皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和5(2023)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題1〜30

2024年1月2日

2023-specialist-1

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和5(2023)年度解答解説を作成しました

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見出し


令和5年度(2023年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題 1〜30

選択問題1:解答 3

アレルギー反応分類(Coombs&Gell)に関する問題

ツベルクリン反応はⅣ型アレルギーに該当する→3

  • 1. I型:いわゆる"アレルギー"の代表例でIgEが関与し、蕁麻疹やアナフィラキシーショック、気管支喘息・花粉症などが該当
  • 2. Ⅱ型:自己抗体が生じる疾患が含まれ、水疱性類天疱瘡などの自己免疫性水疱症や特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が代表
  • 3・4. Ⅲ型:免疫複合体反応をきたす疾患が含まれ、SLE(ループス腎炎)や皮膚白血球破砕性血管炎が含まれる
  • 5. Ⅳ型:遅発性の細胞性免疫をきたす疾患が含まれ、アレルギー性接触皮膚炎やGVHDが含まれる。疾患ではないがツベルクリン反応も同反応を利用した検査

Ⅳ型は遅発性であることが特徴で、接触皮膚炎の検査に用いるパッチテストでもパッチを貼ってから48時間に判定を行う

ツベルクリン反応も注射後48時間経ってから効果判定を行う点から、遅発性免疫が関与していることが推測できる。なおあまり使われないがスポロトリコーシス診断に用いられるスポロトリキン反応も同様に48時間後の判定

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p36
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p82

関連問題

  • 2021 選択14 / 2021 選択29 / 2009 選択16 (接触皮膚炎 一次性とアレルギー性)
  • 2021 選択38 / 2010 選択18 / 2009 選択50 (ツベルクリン/スポロトリキン反応について)

選択問題2:解答 2, 3

有棘細胞癌の発生母地となりうる疾患に汗孔角化症や硬化性(萎縮性)苔癬がある→2, 3

有棘細胞癌(SCC)の先行病変

瘢痕性病変や、慢性的に刺激を繰り返す疾患に続発する

  • 瘢痕性病変:熱傷瘢痕, 慢性放射性皮膚炎, 慢性膿皮症, 慢性円板状エリテマトーデス
  • その他:硬化性萎縮性苔癬, 汗孔角化症, 栄養障害型表皮水疱症, 疣贅状表皮発育異常症

癌前駆症

Bowen病, 日光角化症, 白板症

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p447(2・3)/188(1)/408(2)/339(3)/176(4)/197(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p631(2・3)/247(1)/360(2)/488(3)/338(4)/431(5)

関連問題

選択問題3:解答 3

病変部位が最も深部の水疱症は後天性表皮水疱症(Ⅶ型コラーゲン)→3

  • 1. 落葉状天疱瘡:有棘細胞間のデスモソームを構成する分子、デスモグレイン1に対する自己抗体が生じる。表皮の中でも(尋常性〜と比して)上層で水疱形成をきたす
  • 2. 結節性類天疱瘡:水疱性類天疱瘡(BP180が原因分子)の亜型で、臨床的に結節性痒疹類似の皮疹をきたす。BP180抗体価が低値なため水疱が形成されづらいとされる
  • 3. 後天性表皮水疱症:真皮係留線維を構成するⅦ型コラーゲンに対して自己抗体が生じる。1M食塩水を用いたsplit skin testでも真皮側に沈着する
  • 4. Dowling-Meara型表皮水疱症(単純型表皮水疱症-重症汎発型):表皮基底細胞で発現するケラチン5/14が原因分子
  • 5. 筋ジストロフィー合併型表皮水疱症:単純型表皮水疱症の亜型でプレクチンが原因となる

先天性表皮水疱症については下記も参照

Epidermolysis-Bullosa
先天性表皮水疱症の病型と原因蛋白・遺伝形式まとめ

続きを見る

基底膜 = 光学顕微鏡での呼び方で、電子顕微鏡レベルでは基底細胞〜ヘミデスモソーム〜透明帯〜基底板〜係留線維などを含んだ概念

「あたらしい皮膚科学」の図1. 12(p6)ではⅦ型コラーゲンも基底膜に含まれており、"疾患の本体が基底膜より下で生じる"という本問の記述はやや違和感があるが、最も深部のⅦ型コラーゲンが解答としては妥当と考えられる

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p4・6/253(1)/260(3)/239(4・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p10/314(1)/322(2)/323(3)/327(4・5)
  • 選択肢2の参考:結節性類天疱瘡の3例 臨床皮膚科71(4), p323-329, 2017

関連問題

選択問題4:解答 3

皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫における腫瘍細胞はCD8陽性のT細胞→3

  • 1. 木村病は思春期男性の耳下腺周囲に好発し、組織での好酸球浸潤や血清IgE増加が特徴
  • 2. 菌状息肉症は基本的にCD30(-)だが、large cell transformationをきたすとCD30陽性となる※
  • 3. 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫ではCD3(+), CD8(+)が特徴
  • 4. 成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の確定診断には末梢血や皮膚組織での単クローン性(腫瘍性)増殖を証明する必要がある。血清抗HTLV-1抗体陽性はスクリーニングとしては有用
  • 5. モガムリズマブは皮膚T細胞リンパ腫に対して利用する場合、CCR4発現の有無を問わず投与可能

