皮膚科 皮膚科専門医試験対策

令和2年度(2020年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

2022年3月12日

2020-Specialist-3

日本皮膚科学会 皮膚科専門医試験 令和2(2020)年度解答解説を作成しました

見出しから各問題へ飛べます

誤字脱字ご意見などあればコメント・右のフォーム・Twitterなどでご連絡ください

  • 問題出典:試験問題(過去問題) |公益社団法人日本皮膚科学会 (問題・写真はリンク先で確認下さい)
  • 参考文献:あたらしい皮膚科学 第3版、皮膚科学(マイナー) 第10版、ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版でカッコ内は選択肢番号、その他は問題末に各自記載
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※本記事で参考にしたのは皮膚科学 第10版ですが、11版が出ているので上記リンクは新版です

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2020年度の選択問題31〜60は下記

2020-Specialist-2v2
令和2年度(2020年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題31〜60

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令和2年度(2020年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題61〜90

選択問題61:解答 4

Gaucher病で長期間経腸栄養を行なっている女児に見られた爪の白色変化

経腸栄養では微量元素欠乏症が生じやすく、セレン欠乏症による爪甲変化を考える→4

  • 1. 銅:メラニン合成に関与するため、先天性銅欠乏症であるMenkes病では皮膚の色素減少やkinky hairと呼ばれる白く折れやすい毛髪がみられる
  • 2. 鉄:欠乏症では、匙状爪や舌炎・口角炎(プランマー・ビンソン症候群)がみられる
  • 3. 亜鉛:欠乏症では四肢末端・外陰部の紅斑びらん(肢端皮膚炎)やBeau's lineと呼ばれる爪の横線がみられる
  • 4. セレン:欠乏症では、爪床の白色変化がみられる
  • 5. ベリリウム:微量元素ではない。肺毒性が強いことが知られる

関連2019 選択70 (亜鉛欠乏症と爪症状)

選択問題62:解答 4

図19ではBlaschko線に沿った低色素斑がみられる

経過中水疱が見られないことや好酸球増多を伴わないことから、色素失調症は否定的で伊藤白斑(hypomelanosis of Ito)を考える

合併症上に精神発達遅滞がある→4

伊藤白斑(hypomelanosis of Ito)

染色体異常や遺伝子変異の体細胞モザイクにより、Blaschko線に沿った色素異常と神経、筋・骨格系の異常をきたす疾患群の総称

間別疾患となる色素失調症も、最終的にはBlaschko線に沿った脱色素斑をきたすがその前に水疱期や色素沈着期が見られるという特徴がある。詳細は下記

230103-incontinentia-pigmenti
色素失調症 (Bloch-Sulzberger症候群) まとめ

続きを見る

伊藤白斑 色素失調症
皮疹分布 Blaschko線に沿った皮疹をきたす
合併症 てんかんや精神発達遅滞、歯牙異常
皮疹 白斑・低色素斑 成長に伴って水疱*→疣状→色素沈着→色素消退
遺伝形式 通常なし X連鎖優性(顕性)

*水疱内は好酸球充満が見られ、末梢血中でも好酸球が増多する

  • 1. 断裂毛:円形脱毛症やトリコチロマニアでみられる、不規則に断裂した短い毛
  • 2. 羞明・眼振:色素失調症では眼症状(網膜剥離など)を30%に合併する
  • 3. 光線過敏症:種痘様水疱症(EBウイルス関連疾患)や骨髄性プロトポルフィリン症は小児で光線過敏症をきたす
  • 4. 伊藤白斑・色素失調症はともに精神発達遅滞を生じ得る
  • 5. 内臓悪性腫瘍:Leser-Trélat症候抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎でみられる

関連問題

選択問題63:解答 1, 5

単純性血管腫と海綿状血管腫(静脈奇形)を区別する

海綿状血管腫をきたすのはMaffucci症候群や青色ゴム乳首様母斑症候群→1, 5

血管腫と血管奇形

血管腫・血管奇形 定義 疾患例
血管腫 血管内皮を伴う血管増生 いちご状血管腫
毛細血管奇形
(単純性血管腫)
血管内皮細胞の増殖がなく、毛細血管が増加 Sturge-Weber症候群
Klippel-Trenaunay-Weber症候群
静脈奇形
(海綿状血管腫)
皮膚のやや深部で静脈成分が増殖、腫瘤化 青色ゴムまり様母斑症候群
Maffucci症候群
動静脈奇形 動脈が毛細血管を経ることなく静脈へ繋がる 脳動静脈奇形

