皮膚科 皮膚科専門医試験対策

平成28(2016)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題51〜75

2022年8月19日

2016-specialist-3

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 平成28(2016)年度解答解説を作成しました

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誤字脱字ご意見などあればコメント・右のフォーム・Twitterなどでご連絡ください

  • 問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会(問題・写真はリンク先で確認下さい)
  • 参考文献:あたらしい皮膚科学 第3版、皮膚科学(マイナー) 第11版、ダーモスコピー 超簡単ガイド 改訂第2版でカッコ内は選択肢番号、その他は問題末に各自記載
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選択問題26〜50は下記

2016-specialist-2
平成28(2016)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題26〜50

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見出し

平成28年度(2016年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 51〜75

選択問題51:解答 1, 2, 3

遺伝性血管性浮腫に関する出題

  • 1. 遺伝性血管性浮腫(HAE)は1〜3型に分けられ、いずれも常染色体優性遺伝形式
  • 2. 血中の補体C4濃度はHAE1 型/2型であれば発作時・非発作時ともほぼ全例低下しており、スクリーニング検査として有用
    (精査にはC1-INH活性が有用)
  • 3. ブラジキニンが増加することで血管透過性が亢進し、浮腫を引き起こす※
  • 4. 男性ホルモンであるダナゾールやトラネキサム酸が遺伝性血管性浮腫の発作予防に用いられる(未承認)※
  • 5. ACE阻害薬はキニナーゼⅡを阻害することでブラジキニンを増加させ、薬剤性血管性浮腫の原因となる

発作時治療として(ブラジキニンB2受容体拮抗薬である)イカチバントが用いられる

関連問題

選択問題52:解答 2

痤瘡型薬疹をきたしやすい薬剤を問う問題

ソラフェニブ(ネクサバール®)は痤瘡型薬疹ではなく手足症候群をきたしやすい→2

それ以外はEGFR阻害薬であり、いずれも痤瘡型薬疹を生じる

  • 1. ゲフィチニブ(イレッサ®):EGFR阻害薬
  • 2. ソラフェニブ(ネクサバール®):マルチキナーゼ阻害薬
  • 3. エルロチニブ(タルセバ®):EGFR阻害薬
  • 4. セツキシマブ(アービタックス®):EGFR阻害薬
  • 5. パニツムマブ(ベクティビックス®):EGFR阻害薬
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p152(ALL)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p294(2)/302(1・3・4)

関連問題

  • 2023 選択92015 選択39 (エルロチニブの副作用発現順)
  • 2017 選択87 / 2010 選択42 / 2009 選択62(手足症候群の原因薬剤)
  • 2012 選択50 (マルチキナーゼ阻害薬による手足症候群の特徴
  • 2011 選択86 (EGFR阻害薬2つ)

選択問題53:解答 5

食物アレルギーの原因アレルゲン(コンポーネント)を問う問題

ピーナッツのアレルゲンはAra h 2→5

アレルゲンコンポーネント検査

従来のアレルギー検査では「大豆」「牛乳」などの蛋白質(粗抗原)に対するIgEを測定していた

ただ粗抗原には複数のアレルゲンコンポーネントが含まれるため、アレルゲンコンポーネント特異的IgE検査を施行することでより感度・特異度の高い検査が可能となる

下記10種類のアレルゲンコンポーネントが保険適用となっている

由来 コンポーネント名 蛋白名
卵白 Gal d 1 オボムコイド
牛乳 Bos d 4 αラクトアルブミン
Bos d 5 βラクトグロブリン
Bos d 8 カゼイン
小麦 Tri a 19 ω-5グリアジン
大豆 Gly m 4 PR-10
ピーナッツ Ara h 2 2Sアルブミン
クルミ Jug r 1
カシューナッツ Ana o 3
ラテックス Hev b 6.02 ヘベイン

*PGA:納豆のネバネバ成分で、接種5〜14時間後に遅発性アナフィラキシーをきたす

関連問題

選択問題54:解答 3

Flat atypical targetsはStevens-Johnson症候群でみられる→3

鑑別になる多形滲出性紅斑では辺縁隆起・中心陥凹のtarget lesionが特徴

多形滲出性紅斑 スティーブンス・ジョンソン症候群 違い

多形滲出性紅斑からスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)に移行する例もあるが、鑑別点がある

