのはどれか. 3つ選べ.

  1. フィナステリドは薬価収載されている.
  2. フィナステリドは前立腺癌の発症率を増加させる.
  3. フィナステリド, デュタステリドともに女性には禁忌である.
  4. デュタステリドは5-α リダクターゼⅠ型およびⅡ型の両者を阻害する.
  5. デュタステリドはジヒドロテストステロンの産生を抑制する.

男性型脱毛症(AGA) 内服治療

男性ホルモン、とくにアンドロゲンが5-αリダクターゼによって代謝されて生じるDHT(ジヒドロテストステロン)がレセプターと結合することが原因

→治療として、5-αリダクターゼ阻害薬が用いられる

Ⅰ型とⅡ型の2つがあり、薬剤によって阻害部位が異なる

作用点 一般名 商品名
5-αリダクターゼⅡ型 フィナステリド プロペシア®
5-αリダクターゼⅠ型+Ⅱ型 デュタステリド ザガーロ®

共通点

  • 後発品あり
  • 男性ホルモン抑制により血清PSA値が低下(1/2)→前立腺癌スクリーニングで注意
  • 女性型脱毛症には無効
  • 1. フィナステリド・デュタステリドいずれも自費診療であり、薬価収載されていない
  • 2. フィナステリド・デュタステリド内服により血清PSAが1/2程度となる(=スクリーニングで前立腺癌が見逃される恐れがある)
    男性ホルモンを減少させるため、前立腺癌を減らす(ただしホルモン不応性の悪性度が高いものは増える)とされる
  • 3. デュタステリドはDHTの低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあり、女性・小児で禁忌となっている
  • 4. デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型双方を阻害する
  • 5. デュタステリド・フィナステリドともにDHT産生を抑制する

選択肢3の補足:フィナステリドに関しては添付文書上、女性全般が「禁忌である」とは明言されていない。(妊婦および妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性が禁忌)。
しかしガイドラインで推奨D(行うべきではない)でありその他の選択肢が明確に間違いのため、相対的に正解選択肢(女性全般に禁忌)と考える

なおデュタステリドは添付文書上も女性全般が禁忌となっている

関連2020 選択88(5αリダクターゼの作用部位), 2019 選択5, 2015 選択5(フィナステリドについての一般問題)

選択問題7:解答 2

選択問題7

エキシマランプの主波長はどれか.

  1. 306nm
  2. 308nm
  3. 311nm
  4. 313nm
  5. 315nm

エキシマランプの波長は308±2nm→2

UVBの波長は280〜315nmだが、その中でも有用性が高く副作用の少ない308〜313nmの波長が好んで用いられる

  • 308±2nm:エキシマランプ
  • 311±2nm:ナローバンドUVB

また保険点数でも別扱いとなる

  • 長波紫外線又は中波紫外線療法(概ね290nm以上315nm以下のもの):150点
  • 中波紫外線療法(308nm以上313nm以下に限定したもの):340点

関連2020 選択5(紫外線波長の単位)

選択問題8:解答 1, 3, 4

選択問題8

薬剤性光線過敏症に特に注意が必要な降圧配合剤(商品名)はどれか. 3つ選べ.

  1. エカード®
  2. ミカムロ®
  3. ミコンビ®
  4. プレミネント®
  5. エックスフォージ®

光線過敏症をきたしやすい降圧薬として、ヒドロクロロチアジド(サイアザイド系)がある

単体ではほぼ用いられなくなっていたが、ARBとの配合剤として利用頻度が増え光線過敏症の報告も再燃している

選択肢では1, 3, 4がヒドロクロロチアジドを含む

  • 1. エカード®:ARB(カンデサルタン)+サイアザイド(ヒドロクロロチアジド)
  • 2. ミカムロ®:ARB( テルミサルタン)+Caブロッカー(アムロジピン)
  • 3. ミコンビ®:ARB(テルミサルタン)+サイアザイド(ヒドロクロロチアジド)
  • 4. プレミネント®:ARB(ロサルタン)+サイアザイド(ヒドロクロロチアジド)
  • 5. エックスフォージ®:ARB(バルサルタン)+Caブロッカー(アムロジピン)

選択肢以外にヒドロクロロチアジドとの配合剤はコディオ®(バルサルタン)、イルトラ®(イルベサルタン)がある

あたらしい皮膚科学の参考文献は2003年であり、(配合錠がまだ発売されていない時期なので)ヒドロクロロチアジドが多くないことになっている。「3つ」という条件からも、ヒドロクロロチアジドが含有されるものを選択するのが本問では妥当と考える

選択問題9:4

選択問題9

多形日光疹と慢性光線性皮膚炎に共通している項目はどれか.