血管奇形と呼んだ場合増殖はあるものの腫瘍性病変ではなく、血管"腫"が腫瘍性増殖。血管腫が悪性化をきたしたものが血管肉腫

  • 1. Maffucci症候群:先天性中胚葉形成不全により、静脈奇形(海綿状血管腫)と内軟骨腫をきたす
  • 2. Sturge-Weber症候群:顔面単純性血管腫(三叉神経第1枝領域)・眼部脈絡膜血管腫による牛眼・対側のてんかん発作を生じる神経皮膚症候群の一つ
  • 3. von Hippel-Lindau症候群:VHL遺伝子変異により脳や網膜の血管芽腫、腎細胞癌をきたす常染色体優性遺伝疾患だが、皮膚病変は少ない
    (頭頚部に単純性血管腫が見られることがある)
  • 4. Osler-Rendu-Weber症候群(Osler病):TGF-β受容体遺伝子であるENGACVRL1の変異により、全身で毛細血管拡張症をきたす常染色体優性遺伝疾患
  • 5. 青色ゴム乳首様母斑症候群:皮膚や消化管で静脈奇形(海綿状血管腫)をきたす常染色体優性遺伝疾患
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p422/405(1)/400(2)/404(4・5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p556(1)/552(2)/551(3)/554〜555(4・5)

関連問題

選択問題64:解答 1

高齢男性で体幹部に浸潤性紅斑がみられ、組織での表皮内への異型リンパ球浸潤(ポートリエ微小膿瘍)、可溶性IL-2R高値からリンパ腫であることが示唆される

浸潤細胞はCD4(+), CD8(-), CD20(-), CD25(+), CD30(-), CD56(-)であり皮膚T細胞系リンパ腫、とくに末梢血中でみられる花弁状の核というキーワードから成人T細胞白血病/リンパ腫を最も考える→1

  • 1. 成人T細胞白血病/リンパ腫(Adult T cell leukemia/lymphoma):HTLV-1感染が原因となりCD4陽性T細胞が腫瘍性増殖をきたす疾患。緩徐進行の慢性型や急性型(本症例)がある
  • 2. 未分化大細胞リンパ腫(Anaplastic large cell lymphoma):単発性の結節をきたし、リンパ腫様丘疹症とともに原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症として扱われるT細胞系リンパ腫
  • 3. びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(Diffuse large B cell lymphoma):皮膚では高齢者の下肢に好発するB細胞系リンパ腫で、CD20(+)となる
  • 4. 菌状息肉症(Mycosis fungoides):最も頻度の高い皮膚T細胞リンパ腫でCD4(+)だが、一般に数年〜数十年と慢性の経過を取ることから本例では否定的
  • 5. NK細胞リンパ腫:鼻咽頭周囲で生じるリンパ腫で、EBウイルスとの関連が指摘されている。CD56(+)となる
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p473(1)/475(2)/479(3)/468(4)/476(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p681(1)/679(2)/689(3)/672(4)/686(5)

関連問題

選択問題65:解答 1, 5

ベキサロテンで高頻度に見られる副作用を問う問題

ベキサロテン(タルグレチン®)はレチノイド(ビタミンA類縁化合物)の一種で、菌状息肉症などの皮膚T細胞リンパ腫治療で用いられる

強い催奇形性がある他、16例を対象とした試験での有害事象のうち高頻度なものに甲状腺機能低下症(93.8%)・高コレステロール血症(81.3%)がある→1, 5

なお同じくレチノイドであるエトレチナート(チガソン®)でも口唇炎・落屑の他、肝機能障害・脂質異常症の副作用をきたすことがある

  • 1. 高脂血症:高コレステロール血症が81.3%(13/16例)でみられた
  • 2. 肝機能障害:12.5%(2/16例)でみられた副作用
  • 3. 腎機能障害:10%未満
  • 4. 白血球減少症:白血球・好中球および血小板は各31.3%(5/16例)
  • 5. 甲状腺機能低下症:93.8%(15/16例)でみられた

関連2017 選択73 (菌状息肉症に用いる薬剤)

選択問題66:解答 4

悪性黒色腫に関する一般問題

Tumor thicknessは顆粒層上層〜腫瘍最深部までの距離を示す→4

  • 1. ABCDE基準のAはAsymmetry(不規則形)でありatypia(異型性)ではない
  • 2. in situ病変(Tis)やT1a病変(Tumor Thickness<0.8mmかつ潰瘍なし)まではセンチネルリンパ節転移率が低く、推奨されていない。
  • 3. 悪性黒色腫の免疫染色では、HMB-45・Melan-A・S-100(上記は細胞質で陽性)の他、近年は感度・特異度に優れるSOX10(核に陽性)も用いられる
    CD45はリンパ球形細胞で陽性となる
  • 4. Tumor thicknessは顆粒層上層〜腫瘍最深部までの距離で、潰瘍の場合は潰瘍底から測定する
  • 5. ダブラフェニブ(タフィンラー®)・トラメチニブ(メキニスト®)併用療法はBRAF遺伝子変異陽性例に対し、術後補助療法として12ヶ月まで投与可能。
    エンコラフェニブ(ビラフトビ®)・ビニメチニブ(メクトビ®)は術後補助療法に保険適用なし