鑑別点 多形滲出性紅斑 Stevens-Johnson症候群
皮疹分布 四肢優位 顔面・頚部・体幹優位
皮疹の性状 target lesion
(辺縁が隆起し、中央が陥凹した浮腫性紅斑)
  • flat atypical targets
    (隆起せず中央が暗紅色)
  • びまん性紅斑
粘膜症状 弱い 強い
角膜上皮障害/偽膜形成あり
組織 表皮細胞壊死は少数
炎症細胞浸潤が高度
広範囲にわたる表皮細胞壊死
少ない細胞浸潤
全身症状 軽度 発熱, 倦怠感・重症感, 経口摂取の程度など

flat atypical targetsはSJS診断基準の副所見にも含まれている

  • 1. 成人T細胞白血病:典型例では紅褐色で隆起した腫瘤が多発し、花弁状の核を有する異型リンパ球が特徴
  • 2. 壊死性遊走性紅斑:グルカゴノーマ等に合併し辺縁に水疱・びらんを伴い環状に拡大する紅斑をきたし、亜鉛欠乏症に類似する
  • 3. Stevens-Johnson症候群:体幹部優位のflat atypical targetが特徴
  • 4. 急性痘瘡状苔癬性粃糠疹(PLEVA):発熱・全身倦怠感に加え、痂皮や潰瘍を伴う丘疹・紅斑が生じ新旧の皮疹が混在する
  • 5. Annular elastolytic giant cell granuloma(環状弾性線維融解性巨細胞肉芽腫):日光性弾力線維症(solar elastosis)を貪食する肉芽腫性病変で、環状肉芽腫に類似し顔面に好発

関連問題

選択問題55:解答 4

Werner症候群の症状を問う問題

光線過敏症はきたさない→4

Werner症候群

WRN遺伝子変異(常染色体劣性遺伝)が原因で、日本人に多い(報告患者の8割)

早老症の代表で、20歳前後から皮膚萎縮や強皮症様の変化をきたす

  • 早老性毛髪変化 (白髪・禿頭)
  • 白内障 (両側)
  • 足底の過角化(鶏眼/胼胝)・難治性潰瘍
  • 鳥様顔貌
  • 嗄声, 高声 (high pitched voice)

などが特徴

動脈硬化や悪性腫瘍も合併しやすいが、光線過敏症は合併しない

  • 1. 嗄声:甲高いしわがれ声(high pitched voice)
  • 2. 白内障*:若年性白内障をきたし、90%以上は両側性
  • 3. 足潰瘍*:鶏眼・胼胝や難治性潰瘍をきたす
  • 4. 光線過敏:Werner症候群では生じない。早老症であるRothmund-Thomson症候群やCockayne症候群は光線過敏症をきたす
  • 5. 強皮症様皮膚:強皮症様症状から口囲の皺を生じ、鳥様顔貌*となる。多形皮膚萎縮はきたしづらいので注意

*両側白内障・難治性潰瘍・鳥様顔貌は主要徴候に含まれる

関連問題

選択問題56:解答 1, 4

弾性線維性仮性黄色腫に関する問題

ABCC6遺伝子変異が原因で指定難病の一つ→1, 4

弾性線維性仮性黄色腫 (PXE)

ABCC6遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患で、弾性線維の変性と石灰化が複数臓器で生じる

  • 皮膚:頚部や腋窩でオレンジ色の丘疹をきたし、加齢とともに皮膚の皺が目立つようになる
  • 眼:網膜-脈絡膜間に存在するBruch膜変化による網膜血管線状
  • 血管病変(心・脳・消化管):動脈の中弾性板変化による虚血性変化、出血等

変性した弾性線維/石灰化はエラスチカ・ワンギーソン染色/コッサ染色でそれぞれ確認できる

230413-pseudoxanthoma-elastica
弾性線維性仮性黄色腫 まとめ

続きを見る

  • 1. 指定難病のひとつ(166番)
  • 2. 常染色体"劣性"遺伝疾患。キャリアの頻度が高く、常染色体優性遺伝のような家族歴をとることもある
  • 3. 好発部位は頚部や腋窩・肘窩など大関節”屈側”部
  • 4. 原因遺伝子はATP binding casetteの一種であるABCC6
  • 5. 血管壁“中”弾性板の変性・石灰化から、虚血性心疾患や脳梗塞、消化管出血をきたす