  1. 男性に好発する.
  2. 高齢者に好発する.
  3. 抗核抗体陽性例が多い.
  4. 内因性光線過敏症に属する.
  5. 作用波長は可視光線が最も多い.

多形日光疹と慢性光線性皮膚炎はいずれも内因性光線過敏症→4

両疾患とも成人の内因性光線過敏症だが、相違点も多い

好発年齢・性別 部位 皮疹 MED/MRD
慢性光線性皮膚炎 中年以上の男性 頚部 苔癬化局面 著明に低下/低下することがある
多形日光疹 10〜20歳代の女性 前腕 丘疹 いずれも正常
  • 1・2. 慢性光線性皮膚炎は高齢男性に、多形日光疹は若年女性に好発する
  • 3. 抗核抗体はいずれも陽性とならない。SLEでは抗核抗体陽性であり、光線過敏がみられる
  • 4. いずれも内因性光線過敏症↔外因性光線過敏症:薬剤によるもの、光パッチテストで診断する
  • 5. 慢性光線性皮膚炎ではUVBのMED低下がみられ可視光線過敏を示す例もあるが、多形日光疹ではUVA/UVBのMED/MRDはいずれも正常
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p233(1・2・5)/230(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p267(1・2・4・5)

関連2021 選択7(慢性光線性皮膚炎), 2018 選択8(慢性光線性皮膚炎)

選択問題10:解答 3

選択問題10

ケラチンの組み合わせで誤っているのはどれか.

  1. K1/K9 手掌の有棘層細胞
  2. K1/K10 腹部の有棘層細胞
  3. K3/K12 背部の顆粒層細胞
  4. K4/K13 口腔粘膜の上皮細胞
  5. K5/K14 前腕の基底層細胞

K3/K12は角膜上皮細胞に発現する→3

ケラチンの発現部位と関連する先天性皮膚疾患については下記

ケラチン 発現部位と先天性皮膚疾患 まとめ

続きを見る

  • 1. K1/K9:掌蹠の有棘細胞(変異でVorner掌蹠角化症)
  • 2. K1/K10:有棘細胞(変異で表皮融解性魚鱗癬)
  • 3. K3/12:角膜上皮細胞(変異でMeesmann角膜ジストロフィ)
  • 4. K4/13:粘膜(変異で白色海綿状母斑)
  • 5. K5/14:基底細胞(変異で単純型表皮水疱症)
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p11

関連2021 選択12(ケラチンの発現部位), 2020 選択9(角化細胞に分布するケラチン)

選択問題11:解答 1

選択問題11

角層細胞から細胞間脂質への並びで正しいのはどれか.

  1. filaggrin → loricrin → involucrin → ceramide
  2. filaggrin → involucrin → ceramide → loricrin
  3. ceramide → loricrin → involucrin → filaggrin
  4. involucrin → filaggrin → loricrin → ceramide
  5. loricrin → ceramide → filaggrin → involucrin

角層細胞から細胞間脂質への順番は

フィラグリン→ロリクリン→インボルクリン→セラミド:1

  • フィラグリン:顆粒細胞内のケラトヒアリン顆粒にあるプロフィラグリンが分解されてフィラグリンとなり、角質細胞ではケラチンと結合する(ケラチンパターン)
    皮膚の保湿・紫外線吸収に関与する
  • 周辺帯:ロリクリン・インボルクリンから構成され、トランスグルタミナーゼにより架橋される物理的・化学的に強靭な皮膚バリア
    ロリクリンは顆粒細胞で、インボルクリンは有棘細胞で作られる(が存在するのはインボルクリンが最外層)
  • セラミド:層板顆粒から分泌される細胞間脂質で角層細胞の間に存在し、水分の漏出・蒸散を防ぐ
    分泌にはABCA12という酵素が関わり、同部位の変異で道化師様魚鱗癬を発症する
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8-10
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p11-13

関連2021 選択10(フィラグリンの働き), 2019 選択15/2016 選択9(周辺帯・ケラチンパターンを構成する分子), 2015 選択77(ケラチンパターンに関与する分子)

選択問題12:1

選択問題12

健常成人血中で最も濃度が高いのはどれか.