悪性黒色腫(メラノーマ)のABCDE基準

  • A:Asymmetry (不規則形)
  • B:borderline irregularity (境界不鮮明)
  • C:Color variegation (色調多彩)
  • D:Diameter enlargement (拡大傾向 直径6mm以上)
  • E:Evolution (性状の変化)

関連問題

選択問題67:解答 1

乳児血管腫の治療に関する一般問題

βブロッカーであるプロプラノロール内服が用いられる。αブロッカーは高血圧や前立腺肥大症治療で用いられる→1

  • 1. "β"ブロッカーであるプロプラノロール※(ヘマンジオル®)内服が用いられ、眼部など機能障害が懸念される症例では第一選択となる
  • 4.経過観察:数年で自然消退するため、機能異常や整容面で問題がなければwait and see policyをとる
  • 2・3・5. その他積極的治療として、手術療法・色素レーザー・ステロイドの内服/局注等が行われる

※もともとは閉塞性肥大型心筋症の治療として使用したところ、苺状血管腫が著明に改善し効能が発見された

関連問題

  • 2022 選択41 (臨床問題)
  • 2019 記述14 (ヘマンジオルの副作用)
  • 2010 選択38 (レーザーの種類と対象疾患)

選択問題68:解答 3

右側頭部を中心に暗赤色斑と出血を伴う隆起性結節がみられ、血管肉腫を疑う

胸部CTでは胸膜転移を疑う所見および胸水貯留がみられる

遠隔転移を伴う状態であり、パクリタキセル(PTX)投与が第一選択となる→3

その他、胸膜癒着術も考慮される

  • 1. 外科的切除:早期の単発病変では外科的切除が行われるが、遠隔転移を伴っている場合の適用は乏しい
  • 2. 放射線療法:外科的切除の後(局所再発予防)や、症状緩和目的で施行される。PTXとの併用で放射線感受性が増大するとされる
  • 3. 化学療法:遠隔転移を伴う場合に行われ、PTXが1st lineとなる
  • 4. IL-2点滴:早期斑状病変において、外科的切除と"併用して"行われることがある。単体投与は行わない
  • 5. IFN-β局所注射:悪性黒色腫の術後補助療法として用いられることがある

血管肉腫における化学療法

  • 1st line:PTX(パクリタキセル)
  • 2nd line:DTX(ドセタキセル)となることが多かったが、近年はエリブリン(ハラヴェン®)・パゾパニブ(ヴォトリエント®)も使われる

関連問題

選択問題69:解答 5

自然消退傾向のみられない疾患を問う問題

ポートワイン母斑(単純性血管腫)は自然消退しない→5

  • 1. 蒙古斑:仙骨部や臀部で乳児期はほぼ100%にみられるが、小児期に消失する。顔面や四肢に生じる異所性蒙古斑は自然消退しづらい
  • 2. 色素失調症:NEMO遺伝子変異によるX連鎖優性遺伝疾患で、Blaschko線に沿った紅斑・水疱→丘疹→渦巻状色素沈着→小児期に消退(一部脱色素性瘢痕に)という特徴的経過を取る
  • 3. 乳児血管腫(苺状血管腫):学童期までに自然消退するため、wait and see policyの方針がとられる場合がある
  • 4. 先天性血管拡張性大理石様皮斑出生時よりリベドをきたす疾患で、生後2年以内にほとんどが消退する。中枢神経や眼奇形を伴いやすい
  • 5. 単純性血管腫:毛細血管の増生により生じ、消退せず加齢に伴い色調がやや濃くなるためレーザー治療の適応※
    Sturge-Weber症候群やKlippel-Trenaunay-Weber症候群の症状である場合あり

※単純性血管腫のうち、正中部に生じるものをサーモンパッチ(正中部母斑)と呼ぶ。サーモンパッチは2歳ごろまでに大部分が自然消退するが、この中で項部に生じるUnna母斑は消退しづらい。混同しないよう注意

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p383(1)/398(2)/421(3)/405(4)/427(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p539(1)/561(2)/647(3)/553(4)

関連問題

  • 2017 選択73 / 2012 選択62 (先天性血管拡張性大理石様皮斑は自然消退)
  • 2009 選択67 (2年以内に自然消退するもの)

選択問題70:解答 1, 4

Mycosis fungoides(MF, 菌状息肉症)の亜型を問う問題

菌状息肉症の亜型・関連疾患

毛包向性菌状息肉症
(follicular mycosis fungoides)
・亜型

表皮よりも毛包上皮への腫瘍細胞浸潤が目立つ型

Paget病様細網症
(pagetoid reticulosis)
・亜型

表皮向性が強く、Paget細胞様リンパ球がみられる

肉芽腫様弛緩皮膚
(Granulomatous slack skin)
・亜型

大きな局面を形成し、腋窩や鼠径部で皮膚が弛緩する

毛包性ムチン沈着症 ・MF合併例がある

毛包変性と周囲のムチン沈着がみられる

局面状類乾癬 ・10〜30%の割合でMFへ移行する

乾癬類似の角化性紅斑がみられる

 