関連:PXEは頻出, 詳細は上記カード内の記事参照

選択問題57:解答 3

若年女性の下顎部に丘疹の集簇がみられ、組織学的に毛包に一致したムチン沈着(cはおそらくトルイジンブルー染色)がみられる

毛包性ムチン沈着症の診断→3

毛包性ムチン沈着症

常色〜紅色の丘疹が顔面や頭部に集簇・癒合し、隆起した局面となる

2016-Follicularmucinosis-1

参考文献より引用

組織学的に毛包部の液状変性とリンパ球浸潤、ムチン沈着が見られる

2016-Follicularmucinosis-2

参考文献より引用 右はアルシアンブルー染色(ムチンを染色)

  • 若年者の頭顔部に生じる型:治療反応性○
  • 高齢者に生じる型:悪性リンパ腫(菌状息肉症)を合併し難治

の2つがある

  • 1. 浮腫性硬化症:顔面や頚部(項部)〜上背部で浮腫性硬化をきたす。糖尿病の合併(成人)や先行感染(小児)がある
  • 2. 丘疹性ムチン沈着症(粘液水腫性苔癬):四肢伸側や顔面に透明黄〜赤色の丘疹が集簇し、苔癬化局面を形成する。原疾患にM蛋白血症などがある
  • 3. 毛包性ムチン沈着症:顔面に好発する毛包性小丘疹で、ムチン沈着がみられる
  • 4. 皮膚限局性ムチン沈着症:径1cm前後の丘疹〜小結節で、白〜淡紅色を呈する
  • 5. 結節性皮膚ループスムチン症:背部や上肢にみられる丘疹・結節で、SLEの2.5%程度に生じる

選択肢はいずれもムチン沈着をきたすため、臨床像から判断するのが妥当

関連2013 選択53 (網状紅斑性ムチン沈着症)

選択問題58:解答 1, 5

海綿状血管腫を生じる疾患を問う問題

Maffucci症候群と青色ゴム乳首様母斑症候群がある→1, 5

単純性血管腫(毛細血管奇形)と海綿状血管腫(静脈奇形)を区別する

血管腫と血管奇形

血管腫・血管奇形 定義 疾患例
血管腫 血管内皮を伴う血管増生 いちご状血管腫
毛細血管奇形
(単純性血管腫)
血管内皮細胞の増殖がなく、毛細血管が増加 Sturge-Weber症候群
Klippel-Trenaunay-Weber症候群
静脈奇形
(海綿状血管腫)
皮膚のやや深部で静脈成分が増殖、腫瘤化 青色ゴムまり様母斑症候群
Maffucci症候群
動静脈奇形 動脈が毛細血管を経ることなく静脈へ繋がる 脳動静脈奇形

血管奇形は増殖はあるものの腫瘍性病変ではなく、血管"腫"が腫瘍性増殖。血管腫が悪性化をきたしたものが血管肉腫

  • 1. Maffucci症候群:先天性中胚葉形成不全により、海綿状血管腫内軟骨腫をきたす
  • 2. Sturge-Weber症候群:顔面単純性血管腫(三叉神経第1枝領域)・眼部脈絡膜血管腫による牛眼・対側のてんかん発作を生じる神経皮膚症候群
  • 3. von Hippel-Lindau症候群*:VHL遺伝子変異により脳や網膜の血管芽腫、腎細胞癌をきたすが、皮膚病変は少ない
    (頭頚部に単純性血管腫が見られることがある)
  • 4. Osler-Rendu-Weber症候群(Osler病)*:TGF-β受容体遺伝子であるENGACVRL1変異により、全身で毛細血管拡張症をきたす
  • 5. 青色ゴム乳首様母斑症候群*:皮膚や消化管で海綿状血管腫をきたす

*常染色体優性遺伝疾患

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p422/405(1)/400(2)/404(4・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p582(1)/578(2・3)/581(4・5)

関連問題

選択問題59:解答 5

悪性黒色腫に対して抗PD-1抗体を投与中見られた薬眼瞼下垂や複視、筋力低下から重症筋無力症を考える

特異性の高い抗アセチルコリン受容体抗体を測定する→5

免疫関連副作用 (irAE:immune-related adverse event)