※CD30陽性であるとブレンツキシマブベドチン(アドセトリス®)が利用可能

モガムリズマブ(ポテリジオ®)

CCR4はリンパ球(Th2細胞)の遊走に関わるケモカイン受容体で、一部のリンパ腫で高率に発現している

モガムリズマブはCCR4に対する抗体製剤で、保険適用疾患は下記の通り

  • CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)
  • 再発又は難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫
  • 再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫

→皮膚T細胞性リンパ腫においてはCCR4発現の確認は必須ではない

CCR4のリガンドがTARC(CCL17)で、アトピー性皮膚炎のほかT細胞リンパ腫や丘疹紅皮症(太藤)で高値となる。アトピー性皮膚炎の病勢マーカーとして有名

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p440(1)/468(2)/477(3)/473(4)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p700(1)/705(2)/716(3)/712(4)
  • 選択肢5の参考:ポテリジオ 添付文書

関連問題

選択問題5:解答 1, 3, 5

円形脱毛症の病態に関する問題

円形脱毛症は毛包組織に対する自己免疫の活性化が本態

  • 1・2. 円形脱毛症病変部ではIFN-γやIL-15などのサイトカイン産生が亢進している
  • 3. 毛包は免疫特権(immune privilege)部位と呼ばれ健常人ではMHC classⅠ発現が低下しCD8陽性T細胞からの攻撃を受けなくなっている。しかし円形脱毛症ではMHC classⅠ発現の亢進からこの機構が破綻し、T細胞による攻撃を受けてしまう
  • 4・5. 円形脱毛症では組織学的にCD8(+)NKG2D(+)細胞傷害性T細胞の浸潤がみられる。毛包上皮ではNKG2Dリガンドの発現が亢進している

円形脱毛症とJAK阻害薬

IFN-γやIL-15などのサイトカインが自己増殖的に亢進することが円形脱毛症の症状を遷延させる原因であり、その下流に存在するJAK-STAT経路を阻害することが治療として有効

このため慢性期の重症円形脱毛症*に対して、近年下記2種類のJAK阻害薬が保険適用となっている

一般名 商品名 ターゲット 保険適用年
バリシチニブ オルミエント® JAK3/TECファミリー 2022
リトレシチニブ リットフーロ® JAK1/JAK2 2023

*頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ過去6ヶ月程度毛髪に自然再生が認められない

関連問題(円形脱毛症)

本問はかなり難易度が高いが、トピックであるJAK阻害薬との関連で出題されたものと考えられる

選択問題6:解答 2, 4

登山の際に虫体が付着しており、自己で除去した後に同部位で紅斑をきたし、微熱や倦怠感を伴っている

マダニによるライム病(慢性遊走性紅斑)を考える

ボレリア感染症であり、日本ではシェルツェマダニが媒介する→2, 4

  • 1. ライム病は第4類感染症に該当する。日本紅斑熱・つつが虫病・SFTS*など虫が媒介する疾患は第4類
  • 2. ボレリア感染症で、北米では主にBorrelia burgdorferiが原因だが日本ではB. gariniiB. afzeliiが多い※
  • 3. 治療の第一選択はドキシサイクリン(テトラサイクリン系)やアモキシシリン(ペニシリン系)
  • 4. 本邦では北海道や高山地方に主に生息するシェルツェマダニが媒介する
  • 5. ライム病が進展すると神経症状をきたす。体幹中心に多発する紅斑・発熱・肝障害などをきたすのはつつが虫病(四肢中心なのが日本紅斑熱)

*SFTS:重症熱性血小板減少症候群

※血清検査での抗ボレリア抗体はB. burgdorferiが対象のためライム病でも陰性となることがある

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p567(1・2・3・4)/569(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p933(2・3・4)/930(5)

関連問題

選択問題7:解答 1

パッチテストパネル®(S)についての出題

  • 1. 24項目中、2箇所(9と18)が陰性対照(ワセリン)となっている→◯
  • 2. 薬剤料15,739.10円(1,574点)を併せて算定できる
  • 3. 検査料として350点(D291-22箇所以上の場合)を算定できる
  • 4. 24項目が2パネル(12項目ずつ)に分けられている
  • 5. 遅発陽性反応が検査7〜10日後に発現することがあり、金チオ硫酸ナトリウムについては、検査20日以上経過してから発現したという報告もある※

※パッチテストで1週間後の判定が望ましいアレルゲンに硫酸フラジオマイシン・ステロイド含有外用薬・金がある

関連問題

  • 2020 選択94 (パッチテストで1週間後に判定が望ましいアレルゲン)
  • 2019 選択94 (パッチテストパネルに含まれないアレルゲン)

選択問題8:解答 2, 4

結節性硬化症の死亡原因は年齢ごとに異なる

50歳以上では腎血管筋脂肪腫や肺リンパ脈管筋腫症(LAM)が死因として多い→2, 4

結節性硬化症の死亡原因 年齢別

年齢 死因
10歳未満 心臓横紋筋腫による心不全
10代 脳腫瘍(SEGA*)
10歳以上 腎不全等腎病変(腎血管筋脂肪腫)
40歳以上 肺LAM*

*SEGA = Subependymal Giant Cel Astrocytoma, LAM = Lymphangioleiomyomatosis リンパ脈管筋腫症