  • 1. 肉芽腫様弛緩皮膚:MFの亜型
  • 2. Multicentric reticulohistiocytosis(多中心性細網組織球症):組織球系腫瘍で、関節リウマチ類似の多発性関節炎を伴う
  • 3. Lymphomatoid papulosis(リンパ腫様丘疹症):未分化大細胞リンパ腫とともに原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症の一つ。痂皮を伴う新旧の褐色丘疹が多発するが、臨床的には良性経過をとる
  • 4. Paget病様細網症:MFの亜型
  • 5. Sézary syndrome:原発性皮膚T細胞系リンパ腫で、紅皮症や掻痒を伴う
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p469(1・4)/437(2)/476(3)/471(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p677〜678(1・4)/661(2)/679(3)/678(5)

関連問題

選択問題71:解答 4

神経線維腫の組織では、腫瘍細胞間に肥満細胞浸潤がみられる→4

神経線維腫

シュワン細胞由来の良性腫瘍

組織学的に紡錘形の腫瘍細胞増殖と膠原線維錯綜、粘液性の間質や肥満細胞浸潤がみられる。免疫染色では腫瘍細胞がS-100陽性となり、CD34も一部で陽性となる

2020-Neurofibroma

病理コア画像より引用

関連2016年度 選択問題62(同一問題)

選択問題72:解答 2, 4, 5

脱色素性母斑に関する一般問題

脱色素性母斑(白斑性母斑)

先天的に皮膚の一部でメラノサイトの機能低下が生じ、不完全脱色素斑(周囲との境界が不明瞭)をきたす疾患。大きさや数は生涯変化しない

メラノサイトの数は正常だが、内部のメラノソームは未熟で数も減少している

同じく先天性白斑をきたし鑑別疾患となるまだら症ではメラノサイト遊走障害から、メラノサイト数が減少する

  • 1. メラノサイト数は不変
  • 2. 白斑部の大きさや形状は生涯変化しない
  • 3・4. メラノソームは未熟で数も減少するため、ケラチノサイトへの転送が低下する
  • 5. 出生時から存在し、不完全脱色素斑を示す
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p308
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p538

関連問題

選択問題73:解答 3, 5

女児で手掌・足底・口唇に色素斑を認める

母斑症の中で色素沈着をきたす疾患、Laugier-Hunziker-Baran症候群やPetutz-Jeghers症候群を考える→3, 5

  • 1. Addison病:副腎皮質機能の低下に伴い下垂体からのACTH/MSH分泌が亢進し、全身で色素沈着をきたす疾患
  • 2. Klippel-Weber症候群:四肢で単純性血管腫や海綿状血管腫が生じ、患側腫大や脚長差をきたす疾患
  • 3. Laugier-Hunziker-Baran症候群:Peutz-Jeghers症候群類似の色素斑が四肢末端や口唇で生じるが、消化管ポリポーシスを伴わない疾患
  • 4. Leopard症候群:多発性黒子(Lentigines)やカフェオレ斑、その他諸症状の頭文字を取った症候群で、RAS/MAPK経路異常に伴うRASopathyの一つ
  • 5. Peutz-Jeghers症候群:口唇や四肢末端の色素斑と、消化管ポリポーシスを生じる常染色体優性遺伝疾患。
    消化管ポリポーシスは腸重積や悪性化をきたしえる

色素斑をきたす母斑症

遺伝 消化管ポリポーシス 皮膚病変
Peutz-Jeghers症候群 常染色体優性遺伝
(半数は孤発例)
+ 出生時〜幼児期からみられる
Cronkhite-Canada症候群 - + 中年期以降に発症

脱毛や脱色素斑、爪甲異常を伴う

Laugier-Hunziker-Baran症候群 - - 中年期発症が多い
(小児例も報告あり)
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p312(1)/401(2)/396(3・5)/402(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p505(1)/552(2)/557〜558(3・5)/563(4)

関連問題

選択問題74:解答 4

背部に大型の角化性紅斑が多発し、組織学的に不全角化・角層直下の膿瘍(マンロー微小膿瘍)、表皮突起の延長がみられ尋常性乾癬の診断

本問ではダーモスコピー所見と組織像との対比が問われている

図23bでの矢印部は拡張した毛細血管(小点状血管 dotted vessels)に該当し、組織学的には真皮乳頭部の毛細血管(④)に相当する→4

  • ①:白色の落屑に該当する(不全角化)
  • ②:マンロー微小膿瘍(角層〜角層直下の好中球集簇)
  • ③:顆粒層の菲薄化がみられる
  • ④:真皮乳頭部での毛細血管拡張
  • ⑤:真皮浅層でのリンパ球浸潤
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p112