免疫チェックポイント阻害薬は免疫抑制に関わるCTLA-4やPD-1をターゲットとし、腫瘍に対するT細胞免疫を賦活化させる

これに伴い全身臓器で生じる特徴的副作用を、免疫関連副作用(irAE)と呼ぶ。通常の薬疹と異なり、投与開始から発症までの期間が長い・中止後にも遷延する場合があるなどの特徴がある

irAEの具体的症状に下記がある

  • 内分泌:甲状腺機能障害・下垂体炎
  • 肺:間質性肺炎
  • 消化器:大腸炎
  • 神経:重症筋無力症・神経障害
  • 皮膚:白斑・播種状紅斑丘疹型皮疹・乾癬様紅斑etc
  • 12. Tg/TPO抗体:甲状腺機能異常症のirAEでしばしば陽性となる
  • 3. 抗血小板抗体:自己免疫性溶血性貧血(ITP)にて検出される自己抗体
  • 4. RNAポリメラーゼ3抗体:強皮症の一部で検出され、強皮症腎クリーゼ悪性腫瘍と相関する
  • 5. 抗アセチルコリン受容体抗体:重症筋無力症で検出される自己抗体

厚生労働省のirAE対策マニュアルでは筋炎関連自己抗体やアセチルコリン受容体抗体がしばしば陰性であり、代わりに横紋筋抗体が検出される場合が多いという記載もあるため、陰性でも否定できない
(ただ問われている通り”実施すべき検査”ではある)

関連2021 記述11 (irAEの英語スペル)

選択問題60:解答 3

菌状息肉症・セザリー症候群に対して保険適用があるのはIFN-γ(イムノマックス®)→3

  • 1. IFN-α(ペガシス®):B/C型肝炎治療で用いられる(近年は新規薬剤増加により利用が減少)
  • 2. IFN-β(フェロン®):悪性黒色腫の術後補助療法としてIFN-β局注が行われる(DAV-Feron)
  • 3. IFN-γ(イムノマックス®):菌状息肉症・セザリー症候群に対して保険適用がある
  • 4. TNF-α:炎症性サイトカインで、モノクローナル抗体(ヒュミラ®等)が乾癬のほか壊疽性膿皮症化膿性汗腺炎に保険適用を有する

※いずれの疾患も欧米では主にIFN-αが使用されているが、国内では保険未承認

なおペガシス®は2018年1月に、フェロン®は2023年3月にそれぞれ販売終了となっている

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p468(3)/485(2)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p122/734(2)

関連2017 選択73 (菌状息肉症に保険適用のある薬剤)

選択問題61:解答 3, 4

高齢男性の頚部リンパ節転移を伴う大型血管肉腫(局面型)

標準的治療として原発巣に対する放射線療法と化学療法が推奨される→3, 4

  • 1. 斑状型病変に対しての*IL-2局注/動注が推奨度B、全身投与(静注/皮下注)は推奨度C
  • 2. 腫瘍が単発かつ5cm以下で完全切除可能なら推奨度B、それ以外(本症例)はC1
  • 3. 原発巣の放射線療法は推奨度B、他の治療法(外科的切除等)との併用が推奨
  • 4. 全身化学療法は推奨度B。1st lineではPTX等タキサン系抗腫瘍薬が利用される
  • 5. リンパ節郭清:所属リンパ節内に転移がとどまっていれば、推奨度C1
    本症例の頚部リンパ節が所属リンパ節かは不明ながら、いずれにせよ推奨度は劣る

*結節・潰瘍病変が混在する場合は奏功しにくい

最新版の「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 皮膚血管肉腫診療ガイドライン 2021」では推奨度が削除されているが、治療方針はほぼ同様

新規抗癌剤(パゾパニブやエリブリン)の登場に伴い、リンパ節転移病変に対する外科的治療の選択は慎重になるべきだろうとコメントされている

関連問題

選択問題62:解答 4

神経線維腫では腫瘍細胞間の肥満細胞浸潤が特徴→4

神経線維腫 病理

シュワン細胞由来の良性腫瘍

組織学的に紡錘形の腫瘍細胞増殖と細い膠原線維の錯綜、粘液性の間質や肥満細胞浸潤がみられる

免疫染色では

  • S-100(+)
  • CD34(+)
  • EMA(+)

が特徴

2020-Neurofibroma

病理コア画像より引用

関連2020 選択71(同一問題)

選択問題63:解答 4, 5

悪性黒色腫のセンチネルリンパ節転移を検出する際に用いられる染色マーカーを問う問題

S-100は組織球なども陽性で特異度が低く、HMB-45やMART-1が用いられる→4, 5

悪性黒色腫 免疫染色 (センチネルリンパ節)