  • 1. てんかん重積発作:てんかんが関与する死因は40歳未満がほとんど
  • 2. 腎血管筋脂肪腫:高頻度の死因であり年齢と共に増加する。全例が10歳以上
  • 3. 心臓の横紋筋腫による心不全:10歳未満、とくに乳児・小児で多い
  • 4. 肺LAM:40歳以上の死因として、特に女性で増加する
  • 5. 脳腫瘍:10代(10〜19歳)で最も多い死因

関連問題(結節性硬化症)

これまで皮膚病変に関する出題が中心だったので、内臓合併症を問う本問は新傾向

選択問題9:解答 5

EGFR阻害薬による皮膚症状の出現順を問う問題

ざ瘡様皮疹-乾皮症-爪囲炎の順番→5

EGFR阻害薬 エルロチニブ(タルセバ®) 副作用

下記のような副作用がある(非小細胞肺癌9,909例の解析)

副作用 投与〜発現までの中央値 範囲
発疹(ざ瘡様皮疹等) 9日 1-508日
そう痒症 10.5日 1-413日
爪囲炎 34日 1-558日
皮膚乾燥 16日 1-453日
皮膚潰瘍 49日 2-313日

関連問題

選択問題10:解答 1

高額療養費制度に関する出題

高齢者における自己負担額は平成29年8月より段階的に引き上げられている→1

  • 1. 70〜75歳未満での自己負担限度額は、所得額に応じてH29年8月およびH30年8月の2回引き上げられている
  • 2. 同一月にかかった医療費が自己負担限度額を超えて払った場合、あとで払い戻される(原則)
  • 3. 複数回の受診や世帯で複数人が同月に医療機関を受診した場合、1ヶ月単位で自己負担額を合算することができる
  • 4. 後からの払い戻しが原則だが、限度額適用認定証の交付を受け提示することで最初から支払い額を自己負担限度額までに留めることができる※
  • 5. 過去12ヶ月以内に3回以上自己負担上限額に達した場合、4回目から「多数回該当」となり自己負担上限額が引き下げられる

※先に手元の資金が減ってしまう問題や、書類申請の手間がなくなる。なおマイナ保険証が利用できる医療機関は限度額適用認定証がなくても同様の支払い免除が受けられる

2023-Mynumbercard

上記リンク先PDFのp10より

少子高齢化に伴う医療費増加が問題となっていることを考えれば、「余裕のある高齢者には自分で払ってもらおう」となるはず。少なくとも引き下げられることはないだろう

関連問題

  • 2021 選択100 (乾癬生物学的治療における医療費助成)

選択問題11:解答 3

アトピー性皮膚炎の重症度を示すEASIスコアの最高点は72点→3

EASI(eczema area and severity index)スコア

湿疹の面積と重症度を示すスコア

全身を頭部/頚・体幹・上肢・下肢の4箇所にわけ、皮膚所見(紅斑・浸潤/丘疹・掻破痕・苔癬化)の程度に応じて0〜3点でスコア化したものに病変面積に応じたスコアをかけて算出する

2023-EASIscore

参考文献 表3(p2706)より

皮疹スコアは4項目x3点で12点がMaxで、面積スコアは90-100%の6点がMaxなので、両者をかけ合わせた72点が最高点となる

とくにアトピー性皮膚炎の重症度評価に用いられ、EASIスコアが一定値以上であることが投与条件となる薬剤(生物学的製剤およびJAK阻害薬)がある

一般名 商品名 ターゲット EASIスコア
デュピルマブ デュピクセント® IL-4/13 16以上※
トラロキヌマブ アドトラーザ® IL-13
バリシチニブ オルミエント® JAK1/JAK2
ウパダシチニブ リンヴォック® JAK1
アブロシチニブ サイバインコ® JAK1
ネモリズマブ ミチーガ® IL-31RA 10以上

※顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する場合(目安として頭頚部のEASIスコア≧2.4)でも可

乾癬でも類似のPASI(psoriasis area and severity index)スコアが存在する。こちらは評価項目が紅斑・湿潤・落屑の3項目だが0〜4点までの5段階のため、合計点はEASI同様に72点

関連問題

選択問題12:解答 2

男性同士の性交渉後、発熱と肛囲・躯幹などに水疱形成をきたした男性

エムポックス(サル痘)の疑いがあるため、隔離および保健所への連絡が必要

エムポックス(サル痘)

ポックスウイルス科のサル痘ウイルスによる人獣共通感染症で、ヒトに感染すると天然痘様の症状(水疱や膿疱)を呈する

2023-Mpox

参考サイトより引用, 中心臍窩を伴う水疱

2022年9月以降エムポックス流行国への海外渡航歴のない症例が増加しており、"渡航歴なし"でも否定できない

2023年5月までの国内集計では下記のような特徴がある

  • 129例全例が男性で20〜40代が95%近い
  • HIV陽性例が64.2%
  • 症状は発疹(95.2%)・発熱(77.4%)・リンパ節腫脹(37.1%)など
  • 皮疹出現部位は肛門・性器が73%を占め、ほか口腔粘膜(30%)・躯幹四肢(55%)など→MSM*間での性交渉に伴う皮膚の直接接触が感染経路と推察されている
  • 皮疹数は64%で10個以下にとどまる

*MSM = men who have sex with men

診断には水疱内容物や痂皮を用いた遺伝子検査(PCR)やウイルス分離を行う。ただし薬事承認された診断方法はないため、確定診断のために行政検査による確定診断が必要(最寄りの保健所へ連絡)となる