  1. IgG1
  2. IgG2
  3. IgG3
  4. IgG4
  5. IgG5

ヒトのIgGにはIgG1〜4があり、健常成人ではIgG1が最も多くIgG4へ向かって少なくなっていく→4

  • 1. IgG1:65%
  • 2. IgG2:23%
  • 3. IgG3:8%
  • 4. IgG4:4%

IgG4関連疾患では高IgG4血症(135mg/dL以上)や組織でのIgG4/IgG陽性細胞比が40%以上が診断に重要

関連2019 選択91(補体活性化作用の低いIgG), 2018 選択14(IgG4に関する一般問題)

選択問題13:解答 1, 4

選択問題13

HIV-1の受容体はどれか. 2つ選べ.

  1. CCR5
  2. CD8
  3. CD25
  4. CXCR4
  5. CXCR7

HIV-1のコレセプターとして働くのはCCR5およびCXCR4→1, 4

HIV-1 感染メカニズム

HIVウイルスが発現しているgp120と、CD4陽性細胞とが結合することでウイルスの侵入が生じる

この際にCCR5CXCR4といったコレセプターが必要になり、CCR5マクロファージ/CXCR4T細胞に発現これらの細胞に感染

  • 1. CCR5:マクロファージで発現する。CCR5陽性率が高い場合に利用可能なHIV治療薬に、CCR5阻害薬 マラビロク(シーエルセントリ®)がある
  • 2. CD8:細胞傷害性T細胞で発現する
  • 3. CD25:免疫反応抑制に関わる制御性T細胞で発現する。抗体製剤であるバシリキシマブ(シムレクト®)は、腎移植後の急性拒絶反応の抑制に用いられる
  • 4. CXCR4:T細胞で発現する
  • 5. CXCR7CXCL11CXCL12の受容体で、心臓や血管の発達、乳癌・腎細胞癌の転移などに関わる

関連2015 選択27 (HIV感染経路)

選択問題14:解答 2

選択問題14

リンパ球の皮膚への遊走に関与し, 皮膚T細胞性リンパ腫や抑制性T細胞に高率に発現するケモカイン受容体はどれか.

  1. CCR2
  2. CCR4
  3. CCR5
  4. CCR7
  5. CCR9

リンパ球(Th2細胞)の遊走に関わるケモカイン受容体はCCR4で、皮膚T細胞性リンパ腫で高率に発現している

皮膚T細胞リンパ腫の治療に、CCR4阻害薬であるモガムリズマブ(ポテリジオ®)が利用される→2

なおリガンドはTARC(CCL17)で、アトピー性皮膚炎のほかT細胞リンパ腫や丘疹紅皮症(太藤)で高値となる

  • 1. CCR2:未熟樹状細胞や好塩基球で発現し、単球/マクロファージの遊走に関わる
  • 2. CCR4:リンパ球(Th2細胞)で発現し、TARCの刺激を受けて皮膚へ遊走する
  • 3. CCR5:CD4と共にマクロファージなどの抗原提示細胞で発現しており、HIV-1の細胞侵入に関わる(問題13参照)
  • 4. CCR7:成熟樹状細胞やT細胞で発現しており、腫瘍細胞のリンパ節転移や浸潤に関わる
  • 5. CCR9:胸腺細胞やT細胞で発現しており、腸管免疫に関わる

関連問題

選択問題15:3

選択問題15

Netherton症候群の皮膚症状としてみられないのはどれか.

  1. 陥入性裂毛
  2. 曲折線状魚鱗癬
  3. 渦巻き状色素沈着
  4. アトピー性皮膚炎様皮疹
  5. 先天性魚鱗癬様紅皮症様皮疹

Netherton症候群

セリンプロテアーゼインヒビター(LEKTI)をコードするSPINK5遺伝子変異により発症する魚鱗癬症候群(常染色体劣性遺伝)

症状としては下記が3徴

  • アトピー性皮膚炎様皮疹
  • 曲折線状魚鱗癬(紅斑の辺縁に二重の鱗屑が付着:写真)や先天性魚鱗癬様紅皮症様皮疹
  • 陥入性裂毛/結節性裂毛

その他精神発達遅滞やてんかんをきたすこともある

  • 1. 陥入性裂毛:毛幹で竹の節様の結節を形成する所見で、Netherton症候群に特徴的
  • 2. 紅斑の辺縁に二重の鱗屑をつける特徴的な所見
  • 3. 渦巻き状色素沈着:色素失調症の第3期(疣贅期の後)でみられる所見。この後色素消退期となる
  • 4・5:鱗屑に加えて紅斑・炎症が強くみられる所見
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p275(1・2・4・5)/398(3)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p337(1・2・4・5)/561(3)

関連問題

選択問題16:解答 3, 5

選択問題16

以下の分子のうち, その欠損によって顕著に角質層の剥離(peeling)を生じるのはどれか. 2つ選べ.