悪性黒色腫で主に用いられる免疫染色と陽性部位は以下

名称 染色部位
HMB-45 細胞質
MART-1/Melan-A 細胞質
S-100 核+細胞質
SOX10
PRAME

核で陽性となるSOX10は判別しやすく、悪性黒色腫における感度/特異度も高いため用いられる頻度が増加している

近年はPRAMEも用いられる場合がある

  • 1. p53:がん抑制遺伝子p53の遺伝子産物で、強陽性であれば悪性疾患を示唆する
  • 2. S-100:神経系マーカーで悪性黒色腫にて陽性となるが、組織球も染色され特異性が低い(観察しづらい)。MART-1やHMB-45が陰性の場合に有用
  • 4. HMB-45:メラノソームに存在する糖タンパクgp100を認識し、悪性黒色腫で陽性となる
  • 5. MART-1/Melan-A:細胞傷害性Tリンパ球によって認識される、メラノーマ特異的抗原の一つ。メラノサイト系腫瘍の検出に使われる

本問はもともと選択肢3にSOX10が含まれ3つを選択する問題だったが、試験当日に削除・変更されている。「有用な」という表現は曖昧だが(感度に優れるS-100を"有用でない"と切り捨ててよいのか?)、類似特性を持ち実際に転移検索で用いられることの多い選択肢4・5が正解と考えた

  • 参考:メラノーマの分類と病理組織学 免疫組織化学(免疫染色) 日本臨床79巻増刊2 皮膚悪性腫瘍(上) p41-46
  • 参考:センチネルリンパ節の病理組織学的評価法 日本臨床71巻増刊4 皮膚悪性腫瘍 p265-269
  • 参考:病理組織診断における免疫染色 顕微鏡48巻1号 p33-38

関連問題

選択問題64:解答 1, 4

学童期の男児で紅色丘疹が出現・消退を繰り返すという病歴やCD30(+)の腫瘍細胞からリンパ腫様丘疹症の診断

リンパ腫様丘疹症

直径数mm〜1cmまでの鱗屑を付す紅褐色丘疹が多発し、びらんや痂皮を伴う

出現・消退を繰り返すため、新旧の皮疹が混在する

組織学的にCD30陽性異型リンパ球がみられ、類縁疾患に原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫がある

年齢 分布 皮疹
原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫 中高年以降が多い 単発が多い 紅色結節
リンパ腫様丘疹症 20〜30代女性に多いが小児もあり 多発 直径数mm〜1cmの鱗屑を伴う丘疹

慢性再発性の経過で予後良好(5年生存率100%)だが、菌状息肉症との合併例や原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫へ移行する場合がある

自然消退しない場合は、ステロイド外用やPUVA療法が行われる

  • 1. 出血・壊死して潰瘍を形成する。新旧の皮疹が混在し、PLEVAに類似する
  • 2. 息肉症細胞やReed-Sternberg巨細胞に類似した細胞がみられる。Langerhans細胞に由来するのはLangerhans細胞組織球症
  • 3. 20代〜30代の女性に好発するが、小児例もある
  • 4. 慢性再発性の経過で基本的には予後良好だが、一部は未分化大細胞リンパ腫へ移行する
  • 5. 疥癬結節や虫刺症などの反応性増殖でも、CD30陽性細胞が出現することがある

関連問題

選択問題65:解答 3

皮膚肥満細胞症ではc-Kit遺伝子の体細胞変異(somatic mutation)がみられる→3

なお生殖細胞変異(germline mutation)はまだら症の原因となる

  • 1. Rb遺伝子:がん抑制遺伝子の一つで、(遺伝性)網膜芽細胞腫の原因となる(Knudsonの2-hit theory)。悪性黒色腫ではRb経路に関連するCDKN2A遺伝子変異が家族性メラノーマの原因となる
  • 2. MEK遺伝子:BRAF遺伝子の下流に存在するが、悪性黒色腫で変異が見られることは稀
  • 3. c-Kit遺伝子:増殖肥満細胞ではc-kit遺伝子の体細胞変異から、KITが活性化している
  • 4. HRAS遺伝子:Spitz母斑の20%で体細胞変異がみられる
  • 5. BRAF遺伝子:悪性黒色腫(とくに表在拡大型≒low-CSD)ではV600Eの体細胞変異がみられることがあり、この場合BRAF/MEK阻害薬が利用できる