治療・予防

天然痘ワクチンが約85%の予防効果があるとされ、治療でも天然痘に対して有効なテコビリマットやブリンシドフォビルが有効とされる

選択問題13:解答 1, 5

汗腺とくにエクリン腺とアポクリン腺の違いに関する出題

エクリン汗腺 アポクリン汗腺 比較

汗腺 エクリン腺 アポクリン腺
部位 掌蹠・腋窩・前頭部 外陰部・乳輪部・腋窩
開口部位 表皮に直接 毛孔部(脂腺上部)
関連ホルモン アセチルコリン 性ホルモン
分泌形式 開口分泌 断頭分泌
関連疾患 原発性局所性多汗症 腋臭症
  • 1. アポクリン汗管は毛包に開口する。エクリン腺は表皮に直接開口する
  • 2. "エクリン汗嚢腫"は発汗の多い夏季に目立ちやすい。汗管腫も臨床像は似るが季節変化はない
  • 3. 掌蹠におけるエクリン汗管はcrista profunda intermediaを貫通して"皮丘部"に開口する
  • 4. エクリン発汗は(通常はノルアドレナリンが神経伝達物質となる交感神経支配だが)コリン作動性。このため多汗症治療でも抗コリン作用を持つ薬剤(エクロック®ゲルなど)が使われる
  • 5. "アポクリン腺"は動物のフェロモンに相当し、性ホルモンにより調節される(∴腋臭症は思春期以降問題になる)。アドレナリンも関わる

関連問題

選択問題14:解答 2, 4, 5

KRT6A遺伝子変異を有し、先天性爪甲厚硬症と掌蹠角化症を伴う女児

Jadassohn-Lewandowsky型に該当し、毛孔性角化(follicular keratosis)や口腔粘膜白板症(leukoplakia)を合併する

  • 1. Deafness(難聴):魚鱗癬症候群の一つKID症候群ではkeratitis(角膜炎), ichthyosis(魚鱗癬), deafnessの3症状をきたし掌蹠角化を伴う
  • 2・4. 白板症・毛孔性角化:先天性爪甲厚硬症のJadassohn-Lewandowsky型で見られる合併症
  • 3. 葉状魚鱗癬(lamellar ichthyosis):常染色体劣性遺伝性魚鱗癬の一つで、トランスグルタミナーゼ1(TGM1)遺伝子変異が原因の場合が多い。分厚い板状鱗屑が特徴
  • 5. 掌蹠多汗症(palmoplantar hyperhidrosis):掌蹠角化症は多汗症や白癬を合併することが多い(本病型以外に長島型掌蹠角化症なども)→◯

関連問題

選択問題15:解答 2, 5

メラノーマに関する出題

  • 1. 本邦における抗PD-1抗体の効果は欧米と比較して低い。末端黒子型や粘膜型メラノーマの頻度が高いことが一因と考えられている
  • 2. 原発巣と転移巣でBRAF遺伝子変異の有無が異なる場合があることから、可能な場合は転移巣を検体として検査する
  • 3. 抗PD-1抗体からipi/nivo+ipiにスイッチした際の奏効率はそれぞれ16%/21%となっている→単剤ではなく併用療法への切り替えが望ましい
  • 4. 進行期の場合、ICI*同士である抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の2者併用を行うことがある(両者は作用点が異なり相乗効果が期待できる)。BRAF/MEK阻害薬とICIの併用は、BRAF/MEK阻害薬と比較してPFSに有意差が見られなかった(COMBI-i試験)
  • 5. ステージⅡB/ⅡC期のメラノーマに対するペムブロリズマブの術後補助化学療法は、プラセボと比較してRFSを有意に延長することが示された(KEYNOTE-716試験)ことから2022/9に追加承認された。ステージⅢA〜ⅢCにおいても同様(KEYNOTE-054試験)※

*ICI = 免疫チェックポイント阻害薬, ipi = イピリムマブ(ヤーボイ®), nivo = ニボルマブ(オプジーボ®), RFS = 無再発生存期間

※同じPD-1抗体製剤であるニボルマブの術後補助化学療法での適用はステージⅢB/C/Ⅳと微妙に異なる(CheckMate238試験)

ニボルマブはステージⅡB/ⅡCの術後補助化学療法として米FDAでは2023/10に承認されており(CheckMate-76K試験)、日本でも承認される可能性がある(ただしこの試験はCheckMate238と異なり日本人が含まれていない)

ガイドライン策定時(2019年)だとKEYNOTE-054試験の結果しか記載されていないので注意

選択肢5について。術後補助化学療法の保険適用は添付文書にも厳密に記載があるわけではないのだが、5. 効能又は効果に関連する注意にて「臨床試験に組み入れられた患者の病期等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。」と書かれているので、臨床成績に含まれている試験結果は適用範囲内と解釈した

選択問題16:解答 2, 3

腫瘍性細胞増殖に乏しいのは毛細血管奇形と海綿状血管腫→2, 3

脈管異常の分類 (ISSVA分類)