選択問題75:解答 1

表皮の変化は乏しいが真皮に腫瘍胞巣が散在し、周囲結合組織との間に裂隙を伴っていることから基底細胞癌の診断

図24bの矢印部分は腫瘍表面を走行する拡張した毛細血管(樹枝状血管 arborizing vessels)に該当する→1

  • 1. arborizing vessels(樹枝状血管):真皮浅層の占拠性病変によって血管が引き伸ばされて生じる所見で、基底細胞癌の診断に有用
  • 2. capillary microhemorrhage(毛細血管出血点):全身性強皮症や皮膚筋炎でみられる爪上皮の出血点・毛細血管拡張の所見
  • 3. glomerular vessel(糸球体様血管):塊状に蛇行した真皮乳頭部の毛細血管で、Bowen病やエクリン汗孔腫などでみられる所見
  • 4. hairpin vessel(ヘアピン様血管):真皮乳頭で毛細血管が細長く平行に走ることでヘアピンのように観察されるもので、こちらもエクリン汗孔腫でみられる
  • 5. red lacuna:血管腫等でみられる紅色の均一な構造
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p58(1)/61(2・5)/62(3)
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p108・158(1)/114(3)/110(4)

選択問題76:解答 5

図25bでは真皮血管の拡張がみられ、内部では赤血球が充満している

組織学的には海綿状血管腫の像で、ダーモスコピーではred lacunaに該当し紅色の均一構造としてみられる→5

  • 4. linear vessel(線状血管):線状の血管で、不規則な走行の場合は無色素性悪性黒色腫で観察されることがある。肝硬変に伴うクモ状血管腫でも観察される

その他選択肢については上記選択問題75を参考

  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p62(4)
  • 参考書籍:ダーモスコピー超簡単ガイド 改訂第2版 p122(4)

関連2017 選択77(red lacunasのダーモスコピー像)

選択問題77:解答 3

足底の色素斑におけるダーモスコピー像を問う問題

足底皮膚では皮丘と皮溝が存在し、母斑細胞母斑では皮溝に、悪性黒色腫では皮丘に並行な色素沈着が見られる

皮丘並行パターンを呈し、悪性を最も疑うのは③→3

なお皮溝並行パターン(parallel furrow pattern)ではいくつかの亜型が存在し、本問の他選択肢はこれら亜型を示している

  • fibrillar pattern(線維状パターン):皮溝優位の色素沈着が、足底荷重部等で擦過の結果色素が移動してみえる皮溝並行パターンの亜型
  • ② double dotted-line variant(2本点線亜型):皮溝の両側に色素沈着がみられる、皮溝並行パターンの亜型
  • parallel ridge pattern (皮丘並行パターン):皮溝部より太い色素沈着がみられ、色調も不均一なことから悪性黒色腫を疑う像
  • crista dotted variant(皮丘点状亜型): 皮溝部に加え皮丘部でも点状に色素沈着がみられる皮溝並行パターンの亜型で、小児期の母斑で多くみられる
  • lattice-like pattern(格子様パターン):皮溝部に加えて皮丘部を直行する色素沈着がみられる皮溝並行パターンの亜型で、足底土踏まず部の母斑で見られる

関連問題

選択問題78:解答 2, 4, 5

金属アレルギーに関する一般問題

  • 1. 金と水銀は元素周期表で隣接し構造が類似するため、交差反応を引き起こすことがある。金陽性例33例中16例が水銀陽性であったという報告もあり、5%よりは高いと考えられる
  • 2. 水銀皮膚炎の原因としては、水銀温度計の破損や水銀含有消毒薬(チメロサール)がある。ただしいずれも水銀が使用されなくなっており、頻度は減少傾向にある(医中誌では2014年以降2021年まで報告がない)
  • 3. 金は水に溶けにくい(イオン化しづらい)ため、接触皮膚炎をきたしづらい…とされてきたが、近年はピアスの普及もあり陽性率が増加している(金属パッチテストでの陽性率はニッケルについで2番目に高い)
  • 4. 金のパッチテスト陽性率は女性25.6%/男性15.7%と女性の方が高い(ニッケルも同様の傾向)
  • 5. 全身性接触皮膚炎は接触感作の成立後、非経皮的にアレルゲンを取り込んだ結果全身にアレルギー反応をきたすもの(ex. シイタケ, 水銀)
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p117(5), 皮膚科学 第10版 p144(5)
  • 選択肢1の参考:ピアス皮膚炎と金アレルギー:Skin surgery 1(1) 74-79, 1992
  • 選択肢2の参考:水銀皮膚炎の1例 -血清TARC値の経時的変化を観察した症例-:皮膚科の臨床 63巻11号 p1667-1669
  • 選択肢4の参考:接触皮膚炎診療ガイドライン2020 日皮会誌:130(4), 523-567, 2020