  1. loricrin
  2. filaggrin
  3. corneodesmosin
  4. transglutaminase 1
  5. lympho-epithelial Kazal-type-related inhibitor

角質層の剥離をきたす魚鱗癬症候群の原因分子はコルネオデスモシンおよびセリンプロテアーゼインヒビター(LEKTI)→3, 5

  • 1. ロリクリン:インボルクリンと共に周辺帯を形成する蛋白で、異常でロリクリン角皮症を発症する
  • 2. フィラグリン:顆粒層のケラトヒアリン顆粒に含まれるプロフィラグリンが分解されて生じ、さらに分解されてアミノ酸として保湿・紫外線吸収などの働きを持つ
    異常で尋常性魚鱗癬を発症する
  • 3. コルネオデスモシン:角層細胞同士を結合する分子であり、デスモグレイン1/3とともにコルネオデスモソーム*を形成する。これをコードするCDSN遺伝子の異常で炎症性Peeling skin病を発症する
  • 4. トランスグルタミナーゼ1:周辺帯形成に関わる酵素で、異常により葉状魚鱗癬を発症する
  • 5. LEKTI:角層細胞の剥離に関わる酵素カリクレイン(KLK)のインヒビターで、Netherton症候群ではLETKIが機能せずKLK作用が増強する→角層が剥離する

*コルネオデスモソーム:有棘細胞間を結合するデスモソームが変化したもの

関連2021 選択91(セリンプロテアーゼインヒビターの先天異常による疾患), 2020 選択10(炎症性ピーリングスキン病の臨床問題), 2016 選択11

選択問題17:解答 4

選択問題17

7歳の男児. 生下時より, 掌蹠を含む全身に図3aに示すような皮膚病変を呈している. 前腕からの生検像を図3bに示す. 最も考えられる疾患はどれか.

  1. 尋常性魚鱗癬
  2. Siemens型水疱性魚鱗癬
  3. Papillon-Lefèvre症候群
  4. 水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症
  5. 非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症

2017-S17

臨床像では過角化・びらん・紅斑がみられ、組織学的に顆粒変性がみられる

選択肢の中で顆粒変性をきたすのは水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症→4

顆粒変性

表皮の顆粒層〜有棘層にかけて、大型のケラトヒアリン顆粒をもつ空胞化細胞が出現する状態

ケラチンの先天的異常をきたす疾患でみられ、魚鱗癬2つは診断基準でも参考症状に含まれている

原因遺伝子 疾患
ケラチン9 Vörner型掌蹠角化症
ケラチン1/10 表皮融解性魚鱗癬
(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)
ケラチン2e* 表在性表皮融解性魚鱗癬
(Siemens型水疱性魚鱗癬)
ケラチン1/10
※体細胞モザイク
疣贅状表皮母斑

*顆粒層で発現するため、顆粒変性も有棘層上層〜顆粒層に限局的

  • 1. 尋常性魚鱗癬:皮膚の角化と落屑のみで紅斑を伴わない。組織学的には顆粒層の菲薄化がみられる
  • 2. 表在性表皮融解性魚鱗癬(Simens型):臨床症状は4に類似するが軽症で、組織学的に有棘層上層と顆粒層に限局した顆粒変性がみられる
  • 3. Papillon-Lefèvre症候群:掌蹠角化症の一つで、手掌足蹠のびまん性角化と歯牙異常がみられる
  • 4. 表皮融解性魚鱗癬(水疱型先天性魚鱗癬紅皮症):びまん性の潮紅や刺激部の水疱形成をきたし、組織学的に顆粒層~有棘層で顆粒変性がみられる
  • 5. 先天性魚鱗癬様紅皮症(非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症):組織学的に角質肥厚がみられるが顆粒変性は伴わない
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p273(2・4)/269(1)/279(3)/271(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p332(4)/329(1)/333(2)/343(3)/334(5)

関連問題

選択問題18:解答 3, 5

選択問題18

光沢苔癬について正しいのはどれか. 2つ選べ.

  1. 瘙痒が強い.
  2. 高齢者に多い.
  3. Köbner現象がみられる.
  4. 自然消退はほとんどない.
  5. 病理組織でLanghans型巨細胞がみられる.