脈管異常疾患は「脈管性腫瘍」と「脈管奇形」に大きく分類される

  • 脈管性腫瘍:腫瘍性増殖ないし過形成の内皮細胞がみられる
  • 脈管奇形:脈管の異常な吻合がみられるが、内皮細胞増殖はみられない

脈管性腫瘍はさらに良性・局所浸潤/境界型・悪性に分けられ、脈管奇形は毛細血管奇形・静脈奇形などに分けられる

血管腫・血管奇形 疾患例
脈管性腫瘍 良性 いちご状血管腫(乳児血管腫)
房状血管腫
化膿性肉芽腫(毛細血管拡張性肉芽腫)
局所浸潤・境界型 カポジ肉腫様血管内皮細胞腫
カポジ肉腫
悪性 血管肉腫
脈管奇形 毛細血管奇形
(単純性血管腫)
Sturge-Weber症候群
Klippel-Trenaunay-Weber症候群
静脈奇形
(海綿状血管腫)
青色ゴムまり様母斑症候群
Maffucci症候群
動静脈奇形 脳動静脈奇形
  • 1. 乳児血管腫(いちご状血管腫):生後まもなく発症し、学童期までに消退する血管腫。従来経過観察されることが多かったが、瘢痕を残すこともあり近年はβブロッカーであるプロプラノロールが治療として用いられる頻度が増加している
  • 2. 毛細血管奇形(単純性血管腫):Sturge-Weber症候群などで見られることがある。乳児血管腫と異なり自然消退しないため、色素レーザー治療の対象となる
  • 3. 海綿状血管腫(静脈奇形):Maffucci症候群や青色ゴム乳首様母斑症候群で見られる
  • 4. Tufted angioma(房状血管腫):乳幼児に好発し、徐々に拡大する血管腫で圧痛を伴うことが多い
  • 5. カポジ肉腫様血管内皮細胞腫:局所増殖性の強い稀なタイプの血管腫

血管腫内の出血によってDICをきたすカサバッハ・メリット症候群は房状血管腫やカポジ肉腫様血管腫が原因となる

関連問題

選択問題17:解答 3

中間径フィラメントの先天的異常に起因する疾患は単純型表皮水疱症(ケラチン5/14)→3

中間径フィラメントは細胞骨格を構成するフィラメントで、下記が含まれる。ミオシン(太い)とアクチン(細い)の中間の太さであることからこのような名称となった

ケラチン 上皮細胞
デスミン 筋細胞
ビメンチン 結合組織細胞
GFAP グリア細胞

組織によって発現するフィラメントが異なることから、未分化悪性腫瘍の発生由来を同定する際などに免疫染色として利用される

ケラチンの発現部位については下記も参照

ケラチン 発現部位と先天性皮膚疾患 まとめ

続きを見る

  • 1. VEXAS症候群:骨髄前駆細胞内に存在するUBA1遺伝子の後天的変異が原因となり中高年以降で発症する(X染色体上の遺伝子であり男性が多い)自己炎症性疾患。皮膚では再発性多発軟骨炎やSweet病に類似した臨床像をきたす
  • 2. 神経線維腫症1型:がん抑制遺伝子であるNF1遺伝子(遺伝子産物はニューロ"フィブロミン")が原因。ADだが孤発例も多い
  • 3. 単純型表皮水疱症:表皮基底細胞に発現するケラチン5/14変異が原因(AD)。K5/14はトノフィラメントとも呼ばれる
  • 4. Hailey-Hailey病:CaポンプをコードするATP2C1遺伝子変異が原因(AD)。ハプロ不全をきたす疾患であり、遺伝性疾患だが思春期以降の発症となる※
  • 5. 弾性線維性仮性黄色腫:膜輸送蛋白をコードするABCC6遺伝子が原因(AR)。皮膚症状は幼少期から見られるが、自覚症状がないため通常思春期以降に気づかれる

*AD = 常染色体優性(顕性)遺伝, AR = 常染色体劣性(潜性)遺伝

※類縁疾患のDarier病もCaポンプをコードするATP2A2遺伝子変異が原因となり臨床像が類似する

関連問題

ケラチンの発現部位を問う疾患は複数あり、上記カード内の記事参照

選択問題18:解答 4

制御性T細胞(Treg)を特徴づける転写因子はFoxp3→4

Foxp3はCTLA-4の発現をコントロールしている

Th細胞はそれぞれマスター転写因子が存在する

Th細胞 マスター転写因子
Th1 T-bet
Th2 GATA3
Th17 RORγT
Th22 AHR
Treg Foxp3
  • 1. GATA-3:Th2細胞への分化に重要な転写因子
  • 2. T-bet:Th1細胞への分化に重要な転写因子
  • 3. STAT6:IL-4によって活性化され、Th2細胞への分化へ関与する
  • 4. Foxp3:Tregの発生・分化において必須であり、特異的な分子マーカー
  • 5. RORγ-t:乾癬の病態に強く関与するTh17細胞の主要制御因子

選択問題19:解答 5

Pasini-PIerini型進行性特発性皮膚萎縮症は"体幹(背部)"に好発する→5

  • 1. 先天性皮膚欠損症は頭部に好発し、欠損が深いと皮下組織〜骨まで達することもある
  • 2. 伸展性皮膚線条は下腹部〜乳房の妊娠性線条が有名だが、殿部や大腿外側も好発部位の一つ。Cushing症候群やステロイド長期投与でみられる皮膚症状でもある
  • 3. 長期の日光暴露による老化現象として、項部に菱形の深い皺が生じることがある(項部菱形皮膚)
  • 4. 脳回転状皮膚の発毛は隆起部(gyri)で疎、深溝部(sulci)で正常となる。肥厚性皮膚骨膜症の一症状として知られる
  • 5. Pasini-Pierini型進行性特発性皮膚萎縮症は思春期以降に、褐色調で直径数cmの皮膚萎縮が体幹などに生じる。顔面片側性萎縮症(Parry-Romberg症候群)は三叉神経領域の片側に生じる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p337(2・5)/342(1)/338(3)/358(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第11版 p484(2・5)/502(1)/486(3)/503(4)/488(5)