選択肢1のパーセンテージについて、ガイドラインのようなはっきりとした情報ソースはない。選択肢2について、7年間報告がないものが"多い"と言えるのかどうか疑問であるが、その他選択肢が明確に正否が決まるため相対的に正解選択肢と判断した

関連2021 選択26(接触皮膚炎の一般問題)

選択問題79:解答 1, 3 (解答不明)

Non-episodic angioedema with eosinophilia(NEAE)についての問題

Non-episodic angioedema with eosinophilia(NEAE)

Episodic angioedema with eosinophilia(EAE)は好酸球増多を伴う血管性浮腫や体重増加、発熱エピソードを繰り返す疾患(欧米で多い)

NANEはエピソード性でなく一過性でかつ軽症にとどまる疾患で、本邦ではこちらが多い

EAEとNEAEの比較 EAE NEAE
血管浮腫 繰り返す 1度のみ
年齢性別 男性に多い 若年女性に多い
体重増加 10%以上の増加 軽度にとどまる
血中IgM値 上昇することが多い 上昇しないか,
軽度の上昇
発熱 38度以上
となることがある
ないことが多い
経過 繰り返し、年余に及ぶ 数ヶ月
  • 1. NEAEは若年女性に好発する→○
  • 2. 浮腫に伴って体重増加が見られるが、軽度にとどまり著明に増加することはない→✗
  • 3. 90%の症例が夏季から秋季に発症している(虫刺症との関連が疑われている)→○
  • 4. 四肢で"non-"pitting edemaがみられ、ゴムまり様と称される。→✗
  • 5. 組織学的には真皮〜皮下脂肪組織の浮腫や、膠原線維間・脂肪小葉間の好酸球浸潤がみられる→✗

関連:2009年 選択問題78(NEAEの特徴を選ぶ問題)

選択肢2に関して、日本皮膚科学会刊行のJDA Letter No.46 「令和2年度 皮膚科専門医認定試験の概況と傾向分析」にて不正解選択肢とコメントがある。しかし4・5いずれも上記文献等を参考にすると間違いとなってしまい、正解選択肢が2つしか存在しない。選択肢文では3つ選ぶように指定されており、誤植?

選択問題80:解答 1, 2, 5

糖尿病に併発する皮膚疾患を問う問題

Dupuytren拘縮やNuchal-type fibroma、汎発性環状肉芽腫などがある→1, 2, 5

  • 1. Dupuytren拘縮:手掌腱膜における線維腫症で、糖尿病・アルコール依存やてんかん患者で生じやすい
  • 2. Nuchal-type fibroma(項部線維腫):項部皮下腫瘤で膠原線維増生がみられ、半数弱に糖尿病を合併する。なお糖尿病患者の項部には浮腫性硬化症も生じやすい
  • 3. 結節性紅斑:下腿伸側に好発する皮下脂肪織炎で、炎症性腸疾患やベーチェット病、サルコイドーシス、ハンセン病などに合併することがある
  • 4. 老人性脂腺増殖症:顔面(前額・頬・鼻)に黄白色の丘疹/小結節を生じる疾患で、高齢者の顔面に好発する。Muir-Torre症候群に合併することがある
  • 5. 汎発性環状肉芽腫:中高年女性で後発し全身に環状肉芽腫(ムチン沈着を伴う)をきたす疾患で、糖尿病合併例が多い
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p332〜333/434(1)/354(3)/411(4)/348(5)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p443〜445/631(1)/182(3)/586(4)/495(5)
  • 選択肢2の参考:臨床皮膚科 73巻5号 最近のトピックス2019 最近話題のデルマドローム p17-22

関連問題

選択問題81:解答 2

未分化悪性腫瘍では腫瘍が(扁平上皮や腺などに)分化しておらず、HE染色のみで発生由来が判然としない場合がある

このような場合免疫染色が発生由来同定に利用される。用いられないのはKi-67(MIB-1)→2

  • 1. AE1/AE3:サイトケラチンを認識する蛋白で、上皮系マーカーに利用される
  • 2. Ki-67:細胞休止期以外を染色するため細胞増殖マーカーに用いられ、腫瘍細胞の分裂能を示すが分化方向とは関わらない
    神経内分泌腫瘍のグレード分類や乳癌における治療方針決定に用いられる
  • 3. LCA:リンパ球系マーカーとして利用される
  • 4. S-100:神経系マーカーとして利用され、シュワン細胞やLangerhans細胞、メラノサイトで陽性となる
    ex. Langerhans細胞組織球症, 悪性黒色腫, 神経線維腫
  • 5. Vimentin:間葉系細胞マーカーとして利用され、線維芽細胞や平滑筋細胞で陽性となる。未分化有棘細胞癌ではケラチンに代わって発現が増加する