関連2015 選択35(肥満細胞症の治療)

選択問題66:解答 2, 3

メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患に関する問題

長期投与患者に多く、B細胞性リンパ腫の形態をとる→2, 3

MTX関連リンパ増殖性疾患(増殖異常症) MTX-LPD

とくに関節リウマチ患者における、メトトレキサート(MTX)内服に伴う有害事象

  • 投与期間2年以上など長期間投与例に多い
  • リンパ腫であるが、皮膚病変(難治性潰瘍)など節外病変が多い(40-70%)
    分類上はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
  • 組織:腫瘍細胞でEBVが陽性となることが多い(40%)
  • 臨床経過:約半数はMTX休薬にともない自然消退する
  • 1・3. MTX長期投与例に多く(総投与量に比例するとされる)、必然的に高齢者に好発する
  • 2. B細胞リンパ腫の形態をとる
  • 4. MTX内服中止にて50〜70%は軽快する
  • 5. EBV感染が誘因であることが多く、血中EBV-DNAおよび組織EBER(EBV感染細胞に発現する低分子RNA)を確認する

補足

現在のWHO分類ではMTX-LPDという概念は存在せず、他の医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患と呼ぶ(MTXそのものによる有害事象というよりは、関節リウマチの活動性なども関与していると考えられているため)がここでは簡略化のためMTX-LPDと表記した

関連問題

選択問題67:解答 2, 3

基底細胞母斑症候群に関する問題

顎骨嚢胞の合併が多く、一部で髄芽腫を合併する→2, 3

基底細胞母斑症候群(Gorlin症候群)

癌抑制遺伝子であるPTCH1(Patched1)遺伝子変異が原因の、常染色体優性遺伝疾患

皮膚関連症状に下記がある

  • 掌蹠点状小陥凹(85%以上)
  • 2個以上あるいは20歳以下の基底細胞癌(80%)
  • 多発性顎骨嚢胞(70% 皮疹に先行)
  • 稗粒腫、表皮嚢腫

その他大脳鎌石灰化や肋骨異常、髄芽腫の合併をきたす

  • 1. 常染色体”優性”遺伝形式をとる
  • 2. 顎骨嚢胞は70〜85%程度に合併する
  • 3. 髄芽腫は5%程度に合併し、平均約2歳時と早期に発症するため注意が必要
  • 4. PTCH1/PTCH2/SMO/SUFU遺伝子変異が原因となるが、PTCH1が最多。PTEN遺伝子変異はCowden病の原因
  • 5. 歯肉や口唇で乳頭腫状小丘疹がみられるのはCowden病の特徴

関連問題

選択問題68:解答 2

神経線維腫症 I型の患者における皮膚病変

隆起しない青色の局面であり、pseudoatrophic maculeの像→2

Pseudoatrophic macule (blue-red macule)

神経線維腫症Ⅰ型にみられる皮膚病変の一つ

柔らかい青色斑で、通常の神経線維腫と異なり隆起しないことが特徴

組織学的には皮下の神経線維腫組織に加え、真皮乳頭部で血管内腔の拡張がみられる

2016-Pseudoatrophic-macule

参考文献より引用(背中)

  • 1. 皮膚弛緩症:先天性/後天性に弾力線維の異常をきたし、皮膚が弛む症候群
  • 2. Pseudoatrophic macule:NF1でみられる神経線維種のうち隆起せず斑として生じるもの
  • 3. 斑状皮膚萎縮症:真皮の弾性繊維が消失し、皮膚が限局性に弛緩してヘルニア様あるいは袋状に突出する疾患
  • 4. 結合組織母斑:膠原線維や弾性繊維が増生し、正常皮膚色の丘疹が集簇して軽度隆起した局面を生じる。結節性硬化症でみられる粒起革様皮膚(シャグリンパッチ)などが該当
  • 5.弾性線維性仮性黄色種ABCC6遺伝子変異により発症し、弾性線維の変性から皮膚/眼/心血管病変をきたす