関連問題

選択問題20:解答 4

高齢女性で「在宅寝たきり患者処置指導管理料」を算定している

この場合でも同時に算定できる処置は重度褥瘡処置→4

C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料 1,050点

在宅における創傷処置等の処置を行っている入院中以外の患者であって、現に寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものに対して、当該処置に関する指導管理を行った場合に算定する

下記の項目は同時算定できない(一部抜粋)

  • J000 創傷処置
  • J001-7 爪甲除去(麻酔を要しないもの)
  • J053 皮膚科軟膏処置
  • J043-3 ストーマ処置
  • J018 喀痰吸引
  • 1. 爪甲除去(J001-7):通常は60点
  • 2. 創傷処置(J000):点数によって面積は異なるが、C109と同時算定できない
  • 3. ストーマ処置(J043-3):通常は70点(ストーマ1個の場合)で入院中の患者以外の患者に対して算定可能
  • 4. 重度褥瘡処置(J001-4):皮下組織以遠に至る褥瘡(DESIGN-R2020分類D3, D4, D5)に対して算定可能。C109と同時算定可能な処置の一つ
  • 5. 皮膚科軟膏処置(J053):点数は面積によって異なるが、C109と同時算定できない。また(「在宅寝たきり患者処置指導管理料」の有無を問わず)100平方cm未満の場合は基本診察料に含まれ算定できない

なお重度褥瘡処置はもともとd2以上が対象だったが、2022/6/15の厚生労働省通知でD3, D4, D5に変更されている。DTIやDUは対象外

選択問題21:解答 5

中高年女性でレイノー現象や手指の皮膚硬化を認め、抗セントロメア抗体陽性から限局皮膚硬化型全身性強皮症(lcSSc)を考える

合併しやすい皮膚症状は毛細血管拡張→5

全身性強皮症(SSc) 病型分類

全身性強皮症は大きく2つに分類される

全身性強皮症の分類 びまん皮膚硬化型
(dcSSc)
限局皮膚硬化型
(lcSSc)
皮膚硬化範囲 肘より近位 肘より末梢(遠位)のみ
Raynaud現象と皮膚硬化 皮膚硬化が先行 or ほぼ同時 Raynaud現象が先行
病勢進行(皮膚・内臓) 比較的急速 緩徐なことが多い
陽性となりやすい抗核抗体
(自己抗体)
抗トポイソメラーゼⅠ抗体
(抗Scl-70抗体)
抗セントロメア抗体
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体*
爪上皮内出血点 進行期には消失 多数
石灰沈着 まれ 多い

*悪性腫瘍腎クリーゼの合併が多く、また男性に多い

「限局性強皮症」は皮膚硬化のみが生じる(全身症状を伴わない)もので、lcSScとは異なる。代表例は線状強皮症やモルフェア

CREST症候群もlcSScに含まれ、本例はこれに該当する

CREST症候群 英語 日本語
C calcinosis 皮下石灰沈着
R Raynaud(レイノー)現象
E esophageal dysmotility 食道蠕動低下(逆流性食道炎)
S sclerodactylia 指の皮膚硬化, 強指症
T teleangiectasis 毛細血管拡張

lcSScの毛細血管拡張ではOsler病に類似したROW型をきたす

関連問題

選択問題22:解答 1

成人熱傷において、輸液治療開始の目安として推奨される熱傷面積(TBSA:total body surface area)は15%→1

熱傷 初期輸液

輸液開始の目安

  • 小児:受傷面積>10%
  • 成人:受傷面積>15%

輸液量の目安:Baxter法(Parkland法)

24時間の総輸液量(mL) = 4 (mL) × 受傷面積*(%) × 体重 (kg)

*Ⅱ度+Ⅲ度熱傷でⅠ度熱傷は含まない

+小児では維持輸液を併用する

最初の8時間で総輸液量の50%を、次の16時間に残りの50%を投与する。

輸液には乳酸リンゲル液を用いる

関連問題

選択問題23:解答 5

日光角化症に関する出題

手背に対するイミキモド外用は保険適用外→5

イミキモドについては下記も参照

230211-imiquimod-beselna
イミキモド(ベセルナ®)クリーム まとめ

続きを見る

関連問題

イミキモドについては複数問題あり上記カード内の記事も参照

選択問題24:解答 3

膿疱性乾癬に関する出題

血清アルブミンは重症度判定項目に含まれる→3

膿疱性乾癬 重症度分類

皮膚症状と全身症状・検査所見で評価される

皮膚症状 高度(3) 中等度(2) 軽度(1)
紅斑面積 75%< 25〜75% <25%
膿疱を伴う紅斑面積 50%< 10〜50% <10%
浮腫の面積
スコア 2 1 0
発熱(℃) 38.5< 37〜38.5 <37
白血球数(/μL) 15,000< 10,000〜15,000 <10,000
CRP(mg/dL) 7.0< 0.3〜7.0 <0.3
血清アルブミン(g/dL) <3.0 3.0〜3.8 >3.8