関連問題

選択問題82:解答 2, 3, 5

境界部皮膚炎をとる疾患について問う問題

皮膚筋炎や多形紅斑、固定薬疹が該当する→2, 3, 5

境界部皮膚炎 (interface dermatitis)

炎症は組織学的に表皮か表皮基底膜〜真皮(境界部)かに分類される

炎症部位 特徴的所見 代表疾患
表皮 海綿状態 急性湿疹
Gibertバラ色粃糠疹
表皮基底膜〜真皮(境界部) 液状変性 扁平苔癬
薬疹(多形紅斑・固定薬疹)
エリテマトーデス・皮膚筋炎

境界部皮膚炎をきたす疾患の代表が扁平苔癬のため、境界部皮膚炎は苔癬様反応(lichenoid reaction)や苔癬型組織反応・苔癬様皮膚炎などと呼ばれることがある

外部からの刺激が原因の場合(ex 接触皮膚炎)は体表近くの表皮で炎症所見が強く、体内のものに対する反応が原因の場合(ex 血中に取り込まれた薬剤→薬疹, 自己組織→抗原病)は毛細血管のある境界部で炎症所見が強くなる、と考えると理解しやすい

  • 1. Gibertバラ色粃糠疹:一過性の炎症性角化症で、組織学的に表皮肥厚・海綿状態・不全角化などの非特異的所見がみられる
  • 2. 皮膚筋炎:基底膜の液状変性やムチン沈着、リンパ球浸潤などがみられ、SLEと類似する
  • 3. 多形紅斑:表皮真皮境界部でのリンパ球浸潤や基底膜の液状変性、個細胞壊死がみられる
  • 4. 急性湿疹:表皮の炎症であり、海綿状態や表皮内水疱がみられる。慢性化すると表皮肥厚を伴う
  • 5. 固定薬疹:表皮真皮境界部の炎症所見がみられ、同部位のCD8陽性T細胞が薬剤により活性化されるのが原因とされる

関連問題

選択問題83:解答 3, 4, 5

紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)の組織所見を問う問題

エリテマトーデスは境界部皮膚炎(選択問題82参照)の組織像をとる疾患の一つ

  • 1. 浸潤細胞はリンパ球が主体となる。境界部皮膚炎での好酸球浸潤は播種状紅斑丘疹型薬疹でみられる
  • 2. 海綿状態は表皮細胞間の炎症であり、境界部皮膚炎をとる紅斑性狼瘡では目立たない
  • 3. 基底層の空胞変性・液状変性がみられる
  • 4. 真皮浅層から深層、とくに血管や付属器周囲で炎症細胞浸潤がみられる
  • 5. 表皮内の炎症は目立たない。表皮内の個細胞壊死が目立つ疾患に多形紅斑や急性GVHDがある
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p195/42(5 個細胞壊死)
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p412

選択問題84:解答 3, 4, 5

皮膚線維腫と隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)を区別するための組織学的特徴を問う問題

  • 1. Cannonball pattern:房状血管腫でみられる、真皮内で腫瘍細胞(血管内皮細胞から構成)が胞巣を形成する所見
  • 2. tissue-culture appearance:結節性筋膜炎でみられる、線維芽細胞類似の紡錘形細胞が増生し間質にムチン沈着を伴う所見
  • 3. 出血や組織球浸潤:DFSPは悪性腫瘍であり、出血や組織球浸潤が目立つ
  • 4. 膠原線維:DFSPは膠原線維が乏しく、皮膚線維腫の方が太い膠原線維がみられる
  • 5. 浸潤:DFSPは悪性腫瘍であり、浸潤傾向が強い
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p461/426(1)/435(2), 皮膚科学 第10版 p636/651(1)/499(2)
  • 選択肢1の参考:成人発症のtufted angioma 皮膚病診療43巻4号 p332-335
  • 選択肢2の参考:結節性筋膜炎71例の病理組織学的検討 臨床皮膚科 59巻7号 p589-595

関連問題

選択問題85:解答 1

図では顆粒層の層板顆粒が示されている(ケラトヒアリン顆粒と比較して白い縦線が入っていることがわかる)

層板顆粒からはセラミドが放出され、角質細胞間脂質として働く→1

ここで重要な役割を担う酵素がABCA12で、同遺伝子の変異により道化師様魚鱗癬を発症する

  • 1. セラミド:層板顆粒から分泌される角質細胞間脂質の代表
  • 2・4. ロリクリン・インボルクリン:周辺帯を構成する蛋白で、それぞれ顆粒細胞/有棘細胞で発現する
  • 3. フィラグリン:ケラトヒアリン顆粒を構成するプロフィラグリンが分解され、角層ではフィラグリンとなる。なおその後さらに分解を受け、最終的にはアミノ酸となり天然保湿因子(NMF)と呼ばれる
  • 5. トランスグルタミナーゼ:周辺帯でロリクリン・インボルクリンを架橋する役割を担う
  • 参考書籍:あたらしい皮膚科学 第3版 p8〜10
  • 参考書籍:皮膚科学 第10版 p11〜14