光沢苔癬

小児〜若年男性に多く生じ、掻痒感を伴わない光沢を伴う小丘疹がみられる

  • 特徴:ケブネル現象を伴うことが多い
  • 組織像:Langhans型巨細胞がみられる
  • 経過・治療:自然治癒傾向あり。掻痒感があればステロイド外用薬
  • 1. 掻痒感などの自覚症状は通常伴わない
  • 2. 若年者に好発する
  • 3. 50%でケブネル現象を伴う
  • 4. 数ヶ月〜数年で自然治癒する
  • 5. 組織像は扁平苔癬に類似した表皮基底膜部の液状変性に加えて、Langhans型巨細胞が特徴
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p294
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p378

選択問題19:解答 4

選択問題19

汎発性膿疱性乾癬でみられやすい異常はどれか.

  1. IgG低下
  2. 高蛋白血症
  3. 白血球減少
  4. 低カルシウム血症
  5. リウマトイド因子陽性

汎発性膿疱性乾癬では低カルシウム血症がみられる→4

汎発性膿疱性乾癬 診断基準

汎発性膿疱性乾癬の主要項目

  1. 発熱あるいは全身倦怠感等の全身症状を伴う
  2. 全身または広範囲の潮紅皮膚面に無菌性膿疱が多発し、ときに融合し膿海を形成する
  3. 病理組織学的にKogoj海綿状膿疱を特徴とする好中球性角層下膿疱を証明する
  4. 以上の臨床的、組織学的所見を繰り返し生じること。ただし、初発の場合には臨床経過から下記の疾患*を除外できること。

*尋常性乾癬が明らかに先行し、副腎皮質ホルモン剤等の治療で一過性に膿疱化した症例、circinate annular form、角層下膿疱症・膿疱型薬疹

上記4項目を満たせば確定診断、2と3を満たせば疑い例

汎発性膿疱性乾癬診断の参考項目(重症度評価/合併症検索)

  1. 白血球増多、核左方移動
  2. 赤沈亢進、CRP陽性
  3. IgG又はIgA上昇
  4. 低蛋白血症、低カルシウム血症
  5. 扁桃炎、ASLO高値、その他の感染病巣の検査
  6. 強直性脊椎炎を含むリウマトイド因子陰性関節炎
  7. 眼病変(角結膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎など)
  8. 肝・腎・尿所見:治療選択と二次性アミロイドーシス変化

よって本問の解答は下記

  • 1. IgG:上昇する
  • 2. 蛋白:消耗性に低下する
  • 3. 白血球:高炎症状態に伴い、増加する
  • 4. カルシウム:低下する
  • 5. リウマトイド因子:合併症にリウマトイド因子陰性関節炎がある

選択問題20:解答 4

選択問題20

図4は, 2017年1月現在で使用可能な尋常性乾癬に対する生物学的製剤の投与スケジュールである. IL-17A関連の薬剤はどれか.

  1. ①, ②, ③
  2. ②, ③, ④
  3. ③, ④, ⑤
  4. ④, ⑤, ⑥
  5. ②, ④, ⑥

2017-S20

乾癬 生物学的製剤の投与スケジュール

220525-psobio

よって本問では

  • ①:ウステキヌマブ(ステラーラ®)→IL-12/23p40
    ※現在はスキリージ®およびイルミア®も
  • ②:インフリキシマブ(レミケード®)→TNFα
  • ③:アダリムマブ(ヒュミラ®)→TNFα
  • ④:ブロダルマブ(ルミセフ®)→IL-17RA
  • ⑤:セクキヌマブ(コセンティクス®)→IL-17A
  • ⑥:イキセキズマブ(トルツ®)→IL-17A

IL-17A関連のものは④, ⑤, ⑥のため、選択肢4が正解となる

一般論として、IL-17関連製剤はローディングのため初期投与頻度が多い(IL-23関連と比べて)

  • 参考:各種添付文書

関連2014 選択15 (インフリキシマブの投与頻度・投与量)

選択問題21:解答 1, 3, 5

選択問題21

関節症性乾癬へ移行しやすいと考えられる乾癬の皮疹部位はどれか. 3つ選べ.