合計点数によって軽症(0〜6点)/中等症(7〜10点)/重症(11〜17点)に分類

  • 1. 尋常性乾癬に利用される生物学的製剤11種類のうち、IL-12/23p40抗体製剤ウステキヌマブ(ステラーラ®)とIL-23p19抗体製剤チルドラキズマブ(イルミア®)のみ膿疱性乾癬に対する保険適用がない※
  • 2. ABCA12遺伝子は層板顆粒からの角質細胞間脂質分泌に重要な酵素をコードしており、遺伝子変異は道化師様魚鱗癬の原因となる。膿疱性乾癬と関連が深い遺伝子にIL36RNCARD14がある*
  • 3. 血清アルブミンの他、発熱・白血球・CRPが重症度判定に必要
  • 4. 抗IL-36受容体抗体製剤であるスペソリマブ(スペビゴ)は「膿疱性乾癬における急性症状の改善」に保険適用があるが、投与経路は"静注"であり(他の生物学的製剤に多い)皮下注ではない
  • 5. 妊婦(疱疹状膿痂疹)に対する治療として、副腎皮質ステロイドやシクロスポリンは推奨度C1と高い。シクロスポリンはもともと妊婦禁忌であったが見直しに伴い禁忌が外された(2018年8月)

※尋常性乾癬に対する生物学的製剤は、2024年現在11種類が利用されている

ターゲット 一般名 製品名
TNF-α インフリキシマブ レミケード®
アダリムマブ ヒュミラ®
セルトリズマブ ペゴル シムジア®
IL-12/23p40 ウステキヌマブ ステラーラ®
IL-17A セクキヌマブ コセンティクス®
イキセキズマブ トルツ®
IL-17RA ブロダルマブ ルミセフ®
IL-17A/F ビメキズマブ ビンゼレックス®
IL-23p19 グセルクマブ トレムフィア®
リサンキズマブ スキリージ®
チルドラキズマブ イルミア®

*尋常性乾癬が先行する場合はIL36RNの、先行しない場合はCARD14の遺伝子変異/多型が関連する

関連問題

選択問題25:解答 4

13歳女性のアトピー性皮膚炎患者(IGA3, EASI11.6, かゆみスコア4, かゆみNRS9)に対して使用可能な薬剤を問う問題

かゆみスコアが高いためネモリズマブ(ミチーガ®)が投与可能→4

アトピー性皮膚炎 生物学的製剤 JAK阻害薬

アトピー性皮膚炎の病態に関与するTh2サイトカイン、IL-4, IL-13, IL-31などをターゲットとした生物学的製剤やJAK阻害薬が保険適用となっている

これらの薬剤投与にあたっては、EASIスコアやかゆみスコアなど一定基準を満たす必要がある

一般名 商品名 ターゲット EASIスコア
デュピルマブ デュピクセント® IL-4/13 16以上※
トラロキヌマブ アドトラーザ® IL-13
バリシチニブ オルミエント® JAK1/JAK2
ウパダシチニブ リンヴォック® JAK1
アブロシチニブ サイバインコ® JAK1
ネモリズマブ ミチーガ® IL-31RA 10以上*

※顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する場合(目安として頭頚部のEASIスコア≧2.4)でも可。その他下記の基準を満たす必要がある

  • IGAスコア≧3
  • 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変≧10%

*ネモリズマブはEASIスコア以外に下記の基準を満たす必要がある

  • そう痒VAS≧50 or そう痒NRS≧5
  • かゆみスコア≧3

アトピー性皮膚炎の病態等は下記も参照

230109-atopicdermatitis-biologics-jakinhibitor
アトピー性皮膚炎 サイトカインと生物学的製剤、JAK阻害薬について

続きを見る

  • 1. シクロスポリン(ネオーラル®):16歳以上でかつ皮疹面積>30%の場合が対象。以前は先発品のみ保険適用だったが現在は後発品も利用可能
  • 2. ウパダシチニブ:12歳〜利用可能だがEASIスコアから非該当
  • 3. デュピルマブ:もともと成人(15歳〜)のみの適用だったが、現在は生後6ヶ月〜利用可能となっている(2023/9より)。EASIスコアから非該当
  • 4. ネモリズマブ:13歳〜利用可能で、EASI≧10点と他薬剤より基準が低い
  • 5. バリシチニブ:成人のみの適用

本例のEASIスコアではネモリズマブ以外の薬剤は投与対象外となる("頭頚部以外で皮疹が持続"しているので頭頚部EASI>2.4も該当しない)。シクロスポリン・バリシチニブは年齢からも不可

関連問題

ADに対する生物学的製剤/JAK阻害薬内服は近年頻出。関連問題は上記カード内の記事参照

選択問題26:解答 2, 5

アゾール系抗真菌薬(イミダゾール系/トリアゾール系)は真菌細胞膜特有のエルゴステロール合成を阻害することで作用する→2, 5

抗真菌薬 作用機序

真菌特有の構造である細胞壁(β-Dグルカン)や、細胞膜(エルゴステロール)の合成を阻害する薬剤が用いられる

→ヒト正常細胞への影響が少ない(ヒトの脂質二重膜はコレステロール)