関連問題

選択問題86:解答 4

アダパレン(ディフェリン®)は面皰改善作用から、非炎症性皮疹(白色面皰)でとくに有効性が高い(抗炎症作用もあるが)

本問の図では第6週までVehicle(溶媒 ワセリンなど)と統計学的有意差がついていないことから、炎症性皮疹であることが推察される→4

実際、アダパレンとVehicleの比較で、皮疹の総数と白色面皰(下記a・c)は1週目から統計学的有意差がついている

※このグラフでは治療開始前を0として、皮疹数が減少するほど(=治療効果があるほど)グラフの下にプロットされる

2020-Adapalene

(a) 皮疹の総数(選択肢1), (b) 炎症性皮疹(選択肢4), (c) 白色面皰の数(選択肢3)

  • 1・3. 皮疹の総数・白色面疱の数:1週目から有意差を持ってVehicleより減少
  • 2. 脱落者の数:アダパレンゲルは2/100人で、Vehicleは5/100人(すべての要因を含む)
  • 4. 炎症性皮疹の数:白色面疱よりやや遅れて6週目から有意差を持ってVehicleより減少
  • 5. 刺激感を訴えた症例数:本文中に記載なし

関連問題

選択問題87:解答 3

ACE阻害薬はアンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡへの変換を阻害し降圧作用を発揮するが、同時にブラジキニンを不活化する酵素であるキニナーゼⅡも阻害する→3

このためブラジキニンが蓄積し、副作用として血管性浮腫を引き起こすことがある

なおブラジキニン産生は生理的にはC1エラスターゼ阻害因子(C1-INH)によって制御されており、この遺伝子変異による活性が低下が遺伝性血管性浮腫の原因となる

  • 2. カリクレイン:カリクレイン阻害に働くベロトラルスタット(オラデオ®)やラナデルマブ(タクザイロ®)が近年、遺伝性血管性浮腫の長期予防に用いられるようになった
  • 3. キニナーゼII:ブラジキニンを不活性化する酵素で、ACE阻害薬は同部位を阻害する
  • 5. ブラジキニン:遺伝性血管性浮腫の発作時に、ブラジキニンB2受容体拮抗薬イカチバント(フィラジル®)が用いられる

関連問題

選択問題88:解答 5

5αリダクターゼはテストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)への変換を担う酵素(⑤)で、Ⅰ型とⅡ型が存在する

DHTはテストステロンより活性が高く、毛髪(とくに前頭部)に存在する受容体と結合して成長期が短縮することで薄毛をきたす。これが男性型脱毛症(AGA)の病態であるため、治療には5αリダクターゼ阻害薬が用いられる

代表的なのは下記2剤

作用点 一般名 商品名
5-αリダクターゼⅡ型 フィナステリド プロペシア®
5-αリダクターゼⅠ型+Ⅱ型 デュタステリド ザガーロ®

なおDHTの影響で髭や胸毛では逆に成長期が延長し、毛が濃くなる

関連問題

選択問題89:解答 3

MRIの造影剤で用いられる元素を問う問題。Gdが用いられる→3

なお腎不全患者はGdを投与すると腎性全身性線維症をきたすリスクがあり、投与禁忌

  • 1. Ba(バリウム):消化管造影検査で用いられる
  • 2. Ga(ガリウム):鉄と同様の挙動を示し炎症部位で集積するため、悪性腫瘍や炎症性疾患検索のガリウムシンチグラフィで用いられる
  • 3. Gd(ガドリニウム):MRIの造影剤として用いられる
  • 4. Ge(ゲルマニウム):ブレスレット等で利用されている
  • 5. I(ヨウ素):甲状腺ホルモンの材料であり、CTや血管造影の造影剤として用いられる

関連問題

選択問題90:解答 2

医療におけるリスクの考え方を問う問題

副作用症状を伝える際は平易な言葉で伝えることが望ましい→2

  • 1. 治療方針の説明:治療によるリスクと、それによって得られるベネフィットを説明する
  • 2. いたずらな専門用語を避け、理解を助ける→○
  • 3. リスク・ベネフィットについて十分な説明を受け理解した上で、最終的には患者が自己決定を行う
  • 4. 同意(consent)を得る前に、リスクを十分に説明する必要(informed)がある。リスクを伝えないという対応は不適切
  • 5. 有害事象が発生した場合、それに対する対応が必要

選択問題91〜100、記述問題は下記

2020-Specialist-4
令和2年度(2020年度) 皮膚科専門医試験 過去問 解答解説 選択問題91〜100 記述問題

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