  1. 頭部
  2. 肘頭
  3. 臀部
  4. 下腿

関節症性乾癬へ移行しやすいとされるのは、爪・頭部・臀部→1, 3, 5

とくに爪乾癬はDIP関節部の付着部炎が波及した結果として生じる爪母病変で、関連性が強い

頭部・臀部について。「頭部, 臀部, 爪乾癬がPsA(乾癬性関節炎)と関連するとしたWilsonらの報告は統一した見解となっていないが, 爪乾癬でPsA合併リスクが上昇するという報告は多く(後略)」と下記ガイドラインに記載されており、1つだけ選ぶなら爪が妥当と考えられる

関連問題

選択問題22:解答 3

選択問題22

シクロスポリンの内服薬において, 添付文書で併用禁忌になっている薬剤はどれか.

  1. アスピリン
  2. ロラタジン
  3. ロスバスタチン
  4. レボフロキサシン
  5. クラリスロマイシン

シクロスポリン(ネオーラル®)はCYP3A4阻害作用を有し、同酵素で代謝を受ける薬物の血中濃度が上昇する

選択肢の中ではロスバスタチンが併用禁忌→3

なおシクロスポリンはスタチンを肝臓へ取り込むトランスポーターOATP1B1阻害作用もあるため、スタチン使用時は特に注意が必要

シクロスポリン 併用禁忌

  • 生ワクチン
  • タクロリムス(プログラフ®) ※外用以外
  • ピタバスタチン(リバロ®), ロスバスタチン(クレストール®):スタチン
  • ペマフィブラート(パルモディア®)
  • ボセンタン(トラクリア®):肺動脈性肺高血圧症, 強皮症手指潰瘍抑制
  • アリスキレン(ラジレス®):直接レニン阻害薬
  • アスナプレビル(スンベプラ®), バニプレビル(バニヘップ®), グラゾプレビル(グラジナ®):C型肝炎治療薬

PUVA療法を含む紫外線療法も併用注意となっている

関連2015 選択78(CYP3A4が関与する薬剤)

選択問題23:解答 4

選択問題23

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会2016年版)において, 除外すべき疾患に含まれていないのはどれか.

  1. 乾癬
  2. 皮膚リンパ腫
  3. Netherton症候群
  4. シェーグレン症候群
  5. 免疫不全による疾患

シェーグレン症候群のみ、除外すべき疾患に含まれていない→4

アトピー性皮膚炎 除外すべき疾患

  • 接触皮膚炎・手湿疹(アトピー性皮膚炎以外の手湿疹を除外するため)
  • 脂漏性皮膚炎・皮膚リンパ腫
  • 単純性痒疹・乾癬
  • 疥癬・免疫不全による疾患
  • 汗疹・膠原病(SLE, 皮膚筋炎)
  • 魚鱗癬・ネザートン症候群
  • 皮脂欠乏性湿疹

関連2013 選択22 (アトピー性皮膚炎の診断基準)

選択問題24:解答 2, 3, 4

選択問題24

デング熱について正しいのはどれか. 3つ選べ.

  1. デングウイルスはトガウイルス科のウイルスである.
  2. 不顕性感染が50%以上ある.
  3. 肝機能障害に注意が必要である.
  4. 世界では年に4億人が感染する.
  5. 典型的な発疹は発熱と同時に現れる.

デング熱

フラビウイルス科のデングウイルスが、ヤブカによって媒介される

1週間程度の潜伏期間を経て高熱・関節痛・筋肉痛などで発症し、約半数の症例で解熱後毛孔一致性の紅斑や紫斑が出現する。

当初は中毒疹様だが徐々に一部白く抜ける部位が目立つようになり、"white island in a sea of red"と称される

  • 1. デングウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属
  • 2. 不顕性感染が70〜80%を占める
  • 3. 肝機能障害が重症化サインとなることがある
  • 4. 毎年約4億人が罹患し、約1億人(25%)が発症するとされる
  • 5. 典型的発疹は解熱時期およびその前後のwhite island in a sea of red

関連2019 記述4(white island in a sea of redの写真), 2015 選択23 (症状・診断など)

選択問題25:解答 4

選択問題25

保険適用上, 尖圭コンジローマに対して5%イミキモドクリームの週3回塗布を行ってよい使用期限はどれか.

  1. 4週間
  2. 8週間
  3. 12週間
  4. 16週間
  5. 20週間

尖圭コンジローマでのイミキモド(ベセルナ®)使用期限は16週間→4

※日光角化症でも4週間外用→4週間休薬を2回までなので、こちらも16週間となる

また刺激性が高いため、16週間といっても1日1回隔日(週3回)でかつ塗布後6〜10時間で洗い流す必要がある

関連問題

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