抗真菌薬 一般名 商品名 薬理機序
ポリエン系 (リポソーム)アムホテリシンB ファンギゾン®
アムビゾーム®
エルゴステロールに結合して細胞膜を破壊
アゾール系 フルコナゾール ジフルカン® エルゴステロール合成過程を阻害
ミコナゾール フロリード®
イトラコナゾール イトリゾール®
ボリコナゾール ブイフェンド®
ピリミジン系 フルシトシン(5-FC) アンコチル® 核酸合成阻害※
キャンディン系 ミカファンギン ファンガード® 細胞壁のβ-D-グルカン合成阻害

※真菌内で5-FUに変換される

  • 1. DNA合成阻害:ピリミジン系の作用機序
  • 2・5. 細胞膜・エルゴステロールの合成阻害:アゾール系の作用機序
  • 3. 細胞壁の合成阻害:キャンディン系の作用機序

関連問題

  • 2022 記述12 / 2011 選択85 (β-Dグルカンと上昇疾患)

選択問題27:解答 1, 2, 5

TARCが高値となる疾患について問う問題

TARC(Thymus and activation-regulated chemokine)

Th2細胞特異的に発現しているケモカイン受容体CCR4のリガンドであり、Th2細胞遊走に関わる

アレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎(病勢マーカーとして利用される)や気管支喘息の他、T細胞が活性化する腫瘍性病変やDIHSでも高値となる

健常成人での基準値は450pg/mL以下

  • 1. 菌状息肉症:皮膚T細胞リンパ腫であり、とくに進行した腫瘤期ではTARC高値となる
  • 2. 丘疹紅皮症(太藤):10症例の報告でTARCが高値を示す(7,526pg/mL以上)ことが報告されており、デュピルマブ(デュピクセント®)が有効という症例報告もある。また丘疹紅皮症自体が悪性リンパ腫のデルマドロームとなることがある
  • 3. 毛孔性紅色粃糠疹:TARC値が病勢を反映するという報告もあるが、893pg/mLと中程度の上昇
  • 4・5. 中毒性表皮壊死症(TEN)・薬剤性過敏症症候群(DIHS):TARCはTENやStevens-Johnson症候群では中等度の上昇(2,000pg/mL)を示す
    一方臨床像が似ることのあるDIHSでは著増(20,000pg/mL以上)するため、鑑別に用いられる

菌状息肉症では再発/難治例の治療として、TARCの受容体CCR4に対する抗体製剤であるモガムリズマブ(ポテリジオ®)が用いられる

毛孔性紅色粃糠疹は論文内で「TARC値が治療とともに改善したため病勢の指標となる」と主張されているが、その他疾患と比べて相対的に低いため間違い選択肢と考えられる

関連問題

選択問題28:解答 1, 5

掌蹠に無菌性膿疱を生じる疾患を問う問題

疥癬や好酸球性膿疱性毛包炎がある→1, 5

関連問題

選択問題29:解答 4

左下眼瞼内側を中心に発赤・腫脹があり、抗生剤投与で改善せず切開排膿後の洗浄で改善した症例。CTでは左眼周囲に高吸収域が見られる

急性涙嚢炎を考える→4

2023-dacryocystitis

医師国家試験106D58より

  • 1. 顔面外傷:病歴と合致しない
  • 2・5. 丹毒・蜂窩織炎:真皮〜皮下組織レベルでの皮膚細菌感染症だが、抗生剤で反応がみられることから否定的
  • 3. 副鼻腔炎:眼部に近い上顎洞がCTでみられる(深部)が、異常所見はない。上顎洞の正常CTと急性副鼻腔炎CTは下記参照
  • 4. 涙嚢炎:下眼瞼内側の部位や切開排膿による改善から最も考えやすい

「蜂窩織炎で皮下膿瘍を形成した」というパターンも考えられなくはないが、部位からは涙嚢炎が妥当と思われる

選択問題30:解答 2

2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典氏の業績はオートファジー機構の解明→2

日本人ノーベル賞受賞者 業績(医学・生理学賞)

2023年現在、日本人のノーベル医学・生理学賞受賞者は5名

氏名 業績 受賞年
本庶 佑 ニボルマブ(オプジーボ®)
免疫チェックポイント阻害薬
2018
大隅 良典 オートファジー機構の解明 2016
大村 智 イベルメクチン(ストロメクトール®)
線虫(寄生虫)治療薬
2015
山中 伸弥 iPS細胞 2012
利根川 進 抗体多様性の原理 1987
  • 1. ゲノム編集の手法の開発:2020年ノーベル化学賞受賞(エマニュエル・シャルパンティエ, ジェニファー・ダウドナ)
  • 2. 自食作用機能のメカニズム解明:2016年ノーベル医学生理学賞受賞(大隅良典)
  • 3. 免疫チェックポイント阻害機構の発見:2018年ノーベル医学生理学賞受賞(本庶佑, 抗PD-1抗体)。抗CTLA-4抗体のジェームズ・アリソンも同時受賞
  • 4. 成熟細胞のリプログラミングによる多能性の獲得(iPS細胞):2012年ノーベル医学生理学賞受賞(山中伸弥)
  • 5. 樹状細胞ならびに獲得免疫におけるその役割の発見:2011年ノーベル医学生理学賞受賞(Ralph M. steinman)

ちなみに「大隅良典」の読みは"おおすみ"よしのりで、問題文の記載(おおくま)は誤っている

関連問題

選択問題31〜は下記

2023-specialist-2
令和5(2023)年度 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

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