atrophic = 萎縮, 通常の隆起した神経線維腫と対比して呼ばれる

選択問題69:解答 1, 2

中心部に痂皮を伴う潰瘍があり、辺縁でLeaf-like areasを認める→1, 2

いずれも基底細胞癌(BCC)で特徴的なダーモスコピー像

arborizing vesselsもBCCに特徴的だが、図内ではみられない

  • 1. ulceration(潰瘍):BCCの50〜60%にみられる所見
  • 2. Leaf-like areas(葉状領域):褐色〜灰黒色の色素沈着で、BCC辺縁部でみられる。組織学的に表皮から連続した腫瘍巣と対応する
  • 3. arborizing vessels(樹枝状血管):BCCに特徴的な分枝状の血管
  • 4. Comedo-like openings(面皰様開大):脂漏性角化症に特徴的。境界明瞭な黒褐色部分で、組織学的に角栓に対応
  • 5. multiple milia like cyst(稗粒腫様嚢腫):脂漏性角化症に特徴的。やや境界不明瞭な白色点で、組織学的に偽角質(角化)嚢腫に対応する
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p58-60
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p644(1・2・3)/596(4・5)
  • 参考書籍:ダーモスコピー 超簡単ガイド 改訂第2版 p166(1)/160(2)/158(3)/168(4・5)

関連問題

選択問題70:解答 2

下腿褐色小結節のダーモスコピー像

結節辺縁部で色素沈着がみられ、皮膚線維腫の像→2

非メラノサイト系病変だが、基底層のメラニン増加から色素ネットワークを形成する

なお病変中心部は線維化を反映して白色となる

2018-Dermatofibroma-Dermscopy

参考サイトより引用, 中心は白色で辺縁に褐色部が存在する

  • 1. 悪性黒色種:四肢では非定型色素ネットワーク(不規則な色素沈着)や病変の非対称性が特徴
  • 2. 皮膚線維腫:非メラノサイト系病変ながら、色素ネットワークをきたす疾患
  • 3. 色素細胞母斑:定型色素ネットワークと呼ばれる、対称性の網目状色素沈着がみられる
  • 4. 脂漏性角化症:Comedo-like openingsやmultiple milia-like cystが特徴
  • 5. 表在型基底細胞癌:arborizing vesselsや潰瘍・leaf-like areasが特徴

関連問題

選択問題71:解答 1, 2, 3

組織所見を問う問題

腫瘍細胞が表皮全層に存在し、異型核分裂像を伴うことからBowen病の診断

ケラチノサイト由来の悪性腫瘍である有棘細胞癌と同じく、角化傾向が強い

  • 1. Clumping cell:異常角化細胞が融合し、多核巨細胞のように見えるもの
  • 2. 異型核分裂像:分裂能の高さを示し、悪性腫瘍で高頻度に見られる
  • 3. Pagetoid pattern(pagetoid spread):明るい大型の腫瘍細胞が表皮内に胞巣を形成する状態で、Bowen病や悪性黒色腫でみられる*
  • 4. CEA:皮膚科領域ではエクリン/アポクリン汗腺やその腫瘍性疾患(ex. 乳房外Paget病)が陽性となる
  • 5. 表皮下層から異型細胞が増殖していくのは日光角化症の所見。Bowen病では表皮"全層"にわたる異型細胞増殖が特徴

*パジェット"様"なので、Paget病や乳房外Paget病ではこのように呼ばない

Bowen病はCEAを産生せず、「表皮下層からの蕾状増殖」は日光角化症のキーワードのため1〜3を選択する

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p451(1・2)/458(4)/449(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p629(1・2・3)/59(1・3)/48(4)/624(5)

関連2017 選択68 (有棘細胞癌の組織学的特徴)

選択問題72:解答 5

組織像を問う問題

真皮内の境界明瞭な腫瘤で好酸性細胞による管腔形成もみられ、エクリン汗孔腫の診断

血管構造が目立ち、ダーモスコピーではヘアピン状血管として観察される→5

エクリン汗孔腫 (eccrine poroma)

足底に好発(2/3)する、暗赤色の隆起性腫瘤をきたす

※通常赤色だが腫瘍細胞にメラニンが沈着し黒色を呈する色素性のものがある

腫瘍は表皮内汗管に由来する

組織ではporoid cellと呼ばれる腫瘍細胞の増生と、好酸性のクチクラ細胞から構成される管腔構造が特徴

2016-eccrineporoma-pathology

参考文献 Figure1より引用

ダーモスコピーでは淡紅白色の構造と、点状/糸球体様血管など血管構造がみられる

2016-eccrineporoma-dermoscopy

参考文献より引用

関連問題

選択問題73:解答 5

組織像を問う問題

脂腺母斑に続発する腫瘍として、頻度が低いのはエクリンらせん腺腫→5

脂腺母斑

脂腺の増加を特徴とする母斑で、頭部・顔面に後発する

出生時は脱毛斑としてみられるが、思春期頃から疣状の外観となりやがて腫瘍が続発する

  • 良性腫瘍:乳頭状汗管嚢胞腺腫(1/3は脂腺母斑に続発)・毛芽腫(高頻度)・脂腺腫・外毛根鞘腫
  • 悪性腫瘍:基底細胞癌(1%), 脂腺癌など

以前は基底細胞癌の続発が多いとされていたが、現在は毛芽腫(良性腫瘍だが組織像が基底細胞癌に類似する)であったと考えられている

  • a:基底細胞癌(BCC);N/C比の高い腫瘍細胞の胞巣状増殖(周囲とは裂隙を形成)や核の柵状配列が特徴
  • b:乳頭状汗管嚢胞腺腫;真皮の乳頭状増殖がみられ、2層性の管状構造(内腔側は高円柱細胞, 外側は立方体状細胞)や形質細胞浸潤が特徴
  • c:脂腺腫;BCC類似の胞巣状増殖をきたすが、一部で脂腺細胞への分化(明るい胞体を持つ)がみられる
  • d:毛芽腫;BCC類似の胞巣状増殖をきたす。fibroepithelial unit*がBCCとの鑑別点とされる
  • e:エクリンらせん腺腫 ;低倍ではリンパ節類似の境界明瞭な腫瘤で、拡大すると大型明調細胞と小型暗調細胞から構成される管腔構造がみられる

※リンク先に病理写真あり

*腫瘍胞巣周囲に膠原線維が密着し、その外側に裂隙がみられる(BCCでは膠原線維がなく、腫瘍細胞と裂隙が直接接する)

関連問題

選択問題74:解答 5

組織像を問う問題(写真は1つ前の選択問題73と共通)

有痛性腫瘍はエクリンらせん腺腫→5

a〜eの詳細については選択問題73参照

有痛性皮下腫瘍 LEND AN EGG (ANGEL)

L:Leiomyoma 平滑筋腫
E:Eccrine spiradenoma エクリンらせん腺腫
N:Neuroma 神経腫
D:Dermatofibroma 皮膚線維腫
A:Angiolipoma 血管脂肪腫
N:Neurilemoma (Schwannoma) 神経鞘腫
E:Endometriosis (Endometrioma) 子宮内膜症
G:Glomus tumor グロムス腫瘍
G:Granular cell tumor 顆粒細胞腫

※ANGELという暗記方法もあるようです

よって本問の選択肢の中ではエクリンらせん腺腫(図24e)が該当する

  • 有痛性皮下腫瘍の参考:みき先生の皮膚病理診断ABC ②付属器系病変 p216
みき先生の皮膚病理診断ABC (2) 付属器系病変

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泉 美貴
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関連問題

有痛性腫瘍を尋ねる問題のなかでも、エクリンらせん腺腫はとくに出題頻度が高い

選択問題75:解答 2, 3

各疾患と特徴的な病理所見を問う問題

急性湿疹では海綿状態が、尋常性疣贅では乳頭腫症が特徴→2, 3

  • 1. palisading granuloma(柵状肉芽腫):中心に変性した膠原線維やムチンを含み、周囲に組織球が柵状に存在するもので環状肉芽腫の特徴。
サルコイドーシスでは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫やasteroid bodyが特徴
  • 2. spongiosis(海綿状態):表皮細胞間が浮腫によって拡大した状態。接触皮膚炎や異汗性湿疹(汗疱)などの急性湿疹にみられる
  • 3. papillomatosis(乳頭腫症):真皮乳頭の突出により、皮表が隆起する状態。尋常性疣贅やコンジローマでみられる
  • 4. acantholysis(棘融解):角化細胞間とくにデスモソームが離開した状態。尋常性天疱瘡(Pemphigus vulgaris)やDarier病、Hailey-Hailey病でみられる
  • 5. acanthosis(表皮肥厚):表皮とくに有棘層の肥厚。尋常性乾癬(Psoriasis vulgaris)や慢性湿疹、脂漏性角化症でみられる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p47(1)/43(2・4)/48・72(3)/40(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p63(1)/52(2)/51(3)/54(4)/51(5)

関連問題

選択問題76〜は下記

2016-Specialist-4
平成28(2016)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題76〜89 記述

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